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2012年2月27日 (月)

【シミュレーション解説編】地震・帰宅困難【1】

長文の本文をお読みいただき、ありがとうございました。

このストーリーを読まれて、大袈裟だと思われた方は多いと思います。 でも、現実に起こりうることなのです。正直言うと、これでも想定を甘くしています。 綾乃が生き残るためにはどうするべきだったのか、ひとつひとつ解説して行きたいと思います。

まず、綾乃は真治に連絡しようとして、固定電話、携帯電話、メールが不通だった段階で、それ以上の手段を考えませんでした。しかし、災害伝言ダイヤル、災害伝言板、各種SNS、ツイッター、スカイプなどの通信手段は、まだ生きているかもしれません。家族や大切な人とは、できるだけ多くの手段で連絡ができるように、普段から打ち合わせておくべきです。もしなんらかの方法で真治の安否がわかれば、そもそも綾乃は急いで帰宅する必要さえ無かったのです。

連絡が完全に途絶しても、大災害時にはお互いにどのような行動をするかを打ち合わせておけば、それだけでも安心感が違います。災害直後の街を移動することは、後で述べるように非常に大きな危険を伴うので、状況が落ち着くまで、もしくは何らかの通信手段が復旧するまで、安全な場所で待機すべきなのです。

流入人口が多い大都市では、主要な道路はラッシュ時の駅のような混雑になります。思うように進むことも、ましてや流れに逆らって戻ることなどさらに困難です。商店の品物はすぐに売り切れ、断水でトイレも使えません。このストーリーの想定は12月の寒い夜ですが、そんな中を、電車通勤に合わせた防寒装備とハイヒールなどで歩き出すことは、あまりにも危険な行動です。何十キロに渡る長距離徒歩帰宅を想定するならば、歩きやすい靴と、特に冬場は予備の防寒装備、必要量に足りる水と食料を用意していないと、安全に歩き通すのは非常に困難です。

このストーリーでは、綾乃は余震による落下物を、間一髪で避けることが出来ました。しかし実際には、余震による落下物や建物の倒壊で、さらに大きな被害が出る可能性があります。そうでなくても、大きな余震が来たら、群衆はパニックを起こし、それだけでも大きな人的被害は免れないでしょう。少しでも怪我をししてしまったら、すぐに治療が受けられる可能性はほとんど無いと考えねばなりません。

発災が冬ならは、屋外ではどんどん体温を奪われます。そして食料も水も無く、カロリーを補給できない状況では、空腹感と疲労感が強くなります。綾乃は、早く帰宅したい一心で、休憩も取らずに何時間も歩き続けてしまいますが、これは疲労を倍加させてしまう行動です。

疲労が少ない歩き方の一例として、55分歩いて5分休み、それを3~4回繰り返した後に、30~40分の休憩を入れるサイクルを繰り返すという方法があります。休憩中には靴を脱ぎ、足の裏を良くマッサージすると、疲労感軽減に効果的です。しかしそれ以前に、パンプスなどでは、足を痛めることは避けられません。綾乃はとりあえず、数キロを歩いて都県境の橋までたどり着けますが、そこまで歩きつかないことも、十分に考えられます。

歩いている最中にも、電話やネット接続がダウンしている中で、トランジスタラジオが無いので道路情報がわかりませんでした。もしなんらかの情報機器があれば、大きな橋の崩落などは、ある程度事前に把握できたでしょう。

身体が冷え切って体温が下がってくると、低体温症の初期症状が現われます。低体温症は、水分やカロリーの補給が無いと、加速度的に悪化します。具体的な症状は、身体の防衛反応によって、脳や身体幹の主要な臓器に血流が集中し、手足など末端への血流が少なくなるのです。そのため運動能力が次第に失われ、手足先を意識的に動かして血流を確保しないと、最後には動けなくなります。

綾乃はなんとか河川敷まで下りることができましたが、安心感から身体の力が抜け、座り込んでしまいます。その際に身体が温かく感じていますが、これは低体温症が危険な状態になっている証拠です。もしあのまま意識を失っていたとしても、凍死する可能性が非常に大きかったでしょう。これは若い人でも十分に起こりうることで、子供や年配者ならなおさらです。

ちなみに、約37℃程度の体温が2℃下がるだけで、低体温症で生命が危険に晒されます。

長くなりましたので、次回に続きます。


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