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2012年5月

2012年5月31日 (木)

つくば市の竜巻は「F3」確実

5月6日に茨城県つくば市で発生した竜巻は、気象庁の当初の判断である、「藤田スケール」による「F2」クラスから、「F3」クラスに変更されることが確実になったことを示唆するニュースがありましたので、一部を引用します。ソースは毎日新聞です。

(以下引用)----------------
 茨城県つくば市で5月6日に大きな被害をもたらした竜巻の風速が、局所的に秒速100メートルを超え、国内最強規模に達していたとみられることが田村幸雄・東京工芸大教授(耐風工学)の調査で分かった。気象庁は竜巻の強さを表す藤田(F)スケールを「F2」(風速50~69メートル)としているが、田村教授は「F3」(同70~92メートル)だった可能性もあるとしている。

 田村教授は、同市北条の2階建て木造住宅がコンクリートの基礎部分ごと転倒したことに着目。重さ50~60トンの住宅が転倒するには秒速108~120メートルの風速が必要と想定し、模型を使った実験でその結果を確かめた。

 気象庁は今後、田村教授の調査結果などを踏まえてFスケールの見直しを検討する。これまで国内で観測されたF3は、06年11月に北海道佐呂間町で9人が死亡した竜巻など3例のみ。田村教授は「原子力発電所などの危険施設はF4(同93~116メートル)ぐらいまで想定して対策すべきだ」と話している。
(引用終了)----------------

これは事実上、「F3」への変更が確実になったということです。管理人は、発生直後からこの竜巻が「F3」クラスであると判断しておりました。管理人は米国の竜巻被害の映像を大量に見ていますが、それからすると、つくば市の竜巻は、見かけ上の規模と建物の被害状況が、「F2」クラスではあり得ないレベルに達していたからです。それはニュース映像をひと目見ただけでわかるレベルの違いでしたので、気象庁が暫定的にしろ「F2」と発表したことについて、強い違和感を覚えていました。

あの被害が「F2」の範疇に収まると皆が思っていた訳ではないでしょうが、せめて「F3の可能性がある」くらいの発表をして欲しかったと思っています。まあ、それをしないのがお役所でしょうが。それでも、「調査の結果、変更されることもある」と含みが残されていたことで、管理人は「F3」への変更を確信したのです。

当ブログでは、この竜巻がF3クラスだと考えられることについて、発生当日の5月6日と、二日後の8日のエントリにて触れています。5月8日の日記では、「F3」へ変更されることを予想しています。併せてご覧ください。
■5月6日の記事はこちら
■5月8日の記事はこちら

なお、管理人は米国で使用されている「改良藤田スケール」(単位記号EF)を基準に判断しておりますが、我が国における「藤田スケール」(単位記号F)の基準と、竜巻の規模、風速、エネルギーなどの基準に大きな差があるわけではありません。被害状況を判別する基準が、より詳細になっているものです。


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首都圏直下型地震を生き残れ!【21】☆旅行編

■旅行で生き残れ(その5)

今回は、家族で海水浴に行くことにしましょう。イメージとしては、太平洋岸で背後に高台が無い海水浴場で、海の近くの宿に泊まります。

この状況で一番怖れなければならないのは、やはり津波です。まず、泊まるのが鉄筋コンクリート造りで4階建て以上のホテルならば、もし宿の中で強い地震を感じたら、避難場所は迷わず4階以上の上層階とし、そのことを家族皆で確認しておきます。仮にはぐれても、それぞれの判断で、「階段を使って」最短時間で上層階へ行くのです。「津波てんでんこ」です。もちろん、非常階段の場所を事前に確認しておくのは、言うまでもありません。

周囲にさらに高いビルがあれば、そのビルへ行くという選択肢もあるでしょう。ただし、企業や商業施設のビルは夜間は入れませんし、入り口がオートロックのマンションもだめですから、そこまで確認しておくべきです。なお、立体駐車場のビルは、閉鎖されていても、徒歩ならば比較的「なんとかなりやすい」のです。詳しいことは書きませんが、利用される際にはその構造をチェックしてみてください。ゆめゆめ、夜間に忍び込んでみたりしませんように(笑)。その他、道路のオーバーパスなど、とにかく高さのある、鉄筋コンクリート造りの頑丈な構造物を探しておき、その情報も家族と共有しましょう。

しかし現実には、海水浴場の近くにはそのような施設が無いことも多でしょう。そのリスクを考慮した上で宿をどこにするかは、皆様それぞれのご判断ということになります。

さて、海水浴場に行きます。そこで強い地震を感じたら、まずは砂浜で待機です。そこが最も安全な場所です。一般に「海の家」は簡易な造りであることが多く、地震で倒壊する可能性がありますから、まずはとにかく砂浜に駆け出さなければなりません。もし磯場や堤防、消波ブロック(いわゆるテトラポッド)の上にいる時に地震を感じた場合、転倒したら大けがをします。すぐに這いつくばるように姿勢を低くして、しっかりと身体を保持します。

揺れが収まったら、間髪を入れずに津波からの避難行動を始めなければなりません。同時に、ラジオなどで津波情報を取得します。津波の危険が無いとわかるまでは、行動を止めてはいけません。着替えている時間も、海の家の会計をしている時間もありません。とりあえず足りる金額を渡し、すぐに最小限の荷物を持って、海から離れるのです。おつりは「生き残ってから」です。

ここでは公共交通機関での旅行を想定していますが、自家用車の場合、近くに高台やビルが無ければ、車で避難したくなります。津波からの避難は徒歩が原則とはいえ、実際には車に乗り込む人が大勢いるでしょう。でも混雑している海水浴場では、おそらく駐車場から出るだけでも、かなりの時間を要するはずです。そこで事故でも起これば、貴重な時間を浪費するだけで、脱出不能です。

道路に出られても、郊外のとても広い道路でも無い限り、確実に渋滞するでしょう。事故や地震による道路損傷の可能性もあります。しかも多くの場合、数キロ以上先の安全な内陸部まで、広大な道路が続いていることは無いでしょう。「行けるところまで行く」と考えて車で動き出し、渋滞の中で車を放棄したりすれば、それがさらに激しい渋滞の原因にもなります。そして、そのような人は少なからずいるはずです。

そう考えると、あまり人がいないような「辺鄙な」場所で無い限り、車での避難という選択肢は捨てなければなりません。言うまでもありませんが、1993年の北海道・奥尻島津波でも、東日本大震災でも、渋滞に巻き込まれたまま、そうでなくても車に乗ったまま津波に襲われた犠牲者が、あまりに多いのです。


そこで重要になるのが、やはり事前の準備です。海に向かう途中で、比較的安全度が高いと思われる避難経路を、複数確認しておくのです。望ましいのは、旅行の計画の段階で周辺の地図などを確認し、広い道路、最も近い高台の方向、そこへ距離などの確認をしておくことです。

そして現代は、ありがたいことに衛星画像やストリートビューが手軽に見られます。これを利用しない手はありません。地図ではわからない、実際の道路の様子、高いビルや構造物の場所、方位、距離も確認しておくべきです。そしてもちろん、その情報を家族と共有しておかなければなりません。

そして現地に着いたら、「複数の」地元の人に尋ね、情報を補強します。複数にするのは、個人レベルの情報は、往々にして間違いや思いこみが含まれていることがあるので、内容をクロスチェックするためです。買い物ついでなどに、気軽に聞いて見れば良いのです。「ここは津波来たら、どこへ逃げればいいですかね?」くらいな感じで。事前の情報が無くても、これだけは実行すべきです。

そして海岸で強い地震を感じたら、津波の危険が無いとわかるか、安全と思われる場所に到達するまで、決めた方針に沿ってひたすら避難行動を迅速に進めるだけです。「様子を見る」余裕など無いことは、何より現実が証明しています。


災害時に限らず、何か判断を求められた時にその正否を左右するのは、いかに正しい情報を把握しているかに尽きます。正しい情報無くして、正しい判断をすることは不可能なのです。そして情報を把握していることが、非常時にも冷静を保つことにつながり、それが行動の速度を上げて、ギリギリの状況になった時に、「命の一秒」を稼ぎ出すことにつながります。

残念ながら、防災に「絶対」はありません。しかし「生き残る」可能性を自ら高めることは可能です。要はその正しい方法を知り、正しく実行するかどうか、それだけにかかっています。

次回は、再び旅行で携帯すべき防災グッズについて考えます。

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2012年5月30日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【19】☆旅行編

■旅行で生き残れ(その4)

今回は、山あいの温泉旅館に泊まることにします。山深い場所ならば、一般的には強い地震をあまり警戒しなくても良いような気もしますし、事実ほとんどの場合はそうでしょう。

しかし場所によっては、例えば東日本大震災本震の翌日未明に震度6強に見舞われた長野県栄村、震災後に小~中規模の地震が頻発した岐阜県飛騨地方の山中や、2008年の岩手・宮城内陸地震で大崩落した栗駒山系のように、山間部でも「地震の巣」の上に立地している場所もあるのです。

山間部での地震は、震源深さ10km程度の内陸直下型地震であることが多く、振動周期1~2秒の、建物に対する破壊力が比較的大きな揺れが発生することが考えられます。また、さらに短い周期の揺れになると、建物には大きな破壊力は及ぼしませんが、山崩れを誘発しやすくなります。後者の典型例が岩手・宮城内陸地震であり、下画像は地震によって大崩落した栗駒山系です。この地震では、周期0.2秒程度の非常に短周期の揺れが発生したとのことです。
Photo

山あいの温泉街では、谷間の狭い場所に建物が建っていることが多いものです。背後には高い山や崖がそびえ目の前は川という、防災的な目からはかなり厳しい立地であることを、まず認識しなければなりません。しかし、昔から崖崩れや氾濫が頻発するような場所には、基本的には街はできていないはずですので、その点からは比較的安全度が高いとも言えます。

ただ、最近の気候変動の影響により、過去には滅多に無かった豪雨が頻発しているようなこともあり、過去何百年も大災害が無かったからこれからも無い、という発想はするべきではありません。地震が無くとも、気象災害に遭う可能性は確実に高まっています。

そして、ひなびた「秘湯」ほど険しい山中で、建物も築数十年というようなものも多く、温泉地としての魅力の高さが、そのまま防災上の弱点になっているという事実も認識しなければなりません。こんな事を書くと温泉地の方に怒られそうですが、事実は事実として目を逸らさず、それに見合った意識と対策をしなければならないということです。そこにある危険を正しく認識しているだけで、いざという時の行動に雲泥の差が出るのです。

では、山あいの温泉街で考えられる危険とは、どんなことでしょうか。地震そのものによる建物の崩壊や火災は、ここでは敢えて除外しましょう。これは温泉街でなくてもどこでも共通であり、その対策は今までにも述べて来たからです。

そのような場所での最も大きな危険は、山崩れや地滑りです。地震や豪雨、あるいはそれらの相乗効果によって、かつて崩れた事のない山が突然崩れるということが、実際に多発しています。降雪地では、雪崩の危険もあります。そしてもうひとつは、山崩れが川をせき止め、それが一気に決壊することによる土石流です。これらが、突出した危険と言えます。

ではまず、宿に入る前に何をすべきでしょうか。大抵の場合は、周囲の景色をぐるりと見回すでしょう。そこで景色を楽しみながら、ちょっとだけ「防災の目」を加えるのです。宿の建物に覆い被さるような崖は無いか、近くに急な斜面は無いか、斜面を流れ下る沢筋は無いか。小さな沢でも、山崩れによる土石流を発生させることもあるのです。

近くの崖などに大規模な土留め壁、落石防止フェンスやネットがあったら要注意です。それがあるから安心なのではなく、その崖は崩れやすいからこそ、対策がしてあるからです。もちろん、多少の崩落は受け止めてくれるでしょうが、大きな地震が来たり「想定外」の崩落が起きたら、どうなるかわかりません。まずは、建物の周囲のそのような危険を把握します。

宿の部屋に向かう途中では、例によって非常口や避難ルートを必ず複数確認します。そして部屋に入ったら、まず窓を開けて周囲を見ましょう。目の前に崩れる可能性のある急斜面は無いか。つまり、そこが崩れた場合、部屋を土砂が直撃する可能性があるか。さらに、そこから地上へ脱出は可能かということをチェックします。

仲居さんが来たら、避難ルートについても必ず確認します。谷間の狭い場所に建っている温泉宿は、地形に沿った複雑な構造になっていることも少なくありません。さらに後ろは山、前は川と、脱出方向が局限されることも多いものです。そのようにまず情報を得てから、そのルートをいちど実際に歩いて見ることを、強くお勧めします。そこは子供の頃に良くやった「探検」気分で楽しみながら。結構、意外な楽しい発見があったりするものです。

さて、まずは必要な防災情報が集まりました。次回は、実際の災害を例に取りながら、いざという時の行動を考えます。

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首都圏直下型地震を生き残れ!【20】☆旅行編

※当記事は、過去のシリーズ「首都圏直下型地震を生き残れ!」の第20号記事としてで2012年5月30日付けでアップしたものですが、記事内に一部事実誤認がありましたので、修正の上再アップいたします。記事の主な内容については変更はありません。

■旅行で生き残れ(その5)

今回は、実際に起きた地震による土砂災害を例に取って、その時どのような行動を取るべきなのかを考えます。

2008年6月に発生した岩手・宮城内陸地震では、栗駒山系の山あいにある駒の湯温泉を山崩れと土石流が襲い、多くの方々が犠牲となりました。現場では、その時一体何が起きて、何ができて、何が出来なかったのでしょうか。

下画像は、崩落現場の様子です。
Photo_2

まず、生存者の方の証言をいくつか拾ってみます。
■山崩れと土石流は、地震が収まってから10分くらいして襲ってきた。
■地震の後、宿の前の駐車場のアスファルトにヒビが入り、泥水が噴出していた。
■そこにいた皆には、すぐに避難しなければというような緊張感は無かった。山が崩れ始めたのを見て、慌てて避難しようとした。

これだけの情報から、皆様は何がお判りになるでしょうか。あなたがもしそこにいたら、どのような行動を取りますか?問題は、二番目です。斜面の下にある平場で、泥水が噴出しているのです。これが何を意味するのかを知っているかどうかで、結果は大きく変わります。

実は、斜面やその下から泥水が噴出するということは、即ち崩落の危険が目前に迫っているということに他ならないのです。地震によって山体の内部に大きな亀裂が入り、沢の水や地下水がその亀裂に入り込み、内部をさらに削りながら流れ下っている状態です。そうなったら、いつ崩れてもおかしくありません。一刻を争う状況です。

もし噴出しているのが澄んだ水だったら、泥水の場合よりは猶予があると考えられます。水によって亀裂が削られていないことを示しているからです。しかし、このようなケースでは、大抵泥水となるでしょう。なにしろ、山体に大きな亀裂が入っているのは間違い無いのです。これに似たようなケースでは、斜面を流れる、普段は澄んでいる沢の水が濁り出したら危険、というものがあります。これは沢の上流部で既に崩落が始まっていることを示しているからです。

さらに沢や川の水量が減ってきたり、水が無くなったりしたら一刻の猶予もありません。上流部の山崩れで水がせき止められているのは間違いなく、それが一気に決壊して、土石流となって襲って来ると考えなければなりません。

下記に、山崩れ、地すべりや土石流の前兆をまとめます。これは地震に限らず、豪雨災害時にもあてはまります。山あいの温泉地などへ行く場合は、必ず知っておく必要があります。

■斜面やその下から、泥水が噴き出す。
■沢や川の水が濁る。
■沢や川の水が減ったり、水がなくなる。
■斜面や崖から、小石や土くれが落ち始める。
■斜面に亀裂が入る。
■山鳴りがする。
■山からミシッ、バシッというような音が聞こえる(地すべりによって、木の根が切れる音)
■生臭いような、不快な匂いがする(これはあまり多くありません)

これらのような前兆が見られたら、すぐにその斜面、川や沢筋から離れなければなりません。しかし、一旦山崩れや土石流が発生したら、安全圏まで脱出する時間的猶予は、ほとんど残されていません。では、そこで万事休すなのでしょうか。いや、まだ生き残る方法があります。下画像をご覧ください。
Photo_3
これは惨劇の現場となった駒の湯温泉の宿泊施設の様子です。これを見て、なにかお気づきになりませんか。

この建物は、二階建てでした。一階部分は土石流で完全に破壊されていますが、建物ごと流されながらも、二階部分の外形はほぼ完全な形で残っています。山から崩れ落ちる土砂や土石流は、それほど深さがあるわけではありませんので、建物を直撃しても一階部分だけを破壊する可能性が大きく、仮に建物ごと流されても、二階以上の構造はあまり損傷しないことが多いのです。

もちろん、内部には土砂が突入して損傷することが考えられますから、かなり危険な状態なることは確かです。しかし、一階部分は完全に土砂と水に埋められてしまうことが多いので、二階の方が「生き残れる」可能性が高かったのは確かでしょう。それはこの事例に限らず、多くの土砂災害にも共通することです。

駒の湯温泉で犠牲となった方々は、その多くが屋外か一階部分で土砂に呑まれました。そして生き残ったのは、土石流に流されながらも埋没せずに、その上に向けて脱出できた方々でした。

もし、もっと早いうちに土砂崩れや土石流の前兆を察知できていて、例えば二階に上がっていたとしたら、また違った結果になっていたかもしれないと思うと、残念でなりません。もちろんそれは結果論であって、様々な状況の中で常に最良の判断ができるとは限りませんし、言うまでもなく犠牲になった方々や生き残った方々を非難するものでもありません。

ただ、当ブログのテーマのひとつでもありますが、悲劇の現場から教訓を読み取り、それを伝えることで同じような悲劇を繰り返さないことが、生きている我々の務めではないかと思います。


特に都市生活者とっては、自然の中へ行くことは、完全な「アウェイ」です。都市の常識は通用しません。自然災害の種類も規模も全く異なりますから、それらに対する正しい知識の有無が、生死を分けることがあります。滅多に遭遇しなくても、一度遭ったら命に関わるという現実を、より深く噛み締めていただきたいと思います。

次回は、海へ行きます。

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2012年5月29日 (火)

地震関連情報【5/29千葉県北西部地震について】

5月29日午前1時36分ごろ、千葉県北西部、深さ80kmを震源とするマグニチュード5.2の地震が発生し、東京都内などで最大震度4を記録しました。

この地震は、震源深さ80kmということから、太平洋プレートのスラブ(岩盤)内で発生した、逆断層型の「スラブ内地震」だと考えられます。下図をご覧ください。
Mini
これは南関東の地下の状態を現した模式図ですが、今回の震源は、図中の5番の深さで発生しました。これは、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの下に西側(太平洋側)から潜り込む太平洋プレートの動きが東日本大震災の影響で加速したためにプレート岩盤が圧縮され、岩盤内で逆断層型の破壊が起き、地震となったものです。スラブ内地震の模式図を再度掲載しておきます。下図中の3番のタイプです。
Photo_2


当カテゴリの前記事でもニュースを引用しましたが、東日本大震災後、太平洋プレートが陸側プレートの下に潜り込む速度が震災前の1.5倍、2003年当時に比べると3倍にまで加速していることが実測されていますので、その動きと密接な関連があることは間違いありません。したがって、太平洋プレートの速い動きが続いている以上、同様の地震が、特に東日本を中心にどこで起きてもおかしくない状況です。現実に、宮城県太平洋岸の海底と内陸を中心に、昨年の秋くらいからこのタイプの地震が日常的に発生するようになっています。

この太平洋プレートの速い動きは、今回の地震のように太平洋プレート自体の内部での圧縮破壊を引き起こす他、接触しているユーラシアプレートやフィリピン海プレートとの間に複雑な影響を及ぼし、ひずみエネルギーの蓄積も加速しています。つまり南関東において、最初に掲載した図の1番から5番まで、あらゆる地震の可能性を押し上げていることは間違いありません。

なお、1番は10km以下の浅い場所で起きる「内陸直下型地震」、2番はユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界で起きる、海溝型ではない「プレート境界型地震」で、首都圏に震度7をもたらすとされているのが、ここで発生する地震です。3番はフィリピン海プレート内で発生する「スラブ内地震」、4番は太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生する、2番と同様の海溝型ではない「プレート境界型地震」で、千葉県沖の深さ50~60km程度で発生する地震は、このタイプと思われます。そして5番が、今回発生した太平洋プレート内の「スラブ内地震」です。

これら南関東で起き得るあらゆる地震の可能性が、確実に高まっています。待ったなしと言っても良いかもしれません。「天は、自ら助くる者を助く」という言葉がありますがまさにその通り、少なくともオカルトや神頼みだけでは生き残る可能性は大きくできません。できる備えをできるだけ、これはもちろん物質面、行動面、精神面すべてにわたって備えることが大前提であり、そこに少しの幸運がもたらされれば、厳しい状況からもきっと生き残れると、管理人は信じています。

言い古された言葉ですが、その過ちがイヤというほど繰り返されてきた言葉を最後に。

「起きてからでは遅い」


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首都圏直下型地震を生き残れ!【18】☆旅行編

■旅行で生き残れ(その3) 【2】から続きます。

旅行の時に携帯し、常に「手元」におくべき防災グッズの三つ目は、呼吸を確保するものです。

【2】では、まず公共交通機関で移動中に遭遇する災害や事故を想定していますが、例に挙げた過去の事例のうちでは、トンネル内の火災と航空機の不時着時に最大の効果を発揮するものです。なお、前回記事では最近の列車火災を例として挙げていますが、トンネル内では自動車火災の方がはるかに現実的な脅威です。

1979年に起きた、東名高速道路日本坂トンネル内での多重衝突を原因とする火災では、173台の車が全焼し、7人が犠牲になりましたが、そのうち2名は煙に巻かれたことによる窒息死でした。後続車の乗員は何も持ち出せずにギリギリで避難した人も多く、少し条件が違えば死傷者が激増していた可能性もありました。

最近の高速道路の長大トンネルでは、避難通路や消火・排煙設備がさらに強化されているものも多いので、火災が発生しても生き残れる可能性がかつてよりは大きくなっています。しかし言うまでも無く、それらの設備が常に最大限の効果を発揮するとは限りませんし、火災の規模が設備の能力を上回ることもあるのです。日本坂トンネルは当時最新の防災設備がありましたが、火災の規模が想定を上回ったために、ほとんど作動しなかったのです。

むしろ、高速道路ほど設備が充実していない、一般道のトンネルの方が危険度が大きいと言えるでしょう。我が国においては、過去に一般道のトンネル火災で大惨事になった事例はあまり思い浮かびませんが、だからと言って起きないとは言い切れません。事故や整備不良による車両火災は、日本中で日常的に起きています。それがトンネル内で、あなたの前方を走る車で起きるかどうか、ただそれだけの「偶然」にかかっています。

トンネル火災で最大の脅威は、もちろん煙です。ガソリンが燃える黒煙、不完全燃焼による一酸化炭素(CO)、燃える合成樹脂から発せられる様々な有毒ガスが襲いかかって来ます。それらを、場合によってはひと息吸っただけで、行動不能になることもあります。トンネル火災よりはるかに脱出距離が短いビル火災で、出口を目前にして折り重なるように倒れている犠牲者の姿が、その恐怖を物語ります。

そんな状況で必要なのが、これです。
Photo
防煙フードです。空気を入れて膨らませ、頭からかぶるプラスチックバッグです。このタイプでも5分程度は呼吸と視界を維持することができます。防煙フードには、さらに高性能で長時間の呼吸を維持できるものもありますが、ここでは携帯性と価格を重視しました。

これを持っていれば、トンネル内での脱出行動中に煙に追いつかれても、その時点で「地面に近い場所の空気を入れて」膨らませてかぶることで、慌てずに出口や非常口を目指すことができます。長大トンネル内でも、5分の余裕があれば、必ず非常口に到達することができます。なお、地面に近い場所の空気を入れるのは、煙や有毒ガスは空気より軽いので、地面近くが最も安全な空気だからです。


航空機からの緊急脱出時には、基本的には乗務員の指示に従い、自分の判断でこのようなグッズを取り出すのは避けなければなりません。しかしここで想定しているのは、不整地への不時着や低空からの墜落時のような、機体が破損して火災が発生し、乗務員の誘導もあまり期待できないような状況です。我が国では、1994年の名古屋空港での中華航空機墜落事故や、1996年の福岡空港でのガルーダ航空機離陸失敗事故がこれに当たります。全く余談ながら、管理人は中華航空機事故の時は名古屋在住で、空港のすぐ近くから炎上する機体を実際に目の当たりにしています。

そのような場合、すぐに脱出行動が可能ならばもちろんそうすべきですが、落着時の激しい衝撃で身体になんらかのダメージを負っている可能性が大きく、素早い行動は困難かもしれません。そこで煙に巻かれたら終わりです。その場合、すぐに防煙フードをかぶることができれば、仮にシートから全く動けない場合でも5分間、静止していれば実際にはそれ以上の間、命を長らえることができるのです。

空港内の事故ならば、5分以内には確実に消火や救助が始まっているはずです。あなたに火が迫るのが先か、脱出、救助が先かは、まさに神のみぞ知るというところですが、少なくとも「能動的に」命を守る方法があるのならば、それに賭けるべきです。たった100グラム程度と、500円前後の負担に過ぎないのですから。なお、防煙フードはプラスチック製ですから、火が迫っている場合は使えません。装着時に高熱に晒されると、溶けて顔に貼り付き、重いやけどを引き起こすことになりますから、その場合にはすぐに脱がなければなりません。非常に困難な状況ですが、フードが溶けたら、いずれにしろその機能を失うのです。

このような使用法を想定していますから、オーバーヘッドストウェッジ(座席上の荷物棚)に入っていては使えません。飛行機に乗る際には、LEDライトやビニールカッパ、防煙フードも含めて、最低限の身の回りのものは「手元に」置いておくべきでしょう。

以上のように、公共交通機関での移動中に想定される現実的な危険に対して、LEDライト、ビニールポンチョ(カッパ)、防煙フードの三つがあれば、非常に効果的に「生き残る」可能性を高めることができるのです。是非取り入れてみてください。


なお、このテーマ「旅行で生き残れ」は、シリーズタイトルの「首都圏直下型地震」とは全く関係無い感じですが、ここで紹介している方法やグッズは、基本的には大地震時に起こる事態への対策と共通または応用しているものです。旅行中という、ある意味で特殊な環境における災害対策について述べた、スピンオフ企画としてご覧ください。

次回は、山あいの温泉街に到着します。


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2012年5月28日 (月)

首都圏直下型地震を生き残れ!【17】☆旅行編

■旅行で生き残れ(その2)

今回は、旅行に持参する防災グッズについて考えます。でも、管理人がいつも主張している通り、グッズを揃えればそれで良し、ではありません。一緒に「考え方」と「行動」が伴わなければ、宝の持ち腐れにもなりかねませんから、皆様もご自分の立場や状況を想定しながら、一緒にお考えになってください。

旅行中は、移動中に災害に遭う確率が非常に高まります。もちろん自然災害だけでなく、交通事故などの可能性もあります。その第一撃で負傷してしまったらともかく、なんとか無事だった場合に、何が必要になるでしょうか。

まず、過去の実例を見てみましょう。記憶に新しいのは、群馬県で発生した高速バス事故です。あの場にあなたがいて、無事だったとしたら、何が必要だったでしょうか。

2011年5月には北海道で、トンネル内での特急列車火災事故がありました。その際には、何が必要だったでしょうか。

東日本大震災では、多くの列車が津波に呑まれましたが、乗客の多くは事前に脱出に成功しました。そこで必要になったものは?

台風や豪雨の際には、土砂崩れや洪水などで、交通機関が立ち往生することは良くあります。雪国では、吹雪や豪雪でも起こります。救援が来るまで、どうやって持ちこたえますか?

航空機の事故は致命的な結果になりやすいのですが、不時着や機体火災などで脱出しなければならなくなったら、何があれば生き残れる可能性を高められるでしょうか?


これらすべての状況で役立つ防災グッズとして、管理人が考えるのは3つ。それらを、預け入れ荷物などではなく、あくまで「手元に」持っている必要があります。そしてそれらのグッズが確保する要素は、視界、防水・防寒、呼吸ですと言えば、当ブログの読者の方なら、「ああ、あれか」とおわかりになるでしょう。何も特別なものではありません。では、起こりうる状況を見て行きましょう。

乗っていた高速バスが事故を起こしたり、火災が発生したとします。その場合、すぐに車外に脱出し、ガードレールの外に出なければなりません。後続車の追突の危険が非常に大きく、仮にそれが可能であっても、決して車内に留まってはいけません。これはもちろん、自家用車で事故に遭遇した場合も同じです。その場合、周囲が暗闇だったり、雨や雪が降っていたとしたら。

暗闇の山中やトンネルの中で列車が火災を起こし、煙の中を脱出しなければならないとしたら。鉄道トンネルには照明はほとんどありませんし、線路の路盤は、砂利や枕木、線路を留める金具類があって非常に歩きづらい上に、線路脇には様々な設備があります。

豪雨でバスや列車が止まり、土砂崩れなどの危険から逃れるために、車外に避難しなければならないとしたら。東日本大震災では、雪が降る寒さの中、津波避難のために、これに似た状況が多発しました。

飛行機が不時着して火災を起こし、暗闇と猛煙の中を機外へ脱出しなければならないとしたら。航空燃料の火災は短時間で延焼し、以前よりはかなり改善されましたが、機体設備の燃焼により、有毒ガス発生の危険も大きいのです。秒単位で生存の可能性が減っていく、最も厳しい状況です。これらの状況に置かれた時、視界、防水・防寒、呼吸の確保が非常に重要というより、生死を分ける要素になることはおわかりいただけるでしょう。

まず、視界の確保のために必要なのが、ライトです。普段、管理人は「25ルーメン(照度単位)以上」のLEDライトを常時携帯すべきだと常に言っていますが、このようなケースでは、さらに照度の大きなものが欲しくなります。特に暗闇のトンネルや山の中を速やかに進もうとすれば、25ルーメンでは心許ないのです。

こんな状況で管理人のお勧めは、80ルーメンクラスのLEDライトです。単3電池2本仕様のものになります。そのクラスなら、足元は昼間のように見えますし、50m以上先まで楽に見通すことができます。下画像は管理人が旅行やアウトドアに持参する、80ルーメンのLEDライトです。キャンプなどでも大活躍します。もちろん、航空機の機内にも問題無く持ち込めます。
Patrio7
ちなみに、2011年5月のトンネル内列車火災事故では、脱出の際に誰もライトを持っておらず、自分の手元も見えない暗闇の中で、携帯電話の液晶画面の明かりが頼りだったそうです。もし、もっと煙がひどかったりしたら、大惨事になっていたかもしれません。このような脱出の場合は、煙が流れる方向の逆へ行かなければなりませんが、携帯電話の明かりでは、それさえも良くわからなかったでしょう。災害からの緊急避難では、行動を決める情報の収集とスピードが何より重要なのです。そのために、いかなる状況でも周囲を確認できる十分な照明があること、管理人はこれをもっとも重視します。

次に、防水・防寒です。移動中に事故が起きたら、豪雨だろうが吹雪だろうが、否応無く乗り物の外に出なければなりません。その際にできるだけ服や身体を濡らさず、さらに風を防いで体温を維持するための装備が、絶対に必要です。そのために一番手軽な装備が、100円ショップのビニールポンチョやカッパです。管理人は、短時間で着用しやすく、リュックやショルダーバッグの上からもかぶれるポンチョタイプをお勧めします。もちろん、より高性能の雨具があればそれにこした事はないのですが、ここでは携帯性を重視します。100円ショップものは、素材があまり厚くない分、畳むと一番コンパクトになります。
10002
上画像はポンチョでなくカッパですが、管理人の収納方法です。フリーザーバッグに入れて空気を抜けばぐっとコンパクトになりますし、使用後に塗れた状態での再収納も楽です。

アウトドアでは、とにかく服や身体を濡らさず、風を防いで体温を維持することが非常に重要です。冬場は言うまでも無く、夏場でもずぶ濡れになってしまっては風邪をひいたり体調を崩しやすくなりますし、大災害時にはろくに治療も受けられませんから、生命に関わる状況にもなり得ます。決して甘く見てはいけないのです。

しかし、どうも世間一般の「防災マニュアル」では、この防水・防寒という概念と装備が軽視されがちです。「防災のプロ」とかを名乗る輩でも、防水・防寒のことを何も考慮していないアドバイスをする者も少なくありません。東日本大震災では、低体温症による犠牲者が多数出ているというのに、その教訓はあまり生かされていないのです。「その時」になって後悔しないために、情報の質は自分自身で吟味しなければなりません。他人任せでも、机上の空論でも、生き残ることは出来ないのです。

長くなりましたので、以降は次回へ続きます。


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首都圏直下型地震を生き残れ!【16】☆旅行編

■旅行で生き残れ(その1)

レギュラーシリーズ、新テーマを始めます。題して「旅行で生き残れ」。普段の生活の中でしっかりと災害対策をしているあなたは、旅行に行く時も普段の生活と同様に災害対策を考えていますか?ちょっと手薄になったりしていませんか?

シリーズタイトルの「首都圏直下型地震を生き残れ!」というのは、あくまで便宜的につけたもので、特にこのテーマでは場所を首都圏以外の場所も広く想定し、さらに地震以外の災害や事故にまで対象範囲を拡げます。

今まで当シリーズでは、自宅、仕事場や普段の行動範囲の中、つまり「ホーム」での災害対策を中心に述べて来ました。「ホーム」の条件は把握しやすいので、対策もどちらかと言えば容易です。しかしここからは「アウェイ」です。不慣れな条件の中で、いかに災害に対して効果的に対応していくかを考えます。

大前提として、ここではドライブ旅行は除外します。車があれば、普段持ち歩いている、あるいはそれ以上の水、食料、防災グッズを持参できますし、車自体を「避難所」として使えることが多いからです。車の中に何を備えるべきかは、また別の機会にまとめたいと思います。

それに対し、公共交通機関を利用する旅行では、荷物の量も行動も、かなり制約を受けます。そして、移動経路や行き先によって、危険の種類も非常に多岐に渡りますから、条件はより厳しくなります。ですから、ここでは限られた条件の中で、できるだけ多くの危険に対応できる最大公約数的な「考え方」を中心に、いくつかの代表的な状況について、個別に考えて行きます。

まず最初に「どこへ行くか」です。海か、山か、街か。行き場所によって、災害の条件は大きく変わります。しかし、旅行に持参できる程度の防災グッズのレベルでは、実はそれほど内容に違いはありません。旅行用装備として、いつも同じセットにしておいても良いと思います。

その中で、特に旅行の場合には基本的には除外した方が良いのが、「刃物」です。キャンプや登山に行くならばともかく、防災グッズとしてナイフなどを持っている場合、もちろん飛行機の機内持ち込みはできませんし、その他にも痛くない腹を探られることになります。また、例えばイベントなどの荷物チェックで見つかると、面倒なことにもなりかねません。警察官の職務質問を受けて刃物が見つかると、その場ですぐに解放というわけにはいかないでしょう(これはどこでも一緒ですが)。

ましてや、海外ならば何が起こるかわかりません。ですから、ナイフ類は避けた方が無難です。次善の策として、あまり大きく無い、文房具程度のはさみを持参するのが良いでしょう。一般的な旅行で、ナイフが無いと対応できないケースなどほとんど無いはずです。もしアーミーナイフなどを持参するなら、上記のようなリスクも覚悟していなければなりません。

「アウェイ」では、たとえそれが国内であっても、いろいろな意味で「ホーム」の常識が通用しないことがあるのだという意識を持つべきであり、それが旅行における災害対策の基本でもあります。それは災害だけでなく、様々なトラブルからも身を守ることにもつながりますし、むしろその効果の方が大きいでしょう。

参考までに、我が国の銃刀法では、簡単に言えば「刃渡り5.5cm以上」の刀剣、ナイフ類が規制対象になります。しかしそれ以下のものや、例えばはさみやカミソリの刃、さらには刃物でなくても「正当な理由無く、人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた」と警察官に判断された場合、つまり武器になる物を携帯していたと判断された場合には、軽犯罪法違反に問われることになります。

その場合、対象となった刃物などの提出は、法的には任意なので拒否できるとの「トリビア」もあるようですが、実際にはほぼ強制に近い形で所有放棄の書類を書かされ、押収されます。もしそこで「正当な理由無く」拒否を続ければ身柄の拘束、つまり逮捕もあり得ます。

ですから、一般的に「武器」と見なされない、文房具程度のはさみを他の防災グッズと一緒にしておき、「正当な理由」を主張しなければなりません。その使い道、つまり「正当な理由」については、後に本文中で述べることにします。もしその主張が認められなくても、対象となった物を所有放棄して提出すれば、国内でのこのようなケースにおいては、検挙されることは無いでしょう。

実は、これは管理人自身も経験があることなのです。もちろん警察官の指示に従いましたけど、ちょっと高価なものだったので今でも非常に悔しくて(笑)。そんな場合に備えて、防災グッズとしては、特に「アウェイ」では、安物のはさみ一個くらいが適当だと考えます。

次回は、旅行に持参すべき、その他の防災グッズについて考えます。

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地震関連情報【5/24青森沖地震について・追補】

ひとつ前の記事で、5月24日に発生した青森県沖地震について記しましたが、その記事内容について、少し補足します。

記事中で、東日本大震災本震震源域より陸側の、深さ50~70km程度で発生する「スラブ内地震」について述べていますが、記事を読むだけだと「スラブ内地震」は「アウターライズ地震」の後にだけ起きているような印象を受けられるかもしれません。

しかし実際にはそうでは無く、「スラブ内地震」は日常的に発生しています。特に、宮城県沖または沿岸部の深さ40~70kmを震源とする地震は、そのほぼすべてが、地殻内の圧縮力によって発生する、逆断層型の「スラブ内地震」と考えられます。

ではなぜ管理人が3月14日の「アウターライズ地震」の後、3月19日に青森県東方沖で発生した「スラブ内地震」に注目したかというと、その震源域での地震が、あまり多く無い場所だったからです。感覚的には、一ヶ月に一回起きるかどうか、そんな感じです。その震源域が、強めの「アウターライズ地震」の直後に、一見連鎖するように動いたことで、もしかしたらこれは偶然では無いのではないかと思いましたので、ブログの記事として残したものです。その記事で述べているように、「アウターライズ地震」と「スラブ内地震」は、海洋プレートの加速という同じ現象に起因するものなので、間違いなく発震機構に関連はあります。ならば、もしかしたら発生時期にまで相関関係があるかもしれない、そう考えたのです。

そして今回、5月17日から多発し始めた三陸沖の「アウターライズ地震」の動きが収まった22日から二日後の5月24日、再び青森県東方沖で「スラブ内地震」が発生したことで、より注目すべき動きであるとの思いを強くしました。ただ、注意しなければならないのは、3月14日と5月22日の「アウターライズ地震」では、発震機構は同様なものの、震源域の場所と張力軸、つまり地殻表面近くにかかる引っ張り力の方向が、若干異なります。

この違いが大局的な発震機構に影響を及ぼすものなのか、それとも局地的な条件の変化に過ぎないのか、それともすべてが最初から何の関係も無い、単なる偶然の所産なのかは、専門家ではない管理人には判断のしようがありません。しかし、類似の現象が二回続けて起きたことで、今後もより注目しなければならない「相関関係」であることは間違い無いと考えています。

いずれにしろ、今後も当ブログとしては「アウターライズ地震」と「スラブ内地震」の相関について注目し、関連の情報をお伝えして参ります。


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2012年5月27日 (日)

地震関連情報【5/24青森沖地震について】

お待たせいたしました。更新を再開します。

去る5月24日に、青森県沖、深さ50kmで発生したマグニチュード6.0、最大震度5強の地震について、遅ればせながら記しておきます。

まず、この地震に関する気象庁の発表によると、「西北西-東南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型地震」であるとのことです。つまり、ほぼ東西方向にかかる圧縮力によって起きた地震ということです。逆断層型地震とは、地殻にかかる圧縮力によって起きる地震です。そして、震源深さ50kmということからして、地殻の岩盤(スラブ)内の比較的深い場所で起きた、いわゆる「スラブ内地震」だと思われます。下図の3に当たる地震です。
Photo

一方、当カテゴリのひとつ前の記事でも書いた通り、5月17日から22日にかけて、三陸沖で震源深さ10km程度の地震が多発していました。これは、発生場所や震源深さから判断して、海溝部の沖側の地殻表面近くにかかる引っ張り力による正断層型地震、いわゆる「アウターライズ地震」だと思われます。上図の1に当たる地震です。

この両者の発生メカニズムには、相関関係があります。まず、海溝型の巨大地震によって、海洋プレート(ここでは太平洋プレート)と大陸プレート(同、北アメリカプレート)の固着域(アスペリティ)が大きく破壊され、両プレート間の摩擦抵抗が小さくなります。すると、海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込むスピードが上がります。これについては、奇しくも5月24日のニュースで調査結果が報道されていますので、一部を引用します。ソースは読売新聞です。
(以下引用)---------
 太平洋の巨大な岩板(太平洋プレート)が東日本の下に沈み込むスピードが、東日本大震災前と比べて平均で約1・5倍、2003年以前に比べると約3倍に加速していることが、北海道大学の日置(へき)幸介教授らの研究で明らかになった。
(引用終了)---------

このような動きは予想されていたことであり、海溝型巨大地震の後に発生する「余効すべり」または「余効変動」と呼ばれるものです。この太平洋プレートの速い動きによって、アウターライズの浅い部分に引っ張りの力がかることによって起きる正断層型地震が、いわゆる「アウターライズ地震」であり、大陸プレートの下に潜り込んだ先で、岩盤が押しつぶされるように圧縮されて起こる逆断層型地震が、いわゆる「スラブ内地震」です。

今回この同じ原因、海溝型巨大地震後の余効変動によっておきる二種類の地震が、一週間以内という非常に短い時間のうちに連続したわけですが、興味深いことに、このような連鎖は初めてではありません。当ブログでも、以前にそのことを記しています。その記事はこちら

まず今年の3月14日、三陸沖深さ10kmを震源とする、マグニチュード6.8の「アウターライズ地震」が発生し、北海道釧路町、青森県八戸市などで最大震度5強を観測するとともに、太平洋沿岸各地でごく小さな津波を観測しました。

そして、その5日後の3月19日、青森県東方沖深さ60kmで、マグニチュード4.7の地震が発生しました。こちらの最大震度は3と、ほとんど意識もされなかったと思いますが、こちらは震央位置や震源深さからして、「スラブ内地震」だと思われます。管理人としては、それらふたつの地震が連続して発生したことは偶然では無いと考えて3/19の記事を書いたわけですが、今回また、比較的似たような状況が起きたわけです。

もちろん、これらの二例だけで相関あり、つまり、「アウターライズ地震」と「スラブ内地震」は短時間で連鎖しやすいと結論づけられるものではありませんが、そのような現象が起きやすいという可能性は、少し高くなったと考えて良いのではないかと思っています。

前述のように、「アウターライズ地震」と「スラブ内地震」は、海溝型巨大地震後に発生する「余効変動」という同じ理由で発生するものです。ですから、近いタイミングで発生する可能性は元来高いものです。しかし、それが数日程度というごく短い間隔で発生しやすいのだとしたら、「アウターライズ地震」の後には、その震源から陸地寄りまたは沿岸部で「スラブ内地震」が起きることを、特に警戒すべきなのではないかと考えます。とりあえず管理人としては、警戒すべき地震の連鎖現象である可能性が高い、ということにしておきます。

この現象については、今後も情報を収集し、何かわかりましたら、またこの場で報告いたします。

※文中で使用している「スラブ内地震」とは、本来は地殻岩盤(スラブ)内部で発生するすべての地震を指します。しかしこの場では、「アウターライズ地震」などと区別するために、海溝型巨大地震後の余効変動によってスラブ内で発生する逆断層型地震に限定して、この呼称を使用しています。


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2012年5月22日 (火)

ご愛読いただいている皆様へ

いつも当ブログをご愛読いただき、ありがとうございます。管理人よりお知らせです。

実は、身内に不幸がありましたので、ブログの更新を一週間程度お休みさせていただきます。来週半ばまでには再開の予定です。

なお休止中でも、緊急に皆様にお知らせしたいことがありましたら、何らかの形でアップさせていただくかもしれません。

それでは、しばらくお休みをいただきます。再開しましたら、またよろしくお願いいたします。

「生き残れ。Annex」管理人 てば拝

2012年5月21日 (月)

地震関連情報5/21【三陸沖地震について】

三陸沖で、地震が多発しています。

5月17日から、本日5月21日の午後4時までの間に、マグニチュード4.4~5.8の有感地震を、10回観測しています。これらの地震はほぼ同じ震源かごく近くで、深さもすべて10kmと推定されています。

震央の位置は東日本大震災本震の震源域より外側で、いわゆる「アウターライズ」に当たる場所であり、すべて震源深さ10kmということからしても、「アウターライズ地震」の性格が強いものと考えられます。

現在のところ最大マグニチュードは5.8で、陸上での最大震度は3ですが、この付近でマグニチュード6台後半から7以上のクラスが発生した場合、「津波地震」となる可能性があります。

震源が陸地から遠いために、陸上での震度はそれほど大きくならないことが考えられますが、このタイプの地震は、震源深さが浅いために海底の大きな変形を比較的伴いやすく、陸上の震度からは一般的に想像しにくい大きさの津波が発生することがあります。

陸上の揺れは被害が出るような大きさでは無いのに、大津波が発生する地震を、俗に「津波地震」と呼びますが、三陸沖での一連の地震のタイプと推定される「アウターライズ地震」は、その代表的なものです。この他に、海底の断層が一気にではなく、数十秒というよな時間をかけてゆっくりとずれる、通称「ぬるぬる地震」というようなものもあります。この場合は、陸上での揺れをほとんど感じないのに、大きな津波が発生することがあります。

東日本大震災のような海溝型の大地震の後には、「アウターライズ地震」の発生がメカニズム的に予想されており、今までにも震災本震直後のマグニチュード7.5を最大に、既に何度か発生しています。幸いに、本震直後以外は津波を発生させるほどではありませんでしたが、いつ大規模に発生してもおかしくないのです。


我が国の過去の例や、海外の地震での例を見ても、東日本大震災と同様の海溝型大地震の後、数年から数十年経った後でも、本震の影響による「アウターライズ地震」の発生が、多数確認されています。東日本大震災震源域付近は、いまだに、そしてこれから長きに渡って、「アウターライズ地震」の危険の真っ只中にあると言っても過言ではありません。

震災後、本震直後を除いて、これほどまでにアウターライズでの地震が集中したことは、管理人の記憶では初めてではないかと思います。今後どのような動きになるのかは全く予断を許しませんが、大きな津波を伴う地震の危険性が、かなり高まっている可能性を考えておかなければならないでしょう。

東日本大震災被災地の皆様、地震の際には揺れが小さかったからと言ってそれだけで安心せず、すぐに津波情報を確認してください。「アウターライズ地震」の場合、震源が震災本震より外側、つまり陸地との距離があるので、震災による津波よりは、陸地に到達する時間が長くかかることは考えられますが、とにかく小さな地震でも、すぐに津波情報を確認されることを、強くお勧めします。「津波てんでんこ」の教えを、今度こそ最大限に生かさなければなりません。


当ブログの過去ログに、「アウターライズ地震」について図解した関連記事がありますので、併せてご覧ください。
こちらからどうぞ。

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首都圏直下型地震を生き残れ!【15】☆デート編

しばらく緊急特集が続きましたが、レギュラーシリーズへの、久々の復帰です。前の記事を忘れてしまわれた方も多いと思いますので、一応リンクを貼っておきます。
こちらからどうぞ。
掲載は5月2日です。


さて、前回は繁華街のデートで、レストランに入りました。これから、席に案内されます。でも、まだ「防災の目」を閉じる訳には行きません。

普通、案内される席は窓際が優先されるでしょう。大抵の人は眺めが良い席を望むでしょうし、それは管理人とて同じです。でも、忘れてはいけないことは、ガラスは割れたら凶器だということです。大きな窓ガラスが激しい揺れで割れて飛び散ったら、近くにいる人は非常に危険な状態になります。地震でなくても、万一近くで爆発があったりしたら、その危険は言うまでもありません。

もちろん、これは窓際に案内されたら拒否しろということでははく、そのリスクを考えた上で席を決めるべきだということです。もちろんそれにはその場所の条件も影響します。例えば、高層ビル上層階のレストランならば、地震ですぐにガラスが割れる危険も、爆発による影響も非常に限定的になりますから、それほど気にすることは無いでしょう。

でも、「ここはちょっとイヤな感じだな」とでも感じたら、別の席を頼むのもひとつの方法です。その方が安心して食事を楽しめるなら、そうすべきです。それは自分はもちろん、同席者を思いやる行動でもあります。ただ、席を変える理由をきちんと説明しないと、いらぬ誤解を招くこともありますからご注意を(笑)

席へ案内される途中でも、店の中の配置をさりげなくチェックします。避難が必要になった時に行くべき通路はどこか、自分の席から、その通路に出るのはどちらの方向か、表のドア以外に非常口はあるか、ということです。あの、緑色のサインを探すのです。

もし非常口のサインが見つからなかったら、席についた時に店員に聞いてみましょう。すぐに答えられるかどうかで、その店の防災に対する意識や教育状態もわかると言うものです。非常口があってもなくても、すぐに答えられないような店では、少なくとも非常時の店員による避難誘導は期待できないということです。もし何かあったら、自分で状況判断をして対処しなければなりません。

ここでは、壁際の席に案内されたとします。男目線で言えば、一般には女性は奥の、つまり壁際の席を勧めるでしょう。そこでもチェック。壁に、大きな絵画の額などがかかっていませんか?ちょっと大きめの地震でも、落下する可能性が大です。木製のパネルくらいならともかく、頑丈な額は、凶器になり得ます。さらに、周囲に倒れかかりそうなもの、例えばついたて、観葉植物、置物などはありませんか?テーブルの上には、落ちたら危険なシャンデリアなどの照明、空調設備、装飾物などはありませんか?この「上」は、意外と盲点になりやすいので、特に意識してください。

テーブルは、大地震の際に身を守る、最初のシェルターになります。ふたりがもぐり込める大きさはありますか?もしそれほど大きく無いなら、代わりに何を使いますか?テーブルの足は、4本?それとも中央に1本?最短時間で自分と同席者がもぐり込むためには、どのような行動が必要ですか?最初に同席者を押し込むみますか?自分が入ってから引っ張り込みますか?

そのような視点で周囲を見て、「その時」の行動をイメージしておくのです。言うまでも無く、防災的に条件の悪い店へ行くなということでは無く(そういう選択肢もありますが)、その場所の条件をよく見て、条件が悪いなら悪いで、それに見合った行動を事前にイメージしておくべきだ、ということなのです。その備えが、危機に陥った時に「命の1秒」を稼ぎ出すことにつながります。

とりあえずこのようなチェックをした上で、ゆっくりと食事を楽しんでください。でも、こんな細々と考えながらデートなんかできないよ、なんて思われる方も多いでしょうね。

災害後に良く聞くセリフに、「こんな事になるとは思ってもいなかった」というものがあります。これは、災害報道の定番として、メディアが「積極的に」ピックアップして流すせいもあるのですが、そんな人が多いのも確かです。でも、「こんな事になると思っていたけど、本当に起きてしまった」という人も、実はたくさんいます。手前味噌ながら管理人も、少なくとも自然災害で何が起きても驚きません。でも、それにすべて対処できるわけではありませんから、怖れています。

これが自然災害ではなく、最近多発する歩行者に車が突っ込む事故ならば、だれもがその恐怖をかなりリアルにイメージできるでしょう。登下校の列についている父兄は、以前より経路の危険箇所を気に留め、周囲への目配りを多くするようになったと思います。また、こんなこともあります。自転車の車道走行が徹底されてからは、自転車で歩道から車道へ出る時に、後方確認をする人が大半になりました。それまで、特に若い人は後方確認無しで車道に飛び出したり、駐車車輌をよけてセンターライン寄りに出る人が、とても多かったのです。でも車道を走ることが増えて、車との衝突をよりリアルにイメージするようになったからこそ、後方確認をしなければ怖くなったからではないでしょうか。そのようなことこそが、「防災の本質」なのです。その最大の目的は、危険をできるだけ事前に回避することであり、起きてからの対処など二の次のことです。

それは相手が自然災害でも、なんら変わりません。防災とは、起きてほしくないことを、いかに起きないようにするか。もし起きてしまったら、その被害をいかに少なくするか。そのためには、どんな技術、装備や行動が必要か。そしてその思考と行動を、いかにして日常の生活の中に無理なく組み込んで行くか、ということなのです。

ところで、ここで述べた多くの対処方法も、やはり「覚えきれない」とお感じの方も多いでしょう。しかし、何もここでひとつひとつ覚える必要はありません。これは「慣れ」です。普段の生活で常に「防災の目」で周囲を見ていれば、デートしながら「片目でパートナーの顔を見ながら、もう片目で周囲をチェックする」(もちろん比喩的表現です)こともできるようになるでしょうし、周囲の多くの危険要素を「ぱっと見」で見抜けるようにもなるでしょう。

まず、普段の生活の中で少しずつでも、「防災の目」を意識することを始めてください。それがあなたと、あなたの大切な人の命を救う可能性を高める、最も効果的な方法なのです。

【おわり】

この「デート編」は、当初は続いて「お泊まりの防災」をお送りする予定でしたが、広島県福山市でのホテル火災の発生を受け、その内容を火災避難方法と併せて緊急特集としてお送りしましたので、今回で終了します。

次回からは新テーマでお送りします。

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2012年5月19日 (土)

【緊急特集】ホテルで生き残れ!【8・最終回】

5月13日に広島県福山市で発生し、7人が犠牲となったホテル火災を受けて始めたこの緊急特集は、今回で終了します。次回からは、通常のシリーズ記事に復帰します。

さて、最終回の今回は、ホテルをはじめ、ビル内、地下街など密閉性の高い空間で火災に遭った場合に、「生き残る」確率を大きく高めるグッズと工夫を紹介します。これらはすべて当ブログで紹介済みのものですが、テーマに合わせて再掲載します。

まず、ビル火災における死因ですが、一般に「焼死」とされるケースの大半が、煙に巻かれたことによる有毒ガス中毒に起因するものです。そしてそのうちの大部分が、不完全燃焼によって発生した一酸化炭素(CO)による中毒です。まず有毒ガスを吸入し、意識を失ったり行動できなくなることで、さらにガスを吸入して死亡したり、火に包まれて「焼死」してしまうのです。

そして、有毒ガスを吸入してしまう最大の理由が「逃げ遅れ」です。火災の発生に気付くのが遅れた場合はもちろん、気付いてからも、停電や煙で視界を失い、避難経路がわからずにパニックを起こし、右往左往しているうちに煙に巻かれてしまうのです。つまり、このふたつの原因に対処することができれば、火災による犠牲は大きく減らせるということになります。

停電下やあまり濃く無い煙の中で視界を確保するためには、ライトが必要です。当ブログでは、常に小型LEDライトを持ち歩くことをお勧めしています。明るさは、目安として25ルーメン(照度単位)以上のものでないと、真っ暗なビルの中などでは素早く行動できません。照度は、商品パッケージに大抵は記載してあります。そして、落としたりぶつけたりにも耐える強度と、悪天候下でも使用できる防水性能が必要です。

管理人が常時持ち歩いているいるのがこちら。
Blog_020
単三乾電池1本使用で、26ルーメンの明るさがあり、ボディは堅牢で防水性もあるものです。ストラップには、タイラップを巻いて手首に固定できるようにしてあります。これで、混乱の中でも落とすことはありませんし、万一暗闇の中で倒れたり、生き埋めになったりしても、ライトが常に身体から離れませんから、他者からの被発見率が飛躍的に高まります。
Blog_021
なお、タイラップでなくても、ストラップに輪ゴムを巻いておくだけで代用できます。これで、まず視界をかなり確保できます。

そして、最も大切な呼吸の確保です。「防煙フード」です。
Survive_002
これは空気を入れて膨らませ、頭からかぶるプラスチックバッグで、5分程度は確実に呼吸ができます。しかも煙の刺激から目を守りますので、視界の確保にもなります。

これがあれば、熱の問題さえ無ければ、視界ゼロの中を壁伝いに進むなどの避難行動も可能になりますから、「生き残れる」可能性は飛躍的に高まります。なお、大きな透明ビニール袋を膨らませてかぶり、首元をしっかり締めることで、同様の効果を得ることもできます。

このふたつを常時持ち歩くことで、ホテルを始めとするビル火災から「生き残る」確率を、自ら高めてください。それほど負担になる重さでもありませんから(下記)、パートナーの分も用意しておくのも良いでしょう。

もちろん、これらの装備の威力を最大限に生かすのは、その時何が起こるかに関する正しい知識、それに見合った行動、そして事前の情報収集です。それなくしては、どんな防災グッズも宝の持ち腐れになりかねません。

あなたの命は、あなた自身が守るのです。そして、あなたが生き残らなければ、大切な人を守ることはできないのです。

【緊急特集・ホテルで生き残れ! おわり】

◎参考データ
LEDライト GENTOSパトリオ6 連続点灯8時間 重量60グラム 850円前後
防煙フード 重量57グラム 価格550円前後


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2012年5月18日 (金)

地震関連情報5/18

本日午後5時19分頃、茨城県南部、深さ50kmを震源とするマグニチュード4.8の地震が発生し、茨城県土浦市などで最大震度4を記録しました。

この地震の震源は、最大震度が7になる可能性があると想定が変更されて話題になった、「南関東直下型地震」の予想震源域のひとつです。関東地方では、最初に「ドスン」という突き上げを感じた方が多かったと思いますが、これが内陸直下型地震の特徴です。

今回の地震は、震源深さが50kmと比較的深かったために、それでも突き上げが少し穏やかになったと思われますが、これが10km程度の浅い場所で発生すると、さらに強い「ドン!」という突き上げを感じるはずです。

一部地域では緊急地震速報も発報されたと思いますが、多くの地域で、発報より揺れの方が早く来たのではないでしょうか。管理人在住の埼玉南部でも、ケーブルテレビの緊急地震速報を受信しましたが、最初の「ドスン」から約3秒後に発報しました。震源がごく近い地震の場合は、このような状態になります。これはシステムの限界です。

このように、最初に「ドン!」や「ドスン!」をはっきり感じた場合、ごく近い震源の大きめの地震であり、数秒以内に強い横揺れが来ます。前述のように緊急地震速報は間に合いませんので、とにかく「ドン!」や「ドスン!」を感じたら間髪を入れずに、火の近くにいたら火を消し、そうでなければ、すぐに身を守る行動に移らなければなりません。その方法などについては、当ブログの「地震・津波対策」カテゴリの記事をご覧ください。

なお、しばらくの間は、この地震の余震が何回かあると思われます。余震は本震の規模を超えることはありませんが、場合によっては、余震では無い、さらに大きな地震が発生する可能性もあります。しばらくの間は警戒度を上げてください。今一度、避難用装備と、その時に取るべき行動を見直してください。

関東ではしばらく大きめの地震がありませんでしたが、それが安心に繋がる状況では全くありません。巨大地震がいつ起きてもおかしくない状況だということを、改めて肝に銘じてください。


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【緊急特集】ホテルで生き残れ!【7】

このシリーズは、次回で終了します。今回は、脱出編の続きです。

廊下からの脱出が不可能になり、部屋に戻って避難器具を使うことになりました。後は、とにかく冷静にはしご、避難袋、緩降機などの設定をして脱出するしかありません。過去の事例では、避難袋の入口を開くための枠の設定の仕方がわからず、本来は袋の中を滑り降りるものを、袋の外側にしがみついて降りようとして転落した事例も起きています。

冷静に、図解どおりに手順を踏めば、本来はそれほど難しいものでは無いのですが、一刻を争う状況や、パニック状態で初めて設定する時などは、かなりの困難が予想されます。せめて、一度はどんなものなのかを見ておきたいものですが、最近のホテルでは、避難器具のフタと非常ベルが連動しているものもあり、平時に下手に開けられないものもあります。同様の器具を使う避難訓練などの機会があれば、どんなものか良く見ておくべきでしょう。平常時ならば、この辺で消防が駆けつけて来るかもしれませんが、ここでは大地震後を想定しています。仮に消防が来ても、ラブホテルの周辺などでは、はしご車が使えるような場所は多く無いのが現実です。救助が間に合うとは言い切れません。

下がダメなら上層階や屋上へ逃げれば、という考えもありますが、これは本当に最後の手段です。巨大なビルならばまだ可能性がありますが、普通のラブホテル程度の建物では、屋上で猛煙に囲まれたら、進退窮まります。特にすぐに消防が来ない状況では、長時間持ちこたえるのは困難です。地上に降りられる手段と時間が残されているうちは、そちらに賭けるべきです。


我が国の災害史には、大地震の後にホテルやデパート、オフィスなどのビルが大規模な火災を起こしたという事例は無く、スプリンクラーなどの設備も作動せず、消防も対応できない中で、何が起きるかは想像するしかありません。そして、どのような想像をしてみても、平常時よりはるかに高い確率で、「逃げ遅れたら終わり」なのは確かです。今まで述べて来た脱出方法も、想定でもこんな状態になってしまうのですから、現実にはさらに困難な状態に放り込まれるでしょう。前述のように、このような行動は「対症療法」に過ぎず、確実性はとても低い上に、ひとつ判断ミスをするだけで、致命的な結果となってしまいます。

ならば、事前にできるだけ悪い可能性を潰しておくのが、「生き残る」ための近道です。それはシリーズ当初に述べたように、耐震・耐火性の高い建物を選ぶ、入室前に避難経路をできるだけ多く確認しておく、非常時に取るべき行動を知っておく、最低限の防災グッズは常時携帯するというような備えと、「その時」何が起こり、どうすれば良いかという正しい知識を会得しておくことです。

ここまで、多くの対処法を並べて来ましたが、「そんなに覚えきれない」と思われた方も多いでしょう。当然です。管理人にしても、不得意な分野だったら、これほどたくさんの(そして、これで全部では無い)知識を完全に詰め込むのは困難ですし、それをやっても大して役に立ちません。一夜漬けの試験勉強では、応用問題は解けないのです。しかし、現実は応用問題の連続です。

大切なのは、「自分の頭で考えること」です。防災グッズを揃えただけで安心したり、箇条書きの「トリビア」を覚えるのではなく、実際の状況に自分が放り込まれたことをできるだけリアルに想像し、そこで起こることを考え、ひとつひとつ対処法を考えておかなければ、イザという時に実行できないでしょう。現実には、それでも難しいのですから。

当ブログでは、その「考えること」をお手伝いし、できるだけリアルに災害をイメージしていただくために、あれこれ想定した状況をお伝えしているわけです。常に、「自分ならどうするか?」という視点を持って、お読みいただければ幸いです。

このシリーズは、次回で最終回です。最後は、火災の際に「生き残る」可能性を大きく高めるグッズを紹介します。


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【緊急特集】ホテルで生き残れ!【6】

今回は、いよいよ脱出です。

脱出経路は、廊下から内階段もしくは屋外の非常階段を目指します。なお、この方法はラブホテルに限らず、すべてのビル火災に共通です。

まず、脱出装備を確認します。
■化学繊維の服を身につけていないこと。溶けて身体に貼り付き、重いやけどを引き起こすのを防ぐためです。

■フェイスタオルを濡らして、息が通る程度に絞り、覆面のように鼻と口を覆うこと。両手をなるべくフリーにします。ハンカチの場合は、濡らして軽く絞ってから折りたたみ、手で持って鼻と口を覆うこと。煙の粒子や有毒物質は水分に良く吸着されるからです。しかし完全に除去できるわけでは無く、あくまでも薄い煙の中しか対応できないので過信は禁物。

■バスタオルやシーツを十分に濡らし、頭からかぶること。その際、髪の長い人はなるべくまとめるか、服の中にたくしこんでおくこと。髪は最も熱に弱いからです。

断水していて、バスタブにも残り湯が無い場合は、トイレのタンクや便器の中に溜まった水が使えます。優先順位は、まず鼻と口を覆う布を濡らすことから。呼吸の確保は、何よりも重要です。

■照明を必ず持っていること。自前のライトか、部屋に備え付けの非常灯を。それらが無く、携帯電話にライトがついている場合は、部屋の中で点灯させてから脱出します。無い場合は、液晶画面の明かりが頼りです。ライターを照明代わりにしてはいけません。ガスが漏れていたり、不完全燃焼によって発生した可燃性ガスが充満しているかもしれません。着火した途端に爆発する可能性があります。


さて、いよいよ脱出です。最優先で目指すのは、屋外の非常階段か、耐火バルコニーです。屋外へ出れば、とりあえずひと息つけます。その方向がわからなければ、まずひとりが偵察に出るのもひとつの方法です。一般的なラブホテル程度の建物なら、それほど遠く無い場所に、必ず非常口があるはずです。煙が充満しはじめている状況で、ふたりで右往左往している余裕はありません。

廊下には他の客もいるでしょう。しかし、だれかが行った方向に、ただついて行くのは危険です。その人が非常口の場所を本当に把握しているかわからず、パニックを起こしているだけかもしれません。基本的には、自分の意志で進まなければなりません。過去のビル火災では、そのような集団が袋小路に迷い込み、そこで全滅したような事例が数多くあるのです。

廊下では、まず煙が流れて来る方向を確かめます。そちらが火元に近いか、煙が階下から上がって来る経路になっています。理想的にはそれと反対方向へ進みたいのですが、普通のラブホテルでは複数の避難経路が無いことも多いものです。床近くに見通しの効く空間が少しでも残っているならば、そちらへ行かなければならないこともあるでしょう。

廊下を進む姿勢は、できるだけ低く。低い場所の方が見通しが効き、有毒物質が少なく、酸素も多いからです。床にはいつくばってでも、とにかく低く。

そしてパートナーとはぐれないために、必ずお互いの身体を触れ合いながら進みます。視界はほとんどありません。少し離れただけで、お互いの場所を見失います。手を引く、ベルトや襟首をつかませる、身体をぴったり寄せるなどして常にパートナーを意識し、感触を確かめて。

非常口になっていても、防煙ドアがついていない内階段から、濃い煙がもくもくと吹き上がって来ていたら、その階段は使えません。無理にそんな階段を降りて火元に近づくと、さらに状況は悪化し、完全に煙に巻かれることになります。広島県福山市のホテル火災で、階段室で倒れていたふたりは、この状況だったはずです。

防煙ドアが閉まっている階段の場合、開ける前に必ずドアノブを手の甲で触り、温度を確かめます。防煙ドアは鉄製なので、ドア表面の方がわかりやすいかもしれません。いずれにしても、触れないほどの温度だったら、そこはあきらめなければなりません。階段室の中はすでに熱く濃い煙が充満しているか、火が回っています。そこを開くと、「バックドラフト」が起きる可能性が高いので、絶対に開けてはいけません。

廊下の途中で防煙ドアが閉まっている場合でも、ロックはかかっていません。必ず、押すか引くかするだけで開くことができますから慌てずに。シャッターが降りるタイプの場合でも、必ずロックされていないドアがついています。真っ暗な中で床にはいつくばっているとわかりずらいのですが、必ず通り抜けられます。とにかく慌てずに。しかし、ここでもまずドアノブや扉の温度を確かめる必要があります。もし触れない程の温度だったら、その先へは進めません。

この段階になって、他に脱出ルートが見つからない場合は、廊下からの脱出は困難だと判断しなければなりません。視界がほとんど効かず、煙がどんどん濃くなる状況では、あての無い脱出口を探している余裕はありませんから、一旦部屋に戻らなければなりません。もちろん、自分のいた部屋である必要はありません。なるべく煙が来ない方向の部屋のドアを手当たり次第に開けてみて、必ずドアを閉めてから、部屋の窓を開けて外の様子を見ます。もしかしたら、自室には無い脱出方法がみつかるかもしれません。

もちろん、この段階で部屋に備え付けの避難器具がある場合は、それを使うことになります。しかし、階下の窓から火や煙が吹き出している場合は、その位置からは脱出できません。別の部屋に移動する必要があります。

長くなりましたので、以下は次回へ続きます。


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2012年5月17日 (木)

【緊急特集】ホテルで生き残れ!【5】

【4】から続きます。

今回は、大地震から生き残ったふたりに、火災の危機が襲いかかります。

まず、火災におけるラブホテルの「メリット」から。普通のホテルでは、ドアの密閉性がそれほど高く無く、ドアの下に隙間が開いていることもありますから、まずそこからの煙の侵入を防ぐ必要があります。そのためには、バスタオルやシーツを十分に濡らし、ドアの隙間に詰めます。濡らすことで耐熱性と密閉性が高まり、有毒物質を効果的に吸着するからです。

一方、ラブホテルは主に防音性を高めるために、一般に隙間の無い頑丈なドアになっていますから、すぐに煙が入って来ることは無いでしょう。多少は、時間を稼ぐことができます。しかしそれは、ドアを開けなければ廊下の状況がわからないというというデメリットもあるのですが。

部屋の中は停電していて、真っ暗です。もし停電していなければ、すぐに空調や換気扇を止めて、煙の侵入を防がなければなりません。もちろん、すぐに窓を開けてはいけません。もし火がすぐ近くにまで迫っていたら、酸素を供給することによって、火勢を増すことになります。

まずは手早く、管理人の感覚では1分以内で、最低限の身支度を整えます。その場合に絶対に必要なのが、照明です。当ブログでは、常に小型LEDライトを持ち歩くことをお勧めしていますが、それが無いなら、部屋に入った時に、備え付けの懐中電灯の場所を把握していなければなりません。その行動ひとつの有無が、生死を分けることも十分に考えられます。メガネ使用者は、ホテルに限らず、就寝時にはすぐに手に取れる位置に置いておくことです。もちろん、ライトも一緒に。

なお、火災の中を脱出する際には、化学繊維の衣服を着ていてはいけません。溶けて高温のまま肌に貼り付き、重篤なやけどを引き起こします。特にストッキングやタイツは危険です。既に身につけていたら、必ず脱いでから脱出します。服がすべて化学繊維だったら、むしろホテル備え付けの「綿の」ガウンや浴衣、バスタオルで身体を覆うべきです。熱に強い衣服は、綿、毛、革など天然素材のものです。その場合でも、バスタオルやシーツを十分に水で濡らして、頭からかぶることで、熱をかなり遮断できます。

脱出準備が整いました。次は「状況の確認」です。脱出のために、どのような方法があるのかを探るのです。まず、一旦ドアを開けなければなりません。その際に必ずやるべきなのは、まず「ドアノブに手の甲で触れる」ことです。これは、火災下でドアを開ける際には、すべての場合で必ずやるべきです。

もし、ドアノブが触れないほど熱くなっていたら、絶対にドアを開けてはいけません。その場合、ドアの外は既に火が回っているか、熱く濃密な煙が充満していて、そこからの脱出は不可能だからです。手の甲で触るのは、手のひらにやけどをすると、その後の行動に大きな支障があるからです。

そこでドアを開けてしまうと、炎や濃密な煙が一気に部屋に入って来るか、条件によっては「バックドラフト」が発生します。これは酸素が少ない環境で不完全燃焼していた火に、酸素が一気に供給されることによる爆発的燃焼で、猛烈な炎が爆風と共に吹き込んで来ます。それを受けたら、生き残れる可能性はほとんどありません。最低でも全身大やけどです。仮に直撃を受けなくても、部屋の中は一瞬で猛火に包まれます。

ですからドアノブが触れないほど熱かったら、廊下に出る選択肢は無くなります。部屋の窓から脱出するか、救助が来るまで持ちこたえなければなりません。しかしここでは大地震の直後であり、すぐに消防が駆けつける可能性はありません。そこで、部屋に備え付けの脱出用具を使うことになりますが、まず避難器具が備えられているか、そして、準備ができるまで持ちこたえられるかという部分で、新しいホテルを選んだかどうかの差が出ます。避難器具はともかく、防火性能の高い建物は、延焼に要する時間も長く、有毒ガスの発生も比較的少ないからです。

さて、ドアノブは熱くなかったので、ドアを少し開けて廊下を見ると、天井近くに濃い煙が充満して見通しが効かないものの、床付近はまだほとんど煙がありません。熱せられた煙は、空気よりも軽いからです。そしてここでも、事前の行動の有無が、大きな差をもたらします。

これは設備上の問題でもありますが、非常口を示す緑色のサインは、ほとんどの場合「天井近く」についています。つまり、天井近くに煙が充満しただけで、見えなくなってしまうのです。しかも、忘れないでください。館内は停電していて、真っ暗闇なのです。ライトで照らしても、煙を通して見ることはほとんど不可能です。

ドアからどちらの方向に、どれくらいの距離で非常口があるか。それを入室前に確認しているかいないか。それがかなり高い確率で、生死を分けることになります。なお、火災による「焼死」の大半は、まず煙に含まれる一酸化炭素をはじめとする有毒ガスを吸って、行動不能になるからです。出口の方向と距離がわかっていれば、息を止めてでも駆け抜けられたかもしれないのに、迷っているうちに煙に巻かれ、有毒ガスを吸ってしまって倒れるケースが、ビル火災では非常に多いのです。

最近のの建物や地下街などでは、非常口の方向を示すサインが壁の下部や床面に埋め込んであるものも増えていますが、これは煙による視界不良対策であり、少なくとも火災の場合には、そのような構造でないと役に立たない事が多いということも、覚えておくべきでしょう。

次回は、煙が立ちこめる廊下を通って脱出します。


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【緊急特集】ホテルで生き残れ!【4】

5月6日、埼玉県桶川市で「側撃雷」を受け、重体となっていた女の子が、残念ながら亡くなりました。心からご冥福をお祈りします。このような悲劇を繰り返さないことが、犠牲となった尊い命を無駄にしないことです。

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【3】から続きます。

今回は、ラブホテルでまったりとしている時に、大きな地震の後に火災が発生することを想定し、その時取るべき行動を考えます。

まず、ラブホテルの部屋の中で大きな地震に遭った場合の危険はなんでしょうか。最も危険なのは「テレビ」だと、管理人は思うのです。最近は薄型の大型テレビが一般的になり、ラブホテルの場合、それがベッドから見やすい、かなり高い位置に置いてあることが多いはずです。そのテレビがベッドの上や、床の上に飛んで来る可能性が大きいと考えられます。

一般に、ホテルに限らず、ベッドの上にいるときに大きな地震を感じた時は、ベッドの上に伏せて、枕やふとんで頭や身体を守れと言われることが多いのですが、管理人はそれでは不足と考えます。ふとんをかぶっても、テレビなどの重量物の直撃に対してはあまり防護効果がありませんし、天井が落下したり、建物が崩壊するような最悪の事態になると、ほとんど効果がありません。

そこでお勧めしたいのが、「ベッドから落ちる」ことです。強い地震を感じたら、すぐにベッドの脇に、できればふとんや枕ごと「落ちて」、ベッドにぴったり身を寄せて、ふとんや枕、無ければ両腕で頭と首を護りながら伏せます。ホテルのベッドはかなり頑丈ですから、最悪の場合にも、生存空間を確保できる可能性が大きいのです。

その場合、特にテレビなどがどちらに落ちそうか事前に考えておき、その方向を避けられればベストです。ベッドと壁の間に隙間があれば、物理的な危険に対しては、そこが最も安全な場所と言えるでしょう。この方法はもちろん、普通のホテルや自宅でも有効です。ツインベッドならば、その間の空間はかなり安全性が高いと言えます。

その場合、それぞれが「てんでんこ」で別々に落ちるか、パートナーと一緒に落ちるか。少なくとも、ふたりよりひとりの方が、より狭い空間で「生き残る」ことが可能になりますから、物理的な可能性だけを考えれば「てんでんこ」の方が良い、ということは言えます。しかし、そこは気持ちの問題でもありますから、必ずしもこれが絶対、と言うことはできません。

さて、ふたりは大地震の第一撃から、なんとか無事に生き残れました。幸いにも、動けなくなるような怪我もしていません。建物にも大きな損傷は無いようです。しかし部屋の備品はめちゃめちゃになり、停電して真っ暗闇です。とにかく服装を整えようとしているうちに、辺りに焦げくさい臭いが立ちこめて来ました。下の階で、火災が発生したようです。一刻を争う状況です。

いまふたりがいる部屋からは、窓から飛び降りることも、他の場所に飛び移ることもできません。廊下から脱出するしか無いのです。その場合には何が必要で、どのような行動をすべきかは、次回へ続きます。

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2012年5月15日 (火)

【緊急特集】ホテルで生き残れ!【3】

【2】から続きます。

あなたは、ラブホテルの一階ロビーにいます。そして入る部屋を選んでいます。ワクワクしますね(笑)部屋は、もちろん一階の部屋があれば一番脱出しやすいのですが、巨大地震になると、崩壊する危険もあります。ラブホテルは一階部分に駐車場があることが多く、つまり壁が少ないので、一階の耐震強度が比較的低いことが多いのです。管理人ならば、できれば二階にします。一階の崩壊に巻き込まれず、いざとなったら窓から飛び降りても、生命の危険はあまり大きくないからです。

ところで、そこでチェックするのは部屋ではなく、ロビーの構造なのです。ラブホテルのロビーは、客がなるべく顔を合わせないように、ついたてや装飾物などで、敢えて見通しを悪くしていることも多いものです。そして出入り口が、駐車場側と道路側のふたつ以上あるはずです。

非常時に脱出する場合、地震の場合には崩壊の危険が少ない道路側を第一に考えるべきですが、まず非常階段室の出口の位置を確認し、そこからそれぞれの出口の方向を確かめておくのです。非常時には、停電や煙で見通しがさらに悪くなっているはずですから、どちらの方向が出口なのかを一瞬で判断できることが重要です。特に火災の場合は、一瞬の迷いによる数秒のロスが、有毒ガスの吸入によって生死を分けることがあります。過去の火災事例を見ると、出口の目の前まで来ていながら、そこで力つきていた例が少なくありません。

さて、それが済んだら、部屋へ向かいます。通路を歩きながら、非常口の緑色のサインの位置を必ず確認します。特に火災を考えた場合には、屋外の非常階段の存在が重要ですから、最優先で確認を。屋内の階段室は、下層階で火災が発生した場合には、「煙突」となる可能性が高いからです。そしていよいよ部屋の前へ。ドアを開ける前に、はやる気持ちを押さえて、必ず非常口への方向を、できれば複数確認します。ドアを出たら、どの方向へ行けば良いのかを確かめるのです。

管理人は、「普通の」ホテルに泊まる際には、部屋に入る前に必ずすべての非常口まで一旦歩いてみて距離感を掴み、非常ドアの構造や脱出設備を確認するのですが、まあ、ラブホテルでそれをやれとは申しません(笑)そしていよいよ部屋に入りましょう。その後の行動にどうこう言うのは野暮の極みではありますが、以下は管理人が考える理想的な行動ということで。

大抵のラブホテルは、窓に扉がついていたり、厚いカーテンがかかっています。一度それを「ちょっとだけ」開けて、外がどうなっているのか確かめます。ベランダやバルコニーがあるか、いざとなったら飛び降りられるか、他の屋根伝いなどの脱出が可能かなどです。

部屋の中に避難はしごや救助袋、緩降機などの脱出設備がある場合もありますが、はしごはともかく、救助袋や緩降機の設定は、慣れていないとかなり難しく、火災などの緊急時に、だれでも手早く設定できるとは思えません。脱出用具のふたを開ければ、必ず設定方法が図解されていますが、短時間で理解し、設定するのはかなり困難です。これは管理人が実際にやってみた上での感想です(ホテルでじゃないですよ)。一度やっても、緊急時にまたすぐやれる自信はありません。それに同じような機能でも、機器によって設定方法が異なるのです。しかもそれを使う状況ではほぼ確実に停電していて、せいぜい窓からのわずかな明かりか、懐中電灯の明かりくらいしか無いでしょうし、何より冷静とは言えない状態ですから、より困難になります。

これらの用具は、他の脱出経路が無くなり、かつ時間的余裕がそれなりにある場合の予備くらいの感覚でいます。過去には、火災時に救助袋や緩降機を正しく設定できないうちに無理に脱出したことによる転落事故も、実際に発生しています。ですから、避難用具があるから安心という発想は、基本的には持たないことです。分秒を争う脱出の必要が無い場合でないと、なかなか使えないものだと思います。ですから、非常口や窓など、短時間で脱出が可能なルートをできるだけ多く確認、認識しておくことが、何より大切です。

さて、入室後の確認が済んだら、あとは楽しい時間を過ごしてください。次回は、その部分を割愛しまして(笑)、緊急脱出が必要な状況が起きてしまいます。その時、あなたと大切な人が取るべき行動とは。

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【緊急特集】ホテルで生き残れ!【2】

【1】から続きます。

今回は、いわゆるラブホテルに宿泊する際に、地震や火災の危険から生き残る方法を考えます。

まず、どのホテルを選ぶか。ラブホテルの場合、基本的に「行き当たりばったり」で選ぶことが多いと思います。もし「行きつけ」があれば、そのホテルがどんな状態なのか、今一度考えて見てください。

基本的には、1980年以前に建てられた「旧耐震基準」建物、いわゆる「既存不適格」建物は、大地震による崩壊の危険が大きく、一般に火災に対する脆弱性も大きいことが多いので、やはり避けるべきです。前回記事で書いたように、ラブホテルはその性質上、一般のホテルに比べて、災害の覚知や避難の条件が厳しいことが多く、より慎重にならなくてはならないのです。2000年(平成12年)以降に建てられた、現行耐震基準建物であれば、最も望ましいと言えます。そんな建物は、耐火性能も高いのは言うまでもありません。

しかし実際のところ、ぱっと見でそこまで判断するのは難しいもの。明らかに最近できたホテルとかでなければ、とにかく1980年以降というのが、大きな目安です。もう30年以上前になるわけですから、ぱっと見で新しそうな建物ということになります。外観だけリフォームしていることもありますが。

建物の外形は、できるだけ単純な建物の方が、耐震性が高くなります。増築を繰り返したものはもちろん、異なる高さ、構造が一体になっているような建物は、地震の際に各部分が異なる揺れ方をするために、特に結合部分付近が破壊される可能性が高いのです。

広島で火災を起こしたホテルのように、木造二階と鉄筋コンクリート四階が接続されているような建物など、双方が全く異なる揺れ方をするだけでなく、双方の外壁が接続のために大きく切り欠かれているわけですから、強度のバランスが崩れており、地震の際には単独の建物より崩壊の危険がずっと大きくなっていたはずです。地震による建物構造へのストレスは、弱い部分から集中的に破壊して行くのです。安全のためには、そのような建物を見抜く目が必要です。

とはいえデートの最中、それもこれからお泊まりという時に、あっちはダメ、こっちもダメなどとうろつくのは、とんでもない野暮というもの。そんなことをして「チャンス」を逃しても、管理人に文句を言わないでください(笑)周りにいくつもホテルがあるなら、ぐるりと見渡して、「大丈夫そうな」建物を選べるくらいの目が欲しいものです。

そのためには、何より普段からの意識がモノを言います。別にデート中でなくても、仕事先でも休日でも、自分の立ち回り先の建物を、常に上記のような「防災の目」で見る習慣をつけることで、日常の安全性が高まるのはもちろん、慣れて来ると、ひと目で「あれはヤバいな」という風にわかるようになります。あまり一般的ではありませんが、ちょっと専門的な視点を身につけると、外装がきれいに改築されていても、窓の配置などの外形から「中身はかなり古いぞ」などと見抜けることもあります。

などと長々と書いていますが、このような意識と行動が、「生き残る」確率を最も確実に高める方法だからであり、是非実行していただきたいからです。もちろん、ホテル選びに限りません。これから述べる、火災や地震が「起きてから」の避難方法など、病気になってからの「対症療法」に過ぎず、確実に成果を上げる確率はずっと低くなります。それより、普段から健康を保つ意識をして、病気は早期発見、早期治療する方が、ずっと長生きできるというものです。普段から「防災の目」を持つということは、そういうことです。

火災のような人災でも、耐火性能が高い建物ならば、脱出までの障害がぐっと少なくなるのです。サッカーで敵ゴールを狙う時、敵ディフェンダーがひとりと三人では、どちらがゴールしやすいかという事と、なんら変わりありません。

さて、あなたは安全性が高いと思われるホテルを選びました。エントランスをくぐってロビーへ入りましょう。そこで部屋を選んだりしつつ、さりげなくチェックすべきポイントがあります。それは次回ということで。

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2012年5月14日 (月)

【緊急特集】ホテルで生き残れ!【1】

急遽、予定を変更します。

5月6日の竜巻発生を受けてお送りした緊急特集の後は、「デートで生き残れ」のレストラン編に復帰の予定でした。しかし、5月13日に広島県福山市で、7人が死亡する惨事となったホテル火災の発生を受け、レストラン編の続きの前に、再び緊急特集をお送りします。

実は、当初から「デートで生き残れ」シリーズの最後に、「お泊まりで生き残れ(仮)」として、いわゆるラブホテルでの地震対策を予定していたのですが、それを前倒しし、さらに一部の内容とタイトルを変更して、ラブホテルにおいて、火災・地震から生き残る方法を考えます。なお、管理人は「防火管理者」資格を保有しております。

当シリーズは火災に限らず地震対策も含み、多くの部分は共通しますので、カテゴリは【地震・津波対策】とします。


まず、今回の惨事の舞台になったホテルの条件についてまとめます。このホテルは、管理人がお泊まり編を準備するに当たり想定した「最悪の条件」を、ある意味で超えるものでした。

●1960年建築の木造二階建てに、1967年に鉄筋コンクリート造4階建てを増築した、建築基準法の耐震基準及び消防法の防火基準ともに「既存不適格」建物であり、1987年以来、消防査察で不備を指摘されても、何も改善されないままだった。

●内部は「迷路のような」複雑な構造で薄暗く、入館時にも内部構造が良くわからなかった(生存者談)。

●非常用照明設備、防煙・排煙扉、屋外の非常階段が設置されておらず、内装も不燃材・難燃材ではないので火の回りが早く、煙や一酸化炭素などの有毒ガスが大量に発生、充満した。

●非常ベルは故障もしくは電源が切られていて鳴動せず、火災発生の覚知が遅れた。

●窓の一部は板(扉ではない)でふさがれていた。

●従業員は75歳の女性ひとりで、避難誘導はなく、おそらく当初から想定も訓練もされていなかった。

以上のように、これ以上悪い条件のものを探す方が難しいというようなホテルです。そこで一旦火災が起きれば、このような惨事になるのは当然とも言える状態でした。これが大地震ならば、建物の倒壊もしくは大きな損傷から、さらに火災が発生する可能性も大きかったでしょう。何か起きたら、「生き残れない」可能性が非常に大きかったのです。しかし「価格の安さ」が魅力でかなりの需要があったようですし、似たような条件のホテルは、地方や郊外を中心に、全国どこにでもあるでしょう。

7人の犠牲者のうち2人は、屋内の階段室で倒れていたとのことですが、この火事は1階からの出火であり、猛煙が吹き上がって来る屋内階段から脱出することは、もとよりほとんど不可能だったはずです。他に脱出手段があったかどうかに関わらず、屋内階段を使おうとしたことは、この場合には致命的な判断ミスだったと言えます。その他の犠牲者は、みな自室内で煙に巻かれ、一酸化炭素中毒が直接の死因となったようです。つまり気づいた時にはもう遅かったか、眠ったまま一酸化炭素を吸って、火災に気づくことさえ無かったのかもしれません。

この火災は、火災報知器も鳴動せず、避難誘導も無かったために、宿泊客が(それどころか従業員も)、火災に気づくのが遅れたことが、惨事となった最大の原因と言えます。そして気づいた時には、建物の不備のために、脱出手段はほとんど残されていませんでした。

そんな状態の中に、あなたと大切な人が放り込まれたことを、リアルに想像してみてください。暗闇の室内に煙が充満し、ドアを開けたら火や猛煙が吹き込んで来る。ドアを閉めても、隙間から煙が入って来る。窓は少なく、室内に避難器具もない。ラブホテルですから、すかさず避難行動に移るのがためらわれる格好でもある。それ以前に暗闇と煙で、すぐに服装を整えることも難しい。仮に明かりがあっても、パニック状態で冷静な行動はできない。


この火災以前に、管理人が予定していた記事、「お泊まり編」の最初に強調しようと思っていたことは、ラブホテルを選ぶ際にはちょっと奮発して、なるべく新しくて、複雑な構造ではない、耐震性の高い建物を選ぶべきだ、ということでした。単純な外形の建物は一般に耐震性が高くなりますし、新しい建物は、消防法による防火・避難設備も整っているので、地震はもちろん、火災に対しての危険も大きく回避できるのです。

しかし、地方や郊外のラブホテルは建物自体が古く、複雑に増改築を繰り返したものも少なくありません。これは、昔の建物を取り壊して新築しようとすると、現行法では建蔽率、耐震基準、防火基準や風営法などの規制がずっと厳しくなっているために、それ以前と同様の営業が難しいことが多く、設備費用もかさむので、敢えて増改築とリフォームを繰り返して「凌いで」いるようなケースがあるからです。そのために、災害対策的には非常に問題のある建物になってしまうのです。

そうでなくても、ラブホテルの通路は一般のホテルに比べて狭く、意識的に通路を複雑にしたり、装飾物などで見通しを悪くしていることも多く、しかも従業員の避難誘導も期待できないことも少なくありません。それにホテルの性格上、非常ベルの誤作動を嫌うあまり、スイッチが切られているケースもあります。

つまり、そんな場所に泊まる時は、地震や火災の発生時にはかなり厳しい状態に「ふたり」が置かれるということを、常に意識していなければならないのです。

では、楽しいデートを惨劇の場にしないためにはどうしたら良いか。今回の火災現場のような、「既存不適格」ホテル、つまり1980年以前に建てられたようなホテルを選ばないということを大前提として、次回から具体的な方法を考えて行きます。


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2012年5月11日 (金)

【緊急特集・番外編】命を大切に【本当に最終回】

5月6日に茨城県つくば市などで発生した竜巻は、至近距離から撮られた映像がいくつも出て来ました。中には、自分に向かってくる竜巻を、すぐ横を通過するまでずっと追ったものや、撮影中に窓ガラスが割れて、慌てて逃げる様子が映っているものもあります。

それらはメディアでしつこい程に繰り返して流されましたが、皆様はそんな「スクープ映像」を見てどう思われましたか?撮影者は勇気あるなとか、なにバカやってるんだとか、自分もあんなスクープをモノにしたいからカメラを持ち歩こうとか。管理人は、あんな映像を「無邪気なスクープ」と呼びたい。ただ、無知がなせる業にすぎません。

米国には、「ストームチェイサー」という人々がいます。メディアや学術的研究のために、ハリケーンや竜巻を追いかけてはその直近まで迫って映像や気象データを記録するプロです。そんなプロでさえ、いやプロだからこそ、自分に迫ってくる竜巻を動かずに撮るなどと言うことは絶対にしません。あんな映像で、撮影者が無事だったのは単なる偶然、それもかなり確率の低い偶然に過ぎないのです。

たまたま飛来物が何もぶつからず、ガラスの破片も浴びず、竜巻の方から逸れてくれただけです。もしあのまま直撃されたら、最後の瞬間を記録した「大スクープ」になっていかもしれません。まあ、メディアは大喜びでしょうが、そもそもあんな映像を「スクープ」として繰り返し流した上に、撮影者にインタビューまでするメディアの姿勢がおかしい。確実に模倣者を生むでしょう。でも、メディアは映像を流しておきながら、「撮影などしないですぐに避難してください」とか付け加えておけば、責任逃れ完了です。

そもそも、3/11の教訓は何だったのか。いや、ほとんど教訓にさえなっていないどころか、「不適切な事実」でもあるかのように、意識的に忘れられているようにしか思えませません。

それは、津波が目の前に迫っているのに低地で撮影を続けたり、第一波が引いた後、撮影のために自ら低地に降りていったために犠牲になった人々のことです。その数は、被災地全体で何百人とかではきかない数に上るはずです。撮影中に間一髪で助かった人の映像もよく流されましたが、その裏で、同じようなことをしていた人がどれだけ犠牲になっているのかは、すっかり忘れられています。

一方で、「津波は一回では終わらない。後の方が大きいことも多い」という事実を知っていさえすれば、「たかがスクープ映像」と命を引き換えにする人などいなかったでしょう。しかし残念ながら、多くの「無知」と「功名心」(敢えてこう表現します)が、無駄に命を失わせる結果になったのです。

ここで犠牲者の尊厳だとか、遺族の心情だとかを引き合いに出すのは問題外です。間違った行動は、あくまで間違った行動でしか無いのです。そこから目を逸らしてはいけない。そしてそんな犠牲者の「声無き声」を聴き取り、同じ過ちを繰り返さないようにすることが生きている人間の責務であり、多くの犠牲を無駄にしないことだと、管理人は信じます。

しかし現実には、「レポーター」になりたがる人は、あまりにも多い。youtubeなどの存在や、メディアの姿勢もそれに拍車をかけます。「視聴者撮影」のスクープ映像が、あまりに珍重されすぎる。秋葉原の無差別殺傷事件の時も、血まみれの現場にカメラを向ける輩が山ほどいましたが、3/11の大惨事が起きても、基本的には何も変わっていないのでしょう。

そんなの個人の勝手だという声もありそうですが、こと災害時には、自ら進んで危険に近づくことなど、迷惑以外の何物でもありません。もし危機に陥ったら、誰が救助に行くのですか。負傷したら、誰が手当てするのですか。それで犠牲になったりしたら、家族、親族、友人を悲しませ、関係者には大きな迷惑をかけます。何をかをいわんやです。


いろいろ書きましたが、災害に遭遇した場合は、とにかく身の安全を確保することだけを考え、記録を残そうなどと、ましてや近くで迫力のある映像を撮ろうなどとは、決して考えないことです。メディアに珍重されても、撮影者がスターになれるわけでなし、むしろ見えないところで、多くの人から「大馬鹿者」と罵られるのがオチです。記録を残すならば、確実に身の安全を確保してからです。そしてその前提となるのが、災害に対する正しい知識です。

それが、今回「も」繰り返された視聴者スクープ映像の氾濫を見て、管理人がどうしても言っておきたかったことですが、全ての人に理解されるなどという夢は見ておりません。でも、どなたかの記憶の隅にでも残っていて、ひとりでも危険に晒される人が減るのなら、それが管理人の望むところです。

とにかく、まずは命を大切に。


これで、5月6日からの緊急特集を、本当に終了します。次回からは、しばらくお休みになっていました、「首都圏直下型地震を生き残れ!」シリーズを再開します。


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【緊急特集・番外編】雷や雹から生き残るために

緊急特集最終回の今回は、雹と雷に関連した話です。

今回、茨城県の知人から、こんな話を聞きました。「直径10ミリくらいの雹が降っている時、子供たちが普通に自転車で走っていた」と。すぐ近くでは、ゴルフボール大の雹が降っていた時ですから、場合によっては大怪我をしていたかもしれません。

正直なところ、雹など降ると、子供(いや、大人もちょっと・笑)はかなり興奮しますよね。何も考えずに見物に外に出たり、わざと浴びてみたり、積もった雹を拾い集めたり。でも、雹が大きければ子供は大人以上のダメージを受けますし、今まで述べて来た通り、同時に豪雨、突風、落雷、竜巻の危険も大きいのです。時間帯的にも、午後から夕方にかけてと、子供の下校時間や、外で遊んでいる時間に起きやすい気象現象でもあります。

ですから、子供に対しての正しい教育は、これからますます必要になって来るでしょう。黒い雲に覆われたら、すぐに建物の中やそれに準じた場所に逃げ込むか、できるだけ低い場所へ行き、辺りが明るくなるまで動くな、というように。特に、郊外の開けた場所にいる子供たちには、絶対に必要な教育です。

例えば、広い河川敷の堤防の上などにいたら、雷様ここに落ちてくださいと言わんばかりの危険度です。子供に限ったことではありませんが。

そんな危険だけでなく、突風であおられて車道に飛び出したり、飛来物に当たることも考えられます。台風の時にはだれも外に出ませんが、激しい雷雨では、台風なみの強風と豪雨になることもあるのです。特にこれからは。今回、突風で大型トラックが転倒する事故もありましたが、これは台風ではなく「雷雨」だという現実を、改めて認識していただきたいと思います。一過性の雷雨だからと言って、甘く見る理由はどこにもありません。

是非実行していただきたいのは、登下校路や子供の行動範囲を親子で歩き、ここで大きな地震が来たらどうするか、ここで雹や激しい雷雨になったらどうするか、どこへ逃げるかなどを一緒に考え、教えてあげることです。もちろん、その前に親自身が正しい知識を持っていなければなりません。

学校の近くによくある「こども110番の家」というような、子供の緊急避難を受け入れる家や店の場所も一緒に確認し、自然災害の際の協力体制についても確認しておきましょう。気象災害は犯罪よりもはるかに遭遇する確率が高いですし、実際、受け入れ側も自然、特に気象災害はあまり考えていないことも多いのではないかと思います。子供を守るために、これらは是非実行してください。

次に、落雷を受けた場合について。そこで起こることは、ショックによる意識喪失、呼吸停止、心停止(心室細動)、やけどです。そのうちやけどは、それほど重傷にはなりませんので、可能ならば水で冷やしますが、優先順位は高くありません。

まず最初に119番に連絡します。複数の人がいれば、手分けして。そして意識、呼吸、脈拍を確認しますが、混乱する現場で、不慣れな人が呼吸と脈拍を正確にはかる事は難しいので、とにかく意識を確かめます。肩を叩きながら、耳元で大声で呼びかけます。なお、雷に打たれた人に触ると感電する、というような迷信も一部にありますが、雷の電気が身体に残ることは絶対にありません。

呼びかけを何度か繰り返して反応が全く無かったら、すぐに心肺蘇生法、いわゆる心臓マッサージを始めます。近くにその技術を持つ人がいるかいないかで、運命が分かれます。ならば、あなた自身が学び、だれかを救える人になってください。

AEDがあれば、多少意識があってもすぐに装着します。状態が急変することもあるからです。それにAEDには心電計がついていますので、心臓の状態を正確に把握することもできます。そのAEDも、訓練を受けていなければ正しく使うことは全く不可能です。是非、救急救命講習を受けてください。日本赤十字社や、消防署、各種団体で行っています。

なお、雷撃や感電による心停止(心室細動)は、電気ショックには電気ショックでというわけではありませんが、AEDによる蘇生率が最も高いのです。すぐ近くにAEDが無くても、意識が無い場合は心臓マッサージを続けながら、誰かにAEDを探しに走らせてください。救急隊が到着するまで、決してあきらめずに。救急隊が到着したら、要救護者の状態をできるだけ正確に伝え、AEDを装着している場合は、AEDも一緒に渡します。心電計のデータが記憶されていますので、その後の処置に役立つからです。

さて、今回が最終回と言っておきながら、長くなりましたので、もう一回だけ書きます。災害すべてに共通する、とても重要な話ですので、もう一回だけお付き合いいただれればと思います。


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【緊急特集・番外編】雹から生き残れ!

緊急特集の最後に、雹への対策をまとめます。ここでの対策とは、あくまで人体に対する被害防止ですが、「雹から生き残れ」とは言うものの、雹に打たれて命を落としたという例を、少なくとも管理人は知りません。この場合は雹に限らない、その他の危険にも対応する避難行動となります。

雹とは、簡単に言えば、積乱雲の中で成長した氷の粒が、溶けないまま地上に落ちてきたものです。ちなみに、気象庁の基準によると、直径5ミリ以上を雹、5ミリ未満は霰(あられ)と分類するそうです。

さておき、雲の中ではいつでも氷の粒ができているのですが、普通ならば小さな粒の状態で落ちてきて、途中で溶けて雨になります。でも積乱雲が非常に強力な場合、雲の中の強い上昇気流によって、氷の粒が何度も溶けかけては凍るを繰り返して大きくなり、溶けずに落ちてくるものです。積乱雲がさらに強力ならば、その課程で氷の粒がいくつも合体して、大きな粒になって降って来ます。

ですから、雹が降るということは積乱雲が非常に強力であることの証であり、同時に竜巻、突風、豪雨、落雷が発生する可能性が非常に高いということです。雹が大きいほど、その危険度が高いと言えます。

雹から身を守る方法ですが、これはもう物理的な防護しかありません。とにかく遮蔽物の下に入ることです。しかし、同時に落雷の危険も大きいために、前記事「雷から生き残れ!」で述べたような落雷対策と同時に考えなければなりません。つまり、立木の下に入って幹に寄り添ったりしていると、「側撃雷」を受ける危険もあるのです。さらに竜巻が発生した場合、屋外があまりにも危険であることは、今までに述べた通りです。

ただし、一般に雹はそれほど長時間に渡って降ることは無いので、事実上、雹が降っている間だけ緊急避難的に、とにかく手近な遮蔽物の下に逃げ込むことになるでしょう。しかしその場所が落雷や竜巻に対して安全で無いと判断されるなら、できるだけ速やかに、より安全な場所へ移動しなければなりません。決して、目に見える雹の危険だけに捉われないでください。やはりこの場合も、真っ黒な雲に覆われて暗くなり、風が強くなって来た時点で、頑丈な建物内などに避難するのが基本です。そうなったら、少なくともすぐに豪雨が来ることになりますし。

次に雹の威力ですが、比較的多い、パチンコ玉程度の大きさのものならば、人体を直撃しても致命的な怪我にはならないでしょうし、傘をさしていればかなり防げます。家や車のガラスが割れたりすることも、ほとんど無いでしょう。しかし、強い竜巻が発生するような強力な積乱雲の場合は、ゴルフボール大から、まれにはテニスボール大の雹が降ることもあります。5月6日のつくば市周辺では、ゴルフボール大の雹が降りました。そうなると、直撃されれば「痛い」では済みません。自転車置き場などで良くあるプラスチックの波板や、薄いスレート屋根などを貫通することもあります。

車に当たればボディはへこみ、サイドやリアウインドウが粉砕されることもあります。強度が高いフロントウインドウを貫通することはまずありませんが、ヒビは入るでしょう。とりあえず車の中にいれば雹の直撃を受けることは無いものの、割れたガラスで怪我をすることはありますし、なにより車へのダメージは深刻です。なお、任意で車両保険に入っていても、通常は天災による損傷は不担保、つまり補償されません。普通乗用車のフロントウインドウ交換だけでも軽く10万円以上しますから、シャレになりません。補償を受けるためには、天災による損傷を担保する特約を付加している必要がありますが、その補償範囲がどこまでなのかも、加入前に良く確認しておく必要があります。

とにかく、雹から身を守るためには、丈夫な屋根などの遮蔽物の下に入るしか無いのですが、雹が降る時は、同時に豪雨、落雷、突風、竜巻の危険も大きい状態だということを忘れずに、それらの危険にも対応した避難行動を取ってください。

気象災害に限らず、これからの災害対策において非常に重要なことは、「過去に無かったからこれからも無いだろう」という考えを、一切捨てることです。

次回は、雹や雷に関連した話をお送りして、最終回となります。


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2012年5月10日 (木)

【緊急特集・番外編】雷から生き残れ!【4】

雷編の最後に、ちょっとコラム的雑記など。

管理人は、群馬県の出身です。群馬県は、知る人ぞ知る雷の多発地域で、これまた知る人ぞ知る「上毛かるた」に「雷とからっ風 義理人情」とも詠まれる地でもあります(←群馬県人限定ネタです・笑)

最近は昔とだいぶ気候も違って来ましたが、管理人が子供の頃は、晴れた夏場にはほぼ毎日、激しい雷雨に見舞われていました。これは局地的な強い上昇気流によって発生した積乱雲による狭い範囲での雷雨でしたから、その激しさはかなりのものながら、短時間でさっと上がり、あとは涼しい風が吹いたものです。

そんな場所で育った管理人は、実は雷が大好きです。あれほど壮大で美しい自然のショーはなかなかありません。小さな頃から空を走る激しい電光をワクワクしながら眺め、耳をつんざく轟音に、半歩引きながらも大喜びしていました。そんな管理人は、雷の危険についても良く知っていましたし、落雷事故のニュースにも、かなり敏感ではありました。

雷が頻発する土地なら、落雷事故もかなり起きたのではないかと思われるでしょうが、実はかなり少なかったのです。ごく稀に釣りをしている人や、農作業をしている人が撃たれるくらいで、でもそんな話は1年に1回聞くかという程度のものでした。なにしろ多少雷が鳴るのは日常であり、その中でも誰も大して気にせずに、グラウンドや河川敷を走り回っていたのですが、長年に渡って特に危険を感じたことはありませんでしたし、大人からも特に注意もされませんでした。もちろん、「これはヤバいぞ」と感じた時はさっと引き上げる、雷多発地帯の住人ならではの分別もありましたが。

ちなみに、本当にヤバい時は、肌でわかります。風のイヤな感じ、遠くの稲妻の強さ、そして空間に静電気が満ち満ちる、あのピリピリするような感じ。

そんな体験が身体に染み付いている管理人は、ここまでの記事のような雷対策を見るにつけ、「本当にそんな対策が必要なのか?」という思いが、実は昔からあります。実際に、雨に濡れながら木の頂点を45度で見上げている人など、見たこともありません。子供の頃から知っていた知識ですが、そんなのは山の上とかの、もっと条件が厳しい場所の話という感覚だったのです。

そんな感覚のままだったら、学術的には正しくても、現実に即していない「机上の空論」を忌み嫌う管理人としては、こんな記事は書かなかったでしょう。しかし、最近の気象状況を見ると、その感覚を改めなければいけないと思うようになったのです。

全地球的な気候変動は、穏やかだった温帯の気候を、どんどん極端なものに変えて来ました。そしてこれから、さらに極端化が進むでしょう。5月6日に竜巻と落雷による負傷者を発生させた「スーパーセル」のような、巨大で強力な積乱雲が、どんどん多発するようになるでしょう。それは竜巻も落雷もその頻度と強度をどんどん増して行くということに他なりません。乱暴で、容赦ない気候になって行くのです。

今までは、特に対策をしなくても、それほど危険では無い状況が大半で、本当に危険な状況までの間に「緩衝地帯」のようなものがありました。しかしこれからは、平時から突然戦時に変わるように、いきなり致命的な危険に直面させられるような状況が増えて行くはずです。そんな危険に対応するためには、「生兵法は怪我のもと」なのです。もっとも効果的な対策を迅速に取れなければ、「生き残れない」ことになりかねません。

もう、昔ほどの余裕は無いと、管理人は考えます。被害に遭ってから「こんなことになるとは思ってもみなかった」とか、「○○年住んでるけれどこんなのは初めてだ」などという、良く聞くけれども全く意味の無いセリフを吐くことが無いようにしなければなりません。いや、そんなセリフを吐けるならば幸運というものです。

今後ますます強大化する自然災害の脅威から「生き残る」ためには、正しい知識と意識、正しい装備と行動でセルフディフェンスをするしかありません。行政も、他人も「その時」には助けてくれはしません。自分と、自分の大切な人を守るのは、あなた自身なのです。


次回は、降雹から身を守る方法をまとめて、この緊急特集の最後とします。


追記:最近、竜巻などを発生させる強い積乱雲が接近した時の現象のひとつとして、ニュースでは「冷たい風」や「ひんやりした風」が吹くという表現を良く見ます。しかし、管理人はその表現は使いません。本文では、あくまで「強い風」とだけ言っています。その理由は、周囲より温度が低い、積乱雲からの下降気流がひんやり感じるのは今の季節だからであって、さらに気温が上がると、「生あたたかい風」という感じになるからです。大した違いでは無いかもしれませんが、メディアで繰り返し流されると「ひんやり」が固定観念として植え付けれられてしまいそうですので、管理人は敢えて使いません。


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2012年5月 9日 (水)

【緊急特集・番外編】雷から生き残れ!【3】

今回は、「背の高いもの」の近くで落雷を避ける方法をまとめます。

まず、その時の姿勢なのですが、背が低い方が落雷の可能性が小さいからと言って、地面に伏せたり、手や膝をついたりしてはいけません。落雷の際には、命に関わるほどでは無いことが多いものの、地面にもある程度の電流が流れます。地面に伏せたり手をついたりしていると、電流の入り口と出口を作ってしまうことになりますので、身体に流れる電流を増やして、より大きなダメージを受けてしまうからです。

同じ理由で、足を大きく開いてもいけません。片足から入った電流が、もう片足から抜けるようになりやすく、これもダメージを大きくします。ですから、両足をなるべく揃えて「しゃがむ」のが理想的な体勢です。

なおその際に、靴の材質はほとんど関係ありません。電気を通さないゴム靴だからと言って、安全性が上がることはほとんど無いのです。まあ、裸足よりは靴をはいている方が良い、というくらいでしょうか。その場合、少しでも窪んだ場所の方が、周囲から見てあなたの高さが相対的に低くなりますので、より安全性が高まります。

「しゃがむ」場所ですが、かつては木や避雷針の頂点を45度以上の角度で見上げる場所が安全圏と言われましたが、最新の考え方では、高さ30mほどを境に対応が変わります。まず30m以下の場合。これは今まで通りです。
1_2
木などの頂点を45度以上の角度で見上げ、かつ枝などから4m以上の距離がある場所となります。
高さ30m以上の鉄塔などの場合は、頂点を見上げる角度は関係なく、その根本から水平距離が4mから30mの間となります。
2
鉄塔など背の高い構造物には、大抵は避雷針が設置されており、電流は電線を伝って地面に流すようになっているために「側撃雷」の可能性は小さくなりますが、必ずしも電線を流れてくれるとは限りませんので、やはり4mの安全距離を保つ必要があります。なお、高圧送電線の真下は、落雷を受ける可能性がかなり小さくなる、比較的安全な場所となります。

以上のような対応をすることで、落雷を受ける可能性を非常に小さくすることができますが、やはり基本は、安全な場所への早めの避難に尽きます。

木がまばらにある場所よりは、密集した場所、完全に開けた場所よりは、周囲に少しでも地物が多い場所の方が、多少なりとも安全性が高まります。また、建物の中にいる時でも、なるべく壁や窓際から離れます。避雷針の無い小さなあずま屋などでは、中の壁によりかかっていて感電死した、というケースも起こっています。密閉性の低い建物の場合、開口部から雷が室内に飛び込んでくることもあるのです。

また、建物に落ちた雷が屋内配線やアンテナ線を伝って家電品に流れ、ブラウン管テレビやPCディスプレイが爆発的に破壊されたり、その他の家電品が発火したり、屋内配線自体が発火したりした実例も少なからずありますから、激しい雷の最中にはなるべくコンセントを抜き、それができない家電品のそばから離れた方が良いでしょう。そして、地震による火災対策とも併せて、屋内に最低でもエアゾール式の簡易消火器を、かならず複数用意しておくようにしましょう。もちろん、電気火災対応タイプでなければなりません。

次回は、雷編の最後に、ちょっとコラム的なことなど。

※2013年5月25日追記 上の画像の表示が出来なくなっていましたので、修正しました。


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【緊急特集・番外編】雷から生き残れ!【2】

今回は、屋外で雷に遭遇したとき、車や大きな建物など、安全な避難場所が無い場合の対処方法をまとめます。

その前に、雷についてのちょっとしたトリビアから。雷のピシャーン!ゴロゴロ!ドーン!という雷鳴は、何の音だかご存じですか?実はあれ、空気の音なのです。雲の中で放電、つまり稲妻が発生すると、周囲の空気が一瞬で数万度にまで加熱されます。そして加熱された空気が、瞬間的に激しく膨張する時に、あの凄まじい音が出ます。

落雷する時の音は、ほとんどバーン!というような爆発音に近い轟音ですが、あれが本来の音に近いものです。それが長い距離を伝わって来る間に、雲の中で屈折、反射を繰り返すので、時間が長い、いろいろな音として耳に届くわけです。

ですから、稲妻が光った後、どれくらいの時間で雷鳴が聞こえて来るかで、雷が発生している場所との距離が大体わかります。光が到達するのは一瞬で、音の速度は秒速約340mですから。

さておき、開けた屋外で強い雷に遭遇したら、悠長なことは言っていられません。実は、いわゆる「遠雷」、つまりまだはるか遠くでゴロゴロいっているような段階でも、落雷の危険があるのです。特に開けたゴルフ場、河川敷などの運動グラウンドや、山の上など高い場所ではかなり危険な状況だと思わなければなりません。まだ雷鳴がまったく聞こえないような状態で落雷したということも、実際にあります。

そんな場合、近くに車や避難小屋などが無ければ、少しでも安全性が高い場所で、雷をやり過ごさなければなりません。まず、周囲が開けた場所に出ない。平坦な場所では、あなたの身長でも、恐ろしく「背の高いもの」になります。ましてや釣り竿、バット、テニスラケットなどを頭上に振りあげるのは危険度が高くなります。特に釣り竿は、自ら避雷針ならぬ「誘雷針」を立てているようなもの。テニスのサーブの瞬間に、ラケットに落雷したという本当の話もあります。

そんな場合、避難できる車や建物が無ければ、落雷する可能性が高い「背の高いもの」の近くに寄り、自分たちへの落雷を避けなければなりません。しかし、前記事の通り、あまり近くに寄り添うと、「側撃雷」を受けることもあります。その「さじ加減」を、次回記事で図解します。

最新の考え方では、「背の高いもの」の高さが、ほぼ30mを境に対応が変わります。


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【緊急特集・番外編】雷から生き残れ!【1】

今回は緊急特集の番外編として、雷から身を守る方法をまとめます。

茨城県つくば市などに竜巻被害が発生した5月6日、埼玉県の桶川市では、木の下で雨宿りをしていた親子が雷に打たれ、女の子が重体になっています。これは、木に落ちた雷の強烈な電流が、木を伝って地面に流れる途中で、近くにいた人体に「飛び移った」もので、「側撃雷」(そくげきらい)と呼ばれる現象です。実はこの「側撃雷」による受傷者が、我が国の雷による人的被害の中で、一番多く発生しているのです。

まずはこの「側撃雷」への対処方法です。雷が鳴って強い雨が降ってくると、近くに立木があれば、ついその下で雨宿りをしたくなります。しかしこれは、非常に危険な行為なのです。その木に落雷した場合、かなりの確率で側にいる人に「飛び移る」のです。

それを避けるためには、木の幹だけでなく、あらゆる枝や葉から「4メートル」の距離をおかなければならないと言われます。かつては「2メートル」と言われましたが、その距離だと「側撃雷」を受けた場合に、即死はしないまでも重傷となる可能性があるとのことで、「4メートル」の距離があれば、軽傷程度で済むとされています。

ということは、強い雷が発生している時は、木の下で雨宿りをすることは、事実上してはいけない、ということです。したがって、雷が発生する季節に車や建物が近くに無い、開けた屋外で活動する時には、豪雨に対応するために、カッパやポンチョなどの雨具を用意しておく必要があるということです。

もちろん、強い雷の最中に開けた場所で傘をさすなど、自殺行為にも等しい危険がありますから、絶対にやってはいけません。その理由や具体的な対処方法などを、順次解説して行きます。

まず、雷に関する迷信の否定から。昔から、雷は金属に落ちると言われることが多く、今でもそう思っている人は多いでしょう。しかしそれは完全な誤りです。雷は、その材質に全く関係無く、その場所で一番背の高いものに落ちる確率が一番高いのです。場合によっては一番高いものでないこともありますが、背が高いほど、落雷の確率が高いのは紛れもない事実です。

「金属に落ちる」という迷信は、雷撃を受けた人が身につけた、指輪、金歯、ベルトのバックルなどの金属が一瞬で激しく加熱されたり、スパークが発生したりして、その部分にやけどや衣服の焼け焦げが残ることが多いので、その部分に落雷したと誤認され、それが「雷のトリビア」として語り継がれたものと思われます。

詳しいメカニズムについてはここでは述べませんが、とにかく「雷は背の高いものに落ちる」とだけ覚えておいてください。

もうひとつ、雷の重要な性質があります。それは「落雷の電流は、物体の表面を流れる」というものです。比較的良く知られた話に、「車の中にいれば安全」というものがありますが、これは車に落雷しても、電流は車体の表面を流れ、タイヤの表面を伝って地面に抜けるからです。

このとき、車の中で金属部分を触っていたりすると、多少の感電をすることもありますが、大半の電流は車体表面から地面に抜けますので、致命傷になることは考えられません。普通にシートに座っている状態ならば、轟音がしても、自分の車に落雷したかどうかさえ気づかないでしょう。

このふたつの性質から、落雷の危険がある時は、背の高い木などに寄り添わず、車や建物の中に避難するのが安全だということが言えます。

では、それができない場合にどうするかについては、次回に続きます。


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2012年5月 8日 (火)

【緊急告知】竜巻から生き残れ!【気象情報】

明日5月9日から10日にかけて、高層に強い寒気が流れ込み、再び大気がかなり不安定になるようです。強力な積乱雲が発生し、強風、豪雨、降雹、竜巻が発生する危険が大きくなります。警戒してください。

(以下転載)------------

【西―東日本、大気不安定に=竜巻などに注意―気象庁】(時事通信)

気象庁は8日、西日本から東日本の広い範囲で9日から10日にかけ、大気の状態が再び不安定になるとして、雷を伴う激しい雨や竜巻などに注意を呼び掛けた。茨城県つくば市などでは6日、竜巻で大きな被害が出ている。

 同庁によると、日本の上空約5500メートルには10日にかけ、氷点下21度以下の強い寒気が流入。南からの暖かく湿った空気とぶつかると、竜巻の原因となる積乱雲が発達する可能性もある。

 同庁は、黒い雲が出て周囲が突然暗くなるなどの兆候があった場合、頑丈な建物内に移動するよう呼び掛けている。9~10日は広い範囲でひょうが降る恐れもあり、農作物などの管理にも注意が必要という。 

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【緊急特集】竜巻から生き残れ!【5】

【4】から続きます。今回は、ちょっと長文です。

今回は、竜巻から生き残るための、その他の情報をまとめます。

まず、茨城県つくば市で発生した竜巻について。気象庁は暫定的に「F2」クラスと発表していますが、後に「F3」と訂正されると管理人は考えています。被害規模が「F2」を超えているからです。なお、管理人は、米国で使用されている「EFスケール」(改良藤田スケール)を基準に考えています。竜巻が頻発する米国で改良されたスケールの方が、より実態に即していると考えているからです。

また、気象庁はレーダー解析によって「竜巻は最高速度70km/hで移動した」と発表していますが、実際にはそれほど速くなかったと、管理人は考えております。レーダーエコーは、激しい降雨などの乱反射(クラッター)によって、プラスの誤差が出やすいからです。撮影された竜巻の映像でも、それほどの速度は出ていないのがわかります。但し、風の強さや地形などによって、速度が速まる可能性はあります。

一部に、「竜巻の時は橋の下に逃げてはいけない」という「指導」があります。管理人に言わせれば、それも机上の空論に過ぎません。確かに、橋の下の広い空間に突っ立っているだけでは、意味がありません。むしろ、遮蔽物の無い河川敷で、より速度を上げた風による飛来物の危険がより大きくなりますし、人間も簡単に吹き飛ばされます。河川敷は、竜巻災害においては本来非常に危険な場所なのです。ですから、管理人は「頑丈な構造物に囲まれた、できるだけ狭い場所」という表現をしています。

橋の下で、できるだけ橋のたもとの橋台に近づき、可能ならば橋の構造部材(主桁、プレートガーダーなど)の間に入るなど、なるべく狭い空間で、身体をしっかりと保持するのです。もちろんそれ以前に、近くに鉄筋コンクリート建物などがあれば、そちらへ行くべきです。竜巻とは元来、地上構造物が少ない開けた場所で起きやすいものですから、大きなビルなど避難場所が豊富にあることは少ないのです。周囲に木造家屋と橋しか無いような、さらには橋しか無いような場所で竜巻に遭遇することも十分に考えられます。そしてそんな場所には、身体が収まるような側溝も窪地も、大抵はありません。あれば御の字です。

周囲のどこよりも橋の下が安全ならば、橋の下に行くのです。そして、その構造を利用して最大限の安全を確保しなければなりません。それを、理由も説明せずに、ただ「危険だ」とかだけ書いているお気楽な「防災マニュアル」も少なくありません。もっとも、製作者がその理由を知らないのでしょうが。

一応、「崩壊の危険があるから」というのがその理由のようですが、少なくとも我が国において、竜巻で鉄橋やコンクリート橋が崩壊したことはありません。木造の橋は崩壊の危険が大きいのですが、そんなものがあるような山の中などでは、竜巻は発生しないでしょう。この話は、EF3~4クラスが当たり前、時にはEF5もある米国発祥のようです。あちらのトルネードは、鉄筋コンクリート建物さえ破壊することもありますから、橋を空中に巻き上げることもあるのでしょう。しかしそのクラスに直撃されたら、溝の中で伏せていて助かるとも思えませんが。まあ、理屈だけで思考停止しないように気をつけましょう。モノは使いようということです。


次に前回記事の補足を少し。車から離れられないまま竜巻を迎え撃つことについて書いたついでに、車から脱出する方法について書いてしまったので、あとから読み返すとなんだか「お勧めの方法」に見えないでもありません。しかし、車の中もしくは車の側で竜巻を迎え撃つことは、半分以上は運を天に任せた「最後の手段」です。

竜巻が、車を横転させたり、数メートル飛ばす程度の規模ならばなんとか生き残ることができるでしょうが、もしそれ以上の規模だった場合は、生き残れる可能性は極端に下がります。ですから、車に乗っているときは、まず竜巻から距離を取ること、そして車から下りて、鉄筋コンクリート建物などの頑丈な遮蔽物に入ることが最優先ですので、そのようにご理解いただきたいと思います。もちろん、車ごとトンネルや地下道、頑丈なビルの中などに入れるのがベストではありますが。


さて、これからの季節、何度も竜巻の脅威に晒されることになるでしょう。しかし、その発生はとにかく天の気まぐれであり、強力な積乱雲が発生しても、竜巻が発生する確率は、それほど高くありません。かといって、何の準備も無いままに遭遇してしまうと、致命的な結果にもなりかねません。気象庁が発表する「竜巻注意情報」も、精度が決して高いとは言えませんし、「竜巻注意情報」が発表されていない時に竜巻が発生することも少なくありません。ならば、セルフディフェンスするしか無いのです。

まず、強い竜巻が発生しやすい巨大な積乱雲(スーパーセル)が発生する気象条件は、初夏から秋ごろまでの、晴天で、「大気が不安定」な時です。天気予報で「大気が不安定」という言葉が出たり、強い雷雨が予報されている場合は、それだけで要警戒です。時間帯としては、日照によって強い上昇気流が発生する、午後から夕方にかけてがほとんどです。そのような条件が揃う時を、事前に知っておくことです。

天気予報を見る時に、「大気が不安定」という言葉が出ているか、晴れでも強い雷雨が予報されているかどうかに、まず注意を払ってください。

しかし、積乱雲は非常に狭い範囲で発生しますから、広範囲での予報だけでは不足です。そこで管理人が利用してるのが、Yahoo!の豪雨予報です。これは、事前に登録してある3ヶ所までの場所で豪雨が予想されるとき、数分ほど前までに、降り始めから上がるまでの予想時間と、予想降雨量をメールで知らせてくれるものです。晴れた夏場に豪雨が予想されるとは、すなわち強い積乱雲が発生し、それが登録地域に接近していることを意味します。しかし、それだけでは竜巻の危険に繋げられません。ゲリラ豪雨を降らせるような、ごく小さな積乱雲の可能性の方が大きいからです。

そこで、管理人は国土交通省が提供する携帯サイト「川の防災情報」を閲覧しています。このサイトから都道府県単位のレーダー雨量画像を見ることができますので、激しい降雨の範囲、すなわち強い積乱雲の大きさがわかるのです。

つくば市で竜巻被害があった時も、管理人が住む埼玉南部でも「スーパーセル」が通過していました。通常、積乱雲による強い降雨域は、レーダー画像上では小さな点状になっていますが、あの日は直径10~15kmくらいにもなるようなほぼ円形の広い範囲で時間雨量50~100ミリの豪雨が降り、さらに直径1センチ程度の雹も降りました。その状況から、管理人は強力な「スーパーセル」の発生を認識していました。

しかし正直なところ、あれほどの被害を出すような規模の竜巻は予想していませんでした。もっとも、あんな大竜巻は気象庁も予想していなかったでしょうが。管理人は過去の経験則で判断していたものですが、我が国の気象は、過去の経験則が通用しないような段階に入ったのだと、認識を改めた次第です。なにしろ、過去には「スーパーセル」のような巨大積乱雲が発生すること自体が、滅多に無かったことなのですから。

なお、上記のような豪雨予報メールや、レーダー降雨量画像が見られるサービスは、各社が様々なサービスを行っていますので、いろいろ検索してみてください。ちなみに管理人が使っているものは、どちらも無料です(笑)

ではこれで、つくば市で竜巻被害が発生した5月6日からの緊急特集、竜巻編を終了します。次回は番外編として、強力な積乱雲に伴う、落雷と雹から身を守る方法をまとめます。


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2012年5月 7日 (月)

【緊急特集】竜巻から生き残れ!【4】

【3】から続きます。

今回は、屋外で竜巻に遭遇した場合の対処方法です。

屋外にいる場合は、実際には竜巻を目視してから避難行動を始めることが多くなるでしょう。その場合、まずやらなければいけないことは、竜巻の移動方向を見極めることです。

竜巻が遠ざかっていたり、遠くを横方向に移動しているならば、その場で飛来物を避けながら待機すれば問題ありません。ただし、竜巻は風向や地形によって、突然進行方向を変えることがありますから、確実に遠ざかるか消滅するまで、いつでも動ける態勢で見届ける必要があります。

また、同時または連続的に複数の竜巻が発生することもまれにありますので、周囲を広く確認することも必要です。竜巻からかなり距離がある場合でも、空中に巻き上げられたものが降ってくることもありますから、落下物、飛来物を避けられる場所で待機することが必要です。

もし竜巻が自分の方向に向かって来る場合は、可能な限り、竜巻の進行方向に対して直角の方向に移動して、直撃コースから離れます。近くに鉄筋コンクリート造りの建物、地下歩道、トンネルなどがあれば、迷わずその中に入り、なるべく奥まで進みます。広い道路の、線路などをくぐる短いアンダーパスは、一般に地表より安全性は高いものの、条件によっては、狭い場所を気流が抜ける時に流速が上がる「ベンチュリー効果」によって、より強烈な風が吹き抜けることも考えられますから、これは他に有効な避難場所が無い場合の次善の策と、管理人は考えています。

竜巻の直撃が避けられないと判断した場合には、橋の下、陸橋の下、用水路の暗渠など、頑丈な構造物に囲まれたできるだけ狭い場所に入り、後頭部と首を腕で守りながら地面に伏せます。周囲に頑丈が構造物が無い場合は、大きな木や竹が密生している場所があれば、地表の風がかなり弱められ、飛来物の危険も減るので、他に方法が無い場合の避難場所のひとつとして覚えておくと良いでしょう。

それも無ければ、できるだけ深い用水路、側溝、窪地など、なるべく深く、狭い場所で身を伏せることで、竜巻が直上を通過しなければ、地表面にいるよりは、多少なりとも安全性が上がるでしょう。


車に乗っている場合は、車ごと空中に巻き上げられたり、ひっくり返される可能性があります。基本的には、車から出て安全な避難場所に移動します。強風、豪雨や雹の中で車を出るのはとても勇気が必要ですが、つくば市の竜巻被害映像でもわかるように、強力な竜巻の前では、乗用車などひとたまりも無いのです。直撃から逃げきれないと判断したら、できるだけ早い段階で車を降り、頑丈な建物や構造物に避難しなければなりません。

例えば周囲が全く平坦な道路で渋滞中に竜巻の直撃を受けそうな場合は、対抗の道路へUターンが可能ならば、すぐに逆方向へ逃げます。車の速度ならば、特に飛ばさなくても逃げきれます。それが不可能ならば、とにかくできるだけ早い段階で車を降り、竜巻と直角方向へ徒歩で逃げるしかありません。しかしそれも間に合わないと判断されたら、残された選択肢はわずかです。

これはあくまで管理人の個人的な考えですが、まず、車がひっくり返ったり、空中に巻き上げられて叩きつけられるのを覚悟の上で、シートベルトをしたまま車の中に留まる方法がひとつ。この場合は、両足を踏ん張り、上体をシートバックに押し付けながら首に力を入れて縮め、両腕で首を挟み、両手を首の後ろで組む耐衝撃姿勢を取ります。カースタントマンやレーシングドライバーは、車の転倒時にはハンドルから手を離してはいけないと言いますが、あれはヘルメットをかぶっている前提です。

竜巻に巻き込まれた場合の死因のトップは、叩きつけられて頭を強打したことによる脳挫傷なのです。次が、首の激しい動きによる頚椎損傷だそうです。この二つの可能性を、できるだけ小さくしなければなりません。もちろん、同乗者にも同じ姿勢を取らせます。同乗者にその姿勢を教える時間は、それなりにあるでしょう。

もちろん、車の窓を割って脱出するためのレスキューハンマーと、シートベルトカッターは先に手元に用意しておきます。車が転倒してシートベルトに宙吊りになると、バックルを外すことは非常に困難ですから、シートベルトカッターは必須です。なお、シートベルトカッターは普通のハサミでもなんとか代用できますし、レスキューハンマーは、ドライバーやベルトのバックルなど、一点に力を集中できる金属製品で代用することもできますから、覚えておいてください。割ることができるのは、サイドウインドウだけです。フロント・リアウインドウはヒビが入るだけで割れません(一部の車種はリアウインドウが割れるものもあります)。

サイドウインドウを割って脱出する際には、窓枠に残ったガラスで怪我をする可能性が非常に高くなります。時間的余裕があれば、床からはがしたフロアマットや上着を窓枠にかけ、ガラスの破片から身体を防護します。非常時用の厚手のゴム手袋や革手袋、せめて軍手でもグローブボックスに入れておくと(その名の通り、これが本来の使い方)、こういう時に怪我を減らすことができます。

もうひとつの方法は車を降り、車の脇に身を伏せること。その場合、近くに「駐車している」大型トラックなど重量のある車があれば、その下にもぐり込みます。渋滞中のトラックの下に勝手に潜り込むのは、どう考えてもリスクが大きすぎます。

しかしふたつめの方法の問題は、車がひっくり返ったりした場合には、下敷きになるリスクも非常に大きく、飛来物が衝突するリスクも大きいということです。さらに車がひっくり返るような竜巻だったら、自分の身体が宙に舞うこともあるでしょう。その辺りの判断は、竜巻の規模とコースを見極めてということになりますが、絶対的な判断は不可能ですから、やはり基本は、できるだけ早い段階で竜巻から遠ざかるしかないということです。

それでも、地震の避難よりははるかに時間的余裕があるのが竜巻からの避難です。地震は「秒単位」の判断と行動が必要ですが、竜巻は「分単位」と考えても良いのですから。


次回は、竜巻避難に関するその他の情報などです。

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【緊急特集】竜巻から生き残れ!【3】

【2】から続きます。

今回は、竜巻によって損傷が予想される、木造や軽量鉄骨の建物内で、竜巻に対処する方法をまとめます。

しかしながら、竜巻が頻発する米国中西部での事例を見ると、建物が丸ごと吹き飛ばされるような状況で、地下室以外の屋内で「確実に」生き残れる方法は、残念ながらありません。

なお、建物全体が崩壊するような状況は、建物が密集している場所より、周りが開けた場所で起きやすくなります。つくば市の竜巻でも、アパートの前の開けた場所で、木造家屋がコンクリートの土台ごと裏返しになっている例が見られますが、密集地ではそこまでの状況は見られません。また、竜巻の直撃を受けたアパートは、ガラスがほとんど吹き飛んでいるものの、建物の構造自体には全く損傷が無いのがわかります。

ですから、周りが開けた場所に家がある場合は、竜巻が発生する前、遅くとも真っ黒な雲が垂れ込め、強い風が吹き始めた段階で、鉄筋コンクリート造りの頑丈な建物に避難すべきです。

その場合にも、もちろん地震対策の非常持ち出しや、カッパやポンチョ、長靴などの防水用品が役立ちます。雹や飛来物に備えて、ヘルメットがあればなお良いでしょう。無い場合でも、帽子をかぶって、雹や飛来物の衝突からできるだけ頭を守ります。

お年寄りや、小さなお子さんと一緒の方は、「竜巻注意情報」が発表された段階で、早めに避難した方が確実です。強風や豪雨が来てからは、お年寄りや小さな子供の屋外移動は、大きな危険を伴います。避難する先は、台風、水害、地震での避難所に指定されている場所でも、木造や軽量鉄骨の建物は避けなければなりません。もしそこが竜巻の直撃を受けたら、被害を拡大する結果になりかねません。

さて、竜巻の直撃が避けられないと判断された場合、木造や軽量鉄骨建物内では、【2】でまとめた対処方法に加え、最後の手段と呼ぶべき方法は、竜巻からの避難で古くから言われている方法です。それは「風呂場」への避難です。

これは地震の場合と同じなのですが、風呂場は一般に柱と壁が狭い範囲に集まり、構造強度が高くなっています。このため、建物が全壊した場合でも、生存空間が残りやすいのです。そして風呂場でバスタブの中に入り、身を伏せます。これで、建物が崩壊した場合でも、最低限の生存空間が確保できる可能性がさらに大きくなります。

しかし竜巻の場合は、地震のように建物が倒壊するだけでなく、屋根や壁が吹き飛ばされて、家の中のものが空中に吸い上げられるような状況も発生します。その場合でも、比較的建物の奥にあり、構造強度が高くて壁や天井が残りやすい風呂場の中は、風の威力を多少は弱める効果もあり、さらにバスタブの中に伏せていれば、真上方向以外からの飛来物から身体を防護できます。この方法は、竜巻が頻発する米国中西部でも行われており、そのおかげで生き残れた例も多数あるのです。

これは言うまでも無いことですが、地震による断水対策のためにバスタブに常時水を張っている場合は、強力な竜巻が予想される場合には、一旦水を落としておいた方が良いでしょう。

なお、竜巻は感覚的には自動車より遅く、自転車で少し早こぎする程度の速度、時速20~30km/h程度で移動することが多いようです。そして、接近するとゴーッという轟音が聞こえてきますので、それから建物の奥に移動しても十分間に合います。地震よりもはるかに時間的余裕がありますから、竜巻が予想される場合には慌てずに確実に準備をして、避難態勢を取ってください。

その場合、当ブログでも地震対策としてお勧めしているLEDライト、大型バール、ジャッキ、ノコギリなどを手元に置いておくと、建物が倒壊しても自力で脱出できる可能性が大きくなります。もちろん、自力脱出できない場合に備え、救助を呼ぶためのサイレンやホイッスル、救出まで持ちこたえるための水と食料も手元に置いておくべきなのは、言うまでもありません。地震対策の非常持ち出しがまとめてあれば、すぐに避難準備ができます。

竜巻被害は、竜巻が通過する間の、ある意味で「一瞬」で終わります。そして、重大な被害範囲も竜巻が直撃した狭い範囲に局限されますので、地震に比べてはるかに早く救助活動が始まります。ですから、とにかくその「一瞬」の激烈な状況を生き残れる可能性を高める行動をしなければなりません。

次回は、屋外で竜巻に遭遇した場合の対処方法です。

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【緊急特集】竜巻から生き残れ!【2】

【1】から続きます。

今回は竜巻の発生が強く懸念されるとき、または竜巻に遭遇してしまった時に、取るべき対処方法についてまとめます。

強い竜巻の中や周辺では、風速80メートル以上という、巨大台風よりもはるかに強い風が吹きます。このため、今日5月6日のニュースを見てもわかる通り、木造家屋やプレハブ小屋などは土台から引きちぎられて巻き上げられる、倒壊する、屋根が飛ばされる、猛烈な風圧や飛来物で窓ガラスが割れるなどの被害を受けます。鉄骨の建物でも、倉庫や工場のような建物は、外壁や屋根が吹き飛ばされます。

さらに電柱や立ち木が倒れ、電線が引きちぎられます。自動車などの重量物も空中に巻き上げられたり、ひっくり返ることもあります。

その他、十分に固定されていないあらゆる物が空中に巻き上げられ、それが時速100km/h以上の高速で吹き飛ばされ、撒き散らされます。人間の身体など紙くずのように宙を舞い、叩きつけられてしまいますから、そうなったら生き残ることは困難です。


その状態から生き残るためには、「絶対に遮蔽物の無い屋外にいてはいけない」というのが基本です。屋外で竜巻の直撃を受けたら、自分が飛ばされなくても、あらゆるものが猛烈なスピードで飛んで来ます。車に乗っていても、車ごと吹き飛ばされることもありますし、高速の飛来物が車の窓など簡単に破って飛び込んで来ますから、無事でいられることは無いでしょう。

まず、竜巻の発生が懸念される時は、できるだけ頑丈な建物に入ります。鉄筋コンクリート造りの建物ならば、建物自体が吹き飛ばされる心配はまずありませんので、一般的には最も安全な避難場所と言えます。実は、最も理想的なのは地下室なのですが、現実問題として、地下室に逃げ込める可能性はあまり無いでしょうし、地下街があるような都市部では、強い竜巻はほとんど発生しません。

ともかく、竜巻に対して最も安全な場所が地下室であるということは確かです。屋外ならば、飛来物の突入を避けられる程度の長さがある地下道やトンネル内に避難できれば理想的です。現実的な次善の策として、アパート、マンション、オフィスビルなどの、鉄筋コンクリート造りの建物へ避難することをお勧めします。

木造や軽量鉄骨建物内に留まるときは、雨戸があれば、全部閉めます。これは飛来物対策です。アパート、マンションなど鉄筋コンクリート建物の場合も含め、雨戸が無い建物の場合はガラス戸を閉め、さらにガラスの飛散をできるだけ抑えるためにカーテンを閉め、建物の奥で待機します。つまり、窓から何かが突入して来ても、モノやガラスの破片が当たらない場所にいなければなりません。雨戸を閉めた場合も、高速の飛来物は雨戸やシャッターを突き抜ける可能性が大きいので、建物の奥に行くことは同じです。

さらに重量のある飛来物が壁を突き抜けたり、崩壊させたりすることもありますから、とにかく窓の近くを離れ、できるだけ建物の奥に行くことです。窓から十分な距離が確保できない場合は、テーブルを立ててその後ろに入るなど、飛来物が突入したり、ガラスが飛び散った場合に身体を防護するバリケードを設置します。

竜巻が発生すると、電線が引きちぎられたり、飛来物で切断されたりするので、停電する可能性が大きくなります。避難待機する際には、非常用照明の準備も忘れずに。

木造や軽量鉄骨建物では、できるだけ一階に。木造建物はまず屋根から吹き飛ばされる可能性が大きく、高い場所の方が強い風が当たり、飛来物が衝突する可能性も大きくなるからです。そして場合によっては建物の上部ごと引きちぎられて吹き飛ばされることもあります。さらに状況によっては、木造建物を一階から丸ごと倒壊させたり、吹き飛ばす可能性もあるのです。今回の茨城県つくば市の竜巻でもそれが実際に起こっており、倒壊した木造家屋の中で、犠牲者が出ました。そんな場合には、どうしたら良いのでしょうか。

強い竜巻がすぐ近くに接近している時は、いかなる場合も屋外に避難するという選択肢はありません。それに、竜巻に直撃されなくても、外は既に台風のような強風と豪雨、場合によっては雹が降っているでしょうし、それだけでも非常に危険な状態です。ですから、あくまで建物の中で持ちこたえる必要があります。しかし、木造や軽量鉄骨の建物では、屋根が飛ばされたり、建物が倒壊したり、場合によっては離れた場所まで吹き飛ばされる可能性もあるのです。

2006年には、北海道の佐呂間町で、トンネル工事現場のプレハブ小屋2棟が、中に多くの人が入ったまま竜巻で吹き飛ばされ、9人が死亡する惨事となりました。この時の竜巻は、最大風速が83メートルに達した「F3」(旧藤田スケール)クラスの竜巻だったと、後の調査で判明しています。風速83メートルと言えば、中程度の台風の2倍くらいの風速で、最強の台風でもそれまでの風が吹くことは滅多に無いレベルです。その直撃を受ければ、鉄筋コンクリート造り以外の建物は、確実に激しく損傷します。

そのような場合、木造や軽量鉄骨の建物内で、確実に安全を確保できる場所は、残念ながらありません。地下室があれば、仮に地上部分が全壊しても、ほぼ確実に無傷でいられるでしょう。しかし、あまりにも一般的ではありません。

そんな中で「生き残る」可能性を高める避難方法については、次回に続きます。


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2012年5月 6日 (日)

【緊急特集】竜巻から生き残れ!【1】

本日5月6日、茨城県つくば市を中心に竜巻、落雷被害が発生し、犠牲者が出てしまいました。この事態を受け、当ブログでは数回に渡って、竜巻、落雷、ひょうに襲われた場合の対処方法を緊急特集します。当ブログは、地震災害だけでなく、あらゆる自然災害から生き残る方法を考えるブログです。

今日、茨城県つくば市で観測された竜巻は、その画像や被害状況から、我が国で過去に発生した竜巻のうち最大クラスと推測されます。竜巻が頻繁に発生する米国で使用されている、竜巻の強度を6段階で表す「改良藤田スケール」(単位記号:EF)の、EF3クラスの規模と思われます。

全地球的な気候変動の影響もあり、今後我が国でもこのような竜巻が頻繁に発生することが予想されますので、いつどこで遭遇しても対処できる方法を知っておかなければなりません。


まず、竜巻が発生する状況を知る必要があります。竜巻は、非常に強い大型の積乱雲が発生した時におきやすく、強風、土砂降りの雨、雷、時には「ひょう(雹)」を伴います。今日も各地でひょうが観測され、埼玉南部の管理人の自宅近くでも、直径1センチほどの雹が降りました。

このように強くて大型の積乱雲(スーパーセル、super cell と呼ばれます)が発生した場合、辺りが夕方のように暗くなり、強い風が吹き始めます。ほとんどの場合で激しい雨や雷を伴いますが、さらに雹が降って来たら、非常に強力な積乱雲が発生している証拠ですから、竜巻の発生を特に強く警戒しなければなりません。

場合によっては、竜巻の前兆が見られることがあります。真っ黒な積乱雲の下から、雲が逆三角錐状に地面に向かって垂れ下がり、漏斗の形に似ていることから、「漏斗雲」(ろうとうん)と呼ばれます。そこでは激しい下降気流が地面に到達した後に、渦を巻きながら再び上昇しています。その渦が地面近くの渦と一体化した時に、竜巻となるのです。

まず、辺りが暗くなって真っ黒な雲が低くたれこめ、強い風が吹き始めたら、竜巻の発生を警戒しなければなりません。さらに漏斗雲が観測された場合は、竜巻の発生までごく短い時間しかない可能性が高い状態です。しかし漏斗雲は必ず目視できるというものではありませんから、漏斗雲を竜巻発生の目安にしては絶対にいけません。竜巻とならなくても、激しい下降気流(ダウンバースト)によって、非常に強い突風が局地的に吹くことがありますから、積乱雲が上空を通過して、辺りが明るくなって来るまで、警戒を続ける必要があります。

近年は気象庁から「竜巻注意情報」が発表されます。その場合、発表地域の近くで強い積乱雲が発生している、または発生する可能性が高い状態ですので、特に警戒しなければなりません。少なくとも強風、激しい雨、雷は確実に来ると言って良いでしょう。

そのような時に取るべき対処方法は、次回に続きます。


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2012年5月 2日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【14】☆デート編

■デートで生き残れ(その2)

今回は、繁華街でちょっと奮発して食事をします。でも、特に店は決めていません。街をぶらつきながら、良さそうな店を探しましょう。

店の前に出されたメニューや、店の中を覗きこんだりしながら、街をぶらぶらと歩いて行きます。こういう時、男性がさりげなく車道側を歩くスマートだと言われますが、それは地震対策としても有効です。

もし繁華街の歩道で大地震が来たら、最初の危険は落下物です。まずは、手近なビルのエントランスなどに駆け込んで落下物を避けなければなりませんから、その際に女性を先に押し込めるポジションです。つまり、相手の身体を一瞬でも先に安全圏に入れられ、さらに自分の身体が外部からの危険の盾になるのです。

そういう発想は性差別だとか言われることがあるかもしれませんが、非常時には(一般に)筋力と複合的な状況判断能力に優れた男性がリードすべき、むしろ「見せ場」であると、男性である管理人は思っております。早い話が、男の方が「向いている」という理由だけです。軍隊の大半が男性兵士であるように。

のっけからちょっと脱線しますが、こんな時男性が少し先に立って歩く方が、「俺についてこい」的でカッコいいという意見もあったりもします。でも、この場合に相手の身体をいちばん守りやすい位置は、車道側の斜め後方なのです。これはボディガードがひとりで要警護者を守る際の位置取りで、後方からの方が前後左右と上を広く見渡せるので危険をいち早く発見できますし、後方から迫る危険の盾にもなりやすい。さらに自分の身体の前にいる要警護者をコントロールしやすい、つまり建物や車に押し込む、地面に押し倒して覆いかぶさるなどの行動がしやすいわけです。

ちなみに、ボディガードふたりの場合は前後の対角線上に、4人の場合は要警護者を囲む正方形の頂点となります。ニュースでVIPが映った際、警護しているSPの配置をそんな目で見ると、ちょっとマニアックな楽しみ方ができますよ。でも、デートの際に何の説明もせずにこのガードポジションをとると、「前を歩いて」と言われることも少なくないと思いますのでご注意を。

さて、早く食事をしないと(笑)。すっかりおなかがすきました。店を選ぶ基準は、普通はメニューと価格と雰囲気でしょう。でもそこに「防災の目」も、是非加えてください。まず、建物の耐震性は高そうか。建築基準法の耐震基準は、1981年(昭和56年)に大幅に強化されていますから、事実上、昭和55年以前に竣工した建物は、それ以降に比べて耐震強度が低いのです。旧そうな建物なら、エントランスの「定礎」銘板で竣工年をチェックするという方法があります。

次は周辺の状況です。割れそうなガラス窓、はがれそうな外壁、落ちそうな看板などは周りにありませんか?避難経路となる歩道には、自転車や路面店の商品が溢れたりしていませんか?すぐ近くに、倒壊しそうな旧い建物はありませんか?ビル外部の非常階段の出口が施錠されていたり、荷物が山積みになったりしていませんか?立ち止まって店の前にあるメニューを見るように、ビルに入る前に一旦立ち止まり、周りをぐるりと見渡してみてください。そこで目に付いたものをひとつ覚えているだけでも、非常時の危険を大きく減らすことができるのです。

では、ここのビルの2階にあるレストランにしましょう。通路を歩きながら、通路の構造、広さ、混雑程度、非常口や非常階段の位置、避難時の方向、火災が出そうな店舗など、避難の際に障害になりそうなものなどをチェックします。

さて、階段を上って、レストランの前に着きました。なかなかいい感じの入り口です。でもそこを通る際、幅と周囲の様子のチェックを忘れずに。大人数が殺到した時に通り抜けられるか、否か、その際に障害となる内装や装飾類は無いか。停電で開かなくなる自動ドアではないか。

店に入ると、ふたりを黒服のギャルソンが恭しく出迎えてくれました。なかなかいい感じです。さあ、ゆっくりと食事を楽しみましょ・・・いえ、まだなんです。

次回に続きます。

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【シミュレーション解説編】地震・地下街【3】

【2】から続きます。

さて今回は、地下街に関する「トリビア」と「机上の空論」をやっつけます。実は地下街の話には、典型的な例があるのです。

まず、皆様は地下街の防災に関するトリビア、どんなものを聞いたことがありますか?聞いて一番「へぇー」と思ったのはなんですか?

これじゃないかと思うんです。「地下街には、必ず最長60mごとに非常口がある」。その通りです。これは建築基準法で定められていますから、全国共通です。もちろんそれは知っておいた方が良いトリビアではあります。でも、その後にこんなのが続きませんでしたか?「だから、暗闇でも壁を伝って行けば、必ず60m以内に出口に着く」と。これぞ机上の空論。

前回記事を思い出してください。そして皆さんの知っている地下街を思い出してください。暗闇で伝わって行ける壁などあるのですか?通路の両側はずっと店舗があるのです。そして今は大地震の直後なのです。散乱した商品、壊れた内装、割れたガラスがあり、壁際で待機する(または動けない)人たちがいます。ある程度視界が効く非常灯がつけば壁際を行く必要はありませんが、自前のライトを持たずに、暗闇で安全に壁伝いに進むことは、ほとんど不可能なのです。でも十分な照度のライト一本あれば、解決できる問題でもあります。

ところで、地下一階からでも、非常口を出ればすぐ「地上」に出られるとは限らないのです。おわかりでしょうか。つまり、多くの非常口、つまり階段は、地上の建物の中に繋がっているじゃありませんか。

もし地上の建物が崩壊していたり、出口が通り抜けれられないくらい破壊されていたら。地上一階に上がれても、そこに火災などの危険があったら。しかも曜日や時間帯によっては、階段が閉鎖されてることもありますよね。その場合はどうするか。もちろん、戻れば良いのです。ただし、平常時ならば。

あなたの後ろから群集が駆け上がって来るような状況の場合、そこから戻るのは非常に困難です。後ろからは、一刻も早く地上に出たい、しかし先の状況がわからないパニック状態の群集が、遮二無二前進してくるのです。
その中を逆行しようとすれば、どうなるか。シミュレーションストーリー本編のような状況が起きるでしょう。その中から安全に、素早く戻ることはあまりに困難です。その間に、地下街での火災、もしくは津波による浸水の危険が、刻一刻と迫っているかもしれません。


そのような状況に関連する「トリビア」で、こんなのを見たことは無いでしょうか。「地下街のトイレは壁が多くて構造的に頑丈なので、大地震が来たらトイレに逃げ込め」と。これなどほとんど怒りを感じるレベルの机上の空論です。トイレに逃げ込もうとするのは、あなたひとりなのですか?一旦狭いトイレに入ってしまい、後からどんどん「安全な」トイレに人が殺到したらどうなるか。外の様子は一切わからず、出ようと思っても出られない。その間に、感知できない危険が迫って来る。

トイレの構造が頑丈だというトリビアをネタにしたいがために、なんの知見も検証も無く、出入口がひとつしかない袋小路に群集を追い込むような、思いつきの「防災アドバイス」、管理人も実際に見たことがあります。それが公的機関が発行したものだったり、「防災アドバイザー」とか名乗る輩が監修した「防災マニュアル」だったりするのですからやりきれません。「その程度」のものは、未だに山ほど出回っています。

管理人がつい最近買った、大手新聞社が刊行した「防災本」にも、実際には出来もしないし、やってはいけないような、とんでもない話がいくつも載っています。それはまた別の機会にぶった斬ることにしましょう。


話を戻しまして、まとめます。いろいろ文句も言いましたけど、ではどうしたら良いかという話です。

地下街に限らず、世に溢れている防災に関する「トリビア」のほとんど全部は、いわゆるハードウェアの問題なのです。ここでは、地下街の設計や、トイレの構造強度の問題でした。もちろんそれも知っておいた方が良いでしょう。しかし、世の中の多くの「防災マニュアル」は、そこで終わってしまい、ハードウェアの特徴を知っていれば、まるで「生き残る力」がアップするかのような錯覚を生んでいます。

しかし地震に限らず、大災害時はマニュアル通りに事は運んでくれないでしょうし、刻一刻と状況が変わります。その中で「生き残る」ために必要なことは、ハードウェアの特徴を生かすための、ソフトウェアなのです。地下街のケースでは、構造強度は高いものの、パニックが起きる確率が高いという特徴を踏まえて、それをいかに避けるかという行動面の知識と心構えこそが、運命を左右します。

そこには、わかりやすい「トリビア」など存在しません。いつも自分の目で見て、自分の頭で考え、自分の身体を動かさなければなりません。その行動を補完するものとして、「防災グッズ」があるのです。「防災グッズ」と「トリビア」だけで生き残れるつもりになっている人は、実際の災害に直面したとき、自分ができることはあまり無いということに気付くでしょう。それでは、手遅れなのです。

ちょっとまとまりが無くなってしまいましたが、地下街編は、これで終了します。

【おわり】


■当記事は、カテゴリ【災害シミュレーション】です。

2012年5月 1日 (火)

【シミュレーション解説編】地震・地下街【2】

【1】から続きます。

今回は、地下街の防災に関する「トリビア」や「机上の空論」をバッサリと斬る…のは確かなのですが、実は管理人が書いた前回記事の中に、とんでもない「机上の空論」が含まれているのです。お気づきでしょうか。

それは「地下街で大地震に遭ったら、まず通路の壁際に寄ってパニックを避けろ」という部分です。もちろんこれは間違いではありません。でも、地下街を思い出して見てください。「壁なんか無い」のです。

普通、通路の両側は店舗がびっしりと並んでいます。通路に開いた店では、商品がばら撒かれるでしょう。飲食店などは壁がありますが、そこには大抵ガラスが入っていて、それが割れて撒き散らされる可能性がとても高い。さらに床から天井まであるような大きなショーウインドーなど、分厚いガラス壁が一気に崩れ落ちることもあるでしょう。そこに近づくことで、重大なダメージを受けてしまうこともあるのです。

どこでも頑丈な壁に身を寄せられるのは、地下駅のコンコースくらいなものです。地下の商業エリアにおいては、人々のパニックを避けられる場所は、ごく限られた部分しかありません。

ではどうするか。結論を先に言えば、ケースバイケースです。ほんの数秒の間に周りを見て、一番安全な場所を判断しなければなりません。まずは絶対に、大きなガラスから離れること。とにかくショーウインドーなどの厚いガラスは恐ろしい。そんなガラスは内装の構造にほぼ固定されている状態ですから、内装が大きくゆがむと、破裂するように割れて崩れ落ちるのです。まるでカミソリのような断面を持つ、数百グラムというような破片がばら撒かれます。それに当たれば一撃で致命傷になるでしょう。

飲食店などからは、店内の客が逃げ出して来るでしょうから、出入り口付近は衝突の危険があります。そして大抵、大きな窓ガラスがあります。では一体どこで、パニックを避けるために踏みとどまったら良いのでしょうか。正直言って、ここなら絶対大丈夫という場所はありません。ならば、あとは可能性の問題です。

そこで管理人が出した結論は、頑丈な壁が近くになかったら、「店に飛び込め」ということです。通路に向かってオープンになっている、なるべく重量物の無い雑貨や服飾類の店舗に、商品の落下や転倒は覚悟の上で飛び込むのです。頭を守りながらなのは、言うまでもありません。アクセサリーや時計類の店など、商品は小さいものの、ガラスショーケース、ガラスの棚板や壁面に大きな鏡があったりする店は、危険です。

とにかく、ガラスが少なく、軽そうな物を売っている商店に入ってしまうのが、最も安全性が高いと考えられます。その場合の大きなメリットとして、「場慣れした店員がいる」ということです。地下店舗の店員ですから、避難誘導訓練を受けているるでしょうし、避難経路も良く知っています。何よりその場で普段から小さな地震を体験したりしていて、比較的冷静さを保っている可能性も高いでしょう。それに、地下店舗には強力なライトなど非常用品も用意してあるはずです。その場でパニックの群集をやりすごし、またはそれが発生していないことを確かめてから、その場にいる人たちと協力し合いながら、避難行動を始めるのが最も望ましい手段では無いかと、管理人は結論づけました。

もちろん、この方法は「その時どこにいるか」に大きく左右されます。飲食街のど真ん中かもしれませんし、ショーウインドーだらけの場所かもしれません。でも、そこで少しでも安全性を高めることができる方法はひとつです。それはどの記事でも何度も繰り返しているように、常に「今大きな地震が来たらどうするか」という視点で周囲を見て、最も安全性が高い場所を探し、行動をシミュレーションしておくのです。これは、習慣になれば全く苦も無く、無意識に行えるようになるはずですし、自分の中に多くのパターンが蓄積されれば、似た場所で瞬時に応用ができるようになるでしょう。まずは普段から意識して、「防災の目」で周囲を見ることです。そして、緊急避難時に最も必要な視界を確保するために、常にLEDライトを「すぐ取り出せる場所」に持っていることです。

人は、「がんの確率がニ倍になる」とか言われると結構ビビるものですが、この二つの手段を持つだけで、あなたの「生き残る」確率は、何十倍にもなるはずです。正確に数値化できないのであまり説得力がありませんが、避けられるリスクを考えると、あなたは徒手空拳の人より、はるかに「強い」のは間違いありません。

長くなりましたので、後は次回に続きます。今回は、自分で「机上の空論」を提示して自分でそれを潰すという、ちょっとあざとい記事になってしまいました。すいません。次回は、巷で言われる地下街のトリビアを、今度こそぶった斬ります。


■当記事は、カテゴリ【災害シミュレーション】です。

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