地震関連情報1/27
本日1月27日、午前10時09分頃、三陸沖を震源とするマグニチュード4.8の地震が発生し、最大震度2を記録しました。震源の深さは10kmです。
規模的には大したことのない地震ですが、特筆すべき特徴があります。この地震は、東日本大震災本震震源の東側、つまり陸地からみて沖側で発生した「アウターライズ地震」だと思われるのです。アウターライズとは、海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込む部分(沈みこみ帯)の沖側に当たる、地殻の盛り上がり部分のことです(下図参照)
大規模な「プレート境界型地震」が発生すると、それまで固着していたプレート接触面がはがれて抵抗が減ります。そのため海洋プレート(この場合は太平洋プレート)が大陸プレート(同、北アメリカプレート)の下に潜り込む速度が上がり、アウターライズ部分に引っ張りの力がかかります。その引っ張り力によって起こる正断層型地震が、「アウターライズ地震」です。
この地震は、陸地から遠い沖で起きるために陸地の揺れはあまり大きくならないのですが、深さ10km程度の浅い部分で起こるために海底の変形を伴いやすく、規模の割りには大きな津波を発生させることがあります。揺れがあまり大きくないのに大規模な津波が発生する、いわゆる「津波地震」の正体です。場合によっては、陸地の震度が4くらいでも、10メートルクラスの津波が発生する可能性もある、恐ろしい地震なのです。
震災本震以降、常にこの「アウターライズ地震」の危険が指摘されてきており、実際に小規模のものは何度か発生していますが、津波を発生させるほどの規模はありませんでした。
実は3月11日の震災本震直後、膨大な数の余震が発生している最中に、マグニチュード7以上の「アウターライズ地震」も発生していたことが、後の調査でわかっています。津波も発生していたと思われますが、本震震源域からも多数の津波が発生していた状況であり、特にそれらと区別することはできませんでした。
その後は前述の通り、津波を発生させるような規模の「アウターライズ地震」は発生しておらず、地殻変動も次第に落ち着いて来ている状況のなかで、発生する確率自体は下がって来ていると思われます。しかし小規模ながらもいまだに発生していることからしても、その危険が完全に去ったとは言えません。
繰り返しますが、「アウターライズ地震」は、陸地の震度が4程度でも、最大10メートル規模の津波を発生させることがあります。仮に3メートル程度の津波だとしても、地盤沈下したり、防波堤が破壊されている被災地にとっては、震災前とは比較にならない危険度です。
津波被災地で復興のために頑張っている皆様、陸地の揺れが小さかったからと言って、大津波が来ないとは決して言い切れないということを、改めて思い出していただきたいと思います。
ひとつだけ「良い」情報があります。「アウターライズ地震」は、震災本震の震源域より沖側で発生しますので、本震震源域で発生した津波より、陸地に到達する時間が長くなります。しかし、当然ながら地震発生直後にはその地震のタイプまではわかりませんから、沿岸部で比較的強い揺れを感じたら、すぐに避難体制を取るべきなのは変わりありません。
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