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2012年2月 6日 (月)

普段持ち歩く防災グッズ【6】

今回は「防水・防寒」について考えます。

管理人は、このブログをはじめ本館のmixiコミュニティでも何度も指摘している通り、一般的な防災指導において、この部分が欠落していたり、不十分なケースが非常に多いと感じています。

寒い季節に起きた東日本大震災以降、被災者の声を反映してか、それでもかなり変わってきたのを感じてはいますが、まだまだ不十分です。この問題、すなわち体温の維持は水分、カロリーと並んで、人間が生きるための根幹となる要素であり、もっと重視されなければならない部分なのです。


寒い季節、外出時には基本的には暖かい服装をしています。しかし一旦被災し、屋外や暖房が無い場所で長時間過ごすことになると、寒さはあちこちから忍び込み、生命を脅かします。それを防ぐために、持ち歩ける最低限の装備で最大の保温をしなければなりません。そのために効果的なグッズはどんなものでしょうか。

まず、体温を失う最大の要因は、身体や服が濡れることです。水分が体温によって蒸発するときに気化熱を奪い、体温を奪います。それを補うために、人体はカロリーを消費して熱を発生させます。つまり、寒いとそれだけカロリーを無駄遣いして、行動するための体力が奪われるのです。

もし水に落ちたりして服がずぶ濡れになったら、寒いのをこらえて一旦服を脱ぎ、水分をできるだけ絞ってから再び着ます。服に含まれる水分が多いほど蒸発が続き、体温を奪い続けるからです。カロリーが十分に摂取できない非常時には、著しく体力を消耗してしまいます。


ここで体温の低下、つまり「低体温症」のメカニズムを確認しておきましょう。

寒いときに身体が震えるのは、人体の生命維持機能によるもので、筋肉を強制的に動かすことで熱を発生させ、体温を上げるための反応です。それでも体温が低下すると、人体は生命を守るために体幹、つまり主要臓器に血流を集中させ、手足などの末端への血流を少なくします。生命維持に必要の無い部分を切り捨てることによって、エネルギーを効率良く使い始めるのです。手足先がかじかんだり感覚が無くなって来るのは、その初期症状です。「低体温症」になりつつあるのです。

そのような場合には、軽い体操をしたり、特に手足の筋肉を意識して動かして熱を発生させるのと同時に、脳に向かって「こちらにも血液を送れ」という信号を送ってやらないとさらに血流は少なくなり、動くことができなくなります。寒さが厳しい場合には、血流が止まった手足先などから凍傷になります。そしてさらに体温が低下すると、主要臓器も体温が維持できなくなり、「低体温症」による死亡、つまり凍死につながるのです。

これは決して厳寒地だけの話ではなく、水分やカロリーが不足している状況では、どこでも十分に起こりうることなのです。特に体が小さい子供、代謝機能が低いお年寄り、身体が弱っている人にとっては危急の問題です。なお、冷たい水に落ちた時に溺れやすいのは、体温の急激な低下によって急性的に「低体温症」の状態になり、手足が動かなくなるからです。

東日本大震災においても、地震や津波から避難できても、雪の舞う屋外や暖房の無い避難所で、少なくない命が「低体温症」で喪われています。せっかく災害の第一撃から生き残った命を喪わないために、そこまで行かなくても、避難行動力を維持し、さらなる危機に陥らないためにも、非常時の防水・防寒をもっと重視しなければなりません。

次回は、体温を維持するために役立つ「防水・防寒」グッズを、具体的に考えます。

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