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2012年3月13日 (火)

家に備える防災グッズ【15】

しばらく滞ってしまったこのシリーズ、再開します。お待たせしました。今回は、トイレとその他の衛生です。

停電、断水した災害被災地で最も問題になるのは、いわゆる「トイレパニック」ですが、その実態はあまり伝わって来ませんし、ものがものだけにビジュアルも出てきません。しかし特に発災直後の避難所では、想像を絶する状況になることは多くの証言から明らかです。トイレがあまりに辛い状態のために、トイレに行くのを少なくしようとして無理に水分を控え、脱水症状や肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)を発症することも、特に高齢者に多く報告されています。

一方自宅避難の場合、断水していても下水道設備が損傷しておらず、雑用水が豊富に入手できれば、それほど問題にはなりません。でも都市部ではなかなかそうは行きません。阪神・淡路大震災では、ビニール袋の中に排便した包みが収集が止まったゴミステーションに大量に出され、臭いも衛生面でも大きな問題となりました。

今でもこの問題を根本的に解決する方法は無いのですが、かつてよりは非常用トイレ資材が入手しやすくなっていますので、やはりこれは必須と言えます。
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画像はビニール袋と処理剤がセットされたものと、処理剤のみの、管理人の備蓄方法です。かさ張る箱は捨て、取り扱い説明書の部分だけ切り取って、フリーザーバッグに一緒に入れてあります。ビニール袋付きの方は、非常持ち出し用です。

非常用トイレ資材には、大きく分けて、トイレ容器、ビニール袋、便処理剤がセットされているもの、ビニール袋と便処理剤がセットされているもの、便処理剤だけのものの三種類があります。便処理剤だけのものがコスト的にはぐっと下がりますので、管理人は専用ビニール袋つきを10回分、処理剤のみを50回分備蓄しています。ビニール袋はゴミ袋と共用のものを200枚備蓄してありますが、強度に不安がありますので、使用する時は二枚重ねを考えています。

この便処理剤とは、大抵のものが水分を吸収する高分子ポリマー粉末に消臭、殺菌成分を配合したものです。これを代用できるものを探してみると、ペット用のトイレ資材が使えます。室内犬猫用トイレ砂や、ケージ用トイレシートなどで、コストもそれほど高くありません。ただし、人間用ほど吸水能力や消臭能力が高くないので、同様の効果を期待するなら、それなりに量を使わなければならないでしょう。

管理人は動物好きながら、マンション住まいで飼えませんのでこれらの備蓄はありませんが、室内飼いの犬猫がいる方は、非常用に多めに備蓄しておくことをお勧めします。

さて、ここまでは他でもよく見る話です。では次に専用トイレ資材が無かったり、備蓄を使い果たしてしまった場合に、いかにしてトイレを快適に保つかを考えてみます。

水が流せないトイレでは、何が一番辛いでしょうか。それは匂い。袋や容器はなんとかなっても、匂いはどうにもなりません。阪神・淡路大震災でも東日本大震災でも、避難所のトイレの匂いが居室にまで流れ、避難者はじっと耐えるしかありませんでした。自宅でも、個室に匂いがこもります。停電では換気扇が回らないのです。

トイレ資材の売り文句に、袋に入れて口を縛れば匂いも気になりません、なんて書いてあるのものがありましたが、それ以前が大変だと思うのですが。そこで、絶対に備蓄しておきたいのがこれ。管理人宅には常時3本は必ずあります。
Photo
トイレ用消臭スプレーです。これは排泄物の匂いの主成分である硫化水素やアンモニアを中和するもので、その効果は絶大です。避難生活の最大の問題を小さくしてくれることを考えると、これも立派な防災グッズのひとつとして推したいと思います。安売りでは1本200円しない時もありますから、まとめて備蓄をお勧めします。これのある無しは天地の差ですよほんと。普段から使って入れ替えて行けばいいわけです。

これがあれば、ビニール袋だけで排便しなければならない場合でも、随分と快適になります。ちなみに、トイレ用資材が無い場合は、袋の中に新聞紙を入れて、少しでも水分を吸収できるようにします。そして排便後には、【14】で紹介した、塩素系キッチン漂白剤の希釈液を袋の中やトイレ内や便座にスプレーすればさらに消臭効果もありますし、細菌、ウイルス感染対策にもなります。

特にノロウイルス、ロタウイルスなどの感染者が排便したあとにこれらの対策を取らないと、手もあまり洗えない状況ではほぼ確実に感染を拡げることになりますし、インフルエンザも同様です。避難所では、前に使ったのがどんな人かわからないですから、感染防止のために自分が使う前に消毒したいもの。できれば消臭スプレーを持参して個室内も快適に。そうすれば後の人も快適です。

そして前述の通り、生ゴミや排便は密封して、ゴミ収集が再開されるまで自宅内で保管しておかなければなりません。できるだけ生活環境と隔離するために、密封できる容器が欲しくなります。
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ペール缶は、便座になるものを乗せればトイレそのものにもなる理想的な容器ですが、容量があまりありません。
容量が必要なら、青くて大きなゴミバケツや、プラスチックの衣装ケースが適当でしょう。

非常時のトイレについては、まだ工夫の余地があるのでは無いかと管理人は考えています。また何か新しいアイデアがありましたら、随時当ブログで紹介しますね。ただでさえストレスフルな避難生活で、トイレが快適かどうかは平常時からは想像もつかない重要な問題なのです。

次回は、「情報」編です。


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コメント

こんにちは。
はじめまして。
私もマンション住まいです。

トイレは籾殻くん炭を用意してます。
手製のコンポストトイレです。
大は2~3日で分解されます。

▼参考まで
http://pub.ne.jp/kayusou/?entry_id=3595769

都内の人口密集地帯に住んでますので自分の世帯だけででトイレ対策しても周辺の方々が一斉に対策しないと悪臭・病気の発生・ハエなどが溢れ返りそうなので周知したいと思ってます。

スタート以来の初コメありがとうございます。ずっとコメントもトラバもフリーだったのですけど(笑)

コンポストトイレは短期間ならベストだと思うのですが、断水が長期化したらどうなのかな、という不安があるのも確かです。スペース食いますしね。ビニール袋の中で使用するとか、工夫が必要かと思います。

町内会やマンションなどで統一したやりかたを周知・準備していないと、誰かが放置しはじめたら一気に秩序が崩れそうですね。なかなか難しい問題です。その場合も、塩素系漂白剤があれば、衛生的にはかなり改善できそうです。

こんにちは。
レスありがとうございます。
コンポストトイレは一家に一台?と思ってます。
トロ箱又はペール缶とくん炭があればいいのでベランダに放置で基本いいかなと。
我が家は一家四人下町0m地帯の大規模マンションなので家はなんとか居住に耐えると想定して、避難所には行かない、行けないことを想定してます。また、下水は1ヶ月は使えないと考えてます。
なので、そういった趣旨の独りよがりの内容で書いてますね。

過去の頁もほぼ拝見しました。
結構賛同できる及び同じ物を所有している内容でしたので、よかったです。
マニアックな「日本野鳥の会折り畳み長靴」なんかも持ってます。
(その筋には有名ですが…)

mixiも覗きに行きました。
情報量が多いのであまり読めてませんが、
機会があれば書きこみさせて頂きます~!

mixiのサイトも

我が家も住宅街のマンションなので、避難所には行かない前提です。近くの駐車場においた車は、避難所代わりのミニバンですし。

下水が損傷したら、下手をすると一ヶ月以上ダメかもしれませんね。そうならない事を祈るしかないのですが。

災害時に起こることを正確に知り、それに対応したグッズを揃えていれば自然に似てくると思います。でも野鳥の会長靴までとは。かなりマニアックな線を狙ったつもりだったのですが(笑)

このブログも、mixiの方もよろしくお願いします。

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