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2012年1月

2012年1月31日 (火)

世間は70%一色です(笑)

1月30日のエントリ、『マスコミの暴走に注意』にも書きましたけど、1月23日の読売新聞に掲載された、『首都圏直下型地震が4年以内に70%の確率』という報道の、『4年以内70%』という部分だけが一人歩きを始めてしまいました。なんだか向こうの思うツボみたいで悔しいのですが、とりあえず二冊買ってきてみました。
70
表紙には、お約束のように70%、7割の文字が。他の週刊誌にもずいぶんと見られましたね。

しかし東大地震研究所のその後のコメント(1/30のエントリに引用)にもある通り、額面通り受け取って良い数値では無いのですが、インパクト命のマスコミにとっては、そんなことどうでも良いのでしょう。

ところで、サンデー毎日を買ったのには理由があります。サン毎には、私が防災の師と仰ぐ、東京大学の目黒公郎教授の防災理論をベースにした特集記事が載っているからです。(念のため申し添えますが、私は東大卒ではありません・笑)

目黒教授の理論は、私の防災活動の根幹を成すと言っても過言では無く、その精神はもちろんこのブログにも反映されています。もし、もうこの記事を読まれた方がありましたら、このブログの内容との共通点がおわかりになると思います。このブログはまだ始めたばかりでエントリも少ないのですが、4年やっている本館のmixiコミュ『生き残れ。~災害に備えよう~』では、さらに色濃く反映されています。

例えば、私がここのエントリ『本当に必要な防災グッズとは?』で挙げた、まず何よりバールとジャッキを備えよ、というのは、阪神・淡路大震災の惨状を徹底的に研究された、目黒教授が提唱されていることなのです。

目黒教授の防災理論こそが災害から「生き残る」ための最短距離だと信じ、納得できるからこそ、私も全面的に賛同し、採りいれているわけです。1月31日発売のサンデー毎日を手に取られることがありましたら、是非お読みいただければと思います。

さておき、首都圏直下型が4年のうちに70%だろうと30年のうちに98%だろうと、それは数字上の問題でしか無いと考えましょう。とにかく、「いつ来てもおかしくない」のです。それは1分後かもしれないし、10年後かもしれません。こんな記事が出ると誰もが不安になりますが、そんな不安を和らげる最高の方法は、“その時”何が起こるかを正確に知り、それに見合った知識と備えを進めることなのです。

このブログでも、できるかぎりお手伝いして行きたいと思います。また、mixiメンバーの方は、本館の過去ログも是非ご覧ください。他のコミュとはかなり違い、必要な情報を体系的にお読みいただけるようになっています。

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本当に必要な防災グッズとは?【5】

全国的に、寒い日が続いています。降雪地は記録的な豪雪で、太平洋側はカラカラに乾燥しています。こんな中で大規模地震が発生したら、どうなるでしょうか。

降雪地での過酷さは言うに及ばず、この乾燥の中では、火災も大規模化しやすいでしょう。何よりこの寒さが最も危険であり、災害から「生き残る」条件は、非常に厳しくなっています。こんな気象条件の中では、普段にも増して避難時の「防水・防寒」が重要になります。

前回、「生き残る」ための重要な装備として、カッパの装備をお勧めしました。ではそれがあれば100点かというと、実はまだ70点くらいなのです。まだ、多くの人が意外と見落としているポイントがあります。

それは「荷物の防水」です。非常持ち出し用の装備を入れてあるリュックやバッグ、または普段通勤、通学に使っているバッグ類に、防水性能はありますか?雨や雪の中を長時間移動しても、中のものは濡れませんか?

私が以前から非常に気になっているポイントをひとつ指摘します。できれば実例として画像を上げたいのですが、営業妨害になりかねないのでやめておきます。そのかわり、皆様ご自身で、「非常持ち出し」や「防災リュック」などのキーワードで、画像検索してみてください。おなじみの、白や銀色のリュックがたくさんヒットすると思います。

布製のものは、正直なところ問題外です。銀色のものは消防服と同系の素材が多く、耐水・耐火性能もある程度考えられているのでしょう。何より"それらしい”雰囲気はありますね。しかし問題はその形状です。開口部やポケットに、レインフラップがついていないものが、かなりありますよね。素材は防水なのに、開口部はひもで絞るだけのナップサックタイプでは、豪雨の中ではあっと言う間に浸水しますし、雪が積もれば、溶けた水が入って来ます。最も過酷な状況に対応していません。仏作って魂入れずとは、このことです。

一般的なリュックなどを防災用に使われている方も多いと思いますが、本体に防水性能があるか、またはレインカバーが付属していますか?特に、帰宅困難時に長時間持ち歩くバッグの防水性能は重要です。しかしすべて完全防水のリュックやバッグを用意するのは、デザインやコスト面からも現実的でありません。ならばそれを補わなくては、せっかくの装備もびしょぬれです。

一番確実なのは、ポンチョタイプの雨具を使うこと(画像参照)
Pon
背負ったリュックや肩に掛けたバッグごと、上からかぶってしまえば問題ありません。でも、100均ショップものでポンチョタイプはまずありません。お金をかければいろいろありますが、しっかりしたものの欠点は、畳んでもそれなりの大きさになってしまい、家に備えるならともかく、常時持ち歩くにはちょっとかさばりすぎるということです

ならば次善の策として、オーバーサイズのビニールカッパです。つまり、自分の身長よりプラス10センチ以上に対応したサイズにするということです。それなら、小型のリュックならば、その上から羽織れるでしょうし、ショルダーバッグを肩にかけた上からなら、さらに余裕があります。これは身長が高い人、体格が良い人には難しいこともありますが、一番手軽な方法です。大は小を兼ねます。

さらに「中の防水」があれば完全です。リュックやバッグの中で濡らしたくないものは、前回記事のカッパ写真のように、ファスナーつきフリーザーバッグで密封してあれば確実。ラジオ、携帯電話充電器、予備電池など電気系には必須です。特に着替え、防寒着類は、大きなビニール袋でしっかりくるんで、仮に水に落ちても濡れないようにしておく必要があります。寒い中で身体が水に濡れたとき、乾いた衣服があるかどうかが、生死を分けることもあるのです。特にお子さん用の衣類は、絶対にそうすべきです。

はからずも、今とても寒い季節です。この気候の中で、屋外や暖房の無い避難所で長時間過ごすことをイメージしながら、皆様ご自身でもいろいろ工夫してみてください。それが確実に「生き残る」力をアップしてくれます。

次回は、見落とされがちな非常時の「防水・防寒」に関して、低コストで効果の高いグッズを紹介したいと思います。

【つづく】

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2012年1月30日 (月)

マスコミの暴走に注意

去る1月23日、読売新聞朝刊に、非常に気になる記事が掲載されました。それは東京大学地震研究所が『首都圏直下型地震が、4年以内に70%の確率で発生する』と発表したという、衝撃的なものでした。普通は30年、短くても10年タームで試算する地震の発生確率が、いきなり『4年以内に70%』という、感覚的には“すぐに、確実に来る”と思えるものです。

当然ながら各マスコミはこのネタに食いつき、今週発売される週刊誌の広告を見ると、その多くに「7割」、「70%」の文字が躍っています。例によって、恐怖が一番売り上げに繋がるとばかりに、各誌が競うように煽りまくっています。

しかし、当の東大地震研究所は、ウェブで下記のように発表しています。主要部分を抜粋の上、引用させていただきます。

(以下引用)----------------------
【2011年東北地方太平洋沖地震による首都圏の地震活動の変化について】

以下の酒井准教授ほかによる試算は,2011年9月の地震研究所談話会で発表されたもので,その際にも報道には取り上げられました.それ以降,新しい現象が起きたり,新しい計算を行ったわけではありません.
上記の発表以外に専門家のレビューを受けていません.また,示された数字は非常に大きな誤差を含んでいることに留意してください.
試算が示した東北地方太平洋沖地震の誘発地震活動と,首都直下地震を含む定常的な地震活動との関連性はよくわかっていません.
当初から明言している通り,このサイトは個々の研究者の研究成果・解析結果を掲載したものです.このサイトに掲載されたからといって,地震研究所の見解となるわけではまったくありません.

■■■
2012年1月23日読売新聞朝刊の報道には次の四点の誤りや記述不足があります.ここではそれらを訂正・追記しながら,試算に用いられた解析手法とその結果について解説します.なお,以下では東北地方太平洋沖地震を東北地震と略記します.

平田直教授による「マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した」という説明は誤り.正しくは「地震調査委員会の『余震の確率評価手法』を東北地震による首都圏の誘発地震活動に適用し、今後誘発されて起こりうるM7の発生確率を計算した」.
前記の誤りにより,結果的に島崎邦彦・予知連会長による「試算の数値は、今の時点での『最大瞬間風速』」というコメントも適切な表現になっていない.
試算の対象である東北地震の誘発地震活動と,いわゆる首都直下地震を含む定常的な地震活動との関連性はよくわかっていないので,後半の平田教授のコメントのように両者を単純に比較することは適切でない.
試算結果の数値に大きな誤差やばらつきが含まれている点について記述がない.

■■■
【政府公表の『今後30年で70%』とは異なる数値になる理由】

読売新聞記事にも書かれているように,文部科学省の地震調査研究推進本部は,南関東のM7程度の地震(いわゆる首都直下地震)の発生確率を「今後30年で70%程度」と発表してきました.本研究の試算「今後30年間で98%(あるいは,今後4年で70%)」は,政府発表の値とは異なるものとなっています.この相違の理由は,見ているもの(評価や試算の対象)の違いであると言えます.

政府の試算では,過去150年間に起きたM6.7-7.2の地震を数えて,その頻度から確率を求めています(参考: 地震調査研究推進本部の該当ページ (PDF)).つまり,東北地震による誘発地震活動が始まる前の定常的な地震活動の中から,首都直下地震に相当する地震を選び出して発生確率を計算しています.一方,本研究では首都圏で起こる東北地震の誘発地震活動が試算の対象です.

ところが,東北地震の誘発地震活動と定常的な地震活動との間の関連性はまだよくわかっていません.したがって,両者の数字を単純に比較することは適切でないと考えられます.
(引用終了)----------------------------

どういうことかと言うと・・・
■『4年以内に70%』の内容は、2011年9月に研究者個人の試算として発表した、大きな誤差を含んだもので、現在の最新の研究結果というわけではなく、東大地震研究所の公式見解ではない。

■読売新聞の記事には記述不足や誤りがあり、適切な表現では無い。(例によって、特ダネ掴んだといきり立った記者が、十分な理解もないままにイメージ優先の記事を書いたということですね。よくある話です)

■政府発表の『30年以内に70%』という発表と異なるのは、評価や試算の対象、つまり見ているものが違うためで、両者を単純に比較するのは適切ではない。

つまり、政府の試算とは異なる方法の、ある経験則に基づく“大雑把な”試算に過ぎず、特に何か新しい発見があったわけでもなければ、十分な検証を経てもいない。したがって、この数字だけで大騒ぎするなということですね。

しかし、『4年、70%』という猛獣は、はからずも世に放たれてしまった。こうなれば、あとは皆がよってたかって猛獣に様々なエサを勝手に与え、巨大怪獣にまで育て上げられてしまうでしょう。そしてその実体がどうであろうとも、宇宙から来たの、大国の陰謀だの、伝説が実体化したの好き勝手な解釈を加えて、その恐怖を“愉しむ”輩のオモチャにされるでしょう。

そうなれば、いくら飼い主が「実は見かけが派手な猫に過ぎない」と言っても、後の祭り。再び飼い主のオリに戻ることは無いのです。

かく言う私も、聞いた当初は『4年、70%』に衝撃を受け、これは大変だと言う記事も書いてしまいました。しかしその実体が明らかになってきましたので、敢えて前の記事は削除せず、反省を込めて、この記事をアップします。少なくとも防災に関わる人間として、人の恐怖を煽って商売するような手法は疑問を感じざるを得ません。

これから、あちこちで『4年、70%』を見かけるでしょう。しかし、せめてこのブログをご覧になられて、事の真相を知られた方は、せめて理性的で冷静な判断をしていただきたいなと思います。

数字はどうあれ、首都圏直下型地震は、東日本大震災前から「いつきてもおかしくない」と言われていたのです。正しい情報に基づいて、できる備えを、できるだけ進めて行きましょう。

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本当に必要な防災グッズとは?【4】

本当に必要な防災グッズについて、続きます。

地震災害については、ひとつ不思議に思えることがあります。我々がその記録を目にする機会の多い、大正12年に発生した関東大震災以降、我が国において多数の避難が必要となるような地震災害の時は、なぜかすべて天気が良かったということです。

東日本大震災では、3月11日の夜には雪が降ったところもありますが、発災時には晴れまたは曇りでした。実は我が国だけでなく、海外の地震災害においても、雨や雪の中で避難をするよう映像や情報を見た記憶がありません。正確に調査したわけではありませんが、大きな地震災害はかなり高い確率で、降水の無い時に起きているように思えます。

そこに何かの理由があるのか、単なる偶然なのかはここで論じる問題ではありませんが、そのせいか「防災グッズ」とは、何も地震災害のためだけにあるのでは無く、台風や豪雨災害で避難が必要な時にも、当然役に立つということが忘れられているような気がします。

ここまで書けば、私が何を言いたいのか大体おわかりいだだけたのではないでしょうか。そこで、できればいろいろな「防災マニュアル」をご覧いただければと思います。すると、いわゆる非常持ち出し用品の中に、「防水・防寒」のためのグッズが含まれていないものが、かなり多く見られるはずです。中には、折りたたみ傘を入れよなどとしているものもあります。

私自身が見たものでは、防災グッズをイラスト入りで紹介した大手全国紙の防災特集記事でさえ、「防水・防寒」装備が完全に抜けていました。"防災のプロ”が監修したであろう記事でさえ、この体たらくです。それがまた子供向けだったので、正直なところ怒りさえ感じました。こんな状態なのも、「雨や雪の中を避難して大変な目に遭った」というような体験談が、少なくとも地震災害に関しては、いままで事実上皆無であったことも原因のひとつでしょう。

マニュアルだけの問題ではありません。すでに家庭に「防災グッズ」を用意されている皆様、その中にご家族全員分の雨具は用意してありますか?帰宅困難に対応した装備を勤務先などに用意してある皆様、豪雨や雪の中でも歩ける装備はありますか?緊急避難時や長距離歩行中は、傘はあまり役に立たないと考えねばなりませんし、避難行動時はあらゆる危険に備えて、両手を空けておくのが基本です。傘をさしていては、子供の手を引くことも困難になりかねません。それに前述の通り、台風や豪雨災害での避難時は、確実に雨具が必要になります。そんな時、傘が役に立たないのはおわかりいただけるでしょう。

では、どんなものを用意したら良いのでしょうか。とりあえず最低限の装備として、100円ショップのビニールカッパがあれば、まずはかなり効果的ではあります。まとめてたくさん用意しておいても、負担も少なくて済みます。
10002
これは100均ショップのビニールカッパを持ち歩く際の、私のやり方です。ファスナーつきフリーザーバッグ(商品名ジップロックなど)に入れて空気を抜いて密閉すれば、ぐっとコンパクトになります。中身がわかるように、ラベルも入れてあります。そしてこの方法が便利なのが、カッパの使用後です。普段はゲリラ豪雨に遭遇したときなどに使うことが多いと思いますが、例えば駅に着いてカッパを脱いでも、ビショビショのままカバンには入れられません。でもフリーザーバッグにカッパを畳んで入れれば密閉できますので、カバンの中に放り込めるわけです。余談ながら、フリーザーバッグは様々なグッズの防水、防湿保管にとても重宝しますので、最低20枚くらいは備蓄しておくことをお勧めします。


災害からの緊急避難時は、不十分な装備で挑むアウトドア活動です。アウトドアでの基本のひとつは、身体を濡らさず、冷やさないこと。特に冬場に服や身体を濡らすと、低体温症で生命の危険に晒されることもあります。現に東日本大震災では、避難後に雪の降る屋外や暖房の無い避難所で、せっかく助かった命が寒さで失われた例があるのです。そこまで行かなくても、体力の低下で行動が大きく制約されますし、十分な治療が受けられない中で風邪をひいたりすれば、非常に危険です。

雨や雪が降っていなくても、ビニールカッパをウインドブレーカーとして着れば、体温の維持に大きな効果があります。また、前述のように普段からゲリラ豪雨やにわか雨対策としても有効ですし、さらに放射性環境下を移動しなければならなくなった時は、身体に放射性物質の付着を防ぐ簡易防護服として非常に効果的なのです。

非常持ち出しや帰宅困難時用の装備に雨具が無い、もしくは傘しか入っていなかった皆さん、100均に限らず、カッパは必ず用意しておいてください。

今、日本列島は強力な寒波に見舞われています。この雪や寒さの中を、避難したり長距離徒歩移動することを考えてください。皆様の装備は、この環境の中で長時間過ごすことに耐えられますか?

ところで、ビニールカッパを用意すれば、防水・防寒は十分なのでしょうか。

【つづく】

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本当に必要な防災グッズとは?【3】

あなたの家が大地震で押しつぶされ、部屋はなんとか潰れなかったものの、出口を塞がれました。窓には金属製の格子があって脱出できません。どこからか焦げ臭い匂いがしてきます。

倒壊した建物の中の僅かに残った空間から、子供が助けを呼ぶ声が聞こえます。その建物は木造モルタル造りで、窓には格子がはまっています。素手ではどうにもなりません。強い余震が来たら、さらに倒壊しそうです。

倒壊した家の梁に、あなたの家族が挟まれています。落ちた梁は、人力では重くて持ち上がりません。次第に火災の火が迫っています。そんな時、あなたならどうしますか?

これらは、阪神・淡路大震災で実際に起きた状況を参考にした「想定」です。しかし、事実とほとんど変わりありません。こんな状況が、実際にたくさん起きたのです。


阪神・淡路大震災では、倒壊した建物に閉じ込められた状態から生還した人は、約35000人に上りました。そのうちの約77%、27000人が、近隣住民の手によって救出されました。残りは、警察、消防、自衛隊など公的機関による救出でした。近隣住民による助け合いが、最大の力になったのです。

しかし、上記はあくまで「生還した」人数です。ろくな救出器具も持たない人々の手に負えない状況も、非常にたくさんありました。生きているのがわかっているのに、素手では救い出せなかったのです。でも、せめて何か道具があれば救い出せるのに・・・という状況も、少なくありませんでした。


神戸市の海沿いに、阪神・淡路大震災の惨状と教訓を未来に伝える資料館、「人と未来防災センター」があります(画像は外観)
Sany0012
ここでは、阪神・淡路大震災の実際の被災者がボランティアの語り部となって、来館者にその惨状と生かすべき教訓を語ってくれます。

その中のひとりは、用意しておくべき「防災用品」について、熱い口調で語ります。「倒壊家屋からの脱出や救出のための道具を備えよ」と。その激しいとも言える口調からは、実際に目の前の命を救えなかった経験をしたことが、語らずとも伺えます。そこで語られる、用意しておくべき用品の筆頭が、大型バールなのです。

大型バールがあれば、テコにして重量物を持ち上げる、窓ガラスや窓格子を破壊する、モルタルや石膏ボード壁を破壊する、木造家屋の屋根板や羽目板を外す、ひしゃげたドアをこじ開ける、車のドアをこじ開けたり潰れた車の開口部を拡げる、エレベータのドアをこじ開けるなど、非常に多くの用途に使えます。実際に、これ一本あれば救えたはずの命が、何百とあったのは事実です。

語り部が次に用意せよと説くのは、これです。
Photo
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上は一般的な乗用車用パンタグラフジャッキ、下は大型トラック用の油圧ジャッキです。テコで手に負えない重量物を持ち上げるのには、これしかありません。乗用車用でも1トンの重量を上げられます。大型トラック用は、5トン程度から20トン以上上げられるものまで、各種あります。写真のものは管理人の私物で、15トンタイプです。

乗用車用でも、木造家屋の梁をある程度上げる力はあります。大型トラック用なら、鉄筋コンクリート建物の倒壊でも、かなり対応できるでしょう。重量物を持ち上げるだけでなく、開口部を押しひろげるという使い方もあります。

大型バールとジャッキが、あの日、目の前で命が尽きるのをただ見守るしかなかった人たちが、心から欲しいと思った「防災グッズ」なのです。さらにできれば、チェーンソーまで用意せよとまで言いますが、さすがにそれは現実的で無いかもしれません。でも、チェーンソーがあれば、木造家屋に容易に開口部を作ることができるのは確かですし、プロのレスキュー隊も使っています。

これらが家に常備してあれば、自分の脱出はもとより、倒壊家屋に閉じ込められた人々の救出に、絶大な効果があります。閉じ込められているのは、あなたの大切な人かもしれないのです。


大型バールは、前回に掲載した750ミリのもので1800円前後で工具を扱っているホームセンターで入手できます。ジャッキは、乗用車用の新品がカーショップで3000~4000円程度で販売されていますが、自動車解体業者などからなら、安価で入手できます。もちろん、自家用車のジャッキも利用しない手はありませんね。

【つづく】

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2012年1月29日 (日)

地震関連情報1/29

昨日1月28日(土)午前7時43分頃、山梨県富士五湖付近、深さ18kmを震源とするマグニチュード5.4の地震が発生し、最大震度5弱をを記録しました。なお、この地震の前後にも震度3~4を記録する地震が連続して発生しました。その後も余震活動が続いており、29日夕方には震度4クラスが発生していますので、しばらく警戒が必要です。

最も気になるのは、東海地震や富士山の噴火に繋がるのではないかという懸念ですが、気象庁発表により、それは否定されています。地震の発生メカニズムも東海地震とは全く異なりますし、仮に富士山の活動活発化の徴候があれば、それは確実に捉えられますので心配いりません。

この震源域は、あまり地震が多い場所ではありません。しかし、過去には今回の震源とほぼ同じ場所で、さらに大きな規模の地震が発生しています。気象庁の資料によれば、1931年9月16日にマグニチュード6.3、1983年8月8日には、マグニチュード6.0が発生しています。発生頻度は少ないものの、比較的大きな地震を発生させる断層が存在する場所だということです。

なお、同日28日の午前9時22分頃に岩手県沖を震源とする最大震度4の地震が、午後4時21分頃には茨城県沖を震源とする最大震度4の地震が発生と、比較的大きな地震が東日本に集中した感がありますが、これらは直接的には全く無関係であり、地震が集中したからという理由で、根拠もなく大地震が近いなどと煽る不良情報の類には、くれぐれも惑わされませんように。

ただ、現在の日本列島は、東日本大震災による大規模な地殻変動の影響下にあります。東向きに大きく動いた東日本が、再び太平洋プレートの西向きの動きに押し戻されつつある状況です。このような動きの中で、震災前よりはるかに多数の地震が発生している状況が続いており、各地に散在する活断層がどのような影響を受けるかは、予想できるものではありません。

確実に言えることは、日本列島全体、特にフォッサマグナ以東の東日本において、震災前よりはるかに地震が発生しやすくなっているということです。どこでも、いつ大きな地震に見舞われてもおかしくありません。できるうちに、できるだけ備えを進めていただきたいと思います。

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2012年1月27日 (金)

地震関連情報1/27

本日1月27日、午前10時09分頃、三陸沖を震源とするマグニチュード4.8の地震が発生し、最大震度2を記録しました。震源の深さは10kmです。

規模的には大したことのない地震ですが、特筆すべき特徴があります。この地震は、東日本大震災本震震源の東側、つまり陸地からみて沖側で発生した「アウターライズ地震」だと思われるのです。アウターライズとは、海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込む部分(沈みこみ帯)の沖側に当たる、地殻の盛り上がり部分のことです(下図参照)
Photo
大規模な「プレート境界型地震」が発生すると、それまで固着していたプレート接触面がはがれて抵抗が減ります。そのため海洋プレート(この場合は太平洋プレート)が大陸プレート(同、北アメリカプレート)の下に潜り込む速度が上がり、アウターライズ部分に引っ張りの力がかかります。その引っ張り力によって起こる正断層型地震が、「アウターライズ地震」です。

この地震は、陸地から遠い沖で起きるために陸地の揺れはあまり大きくならないのですが、深さ10km程度の浅い部分で起こるために海底の変形を伴いやすく、規模の割りには大きな津波を発生させることがあります。揺れがあまり大きくないのに大規模な津波が発生する、いわゆる「津波地震」の正体です。場合によっては、陸地の震度が4くらいでも、10メートルクラスの津波が発生する可能性もある、恐ろしい地震なのです。

震災本震以降、常にこの「アウターライズ地震」の危険が指摘されてきており、実際に小規模のものは何度か発生していますが、津波を発生させるほどの規模はありませんでした。

実は3月11日の震災本震直後、膨大な数の余震が発生している最中に、マグニチュード7以上の「アウターライズ地震」も発生していたことが、後の調査でわかっています。津波も発生していたと思われますが、本震震源域からも多数の津波が発生していた状況であり、特にそれらと区別することはできませんでした。

その後は前述の通り、津波を発生させるような規模の「アウターライズ地震」は発生しておらず、地殻変動も次第に落ち着いて来ている状況のなかで、発生する確率自体は下がって来ていると思われます。しかし小規模ながらもいまだに発生していることからしても、その危険が完全に去ったとは言えません。

繰り返しますが、「アウターライズ地震」は、陸地の震度が4程度でも、最大10メートル規模の津波を発生させることがあります。仮に3メートル程度の津波だとしても、地盤沈下したり、防波堤が破壊されている被災地にとっては、震災前とは比較にならない危険度です。

津波被災地で復興のために頑張っている皆様、陸地の揺れが小さかったからと言って、大津波が来ないとは決して言い切れないということを、改めて思い出していただきたいと思います。

ひとつだけ「良い」情報があります。「アウターライズ地震」は、震災本震の震源域より沖側で発生しますので、本震震源域で発生した津波より、陸地に到達する時間が長くなります。しかし、当然ながら地震発生直後にはその地震のタイプまではわかりませんから、沿岸部で比較的強い揺れを感じたら、すぐに避難体制を取るべきなのは変わりありません。

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2012年1月26日 (木)

本当に必要な防災グッズとは?【2】

「防災グッズ」とは、まず災害の第一撃から生き残るためのものが最優先。その考え方だと、用意すべきものの優先順位が変わってきます。

そう言っておきながらなんですが、実は最も優先すべきことは、建物の耐震補強と家具などの転倒・移動対策です。6434人が犠牲になった阪神・淡路大震災では、早朝の発生ということもあって、犠牲者の約86%、約5530人が、自宅内で死亡しました。そのうちの約83%、約4590人が建物の倒壊などが原因による死亡で、さらにそのうち約10%、約460人が、家具類の転倒・移動による死亡でした。これは死亡者数ですから、負傷者数ははるかに膨れ上がります。

さらに恐るべきデータがあります。建物の倒壊による死亡者、約4590人のうちの約12%、約550人は、分類上「生存時焼死」とされています。どういうことかと言うと、倒壊した建物の下敷きになって動けないまま、火災によって死亡したということなのです。敢えて、想像してみてください。それがあなた自身や、あなたの大切な人だったら。

そんなこと、誰も想像したく無いでしょう。とてもイヤ気持ちになります。しかし、それが巨大災害の現実なのです。東日本大震災ではさらに想像を絶する状況の中で、多くの命が失われました。そこから目をそむけず、勇気を持って現実を見て、“その時”何が起きて、あなたはどうなるのか。それを正確にイメージすることが、災害対策の根幹なのです。それなくして、効果的な災害対策はあり得ません。

ともかくも、もし阪神・淡路大震災において、全ての家の耐震補強と家具の転倒防止などが出来ていたと仮定すると、4000~5000人の人々が死なずに済んだ可能性があるわけです。この事実から、大地震から生き残るための最も効果的な対策は、建物の補強と家具の転倒・移動防止と言うことが出来ます。建物に関する地震対策は、また別稿でまとめたいと思っています。

さて「防災グッズ」ですが、大地震において最も危険なことは、建物の倒壊や家具、備品類の転倒・移動だという事はおわかりいただけたと思います。もし自分のいる建物が倒壊したら、そして倒壊した建物の中に取り残されている人がいたら、どうしますか。

まずはそんな状況に備える「防災グッズ」を用意していただきたいと思います。それは、これです。
Photo
大型バールです。東日本大震災の被災地でも、捜索、救助用に大活躍しました。しかし大型バールを用意しておけという教訓は、17年も前の阪神・淡路大震災後からずっと言われ続けて来たにも関わらず、何故かあまり一般的になることは無かったのです。

【つづく】

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地震関連情報1/26

本日1月26日(木)午前5時43分頃、宮城県沖を震源とするマグニチュード5.1の地震が発生し、最大震度4を記録しました。震源深さは50kmです。この地震は、23日に福島県沖で発生したマグニチュード5.1の地震と同様の、太平洋プレートによる西向きの圧縮力による逆断層型スラブ内地震です。

東日本大震災による地殻変動で、東方向に大きくズレた日本列島を、太平洋プレートが再び西方向に押し戻す過程で、このタイプのスラブ内地震が発生することが予想されていました。そして、実際に昨年10月頃から発生しはじめ、現時点ではごく小さいものも含めれば、ほぼ毎日発生しています。特に、宮城県沖では震災本震震源域の深さ20~30km程度の余震がほぼ完全に無くなり、本震震源域より沿岸部寄りで、深さ40~60kmのスラブ内地震の発生が続いています。

このタイプは、今まで、マグニチュード5クラス、震度4以上になることは無かったものの、ここへ来て福島沖、宮城沖で同じくマグニチュード5.1という規模で連続発生したことで、何か新しい動きに繋がる可能性も考えられます。もちろん偶然の可能性もありますが、しばらくの間、東日本の太平洋岸海沿いもしくは沿岸部海底で起こる、震源深さ40~60km程度のスラブ内地震の発生状況に注目したいと思います。

なお、何度も書いていますが、スラブ内地震は、震源が比較的深いために海底の変形を伴う可能性が小さいので、津波が発生する確率はあまり高くありません。しかし、内陸下もしくは陸地に近い海底下で起こるため、規模の割りに陸上の揺れが大きくなる傾向があります。

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2012年1月25日 (水)

本当に必要な防災グッズとは?【1】

今回から、生命の危険に晒されるような巨大災害に遭遇した際に、本当に必要な防災グッズとは何かについて、数回に渡って考えて行きたいと思います。

まず最初に、皆様はどのような「防災グッズ」を用意されていますか?または「防災グッズ」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?まずは、自宅に準備しておくべきものについて考えてみましょう。

水、乾パンなど非常食、缶詰、懐中電灯、軍手、ヘルメット、レスキューシート、ロープ、薬品類、簡易トイレ、ラジオ、携帯電話充電器辺りを思い浮かべる方が多いでしょう。それからちょっとトリビア的な知識として、現金、公衆電話用の小銭、洗う必要が無い紙皿にポリラップなども出て来そうです。後半は、阪神・淡路大震災以降、その教訓としてかなり広まっている知識でもあります。

このような防災グッズが、確かに一般的です。どれも決して間違いではありませんし、実際に非常持ち出しセットのようなものは、大抵こんな中身になっています。でも、それだけで良いのでしょうか。もっと必要なものは無いでしょうか。良く考えて見てください。

「防災グッズ」を準備する最大の目的は、一体なんでしょう。それはまず、「災害の第一撃から生き残る」事ではないでしょうか。上記のような防災グッズは、ほとんどが「生き残ってから」役に立つものです。多少の皮肉も込めて「避難生活快適グッズ」とでも呼びたくなります。

このような知識が一般化した理由のひとつは、災害後の教訓として伝わる諸々の情報の大半が、「生き残った人」の、多くの声だからです。過酷な避難生活で何に不自由して、何が便利だったかなどの情報は、それは貴重な教訓です。大いに活かさなければなりません。

では、「生き残れなかった人」の声は?巨大災害に遭遇して、恐怖と無念と苦痛の中で犠牲になった人々の「声なき声」は、実際に聞こえないからと、忘れていても良いのですか?誤解無きように言い添えますが、もちろんオカルト的な意味ではありません。

もし仮に災害の犠牲者の言葉を聞けるとしたら、私たちに一体何を語りかけてくれるでしょうか。それは、あの時ああすれば良かった、あれを備えておけば良かった、そうすれば生き残れたのにという、究極の教訓が詰まった声では無いでしょうか。その「声なき声」を事実を詳細に検証し、かつ最大限の想像力を働かせて聴き取り、今後ひとりでも犠牲者を少なくするために活かして行くことが生きている我々の務めであり、多くの犠牲を無駄にしないことなのです。

そして、もうひとつの声があります。その声はあまり大きくありません。しかし、最も聞かなければならない声でもあります。それは、「命を救えなかった人々」の声です。

目の前で命が潰えるのを目の当たりにしながら、様々な理由で手を尽くせなかった、手を尽くしても救えなかった人々の苦痛に満ちた声にも、究極の教訓が詰まっています。あの時、どうすれば良かったのか、何があれば良かったのか。あまりに悲痛な声ばかりであり、聞く方にも勇気と覚悟が必要です。しかし、聞かなければならない。


災害の第一撃から生き残らなければ、どんな防災グッズも無駄になります。そのためには、まず何が必要か。優先順位をどこにおくべきか。そこから考えると、いわゆる防災グッズも、世間一般に言われるものとは少し違ってきます。これから、そんな「生き残る」ための防災グッズを考えて行きます。

【つづく】

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地震関連情報1/25

■1月25日(水)

一昨日、1月23日(月)、午後8時45分頃、福島県沖を震源とするマグニチュード5.1の地震が発生し、最大震度5弱を記録しました。震源の深さは50kmです。

この地震は、今までとは少し違ったタイプです。震災以降、福島県浜通り南部を震源域とする群発地震が続き、震度5強、5弱クラスもかなり発生しました。その震源深さは10km以下の、いわゆる正断層型の直下型地震でした。しかし23日の地震は震源深さ50kmであり、太平洋プレートが西向きに押す力による、逆断層型のスラブ内地震です。このタイプで震度5弱が発生したのは、震災後初めてではないでしょうか。

福島県浜通りとその沖合いでは、現在三種類の地震が起きてます。まずは震災直後から非常に多発した、浜通り南部から茨城県北部へ続く震源域で発生している、震源深さ10km程度の正断層型地震です。この地震は、昨年11月頃から目だってその発生回数が減り始めています。なお、この地震の発生メカニズムは、膨大な発生回数にも関わらず、まったくわかっていません。

それに代わって、同じ頃からおき始めたのが、浜通りの少し北部からその沖合いで発生する、深さ20km程度の地震です。深さとしては震災本震の震源深さに近いのですが、震源域が本震震源域よりかなり陸地寄りもしくは内陸部で、本震と同様な「プレート境界型地震」とは異なります。今のところ、明確は発生メカニズムは不明です。

さらに12月頃から目立ち始めたのが、上記の地震とほぼ同じ震源域で発生している、深さ40~60kmの地震です。これは震災後の地殻変動によって大きく太平洋側(東側)に移動した北米プレートが、再び太平洋プレートの西向きの動きに押し戻され、圧縮される過程で発生することが予想されていた、逆断層型のスラブ内地震です。

危険度で言えば、このスラブ内地震が最も大きいと思われますが、今まで最大でも震度3クラスまでしか発生していませんでした。しかし震度5弱クラスが発生したことで、改めて危険度が浮き彫りになりました。

スラブ内地震の特徴は、震源が比較的深いので、海底で発生した場合でも海底面の変形を伴うことが少ないので、直下型やプレート境界型に比べて津波が発生する可能性は小さくなります。しかし陸地直下もしくは沿岸に近い海底で発生するために、陸上での揺れが大きくなる傾向があります。

23日の地震もこのタイプだったため、マグニチュード5.1と極端に大きく無い規模だったにも関わらず、震央直近では震度5弱と、他のタイプより大きめの震度を記録しました。

震災本震の余震発生回数はかなり減少して来ていますが、今後福島県浜通り付近では、このような状態がしばらく続くと予想されますので、引き続き警戒を続ける必要があります。


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2012年1月24日 (火)

地震雲ってなに?【最終回】

今回で【地震雲ってなに?】シリーズはおしまいです。ところで、お気づきになられたかどうか、私はここまで『地震雲なんてものは無い』とは、ひとことも言っていません。何故なら、「地震雲」というものが本格的な科学的研究の対象にされたことは無く、よって『地震と雲の発生は完全に無関係である』という科学的結論もないからです。いくら信じられない事だと言っても、合理的に完全否定されていないものを、存在しないとは断言できません。それが科学的態度というものです。

正直言いますと、防災屋である私のスタンスにおいては、「地震雲」など存在しようとしまいと、どうでも良いのです。仮に地震と雲が何らかの相関を持つとしても、それが防災に活かせる精度の情報をもたらさない限り、全く取るに足らないものです。

あくまでこのブログでは、良く「地震雲」だと言われる「動かない雲」や「縞状の雲」は、ごく普通の気象現象によるものであること、「放射状の雲」や「竜巻状に直立した雲」は、見かけ上や錯覚によるものであることを解説してきました。つまり「地震雲」だとされる対象そのものが、最初から存在しないということを明らかにしたまでです。

この結論については、個人の見解を差し挟む余地のない、厳然たる事実です。この事実を踏まえた上で、皆さんご自身で、「地震雲」というものがあるのか無いのかを、ご判断いただきたいと思います。なお、こんな事をやろうと思ったのも、防災の現場、特に若い人の間にこの手の不良情報があまりに多くはびこっていて、本当に大切なことがおろそかにされているという危機感を強く持っているからなのです。

なお、本文は本館のmixiコミュに掲載したものを加筆訂正したものですが、本館では「地震雲」のほかに「ケムトレイル」、「HAARP」、「終末論」についても、巷で言われる事は本当なのかを、あくまで現実的、科学的に検証しています。結論だけ言っておけば、『何も心配いりません』ということです。

長くなりますが、最後にちょっとまとめを。
ネット上では、下記の視点で雲の画像を見てください。もちろん、あなた自身が空を見上げる時にもぜひ。

■観測者から遠ざかるにつれて、放射状に拡がる雲の画像はあるか。
■垂直に立った雲を、真下付近から見上げたような画像はあるか。
■平地以外から垂直に立った雲を撮影した画像、例えば山の上や、飛行機の中から撮影された画像はあるか。

何も見つからないので、すぐつまらなくなってくると思いますが(笑)、その結果が、答えです。

次回からは、管理人てばがお勧めする、「ありきたりでは無い防災グッズ」を、シリーズで紹介して行きます。

こんな地震雲はイヤだ…(笑)
Photo

【おわり】


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2012年1月23日 (月)

地震雲ってなに?【9】

これまでに、巷で言われている「地震雲」とされる雲の形状は、一般的な気象現象や錯覚であることを検証して来ました。では、「地震雲」発生のメカニズムとされるものは、果たして事実なのでしょうか。

「地震雲」が存在すると主張される方々は、こう言います。
『大きなストレスがかかった岩盤が破壊される時に発生する電磁波が上空に放出され、大気中のエアロゾル(微粒子)を凝集させて、それが核になって水蒸気が凝結し、地震雲となる』と。

竜巻状の雲については、震源付近から上空に向けて電磁波が細いビーム状に放出され、それが核となって垂直の雲が出来る、という事だそうです。では、まず岩盤の破壊で電磁波が発生するのは事実なのでしょうか。

それは事実です。岩石に高い圧力をかけると、崩壊に伴って圧電効果による電荷が発生し、電磁波が放出されることは科学的に証明されおり、実験でも再現されています。電磁波の放出だけでなく、まれに発光現象が起こることもあります。

このため、電離層の異常、通信・放送電波のへの影響、伝播擾乱、電子機器への影響などが発生することがあるというデータが蓄積されており、その方面から地震予知を研究している大学などの研究団体はかなり多く存在します。

ではその電磁波が、ある特定の形状をした雲を発生させることはあるのでしょうか。

雲の発生については、実は誰も証明に成功していません。実験でも再現できていません。理論的には電磁波による雲の発生は可能であり、発生させるだけなら実験でも再現できています。しかしそれは数万ボルトの電圧と自然界ではあり得ない大電流を流した上で、やっと実験室レベルの小規模で再現できるに過ぎません。

つまり岩盤の破壊で発生する微弱な電磁波が、数百~数千メートル上空に作用して雲を発生させるというメカニズムを、誰も科学的に説明できないのです。

さらに、竜巻状の雲を発生させるというビーム状の電磁放射も、雲の形を説明するために導き出された「~であろう」という話であり、そのような現象が確認されたことも、発生の可能性を示唆する理論もありません。

仮に垂直に放出されるビーム状の電磁波が、竜巻状の雲を発生させるのだとしても、その他の条件、例えば各高度の気温や風、湿度の違いとは無関係に、大きな高度差に渡って均一な雲が発生する理由を説明できる人はいません。 これは、均一な雲は同じ条件の同じ高度だからこそ発生するという事実の、逆説的証明でもあります。

もし仮にビーム状の電磁波で竜巻状の雲が出来るとしても、それは各高度における温度、湿度、風向、風速、エアロゾルの分布などに影響されて、いびつな形になったり、途切れたりするでしょう。広い高度範囲に渡って均質な雲が出来るという話自体が、物理学も気象学も無視したエセ科学の類なのです。

念のため、ひとつ例外を挙げておきましょう。細長い竜巻状の雲ではありませんが、広い高度範囲に渡って均質な雲が出来る例もあります。それがこれ。
Photo_6
これは正式には「雄大積雲」という、一般的には「入道雲」と呼ばれている雲です。この雲の頭が成層圏に達し、それ以上上に発達できなくなって水平に広がり始めた時から、「積乱雲」(かなとこ雲)と呼ばれるようになります。

このような柱状の雄大積雲や積乱雲は、局地的な強い上昇気流によって発生します。つまり均一に近い条件の空気塊そのものが上昇して行くことにより、広い高度範囲に渡って均質な雲が発生するものです。ですから、前述の、竜巻状の雲の発生メカニズムとされるものとは根本的に異なる、ごく普通の気象現象です。

いずれにしても、雲の発生メカニズム以前に、存在するとされていた雲自体が存在し得ないのですから、取りこし苦労の類です。繰り返しますが、いかなるメカニズムがあろうと、広い高度範囲に渡って、上昇気流以外の理由で均質な雲、それも細長い竜巻状の雲が出来ることは、「絶対にありません」。

こんな風に書くと、「科学は万能ではない」とか「未知の事実があるかも」とか言われる方もあるでしょう。まあ、それについては確実な反論はできませんね。しかしそのような考えに走る前に、まず徹底的に科学的に調べ、考える事をお勧めします。 こう言ってはなんですが、素人が広範囲の調査もせずにわかるレベルで地震の前兆が認知できるなら、とうの昔に理論が確立されているはずですし。

とにかく、科学は「~だろう」、「~に違いない」、「~と聞いた」で進む事を否定します。ある仮説は実験と理論で証明されることのみで、科学的事実として認定されるのです。

地震雲編は、次回で最終回です。

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【つづく】

地震雲ってなに?【8】

さて、今回は「垂直な竜巻状の雲は実在するか?」という疑問を検証したいと思います。その方法とは「放射状の雲」の検証と同じく、読者の皆様ご自身が確かめていただきたいのです。

ネット上で『地震雲 竜巻』とかで画像検索すれば、これも膨大な数の画像がヒットします。それらの画像を見ると、【7】の記事で挙げた4条件に当てはまっているものが多いのがわかると思います。でも、それだけでは検証になりません。そこで下記の2点に注意して、沢山の画像を見ていただきたいのです。

■垂直に立った雲を、真下付近から見上げたような画像はあるか。
■平地以外から垂直に立った雲を撮影した画像、例えば山の上や、飛行機の中から撮影された画像はあるか。

垂直に立った雲がもし本当に存在するなら、観測者の直上付近に出ることもあるでしょうし、山や飛行機など高い場所から見えることもあるでしょう。しかし、すぐにわかります。そのような画像は皆無です。それが何を意味するかは、言うまでもありませんね。

しかし一見垂直に見える雲の画像は、膨大な数に上ります。それはつまり、それだけ錯覚を起こしやすい現象だということです。そして前記の4条件に当てはまる画像が多く、特に雲が写っている角度においては、高い確率で整合するということから、それらが錯覚を増幅させる条件であることがわかります。

ここでまた、私が撮影した画像をご覧ください。これはつい最近、1月15日の午後4時半ごろ、埼玉県南部の自宅近くで撮影したものです。
Photo_5
この雲の「上」は切れていませんが、夕暮れ時に、視界のほぼ中央に見上げた「飛行機雲」です。一見垂直に見えて、しかもいい感じで竜巻状にねじれていますね。実は私の自宅ほぼ直上には本州を南北に横切る通過航空路が通っており、日常的に飛行機雲が見えます。それを見慣れた私でも、思わず「垂直な雲だ(笑)」と思うほどでしたので、写真に撮りました。このように、いとも簡単に錯覚を起こしてしまうわけです。それは、だれもが例外ではありません。

これで、「垂直に立った竜巻状の雲」というものは存在しないことが、おわかりいただけたと思います。ですがまだ異論反論が聞こえて来そうですので、次回はその他の要素について検証します。

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【つづく】

首都圏直下型地震の確率が急上昇

■1月23日(月)
気になるニュースが発表されました。以下に全文を引用します。

(以下引用)--------------------------

【M7級首都直下地震、4年内70%…東大地震研】

 マグニチュード(M)7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東京大学地震研究所の研究チームがまとめた。

 東日本大震災によって首都圏で地震活動が活発になっている状況を踏まえて算出した。首都直下を含む南関東の地震の発生確率を「30年以内に70%程度」としている政府の地震調査研究推進本部の評価に比べ、切迫性の高い予測だ。

 昨年3月11日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化。気象庁の観測によると12月までにM3~6の地震が平均で1日当たり1・48回発生しており、震災前の約5倍に上っている。

 同研究所の平田直(なおし)教授らは、この地震活動に着目。マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した。

(引用終了)---------------------------


東日本大震災以来、東日本を中心に過去に例の無い頻度で地震が発生しています。また、今まであまり地震が起きていなかった地域でも、確実に発生回数が増えています。

中でも、首都圏直下型地震は震災前から「いつ起きてもおかしくない」と言われていたものです。震災後の地殻変動の影響で、その発生確率が間違いなく上昇していることは、このような発表を見るまでもなく明らかでした。この発表により、その状況が改めて追認されたわけです。

過去の地震関連情報の発表方法を鑑みれば、「4年以内に70%」というのは、ほとんど「近いうちに来ますよ」と同義とも言えるほどの、“異常な”内容です。

この状況において、私たちができることはただひとつ。正しい知識を持ち、正しい備えをして、正しい行動を取れるようにすることで、「生き残る」確率を少しでも大きくすることです。

大地震が怖く無い人などいません。しかし、無闇に恐れても何も変わりません。ひとつひとつ、着実に備えを進めるしか無いのです。あなたとあなたの大切な人と財産を守るのは、あなた自身です。

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地震雲ってなに?【7】

このブログを読んでいただいてる方は、おそらく「地震雲」と言われる雲の画像をたくさん見て来られた方が多いと思いますが、あまりご覧になられた事が無い方は、ぜひいちど画像検索してみてください。とにかく膨大な量の画像がみつかります。

さて、「垂直に出る竜巻状の雲」の話ですが、私も沢山の画像を見て来ました。その上で、共通する特徴を挙げて見ます。

■観測者から上下約30~60度、左右約30~40度くらいの角度で見上げたもの、つまり空を見上げた視界の中心付近に見えるものが多い。
■雲の「上下」が切れて見えるものが多く、特に地平線まで到達して見えるものはほとんど無い。
■竜巻状に渦を巻いていたり、「下」の方がすぼまって見える。
■夕暮れ時の写真が比較的多い。
どうでしょうか。改めて上記の特徴を「地震雲」の画像に当てはめてみてください。

ここで、もう一度羽田空港の写真を見てください。
Photo_4
この写真は、上記の4条件をすべて満たしているのですが、先にも述べた通り、これは地面と平行に発生した飛行機雲なのは間違いありません。

でも垂直に立った様に見えるのは、これもあくまで「見かけ上」の問題。写真の左に見える、崩れかけた長い飛行機雲や、右に見える小さな飛行機雲の断片は、垂直に立ったように見えませんね。これは視界の中心を外れるほど、見かけ上の角度が「寝て」行くからです。

下(に見える)の方がすぼまって竜巻状に見えるのは、まず距離の問題。観測者から遠くだから細く見えるということと、観測者から離れる方向に飛んでいく飛行機が発生させる飛行機雲の場合、下(に見える=遠い)部分の方が発生してからの経過時間が短いので、上(に見える=手前)側より拡散の度合いが小さいからです。

渦を巻いたように見えることがあるのは、飛行機雲が実際に渦を巻いているからです。飛行機はその後ろに「航跡乱気流(ウェイクタービュランス)」という気流の乱れを発生させていますが、その気流が渦を巻いているので、飛行機雲も渦巻状の構造になることが多く、それが時間の経過と共に風に流されたり、広く拡散した場合に、より渦巻き状の構造が目立って来るわけです。

夕暮れ時の画像が多いのは、そんな時間帯には、見かけの距離感が狂いやすいからです。飛行機雲の下(に見える=遠い)側、つまり沈みかけた太陽からの光線をより多く受ける部分が明るくなります。明るい部分の距離は近く錯覚しやすいので、遠くの部分がより近く見え、垂直に立っているような感覚を増幅します。これは『夜の火事は近く見える』というのと一緒。

さらに雲の「上下」が切れていると、垂直に見える錯覚をさらに増幅するようですね。当然ながら、飛行機雲は飛行機が雲が発生しやすい条件(一般に、気温が低くて湿度が高い)の中を飛んだ時にできるもので、大気重力波によって波打った大気の中を飛行する場合は、異なる温度や湿度の大気層を突き抜けて飛ぶことになり、断片的な飛行機雲が発生することもよくあります。ネット上にも、そのような断片的な飛行機雲が「地震雲」とされている画像はたくさんあります。

以上の事を踏まえた上で、阪神・淡路大震災の前日に撮られた写真を、もう一度見てください。
Kobe_tatumaki_3
この写真も、前述の4条件を満たしているのがわかりますが、まだ「明石海峡大橋の上」に「垂直に立った」雲だと思いますか?そう見えるのは確かです。しかしそう見えるということが、見える通りのものが存在する証明にはなり得ないのです。

次回は、「垂直に立った竜巻状の雲」が実在するかどうかについて、結論を出します。


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【つづく】

地震雲ってなに?【6】

ここまで、「地震雲」の特徴だと言われる、「動かない雲」、「縞状の雲」、「放射状の雲」について解説して来ました。これだけでも、巷で言われる「地震雲」の存在が、いかにだいぶ怪しくなって来たのでは無いかと思います(笑)続きまして、「地震雲」の“本命”とも言える、竜巻状に「垂直に立った雲」について解説します。

まず最初に、阪神・淡路大震災前日に撮影された、「竜巻状の地震雲」とされる雲の画像を再掲します。
Kobe_tatumaki
次の画像は、管理人てば自身が撮影した写真を掲載します。ちょっと古くて申し訳無いのですが、これは2005年11月23日午後4時ごろ、暮れなずむ羽田空港の出発ロビーから撮影したものです。ガラス越しなので、室内照明の写り込みがあります。
Photo_3
両方ともいい感じで「直立」してますね(笑)

では、次に、私が羽田で同時に撮影した、もっと引いた写真を掲載します。
Photo_2
だいぶ見え方が違って来ませんか?でも、真ん中の断片的な雲は、それでも垂直に立っているようにも見えますね。

羽田の写真を解説しましょう。ここに写っている雲は、すべて羽田空港上空を、高度1万メートル前後の高高度で通過するジェット機の飛行機雲です。日本の上空には、日本国内に着陸せずに高空を通過する路線の航空路がいくつもあり、羽田空港上空も通っています。

何本かの飛行機雲が放射状になっているように見えますが、これは「放射状の雲」のところで解説した通り、観測者からの距離による見かけ上のものであり、実際には平行している飛行機雲です。もし同方向への航空路がこんな風に放射状になっていたら、その集約点で空中衝突してしまいますね(笑)

そしてもちろん、これらの飛行機雲は『地面と平行に飛ぶ飛行機による、地面と平行に発生した雲』であることに疑いはありません。ではなぜ、このように垂直に立っているように見えるのでしょうか。

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【つづく】

2012年1月19日 (木)

地震雲ってなに?【5】

さて、今回は「放射状の雲」というものは存在しない、という事を証明します。でも、何も気象や科学の知識などは全く必要ありません。必要なのは、ちょっとした手間と注意力だけです。そんな証明方法も、ネット時代だからこそ手軽に出来るものなのですが、皮肉なことに、「地震雲」信奉者が一所懸命写真投稿をすればするほど、その根幹が揺らいで行くことになるのですから。

前置きはさておき、証明に進みましょう。とはいえ、実は私が証明するのではありません。読者の皆様に、ちょっとだけお手間をかけていただき、皆様自らの目で確かめていただきたいのです。その方法を言う前に、もう一度「放射状の雲」とされる写真を掲載しておきましょう。
Photo
遠くから観測者に向かって、扇が開いているように見えますね。

さて、そこでやっていただくことは、ネット上で「放射状の雲」の画像を、できるだけたくさん見ていただきたいのです。検索エンジンで、『地震雲 放射状』とでも検索するだけで、大量にヒットします。さらに「地震雲」とされる画像だけでなく、あらゆる雲の画像を見てみてください。

そしてその中に、『観測者から遠ざかるにつれて、放射状に拡がる雲』の画像を探してください。つまり、観測者(撮影者)が扇の要の位置にいる画像です。

しかし、すぐにおわかりいただけるでしょうが、そんな画像は全く存在しないのです。

もし放射状の雲が本当に存在するなら、なぜ全てが『観測者(撮影者)に向かって拡がってくる雲』ばかりなのでしょうか。何故その逆、『観測者(撮影者)から遠ざかるにつれて、拡がる雲』の画像がないのでしょうか。

ついでに言えば、もし「放射状の雲」が存在し、観測者がその放射点(扇の要)近くにいたら、遠ざかるにつれて拡がる雲は、遠近法によって、並行する雲のように見えるでしょう。

とにかくそのような画像が、ネット上の膨大な画像群にさえ存在しないことは、何を意味しているか言うまでもありませんね。

様々なブログやサイト、中には本まで出して「放射状の雲」というものを、現実に存在するものとして“分析”されている方も少なくありませんが、全く茶番もいいところです。

なお、私は他人の趣味趣向や信条に口を出すつもりは全くありません。ただし、そのような根拠のない不良情報が「防災情報」の衣をまとって発表されることは許し難い。防災指導の現場では、根拠の無いこのような不良情報のせいで、多くの人が無用な不安に駆られています。

そしてそれを打ち消すために、防災指導をする人間は、余計な労力を使わされています。少なくとも、私は「趣味」でこんな話を否定している訳ではありません。


次回からは、「地震雲」の本命、「竜巻状の雲」について検証します。

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【つづく】

「地震雲」多発!(笑)

ちょっとブレイクです。昨日1月18日辺りから、あちこちの地震・災害系サイトなどに、やたらと「地震雲」の写真投稿が目に付きます。ほとんどは細い筋状の雲を「地震雲」だとしていますが、それらは例外なく飛行機雲です。

関東周辺からの投稿が多く見られましたが、それは関東に低気圧が接近し、天気が悪化しつつあったからなのです。どういうことかと言うと、低気圧の接近によって湿った空気が上層から流れ込み、飛行機が飛ぶ成層圏近くから湿度が上昇しはじめたことによるものです。

飛行機雲は大気が低温で高湿度の時にできやすくなりますので、ここ一両日の関東周辺上空は、まさにその条件が揃っていただけのこと。気にされていた方、安心してください。まあ、雲を見て地震を心配すること自体がナンセンスなんですが。

ただの飛行機雲や、それが崩れた雲を「地震雲」だと主張する方もやたらといますが、それについても「地震雲ってなに?」の連載内できっちり否定して行きますので、是非ご覧ください。

地震雲ってなに?【4】

今回は、「地震雲」だと言われることが非常に多い、放射状の雲について、その正体を明かしましょう。最初から結論を述べさせていただきますと、『放射状の雲というものは、存在しない』 のです。

以上…では話になりませんので(笑)、解説します。でも本題に行く前にまず、この画像をご覧ください。
Photo_2

これは「反薄明光線」という現象です。これは、地平線近くにまで沈んだ夕陽や、地平線から上り始めた朝日の光が、観測者との間にある雲に部分的に遮られて起こる現象です。

これもいつの間にか地震の前兆みたいに言われることがありますが、全く根拠がありません。見かけがちょっと不気味だと、みんな地震の前兆にされてしまいますね。

ところで、何故この写真を引き合いに出したかというと、次のことを思い出していただくためです。小学校の理科で習ったと思いますが、太陽と地球との距離がとても遠いために、太陽光は平行光線のはずです。その平行光線のはずの太陽光が、このように放射状に見えるのは何故でしょうか?もし太陽光が実際に放射状に拡がっているのだという方がいらっしゃいましたら、ぜひその原理を教えてください。

これは、地球よりはるかに巨大な太陽が、距離が遠いから小さく見えるのと全く同じことです。つまり、単に「見かけ上」で放射状に見えているだけなのはおわかりいただけるでしょう。

さて、というわけで本題の「放射状の雲」といわれるものをご覧ください。
Photo_3

これが本当に放射状に発生している雲だと思われる方、まだいらっしゃいますか?もう説明はいりませんね。これは「大気重力波」によって発生した、ほぼ平行した筋状の雲が、見かけ上で放射状に見えているだけです。観測者が雲の筋の延長線上にいれば、このように見えるというわけです。

それでもまだ半信半疑の方もいらっしゃると思いますので、次回は「放射状の雲」など存在しないということを、完全に証明したいと思います。


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【つづく】

2012年1月18日 (水)

地震雲ってなに?【3】

その場を動かない富士山の「つるし雲」は、「大気重力波」の一種である「山岳波」によるものでした。このように、何らかの理由で気流が波打つと、前の記事の模式図のように、上層には「レンズ雲」、中、下層には縞状の雲ができます。

そのような場合、気流の波ができる原因が存在する間はその場で同じ形の雲が発生し続けますので、見かけ上は長時間動かない雲となるわけです。そういえば、縞状の雲も「地震雲」だと言われていますね。

では、まず縞状の「地震雲」の正体を明らかにしましょう。次の二つの画像は、地震雲だと言われたものです。
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近くに山も無いのに、見事に縞模様の雲が出ています。これは一体何故なのでしょうか。

実はこれもごく普通の気象現象のひとつで、「大気重力波」による雲の一種です。要は、大気が何らかの理由で押し上げられると、上下に波打つ波動を発生させるということです。ここで採り上げた画像の様な雲は、冷たい空気の上に暖かい空気が押し上げられた時に発生する大気の波動によるもので、温暖前線が接近して来るときに出来やすいものです。

なお、前の記事の模式図にもある「レンズ雲」は、温暖前線が接近して来た時に発生する「大気重力波」でもできることがあります。『レンズ雲が出ると天気が悪くなる』と言われるのはこのためです。ちなみに、「レンズ雲」も地震の前兆だと言う話も聞きますが、これは見かけが一見不思議な形であることと、低層の雲が動いていても、高層で長時間動かないでいるという不思議なイメージから、いつの間にか「地震雲」の仲間に入れられてしまったようですね。

雲や気象についてある程度の知識を持ち、毎日空を意識して見ていれば、こんな雲はいつでも普通に出ているのですが。たまに不思議な雲を見かけると、とりあえず地震と結びつけてネット上にアップする人が絶えませんので、いつまで経ってもそんな根拠の無い誤解が続いています。中にはそれを商売にしている人もいるくらいですから、呆れたものです。

とりあえずここまでで、縞状の雲と長時間その場を動かない雲は、ごく普通の気象現象であるという事がおわかりいただけたと思います。次回からは、「地震雲」だと言われるいろいろな形状の雲について、個別に検証して行きます。

■このシリーズは、カテゴリー【エセ科学・オカルト排除】をクリックすると、まとめてご覧いただけます。

【つづく】

2012年1月17日 (火)

地震雲ってなに?【2】

いわゆる地震雲だとされる雲にはいくつかの種類がありますが、その多くに共通する特徴とされるものに、「長時間その場を動かない」というものがあります。まず、そこから考えてみます。

雲がその場を動かない理由はふたつ。「風が無い」か、「その場所で雲が発生している」のどちらかです。これ以外の理由はありません。風が無ければ、雲は流されずにその場にとどまります。実際には上空が全く無風状態という事はほとんど無いのですが、ごく弱い風の場合は、見かけ上は動かない雲に見えることもあります。でもこれは特に説明の必要はありませんね。では「その場所で発生している」とは。

これには非常にわかりやすい事例があります。下の画像は、富士山にでる「つるし雲」です。
Photo
この雲は、富士山に北寄りの風が吹きつけたときに、山の風下側に出ることがあります。強い北風の中でも、この雲は動きません。

この雲の発生メカニズムは、「大気重力波」と呼ばれる現象によります。山に当たって強制的に上空へ押し上げられた密度の高い空気は、周囲の気圧の低い空気より重いため、重力によって下降します。そして今度は重力加速度によって密度の高い低層にまで下降すると、周囲の空気より軽いために上昇します。この動きが波となって大気中を伝わって行くのが「大気重力波」です。

「大気重力波」のうち、強い風が吹きつけた山の風下側で起きるものを、特に「山岳波」と言います。山に当たった気流は一気に上空に押し上げられ、山を通り過ぎると巨大な波となって、しばらく大きく上下動しながら流れて行くわけです。

一般に、高度が100m上がると気温は0.6℃下がり、上昇した空気は冷やされます。さらに周囲の気圧が下がるので体積が大きくなり(断熱膨張)、露点が下がって含まれる水蒸気が凝結しやすくなります。これらの効果によって、雲が発生するわけです。

つるし雲の形を見ると、山を越えた気流が一旦山肌を駆け下り、再び上昇、そして下降する巨大な空気の波が見えて来ませんか。富士山は特に周りに山が無い孤峰なので、このような独特の形の雲ができるわけです。 下図が、その模式図です。
Jpg
山脈を超えて上下動を繰り返す気流と、その波の中で回転する気流(ローター)によって巨大な縞状の雲ができることがあり、これを「ローター雲」と言いますが、つるし雲も、発生メカニズムはローター雲と基本的には同じです。

このように、その場で雲が発生する条件が整っている場合は、雲はその場で発生し続けますので、見かけ上は動かない雲に見えるというわけです。ですから、雲が動かないからと言って、全く異常な現象ではありません。

ここまでの内容は「地震雲」と全然関係無いじゃないかと言われそうですが、実はこの雲ができるメカニズムがとても重要なのです。雲とは、空気中に含まれる目に見えない水蒸気が凝結して水滴となり、目に見える状態になったものであり、例外はありません。それを覚えておいてください。

地震雲ってなに?【1】

今日1月17日で、1995年に発生した阪神・淡路大震災から17年が経ちました。改めまして、犠牲となった6434人の方々のご冥福をお祈りいたします。私たち生きている者の使命は、亡くなった方々の、無念と苦痛に満ちた「声なき声」を、詳細な分析と最大限の想像力を働かせることで聴き取り、再び同じような災害に見舞われた時、ひとりでも犠牲者を少なくするための備えに繋げること、そのように考えています。

さて、地震雲ですが、実はそれが話題になり始めたのは、奇しくも阪神・淡路大震災がきっかけでした。震災後しばらく経ってから、実は地震の前にこんな現象が見られたという「宏観現象」の報告が、数多く集まりました。 それらすべてが地震と関連するとは証明されていませんが、ある特定の魚が異常な大漁だった、逆にある魚が姿を消した、動物がいつもと違う不審な行動をしていた、地震前に不審な光を見たなど、いろいろありました。

その中のひとつに、神戸新聞にも掲載されて話題になった写真があります。その写真がこれです。
Kobe_tatumaki_2

地震発生前日、1月16日の夕方、当時建設中だった「明石海峡大橋の上」に、真っ赤な夕焼けに染まる「垂直に立った」雲が出ているのが撮影されました。 まずここでの注意点はふたつ。本当に明石海峡大橋の直上なのか、本当に垂直に立っていたのか、という部分です。

写真を見るだけだと、確かに言われる様に見えないこともありません。この写真が神戸新聞に掲載され、科学的検証も無いままに「前日に地震雲らしいものが出ていた」と報道されたものですから、そこから一気に「地震雲」という言葉が広まりました。おまけに真っ赤な夕焼けまでが、いつのまにか地震の前兆とされてしまいました。

もちろん、それ以前から地震の発生と雲の形について、なんらかの相関があるという主張はありました。しかし科学的調査や統計が行われた訳ではなく、発生のメカニズムとされている「地震発生前に地殻内で大きなストレスがかかった岩盤が破壊され始めると、そこから電磁波が空中に放出され、空中のエアロゾル(微粒子)を凝集させて、それが核になって雲が出来る」という理屈も、一見科学的なようですが、実は大切な部分で物理法則を無視したエセ科学の類です。これについては、後で詳しく述べます。

とにかく、阪神・淡路大震災以後の報道などで、「垂直に立った竜巻状の雲」と、「異常なほどに真っ赤な夕焼け」は、それが事実なのか、本当の地震と関係があるのかという検証もされずに、すっかり地震の前兆現象とされて有名になって行きました。


今回はここまでですが、このシリーズはカテゴリー【エセ科学・オカルト排除】にまとめますので、間に他の記事が挟まっても、そのカテゴリーをクリックしていただければ、続けてお読みいただけるようにします。

まず最初に。

明日から、「地震雲」についての記事を数回に渡ってアップします。それを読んでいただければ、雲を見て地震の不安に駆られることが、いかに意味の無いことかお判りいただけると思います。

それと一見矛盾するようですが、私自身は地震雲というものがあろうが無かろうが、全く気にしていません。仮に存在するとしても、何らかの形で地震を予知することに繋がるものでなければ、存在しようとしまいと関係無いというスタンスです。基礎的知識を持たずに地震雲「らしい」ものを探して、検証もせずに騒ぐという趣味もありません。

これからアップする記事は、地震雲が存在するかしないかという以前の問題です。巷で地震雲だと騒がれる不思議な雲が、実は最初から存在しないものだったとしたら?

それを明らかにして行きますが、決して難しい話ではありません。実に単純なことなんですよ。是非お楽しみに。


なお、地震雲というものを信じるか信じないかは個人の自由ですが、論拠を示さない一方的な反論、批判、誹謗中傷には一切お答えしませんし、そのようなコメントは削除対象とさせていただきます。

2012年1月16日 (月)

今後の予定

スタートしたばかりの当ブログですが、いきなり地震関連の記事を続けてアップしましたので、「そういうブログなのかな?」と思われた方が多いかと思います。もちろん今後もこのような記事もありますが、それだけではありません。

「生き残れ。」を名乗るくらいですから、災害から生き残る方法を、具体的に考える記事を連続してアップして行きます。過去の災害による犠牲を詳細に分析することから導き出された、通り一遍では無い災害対策、教訓と科学的根拠に基づいた、本当に役に立つ防災知識、巷ではあまり薦められていない、本当に役に立つ「生存グッズ」などを、順次取り上げて行きます。

また、本館コミュニティの特徴でもある、災害のあるシーンをショートストーリーで再現し、その状況を踏まえて、そこからどうやったら生き残れるかを考える記事もあります。

そして、エセ科学とオカルト絡みの災害ネタのような不良情報についても、科学的にその真実を明らかにして行きたいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2012年1月14日 (土)

地震関連情報1/14

■1月14日(土)

昨年11月辺りから、少しずつ目立ち出した地震をひとつ、指摘しておきたいと思います。

それは「三陸沖」、「岩手県沖」で発生している、深さ20~30km程度の地震です。現在のところ、最大震度3を超えるような規模では発生していないのですが、昨年末頃から、発生頻度が少し上昇して来ているようで、少し気になります。

実はこの周辺での地震多発は、予想されていました。「三陸沖」および「岩手県沖」は、東日本大震災の本震震源域の北側に接している部分であり、震災本震の影響による、大規模な東側への地盤のズレに引きずられるような形になっている地域です。

そのため、東向きの引っ張り力による正断層型地震が、震災後ある程度の期間の後、高い頻度で発生するであろうことは、科学的に予想できていました。問題は、どの程度の規模になるかということですが、これは地下の状況によって左右されます。

要はその震源域における太平洋プレートと北アメリカプレートの滑り面に、プレート同士が強く接着している「固着域」(=アスペリティ)が存在するか、あるならばその規模はどの程度かという条件に左右されるのです。仮に、大規模な「固着域」が存在し、その部分が一気に破壊されるようなことになれば、かなりの大規模地震になる事も考えられます。しかし、「固着域」の有無、その規模を調べる方法は、現在のところ存在しません。

このため、予断を許さない震源域のひとつと考えなければなりません。少なくとも、「三陸沖」および「岩手県沖」、そして「青森県沖」辺りまで、かつて無い規模で東向きの引っ張り力が働いていることは間違い無いのです。今のところ大した規模の地震は起きていないので無いので見落としがちですが、この震源域での地震の推移に、是非注目してみてください。

2012年1月12日 (木)

新ブログを開設いたします。

皆様初めまして。当ブログ「生き残れ。Annex」管理人の、ニックネーム「てば」と申します。

本日2012年1月12日より、科学的かつ実践的な防災情報に特化したブログを開設いたします。このブログは、私がmixiで2007年10月から運営しているコミュニティ「生き残れ。~災害に備えよう~」の別館(Annex)という位置づけで運営いたします。記事内容も基本的には本館とリンクして行きますが、当ブログ独自の記事も織り交ぜたいと考えております。

私はNPO法人日本防災士機構認証の防災士として活動して来ましたが、東日本大震災の発生を受けて、より多くの皆様に正しい災害対策をお伝えしたいという考えを、強く持つようになりました。それと言うのも、巷に溢れる防災情報の中には、不十分なもの、実際には役に立たないもの、偏ったもの、誤まったものが少なくないと、常日頃から感じていたからです。

さらに、災害に関するエセ科学の類や、全く根拠の無いオカルト情報のようなものがはびこり、真剣に災害対策を考えている方々までもが、無用な不安に晒されているのを見聞しているからでもあります。

そこで当ブログでは、そのような不良情報を徹底的に排除し、あくまで科学的かつ実践的で、様々な災害からできるだけ高い確率で「生き残る」ことができる知識、技術、考え方をお伝えして行きたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。


mixiメンバーの方は、本館の方もよろしくお願いいたします。下記リンクからどうぞ。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2673475

地震関連情報1/12

本日午後12時20分ごろ、福島県沖を震源とするマグニチュード5.8の地震が発生し、最大震度4を記録しました。震源の深さは20kmです。

この地震は、昨年末頃から福島県浜通りおよび沿岸部、茨城県北部及び沿岸部で目立って来たタイプの地震です。それまで福島県浜通り内陸の、深さ10km程度で群発していた地震の発生が落ち着くにつれ、代わりに深さ20~30km(ほとんど20km程度)で発生しはじめました。

その震源域は、深さ10kmの群発地震震源域より若干北側の内陸、もしくは東側の海底が中心で、場所的にも別のメカニズムが働いているものと思われます。しかし太平洋プレートによる西向きの押し込みで発生する「スラブ内地震」が発生する深さ40~80kmより明らかに浅く、そのタイプとも考えられません。なお、「スラブ内地震」と思われる深い地震は、同震源域付近でも別に発生しています。

深さ20~30kmと言えば、「プレート境界型地震」である東日本大震災本震の震源深さに近いのですが、その震源域はプレート滑り面より明らかに本州寄りですので、そのタイプでもありません。

福島県浜通り震源の群発地震の発生メカニズムが全くわかっていないように、その付近における、これら深さ20~30km程度の地震についても、明確な判断はできないようです。いずれにしろ、陸地下および沿岸部地下で起きる地震ですので、地上の揺れが比較的大きくなるタイプの地震ですので、今後の推移を注意深く見守る必要があります。

内陸及び沿岸直下でマグニチュード7クラスが発生した場合、陸上の揺れは最大で震度6強程度が予想されます。

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