家の中の地震対策【4】
今回は、新居選びの際に、現地でチェックすべきポイントです。でもこれは引越しをする方だけでなく、現在お住いや仕事をしている場所をチェックする「防災の目」でもありますので、皆様が参考にしていただきたと思います。
まず建物の周辺の様子から見てみましょう。あとで利用しやすくするために、箇条書き+解説という形にします。
■建物から表通りに出るまでの経路
複数の経路があるか、その途中に倒壊しそうな旧い建物、瓦屋根、倒れそうな壁、石灯籠、鳥居、石垣など、崩れて道を塞ぎそうなものは無いか。電柱も旧いものは折れたりして、上に乗っている変圧器が落ちてくることもある。
■周辺の様子
倒壊や火災の延焼危険が大きい旧い木造家屋密集地ではないか。細い道が入り組んではいないか。大地震が起きると、同時多発的に火災が発生し、倒壊家屋からの出火は、初期消火が困難。しかも素早い消防の対応は事実上期待できない。炎に囲まれる前に脱出しなければならない。豪雨で水が出そうな低地ではないか。都市部では、一見平坦に見える場所でも、ごくわずかな高低差によって水没しやすい場所もある。これは地元の人に聞くのが一番だ。
■避難場所までの経路
崩れそうな崖、盛土や土手は無いか、倒れて道路の障害になりそうな建物や壁などは無いか、落ちてきそうな看板類、ビルの外装材、割れて飛び散りそうなガラス窓は無いか。水が溜まりそうな低地、大雨や津波で氾濫しそうな河川は無いか。都市に降る豪雨はアスファルトの上を高速で流れ、短時間で低地の浸水や小河川の氾濫を招く。津波は川を何キロもさかのぼる。東日本大震災では河口から約6キロまで遡上し、氾濫した。さらに上流までさかのぼる可能性もある。海沿いの場合は津波避難場所を複数確認し、そこまでの経路も確かめておこう。
■その他の危険
周囲に爆発や大火災、有害物質の放出などを起しそうな工場などは無いか。ガスタンクや石油類のタンクは無いか。周辺道路は、災害時に渋滞しそうか。交通事故が多い場所では無いか。
このようなことが、「防災の目」です。さらに、「防犯の目」を加えると、見るポイントも変わります。
■見通し
建物は表通りから見通しが良いか、暗い死角はないか、周辺には街灯があるか。暗くて死角の多い建物は、侵入盗犯を呼び寄せる。
■周辺環境
周辺にはゴミが散乱していたり、落書きが多かったり、空き家が多かったりしないか。ゴミ出しのルールは守られているか。ゴミの放置は、放火犯を呼び寄せる。ルールが守られていない街は、住人に問題が多かったり、自治会組織などが機能していない可能性もある。
■交通量
周辺の人通り、車通りはどうか。平日と休日、昼間と夜間で全く表情を変える街も少なくない。できれば違う時間帯に何度かチェックしたい。人通りの少ない道は、ひったくりや痴漢を呼び寄せる。
このように「防災(防犯)の目」で、実地でチェックすべきです。もちろん上記のようなことがあったらダメだということでは無く、そこに存在する危険を正確に認識し、それが許容できることかどうかを判断する材料とするわけです。何か起きてから「そんなこと知らなかった」と言っても後の祭。自分の安全は、自分で守るという意識で望まなければなりません。
次回は本来のテーマ、「家の中の地震対策」に戻ります。
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