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2012年5月 2日 (水)

【シミュレーション解説編】地震・地下街【3】

【2】から続きます。

さて今回は、地下街に関する「トリビア」と「机上の空論」をやっつけます。実は地下街の話には、典型的な例があるのです。

まず、皆様は地下街の防災に関するトリビア、どんなものを聞いたことがありますか?聞いて一番「へぇー」と思ったのはなんですか?

これじゃないかと思うんです。「地下街には、必ず最長60mごとに非常口がある」。その通りです。これは建築基準法で定められていますから、全国共通です。もちろんそれは知っておいた方が良いトリビアではあります。でも、その後にこんなのが続きませんでしたか?「だから、暗闇でも壁を伝って行けば、必ず60m以内に出口に着く」と。これぞ机上の空論。

前回記事を思い出してください。そして皆さんの知っている地下街を思い出してください。暗闇で伝わって行ける壁などあるのですか?通路の両側はずっと店舗があるのです。そして今は大地震の直後なのです。散乱した商品、壊れた内装、割れたガラスがあり、壁際で待機する(または動けない)人たちがいます。ある程度視界が効く非常灯がつけば壁際を行く必要はありませんが、自前のライトを持たずに、暗闇で安全に壁伝いに進むことは、ほとんど不可能なのです。でも十分な照度のライト一本あれば、解決できる問題でもあります。

ところで、地下一階からでも、非常口を出ればすぐ「地上」に出られるとは限らないのです。おわかりでしょうか。つまり、多くの非常口、つまり階段は、地上の建物の中に繋がっているじゃありませんか。

もし地上の建物が崩壊していたり、出口が通り抜けれられないくらい破壊されていたら。地上一階に上がれても、そこに火災などの危険があったら。しかも曜日や時間帯によっては、階段が閉鎖されてることもありますよね。その場合はどうするか。もちろん、戻れば良いのです。ただし、平常時ならば。

あなたの後ろから群集が駆け上がって来るような状況の場合、そこから戻るのは非常に困難です。後ろからは、一刻も早く地上に出たい、しかし先の状況がわからないパニック状態の群集が、遮二無二前進してくるのです。
その中を逆行しようとすれば、どうなるか。シミュレーションストーリー本編のような状況が起きるでしょう。その中から安全に、素早く戻ることはあまりに困難です。その間に、地下街での火災、もしくは津波による浸水の危険が、刻一刻と迫っているかもしれません。


そのような状況に関連する「トリビア」で、こんなのを見たことは無いでしょうか。「地下街のトイレは壁が多くて構造的に頑丈なので、大地震が来たらトイレに逃げ込め」と。これなどほとんど怒りを感じるレベルの机上の空論です。トイレに逃げ込もうとするのは、あなたひとりなのですか?一旦狭いトイレに入ってしまい、後からどんどん「安全な」トイレに人が殺到したらどうなるか。外の様子は一切わからず、出ようと思っても出られない。その間に、感知できない危険が迫って来る。

トイレの構造が頑丈だというトリビアをネタにしたいがために、なんの知見も検証も無く、出入口がひとつしかない袋小路に群集を追い込むような、思いつきの「防災アドバイス」、管理人も実際に見たことがあります。それが公的機関が発行したものだったり、「防災アドバイザー」とか名乗る輩が監修した「防災マニュアル」だったりするのですからやりきれません。「その程度」のものは、未だに山ほど出回っています。

管理人がつい最近買った、大手新聞社が刊行した「防災本」にも、実際には出来もしないし、やってはいけないような、とんでもない話がいくつも載っています。それはまた別の機会にぶった斬ることにしましょう。


話を戻しまして、まとめます。いろいろ文句も言いましたけど、ではどうしたら良いかという話です。

地下街に限らず、世に溢れている防災に関する「トリビア」のほとんど全部は、いわゆるハードウェアの問題なのです。ここでは、地下街の設計や、トイレの構造強度の問題でした。もちろんそれも知っておいた方が良いでしょう。しかし、世の中の多くの「防災マニュアル」は、そこで終わってしまい、ハードウェアの特徴を知っていれば、まるで「生き残る力」がアップするかのような錯覚を生んでいます。

しかし地震に限らず、大災害時はマニュアル通りに事は運んでくれないでしょうし、刻一刻と状況が変わります。その中で「生き残る」ために必要なことは、ハードウェアの特徴を生かすための、ソフトウェアなのです。地下街のケースでは、構造強度は高いものの、パニックが起きる確率が高いという特徴を踏まえて、それをいかに避けるかという行動面の知識と心構えこそが、運命を左右します。

そこには、わかりやすい「トリビア」など存在しません。いつも自分の目で見て、自分の頭で考え、自分の身体を動かさなければなりません。その行動を補完するものとして、「防災グッズ」があるのです。「防災グッズ」と「トリビア」だけで生き残れるつもりになっている人は、実際の災害に直面したとき、自分ができることはあまり無いということに気付くでしょう。それでは、手遅れなのです。

ちょっとまとまりが無くなってしまいましたが、地下街編は、これで終了します。

【おわり】


■当記事は、カテゴリ【災害シミュレーション】です。

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コメント

>>「防災グッズ」と「トリビア」だけで生き残れるつもりになっている人は、実際の災害に直面したとき、自分ができることはあまり無いということに気付くでしょう。

これはまさに耳の痛い話ですね。家でも職場でも、散々煽ったおかげで備品類は増えましたが、じゃあ大丈夫かというとソフトの面でまだまだです。先日も家族でショッピングモールへ買い物に行きましたが、てばさんの記事を読んだせいか子供が視界にいないと落ち着きませんでした。カミさんは「その辺にいるんじゃない?」と平気そうでしたが説教してもピンと来てないようです。
職場でも「こういう状況で地震が来たらどうします?」と問い掛けをしても、いきなり「生き残った後」の話に飛んじゃうんですよねー。これはもうてばさんのブログに誘導して心胆寒からしめるしかないですね。

話変わってランキングの件ですが、ブログ村の方の順位が低いのは、ボタンを複数併設してる以上仕方ないんではないかと思います。ブログ村の一位二位はこっちしか登録してません。二つ並んでボタンがあると、上にある方しかポチしない人も多いでしょうし、実際「人気ブログランキング」の方がポチ数も多いようです。
ある種邪道ではありますが、記事の先頭に一つ、終わりに一つ、という感じで置いておくと意外と抵抗なくポチしてもらえるみたいです。政治系のランキング断トツトップの方がそのように設定したところ、ポチ数が明らかに伸びたと以前仰ってました。
素人考えなので保証は出来ませんが、よりたくさんの方にてばさんの記事を読んでもらえれば嬉しいです。参考までに…

>tntさん

防災を考えるとき、いきなり「生き残った後」に飛ぶのが、震災前の「常識」でした。ほとんどの「専門家」が、そういう事ばかり流して来ましたから。

そして、前にちょっと書いたのですが、「正常化バイアス」という心理も働いて、本当に大切な、しかしとても悲惨な状況から思考を逸らすのです。だれも死にたくないけど、自分が死ぬとは思っていない。それではいけないという事は当然だったのですが、だれもその、ある意味で「タブー」に踏み込まず、踏み込む人は異端視されました。

震災後、やっと「まず生き残る」という発想が浸透してきましたが、今まで机上の空論しか考えていなかった「専門家」は、やはり机上の空論しか語れない。近いうちに、まとめてぶった切りますよ。ほんと「専門家」はお気楽で、マスコミは話題性優先かつ上手に責任逃れしているようなのばかりで、やりきれなくなります。

まあ、最終的には自己責任ですから、ろくでもない情報を流した人間が処罰されるわけでもなし。だからやっつけ仕事になるんでしょうね、この世界。

tntさんは、高い意識を持っておられたからこそ、グッズの備蓄を始められたのですよね。そういう方は、決して「グッズだけ」ということは無いと思いますが。かなり多いのが、「なんだか最近心配だから、非常持ち出しでも用意しておこうか」レべルの人ですよ。それに、出来合いの非常持ち出しは地震の第一撃から生き残るためには何の役にも立たないですしね。


ランキングの件、アドバイスありがとうございました。応援のお言葉も、心強いです。実は私もひとつに絞ろうと思いつつ、両方のランキングからかなり新規で訪問してくださる方も多く、とりあえずふたつ体制で行こうと思っています。

で、一応スタンスとしては、「役に立ったらクリックしてください」という感じなので、敢えて最後に置いています。そうなるとどうしても下の方が不利りなりますね。

でも、ランキングのために読む前に押してくれというのもちょっと気が引けますが、オカルトに負けないためには仕方ないですかね。ちょっと考えて見ます。

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