家の中の地震対策【8】
今回は、家具の固定実践編です。これはもちろん管理人の場合の一例であり、すべての場合に最も有効だとは言い切れません。家具固定における一般的な問題を解決する、ひとつの現実的な方法としてご覧ください。
前回記事のように、一般的な家具固定具である突っ張り棒や固定ベルトは、その効果を発揮仕切れない場合も多いということがわかります。そこで、その他にはどんな方法があるかを考えました。
その結果たどり着いたのが、これ。
粘着式のアンカー「ガムロック」です。ジェルタイプの粘着材で家具と壁を繋ぎ、暴れを押さえるものです。家具が転倒するのは、壁と家具が異なる周期で揺れることにより、家具の上部が壁から離れる動きが大きくなるからです。このアンカーはその動きを押さえるもので、実験によれば震度7クラスでも転倒を防いでいます。メリットとしては、家具にボルトを打って傷をつける必要が無いということと、手順に従えば何度もつけ直しができることです。
問題としては、これは器具自体の問題では無いのですが、最近の家屋では多くの場合壁がクロス張りのため、脱着の際にクロスがはがれることが多いということでしょうか。むしろ事情が許すならばクロスをはいで、壁材に直接貼る方が効果的ではあります。
「ガムロック」の場合、激しい振動の衝撃が加わった際に、粘着部がクロスごとはがれてしまう可能性も考えられますので、他の器具と併用するとより安心です。組み合わせの一例として、このタイプが手軽でお勧めです。
家具の前面下部に挟む、クサビ型の振動抑制器具です。家具をわずかに後ろに傾けて、上部が暴れる動きを小さくするもので、これだけでもかなりの転倒防止効果がありますので、アンカーやベルトと併用すればかなり安全と言えます。ポイントは、クサビを入れてから粘着アンカーをつけるということ。逆だと、クサビを十分奥まで入れられなくなるので、効果が減ってしまいます。
クサビ型には、下画像のようなテープタイプもあります。
家具の重量を受ける面積が大きいので、こちらの方がより効果的ではないかと考えられます。床がコンクリートやフローリングなど固いものなら効果は最大ですが、畳やカーペットなど柔らかい場合は、家具とクサビの下に丈夫な板を入れてしっかりと踏ん張れるようにすると、振動抑制効果がアップします。
見栄えを気にしなければ、新聞紙を固く折り畳んで家具の前面下部に挟み込み、7~10ミリほど持ち上がるようにするだけで、かなり近い効果があります。これが一番手軽な転倒対策でしょう。
クサビ型はほとんどの家具に装着可能で、なにより安価ですから、まずこれから取り付けて、可能ならばその他の器具を併用するという方法を、管理人はお勧めしたいと思います。複数の器具を併せることで効果をアップさせることができますし、ひとつがダメでも次の方法を用意しておくという、フェイルセイフ(予防安全)の発想でもあります。
非常に激しい地震で、最終的に転倒を防ぎ切れなかったとしても、器具を正しく装着していれば転倒するまでの時間がかなり長くなることは確実です。その間に家具の前から逃げることができれば、それで「成功」なのです。
次回は、家具に関するその他の対策です。
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