首都圏直下型地震を生き残れ!【15】☆デート編
しばらく緊急特集が続きましたが、レギュラーシリーズへの、久々の復帰です。前の記事を忘れてしまわれた方も多いと思いますので、一応リンクを貼っておきます。
こちらからどうぞ。
掲載は5月2日です。
さて、前回は繁華街のデートで、レストランに入りました。これから、席に案内されます。でも、まだ「防災の目」を閉じる訳には行きません。
普通、案内される席は窓際が優先されるでしょう。大抵の人は眺めが良い席を望むでしょうし、それは管理人とて同じです。でも、忘れてはいけないことは、ガラスは割れたら凶器だということです。大きな窓ガラスが激しい揺れで割れて飛び散ったら、近くにいる人は非常に危険な状態になります。地震でなくても、万一近くで爆発があったりしたら、その危険は言うまでもありません。
もちろん、これは窓際に案内されたら拒否しろということでははく、そのリスクを考えた上で席を決めるべきだということです。もちろんそれにはその場所の条件も影響します。例えば、高層ビル上層階のレストランならば、地震ですぐにガラスが割れる危険も、爆発による影響も非常に限定的になりますから、それほど気にすることは無いでしょう。
でも、「ここはちょっとイヤな感じだな」とでも感じたら、別の席を頼むのもひとつの方法です。その方が安心して食事を楽しめるなら、そうすべきです。それは自分はもちろん、同席者を思いやる行動でもあります。ただ、席を変える理由をきちんと説明しないと、いらぬ誤解を招くこともありますからご注意を(笑)
席へ案内される途中でも、店の中の配置をさりげなくチェックします。避難が必要になった時に行くべき通路はどこか、自分の席から、その通路に出るのはどちらの方向か、表のドア以外に非常口はあるか、ということです。あの、緑色のサインを探すのです。
もし非常口のサインが見つからなかったら、席についた時に店員に聞いてみましょう。すぐに答えられるかどうかで、その店の防災に対する意識や教育状態もわかると言うものです。非常口があってもなくても、すぐに答えられないような店では、少なくとも非常時の店員による避難誘導は期待できないということです。もし何かあったら、自分で状況判断をして対処しなければなりません。
ここでは、壁際の席に案内されたとします。男目線で言えば、一般には女性は奥の、つまり壁際の席を勧めるでしょう。そこでもチェック。壁に、大きな絵画の額などがかかっていませんか?ちょっと大きめの地震でも、落下する可能性が大です。木製のパネルくらいならともかく、頑丈な額は、凶器になり得ます。さらに、周囲に倒れかかりそうなもの、例えばついたて、観葉植物、置物などはありませんか?テーブルの上には、落ちたら危険なシャンデリアなどの照明、空調設備、装飾物などはありませんか?この「上」は、意外と盲点になりやすいので、特に意識してください。
テーブルは、大地震の際に身を守る、最初のシェルターになります。ふたりがもぐり込める大きさはありますか?もしそれほど大きく無いなら、代わりに何を使いますか?テーブルの足は、4本?それとも中央に1本?最短時間で自分と同席者がもぐり込むためには、どのような行動が必要ですか?最初に同席者を押し込むみますか?自分が入ってから引っ張り込みますか?
そのような視点で周囲を見て、「その時」の行動をイメージしておくのです。言うまでも無く、防災的に条件の悪い店へ行くなということでは無く(そういう選択肢もありますが)、その場所の条件をよく見て、条件が悪いなら悪いで、それに見合った行動を事前にイメージしておくべきだ、ということなのです。その備えが、危機に陥った時に「命の1秒」を稼ぎ出すことにつながります。
とりあえずこのようなチェックをした上で、ゆっくりと食事を楽しんでください。でも、こんな細々と考えながらデートなんかできないよ、なんて思われる方も多いでしょうね。
災害後に良く聞くセリフに、「こんな事になるとは思ってもいなかった」というものがあります。これは、災害報道の定番として、メディアが「積極的に」ピックアップして流すせいもあるのですが、そんな人が多いのも確かです。でも、「こんな事になると思っていたけど、本当に起きてしまった」という人も、実はたくさんいます。手前味噌ながら管理人も、少なくとも自然災害で何が起きても驚きません。でも、それにすべて対処できるわけではありませんから、怖れています。
これが自然災害ではなく、最近多発する歩行者に車が突っ込む事故ならば、だれもがその恐怖をかなりリアルにイメージできるでしょう。登下校の列についている父兄は、以前より経路の危険箇所を気に留め、周囲への目配りを多くするようになったと思います。また、こんなこともあります。自転車の車道走行が徹底されてからは、自転車で歩道から車道へ出る時に、後方確認をする人が大半になりました。それまで、特に若い人は後方確認無しで車道に飛び出したり、駐車車輌をよけてセンターライン寄りに出る人が、とても多かったのです。でも車道を走ることが増えて、車との衝突をよりリアルにイメージするようになったからこそ、後方確認をしなければ怖くなったからではないでしょうか。そのようなことこそが、「防災の本質」なのです。その最大の目的は、危険をできるだけ事前に回避することであり、起きてからの対処など二の次のことです。
それは相手が自然災害でも、なんら変わりません。防災とは、起きてほしくないことを、いかに起きないようにするか。もし起きてしまったら、その被害をいかに少なくするか。そのためには、どんな技術、装備や行動が必要か。そしてその思考と行動を、いかにして日常の生活の中に無理なく組み込んで行くか、ということなのです。
ところで、ここで述べた多くの対処方法も、やはり「覚えきれない」とお感じの方も多いでしょう。しかし、何もここでひとつひとつ覚える必要はありません。これは「慣れ」です。普段の生活で常に「防災の目」で周囲を見ていれば、デートしながら「片目でパートナーの顔を見ながら、もう片目で周囲をチェックする」(もちろん比喩的表現です)こともできるようになるでしょうし、周囲の多くの危険要素を「ぱっと見」で見抜けるようにもなるでしょう。
まず、普段の生活の中で少しずつでも、「防災の目」を意識することを始めてください。それがあなたと、あなたの大切な人の命を救う可能性を高める、最も効果的な方法なのです。
【おわり】
この「デート編」は、当初は続いて「お泊まりの防災」をお送りする予定でしたが、広島県福山市でのホテル火災の発生を受け、その内容を火災避難方法と併せて緊急特集としてお送りしましたので、今回で終了します。
次回からは新テーマでお送りします。
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