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2012年1月30日 (月)

マスコミの暴走に注意

去る1月23日、読売新聞朝刊に、非常に気になる記事が掲載されました。それは東京大学地震研究所が『首都圏直下型地震が、4年以内に70%の確率で発生する』と発表したという、衝撃的なものでした。普通は30年、短くても10年タームで試算する地震の発生確率が、いきなり『4年以内に70%』という、感覚的には“すぐに、確実に来る”と思えるものです。

当然ながら各マスコミはこのネタに食いつき、今週発売される週刊誌の広告を見ると、その多くに「7割」、「70%」の文字が躍っています。例によって、恐怖が一番売り上げに繋がるとばかりに、各誌が競うように煽りまくっています。

しかし、当の東大地震研究所は、ウェブで下記のように発表しています。主要部分を抜粋の上、引用させていただきます。

(以下引用)----------------------
【2011年東北地方太平洋沖地震による首都圏の地震活動の変化について】

以下の酒井准教授ほかによる試算は,2011年9月の地震研究所談話会で発表されたもので,その際にも報道には取り上げられました.それ以降,新しい現象が起きたり,新しい計算を行ったわけではありません.
上記の発表以外に専門家のレビューを受けていません.また,示された数字は非常に大きな誤差を含んでいることに留意してください.
試算が示した東北地方太平洋沖地震の誘発地震活動と,首都直下地震を含む定常的な地震活動との関連性はよくわかっていません.
当初から明言している通り,このサイトは個々の研究者の研究成果・解析結果を掲載したものです.このサイトに掲載されたからといって,地震研究所の見解となるわけではまったくありません.

■■■
2012年1月23日読売新聞朝刊の報道には次の四点の誤りや記述不足があります.ここではそれらを訂正・追記しながら,試算に用いられた解析手法とその結果について解説します.なお,以下では東北地方太平洋沖地震を東北地震と略記します.

平田直教授による「マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した」という説明は誤り.正しくは「地震調査委員会の『余震の確率評価手法』を東北地震による首都圏の誘発地震活動に適用し、今後誘発されて起こりうるM7の発生確率を計算した」.
前記の誤りにより,結果的に島崎邦彦・予知連会長による「試算の数値は、今の時点での『最大瞬間風速』」というコメントも適切な表現になっていない.
試算の対象である東北地震の誘発地震活動と,いわゆる首都直下地震を含む定常的な地震活動との関連性はよくわかっていないので,後半の平田教授のコメントのように両者を単純に比較することは適切でない.
試算結果の数値に大きな誤差やばらつきが含まれている点について記述がない.

■■■
【政府公表の『今後30年で70%』とは異なる数値になる理由】

読売新聞記事にも書かれているように,文部科学省の地震調査研究推進本部は,南関東のM7程度の地震(いわゆる首都直下地震)の発生確率を「今後30年で70%程度」と発表してきました.本研究の試算「今後30年間で98%(あるいは,今後4年で70%)」は,政府発表の値とは異なるものとなっています.この相違の理由は,見ているもの(評価や試算の対象)の違いであると言えます.

政府の試算では,過去150年間に起きたM6.7-7.2の地震を数えて,その頻度から確率を求めています(参考: 地震調査研究推進本部の該当ページ (PDF)).つまり,東北地震による誘発地震活動が始まる前の定常的な地震活動の中から,首都直下地震に相当する地震を選び出して発生確率を計算しています.一方,本研究では首都圏で起こる東北地震の誘発地震活動が試算の対象です.

ところが,東北地震の誘発地震活動と定常的な地震活動との間の関連性はまだよくわかっていません.したがって,両者の数字を単純に比較することは適切でないと考えられます.
(引用終了)----------------------------

どういうことかと言うと・・・
■『4年以内に70%』の内容は、2011年9月に研究者個人の試算として発表した、大きな誤差を含んだもので、現在の最新の研究結果というわけではなく、東大地震研究所の公式見解ではない。

■読売新聞の記事には記述不足や誤りがあり、適切な表現では無い。(例によって、特ダネ掴んだといきり立った記者が、十分な理解もないままにイメージ優先の記事を書いたということですね。よくある話です)

■政府発表の『30年以内に70%』という発表と異なるのは、評価や試算の対象、つまり見ているものが違うためで、両者を単純に比較するのは適切ではない。

つまり、政府の試算とは異なる方法の、ある経験則に基づく“大雑把な”試算に過ぎず、特に何か新しい発見があったわけでもなければ、十分な検証を経てもいない。したがって、この数字だけで大騒ぎするなということですね。

しかし、『4年、70%』という猛獣は、はからずも世に放たれてしまった。こうなれば、あとは皆がよってたかって猛獣に様々なエサを勝手に与え、巨大怪獣にまで育て上げられてしまうでしょう。そしてその実体がどうであろうとも、宇宙から来たの、大国の陰謀だの、伝説が実体化したの好き勝手な解釈を加えて、その恐怖を“愉しむ”輩のオモチャにされるでしょう。

そうなれば、いくら飼い主が「実は見かけが派手な猫に過ぎない」と言っても、後の祭り。再び飼い主のオリに戻ることは無いのです。

かく言う私も、聞いた当初は『4年、70%』に衝撃を受け、これは大変だと言う記事も書いてしまいました。しかしその実体が明らかになってきましたので、敢えて前の記事は削除せず、反省を込めて、この記事をアップします。少なくとも防災に関わる人間として、人の恐怖を煽って商売するような手法は疑問を感じざるを得ません。

これから、あちこちで『4年、70%』を見かけるでしょう。しかし、せめてこのブログをご覧になられて、事の真相を知られた方は、せめて理性的で冷静な判断をしていただきたいなと思います。

数字はどうあれ、首都圏直下型地震は、東日本大震災前から「いつきてもおかしくない」と言われていたのです。正しい情報に基づいて、できる備えを、できるだけ進めて行きましょう。

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