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2012年1月23日 (月)

地震雲ってなに?【9】

これまでに、巷で言われている「地震雲」とされる雲の形状は、一般的な気象現象や錯覚であることを検証して来ました。では、「地震雲」発生のメカニズムとされるものは、果たして事実なのでしょうか。

「地震雲」が存在すると主張される方々は、こう言います。
『大きなストレスがかかった岩盤が破壊される時に発生する電磁波が上空に放出され、大気中のエアロゾル(微粒子)を凝集させて、それが核になって水蒸気が凝結し、地震雲となる』と。

竜巻状の雲については、震源付近から上空に向けて電磁波が細いビーム状に放出され、それが核となって垂直の雲が出来る、という事だそうです。では、まず岩盤の破壊で電磁波が発生するのは事実なのでしょうか。

それは事実です。岩石に高い圧力をかけると、崩壊に伴って圧電効果による電荷が発生し、電磁波が放出されることは科学的に証明されおり、実験でも再現されています。電磁波の放出だけでなく、まれに発光現象が起こることもあります。

このため、電離層の異常、通信・放送電波のへの影響、伝播擾乱、電子機器への影響などが発生することがあるというデータが蓄積されており、その方面から地震予知を研究している大学などの研究団体はかなり多く存在します。

ではその電磁波が、ある特定の形状をした雲を発生させることはあるのでしょうか。

雲の発生については、実は誰も証明に成功していません。実験でも再現できていません。理論的には電磁波による雲の発生は可能であり、発生させるだけなら実験でも再現できています。しかしそれは数万ボルトの電圧と自然界ではあり得ない大電流を流した上で、やっと実験室レベルの小規模で再現できるに過ぎません。

つまり岩盤の破壊で発生する微弱な電磁波が、数百~数千メートル上空に作用して雲を発生させるというメカニズムを、誰も科学的に説明できないのです。

さらに、竜巻状の雲を発生させるというビーム状の電磁放射も、雲の形を説明するために導き出された「~であろう」という話であり、そのような現象が確認されたことも、発生の可能性を示唆する理論もありません。

仮に垂直に放出されるビーム状の電磁波が、竜巻状の雲を発生させるのだとしても、その他の条件、例えば各高度の気温や風、湿度の違いとは無関係に、大きな高度差に渡って均一な雲が発生する理由を説明できる人はいません。 これは、均一な雲は同じ条件の同じ高度だからこそ発生するという事実の、逆説的証明でもあります。

もし仮にビーム状の電磁波で竜巻状の雲が出来るとしても、それは各高度における温度、湿度、風向、風速、エアロゾルの分布などに影響されて、いびつな形になったり、途切れたりするでしょう。広い高度範囲に渡って均質な雲が出来るという話自体が、物理学も気象学も無視したエセ科学の類なのです。

念のため、ひとつ例外を挙げておきましょう。細長い竜巻状の雲ではありませんが、広い高度範囲に渡って均質な雲が出来る例もあります。それがこれ。
Photo_6
これは正式には「雄大積雲」という、一般的には「入道雲」と呼ばれている雲です。この雲の頭が成層圏に達し、それ以上上に発達できなくなって水平に広がり始めた時から、「積乱雲」(かなとこ雲)と呼ばれるようになります。

このような柱状の雄大積雲や積乱雲は、局地的な強い上昇気流によって発生します。つまり均一に近い条件の空気塊そのものが上昇して行くことにより、広い高度範囲に渡って均質な雲が発生するものです。ですから、前述の、竜巻状の雲の発生メカニズムとされるものとは根本的に異なる、ごく普通の気象現象です。

いずれにしても、雲の発生メカニズム以前に、存在するとされていた雲自体が存在し得ないのですから、取りこし苦労の類です。繰り返しますが、いかなるメカニズムがあろうと、広い高度範囲に渡って、上昇気流以外の理由で均質な雲、それも細長い竜巻状の雲が出来ることは、「絶対にありません」。

こんな風に書くと、「科学は万能ではない」とか「未知の事実があるかも」とか言われる方もあるでしょう。まあ、それについては確実な反論はできませんね。しかしそのような考えに走る前に、まず徹底的に科学的に調べ、考える事をお勧めします。 こう言ってはなんですが、素人が広範囲の調査もせずにわかるレベルで地震の前兆が認知できるなら、とうの昔に理論が確立されているはずですし。

とにかく、科学は「~だろう」、「~に違いない」、「~と聞いた」で進む事を否定します。ある仮説は実験と理論で証明されることのみで、科学的事実として認定されるのです。

地震雲編は、次回で最終回です。

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【つづく】

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