首都圏直下型地震を生き残れ!【12】☆ライブ編
■ライブで生き残れ(その2)
前回は、ホールの椅子席や、スタンディングライブでの危険を考えましたが、今回はライブの中でも管理人が最も危険だと考える状況について考えます。
それは「ライブハウス」。
これは小さな劇場も条件は一緒です。ホールに比べて規模が小さく、地下であることも多く、出入り口は1~2ヶ所しかなく、通路も階段も狭い。そこに大人数が入り、地震発生を覚知するタイミングが遅れやすいのですから、防災的には非常に厳しい条件と言わざるを得ません。そして現実には、建物も耐震強度が低い旧い建物であることも少なくありません。
そこで大地震に遭遇したらどうするか。パニックと落下物を避けるという点では、ホールの場合と基本的には一緒です。ただ、PA装置や照明設備が観客により近くて、ホールほどの強度を持たないことも多く、さらにそれらを避ける場所も少ないですから、条件はさらに厳しくなります。
小さなライブハウスの場合、強い地震を感じたらまず、「一旦」ステージから離れ、設備類の落下・転倒から身を守らなければなりません。大きなスピーカーボックスや天井照明の直撃を受けたら、軽傷では済みません。停電になれば、非常用照明が無いことも多いでしょうから、完全な暗闇になるでしょう。小型LEDライトを持っているかどうかが、あなたと周囲の人の運命を最も左右する状況です。
もちろん、ここでも開演前に「地震が来たらどの経路でどこへ避難するか」を考えておかなければなりません。但し、ライブハウスの場合はそれが非常に局限されます。小さなライブハウスの中を想像してみてください。あなたなら、どこへ逃げますか?
多分1ヶ所しか無い出入り口には、人が殺到するでしょう。広くない出入り口の前は、極限のパニックになるはずです。地震でなくても、ビル火災では狭い出入り口の前に人が折り重なるように倒れて亡くなっているケースが良く見られます。火災の場合の主な死因は有毒な煙に巻かれたことですが、その前のパニック状態が想像できます。そこへ自ら飛び込んで行くのは、あまりにも危険です。
ではどうするか。実は、ライブハウスにはもうひとつ「出入り口」があります。先ほど、落下・転倒物を避けるために「一旦」離れた場所、ステージです。
ステージに上がり、ソデから楽屋を通って楽屋口や機材搬入口を目指すのです。小さなライブハウスだと楽屋が無かったり、出演者用出入り口が客用通路につながっていることも多いのですが、少なくとも客用出入り口でのパニックを避けることが出来るはずです。
但し、緊急避難が必要なクラスの地震では、停電していると考えなければなりません。楽器や機材が散乱している暗闇のステージと楽屋を安全に抜けるためには、そこで視界を確保できることが必須条件です。こういう状況で必要なのが、管理人が提唱する「25ルーメン(照度単位)以上」のLEDライトなのです。
キーライト、ペンライトや携帯電話の液晶画面の明かりでも、暗闇を進むことは不可能ではありません。しかし「安全に・素早く」進むためには全く不足です。携帯電話にライトがついているから、それを使えばと思ったあなた、大混乱の暗闇で、避難行動をしながらすぐに点灯する自信がありますか?混乱時に、複雑な操作をすることは全く不可能です。ボタンひとつですぐに点灯できるものでなければなりません。もっとも、携帯電話のライトでも全く照度不足ですし。
ともかくも、脱出口としてステージから楽屋という発想は、ステージに立ったり裏方をやったことがある人でないと、なかなかできないものでしょう。ちなみに管理人は、かつてバンドでドラムを・・・というのはウソですすいません。裏方の方です(笑)
この方法も、それなりのライブだとスタッフに制止されるかもしれません。でも、「立っていられない程」の地震で、出入り口に人が殺到している状況ならば、迷わず取るべき行動だと思います。その際に、ライトを掲げて「こっちだ!」と叫ぶかどうかは、皆様の自己判断にお任せしましょう。管理人だったら、多分やってしまうでしょうが。
ただ、その前に必ずやることは、まず自分が先に行って、脱出が可能かどうか確かめ、その上で再びステージに戻るのです。それは間違いなく、とてつもない勇気を必要とする行動ですから、正直なところ、必ずそれができると言い切る自信は無いのですが。
最後に。もしあなたが出入り口のすぐ近くにいて、強い揺れを感じたと同時に飛び出せたとします。でも、強い揺れの最中に屋外に出るのは、周囲からの落下物の危険が非常に大きいということはおわかりいただけるでしょう。ですから、まず建物に入る前に、建物や周囲の様子を確認しておく用心深さが必要です。もちろん、これはどこに行く時でも習慣にしておくべき行動ではありますが、周囲が雑多な繁華街であることが多いライブハウスや小劇場では、特に重要となるでしょう。
その上で、大地震が来たらすぐに飛び出すべきかどうかを、事前に考えておかなければなりません。繁華街において強い揺れの最中に飛び出すのは、起こりうる危険要素があまりに多いので、基本的にはお勧めできません。
なにしろ、そのような準備と心構えをした上で、心ゆくまでライブパフォーマンスを楽しんでください。(元)裏方からのお願いです(笑)
これでライブ編は終了です。次回は、またちょっと違った切り口でお送りします(←なぜ言わない)
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