地震関連情報3/27
本日午後8時00分ごろ、岩手県沖、深さ10kmを震源とするマグニチュード6.4の地震が発生し、宮古市などで最大震度5弱を記録しました。
この地震は、東日本大震災本震の余震と考えられます。震央の位置は、2011年3月11日の午後3時8分、つまり本震の22分後に発生した、マグニチュード7.4の余震とほぼ同じです。
2分後の午後8時02分ごろには、この地震の余震と思われるマグニチュード5.1の地震がほぼ同じ場所で発生し、栗原市などで最大震度4を記録しました。
マグニチュード9.0という人類観測史上4番目の規模で、南北500km近くに及ぶ震源域で発生した超巨大地震である東日本大震災の影響は、地質学的な時間軸で見れば、まだ始まったばかりです。とりあえず発生直後の激烈な地殻変動は収束しつつあり、余震の発生回数が少し減り始めた段階に過ぎません。そして地殻変動自体は今後20~30年に渡って続きますので、まだまだ安心できる段階では決してありません。
その一方で、震災による大規模な地殻変動に誘発される地震が、東日本を中心として日本列島のどこで起きてもおかしくない状況です。今後当分の間、場所によっては最大でマグニチュード8クラス、多くの場所でマグニチュード7クラスの余震または誘発地震が発生する可能性があります。
なおマグニチュード値が1減ると放出されるエネルギーは約30分の一、2減ると約1000分の一になりますので、マグニチュード8でも震災本震よりはるかに小さく、7になれば別物と呼べるくらいの小さな規模です。しかし内陸直下や陸地近くで発生した場合、東日本大震災本震よりも大きな地震被害を発生させることもあります。阪神・淡路大震災はマグニチュード7.3でしたが、内陸直下の浅い場所で発生したために、あのような甚大な被害を発生させました。
東日本大震災でも栗原市で阪神・淡路大震災と同じ震度7を記録していますが、建物の倒壊はあまり発生していません。これは、震源との距離、震源域の広さが「内陸直下型」である阪神・淡路大震災とは異なっているため、揺れ方が大きく違っていたからです。
阪神・淡路大震災では周期1~2秒という浅い内陸直下地震特有の短周期の速い揺れ、通称「キラーパルス」という揺れが発生し、それが建造物に強い共振現象を発生させて、大きな破壊力をもたらしました。東日本大震災では、それよりも短い周期と長い周期の揺れの成分が多かったために、建物に対して大きな破壊力を及ぼさなかったのです。
一般に、地震は震源からの距離が遠くなり、震源域が広くなるほど、揺れの周期が長くなります。東日本大震災は多数の地震が短時間のうちに集中的に起きたため、短周期から長周期までの様々な揺れの成分が混ざっていましたが、「キラーパルス」が強く発生しなかったために、建物被害が非常に少なくて済んだという面があります。
一部に、「震度7」という尺度だけで阪神・淡路大震災と東日本大震災を比較し、東日本大震災での地震被害があまり多くなかったことを指摘して、誇大発表だの事実が歪曲されているのだの、しまいには陰謀が行われているだのというくだらない主張をする輩がおりますが、科学的には何も不思議なことではありません。
「震度」とはあくまで主観的な揺れの目安に過ぎず、震度が同じなら必ず同程度の被害が出るというものではありません。震源の位置などによって、揺れ方は大きく変わり、地上への影響も様々なのです。一番恐るべきは阪神・淡路大震災のような「内陸直下型」地震であり、少し前に「4年以内に70%」で騒ぎになった首都圏内陸地震とは、それと同じようなことが関東で起こるかもしれないということで、非常に危惧されてるわけです。
余談が長くなりましたが、東日本大震災の影響は「現在進行形」の真っ只中であることを、決して忘れないでください。
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