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2012年3月10日 (土)

【レポート】首都圏震度7の可能性について【2】

【1】から続きます。

関東の地下構造模式図を、再掲載します。
Mini
1は、内陸の浅い地震、2は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界で起きる地震。マグニチュード8クラスの「関東大震災」や「元禄関東地震」はこの部分で発生しています(■注1)。プレート境界型地震は、その他のタイプに比べて規模が大きくなる傾向があります。3は、フィリピン海プレート内で発生する地震(スラブ内地震)、4は、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で起きる地震、5は、太平洋プレート内で発生する地震(スラブ内地震)です。

このうち、2のユーラシアプレートとフィリピン海プレート境界での発生は除外して、過去100年ほどの間に関東で5回発生しているマグニチュード7クラスがどの部分で発生していたのかを、今プロジェクトで推定しました。

長くなりますのでそれぞれの詳細は割愛しますが、そのうち4回は、プレート内で発生したスラブ内地震と推定されましたが、その中で1894年に発生して東京に大きな被害をもたらした、マグニチュード7クラスの「明治東京地震」は、4のフィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で発生した可能性があることがわかりました。プレート境界で起きる地震は、他のタイプに比べて規模が大きくなる傾向がありますので、特に4のフィリピン海プレートと太平洋プレートの接触面で地震が発生するケースが、首都圏にとって最も危険なシナリオということになります。

従来、中央防災会議の想定においては、「明治東京地震」と同様の地震が発生した場合、関東南部の地表の揺れが、最大で「震度6強」と推定し、それを基礎とした被害想定及び災害対策を進めて来ました。では、今回なぜ「震度7」の可能性に言及されたのでしょうか。実は、今プロジェクトの詳細な調査によって、関東の地下構造に新たな事実がわかったのです。

今プロジェクトでは、南関東各地296ヶ所に地震計を設置し、首都圏地震観測網(MeSO-net 、メソネット)を構築しました。多数の地震計で地震波を詳細に観測することにより、地下構造を「CTスキャナーで見るような」断面映像として捉えることができるシステムです。

その解析によると、フィリピン海プレート(上図の緑色の部分)が、東京中心部直下では、従来考えられていたよりも10km浅く、東京湾下では5km浅いことがわかったのです。その前提でシミュレートすると、例えば東京湾北部直下のフィリピン海プレート内及びプレート境界面を震源とする地震が発生した場合、地表の揺れは従来想定されていた「震度6強」ではなく、「震度7」となる可能性が出てきた、というのが今回の発表です。震源の水平位置が同じで、マグニチュード値が同じ地震でも、震源深さが10kmも浅くなれば、地表の揺れは当然大きくなるわけです。

しかし注意しなければならないのは、その東京直下を震源とする地震が起きるか、その震源がどの場所なのか、どのくらいの規模になるかの可能性は、今プロジェクト後でも従来の想定と全く変わっていない、つまり、わからないということなのです。「30年以内に70%の確率」というのは、あくまで【1】で挙げたエリア、「南関東のどこか」で発生する確率に過ぎません。

まとめますと、東京直下のフィリピン海プレート内もしくは境界ででマグニチュード7クラスの地震が発生した場合、従来の想定より震源が浅くなるので、地表の揺れは従来の想定における最大震度「震度6強」を超える「震度7」クラスになる「可能性がある」というが今プロジェクトのMeSO-net解析に関する発表内容であり、それ以上でも、それ以下でもありません。

そしてその場所で地震が発生する確率に関しては、今プロジェクトの研究対象では無いというか、現在の地震学で推測できる種類のものではありません。なお、「震度6強」が「震度7」になっても、十分な地震対策をしてある建物などでは極端に被害が増えるものでもありません。しかし耐震基準を満たしていない(既存不適格)建物にはより大きな脅威になりますし、全体的に火災の発生件数が増えることは予想されます。

そしてこれはプロジェクトに関係無く、東日本大震災後ずっと言われている事ですが、震災による大規模な地殻変動と余震活動の影響により、震災前から「いつ来てもおかしく無い」と言われていた南関東直下型地震の発生確率が、より上がっている事だけは間違いありません。報告会でも、その点は指摘されていました。


以下は管理人の意見ですが、どのような状況が待っていようと、我々はそれを無闇に怖れず、しかし怖れるべきは「正しく怖れて」、それぞれができる対策を進めて行くしかありません。怖れを備える力に変えて、「生き残る」力をアップして行きましょう。

■注1:関東大震災の震源は相模湾の海底です。この図では内陸直下のように見えますが、原図を形態をそのまま生かしました。

※当記事の掲載当初、図中と本文中で、ユーラシアプレートと北米プレートを取り違えた部分がありました。既に訂正済みで、現在のものが正当です。


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