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2012年4月

2012年4月30日 (月)

【シミュレーション解説編】地震・地下街【1】

シミュレーション本編の解説編です。地下街で大地震に遭遇した雪江が取った行動には、どんな問題があったのでしょうか。

まず、具体的な「間違い」を挙げます。
■「早く地上に逃げなければ」ということだけで頭が一杯になり、 周囲の状況を観察することができなかった。
■通路の中央に立ったまま、パニック状態の群集と衝突してしまった。
■さらに自らパニック状態の群集に飛び込んでしまった。
このような行動を取った時点で、雪江の運命はほぼ決まってしまったのです。

ではどうすれば良いか。
地下街で大規模地震が来て、照明が消えたとしましょう。まずはすぐに近くの壁に張り付いてください。一部の人は確実にパニックを起こし、無闇に駆け出すはずです。そして、それに刺激された人々を巻き込んで、群集は一気に膨れ上がります。この流れに飲み込まれたら、無事でいられる確率は非常に小さくなるでしょう。

まずはとにかく冷静に壁に張り付いて、群集をやり過ごしてください。どんな巨大地震でも、地下街が大規模に崩落することはありません。地下街は地面と一体になって揺れるので、「共振現象」による構造破壊が起きません。しかも、地上構造物に比べて強度に余裕を持って設計されているので、仮に一部が崩落したとしても、全体がぺしゃんこになる可能性はほとんどありません。しかし、やはり「地下=閉じ込められる、押しつぶされる」というイメージが強く、地上に比べてはるかにパニックを誘発しやすいのです。さらに、停電によって視界を失うことが、それに拍車をかけます。

ですから、まずはパニックに巻き込まれないことが、「生き残る」ための最初の条件です。カバンなどで頭を落下物からガードし、通路の隅で行動の時を待ちます。停電になっても非常口の明かりは確保されているはずですし、普通なら非常用電源が起動して、ある程度視界が効く非常灯がつくはずです。その場合でも、自分でLEDライトを持っているか否かで、周囲から得られる情報量が大きく変わりますし、もし真っ暗闇になったならば、その価値は言うまでもありません。

もし手元にライトが無ければ、携帯電話の液晶画面の明かりを足元に向け、ゆっくりと壁際を進みます。決して走ってはいけません。落下物などを認識できない中でつまづいたら、無事で済むことは無いでしょう。それに、だれかが走り出すと、不安感から周囲を巻き込み、制御不能のパニックを誘発します。ですから、もし誰かが周りで走り出しても、あなたは決してついて行ってはいけません。周りが走り出したら、あなたは通路の端に寄って、その集団をやり過ごすのです。


本編の想定のように、地上で落下物がひどい場合には、地下街に逃げようとする人々がなだれ込んで来ることも考えられます。とにかく群集の動きに飲み込まれる事だけは避けなければいけません。通路の端で待機するあなたの周辺にはきっと同じように待機している人がいると思いますので、お互いに声を掛け合いながら、人の流れが収まるのを待つことです。

状況が落ち着いて来たら、周りの人と声を掛け合いながら、協力して地上への脱出行動を始めます。地下街内での火災や、場所によっては津波による浸水の危険があります。建物の地上部分で火災が起きているかもしれません。できることなら、ある程度強力なライトを持った人間が先行し、進路の安全を確認した上で「本隊」が前進するようにできれば理想的です。

特に地上に出る時は、一気に階段を駆け上がりたい気持ちをぐっと堪えて、地上の安全を確認してから脱出します。地上に出た途端に、ガラスや落下物が降り注いでくるかもしれません。いかなる場合も、状況がわからないうちに慌てて行動することは、自分の生死を運だけに頼るのと一緒です。そしてそのような行動は、ごく一部の幸運な人を除いて、大多数に致命的な不運をもたらすものです。

さて、今回はここまでにしまして、次回は地下街の「トリビア」について考えます。おなじみの「机上の空論」がいつくも登場します。


■当記事は、カテゴリ【災害シミュレーション】です。

地震関連情報4/29

本日4月29日午後7時29分頃、千葉県北東部内陸の深さ50kmを震源とするマグニチュード5.8の地震が発生し、千葉県旭市で最大震度5弱を記録しました。

この地震は、東日本大震災以降、非常に多くの地震が群発している千葉県北東部内陸~千葉県北東沖の震源域で発生したものです。この震源域はここ2ヶ月ほどの間に、少しずつ状況が変わっているように見えます。

震災以来、この震源域では深さ20km程度の地震が非常に多く、それは現在でも変わっていません。しかし2ヶ月ほど前から、深さ50~70kmの地震が多くなり始めています。今日の地震も50kmです。

非常に興味深いことに、直近の4月23日から今日29日までの一週間にも、ほぼ同じ震源域において深さ10kmから70kmまでの地震がまんべんなく発生しています。このような現象は、他の震源域ではあまり見られません。通常、10km程度の浅い地震と、50kmより深いような地震とは発生メカニズムが異なるのですが、それがほぼ同じ場所で発生しているのです。

震源分布図から震源の水平位置を敢えて分類すれば、10~20km程度の比較的浅い地震は、千葉県北東沖と呼ばれる銚子市犬吠崎の北側海底で、50kmより深い地震の震源は、それより西側の千葉県北東部と呼ばれる内陸側に集中しています。

その理由以前に、福島県浜通り南部~茨城県北部の震源域と並んで、この震源域で地震が群発している理由自体が良くわかっていません。ただ、ここ2ヶ月ほどの間に、50km以上の比較的深い部分で、大きめの地震が増えてきたということだけは確かなようです。

この活動が今後どのように変化していくのかはわかりませんが、この震源域が以前より活発化していることだけは確実です。最近、関東付近で最も地震が頻発している震源域ですから、より大規模な地震の震源となる可能性も想定しておかなければなりません。

日本列島全体に対する震災の影響は、当初の激烈な動きが収まったというだけで、まだ始まったばかりに過ぎません。この震源域に限らずいつ、どこで、何が起きてもおかしくないのです。引き続き、できる備えを確実に進めてください。

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2012年4月29日 (日)

首都圏直下型地震を生き残れ!【13】☆デート編

■デートで生き残れ(その1)

なんとも物騒なタイトルの新想定ではあります。でも、楽しいデートの最中も、大地震は決して見逃してはくれません。あなたは愛する人と共に、危機を切り抜けられるでしょうか。ここでは、週末に一緒に繁華街に出て、あちこちぶらついた後に一緒に食事をするような、ごく普通のデートを想定します。

彼氏彼女がいるいないに関わらず(笑)、誰にでも役立つ内容が「ほとんど」ですから、とりあえず読んで見てくださいね。前回記事の次回予告ではっきり書かなかったのは、どんなタイトルにしようかちょっと悩んでいたからなんです。


さておき、普段の通勤・通学時などには防災グッズを持ち歩いているあなた、デートの時はどうしますか?あまり大きなバッグは持って行かないでしょうし、特に男性は手ぶらのことも多いでしょう。もちろん、いつも通りしっかり持ち歩ければ理想的ではあります。でも、あまり野暮ったくなるのもどうかと。そんな時、最低限の装備として、何を選びますか?場所は、都市の繁華街です。

ここで、当ブログの防災グッズシリーズで管理人が提唱している、防災グッズの6要素を思い出してみてください。それは■水分、■カロリー、■視界、■防水・防寒、■安全・衛生、■情報の6つです。

このうち都市部で被災した場合に、無いと最初に困るものはなんでしょうか。それは視界です。都市部は、一旦停電すると昼間でも暗闇だらけです。その中での緊急避難の最に視界が確保できるかどうかが、運命を分けることが少なくないでしょう。

まず第一撃を「生き残る」ために、最も重要なグッズが、ライトだと思います。その他の要素はとりあえず生き残ってからの話ですから、最低でも小型LEDライトを持参すべきでしょう。ちなみに管理人は、どんな服を着ても、必ずズボンのポケットには26ルーメン(照度単位)で65グラム(卵一個分)の小型LEDライトを入れています。バッグを持ち歩く場合は、その中にいつも80ルーメンのLEDライトが入っています。

もっとも、ライトなどあくまで「補助」に過ぎません。大地震の第一撃から「生き残る」可能性を高めるのは、あくまで事前の準備と心構え、その時の正しい行動にかかっているという事を忘れないでください。どんな防災グッズを揃えていても、誤った行動をカバーすることは絶対にありません。

さて、話をデートに戻しましょう。まずは待ち合わせからです。屋外ならば、待ち合わせ場所は安全ですか?落下物などの危険はありませんか?もしふたりが合流する前に大地震が来たら、出会うための算段はしてありますか?

落下物などの外的な危険要素は、その場所を見たり、想像して見れば大体わかるでしょう。合流する算段とは、大地震時でもその場に踏みとどまれる安全性の高い場所を選ぶか、緊急時用の合流場所を打ち合わせておくのです。

例えば、東京ローカルの話で恐縮ですが、定番の渋谷駅前で待ち合わせるとしたら、デパートの壁に貼りつかず、ハチ公周辺で(落下、崩壊物対策)、緊急時には駅前交番へ(もちろん最初から交番前でも良いのですが)、もしそれが危険な状況なら、宮益坂を上って青山学院大学正門で合流、発災後、例えば2時間を経過したら合流不能と考えて、独自の判断で動けというようなオプションも設定しておくことです。

この、最大待機時間の設定は大切です。危険な場所で、来ない恋人をずっと待ち続けるなんてのは、ドラマの世界だけにしておきましょう。こんな感じで、皆様もそれぞれの街の待ち合わせ場所を考えてみてください。ここでは地震の場合だけを想定していますが、場所によっては津波も想定しなければなりません。

もちろんこのような詳細な打ち合わせは、かなり「馴染んだ」方がお相手の場合でないと、押し付けがましいと思われてしまうかもしれません。でも、それが初デートだとしても、相手の安全を考えた待ち合わせ場所を提案して、さりげなくそれを伝えておくのも良いでしょう。それは相手を思いやる気持ちの現れなのですから。

こんな事を細かすぎるとか面倒だとかバカバカしいとか思うかは個人の自由ですが、最も会いたい時に会えない方が、管理人はイヤですけどね。もちろんこれとて大地震時には確実とは言えませんが、今、「ケータイで連絡すればいい」とか思った方、いませんか?(笑)

もちろん、可能ならばメール、災害掲示板、災害伝言ダイヤル、各種SNS、ツイッター等での連絡方法を打ち合わせておくことが前提ですが、大地震発災直後は音声通話はかなりの確率でダウンしますし、その他の機能もすぐに使えるとは限らないのです。仮に何らかの通信が可能だったとしても、事前に周囲の状況や行動のオプションを考えておかなければ、スムースに次の行動を打ち合わせできるとは思えません。

何より、大切な人とお互いの身の安全を考えて話し合うということ自体が、パートナーとの災害対策の根幹であると、管理人は考えます。

「デートの防災」においては、その考え方がすべての基本です。次回は、繁華街で食事をします。

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2012年4月26日 (木)

首都圏直下型地震を生き残れ!【12】☆ライブ編

■ライブで生き残れ(その2)

前回は、ホールの椅子席や、スタンディングライブでの危険を考えましたが、今回はライブの中でも管理人が最も危険だと考える状況について考えます。

それは「ライブハウス」。

これは小さな劇場も条件は一緒です。ホールに比べて規模が小さく、地下であることも多く、出入り口は1~2ヶ所しかなく、通路も階段も狭い。そこに大人数が入り、地震発生を覚知するタイミングが遅れやすいのですから、防災的には非常に厳しい条件と言わざるを得ません。そして現実には、建物も耐震強度が低い旧い建物であることも少なくありません。

そこで大地震に遭遇したらどうするか。パニックと落下物を避けるという点では、ホールの場合と基本的には一緒です。ただ、PA装置や照明設備が観客により近くて、ホールほどの強度を持たないことも多く、さらにそれらを避ける場所も少ないですから、条件はさらに厳しくなります。

小さなライブハウスの場合、強い地震を感じたらまず、「一旦」ステージから離れ、設備類の落下・転倒から身を守らなければなりません。大きなスピーカーボックスや天井照明の直撃を受けたら、軽傷では済みません。停電になれば、非常用照明が無いことも多いでしょうから、完全な暗闇になるでしょう。小型LEDライトを持っているかどうかが、あなたと周囲の人の運命を最も左右する状況です。

もちろん、ここでも開演前に「地震が来たらどの経路でどこへ避難するか」を考えておかなければなりません。但し、ライブハウスの場合はそれが非常に局限されます。小さなライブハウスの中を想像してみてください。あなたなら、どこへ逃げますか?

多分1ヶ所しか無い出入り口には、人が殺到するでしょう。広くない出入り口の前は、極限のパニックになるはずです。地震でなくても、ビル火災では狭い出入り口の前に人が折り重なるように倒れて亡くなっているケースが良く見られます。火災の場合の主な死因は有毒な煙に巻かれたことですが、その前のパニック状態が想像できます。そこへ自ら飛び込んで行くのは、あまりにも危険です。

ではどうするか。実は、ライブハウスにはもうひとつ「出入り口」があります。先ほど、落下・転倒物を避けるために「一旦」離れた場所、ステージです。

ステージに上がり、ソデから楽屋を通って楽屋口や機材搬入口を目指すのです。小さなライブハウスだと楽屋が無かったり、出演者用出入り口が客用通路につながっていることも多いのですが、少なくとも客用出入り口でのパニックを避けることが出来るはずです。

但し、緊急避難が必要なクラスの地震では、停電していると考えなければなりません。楽器や機材が散乱している暗闇のステージと楽屋を安全に抜けるためには、そこで視界を確保できることが必須条件です。こういう状況で必要なのが、管理人が提唱する「25ルーメン(照度単位)以上」のLEDライトなのです。

キーライト、ペンライトや携帯電話の液晶画面の明かりでも、暗闇を進むことは不可能ではありません。しかし「安全に・素早く」進むためには全く不足です。携帯電話にライトがついているから、それを使えばと思ったあなた、大混乱の暗闇で、避難行動をしながらすぐに点灯する自信がありますか?混乱時に、複雑な操作をすることは全く不可能です。ボタンひとつですぐに点灯できるものでなければなりません。もっとも、携帯電話のライトでも全く照度不足ですし。

ともかくも、脱出口としてステージから楽屋という発想は、ステージに立ったり裏方をやったことがある人でないと、なかなかできないものでしょう。ちなみに管理人は、かつてバンドでドラムを・・・というのはウソですすいません。裏方の方です(笑)

この方法も、それなりのライブだとスタッフに制止されるかもしれません。でも、「立っていられない程」の地震で、出入り口に人が殺到している状況ならば、迷わず取るべき行動だと思います。その際に、ライトを掲げて「こっちだ!」と叫ぶかどうかは、皆様の自己判断にお任せしましょう。管理人だったら、多分やってしまうでしょうが。

ただ、その前に必ずやることは、まず自分が先に行って、脱出が可能かどうか確かめ、その上で再びステージに戻るのです。それは間違いなく、とてつもない勇気を必要とする行動ですから、正直なところ、必ずそれができると言い切る自信は無いのですが。

最後に。もしあなたが出入り口のすぐ近くにいて、強い揺れを感じたと同時に飛び出せたとします。でも、強い揺れの最中に屋外に出るのは、周囲からの落下物の危険が非常に大きいということはおわかりいただけるでしょう。ですから、まず建物に入る前に、建物や周囲の様子を確認しておく用心深さが必要です。もちろん、これはどこに行く時でも習慣にしておくべき行動ではありますが、周囲が雑多な繁華街であることが多いライブハウスや小劇場では、特に重要となるでしょう。

その上で、大地震が来たらすぐに飛び出すべきかどうかを、事前に考えておかなければなりません。繁華街において強い揺れの最中に飛び出すのは、起こりうる危険要素があまりに多いので、基本的にはお勧めできません。

なにしろ、そのような準備と心構えをした上で、心ゆくまでライブパフォーマンスを楽しんでください。(元)裏方からのお願いです(笑)

これでライブ編は終了です。次回は、またちょっと違った切り口でお送りします(←なぜ言わない)


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首都圏直下型地震を生き残れ!【11】☆ライブ編

■ライブで生き残れ(その1)

今回から、ライブ観覧中の防災を考えます。とりあえず便宜的にライブと総称しますが、コンサート、演劇、映画などすべてに共通する内容です。

まず、防災的に一番良い条件のライブは「屋外ライブ」でしょう。周囲に倒れそうな構造物や崖などの危険が無ければ、とりあえずじっとしていれば大丈夫。気をつけるべきは、周囲のパニックです。逃げる必要が無いのに、慌てて無闇に動き回る人が必ずいるはずです。そんな動きに絶対に付いていかないこと。もし移動する場合は、必ず自己判断で。敢えて言えば、ステージ直近では、巨大なPA装置などの転倒に気をつけるくらいでしょうか。

次に、ホール。場末の映画館とかでも無い限り、建物が簡単に倒壊することも無いでしょうから、揺れが収まるまでその場で待機することになります。ここでは歩いて移動できない程の揺れを想定していますが、もし移動が可能なら、頭を守りながら落ち着いて一番近い非常口に向かいます。停電しても、非常口の緑色のサインは消えないはずですから、とにかく落ち着いて。でもその他の照明が消える可能性は高いので、小型LEDライトは必ず持っているべきです。アイドル応援用のケミカルライトバーは、防災にもそれなりに役立ちます(笑)ちょっと照度不足ではありますが、何も無いよりはるかにマシです。ただしケミカルライトバーは、本体の光が直接目に入って瞳孔が収縮してしまうので、暗闇を見通しずらくなります。避難時には、自分の側を手などで覆うなどの対策が必要です。

そしてやはり、ここでも必ず慌てる人がいるでしょう。暗い中での避難行動中にシートの間や通路でだれか転んだりすれば、あっというまに人が山になります。特に非常口前でそんなことが起これば、かなり深刻な事態になるでしょうから、とにかくそこに巻き込まれないことが必要です。慌てて走る人を一旦やりすごすくらいの余裕がなければ、危険の中に自ら飛び込んで行くことになります。基本的には、可能な限り安全な場所に移動しながら、状況が落ち着くのを待つのです。

ところで、静かなクラシックコンサートなどならともかく、特にロック系、ましてやタテノリ系のスタンディングライブだったりしたら、かなり揺れが大きくなるまで地震に気づかないことが多いでしょう。猛烈に振り回されて初めて大地震だと認識し、そこで照明が消える。まさにパニックを起こしてくださいと言わんばかりの「舞台装置」です。

その中でどれだけ冷静な行動ができるかが、運命を左右します。冷静を保つためにも、開演前に自分の居場所から、避難すべき方向と経路を必ず複数確認しておくことです。オプションを多く持つことで、一つがダメになっても慌てないで済む可能性が高くなります。この「複数」ということについては、後で重要なポイントを述べたいと思います。

ロック系ライブのように、暗い場所に多くの人が密集し、ハイテンションの状態で大地震に遭遇すると、そのハイテンションが一気に極端な混乱状態に転化することが考えられますから、やはりそのようなライブが防災的には一番厳しい状況となります。ですからポケットにはLEDライトを忍ばせ、開演前には必ず避難経路を複数確認しておき、「その時」にはすぐに脱出しようとせず、一旦踏みとどまって状況を確かめること。右往左往する群衆にただついて行くことはせず、自分の意思で自分の行くべき方向へ進むこと。なんだかロックな生き方そのものじゃないですか(笑)

ロックな生き方はカッコ良いのですが、地震で群衆に踏みつぶされたりするのは、ロックな死に方だとは思いませんが。これは決して冗談では無く。カッコ良く、最後まであきらめずに「正しく」戦い抜こうよ。特に守るべきものがあり、守るべき人がいるのなら。


なんだか話がそれましたが(笑)、ホールの話に戻しましょう。まずパニックを避けることを主眼におきましたが、これは人が多い場所すべてに共通することです。これに加えて、映画館やホールには、忘れてはならない危険がある事が多いのです。

「買い物編」でも少し書いたので、お気づきの方もあるかもしれません。それは「吊り天井」。広い映画館やホールは、「吊り天井」構造であることが多いのです。東日本大震災では、関東から東北にかけての約2000ヶ所で「吊り天井」が落下したとのことですから、これに遭遇する可能性は非常に大きいと言えます。

しかも、普通のホールでは石膏ボードの天井板が多いのですが、音響を考慮したホールでは、厚い板の裏にグラスウールを貼ったものなど、かなり重量がある天井板のこともあります。その落下から、身体を守らなければなりません。ポイントは「直撃」を避けること。つまり落下物が最初に身体に当たらないようにすることです。まずはバッグ、上着、座布団など、手近なものを何でも頭の上に上げます。特に後頭部から首にかけてが人間の弱点ですから、そこを重点的に。何も無ければ、腕で頭をガードします。

椅子があるホールでは、椅子の間の床で背もたれよりも身体を低くして、落下に備えます。パイプ椅子でもかなりの防護効果があります。通路際に手すりがある場合は、それに身を寄せて、頭を守りながら姿勢を低くします。徒歩で移動できるようなら、できるだけ壁際に行きます。壁際は、天井板の直撃を受ける可能性が小さいのです。

また、二階、三階席などの最前列では、激しい揺れの最中に絶対に立ち上がらないこと。転落の怖れがあります。そういう席につく場合は、大きな地震が来ても絶対に立ち上がらない、床に膝をついて姿勢を低くすると、先に心に決めておくことです。人は混乱すると、咄嗟に立ち上がってしまうものですから。

実際、映画や演劇、クラシックコンサートなどでは、椅子の間などで天井の落下を避け、狭い通路や非常口付近での混乱に巻き込まれなければ、大きな危険を回避できたと言えるでしょう。しかしロック系のスタンディングライブなどでは、非常に強度のパニック状態になる可能性が高く、正直なところ何が起きるかわかりません。その中で「生き残る」可能性を高めるのは、事前の避難方法確認と、視界の確保です。そして何より、「絶対に生き残る」という強い気持ちが、大混乱から脱出する道を開いてくれるはずです。

次回は、さらにライブにおけるさらに厳しい状況を考えます。


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2012年4月24日 (火)

【シミュレーションストーリー】地震・地下街

「首都圏直下型地震を生き残れ!」シリーズで、デパ地下の危険を採り上げましたので、それに関連して「地下街」の地震シミュレーションストーリーを掲載します。後ほど解説編もアップします。なお、このストーリーはmixiのコミュニティ「生き残れ。」に、2008年3月に掲載したものです。

■■■
この物語は、大災害に直面し、最悪の結果になって しまった状況を想定したフィクションです。 登場人物は、災害の危機に対して、防災上問題のある行動をしてしまっています。どのように準備や行動をすれば、この状況から生き残れる可能性が生まれたかを考えてみてください。

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20××年 12月19日 午後6時19分
東京都渋谷区某所
大規模地下街
森本雪江 27歳 システムエンジニア

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雪江はこの地下街が好きだった。特に夕方のこの時間帯、人込みにまぎれてどこを目指すともなくぶらぶら歩くのを好んでいた。口の悪い友人に言わせれば、
「あんたはパソコンばかりいじって引きこもっていたから、太陽が当たらない地下が落ち着くのよ」
ということになる。しかしどう言われようと、ちょっとリフレッシュしたいときなどは、ついこの街に足が向いてしまう。お気に入りのスイーツ店があるのも大きな理由なのだが。

いつもの階段を下りて地下街に入る。軒を並べる店の装飾は、数日後に迫ったクリスマス一色だ。雪江は年末一杯まで仕事に追われて、クリスマスどころではなくなりそうだが、それでもカラフルな街並みは少しだけ心を浮き立たせてくれる。雪江はいつもより込み合っている通路を、ゆっくりと歩いて行った。

その時、通路のずっと奥の方 ―雪江にはそう感じられた― から、ドーンという地鳴りが駆け抜けて来て、周りの空気を重く震わせた。一瞬のち、地下街全体がビリビリと細かく振動し、それがだんだん振幅を増していったかと思うと、突然猛烈な横揺れが始まり、ほとんど同時に照明が消えた。棚から商品が床にばら撒かれる音、ガラスが砕ける音に、女の悲鳴が暗闇を満たした。

雪江は激しい横揺れに足を取られて転び、数秒の間床に四つん這いになっていたが、通路の各所に取り付けられた小さな非常灯が点灯し、非常口の場所を示す緑色のサインも明かりが消えていないことに気付いた。

「早く地上に逃げなければ」
その考えだけが頭の中を支配した。まだ激しく揺れている床に立ち上がろうとした時、ほとんど視界が利かない通路の奥から、とてつもない人数が押し寄せて来る地響きと女の悲鳴、男の怒号と絶叫が暗がりに響き渡った。通路の中央に立っていた雪江は走って来ただれかにぶつかって通路の端まで跳ね飛ばされ、壁に背中を激しく打ち付けて転がった。

自分の周りにいた数人は、そのまま群集に飲み込まれて踏み潰された。その上に何人もが次々に圧し掛かり、その場で何人もが押しつぶされた。 1分程が過ぎ、揺れが収まるにつれて、怒号と共にさらに多くの群集が通路の奥の暗闇から黒い塊となって押し寄せて来た。皆、狂ったように非常口の明かりを目指し、出口へ向けて殺到して行く。雪江も意を決して群集の流れに飛び込み、地上への出口へ向けて駆け出した。

非常口に近づくと、もうすぐ地上だという期待も手伝って、群集は速度を上げて上り階段に殺到し、暗がりの中で何人もが階段につまづいて転倒した。すぐに多くの人が折り重なったが、後ろからの群集は人の山を踏みつけ、よじ登りって前へ進もうとした。悲鳴も絶叫も制止する叫びも、もう誰の耳にも届いていなかった。雪江も狂ったように人の山を四つん這いになってよじ登った。地上へ。とにかく地上へ。

群集の先頭が地上へと続く最後の階段に差し掛かった時、地上から地下街へ逃げ込もうとして階段を駆け下りて来る人の群れと衝突した。地上では周辺のビルから大量の看板やガラス片が容赦なく降り注ぎ、歩道上は引き裂かれた人々が折り重なって血の海になっていた。 逃げ場を失った群衆は、とにかく落下物を避けられる地下街へ向かって殺到し始めたのだ。

二つの流れが衝突した階段では、たちまち数十人が押しつぶされて折り重なった。動きを止められた階段下では、我先に脱出しようとする人々が動かない人の壁に掴みかかって殴り合いをはじめ、倒れた人はすべての理不尽と恐怖の責任者とばかりに踏みつけられた。

雪江は階段を数段上がったところで行く手を阻まれた。その時、後ろの方から、
「火事だ!」
と叫ぶ声が聞こえ、群集がどよめいた。それが事実なのか、すぐに逃げなければ危険なのかは判断のしようが無かったが、それを聞いた群集は、自分が閉鎖された地下街で焼き殺されたり、有毒ガスを吸って倒れる想像におののき、力のある者はとにかく目の前の人の壁を取り払おうと、手当たり次第に前の人につかみかかり、階段を引きずり下ろし始めた。女性や老人、子供はなす術もなく投げ飛ばされ、踏みつけられた。

雪江は後ろから襟首をつかまれて悲鳴を上げたが、構わずうしろに引き倒され、冷たいコンクリートの床に転がった。そこへ、火事に恐れおののいた数百人の群集が、地響きを立てて殺到した。雪江は立ち上がろうとしてもがいたが、 床に転がったまま群集に飲み込まれ、姿が見えなくなった。


【おわり】

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2012年4月23日 (月)

首都圏直下型地震を生き残れ!【10】☆買い物編

■買い物で生き残れ(その3)

さて今回は、デパ地下で大地震に遭遇した場合の行動について考えます。これはもちろんデパ地下に限らず、似たような店内構成の店舗の多くに共通することです。特にデパートの上層階は、地下食品売場に比べて動線構成が単純で通路が比較的広く、見通しが効きやすいので、この方法を応用することで、より安全性を高められるケースも出てくるでしょう。

ではなぜ敢えてデパ地下を取り上げたかと言うと、地下であること、迷いやすいこと、ガラスなどの危険物が多いことから、非常にパニックを誘発しやすい環境だからです。基本的には、パニックに呑み込まれず、危険物からできるだけ距離をおくということがポイントです。

まず最初は、普段の意識から。常に「ここで大地震が来たらどうするか?」という視点で周囲を見て、それを頭の隅で意識しておくことです。前回記事のデパ地下の危険、思い出してください。そして、防災グッズのシリーズ記事で何度も取り上げている小型LEDライト、持ち歩いていますか?地下に限らず、ビルの中で停電になったら、真っ暗です。そこで視界が確保できるかどうかが、避難行動の成否を大きく左右します。

さて、あなたはお総菜を買ったあと、ガラスショーケースに囲まれた狭い通路を、ちょっとお菓子でも買おうかなと見て回っています。店内はとても混雑しています。そこで、ドーンという地鳴りと共に、突き上げるような強い揺れを感じました。さあ、どうしますか?

まず、揺れが最大になる前に、できるだけ広い通路や場所に移動すべきです。ここで、普段からの意識の有無の差が出ます。しかしデパ地下では、幅3m以上ある通路はあまり無いことが多いのです。そこで意識しておくべきことは、なるべく建物の隅、つまり壁に近い方向に近づくことです。

これは以前その危険を指摘した「吊り天井」に限らず、天井が落下する場合は建物の中心に近い場所や、壁や柱から離れた場所の可能性が比較的高いことと、壁際の通路は比較的まっすぐであり、その後の避難行動で方向が把握しやすいからです。さらに、壁際の通路は比較的広いのが普通です。

階段の近くにいたら、階段室の壁に張り付いて姿勢を低くし、パニックの人波に呑まれないようにしながら、強い揺れに備えます。激しい揺れが来るまでの短時間に一階に上り、屋外に出るのはまず不可能です。それに屋外では、ガラスや看板、ビルの外壁などが落ちてくる危険が大きいのです。ならば危険物がほとんど無い階段室の方がずっと安全です。その場合、いつでも頭を保護することを忘れずに。

エスカレーターの近くにいたら、強い突き上げを感じてからは乗ってはいけません。停電で急停止して将棋倒しになる危険はもちろん、エスカレーター自体が落下することがあります。エスカレーターは、簡単に言えば上の階の床に引っ掛けてあるだけなので、東日本大震災では、かなりの数が落下しました。もしそこへ乗っていたら、重傷以上の可能性が大です。

それを教訓に、現在エスカレーターの落下対策工事が進んでいるはずですが、そのエスカレーターがどうなっているかわからない以上、リスクを犯すべきではありません。それに階段と同じく、一階に上がったからといって安全だとは限らないのです。もし一階(上層階)で何か大きな危険が発生した場合、階段やエスカレーターを駆け下りて来る人々と衝突することになります。危険極まりない状況です。

しかしあなたはそのようが行動がとっさに出来ず、揺れを感じた瞬間に足がすくんでしまいました。動き出せたあなたも、人波に阻まれて、ほとんど進めませんでした。いずれにしても、最大の揺れが来るまでの時間は、最短の場合3秒以下なのです。あまり長い距離を移動することはできません。

今いる通路は狭く混雑していて、スーパーのように「通路中央で姿勢を低く」しても、パニックを起こした人の波から逃れられるとは思えません。しかも周りはガラスだらけです。では、どうするか。他にパニックを避けられる場所は?

ここからは、管理人がデパ地下を歩き回って導き出した結論です。こんな事を言うのは、日本中で管理人だけでしょう。でも、それがベストとは言えないものの、最もベターだと思ったのです。

デパ地下には、実は「聖域」がたくさんあります。パニックから隔絶された場所です。おわかりでしょうか。それは「ショーケースの裏」、つまり店員がいる販売スペースです。普段は絶対に入ってはいけない「聖域」も、大地震で生命の危機に晒された場合の緊急避難場所としては、最も安全性が高いと気付きました(デパートのみなさんごめんなさい)

それ以来、管理人はいつもショーケースの切れ目、つまり店員の出入り口を意識するようになりました。その中ならば、通路で起こるパニックをほぼ完全に避けられるのです。そして、そのスペースでは多くの場合ショーケースは片面であり、つまりガラスの危険が半分になります。

さらに良く見ると、販売スペースは背後が壁だったり、太い柱を囲むように配置されていることが多いのです。つまり、天井の落下や建物の崩壊に対して非常に強い場所でもあります。

しかし言うまでも無く、小さな地震を感じたからと言ってすぐに駆け込んで良い場所ではありません。これはあくまでも、最悪の事態における最後の手段であり、自己責任において取るべき行動です。

でも生命の危険がある状況だと判断したら、管理人は迷わずそのような行動を取ります。その結果いかなる不利益があろうとも、それは甘んじて受けましょう。それでも命を失ったり、重い傷を負ったりするよりは、そちらを選びます。

付け加えれば、当面の危険を避けることが出来たら、管理人は店員と共に客の避難誘導や負傷者救護を可能な限り行う覚悟と準備があります。

今回は、その場所の条件と起こりうる状況だけから判断した、最も「生き残る」可能性が高い方法を考えました。ひとつの参考となさってください。ではこれで、買い物編は終了します。次回のテーマは、恐らくこういう切り口も我が国で初めてでは無いかと思う「ライブで生き残れ」です。もちろん、コンサートなどのことです。


■当記事は、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2012年4月21日 (土)

次回更新予定のおしらせ

いつも当ブログをご覧いただきまして、ありがとうございます。

管理人はこの土日、都内で行われるイベントにボランティアで参加しますので、ブログ更新ができません。
次回更新は23日月曜日以降となります。少しお時間を頂戴したいと思います。

この土日は、代々木公園のどこかにおります(笑)


2012年4月19日 (木)

東京都の地震被害想定が修正されました

東京直下型地震の被害想定が、先の「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト・最終成果報告会」の報告を受けて修正されました。例の、首都圏でも最大震度の想定が従来の6強から7になったという、あの報告です。

なんでも、想定死者数が1.5倍になったそうですが、とりあえず個人の災害対策の視点からは、そんな数字をそれほど気にする必要はありません。必要な情報は、阪神・淡路大震災並みの最大震度7もありうるということと、その時何が起こるか、ということだけです。何が起こるかは、従来と特に変わりません。ただ、その規模が大きくなるということです。それだけわかってれいば十分でしょう。

気にし無さすぎかって?ならば、数字の変化を知ることで「生き残る力」が上がる方法を、ぜひ教えていただきたいくらいです。我々が想定すべき状況は、常に「最大・最悪」であり、細かい数字など、基本的にはどうでも良いのです。どこかで聞いたセリフですが、「地震は会議室で起きるんじゃない!」ということです。

ただ、その時何が起きるかは、絶対に知っておかねばなりません。そういう点では、行政の想定はあくまでマクロなので、実際の生活レベルまで落とし込まれていません。だからレポートを読んでも、大して役に立たないのです。普段いる場所で、たまたま行った場所で、その時、目の前で何が起きるか。そこで生き残るためにはどうすればいいのか。それを考えるために、このブログは存在します。

とはいえ、「こうすれば大丈夫」というような、わかりやすい方法はそれほどありません。すべての災害対策に共通することですが、普段からの意識と準備も含めた、総合的な対策と行動が「生き残る力」を高めるのです。災害直後は、状況が流動的に変化する、まさに「戦場」です。そこで必要なのは、状況を正しく読み取り、正しいタイミングで正しい行動をするための知識、判断力、装備、そして体力です。

でも世間では、「こうすれば大丈夫」的な、トリビア的で単純な情報がウケるものです。つい先日、天ぷら油に火が入ったら、シーツを水で濡らして掛けろという●違い沙汰の「指導」を見ました。これは、昔は結構普通に言われていたことなのですが、今になってそれを書いた奴、一度でも自分でやったことがあるのか?せめて他人がやったのを実際に見たことがあるのか?きちんとしたイラスト入り印刷物でしたけどね。そんなものがまだまだ世間には「公式に」はびこっています。

しかし、実は管理人、その方法は見たことがあります。上手くやれば不可能ではありません。ただし、それは、特殊な条件下でした。消防による実験です。周りになにもないコンクリートの部屋で、床に置いて加熱した天ぷら鍋に火を入れ、それを「訓練された」消防隊員が濡れたシーツで消すというもの。でもそれができたからと言って、そのまま「指導」するのはナンセンスを通り越して犯罪的行為に等しい。

まず、当然ながら消防隊員は火の扱いに慣れていて、しかもそれは訓練展示に過ぎません。失敗しても延焼するものはありませんし、まったく慌てる要素が無い。そして最大の違いは、鍋が床においてあるということ。シーツを落とし込むように全体にかけるのは比較的容易です。でも家庭では、鍋は腰の高さ以上の場所じゃないですか。目の前で火を吹き上げる鍋にゼロ距離、いやマイナス距離まで近づいて、奥まで覆いかぶせるようにシーツをかけることなど、素人には絶対に無理です。

しかも、掛ける前に水滴が一滴でも油に落ちたら、火のついた油が爆発的に飛び散ります。これは料理やる方なら、だれでもご存知ですよね。熱い油に落ちた一滴の水の恐怖を。しかもこの方法、鍋をひっくり返す危険も大きく、一度失敗したらやり直しが効かないというオマケまでついている、ほとんど命をかけた罰ゲームのようなものですよ。そんなのを平然と「指導」することは、ほんと犯罪に等しい。「危険が予見されるのに、必要な対策を取らなかった」どころか、それを推進しているのですから。

これは、火のついた油の表面を、(適当量の)水分を含んだシーツで覆えば、酸素の遮断と水の冷却効果で消火できるというトリビアに過ぎず、実際の災害現場に使えるような話では無いのです。ちなみにこの方法、シーツの水分が少なすぎると消火できないか、できても短時間で再発火します。多過ぎれば、前述のように水蒸気爆発を起こします。

やたらとしつこく書いていますが、それはこの手の「防災情報」が、世間には山ほどあるからなのです。当ブログでは、今までにもそんな「机上の空論」を数多く否定してきましたし、これからもネタには事欠かない(笑)でしょう。最も危惧するのは、そんな誤まった情報を信じたがために、生命や財産を失う人が出はしないか、ということなのです。あなたは机上の空論や、名ばかりの「指導者」のやっつけ仕事に命を託せますか?

それに類することですけど、例えば直下型だのプレート境界型だのという地震のメカニズムなど、興味がなければ全く必要の無い情報です。管理人はそういうのも「趣味」ですから調べますけど、防災・減災には全く役立ちません。ですから、興味が無かったらそんな報道や、もちろんこのブログのそんな記事まで、無視しちゃってください。

そういう話ばかり気にして、肝心の身の回りの対策がおろそかになっている人、結構いますよ。例えばP波とS波の速度の違いを知っていても、P波を感じた瞬間に行動に移る助けにはなりません。むしろそんな知識は無くても、地震が来たらこうする、と普段から考えている人の方が、ずっとすばやい行動ができるのです。


なんだか東京の被害想定の話から、ただの毒吐き日記になってしまいました。こんなものをお読みいただいた方、すいません。でも、とにかく「机上の空論」と、それをしたり顔でのたまう奴には、本当に気をつけてくださいね。命かかっているんですから。


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2012年4月18日 (水)

吊り天井はやっぱり危険!

当ブログ4月16日のエントリ、「首都圏直下型地震を生き残れ!【8】☆買い物編」
http://hurry911.cocolog-nifty.com/survive/2012/04/post-3f0e.html
の中で、吊り天井の危険性を指摘した途端、18日の毎日新聞にこんな記事が。吊り天井、落ちまくっていたようです。ちょっと長いですが、全文を引用させていただきます。まずは良く行く場所で吊り天井探しを!

(以下引用)-------------

【<東日本大震災>「つり天井」2000施設で崩れ77人死傷】

 東日本大震災の際に相次いだ公共施設などのつり天井の崩落被害が、東北や関東地方を中心に約2000施設にも及び、少なくとも5人が死亡、72人が負傷していたことが、国土交通省の調査で分かった。激しい揺れで接合金具が外れたことなどが主な原因。柱や壁が無事な施設も多く、つり天井の弱さが浮き彫りになった。国交省から調査を依頼された有識者の検討委員会は、強度確保のため1平方メートル当たり重さ20キロ以上のつり天井には構造計算を求めるなど新たな対策が必要と提言している。

 東日本大震災では、東京都千代田区の九段会館で2人が死亡する被害が出たほか、川崎市の音楽ホールで天井板や鉄骨が観客席に落下。茨城空港ターミナルビル(茨城県小美玉市)でも一部が崩落した。

 このため国交省は、一般社団法人建築性能基準推進協会に被害状況の調査・分析と落下防止策の検討を依頼。検討委が設けられ、日本建設業連合会を通じて約2000施設での被害を把握した。このうち約200施設を抽出調査したところ、建築時期は5割以上が96年以降と比較的新しく、用途は店舗や事務所、ホールが目立った。また、鉄骨造りが65%を占め、柱や壁などの主要な部分の被害がなかった施設が8割に上った。

 検討委は、落下した際の被害の大きさなどを勘案し、天井の高さ6メートル以上、面積200平方メートル以上の大型施設は落下防止策が必要と指摘。具体策としては1平方メートル当たり6~20キロ未満の天井について▽「つりボルト」を1平方メートルに1本以上取り付け▽天井面を支える金具を厚くするなどして強度を高めねじで固定▽鉄製の補強材(ブレース材)をV字形に設置--などを国交省に提示した。

 更に同20キロ以上の天井については、これまで行われていなかった構造計算を求め、水平方向の揺れについて、従来の最大2・2倍の強さに耐えられることなどが必要と分析。国交省は検討委の提言を参考に、建築基準法施行令や技術指針の見直しを検討する。

 既存の建物については新しい耐震基準は適用されないため、国交省建築指導課は「避難所になる体育館などはロープでつって天井面が外れても下まで落ちないようにしたり、落下防止ネットを張ったりするなど対策の必要性について検討している」と話している。

 建築基準法施行令は、建物の骨組みに当たる柱や壁などは構造計算が必要としているが、つり天井のような「非構造部材」は落ちないよう求めているだけ。01年の芸予地震と03年の十勝沖地震での被害を受け、国交省は、つりボルト同士を補強材でつなぐなど落下防止の技術指針を作っている。

----------------(引用終了)

つまり現在の基準で造られた吊り天井は、震度5強以上になったら、いつ落ちてもおかしくないと考えなければならないようです。

繰り返しますが、まずは皆様の行先で、吊り天井探しを。天井の外観と過去の被害状況は、Googleで「吊り天井 地震 被害」と画像検索すれば、たくさんヒットします。

管理人は、震災前から吊り天井の強度には不安を持っていましたが、震災で2000件も落ちていたとは、衝撃的な事実です。

でも、バッグなどでしっかりと頭を防護していれば、天井材である石膏ボードやベニア板の直撃からも、かなりの確率で致命傷を防ぐことができます。吊り金具が一緒に落ちて来るとかなり厳しいのですが、とにかく何でも頭の上に上げて、何もなければ腕でガードするだけでも、頭部への傷害を防ぐ効果は絶大です。

吊り天井は、意外に多くの場所で使われています。このニュースを見ると、地震の時に最も遭遇する可能性の高い落下物と言えるかもしれません。まずは吊り天井がどんなものか知り、常にその存在を意識しつつ、いざという時の行動を考えておきましょう。


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2012年4月17日 (火)

宮城・震災から8ヶ月の光景【4】

※画像にある赤い線は、その場所での冠水高さを示しています。

■仙台市内

東松島市から、仙台市内に戻って来ました。まず、仙台塩竃港周辺の工場地帯に行ってみます。ここにはキリンビールの工場があり、津波を受けた後の、膨大な数の黄色いビールケースが流れ出す空撮映像を覚えている方も多いでしょう。震災から8ヶ月経った当時、キリンビール工場はすっかり復旧して、普通に操業していました。震災、津波の跡らしいものは、外からは全くわかりません。

しかしその周辺では、時間が止まっていました。夕暮れが近く、辺りがだんだん暗くなって行きます。
Miyagi_216
広い道路から一本中へ入ると、ガードレールも被災時のままです。

Miyagi_212
画面奥からの水流が突き抜けた工場。船か巨大な瓦礫が流れて来たのでしょう。水深よりはるかに高い位置まで破壊されています。

8ヶ月経ってもこのような姿の工場やオフィス棟が普通で、明かりが点いている建物はごくわずかでした。中小企業の大半にとってはの8ヶ月は、復旧どころか次の目処を立てるにも短すぎる時間だったのです。他にも画像はあるのですが、ただ破壊された無人の工場を並べるのもどうかと思いますので、次の場所へ向かいます。

次に行ったのは、仙台塩竃港のすぐ南側、若林区荒浜地区です。辺りはすっかり暗くなってしまいました。この荒浜地区は、案内してくれた地元の方に言わせると、「なんでここが住宅街?」というくらい、海岸沿いの堤防の内側が普通に住宅街になっているという、海岸らしさの全く無い場所です。

住宅地からは高い堤防に阻まれて全く海は見えず、知らない人が来たら、海沿いだとは気付かないでしょう。しかしあの日、見えなかった海が、堤防を超えてきたのです。

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荒浜地区の海岸沿いにある、仙台市海岸公園センターハウス跡から、市街方面を望む。ここは堤防が決壊し、もっとも激しい水流が突入した場所です。グーグルマップの航空写真で「荒浜小学校」を検索してみてください。近くの堤防の決壊による激しい水流で、辺りの地面が激しく抉り取られているのがわかります。

かつては見渡す限り家が並んでいた場所ですが、何も無くなり、8ヶ月経ってもだれおらず、遠くを走る車のライトしか見えません。画像中央にポツンと見えるのが、荒浜小学校です。ご覧の通り、小学校以外には避難できるような場所は皆無でした。水は、2km以上内陸を走る、仙台東部有料道路の土盛りまで、すべてを押し流しながら到達したのです。

Miyagi_221
荒浜小学校の校舎。水は二階の床上にまで達したものの、建物自体はほとんど損傷していません。ここの屋上から、避難者がヘリコプターで吊り上げられる映像をご記憶の方も多いでしょう。

隣接する体育館を見ると、当時の水位が良くわかります。
Miyagi_223
この体育館にいたら、事実上逃げ場は無かったでしょう。水は二階席以上の高さにまで上がったのです。めくれ上がった外板が、それを物語ります。

Miyagi_254
学校近くの用水路には、学校の施設だったのでしょうか、コンクリート造りの小屋が根こそぎ流され、転がったままです。津波直後は、この用水路も瓦礫で埋まっていたのでしょう。泥だらけになった、遺体発見を示す赤い布が残されたままです。

Miyagi_255
用水路の水門にある分厚い鉄製の昇降機が、根元からあっさりとへし折られてています。濁流と瓦礫の破壊力がいかに強大か、無言のうちに物語ります。それにのみ込まれて助かったら、それは奇跡としか呼べないでしょう。ここにも、どす黒く変色した赤い旗が残っています。それは、被災地ではごく「普通」の光景なのです。

Miyagi_262
損傷したままの建物付近から、荒浜小学校方面を望む。この場所は、数百、数千の暮らしがあった場所なのです。でもあの日から8ヶ月も経つのに、明かりひとつ無い暗闇です。そしてこんなに広大な場所なのに、全被災地の何万分の一かでしかないという現実を、実感として理解することなど到底できません。被災地を見ればみるほど、「未曾有」という言葉が、巨大な怪物のように襲い掛かってくるのです。

このあと、閖上(ゆりあげ)地区、名取市から仙台空港まで移動しましたが、海岸と並行する道の両側には、ほとんど明かりがありませんでした。破壊された日常の、あまりの大きさに、ただ戦慄するしかありません。

次は、石巻市へ向かいます。なお、このシリーズの次回の更新まで、少しお時間を頂戴したいと思います。写真とyoutube動画でお送りします。状況は、さらに凄まじいものでした。


※文中、荒浜地区を「宮城野区」としていましたが、「若林区」の誤りでした。本文を訂正しました(2012,4,18)
※「仙台市海岸公園センターハウス」が検索ヒットしないため、本文中の検索ワードを「荒浜小学校」に変更しました(2012,4,18)


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首都圏直下型地震を生き残れ!【9】☆買い物編

■買い物で生き残れ(その2)

今回は、管理人が日常の買い物の中で危険度が高い場所と判断するもうひとつの場所、「デパ地下」について考えます。条件としては、ビルの地下にある食品売場ということです。

で、のっけから逆の話なのですが、ビルの地下は、地震に対してはかなり安全な場所です。地下は地面と一体になって揺れるので「共振現象」による構造破壊が起きず、揺れ自体も上層階より小さくなります。もし仮に地上部分が大きく崩壊しても、地下の生存空間が大きく失われる可能性は小さいのです。つまり、地上への脱出経路さえ残っていれば、それほど慌てなければならない場所ではありません。では、何が危険なのでしょうか。その要素は4つ。「混雑」、「食品」、「通路」と、「地下」であるということです。

皆様も、デパ地下の様子を思い起こしてみてください。まず「混雑」。人気のデパ地下は、狭い通路にたくさんの人が溢れていることが多いものです。それだけで防災的には難しい要素となるのはおわかりいただけるでしょう。

次に「食品」。とはいえ、食品が問題なのではありません。問題は、ショーケースです。生鮮品、菓子類が多い売場ですから、ガラスショーケースが密集していることが危険要素となります。

では次の「通路」とは。デパ地下は、一般に小さなテナント店舗で構成されています。そのため、通路が「回遊性」を考慮した、防災的にはあまり望ましくない形になっていることが多いのです。

皆様も、デパ地下で「道に迷った」経験はありませんか?目当ての店や出口を探しているうちに、「あれ、この店の前さっき通ったよ」というような。実は、それは意図的な通路設定によることもあります。

つまり、できる限り多くの店舗の前にまんべんなく客を導いて商品を見てもらうために、ちょっと乱暴に言えば「迷いやすい」動線構成になっています。デパート側としては、表現は悪いのですが、客をマグロのように店内をぐるぐる「回遊」させて、目的外の「獲物」も見てもらい、それに食いついてもらおうことなのです。

念のため申し添えますと、通路が望ましくない形というのは、あくまで理想的な避難動線ではないということであり、消防法で規定された安全のための要件は満たしているはずですので、その点は誤解のなきように。

そして、もうひとつは「地下」であるということ。最初に安全性が高いと言ったじゃないかと突っ込まれそうですが、それは建物のこと。危険なのは「人」、さらに言えば、「人の心理」です。人は地下に入る時に、無意識のうちに圧迫感、閉塞感を感じていることが多いものです。地下鉄に乗る時、地上の電車より、なんとなく不安になったりすることは無いでしょうか。あまり自覚していなくても、深層心理では、「地下=逃げ場が無い」と思いやすいのです。

それら4つの要素が、大地震の発生時には、負の相互作用をすることが考えられます。

デパ地下にいて、例の「ドン!」を感じたとしましょう。その瞬間の多くの人の心理は、「大地震だ!すぐに地上に出なければ!」となりやすい。階段は、エスカレーターはどっちだ?周りを見回しても、すぐにはわからない。

とりあえず、多分こっちだと思う方に走り始める。でも、逆方向だと思う人も多く、狭い通路で人の波がぶつかる。思うように進めず、さらに焦る。そこへ大きな揺れが来て、あちこちから悲鳴が上がり、場合によっては照明が消える。すぐに非常灯がついても、薄暗い。恐怖感がMAXになる。

避難誘導訓練を受けた店員は、おそらく「大丈夫!頭を守る!その場を動かない!」のように叫ぶ。一部の人はそれに従うが、我を失った人々がそこへ突入する。薄暗く、激しい揺れの中で、狭い通路でパニックになった人々が衝突する。

どこからか、「こっちが出口だ!」と聞こえる。一旦止まった人々も、その声の方向に、我を忘れて走り始める。早く地上に出なければ。でも通路は狭く、曲がっている。他の通路と合流する場所で、人の波が衝突する。何人かが転び、後から殺到する人々がつまづき、次々にのしかかる。

そんな大混乱の周囲には、たくさんのガラスショーケースがある・・・

などと、書いていてなんだか胸が悪くなりますが、こんなのが最悪のシミュレーションなのです。多分、デパートなどに立場に配慮しなければならないプロの防災屋だったら、こんなことは書かないでしょう。あくまで内々の話にしておくでしょう。でも管理人は何のしがらみもない、アマチュアの防災ブロガーですから。でも、書いている内容には責任を持ちますが。

もし最悪中の最悪を考えたら、もっと酷いことになるかもしれないのですが、それは流動的な要素にもよりますので、とりあえず「基本的な最悪」という感じでしょうか。

「ではどうするか?」という話は、次回ということで。

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2012年4月16日 (月)

【シミュレーション解説編】地震・オフィス

本編の解説編です。

このストーリーでは、1980年以前に建築された「既存不適格建物」(現行の耐震基準を満たさない建物)であるオフィスビルが倒壊してしまいます。そうなったら、いかなる事前の対策も無意味になってしまいますし、個人レベルで対策できるものでもありませんから、書いていて「シミュレーションとしてはどうなんだろう」という思いがありました。

でも、耐震強度の低い建物は、いかなる細かい対策をも無意味にしてしまう危険性があるという現実を知っていただきたくて、敢えてこのような形にしました。このビルを倒壊させないためにできることは、全面建て替えを除けば、耐震補強工事しかありません。

そしてそれ以前に、オフィス内の状況や行動に、問題がたくさんあるのがおわかりいただけたと思います。箇条書きにしましょう。まず、オフィス内の状態から。
■ロッカーの転倒防止対策が取られておらず、さらに上には重い段ボール箱が置いてある。
■ロッカー類が倒れると、人を直撃したり、脱出経路を塞ぐ配置になっている。
■デスクの島と壁の間にスペースが少なく、デスクが動くと人が挟まれる配置になっている。
■ロッカーのガラス扉や窓ガラスに、飛散防止フィルムなどの飛散対策がされていない。
■机の下に物がたくさん置いてあり、もぐりこめるスペースがない

次に、課員の行動について。
■最初のたて揺れ(初期微動)を感じても、誰も避難行動に移れていないので、おそらく普段から意識も訓練もできていない。
■激しいよこ揺れが始まっても、一部を除いて身を守る行動に移れていない。
■停電を想定した非常用照明が準備されていない。また、あったとしてもその存在が認識されていない。
■無事だった者が、重傷者の存在を知りながら、救護もせずに助けを呼びに行こうとした。

とまあ、散々な会社のようです。本文に書いてはいませんが、これではヘルメットなどの防災グッズ、非常用食糧や水、帰宅困難対策セットなどが用意してあるとも思えません。意識も、訓練も、対策も、備蓄もまったく無く、徒手空拳で大災害を迎えなければならなかったのです。そして、そのことを社員のだれも気にしていなかったようなニュアンスも感じますね(←他人事みたいに言ってますが、管理人の作です)

もちろん、これは最悪を想定したフィクションなのですが、この貿易会社の状態と社員の行動を完全に笑い飛ばせる方、どれだけいらっしゃるでしょうか。ご自分のお勤め先のいろいろを、良く思い出してみてください。そして、何か不備があったら、上の方と相談して、できるだけ対策を進めてください。

殺し文句(になるかどうかは保証しませんが笑)は、「社員の安全はBCPの基本ですよ!」

最近は、災害被災後における企業のBCP(事業継続計画)の策定や、ハード面での対策が一種の流行みたいになっていますが、一番基本となる部分をおろそかにしている例は、はっきり言ってかなり多いのです。

その基本とは、前述の通り社員の安全です。まずオフィス内で怪我をさせない。帰宅困難時等に十分な支援をする。社員の家族の災害対策までアドバイスし、災害時にもできるだけ支援をする。家族が無事でなければ、社員は仕事に打ち込めないからです。そんな大して費用もかからず、コンサルもいらない(笑)対策が、その気になればすぐにも可能です。そしてその効果は、BCPの効果を最大限に発揮できることでしょう。人が動かなければ、いかなるプランも動かないのです。

ちょっと話が逸れますが、外回りの人の「帰社困難」というのは、帰宅困難よりかなり深刻ですよね。防災グッズ類もあまり持ち歩けませんし。そんな時の対策も、企業としてやっておくべきでしょう。例えば、災害時でも繋がりやすいPHSを貸与するだけでも、状況はかなり改善します。これはもちろん社員の安否確認や安全確保のためでもありますが、仕事面でもより素早い対策、対応ができる可能性があります。

管理人が本編であるシミュレーションストーリー・オフィス・地震編をmixiのコミュニティにアップしたのは、2008年3月13日。東日本大震災の三年も前です。被害のイメージとしては、阪神・淡路大震災の状況を反映していますが、地震災害で起こることとその対策は、ずっと前から、そして今でも大して変わっていないということがおわかりいただけると思います。


最後に、本編では地震が起きる前に夜空に閃光が走っています。これが大地震の前に実際に起きるかというと、実のところ、可能性は余り無いと思います。昨年4月に宮城沖で起きた大規模余震の際にテレビに映った閃光は、揺れによる変電所のトラブルだということがわかっています(オカルト派は無茶な解釈をして楽しんでますが)。

ではこれは何を表現したかというと、お気づきの方もあるかもしれませんが、管理人が防災の道に入る原点となったバイブル、小松左京先生の「日本沈没」において、主人公の小野寺が伊豆の海岸で「東京大地震」に遭遇するシーンへのオマージュです。あちらは、幕のような電光によって天城山系の稜線が浮かび上がりますが、それをビルの稜線で表現してみたものです。科学的根拠は薄弱ですので、その点はご勘弁ください。


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首都圏直下型地震を生き残れ!【8】☆買い物編

■買い物で生き残れ(その1)

一般に防災の話というと、どうしても「男性目線」になりがちなもので、自宅やその近所にいる時間の長い、主に主婦の皆様にとっては、あまりリアリティがなかったりします。今回は、ハウスキーピングをしている皆様が遭遇する危険のうち、買い物に出ている最中に大地震に遭遇した場合を考えてみます。

なお管理人は男性ですが、頻繁に日常の買い物に出ていまして、その経験と検証によって導き出された内容でお送りします。当ブログにアップする内容は、机上の空論ではありません。

日常の買い物において危険度が大きいと思われる場所は、スーパーマーケット(コンビニ、ディスカウントストア等も含む)と、いわゆる「デパ地下」やそれに似た場所です。まずはスーパーマーケット(以下スーパー)から考えてみましょう。

スーパーで大地震に遭遇した場合、考えられる大きな危険は、展示商品の崩落と天井の落下です。一般的なスーパーでは、基本的にはレジ以外に店員が配置されていないため、少なくとも揺れている最中に店員による避難指示、誘導はあまり期待できませんから、自らの判断と行動で危険を避けなければなりません。

一般に、広い店舗内で大地震に遭った場合、まず通路の中央で頭を守りながら姿勢を低くして、揺れが収まるのを待てと言われます。しかし幅が3m以上ある通路(これは避難動線として設定されています)ならともかく、棚の間の狭い通路やワゴンが並んでいる場所では、商品の崩落を完全に避けるのは難しいのです。

できることなら、最初のたて揺れ、例の「ドン!」や大きな「ガタガタ」を感じたらすぐに、できるだけ安全な場所へ移動したいものです。特に離れなければならない場所は、酒類、食器などガラスや陶器が多い場所、精肉、鮮魚コーナーなどガラスケースのある場所、家電品など重量物が多い場所です。

もし強い揺れが始まってしまっても、過去の地震における監視カメラ映像を見ると、崩れて来る商品が通路中央を直撃する可能性はあまり大きくないことがわかりますから、とにかくスーパーやデパートなど陳列棚が多い場所ででは「通路中央へ」、これが基本です。スーパーやコンビニの陳列棚は、底部が幅広くて重心が低い構造のため、激しい地震でも、棚ごと転倒することはまず無いと考えて良いでしょう。阪神・淡路大震災の直下型の震度7でも、陳列棚ごと転倒した例は無いはずです。

ですから、まず揺れが大きくなる前に危険な商品がある場所をできるだけ離れ、床の上を激しく動く陳列棚にはじき飛ばされないように、通路の中央で姿勢を低く保つのです。陳列棚が存在することで、もし天井が広範囲に落下してきた場合でも、生存空間が残る可能性が大きくなるというメリットもあります。

そこで良く言われるのが、頭を守るために「買い物カゴを頭にかぶる」という方法ですが、管理人に言わせれば、これも机上の空論。確かにスーパーの買い物カゴは強度と耐衝撃性に優れているので、落下物から頭を守るためには効果的ではあります。でも多くの場合、買い物カゴにはすでに商品が入っているわけです。強い地震を感じた瞬間、その中身を床にぶちまけて頭にかぶれるかというと、なかなかそうは行かないのではないですか?そうしろと口で言うのは簡単ですが、それは防災ヲタ(笑)の管理人でも難しい。

ですからまだ買い物前か、手近に空のカゴがある場合以外は、その方法は現実的では無いのです。さらに、カゴをカートに乗せていることも多いはずです。ならば、そのカートを利用しない手はありません。

ところで、姿勢を低くする方法ですが、どんな体勢を想像されていますか?ニュースで見られるデパートなどの避難訓練では、バッグなどで頭を守りながら、通路にしゃがんでいる姿が見られます。しかし大きな被害が出るような地震の場合、しゃがんだだけでは確実に転び、床の上を転がり回ることになります。せっかく離れた陳列棚の近くに飛ばされ、商品の直撃を受けるかもしれません。特にハイヒールをはいている場合には、簡単に転んでしまいます。

姿勢を低くするとは、最低でも片膝、できれば両膝を床について、がっちりと踏ん張ることです。スカートの裾の乱れもストッキングの伝線も、イザとなったら無視するだけの心構えをしておきましょう。命がかかっているのです。実際には、四つん這いならなければ身体を確保できない、さらにそれさえ困難な揺れになることもあります。

そんな場合、重い商品を載せたカートが床の上を走り回り、身体にぶつかって来るでしょう。そのダメージもかなりなものになるはずです。そこで、姿勢を低くしながら、カートの脚をがっちりと捕まえるのです。キャスター付きのカートは、強い揺れの中では激しく動き回ろうとします。それをがっちりと捕まえ、全身に力を込めて押さえつけるのです。

その際に、管理人が考える理想的な体勢は、カートの下段に上半身を入れてしまい、床についた両膝を踏ん張り、カートの脚をしっかりと両手でつかむ形です。激しい揺れの中では容易ではありませんが、その体勢は、棚からの商品の落下、天井の落下、他のカートの衝突から身体を守る面積が一番大きくなります。特に一撃で命に関わる頭、首と上半身を、何がなんでも守らなければなりません。これはカートだけでなく、下部が開いたタイプの商品ワゴンでも可能です。

小さなお子さんが一緒だったら、カートの下段に押し込んでから、上段よりも姿勢を低くしてカートの脚をつかみ、思い切り踏ん張って暴れないようにします。親御さんの気持ちとしては、自分の身体でお子さんを守りたくなりますが、その他の方法があるうちは、ギリギリまで「一緒に生き残る」方法を採るべきです。自分の身体だけで守るのは、最後の手段です。

その他の方法として、カートを横倒しにして、上段と下段の間にお子さんの身体や自分の頭を入れて床に伏せれば、真上からの小さなもの以外の直撃が避けられますが、やはりとっさに床に伏せるのは難しいものですし、伏せてしまうと周囲の状況がわかりずらく、すぐに動くことも難しくなりますので、これはひとつの参考としてお考えください。


次に、天井の落下について。普通の天井があまり高くないビルならば、石膏ボードなどの天井材が落ちて来ても、それほど大きな衝撃にはならないと思われます。これに対し、ホールのような天井が高い建物の場合に多い「吊り天井」というタイプは、高い場所から天井材と固定金具がまとめて落ちてくることがあるので、非常に危険度が高いのです。

東日本大震災で、茨城空港ビルの「吊り天井」が落下した瞬間の映像をご覧になった方も多いと思います。できたての最新工法のビルでも、残念ながら地震で「吊り天井」の落下が起こるということの証明です。あの直下にいたとしたら、少なくとも頭と上半身を十分守っていなければ、致命的な結果になったでしょう。2005年の宮城県沖地震では、屋内プールの「吊り天井」が落下して、泳いでいた人の多くが負傷しています。

天井の落下に関しては、この「吊り天井」が最も危険と考えられますから、普段良く行く場所に関しては、「吊り天井」かどうかを確認しておくことをお勧めします。建物の構造を見慣れれば、ひと目で判断することもできるようになるでしょう。ひとつの目安として、大規模ショッピングモール、空港や駅のホール、劇場や映画館、体育館など、柱の少ない、天井の高い建物に使われることが多いタイプで、その空間が広いほど落下の危険性が大きくなり、天井が高いほど落下の衝撃が大きくなります。

Googleで「吊り天井 地震 被害」をキーワードに画像検索すると、過去の被害例や典型的な構造の画像がたくさんヒットしますので、ご覧になってみてください。ちなみに、「吊り天井」だけだど、ほとんどプロレスの技ばかりになります(笑)

これに限らず、普段良く行く店などでは、常に安全性の高い場所や避難経路を意識し、「その時どうするか」というシミュレーションをしておく事が、「生き残る力」を最大限に上げる方法なのです。

次回は、次の「デパ地下」について考えます。


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2012年4月14日 (土)

地震関連情報4/14

■福島・茨城の地震に警戒を。

福島県沖で、非常に高い頻度で地震が発生しています。4月13日(金)の午後7時10分に発生したマグニチュード5.9、最大震度4の地震以来、本日14日の午後11時18分までの間に、震度1~3の地震が17回発生しています。震源は毎回ほぼ同じ場所で、深さも20kmと共通しています。

マグニチュード5.9程度の地震の余震としては非常に多い数であり、余震というよりも、何かそこで連続して発生する発震機構が存在するように思われます。

ただし、小さな地震が多発したからと言って、必ずしも大きな地震に繋がるものでもありません。しかしこの活動がどのような理由なのか、今後どのように推移して行くのか全く不透明なため、当分の間は警戒レベルを上げるべきです。


その一方で、茨城県北部内陸及び沖での地震発生回数が、若干増加傾向にあるようです。こちらは震災後ずっと多発している震源域で、発生回数の増減を繰り返しながら現在に至っています。震災後のレベルとしては特に異常という状況ではありませんが、念のため警戒してください。

もっとも、警戒と言っても備えがしっかりしていれば、あとは「心構え」くらいなものですが、それがイザという時の素早く正しい行動に繋がるのも確かです。無闇に怖れず、しかし必要な怖れを忘れずに。

また、上記の震源に限らず、他のどこで大きな地震が起きてもおかしくない状況です。上記はあくまで参考情報として捉えていただき、皆様のそれぞれの地域で、大規模地震への備えを進めていただきたいと思います。


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やっぱりこの程度か

最近、当ブログの検索ワードに「NHK ゆうどきネットワーク 防災グッズ」というのが多いので、番組サイトへ行って、どんな内容の特集だったのかを見てきました。

「危機管理アドバイザー」なる人が、普段持ち歩く防災グッズについて「指導」していたようで、リストがありましたのでコピーしてきました。それが下記。まさかこれに著作権は主張しないよな(笑)

--------------------------
【常にバッグに携帯するもの】
ゼリー飲料/携帯トイレ/マスク/ばんそうこう/バンダナ/ゴーグル/目薬/小型のペンライト/笛/携帯電話の予備の電池/小型のラジオ/防寒グッズ(使い捨てカイロ、アルミ製のシート)
--------------------------
なんでも、被災者にインタビューした「あの時あったら良かったもの」だそうですけど、この内容、皆さんどう思われますか?このブログをびっしり読んでいただいている方なら、管理人がどこをツッコミたいかおわかりかも。

まず、ゼリー飲料。そりゃ無いよりマシですけど。代表的なのは、ウイダーインゼリーでしょうか。でもあれ、100グラム以上ありますよね。それで補給できるカロリーはどれくらいかというと、たったの180kcalなんですよ。管理人お勧めのカロリーメイトは、90グラムで400kcalです。みなさんどちらにしますか?

バンダナってのも良くわかりません。放送を見ていないのでわかりませんが、頭や首に巻いて防寒用にしたり、傷口を縛って止血するとかでしょうか。でも、バンダナの大きさ、薄さでは中途半端なんですけど。首もとを閉じて暖気が逃げないようにするには不足です。ちなみに管理人、バイク乗る時にバンダナは使ってます。でも、防災用としての用途は思いつきません。所詮は大きめのハンカチですし。管理人のお勧めは、白タオルなんですけどね。どちらの方が使い勝手がいいと思いますか?

ゴーグル・・・は?って感じです。これは目薬と合わせて、被災地で猛烈なホコリに悩まされたという声からなんでしょうが、まず、メガネ使用者は無視されてますね。メガネ対応の大型ゴーグルを普段から持ち歩けとでも?それに、猛烈なホコリが出るのは、津波や液状化被災地でも、被災後しばらくして、泥が乾燥してからなんですけど。それが何故普段持ち歩くグッズなんでしょうかね。でももし持ち歩くなら、管理人のお勧めは水泳用ゴーグルです。視度補正レンズつきもあります。

小型のペンライト。これなど一見まともですが、あんた一度でも真っ暗闇歩いたことあるんですか?と問いたいですね。しかも災害後の危険物だらけの場所で使うものですよね。ペンライト程度で安全に歩けるというなら、どうぞご自由に(なんかだんだん腹立ってきた)。管理人は、25ルーメン(照度単位)以上のLEDライトをお勧めしています。これは、感覚的には真っ暗闇で5メートル先の人の顔が鮮明に識別できるレベル以上のものということです。持ち歩くに負担にならない小型のものでも、十分な性能のものはたくさんあります。ペンライトでは、目の前の足元も十分に見えませんよ。

携帯電話の予備の電池ってのも、なんだか浮世離れしてますね。リチウムイオンの予備電池を常時フル充電で持っていろってことでしょうか。でも、それを使い切ったらおしまいじゃないですか。第一、携帯の電池って数千円しますよね。管理人としては、できれば手回し充電器が欲しいと思いつつ、持ち歩くにはちょっとかさ張るので、次善の策としてコンビニで売っている乾電池式の充電器をお勧めしていますが。

その他のものは、一応管理人のお勧めとほぼ同じです(細かい点は言いたいこともありますが)
ただ、これでは全然ダメですね。一番大事な、場合によっては命に関わるものが入っていません。

まず「防水」。雨具が無いのが全く解せません。被災直後や帰宅困難時にカサさして歩けとでも?カッパやポンチョがあれば防寒にもなります。100均もので十分です。冬場は服濡らすと、命に関わりますよ。でも一番役立つのは、暴風雨やゲリラ豪雨の時ですし。

ついでに言っておくと、「アルミ製シート」、いわゆるレスキューシートを防寒用としていますが、あれは移動中にはろくに保温できません。じっとしているなら効果的ですが、服の上から羽織るようにしても、すごく軽い素材なのですぐにふわふわ浮いてしまいます。コートの下とかに巻きつけるのなら効果がありますが、それも思うほど簡単ではありません。そんなものですから、移動中に雨具代わりにつかうためには、穴をあけて首を通したり、ガムテープで目止めするなど、それなりの工夫が必要です。できることなら、一枚開けて試して見てください。実はかなり扱いづらいものなんですよ。

そしてもうひとつ。「水分」はどうするんですか?これが一番無いと辛く、命に関わるものなのですが。水そのものを十分な量持ち歩くのは現実的ではないので、管理人としては「浄水ストロー」や「スーパーデリオス」(中空糸膜フィルター浄水器)をお勧めしています。確かにそれほど一般的なものでは無く、価格もそれなりにしますけど、命の根幹である水分を無視するような奴が、プロの「危機管理アドバイザー」とは笑わせますね。カネとってその程度か。こんな机上の空論が「NHKでやっていた知識」として、信頼度をともなって広まるのは、許し難いものがあります。

実は、管理人がmixiで防災コミュニティを始めたり、さらにこのブログを始めた最大の理由は、防災に関するこのような不十分な情報や机上の空論が、世間にあまりにはびこっているからなのです。震災後、少しはまともになったと思っていたら、まだまだこんな状態、それもNHKがやるとはね。

少しだけ毒吐かせていただきました(笑)もしご意見などありましたら、ご遠慮なくどうぞ。

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2012年4月13日 (金)

首都圏直下型地震を生き残れ!【7】☆オフィス編

■オフィスで生き残れ(その4)

今回は「プレート境界型(海溝型)地震」の特徴についてです。なんだかオフィスに限らない話になって来ていますが、これはすべてのケースに共通することですので、このまま続けます。

ひとつ注釈しておきますと、内陸直下でもプレート境界型地震は発生します。例えば、懸念される南関東直下型地震もプレート境界型となる可能性がありますが、ここではプレート境界型のうち、海底のプレート境界である海溝付近で発生する、いわゆる「海溝型」地震について考えます。

「内陸直下型地震」の典型例は阪神・淡路大震災や新潟中越地震、東日本大震災翌日の、長野県栄村地震などです。これに対し、「プレート境界型(海溝型)地震」は、東日本大震災や、想定される東海・東南海・南海地震などが該当します。「内陸直下型地震」との違いは、震源が海底で、ある程度陸地からの距離があり、津波が発生する可能性が高いということです。

震源と陸地の距離が開いていると、いきなり「ドン!」と突き上げられるのでは無く、最初のたて揺れ「初期微動」はガタガタ、ビリビリという感じになりやすくなります。これは東日本大震災で実際に感じられた方も多いことでしょう。

そして震源と陸地との距離が長くなるほど、速度の違う「初期微動」(P波)と次に来る横揺れ「主要動」(S波)が到達する時間差が大きくなり、一旦おさまりかけた後、大きなよこ揺れが来るように感じることもあります。もちろん、震源が陸地により近ければ、たて揺れからよこ揺れへ途切れなく続くこともありますが、「内陸直下型地震」のように、たてよこが混ざった激しい揺れに、いきなり襲われる可能性は比較的小さいのです。つまり「緊急モード」に転換し、避難行動を取る時間的余裕が多少は大きいといえます。

ところで、かつてはこんな地震標語がありました。
「1分過ぎたらもう大丈夫」
確かに、ほとんどの場合はそうなのです。地震が「単発」ならば、大きな揺れが1分以上も続くことはまれです。ところが、東日本大震災で経験したように、複数の震源が連鎖した場合は、さらに長い時間に渡って揺れが続きますし、本震が収まらないうちに、大きな余震がいくつも発生することもあります。

しかもその場合、連鎖のパターンにもよりますが、しばらく小さな揺れが続いた後、突然大きな揺れが来ることもあります。これは多くの皆様の記憶にも新しいところでしょう。ですから、最初の揺れが大したこと無いと感じたからといって、すぐに警戒を解いてはいけません。複数震源域が連鎖した場合、例えば震度4くらいから、震度6~7クラスに発展することもあり得るということです。

震災後、東日本を中心に連日のように地震が続いているせいもあり、すぐに「この程度なら大したことは無い」と判断してしまいがちですが、やはりいま一度、あの震災の体験を思い起こすべきでしょう。もし東海・東南海・南海地震が短時間で連鎖した場合は、今度は関東から九州までの地域の方が、「あれ」を体験することになるのです。


「内陸直下型地震」の場合は、複数震源が連鎖する可能性はあまり指摘されていません。これに対して「海溝型地震」の場合は、海溝に沿って「地震の巣」が並んでいるわけですし、ある程度の期間内における連鎖は、過去何度も起きていることがわかっています。でも東日本大震災のような激烈な規模とごく短時間での連鎖は、具体的にはあまり想定されていませんでした。

しかしとにかくあの震災が実際に起き、大規模な地殻変動の影響によって、日本列島全体が震災前より地震が起きやすい状態になっているのは間違いないのです。

本題からだいぶ離れてしまいましたが、最後にまとめを。

最も危険な揺れが発生する、大きな「内陸直下型地震」の場合は、震源の近くでは「ドン!」や「ドドドッ!」という突き上げを感じることが多く、その場合はすぐ直後に強い揺れが襲って来るので、最短時間で身の安全を確保する行動をしなければなりません。一刻の猶予もありませんから、「ここで地震が来たらどうするか」という視点で、普段から取るべき行動を考えておくことです。

一方、大きな「海溝型地震」の場合は、最初のたて揺れは「内陸直下型地震」ほど激しく無い「ガタガタ」、「ビリビリ」という感じになりやすいのですが、そこで地震の規模を安易に判断せず、すぐに避難行動に移る必要があるのは変わりありません。そして複数震源が短時間で連鎖した場合には、比較的小さな揺れから突然大きな揺れに変わることもありますので、常にその可能性を考えて、危険が完全に去ったと判断できるまで、避難行動や身を守る行動を続けなければなりません。

震災後、震度5弱程度の地震は珍しくなくなりましたし、東日本を中心に多くの方がその規模を体験されています。でも事実上、その程度の震度では大きな被害が出るほどではありません。

過去に広範な被害が出るような地震を体験されていない方も、それ以上、つまりご自分が体験された最大の地震より「大きい」と感じられたら、様子を見たりせず、迷わず避難行動に移ってください。そして、最も安全で効果的な避難行動のために、普段から「その時、その場所ではどうするか」を具体的に考え、必要なものを揃え、できるだけ実際に動いてみてください。それが「生き残る力」を確実に強くします。


・・・などと言う内容は、シリーズ最初に書くべきでしたね。それではこれから、オフィスに続いて都市生活のいろいろな場面における避難行動について、具体的に考えて行きます。

正直なところ、この辺まではそれほど珍しく無い内容ではありますが、この先は管理人独自の、妙にうがった目線(笑)でお送りします。

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2012年4月12日 (木)

【シミュレーションストーリー】地震・オフィス

この物語は、災害に直面し、最悪の結果になって しまった状況を想定したフィクションです。 登場人物の行動や周囲の条件に、防災の視点からすると問題のある部分が含まれています。この場合、 どのような準備や行動をすれば生き残れる可能性が生まれたかを考えてみてください。後ほど、解説編もアップします。
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20XX年 12月19日 午後6時17分
東京都品川区某所 
8階建てオフィスビル(1979年建造)の7階
新藤賢一 36歳 貿易会社営業課長
-------------------------------------------------------------

どんよりとした黒い雲が低く垂れ込めた、底冷えのする 日だった。天気予報では、今晩はこの冬一番冷え込みに なりそうだと告げている。陽が落ちてからは次第に北風が強くなり始め、とにかく寒い晩になりそうだった。

新藤は外回りから会社に帰ると、休憩コーナーの自販機で紙コップのブラックコーヒーを買ってから、7階のオフィスにある自分のデスクに戻った。少しかじかんだ手に、コーヒーの温かさが染み込んで行くようだ。
「課長、お帰りなさい。」
「お疲れ様です。」
部下から声がかかる。

「外、寒そうですね。」
「ああ、かなり冷えてるぞ。風が出てきた。」
新藤の向かいのデスクに座った、入力オペレーターの島村美紀に答える。このフロアには新藤の部下10人がデスクを 並べているが、まだ外回りから戻っていない若手の竹内を除いて、他の全員が揃っていた。

とりあえず一息入れてから書類の整理を始めるつもりで、新藤は自分のデスクの椅子に腰を下ろした。ふた口目のコーヒーを口に含んだその時、窓から見える南東の空 ―東京湾の方向― で、真っ黒な雲の中に稲妻のような閃光が走り、ずっと遠くまで連なるビル群の稜線が影絵のようにくっきりと浮かび上がった。その閃光は地上から空へ向かって走っているように見え、少し間をおいて2回、3回と繰り返された。

「なんだあれは。雷か?」
そうつぶやきながら、コーヒーの紙コップをデスクに置いたその時、ビル全体がギシッと軋んだような気がして、新藤は思わず椅子から腰を浮かせた。次の瞬間、巨大な獣の咆哮のような地鳴りが、地底から湧き上がって来た。ほぼ同時に、ビル全体より数倍も重いハンマーで真下からぶち上げられたような衝撃が連続して、ドン!ドン!
ドン!と襲いかかって来た。

デスクにうず高く積んだ書類の山が崩れ、パソコンの液晶モニタが衝撃にあわせてデスクの上を飛び回った。新藤は頭の隅で
「地震だ、でかい・・・。」
と思ったものの、中腰になったままなす術もなくデスクにしがみつきながら、デスクの上からコーヒーの紙コップが飛び上がり、スローモーションのように床に向かって落ちて行くのを眺めていた。

ベージュのリノリウムタイルにコーヒーが撒き散らされた時、ほんの一秒にも満たない間、静寂が訪れた。
「逃げなければ・・・。」
新藤は机にしがみついたまま周りを見回すと、ほとんどの部下は椅子に座ったまま恐怖で固まっていた。何人かは机の下にもぐり込もうとしたが、足元に置いた書類の詰まった段ボール箱が邪魔をして果たせなかった。しかし、幸運なことにこのフロアの全員が、ともかく無事のようだった。

新藤が部下に声をかけようとした瞬間、ビル全体がビリビリと震えたかと思うと、床がゆっくりと少しだけ左右に揺れ、ほんの半秒後には猛烈な加速度と振幅を伴った横揺れが始まった。視界全体が突然流動体になったように、妙な形に歪む。中腰のままだった新藤は、そのまま足元をすくわれて尻餅をつき、隣のデスクに後頭部を打ちつけた。すぐに立ち上がろうとするが、床は巨大なミキサーの中で渦を巻くかのように激動し、四つんばいになることさえ出来ずに転げまわった。

揺れ始めて数秒後には照明がすべて消え、視界が全く失われた。暗闇の中でロッカーや書棚がデスクの方に倒れ掛かり、ガラスが 砕けて飛び散る音が響く。11台のデスクは島になったまま床の上を狂ったような速度で左右に動きまわり、何人かはデスクと壁や書棚の間に挟み込まれて、大腿部や骨盤や肋骨を何箇所もへし折られた。さらにその上にロッカーや段ボール箱が崩れ落ち、ロッカーの角が側頭部に深く食い込んだ派遣社員の高多恵と、20kg以上はある段ボール箱が後頭部を直撃した営業係長の下山信吾が一瞬で絶命した。倒れて来た書棚のガラスに頭を突っ込んだ新婚の中原達也は、首の右側を割れたガラスで深く切り裂かれ、血が噴水のように吹き上がった。

新藤は床に這いつくばったまま、窓ガラスが爆発するようにはじけて、粉々になった破片が階下からのわずかな明かりに きらめきながら落ちていくのを呆けたように見ていた。暗闇と轟音の中で島村美紀の悲鳴が聞こえたような気がしたが、自分が転げ回らないようにするのが精一杯だった。

揺れ始めてからどれくらいの時間が経っただろうか。狂ったような揺れが少しずつ小さくなって来た。その時になって新藤は、全く身動きできなかった自分の方には、何も倒れかかって来なかった幸運を自覚した。後頭部に違和感を覚えて手をやると、かなりひどく出血しているのがわかったが、骨は大丈夫そうだった。1分半ほど過ぎて、揺れは完全に収まった。

暗闇の中、新藤は手探りでデスクにつかまって立ち上がる。舞い上がった大量の埃の臭いが、鼻腔の奥を刺激する。大変なことになった。
「みんな、大丈夫かー?」
「大丈夫です。でも、動けません・・・。」
最初に返事があったのは、島村美紀だった。小柄な美紀はなんとかデスクの下にもぐり込んだが、その上に書棚が 倒れ掛かってきて、撒き散らされた重いファイル類が身体にのしかかり、身動きができなくなっていた。

「ほかはどうなんだ、生きてるのか?」
そう言ってから、新藤は自分が当たり前のように恐ろしい問いかけをしていることに気付いて戦慄した。新藤の問いに、返事は無かった。その代わり、苦痛に満ちたうなり声がいくつも暗闇から聞こえて来た。
搾り出すような
「骨が・・・やられた・・・」
という声は一番若い松阪真一郎のようだ。

「もう大丈夫だぞ!すぐに病院に連れてってやるからな!」
気休めかもしれなかったが、新藤はそう言わずにはいられなかった。やがて暗闇に目が慣れてくると、想像もできなかった光景が浮かび上がってきた。壁際のロッカーや書棚はひとつ残らず倒れ、デスクの上にあったパソコン類もすべて床に投げ出されていた。自分以外は皆倒れたロッカー類の下敷きになっていて、だれも自力で這い出せないのだ。コンクリートの壁面には、深く抉られた無残な亀裂がいくつも走っている。

自分一人ではどうにもならないと考えた新藤は、とにかく助けを呼ぶためにビルの裏手にある非常階段に向かおうとして、目の前を塞ぐロッカーを乗り越えようとした。その瞬間、再び地底から湧き上がるような地鳴りと共に、激しい横揺れが襲ってきた。
「もうやめてぇっ!」
島村美紀のくぐもった悲鳴が聞こえてきた。新藤は、今度はどうにかデスクの下に身体を押し込むことに成功した。きっと、なんとかなる・・・。

今度の揺れは最初よりかなり小さく、時間も短かった。新藤はデスクの下から這い出しながら、部下に声をかけた。
「みんな、ちょっと待ってろ。助けを呼び・・・。」
そこまで言った時、新藤は一瞬身体が浮き上がったような気がした。そして、暗闇の中で重力がどんどん捻じ曲がって行く様な感覚に数秒間抗ったが、ついには床に座り込みながら、自分が置かれた状況を正確に悟った。

自分達はビルの7階にいて、そのビルが少しずつ、そして確実に加速しながら、傾きはじめている!最初の揺れで、築30年近くなるこの古いビルは、一階の店舗部分がほとんど潰れ、主要な柱に致命的な挫屈が生じていたのだ。階下からは不気味な軋みやコンクリートがはじける音が、ビルの躯体を伝わって、新藤のまわりの真っ暗な空間を満たし始めた。

床はどんどん加速しながら傾きを増して行く。新藤は数秒後に自分に訪れることを想像しようとしたが、まるで悪い夢を見ているかのように、現実感が無かった。床の傾きはさらに増し、新藤はもう一度立ち上がろうとして、足を滑らせて転んだ。そのまま尻で床をすべり落ちながら、はるか遠くから聞こえてくる、男の悲鳴を聞いたような気がした。

それが自分の声だと気付く前に、新藤の身体はなだれ落ちて来たデスクやロッカーの中に飲み込まれた。


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地震関連情報4/11

本日4月11日午後5時39分(日本時間)ごろ、インドネシア、スマトラ島のバンダアチェ西方沖の震源深さ23kmで、マグニチュード8.7の地震が発生しました。津波の発生が懸念されましたが、観測された津波は最大1m程度で、ほとんど被害が出なかったことは幸運でした。

今回の震源は、2004年に発生した巨大地震(マグニチュード9.1)の震源との位置関係や震源深さで見ると、その地震による地殻変動で誘発された「アウターライズ地震」の可能性が高いものと思われます。

しかし、深さ23kmで正断層型の「アウターライズ地震」がマグニチュード8.7という規模で発生すれば、通常であれば海底の大きな変形を伴い、巨大な津波が発生するものと考えられます。ちなみに、東日本大震災本震の震源深さは24kmでした。しかし今回は、観測された津波高さが1m程度と、地震の規模から考えれば、ほとんど「無いに等しい」レベルでした。

その理由として、この地震は、断層が横にずれる「水平断層型」だったために、海底の変形がごく小さかったのではないかと推測する専門家もいますが、この震源域で水平断層型地震を発生させるメカニズムは、通常であれば考えられません。

インドネシアのスマトラ島西岸は、東日本の太平洋沿岸と共通点が多い地下構造になっています。東日本では、北アメリカプレートの下に東方から太平洋プレートが潜り込んでいるように、スマトラ島西岸では、ユーラシアプレートの下に、南西方向からオーストラリアプレートが潜り込んでいて、発生する地震の発震機構も非常に似通っているのです。

もし、日本の三陸沖アウターライズ内で水平断層型地震が発生したとしたら、その理由を説明できる地震学者はいないはずです。もちろん、スマトラ島付近独特の条件があるのかもしれませんが、「本当にアウターライズ地震かどうかは検証が必要」という専門家のコメントからもわかるように、現時点ではどのような発震機構による地震なのか、何故大津波が発生しなかったのかについては、良くわかっていません。

ひとつ確かなことは、巨大地震が発生した後には、数年以上、時には数十年経ってからでも、大規模な誘発地震が起きる可能性があるということです。地下構造が似通っていて、世界有数の巨大地震が発生したという共通点を持つ我が国にとって、スマトラ島付近の状況は決して他人事ではありません。

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2012年4月11日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【6】☆オフィス編

■オフィスで生き残れ(その3)

ここまで、大地震におけるオフィス内の危険と、それを避ける方法について述べて来ましたが、その内容が多岐に渡るので「全部覚えられないよ」と思われた方も多いと思います。でも長々と書いた割には、実は大した事は言っていません。要は、下記の二点に過ぎないのです。

◎モノから身体を守れる場所に行け
◎ガラスには近づくな

ただこれだけのことを、オフィスのいろいろな状況に当てはめただけであり、それがオフィスに限らず、地震の第一撃から生き残るために必要な行動なのです。ですから、この二点だけを念頭に、皆様の居場所での行動を考えてみてください。これに関連して、「災害シミュレーションストーリー」のオフィス編もアップしますので、併せてご覧ください。

さて、今回は、どのような状況になったら「平常モード」から「緊急モード」に転換し、避難行動を始めるべきかを考えます。ただしこれはあくまでも目安です。できることなら、震度3程度の「大したことない」と感じる地震でも、意識して行動するか、少なくとも「どのように行動すべきか」考えることを習慣にすることで、「本番」での行動が確実に変わり、貴重な「命の一秒」を稼ぐことができるはずです。小さな地震は、抜き打ち予行演習の機会と考えましょう。

さて、では「本番」では何が起きるでしょうか。まずは最も危険な揺れとなる「内陸直下型地震」の場合です。

「内陸直下型地震」の際に、震源の直上または近くにいると、地震の最初のたて揺れ「初期微動」(P波)が到達した時に、下から「ドン!」と突き上げられるような揺れを感じます。この「ドン!」を感じたら、まず内陸直下型の震度4以上を覚悟しなければなりません。すぐに「緊急モード」に転換です。

さらに「ドーン!」、「ドドドドドッ!」、「ゴーッ!」というような地鳴りを伴う場合は、さらに大きな地震と考えて間違い無いでしょう。ましてや、突き上げによってデスク上の物が飛び上がったりしたら、これはほぼ間違いなく巨大地震です。大きな地震の場合、「ドン!」は大抵一発ではなく、続けて「ドン!ドン!ドン!」または「ドドドドド!」と来ることが多いはずです。そうなったら、一刻を争います。

地震の最初のたて揺れである「初期微動」(P波)は、その後に到達するよこ揺れ「主要動」(S波)より地中を伝わる速度が速いので最初に感じるわけですが、建物などに対する破壊力はあまり大きくありません。ここでいきなり耐震性の高い建物が倒壊することありませんし、立っていられないほどの揺れになることも、まずありません。

問題は、その後です。P波よりはるかに強大な破壊力を持つよこ揺れ、「主要動」(S波)が、すぐその後を追いかけて来ているのです。

P波が地中を伝わる速度は秒速5~7km、S波は3~4kmです。つまり、深さ10kmの震源直上にいる場合、P波を感じてから3秒以内に、激しいよこ揺れが襲って来るのです。余談ながら、Pはプライマリ(=一次)、Sはセカンダリ(=二次)の頭文字です。

前出の、阪神・淡路大震災でのNHK神戸放送局内のYoutube映像をもう一度視てみてください。仮眠していた人が、「ドン!」を感じて身体を起こしてからほぼ3秒後に、猛烈なよこ揺れが襲って来ています。阪神・淡路大震災の震源深さは約10kmですから、あれが直下型の震源直上付近における典型的な状態です。

なお緊急地震速報のシステムは、最初のP波を震源近くのセンサーで感知してS波の到達を予告するものですから、震源直上または直近では、揺れの方が先に来るか、良くても揺れと同時くらいになる可能性が大きくなります。緊急地震速報の発報は、震源近くでP波を感知してから5秒後くらいなのです。

そう考えると、最初の「ドン!」を感じた瞬間に行動を起こすことの大切さがおわかりいただけるでしょう。事実上、その瞬間にいる場所からあまり離れられないまま、激しい揺れに襲われるのです。ですから、普段から「この場所にいたらどうするか」という視点で、「本番」で取るべき最短時間での行動をシミュレーションしておかなければなりません。もちろんこれはオフィスに限らず、すべての場合に共通することです。

次回は、「プレート境界型(海溝型)地震」の場合について考えます。でも、地震のタイプなどその瞬間にはわかりません。今回の記事で覚えておいていただきたいことは、「ドン!」が来たら、最も危険で、最も時間的余裕が無い地震だ、ということです。


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2012年4月10日 (火)

首都圏直下型地震を生き残れ!【5】☆オフィス編

■オフィスで生き残れ(その2)

今回は、多くの場合で地震対策を済ませた一般家庭よりも危険要素の多いオフィス内で生き残るために、どのような判断をし、どのような行動をするべきなのかを考えます。

大地震から生き残るために、すべての建物内で共通する要素とは、「生存空間の確保」と「飛散物からの防護」です。さらに「火災からの避難」がありますが、それは別稿でまとめます。

まず、何より「生存空間の確保」です。わかりやすく言えば、転倒物、落下物がぶつからない場所に、身体全体を入れることです。その点、オフィスには頑丈なデスクがあるのが普通ですから、それは大きなメリットです。事務用デスクは、建物が倒壊した場合でも、高い確率で生存空間を確保できる頑丈さがあります。

ところで、皆様はご自分が使っているデスクの下に、実際にもぐってみたことがありますか?いざやってみると、これが意外に難しいはずです。特に身体が大きな人は、一番守らなければならない頭部を入れると、背中や足がはみ出してしまったりしませんか?そこに物が落ちて来たら、大きなダメージを負ってしまいます。

ましてや、デスクの下に段ボール箱やPC関係機器があったりすると、さらに困難になります。ですから、まずはご自分のデスクに実際にもぐってみて、邪魔になるものをできる限り排除しておかねばなりません。揺れが激しい場合は、もぐったデスクごと激しく振り回されますから、デスク脚などをつかんでがっちりと身体を確保していないと、デスクの下からはじき出されてしまうかもしれませんので、そのような体勢を取れる状態にしておくことです。自分のデスクは、あなた専用の最も身近で有効な地震シェルターなのです。

でも、どうにも潜り込めない場合や、自分のデスクについていない時もあります。そんな場合に、普段からの「観察」がモノを言います。

まずはご自分のオフィス内で、普段から倒れそうなキャビネットや棚などの場所と倒れる方向や、激しい揺れで暴れやすいキャスター付きのコピー機などの場所を把握しておき、揺れを感じた瞬間にその場所から離れるのです。これは普段から意識していれば、ほとんどの場合2~3秒もあれば可能な行動です。重要なことは、最大の揺れが始まる前に危険の少ない場所に移動し、揺れを「迎え撃つ」体勢を整えることです。

そんな動きを実際に何度も繰り返しておけば、その瞬間に足がすくんで動けなくなる可能性も小さくなります。大きめの地震に遭った時に動けなくなった経験のある方は、特に「訓練」を繰り返しておくべきです。

さらに、オフィス内で「生存空間」ができる場所を普段から見つけておくことです。たとえば、デスクの間の通路に伏せれば、大抵の転倒物や天井の落下から身を守れます。デスクのすぐ後ろにキャビネットなどがある場合は、デスクに身を寄せて伏せれば、キャビネットが倒れても、三角形の生存空間が残ります。この場合は、ガラス扉のついたキャビネットや、載せたものが落ちてくるオープン棚は避けなければなりません。

窓側の通路も基本的には避けるべきでしょう。最近は飛散対策を施したガラス窓も多いのですが、その効果が絶対だとは言い切れませんし、対策を施していない場合は致命的な結果になる可能性が大きくなります。

デスクと壁の間の、目安として2m以下の間に入るのは危険です。激しい揺れの中では、滑り止めを施していないデスクは床の上を大きく動き回るので、壁との間に挟まれる可能性があります。

パーティションや内装材ではない、建物の躯体(くたい)、つまり建物そのものの頑丈な壁や柱が近くにあれば、それに身を寄せて姿勢を低く保つのも良いでしょう。その場合は、周囲からの転倒、飛散物から距離を置けることが必要です。

そのような行動の際には、いずれの場合も頭部を守らなければなりません。手近にあるファイル、バインダー、書類の束、膝掛け、座布団など何でも使えます。そして、特に後頭部から首の後ろ側を守ります。何も無い場合は両腕で頭を抱えるだけでもかなりの効果があります。腕を負傷しても、頭や首を傷つけるよりはマシというものです。

これが訪問先の他社オフィスになると、ごく限られた情報で判断しなければなりません。応接室やパーティションで区切られた商談スペースなど、自分の居場所でもっとも効果的な行動は何かを、頭の隅ででも意識しておくべきです。

建物に入る以前には、まず建物の周辺にどのような危険があるか、避難場所はあるか、旧耐震基準の古い建物ではないか、非常階段の位置はどこか、オフィス内が見えるならば、倒れそうなもの、倒れる方向、それを避けられるデスクの間や、倒れても三角形の空間ができる場所、コピー機の位置などを探す「防災の目」で見ておくことです。これは慣れれば1~2秒もあればさりげなく行えるはずです。あまりキョロキョロして不審がられませんように(笑)

ちなみに、もし管理人が応接室に通されたら、まずはありがちなガラス扉付きのキャビネットや展示棚、ガラス入りの額に入った絵画や窓の位置を確認し、逃げるべき方向を考えます。そしてもし大地震が来たら、バッグで頭を守りながらソファに身を寄せて伏せ、生存空間を確保するでしょう。その時まず自分の身を守るのを優先するか、取引先の人をかばうのかは、皆様ご自身の判断で。

でも、もし取引先の人が固まってしまっていたら、管理人なら大声で「床に伏せる!頭を守る!」と命令口調で言いながら、突き飛ばしてでも伏せさせると思います。それがベストと判断できるなら、ためらわないことです。ちなみに管理人、かつては二十年以上に渡って営業マンでした。

ところで、この「頭を守りながら伏せる」という行動は、普段からかなり意識や訓練をしていないと、なかなかとっさにはできないものです。特にオンタイムである仕事中は、服を汚したく無いという意識や「きっと大丈夫だろう」という意識が強く働きやすいものです。

これは「正常化バイアス」と呼ばれる心理状態です。人は日常が破壊されることを望みませんから、危険な状態を認識しても、それを自ら積極的に否定または過小評価(=正常化)しようとしてしまうという、だれもが陥りやすい心理なのです。それは管理人も含め、普段から防災を意識している人とて例外ではありません。つまるところ、最短時間で効果的な避難行動を取るためには、この「正常化バイアス」を超えられるかどうかにかかっていると言っても過言では無いのです。

そのためには、まず人は自分に迫った危険を過小評価しがちになるという事を自ら認め、その上で正しい知識をもって、できるだけ正確な脅威評価をしなければならないのです。とは言え、それは口で言うほど簡単なことではありません。

そこで次回は、どのような場合に緊急避難行動に移るべきかという目安について、考えてみたいと思います。

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宮城・震災から8ヶ月の光景【3】

※掲載画像にある赤い線は、その場所での冠水高さを示しています。

■東松島市・野蒜(のびる)地区
JR仙石線下り方面で東名の次の駅、野蒜へ向かいます。この辺りは、震災直後には仙石線の4輌編成の列車が津波で流された空撮映像が繰り返し流されましたが、その後はあまりメディアに乗ることもありません。

ここは米軍の「オペレーション・トモダチ」の一環として、2011年4月後半から行われた米陸軍の仙石線復旧支援作戦「オペレーション・ソウルトレイン」の中心地であったため、その成果を是非見たいと思って訪ねました。余談ながら、米軍はこの「ソウルトレイン」をはじめ、被災した子供にお菓子や文房具を詰めたリュックを贈る「オペレーション・バックパック」などの民生支援作戦を展開していたのですが、その辺りは何故かあまり報道されませんでしたね。

さておき、震災から8ヶ月、「オペレーション・ソウルトレイン」から半年以上が過ぎた野蒜の様子を見て、管理人は愕然とさせられました。まだ、ほとんど何も変っていなかったのです。

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野蒜に向かう途中の、コンビニ「だった」建物。案内してくれた方によると、セブンイレブンだったそうです。

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野蒜駅近くの道路標示が、無残にも倒されてしまっています。頑丈な鉄製の支柱が、完全に180度折れ曲がっているのです。

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野蒜駅前の信号柱も、倒れたままでした。水と瓦礫が越えた橋の欄干も捻じ曲がっています。復旧の目処が立たない仙石線の、代行バスの停留場がつくられています。結局、仙石線は現路線での復旧を断念し、山側の高台を通る新線にて復旧することになりました。

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駅構内です。架線柱が流出し、架線を吊るビームがホーム上屋の上に崩れ落ちています。たるんだ架線もそのままです。

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ホーム上からの撮影。架線ビームが崩れ落ちている様子です。水は画面右側から押し寄せ、ホーム上屋すれすれまで水没しました。

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水は、画面奥800mほど先の海から、途中の家を押し流した瓦礫と共に殺到しました。駅名票が完全に水没した跡がわかります。赤線の位置まで水が上がり、ホーム屋根だけが辛うじて水面に出ている状態だったはずです。

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野蒜駅付近から仙台方の線路を望む。画面左から5メートル以上の水が来ました。水流が強かった場所では路盤が削り取られ、線路が宙に浮いています。東名駅付近は既に線路が撤去されていましたが、野蒜駅周辺では、当時は瓦礫がされた以外は、まだほとんど被災直後のままでした。

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石巻方の踏切では、警報機も機器ボックスも根こそぎなぎ倒されています。

野蒜駅周辺の様子からは、自衛隊・米軍・地元の方々の共同作戦は瓦礫や堆積物の撤去を行ったもので、鉄道施設はほとんど手付かずだということがわかりました。JRの管理物ですから、いくら破壊されていると言っても、勝手に撤去はできなかったのでしょう。しかし8ヶ月も経って被災時のままの惨状を晒していることに、大きな衝撃を受けたのもたしかです。

次に、野蒜周辺の住宅街へ向かいます。この辺りは、広大で平坦な土地に敷地の広い家が並ぶ、ゆったりとした住宅街でした。

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この辺りでは、東名地区より2m近くは水位が高かったようで、残った家も二階まで完全に水流が抜けています。道路脇にはなぎ倒された電柱が集められています。草がほとんど茶色くなっているのは季節のせいもありますが、海水の塩分による影響も大きいのです。

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東名地区より新興の住宅街だったので、強度の高い新しい家も多かったと思われますが、ほとんど残っている建物がありません。

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一階が完全に水没した野蒜保育園。建物は完全に津波の威力に耐えています。園庭には、水に使った電子オルガンやおもちゃ、子供の持ち物が山積みになっています。子供たちは皆無事だったのでしょうか。周辺は全く平坦な場所なのです。

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凄まじい破壊の様相を見せる自動車。人が乗ったままこうなった車も少なくなかったと思うと、背筋が寒くなります。この車には救出活動の跡がありませんから、おそらく犠牲者は出ていないはずです。しかしずっと放置されているということは、持主とずっと連絡が付かず、処分方法が決まっていないということです。

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こちらはつい今しがた誰かが乗ってきたようにしか見えない、あまり損傷が目立だたない車です。でも、フェンダーに描かれた赤い×印は、遺体が発見されたことを示しています。乗り手を喪ったまま、あれからずっと放置されているのです。

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野蒜地区のコミュニティセンターです。平坦な土地に高さ5m以上の土盛りをしているのは、まさに津波対策だったのでしょう。でもご覧の通り、階段の一番上の支柱まで水と瓦礫になぎ倒され、建物一階の天井付近の高さにまで瓦礫が衝突した跡がありますから、一階の天井付近まで水没したと思われます。ここに避難していた人も多かったはずだと思うと、管理人にはこの階段を上って行く勇気はありませんでした。ただ遠くから、鎮魂の祈りを捧げるしかできなかったのです。

次は、一旦仙台市内に戻ります。


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2012年4月 9日 (月)

首都圏直下型地震を生き残れ!【4】☆オフィス編

■オフィスで生き残れ(その1)

まず最初のテーマとして、オフィス内で大地震に遭遇した場合について考えます。オフィスとは勤務先はもちろん、訪問先の他社オフィスなども含みます。

建物の形態としては、平屋から超高層ビルまでいろいろありますが、まずはオフィス内の危険要素から明らかにして行きましょう。

一般家庭では家具備品類の固定や転倒対策をしている場合も多いでしょうが、オフィスではそのような対策が不十分なことが多いのが現実です。さらに室内の配置は仕事のしやすさが優先され、避難場所、避難動線などが優先的に考慮されている例は少ないでしょう。

そして、ガラス扉がついた、主に金属製の重いキャビネットや備品類が詰まった棚、室内を仕切るパーティション、多数のパソコンやモニタなどがあり、さらにガラス窓も、一般家庭よりは大きな面積であることが多いのです。

つまりオフィス勤務の方は、地震対策を行った一般家庭よりもはるかに多くの危険要素に囲まれながら、おそらく一日で一番長い時間を過ごしていることになります。それは即ち、オフィスにいる時に大地震に遭遇する確率が一番高いということでもあります。皆様のオフィスでは、いかがでしょうか。仮に対策がしっかりできているオフィスにお勤めでも、他社を訪問したりすることもありますよね。

ところで、大きな地震が来ると必ずと言って良いほど放送局オフィス内の映像がテレビで流れますが、そこで何が起きていたかを思い出してみてください。東日本大震災では、大きな揺れが続く中でも備品類の転倒、飛散などはそれほど起きていませんでしたが、これは地震動のタイプによるものです。震度6強や震度7であれが普通だと思ってはいけません。

よく、激しく揺れる棚やモニタなどが倒れないように押さえている映像がありますが、あれはまだ「立っていられる」程度の揺れだからこそできるのであり、最大級の揺れでは不可能どころか、自分がその下敷きになる可能性が大きいので、基本的にはやるべきではありません。東日本大震災は、陸地から離れた海底が震源のプレート境界型地震であり、震源域が非常に広かったことの影響で震動周期が比較的長かったために、振り回すような地震動があまり無かっただけです。では、最も危険なのは、どんな場合でしょうか。

阪神・淡路大震災後に繰り返し流された、NHK神戸支局内で地震の瞬間を捉えた有名な映像があります。Youtubeにアップされていますが、勝手にリンクできませんので、是非皆様ご自身でご覧になってみてください。「阪神・淡路大震災、NHK神戸」で検索するとヒットします(映像タイトルに誤字があって「阪神淡路再震災」となっていますが)。何度もご覧になっている方も、是非ここでもう一度。

阪神・淡路大震災は、内陸直下型地震で、最大震度7を史上初めて記録しました。その映像でわかる通り、最大級の直下型地震に襲われた場合、固定していないキャビネット類は一瞬で転倒し、人は無茶苦茶に振り回されて、文字通り「なす術が無い」のです。このような内陸直下型地震が、多くの場合最も危険な地震です。揺れはじめから激しい揺れが始まるまでのごくわずかの間の行動が、その後の運命を左右します。

近頃取り沙汰されている「南関東直下型地震」、例の「4年以内に70%の確率」と言われ(その数字は後に取り消されています)、最大震度が7に達すると新たに評価された地震が最大級で起きた場合、関東の震源直上の地域では阪神・淡路大震災と同等、もしくはそれ以上の揺れに襲われることになります。もちろん、関東以外の地域でも内陸直下型地震の可能性は常にあります。

前述の通り内陸直下型地震が多くの場合最も危険な地震動となりますが(超高層ビルと免振ビルは例外であり、それについては後述します)、それは周期1~2秒の、「キラーパルス」と通称される振り回すような速い揺れに襲われる可能性が大きいからです。そのような揺れの中では四つん這いになることも困難ですし、建物や備品類に最も大きな破壊力をもたらします。

仕事中とは、ある意味で「取り澄ました」顔でいる時間です。できることなら狼狽する姿など職場で晒したくないものですから、場合によってはそんな思いがその瞬間の行動をためらわせ、生き残るための貴重な時間を失うことにもなりかねません。そうならないためには、地震の規模を正確に判断し、最小限の動きで最大限の安全を確保する行動を、最短の時間で行えるだけの備えをしておかなければならないのです。

次回は、そのための具体的な判断方法と行動を考えます。


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2012年4月 6日 (金)

宮城・震災から8ヶ月の光景【2】

※画像にある赤い線は、その場所での冠水高さを示しています。

■東松島市・東名(とうな)地区
“奥松島”とも呼ばれる、風光明媚な場所です。小さな漁港がある海沿いの平坦な土地に、広大な住宅街が広がっていました。

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JR仙石線・東名駅付近です。一枚目は画面右から、二枚目は左から、5m以上の水流が来ました。JR仙石線は山側への移設が決まっているので、既に線路は撤去されていますが、その他の施設は被災時のままです。ホーム部分以外は、垂れ下がった架線もそのまま残っています。

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東名地区の住宅街(だった場所)を望む。手前の水面は東名運河。画面奥、400メートルほど先の海から、一階軒先に届く程度の水流が来ました。二枚目写真の奥に比較的家が残っているのは、海近くのために瓦礫の量が少なかったので、建物に対する破壊力が比較的小さかったためと思われます。また、ここ数年以内くらいに建てられた新しい家の骨格は、ほぼ完全なまま残っている例が多く見られました。新しい家の強度の高さがわかります。この後、そちらの方面に向かいます。

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比較的家が残っている場所と言っても、8割以上の家は流されるか大破して撤去されています。土台を見れば、家が密集していたことがわかります。あくまで、他の「すべてが流されてしまった」場所に対して、多少は残っているというレベルです。

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一階が石造りというこの地方独特の構造のために流されなかった家。水流は画面左手前から来ました。原型を留めないトラクターが、凄まじい破壊力を物語ります。

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これはここにあった家ではなく、流されて来たまま、放置されているようです。手前の石造りの家の構造部分は、津波の威力に完全に耐えています。

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残った家の間には、瓦礫と一緒に軽自動車が引っかかっていました。

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流されて来た赤い屋根と、破壊された漁船が引っかかったままです。頑丈なFRP船が文字通り真っ二つになっていることが、津波と瓦礫に巻き込まれることがどういうことかを、無言のうちに物語っています。背筋が寒くなるような光景です。

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画面手前からの水流により、水深よりはるかに高い位置まで破壊された建物。おそらく大きな瓦礫が突入したのでしょう。鉄骨造りのため、辛うじて原型を留めています。余談ながら、メジャーリーグ、アリゾナ・ダイヤモンドバックス所属の斎藤隆投手が故郷の被災地を訪ねる映像をNHKでやっていましたが、斎藤投手が変わり果てた故郷を呆然と眺める映像に、この建物が映っていました。この辺りのご出身のようです。

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墓石もすべてなぎ倒されてしまっています。ボランティアの方々が手動クレーンで復旧作業をされていましたが、もはや元の位置も良くわからない状態です。

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東名漁港です。美しい奥松島の穏やかな海が、5m以上も水かさを上げて襲い掛かって来たとは、その場に立っても信じられません。当時、少しずつ漁が再開されていたようですが、ほとんど静まり返っています。二枚目写真では、地盤沈下の様子がわかります。沖に見える石積みは、水面下に沈んでしまった防波堤の上に、石を積んでかさ上げしたものです。水面から1mはあったはずの船着場も水面近くまで沈み、海に向かって傾いているのがわかります。満潮の時には冠水してしまうようです。

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更地となった場所に、ぽつんと花が供えてありました。他にも、遺体発見を示す赤い旗が、あちこちに残されたままでした。ここでも、多くの命が失われたのです。何度も手を合わせながら、静まり返った街を進んで行きました。

次は、東名の隣の駅、野蒜(のびる)地区へ向かいます。


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2012年4月 5日 (木)

首都圏直下型地震を生き残れ!【3】

【2】から続きます。

ところで、人はなぜ屋外に脱出したくなるのでしょうか。

これはもう理屈ではなく、本能的な行動と言えるでしょう。倒壊する建物の中で押しつぶされる恐怖、火に囲まれて逃げ場を失う恐怖。高いビルにいて、倒れるビルと一緒に地面に叩きつけられる恐怖。米国の911テロの記憶も、それに拍車をかけます。逃げ遅れて手遅れになる前に、とにかく「地に足を付けたい」と。

もちろんそれは間違いでは無いのですが、こと災害時における問題は「脱出した先が安全か?」、「すぐ次の避難行動に移れるか?」ということです。

先日、NHKの震災関連特集で、3/11に都内で起きたエピソードを集めた番組を視たのですが、その中で、エステサロンで施術中に震災に遭った女性の証言がありました。

それは、ほとんど全裸の状態だったものの、大きな揺れが収まったらすぐにガウンだけを羽織り、店員の誘導でそのまま屋外に避難したというものでした。そのサロンでは店員にそのような教育をしていたと思われ、それがきちんと機能したことはすばらしいことです。しかし恥ずかしいとかみっともないとかはさておき、あの場合、果たしてそれは正しかったのでしょうか。

震災の日、都内では震度5弱から5強の揺れになりました。しかし建物の大きな損傷はほとんど発生せず、停電もしていません。少なくとも、耐震性の高いビルの中は「安全」だったのです。そこで想定される危険は、下層階での火災により、脱出経路を失うということです。

でも、ある程度服装を整え、荷物を持つ時間が無かった訳ではありません。そのエステは新宿の繁華街だったと思いますが、あのケースでは明らかに屋外の危険の方が大きかったのです。建物の構造が大きく損傷しなくても、繁華街では周辺の建物からガラスや看板、外壁の落下、群衆のパニックなどに巻き込まれる可能性がありました。

もし揺れがさらに大きければ、それが現実のものになっていたかもしれません。仮に、もしそこが海岸や河口近くの低地だったら、大きな揺れが収まったと同時に、津波を想定した避難行動を始めなければなりませんから、裸のままという訳には行かないでしょう。

管理人はたまたま視たテレビ番組を例に取っているだけで、そのエステサロンの対応を批判しているわけではありません。言わんとすることは、大きな地震が来たら、とりあえず屋外へという考えだけでは、被害をより大きくしたり、その後の行動の障害になってしまう可能性があるということです。

大切なことは、「その時最も安全なのはどこか?」ということを正しく判断することです。それは様々な条件に左右されるわけですが、事前に自分の周囲の情報を集めておくことで、かなり正確に判断することができます。

具体的には、自分のいる場所の耐震性はどの程度か、周囲の状況はどうか、火災の危険がある場所か、津波が到達する場所か、がけ崩れや土石流が発生する場所か、避難経路はいくつあるか、そこにある危険要素は何かなどを、少なくとも自宅と職場や学校、良く行く場所の周辺については把握しておかなければなりません。

さらに、初めて行く先でも常にそのような視点で周辺を確認し、どう動くかを考えることを習慣にしておくことで、その瞬間の行動が変わります。でも、大地震に遭遇したら足がすくみ、頭が真っ白になってしまうかもしれません。それでも、何かひとつ思い出せるだけでも、生き残れる確率は確実に上がるのです。

そのような意識と行動が、管理人がここ数年提唱している考え方である「災害対策はオーダーメイドでなければならない」ということです。通り一遍の、ましてや机上の空論じみた対策だけでは生き残れないことがあるという現実を、私たちはたった一年前に目の当たりにしたばかりなのです。

もちろん「オーダーメイド」と言っても、服に基本の形があるように、災害対策にも必ず押さえるべき共通のポイントがあります。まずそれを知り、さらに自分の置かれた状況に合わせたアレンジを加えることで、より確実な災害対策へと進化させることができます。

しかし残念なことに、どんな対策も巨大災害の前には力を為せないこともあるのも現実です。でもいかなる状況になっても絶対に生き残りたい、生き残って大切な人やものを守りたいという強い意志に正しい行動が伴えば必ず道は開ける、そう信じます。

このシリーズでは、そのような考え方を基本に、これから都市生活における現実的な対策を、様々なシチュエーション別に考えていきます。

次回は、オフィスの防災について考えます。


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宮城・震災から8ヶ月の光景【1】

もうひとつ、新シリーズを始めます。

管理人は東日本大震災後、福島県内でボランティア活動に参加し、あの白い防護服が必要な場所など、かなりディープな所へも行きました。福島へ行ったのは様々な理由からですが、埼玉からの行き帰りにかかる時間もそのひとつでした。管理人がボランティアに行くときは、基本的に単独で車中泊の自己完結スタイルですから、時間的な制約からあまり遠方へは行けないのです。

しかし、やはり最も甚大な被害を受けた被災地もこの目で見ておきたい。そういう思いも強く持っていました。その後仙台在住の方と交流ができ、被災地の案内をしていただけることになったので、2011年11月初旬、雪が降る前にと、宮城県の被災地を訪ねました。できれば岩手県にも入りたかったのですが、やはり時間的な制約で、宮城県内の一部のみとなりました。しかし、そこだけでも想像を絶する光景を目の当たりにしたのです。あれから8ヶ月も経っているのに、何故こんなに「そのまま」なのだろうかと。

なお、この被災地訪問は防災士としての調査活動として、行程中は防災士の制服を着用していました。決して物見遊山のつもりは無いのですが、被災地に入って撮影などを行うのは、やはり心苦しいものがありました。防災士の制服が免罪符というわけではありませんが、こちらの意志と目的を現すせめてもの方法です。


管理人が訪問したのは、市街地から瓦礫の撤去がほぼ終わった時期です。それから既に5ヶ月が経過してはいますが、被災地の状況は今でも当時とあまり変わっていません。行程は、釜石市、松島町、東松島市、仙台市、石巻市、女川町の順です。このうち、釜石市と松島町についてはあまり詳細に見ていませんので、今回は割愛させていただきます。

次回より、東松島市の東名(とうな)地区からレポートを始めます。当時からメディアにはあまり乗らない、海沿いに広がる普通の住宅街だった場所です。

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2012年4月 4日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【2】

ちょっと更新が遅れていましたが、再開します。お待たせいたしました。最初のテーマは、すべての状況に共通する「屋外に逃げるべきか、否か」についてです。

「避難」とは、読んで字の如く「難を避ける」ことです。地震の際にはどんな「難=危険」があるのかを、まず知らなければ、正しい行動はできません。

都市部における地震災害での主な危険とは、家具備品類の転倒や飛散、壁や建物の倒壊、ガラス、看板や外壁などの落下、そして火災です。それらに巻き込まれないためには、落下物、転倒物を避けられる場所にいるか、危険からできるだけ距離を取らなければなりません。ですから、揺れと同時に飛び出せて、そこに他の危険が存在しないのならすぐに屋外へ、つまり「大草原の小さな家」のような場所ならば、迷わず屋外に避難すべきでしょう。

しかし、現実にはそうは行かない様々な状況があります。まず、地震の激しい揺れ。震度6強クラス以上の揺れの中では、建物の中を安全に移動することは困難です。立っていることも、場合によっては四つん這いになることもできなくなります。

緊急地震速報を受信してすぐに屋外に出たり、地震の最初の比較的小さなたて揺れである「初期微動」のうちに屋外に出たりできずに、大きなよこ揺れである「主要動」が始まってしまってからでは、安全な脱出は難しくなります。しかも、最も激しく危険な揺れとなる直下型地震の場合は、緊急地震速報が揺れはじめに間に合わなかったり、「初期微動」と「主要動」がほぼ同時に襲って来る可能性が高いのです。

特に耐震性が低い建物の場合は、揺れはじめからごく短時間で倒壊する可能性があります。1995年の阪神・淡路大震災では、特に1971年(昭和46年)以前の建築、実際には築後40~50年経ったの木造家屋の多くが全壊しましたが、ほとんどが揺れはじめから10秒程度で倒壊しています。10秒の間に激しい揺れの中を脱出するのは、戸口のすぐ近くにいた場合などを除いて、かなり困難です。

そのような家の場合は、逃げるかどうかの判断以前の問題ですから、倒壊しても家の中で生存空間を確保できるような対策が必要です。具体的な方法は、当ブログの「家の中の地震対策」シリーズで述べていますので参照してください。

耐震性能が高い建物の場合は震度7クラスでもそう簡単に全壊はしないでしょうし、地震の揺れ方によっては、激しい揺れの中でも移動できることもあります。東日本大震災では、比較的長い周期の揺れだったので建物に対する破壊力がそれほど大きく無く、なんとか歩けるような状況でもあったため、震度6強~7の地域でも、揺れている最中に脱出できた例も多かったのです。

しかし屋外に出たら出たで、都市部には大きな危険が存在します。住宅街で最も恐ろしいのは、石塀・ブロック塀や石灯籠などの倒壊です。
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鉄筋の入っていない、耐震性の低いブロック塀、石塀はこのように簡単に倒れてしまいます。1978年の宮城県沖地震では、28人の犠牲者のうち18人が、脱出後に塀の倒壊に巻き込まれたことによるものでした。瓦屋根の家では、脱出時に落ちてきた瓦の直撃を受ける可能性も高くなります。

これがビル街や繁華街になると、状況はさらに厳しくなります。とにかく何が落ちてくるかわかりません。窓ガラスの破片、看板類、ビルの外装タイルやモルタル、場合によってはコントロールを失った車が突っ込んで来ることもあります。ドライバーがすべて冷静だという可能性は全くありません。

東日本大震災の都内の映像では、ビルから出てきた人が歩道にあふれ、まだ揺れているというのに、頭上や背後のビルに全く注意を払っていないというようなものがかなり見られます。そんな行動は、もっと揺れが大きかったら、自殺行為に他なりません。たまたま、そこまでの揺れでなかったというだけのことです。

管理人は、仙台や石巻で、ビルの巨大で分厚いガラス壁が砕け散っている現場も見てきました。あの下に人がいたら、誰一人として生き残れなかったでしょう。耐震性の高い新しい建物でも、ことガラス壁や看板に関しては、破壊・落下の可能性が高いと言わざるを得ません。ちなみにガラス片が落下する際には、バランス的に必ず「尖った方を下にして」落ちて来ます。

阪神・淡路大震災における、ビルのガラスや外壁が落ちた様子をご覧ください。
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これで下に人がいたら、どうなるかは言うまでもありません。阪神・淡路大震災では、発生がたまたま早朝だったために、人がほとんどいなかっただけなのです。画像の建物は、1980年以前の旧耐震基準建物だったこともあり、かなり大きく損傷しています。新耐震基準建物はここまで破壊されないケースが多いでしょうが、ガラスや外壁が落下してくる可能性が高いのは間違いありありません。

特に、商業施設などでよく見られる大きなガラス壁は、揺れ方によっては一気に崩壊することが危惧されます(仙台で実例を見て来ました)。重量のある厚いガラスですから、管理人としては、それを一番怖れています。

長くなりましたので、次回に続きます。

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2012年4月 3日 (火)

『南海トラフ最大級地震想定』の読み方

最初におことわりしておきますが、管理人は市井のいち防災研究者であって、政府や地震学者側に立つ人間でもありませんし、マスコミなどを一方的に批判するつもりもありません。この記事は、あくまで今回の衝撃的な発表の意味を正確に理解し、今後多く見られるであろうインパクト優先の報道に惑わされないための留意点をまとめたものです。


3月31日、東海・東南海・南海地震を引き起こすとされる「南海トラフ」で起こりうる最大級の地震・津波被害に関して、内閣府の有識者検討会から衝撃的な新想定が発表されました。

それによると、「南海トラフ」に連なる、東海・東南海・南海の三震源域連鎖によって、東日本大震災並みのマグニチュード9.0~9.1クラスの巨大地震が発生した場合、関東から四国にかけての6都県で20メートル超の津波が、10県で震度7の激震が起こりうるとのことです。特に高知県黒潮町での津波高想定は34.4メートル、東京都の島嶼部で約30メートル、伊豆半島先端の南伊豆町で約25メートルなど、従来の想定を大幅に上回る想定数値となっています。

この発表を受けて、今週から来週にかけて様々なメディアが大騒ぎになると思われます。キーワードは「南海トラフでマグニチュード9クラス」、「高知で津波34メートル」、「6都県で津波20メートル超」、「10県153市町村で震度7」辺りになるでしょうか。とにかく衝撃的なヘッドラインを出すネタには事欠かない内容です。先の「首都圏直下型4年以内70%」騒動どころではなくなりそうです。恐らくは、今までの想定が「甘すぎた」ことに対する批判的な論調も多く出るでしょう。

言うまでもなく、この想定は科学的な裏付けを伴った、実際に起こりうる事象です。しかし従来の想定が決して「甘すぎた」訳ではありませんし、特に気をつけなければならないのは、「6都県で津波20メートル超、10県で震度7」が同時に起こる可能性はゼロだ、ということです。


まず従来の想定は、過去にこの震源域で繰り返し発生しているマグニチュード8クラスで試算しています。マグニチュード値が1小さくなると放出されるエネルギーは約30分の一になりますから、マグニチュード9クラスよりずっと小さな地震ですが、我々が知る限り過去にこの震源域でマグニチュード9クラスが起きたことは無い(ずっと過去には起きていたかもしれませんが)ので、合理的な想定理由です。

しかし現実にマグニチュード9クラスの東日本大震災が発生したために、「南海トラフ」でも同規模の地震が発生したらどうなるかという想定に基づいた試算であり、「南海トラフ」でそのような規模の地震が近いうちに発生する可能性が出てきた、ということでは全くありません。東日本大震災の発生を受けて、想定の前提を「数百年に一度」レベルから「千年に一度起こるかもしれない最大級」レベルに変えた結果なのです。

現在の長期評価では、「南海トラフ」で今後30年以内に発生する巨大地震の確率は、東南海地震(マグニチュード8.1前後)が70%程度、南海地震(マグニチュード8.4前後)が60%程度、東海地震(マグニチュード8.0程度)は、参考値という但し書き付きで88%となっており、今回の発表を受けても、この評価は変わりません。今回の発表は将来的に発生する確率を伴わない、あくまで「最大級が起きたら」という試算なのです。

ちょっと無理矢理な比喩かもしれませんが、例えばサッカー日本代表が、ワールドカップ予選から本戦まで全勝で勝ち上がって優勝したら、どれだけの経済効果があるかという試算のようなものです。そんな確率は計算できないくらいに小さいけれど、千年に一度くらいは(笑)起こるかもしれない。でも、これから100年くらいの間に起こらないとは誰も言い切れない、まかり間違ったら、次の次の大会あたりで起きるかも、と言う感じでしょうか。

もちろん、だから安心というわけではありません。その前兆をまったく捉えられなかった東日本大震災でもわかるように、人類はまだ地震の予知どころか、確率を数値で正確に表すことなどできないのです。上記の確率も、あくまで主に過去のパターンからの推計に過ぎません。


もう一点。「6都県で津波20メートル超、10県で震度7」という超巨大災害が、同時に起こるという想定では無いということに気をつけなければなりません。この試算は、想定されるいくつかの震源連鎖パターンによる試算を重ねたものであり、それらが実現象として同時に起こる可能性は全くありません。

つまり、これは想定されるいくつかの震源域連鎖パターンのあらゆるケースにおける、地上の地震動と津波高さの最大値を「全部乗せ」したものです。ですから、今後メディアやブログなどで、6都県で津波20メートル超、10県で震度7という超巨大地震が想定される、または来るという記事などがありましたら、それは無知、勘違い、理解不足か確信犯的「アオり」に過ぎません。まあ、そんな「アオり」が多発しそうな気配ではありますが。

正直言って、今回の発表は恐るべき内容です。想定される最大級で本当に発生したら、対処不可能の状況も多発するでしょうし、まさに国家存亡の危機となるでしょう。しかし無闇に怖れるだけでは、何も変わりません。

防災に絶対はありませんが、正しい備えと正しい行動で、減災は可能です。もちろん行政の対応にもある程度は期待したいのですが、他人任せでは生き残れるとは限りません。皆それぞれが必要なものを揃え、必要な行動を知り、実践することで「生き残る確率」を上げること、我々に出来るのは、それだけです。

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2012年4月 2日 (月)

地震関連情報4/2

昨日4月1日午後11時04分ごろ、福島県沖深さ50kmを震源とするマグニチュード5.9の地震が発生し、福島県楢葉町などで最大震度5弱を記録しました。

この地震は、東日本大震災本震の余震と考えて良いと思いますが、震災から半年くらいの間はあまり起きていないタイプでした。その頃までは、今回の震源付近では深さ10~30km程度の地震が多発しており、40~50km程度の地震は、2011年の10月ごろから、比較的大きな規模のものが目立ち始めています。

大地震による地殻変動は、一般に地震の発生から半年ほどの間に全変動の半分程度が動くとされています。地殻変動自体は、その後も速度を落としながら20~30年、場合によってはそれ以上に渡って続きますが、最初の半年程度の間が、余震や誘発地震の可能性が最も大きいと考えられます。

そして、その後も続く「余効変動」や、それに対してバランスを取ろうとするような動きにより、当初とは違ったタイプの余震が起きて来るわけです。前述のように、福島県沖での震源深さ40~50kmの地震は昨年10月ごろから目立ち始めましたので、管理人としては、地殻変動の「次の段階」によるものとして捉えています。

言うまでも無く、震災直後よりはその速度を緩めたものの、現在も大地殻変動の真っ最中であり、今後も様々なタイプの余震または誘発地震が発生する可能性が、震災以前より非常に高い状態です。でも震度5弱レベルは頻発しているものの、ほとんど被害らしい被害も出ていないので、なんとなく「これからもこの程度だろう」という雰囲気になりつつあるのを感じます。

ですが災害の危険を甘く見たら、それなりの結果を招くだけのことです。起きてから後悔しないように、正しい知識と必要なものを備えて、「その時」にどうすべきかを常に考え、意識し続けることしか、我々に出来ることはないのです。

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