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2012年2月29日 (水)

家の中の地震対策【11】

今回は、火災対策の続きです。

阪神・淡路大震災では、午前5時46分という早朝の発災だったにも関わらず、発災から15分以内、事実上は地震の発生とほぼ同時に、46件の火災が発生しました。そして、その大半は倒壊した家屋からでした。その時、何が起きたのでしょうか。

冬の朝6時前で、まだ真っ暗です。でも既に動き始めている人も大勢いました。ストーブなどがつけられ、朝食の準備で火も使われていたでしょう。そんな状態で家が倒壊し、火災になったケースが一番多いと思われます。倒壊にまで至らなくても、石油ストーブの上にタンスが倒れ掛かったりすることで、火災に発展したケースも考えられます。でも、それだけではありませんでした。火災発生原因のかなり多くの割合が、「電気火災」で占められていることがわかっているのです。

これは家の倒壊によって、電気の引込み線が引きちぎられ、分電盤が破壊され、電気器具が押しつぶされたりすることで発生した電気火花が、倒壊した家に火を放ったケースです。このような火災は、一旦家が倒壊してしまうと、どんな対策をしていても完全に防ぐことは困難です。

つまり火を使っている時の地震や、地震による電気設備の損傷を原因とする火災を防ぐ最良の方法は、圧死や窒息死による犠牲者を減らす最良の方法と同じく、「建物の耐震強度アップ」だということなのです。当ブログとしても、「建物の耐震強度アップ」、つまり家を潰さない、そして家具類を倒さないことが、家の中で最も優先されるべき地震火災対策であることを、強く主張します。


では次に、家が倒壊しないで済んだ場合の火災原因について考えます。その場合はやはり、台所や石油ストーブからの出火が多くを占めることになります。前回記事で述べたとおり、現在は火を使っている最中に強い地震を感じた場合は、なにがなんでも火を消すことより、まず自身の安全を優先するということが常識になっています。これは器具の安全性がかなり向上していることによるものですが、それでも、例えば天ぷら調理中ならば油に火が入ったり、転倒したストーブが自動消火しても、余熱で周囲の可燃物に着火したりすることも考えられます。それに強い地震では、撒き散らされた油に火がつく可能性も非常に高いのは言うまでもありません。

そんな場合には、とにかく最短時間で「初期消火」をしなければなりません。しかし多くの場合、水は使えません。断水しているからとかではなく、「水をかけてはいけない」のです。台所の出火原因のトップが、天ぷらやフライ調理中の油火災です。居室内ではファンヒータータイプでは無い、いわゆる「石油ストーブ」の転倒による出火が高い割合を占めます。どちらも、油火災です。

油火災に水をかけると、高温で水が一瞬で沸騰して水蒸気爆発を起こし、火のついた油を爆発的に周囲に撒き散らします。天ぷら油鍋にそれをやると、一瞬で初期消火不能レベルの火災に拡大してしまいます。当然、火のついた高温の油をかぶる危険も非常に大きくなります。

何故か昔から、油に火がついたら青菜を入れる、中性洗剤を入れる、マヨネーズを入れるとか、全く根拠が無いか、多少根拠があっても実際にやるのは全く不可能という「迷信」がはびこっていますが、そんなものは全く意味が無いか、危険極まりない行為に過ぎません。忘れてください。ちなみに、青菜は意味が無いどころか、水分が水蒸気爆発を起こして、水をかけたのと同じようなことになります。

それ以前に、燃え盛る天ぷら油やストーブに、実際に近づいたことのある人はいますか?それだけで危険極まりないというのに、地震直後や、目の前で大きな火が上がっているという、とても動転しているときにそんなことが出来ると考えること自体がナンセンスです。まさに机上の空論です。同様の理由で、燃える鍋などの上からかけて酸素を遮断して消火するという防火クロスも、理論上の効果はともかく、実際に火に近づかなければならないという理由だけで、管理人は全くお勧めしません。あれなど、一度失敗したらやりなおしは効きませんし、鍋を倒して煮えたぎる油をぶちまける可能性もあります。管理人は、実験でやれといわれてもイヤですね。それにもちろん、鍋がひっくり返っていたらお手上げです。

ではどうするか。ところで、火が燃えるということには、三つの要素があります。それは酸素、可燃物、温度です。これらのいずれかを取り除けば、火は消えます。そしてそれを消火者が安全な距離から行えるものは何かというと、消火器しかありません。マンションの廊下には大抵備えられていますし、街角のあちこちに備えている自治体もありますね。でも、それを取りに行く時間は、ほとんど無いのです。

初期消火が可能なレベルは、火が天井に達するまでです。天井板が燃え始めたり、カーテンに着火して天井に火が届くようなレベルになると、大型の消火器でも消火はかなり困難なのです。なんとしてもその前に、火を制圧しなければなりません。家の中に、あの赤い大きな消火器が置いておければ理想的ですが、なかなか現実的ではありませんね。

その場合頼りになる、ほとんど唯一の防災グッズが、これです。
Photo
エアゾール式の消火器です。これは一本で約20秒間ほど消火薬剤を噴射できますが、大型消火器ほどの効果はありませんので、これを「必ず複数」、火を使う場所に置いておくことです。

もし一本で消しきれなかったらそれでお手上げでは困りますから、必ず複数です。これで火を制圧している間に別の人が大型の消火器を取りに行ったり、断水していなければマンションの消火栓からホースを引いたり、119番通報したりすることもできます。一人ではそれもできませんので、しつこいですが、「必ず複数」です。ホームセンターで1本700円程度で販売されていますので、あまり負担にもなりません。

なお、消火器の中には通電中の電気火災に対応していないものもあります。液状の薬剤を噴射するものは、感電の危険があるからです。最近の消火器はほとんど電気火災にも対応しているはずですが、念のため確認してから購入してください。どんな火災に対応するかは、必ず本体に表示してあります。

ちなみに、消火器とは前述の「燃焼の三要素」のうち、可燃物を消火薬剤で覆って酸素を遮断し、同時に冷却して温度を発火点以下に下げるという効果で火を消すものです。そのためには火点に接近して、薬剤を火点に直接かけてやらなければならないのですが、倒壊家屋の場合はそれがほとんど不可能なため、初期消火が困難なわけです。

長くなりましたので、火災編は次回も続きます。なお、管理人は「防火管理者」資格を持っております。


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