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2012年2月14日 (火)

家の中の地震対策【2】

のっけからなんですが、ひとつお詫びをさせてください。前回記事の最後に、今回は耐震補強が難しい建物の地震対策と書いたのですが、その前に、ひとつ触れておきたい事実がありますので、急遽内容を差し替えます。申し訳ありません。今回は、これから一人暮らしをする、または既にしている若い方と、そのような方のご家族に、特に気にかけていただきたい内容です。

1995年の阪神・淡路大震災において、犠牲者の年齢層に特異な傾向が見られました。犠牲者数を縦軸に、年齢を横軸にとってグラフ化すると、基本的には年齢が上がるほど、右肩上がりのグラフになります。そのピークは60~70代で、80代以降になるとその層の人口自体が減るので、犠牲者数も減って行きます。

年齢が上がると犠牲者数が増えたのは、高齢者ほど耐震強度の低い家に住んでいた割合が高いこと、とっさに危険を避ける能力が低いこと、建物に閉じ込められた場合、水分不足、寒さなどに若い人ほど耐久力が無かったことなどが考えられ、ある意味では「想定の範囲内」という傾向です。

しかしグラフには、それまで誰も想定していなかった傾向が現れました。20~25歳代の犠牲者数が不自然に突出しており、当初はその理由がわからなかったのです。運動能力が高いはずの若い人たちが、なぜ数多く犠牲になったのでしょうか。

その後の調査で、その層の犠牲者の多くに、ある共通点が見いだされました。それは「地元神戸の人ではない」ということでした。その層の犠牲者の多くが、神戸市内へ通学したり、仕事をするために市外から移り住んで来た、ひとり暮らしの層だったのです。

では、なぜその層に犠牲が集中したのでしょうか。実はその理由が、建物の耐震強度だったのです。収入が多くない若年層は、家賃が安い、耐震強度が低いアパートなどに住んでいることが多く、それらが軒並み倒壊したために、逃げる間もなく犠牲になったということがわかりました。

地震の発生が皆が家を空ける時間帯だったら、また違った結果になっていたでしょう、でも午前5時46分という早朝の発生が、思わぬ事実を浮かび上がらせたのです。


住む部屋を選ぶとき、普通は家賃、間取り、交通、周辺の施設などを気にします。あちこち引越しをしてきた管理人も、昔はそうでした。しかしそこに「防災の目」が抜け落ちていたことが、若い命を無駄に散らす結果となってしまったのです。

このような悲劇を繰り返さないためにできる事は、だだひとつです。新しい場所に移り住む際は、街や物件を選ぶ際に、「防災の目」を加えることしかありません。家賃や便利さだけでに捉われず、最初に建物の耐震強度を確認するくらいの慎重さが必要なのです。これからお子さんを一人暮らしに送り出す親御さんも、このことは意識しておいてください。お子さんの安全のためには、費用の奮発が必要なこともありますし、なにより親御さんが正しい知識を持ち、お子さんの新居選びには、積極的に関わることをお勧めします。

もちろん「防災の目」は、ひとり暮らしをする人に限らず、新しい場所へ移り住むときには、常に見開いていないといけません。ではその「防災の目」は、建物の耐震強度以外にはどこへ向けるべきか。それを次回のテーマにしたいと思います。

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