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2012年5月30日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【19】☆旅行編

■旅行で生き残れ(その4)

今回は、山あいの温泉旅館に泊まることにします。山深い場所ならば、一般的には強い地震をあまり警戒しなくても良いような気もしますし、事実ほとんどの場合はそうでしょう。

しかし場所によっては、例えば東日本大震災本震の翌日未明に震度6強に見舞われた長野県栄村、震災後に小~中規模の地震が頻発した岐阜県飛騨地方の山中や、2008年の岩手・宮城内陸地震で大崩落した栗駒山系のように、山間部でも「地震の巣」の上に立地している場所もあるのです。

山間部での地震は、震源深さ10km程度の内陸直下型地震であることが多く、振動周期1~2秒の、建物に対する破壊力が比較的大きな揺れが発生することが考えられます。また、さらに短い周期の揺れになると、建物には大きな破壊力は及ぼしませんが、山崩れを誘発しやすくなります。後者の典型例が岩手・宮城内陸地震であり、下画像は地震によって大崩落した栗駒山系です。この地震では、周期0.2秒程度の非常に短周期の揺れが発生したとのことです。
Photo

山あいの温泉街では、谷間の狭い場所に建物が建っていることが多いものです。背後には高い山や崖がそびえ目の前は川という、防災的な目からはかなり厳しい立地であることを、まず認識しなければなりません。しかし、昔から崖崩れや氾濫が頻発するような場所には、基本的には街はできていないはずですので、その点からは比較的安全度が高いとも言えます。

ただ、最近の気候変動の影響により、過去には滅多に無かった豪雨が頻発しているようなこともあり、過去何百年も大災害が無かったからこれからも無い、という発想はするべきではありません。地震が無くとも、気象災害に遭う可能性は確実に高まっています。

そして、ひなびた「秘湯」ほど険しい山中で、建物も築数十年というようなものも多く、温泉地としての魅力の高さが、そのまま防災上の弱点になっているという事実も認識しなければなりません。こんな事を書くと温泉地の方に怒られそうですが、事実は事実として目を逸らさず、それに見合った意識と対策をしなければならないということです。そこにある危険を正しく認識しているだけで、いざという時の行動に雲泥の差が出るのです。

では、山あいの温泉街で考えられる危険とは、どんなことでしょうか。地震そのものによる建物の崩壊や火災は、ここでは敢えて除外しましょう。これは温泉街でなくてもどこでも共通であり、その対策は今までにも述べて来たからです。

そのような場所での最も大きな危険は、山崩れや地滑りです。地震や豪雨、あるいはそれらの相乗効果によって、かつて崩れた事のない山が突然崩れるということが、実際に多発しています。降雪地では、雪崩の危険もあります。そしてもうひとつは、山崩れが川をせき止め、それが一気に決壊することによる土石流です。これらが、突出した危険と言えます。

ではまず、宿に入る前に何をすべきでしょうか。大抵の場合は、周囲の景色をぐるりと見回すでしょう。そこで景色を楽しみながら、ちょっとだけ「防災の目」を加えるのです。宿の建物に覆い被さるような崖は無いか、近くに急な斜面は無いか、斜面を流れ下る沢筋は無いか。小さな沢でも、山崩れによる土石流を発生させることもあるのです。

近くの崖などに大規模な土留め壁、落石防止フェンスやネットがあったら要注意です。それがあるから安心なのではなく、その崖は崩れやすいからこそ、対策がしてあるからです。もちろん、多少の崩落は受け止めてくれるでしょうが、大きな地震が来たり「想定外」の崩落が起きたら、どうなるかわかりません。まずは、建物の周囲のそのような危険を把握します。

宿の部屋に向かう途中では、例によって非常口や避難ルートを必ず複数確認します。そして部屋に入ったら、まず窓を開けて周囲を見ましょう。目の前に崩れる可能性のある急斜面は無いか。つまり、そこが崩れた場合、部屋を土砂が直撃する可能性があるか。さらに、そこから地上へ脱出は可能かということをチェックします。

仲居さんが来たら、避難ルートについても必ず確認します。谷間の狭い場所に建っている温泉宿は、地形に沿った複雑な構造になっていることも少なくありません。さらに後ろは山、前は川と、脱出方向が局限されることも多いものです。そのようにまず情報を得てから、そのルートをいちど実際に歩いて見ることを、強くお勧めします。そこは子供の頃に良くやった「探検」気分で楽しみながら。結構、意外な楽しい発見があったりするものです。

さて、まずは必要な防災情報が集まりました。次回は、実際の災害を例に取りながら、いざという時の行動を考えます。

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