首都圏直下型地震を生き残れ!【17】☆旅行編
■旅行で生き残れ(その2)
今回は、旅行に持参する防災グッズについて考えます。でも、管理人がいつも主張している通り、グッズを揃えればそれで良し、ではありません。一緒に「考え方」と「行動」が伴わなければ、宝の持ち腐れにもなりかねませんから、皆様もご自分の立場や状況を想定しながら、一緒にお考えになってください。
旅行中は、移動中に災害に遭う確率が非常に高まります。もちろん自然災害だけでなく、交通事故などの可能性もあります。その第一撃で負傷してしまったらともかく、なんとか無事だった場合に、何が必要になるでしょうか。
まず、過去の実例を見てみましょう。記憶に新しいのは、群馬県で発生した高速バス事故です。あの場にあなたがいて、無事だったとしたら、何が必要だったでしょうか。
2011年5月には北海道で、トンネル内での特急列車火災事故がありました。その際には、何が必要だったでしょうか。
東日本大震災では、多くの列車が津波に呑まれましたが、乗客の多くは事前に脱出に成功しました。そこで必要になったものは?
台風や豪雨の際には、土砂崩れや洪水などで、交通機関が立ち往生することは良くあります。雪国では、吹雪や豪雪でも起こります。救援が来るまで、どうやって持ちこたえますか?
航空機の事故は致命的な結果になりやすいのですが、不時着や機体火災などで脱出しなければならなくなったら、何があれば生き残れる可能性を高められるでしょうか?
これらすべての状況で役立つ防災グッズとして、管理人が考えるのは3つ。それらを、預け入れ荷物などではなく、あくまで「手元に」持っている必要があります。そしてそれらのグッズが確保する要素は、視界、防水・防寒、呼吸ですと言えば、当ブログの読者の方なら、「ああ、あれか」とおわかりになるでしょう。何も特別なものではありません。では、起こりうる状況を見て行きましょう。
乗っていた高速バスが事故を起こしたり、火災が発生したとします。その場合、すぐに車外に脱出し、ガードレールの外に出なければなりません。後続車の追突の危険が非常に大きく、仮にそれが可能であっても、決して車内に留まってはいけません。これはもちろん、自家用車で事故に遭遇した場合も同じです。その場合、周囲が暗闇だったり、雨や雪が降っていたとしたら。
暗闇の山中やトンネルの中で列車が火災を起こし、煙の中を脱出しなければならないとしたら。鉄道トンネルには照明はほとんどありませんし、線路の路盤は、砂利や枕木、線路を留める金具類があって非常に歩きづらい上に、線路脇には様々な設備があります。
豪雨でバスや列車が止まり、土砂崩れなどの危険から逃れるために、車外に避難しなければならないとしたら。東日本大震災では、雪が降る寒さの中、津波避難のために、これに似た状況が多発しました。
飛行機が不時着して火災を起こし、暗闇と猛煙の中を機外へ脱出しなければならないとしたら。航空燃料の火災は短時間で延焼し、以前よりはかなり改善されましたが、機体設備の燃焼により、有毒ガス発生の危険も大きいのです。秒単位で生存の可能性が減っていく、最も厳しい状況です。これらの状況に置かれた時、視界、防水・防寒、呼吸の確保が非常に重要というより、生死を分ける要素になることはおわかりいただけるでしょう。
まず、視界の確保のために必要なのが、ライトです。普段、管理人は「25ルーメン(照度単位)以上」のLEDライトを常時携帯すべきだと常に言っていますが、このようなケースでは、さらに照度の大きなものが欲しくなります。特に暗闇のトンネルや山の中を速やかに進もうとすれば、25ルーメンでは心許ないのです。
こんな状況で管理人のお勧めは、80ルーメンクラスのLEDライトです。単3電池2本仕様のものになります。そのクラスなら、足元は昼間のように見えますし、50m以上先まで楽に見通すことができます。下画像は管理人が旅行やアウトドアに持参する、80ルーメンのLEDライトです。キャンプなどでも大活躍します。もちろん、航空機の機内にも問題無く持ち込めます。
ちなみに、2011年5月のトンネル内列車火災事故では、脱出の際に誰もライトを持っておらず、自分の手元も見えない暗闇の中で、携帯電話の液晶画面の明かりが頼りだったそうです。もし、もっと煙がひどかったりしたら、大惨事になっていたかもしれません。このような脱出の場合は、煙が流れる方向の逆へ行かなければなりませんが、携帯電話の明かりでは、それさえも良くわからなかったでしょう。災害からの緊急避難では、行動を決める情報の収集とスピードが何より重要なのです。そのために、いかなる状況でも周囲を確認できる十分な照明があること、管理人はこれをもっとも重視します。
次に、防水・防寒です。移動中に事故が起きたら、豪雨だろうが吹雪だろうが、否応無く乗り物の外に出なければなりません。その際にできるだけ服や身体を濡らさず、さらに風を防いで体温を維持するための装備が、絶対に必要です。そのために一番手軽な装備が、100円ショップのビニールポンチョやカッパです。管理人は、短時間で着用しやすく、リュックやショルダーバッグの上からもかぶれるポンチョタイプをお勧めします。もちろん、より高性能の雨具があればそれにこした事はないのですが、ここでは携帯性を重視します。100円ショップものは、素材があまり厚くない分、畳むと一番コンパクトになります。
上画像はポンチョでなくカッパですが、管理人の収納方法です。フリーザーバッグに入れて空気を抜けばぐっとコンパクトになりますし、使用後に塗れた状態での再収納も楽です。
アウトドアでは、とにかく服や身体を濡らさず、風を防いで体温を維持することが非常に重要です。冬場は言うまでも無く、夏場でもずぶ濡れになってしまっては風邪をひいたり体調を崩しやすくなりますし、大災害時にはろくに治療も受けられませんから、生命に関わる状況にもなり得ます。決して甘く見てはいけないのです。
しかし、どうも世間一般の「防災マニュアル」では、この防水・防寒という概念と装備が軽視されがちです。「防災のプロ」とかを名乗る輩でも、防水・防寒のことを何も考慮していないアドバイスをする者も少なくありません。東日本大震災では、低体温症による犠牲者が多数出ているというのに、その教訓はあまり生かされていないのです。「その時」になって後悔しないために、情報の質は自分自身で吟味しなければなりません。他人任せでも、机上の空論でも、生き残ることは出来ないのです。
長くなりましたので、以降は次回へ続きます。
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