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2012年5月17日 (木)

【緊急特集】ホテルで生き残れ!【5】

【4】から続きます。

今回は、大地震から生き残ったふたりに、火災の危機が襲いかかります。

まず、火災におけるラブホテルの「メリット」から。普通のホテルでは、ドアの密閉性がそれほど高く無く、ドアの下に隙間が開いていることもありますから、まずそこからの煙の侵入を防ぐ必要があります。そのためには、バスタオルやシーツを十分に濡らし、ドアの隙間に詰めます。濡らすことで耐熱性と密閉性が高まり、有毒物質を効果的に吸着するからです。

一方、ラブホテルは主に防音性を高めるために、一般に隙間の無い頑丈なドアになっていますから、すぐに煙が入って来ることは無いでしょう。多少は、時間を稼ぐことができます。しかしそれは、ドアを開けなければ廊下の状況がわからないというというデメリットもあるのですが。

部屋の中は停電していて、真っ暗です。もし停電していなければ、すぐに空調や換気扇を止めて、煙の侵入を防がなければなりません。もちろん、すぐに窓を開けてはいけません。もし火がすぐ近くにまで迫っていたら、酸素を供給することによって、火勢を増すことになります。

まずは手早く、管理人の感覚では1分以内で、最低限の身支度を整えます。その場合に絶対に必要なのが、照明です。当ブログでは、常に小型LEDライトを持ち歩くことをお勧めしていますが、それが無いなら、部屋に入った時に、備え付けの懐中電灯の場所を把握していなければなりません。その行動ひとつの有無が、生死を分けることも十分に考えられます。メガネ使用者は、ホテルに限らず、就寝時にはすぐに手に取れる位置に置いておくことです。もちろん、ライトも一緒に。

なお、火災の中を脱出する際には、化学繊維の衣服を着ていてはいけません。溶けて高温のまま肌に貼り付き、重篤なやけどを引き起こします。特にストッキングやタイツは危険です。既に身につけていたら、必ず脱いでから脱出します。服がすべて化学繊維だったら、むしろホテル備え付けの「綿の」ガウンや浴衣、バスタオルで身体を覆うべきです。熱に強い衣服は、綿、毛、革など天然素材のものです。その場合でも、バスタオルやシーツを十分に水で濡らして、頭からかぶることで、熱をかなり遮断できます。

脱出準備が整いました。次は「状況の確認」です。脱出のために、どのような方法があるのかを探るのです。まず、一旦ドアを開けなければなりません。その際に必ずやるべきなのは、まず「ドアノブに手の甲で触れる」ことです。これは、火災下でドアを開ける際には、すべての場合で必ずやるべきです。

もし、ドアノブが触れないほど熱くなっていたら、絶対にドアを開けてはいけません。その場合、ドアの外は既に火が回っているか、熱く濃密な煙が充満していて、そこからの脱出は不可能だからです。手の甲で触るのは、手のひらにやけどをすると、その後の行動に大きな支障があるからです。

そこでドアを開けてしまうと、炎や濃密な煙が一気に部屋に入って来るか、条件によっては「バックドラフト」が発生します。これは酸素が少ない環境で不完全燃焼していた火に、酸素が一気に供給されることによる爆発的燃焼で、猛烈な炎が爆風と共に吹き込んで来ます。それを受けたら、生き残れる可能性はほとんどありません。最低でも全身大やけどです。仮に直撃を受けなくても、部屋の中は一瞬で猛火に包まれます。

ですからドアノブが触れないほど熱かったら、廊下に出る選択肢は無くなります。部屋の窓から脱出するか、救助が来るまで持ちこたえなければなりません。しかしここでは大地震の直後であり、すぐに消防が駆けつける可能性はありません。そこで、部屋に備え付けの脱出用具を使うことになりますが、まず避難器具が備えられているか、そして、準備ができるまで持ちこたえられるかという部分で、新しいホテルを選んだかどうかの差が出ます。避難器具はともかく、防火性能の高い建物は、延焼に要する時間も長く、有毒ガスの発生も比較的少ないからです。

さて、ドアノブは熱くなかったので、ドアを少し開けて廊下を見ると、天井近くに濃い煙が充満して見通しが効かないものの、床付近はまだほとんど煙がありません。熱せられた煙は、空気よりも軽いからです。そしてここでも、事前の行動の有無が、大きな差をもたらします。

これは設備上の問題でもありますが、非常口を示す緑色のサインは、ほとんどの場合「天井近く」についています。つまり、天井近くに煙が充満しただけで、見えなくなってしまうのです。しかも、忘れないでください。館内は停電していて、真っ暗闇なのです。ライトで照らしても、煙を通して見ることはほとんど不可能です。

ドアからどちらの方向に、どれくらいの距離で非常口があるか。それを入室前に確認しているかいないか。それがかなり高い確率で、生死を分けることになります。なお、火災による「焼死」の大半は、まず煙に含まれる一酸化炭素をはじめとする有毒ガスを吸って、行動不能になるからです。出口の方向と距離がわかっていれば、息を止めてでも駆け抜けられたかもしれないのに、迷っているうちに煙に巻かれ、有毒ガスを吸ってしまって倒れるケースが、ビル火災では非常に多いのです。

最近のの建物や地下街などでは、非常口の方向を示すサインが壁の下部や床面に埋め込んであるものも増えていますが、これは煙による視界不良対策であり、少なくとも火災の場合には、そのような構造でないと役に立たない事が多いということも、覚えておくべきでしょう。

次回は、煙が立ちこめる廊下を通って脱出します。


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