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2012年5月 1日 (火)

【シミュレーション解説編】地震・地下街【2】

【1】から続きます。

今回は、地下街の防災に関する「トリビア」や「机上の空論」をバッサリと斬る…のは確かなのですが、実は管理人が書いた前回記事の中に、とんでもない「机上の空論」が含まれているのです。お気づきでしょうか。

それは「地下街で大地震に遭ったら、まず通路の壁際に寄ってパニックを避けろ」という部分です。もちろんこれは間違いではありません。でも、地下街を思い出して見てください。「壁なんか無い」のです。

普通、通路の両側は店舗がびっしりと並んでいます。通路に開いた店では、商品がばら撒かれるでしょう。飲食店などは壁がありますが、そこには大抵ガラスが入っていて、それが割れて撒き散らされる可能性がとても高い。さらに床から天井まであるような大きなショーウインドーなど、分厚いガラス壁が一気に崩れ落ちることもあるでしょう。そこに近づくことで、重大なダメージを受けてしまうこともあるのです。

どこでも頑丈な壁に身を寄せられるのは、地下駅のコンコースくらいなものです。地下の商業エリアにおいては、人々のパニックを避けられる場所は、ごく限られた部分しかありません。

ではどうするか。結論を先に言えば、ケースバイケースです。ほんの数秒の間に周りを見て、一番安全な場所を判断しなければなりません。まずは絶対に、大きなガラスから離れること。とにかくショーウインドーなどの厚いガラスは恐ろしい。そんなガラスは内装の構造にほぼ固定されている状態ですから、内装が大きくゆがむと、破裂するように割れて崩れ落ちるのです。まるでカミソリのような断面を持つ、数百グラムというような破片がばら撒かれます。それに当たれば一撃で致命傷になるでしょう。

飲食店などからは、店内の客が逃げ出して来るでしょうから、出入り口付近は衝突の危険があります。そして大抵、大きな窓ガラスがあります。では一体どこで、パニックを避けるために踏みとどまったら良いのでしょうか。正直言って、ここなら絶対大丈夫という場所はありません。ならば、あとは可能性の問題です。

そこで管理人が出した結論は、頑丈な壁が近くになかったら、「店に飛び込め」ということです。通路に向かってオープンになっている、なるべく重量物の無い雑貨や服飾類の店舗に、商品の落下や転倒は覚悟の上で飛び込むのです。頭を守りながらなのは、言うまでもありません。アクセサリーや時計類の店など、商品は小さいものの、ガラスショーケース、ガラスの棚板や壁面に大きな鏡があったりする店は、危険です。

とにかく、ガラスが少なく、軽そうな物を売っている商店に入ってしまうのが、最も安全性が高いと考えられます。その場合の大きなメリットとして、「場慣れした店員がいる」ということです。地下店舗の店員ですから、避難誘導訓練を受けているるでしょうし、避難経路も良く知っています。何よりその場で普段から小さな地震を体験したりしていて、比較的冷静さを保っている可能性も高いでしょう。それに、地下店舗には強力なライトなど非常用品も用意してあるはずです。その場でパニックの群集をやりすごし、またはそれが発生していないことを確かめてから、その場にいる人たちと協力し合いながら、避難行動を始めるのが最も望ましい手段では無いかと、管理人は結論づけました。

もちろん、この方法は「その時どこにいるか」に大きく左右されます。飲食街のど真ん中かもしれませんし、ショーウインドーだらけの場所かもしれません。でも、そこで少しでも安全性を高めることができる方法はひとつです。それはどの記事でも何度も繰り返しているように、常に「今大きな地震が来たらどうするか」という視点で周囲を見て、最も安全性が高い場所を探し、行動をシミュレーションしておくのです。これは、習慣になれば全く苦も無く、無意識に行えるようになるはずですし、自分の中に多くのパターンが蓄積されれば、似た場所で瞬時に応用ができるようになるでしょう。まずは普段から意識して、「防災の目」で周囲を見ることです。そして、緊急避難時に最も必要な視界を確保するために、常にLEDライトを「すぐ取り出せる場所」に持っていることです。

人は、「がんの確率がニ倍になる」とか言われると結構ビビるものですが、この二つの手段を持つだけで、あなたの「生き残る」確率は、何十倍にもなるはずです。正確に数値化できないのであまり説得力がありませんが、避けられるリスクを考えると、あなたは徒手空拳の人より、はるかに「強い」のは間違いありません。

長くなりましたので、後は次回に続きます。今回は、自分で「机上の空論」を提示して自分でそれを潰すという、ちょっとあざとい記事になってしまいました。すいません。次回は、巷で言われる地下街のトリビアを、今度こそぶった斬ります。


■当記事は、カテゴリ【災害シミュレーション】です。

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