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2012年3月 2日 (金)

家に備える防災グッズ【12】

今回から、「衛生」編です。

被災後の不自由な生活の中で衛生状態をできるだけ良好に保ち、健康を維持するために備えるべきグッズについて考えます。

災害時に最も問題となるのは、断水下では「水が無い」ということです。仮に飲むための水が確保できても、手洗い、洗顔、風呂、トイレ、洗濯などの「雑用水」までは、水道が完全復旧するまではなかなかまかなえません。その状態に対処できなければ、細菌、ウイルス等の感染症の危険があります。特に大人数が集まる避難所生活では疲労、睡眠不足、栄養不良、ストレスで免疫力が低下しがちで、風邪、インフルエンザ、ノロウイルス、ロタウイルス等の感染危険性が高まります。

風邪やインフルエンザの危険はもちろんですが、下痢になると身体の水分を大量に失い、飲み水が十分で無い状況では、生命の危険さえ伴います。特に老人や赤ちゃんにとっては危険極まりない状態です。それ以前に、水が流せないトイレに何度も行かなければならないだけでも、想像以上のストレスになりますし、トイレ用備蓄資材の無駄遣いにもなります。

避難生活初期には体調を崩しても十分な治療を受けられない可能性が高いので、何より予防措置が最も重要であり、そのための備蓄もしておかなければなりません。この「衛生」というジャンルは、「防水・防寒」と並んでどうも軽視されがちな部分ですので、当ブログとしては特に重視して行きたいと思います。

まず、衛生グッズとして最も基本的なものが、マスクです。一般的な不織布のマスクでももちろん感染防止効果はありますが、できれば抗ウイルスタイプの方がより効果的なのはもちろんです。
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一枚10~15円程度とコストは上がりますが、一般用と合わせて、ある程度の数は用意しておきたいものです。薬局、ドラッグストアで入手できない場合は、「抗ウイルスマスク」で検索すれば、通販サイトがヒットします。

濃密な粉塵の中での移動や作業には、さらに防護力の高いマスクが欲しくなります。東日本大震災の津波被災地では、濃密な粉塵を吸ったために、肺に障害が出る被災者やボランティアが続出しました。下記は、そんな状況に対応した管理人の備蓄です。
Photo
左は粉塵内での作業に対応した、カップ型マスクです。中央はフィルター交換式の防塵マスクで、フィルターの種類によって防護性能を調整できます。右は、放射性物質防護にも対応できるフィルターマスクです。管理人は、これを福島の某区域で実際に使いました。どれも大きめのホームセンターで普通に入手できるものですので、用途に合わせて選んでみてください。

過去のSARS騒動の時に話題になったN95規格のフィルターマスクは、防護力が強力なだけに息苦しく、作業や移動時用としては、管理人としてはあまりお勧めしません。上画像にあるDS-1規格のものは、マスクをしたまま数時間にわたって移動や中程度の負荷の作業をしましたが、特に苦痛は感じませんでした。

なお、どんなに高性能のマスクでも、顔に密着していなければその能力を最大限に発揮できません。特にフィルターマスクをウイルス、放射性物質防護のために使う場合には、男性はヒゲを良く剃っていないと、密着性が損なわれますので注意してください。不安な場合には、隙間をテープ類や絆創膏でシールするのも有効です。

なお、ウイルス防護用として使用したマスクや、規格で定められた使用時間を経過したフィルターマスク(DS-1規格で12時間)は、再利用しないのが原則です。廃棄する場合は、ビニール袋、レジ袋などで密封してください。放射性物質防護用として使用したものでも、一般人が入れるような場所で使用したレベルのものならば、焼却しても事実上全く問題ありません。

次回は、身体の衛生について考えます。



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