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2012年3月22日 (木)

家に備える防災グッズ【21】

今回は、「防災グッズ」に関してではないのですが、災害救護の際に、絶対に知っておかなければならないことについてです。

あなたは、倒壊した建物に生き埋めになった人を助け出しました。要救護者は長い時間手足を挟まれていたものの、意識ははっきりとしていて元気そうです。

挟まれていた部分に麻痺がある他は大きな外傷も無かったので、安全な場所で休ませておくことにしました。ところがしばらくすると意識が混濁しはじめ、そのまま心臓が止まり、死亡してしまいました。

何が起きたかおわかりでしょうか。これが「クラッシュ症候群」(=クラッシュシンドローム、挫滅症候群)です。阪神・淡路大震災では372人が「クラッシュ症候群」と診断され、そのうち50人以上が死亡しています。しかしこれは医療機関で診断された数に過ぎませんので、実際にははるかに多くの人が助け出された後に発症し、死亡した例も多数あったはずです。

この恐るべき「クラッシュ症候群」とは、どのようなものなのでしょうか。

人体、特に手足に長時間に渡って血流が止まるような強い圧迫が加わると、その部分の細胞が破壊されて壊死します。その状態ではすぐに危険では無いのですが、救出されて圧迫が取り除かれると、破壊された細胞に体内の水分が吸収されてしまい、極度の脱水状態から急性腎不全を発症します。

さらに破壊された細胞からカリウム、ミオグロビンなどが回復した血流によって全身に拡散します。すると高濃度のカリウムが、急性的に心室細動から心停止を引き起こすのです(高カリウム血症)。

このように、長時間に渡って生き埋めなどで圧迫を受けていた人が、せっかく救出された後に重篤な状態になったり、死亡する例が多発しました。しかしその教訓は、あまり一般的になっているとは言えません。助け出された命をむざむざ亡くさないために、この「クラッシュ症候群」については、是非覚えておいてください。

では「クラッシュ症候群」を疑わなければならないのは、どんな場合でしょうか。

ひとつの目安として「2時間以上、特に手足に強い圧迫を受けていて、圧迫された部分やその先に麻痺がある」場合です。麻痺とは、感覚が無い、自分の意志で動かせないというような状態です。

圧迫を受けている最中は、意識混濁などの症状が出ないのが普通なので、意識が清明で元気そうだからと安心してはいけません。問題は、圧迫が取り除かれた後なのです。

なお、血中に拡散したミオグロビンにより、赤ワインのような色の尿(いわゆる血尿)が出たら間違い無いのですが、極度の脱水状態になっていて尿自体が出ないことも多いため、これは参考程度と考えてください。

「クラッシュ症候群」が疑われる要救護者への対処方法は、次回へ続きます。


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