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2012年5月29日 (火)

首都圏直下型地震を生き残れ!【18】☆旅行編

■旅行で生き残れ(その3) 【2】から続きます。

旅行の時に携帯し、常に「手元」におくべき防災グッズの三つ目は、呼吸を確保するものです。

【2】では、まず公共交通機関で移動中に遭遇する災害や事故を想定していますが、例に挙げた過去の事例のうちでは、トンネル内の火災と航空機の不時着時に最大の効果を発揮するものです。なお、前回記事では最近の列車火災を例として挙げていますが、トンネル内では自動車火災の方がはるかに現実的な脅威です。

1979年に起きた、東名高速道路日本坂トンネル内での多重衝突を原因とする火災では、173台の車が全焼し、7人が犠牲になりましたが、そのうち2名は煙に巻かれたことによる窒息死でした。後続車の乗員は何も持ち出せずにギリギリで避難した人も多く、少し条件が違えば死傷者が激増していた可能性もありました。

最近の高速道路の長大トンネルでは、避難通路や消火・排煙設備がさらに強化されているものも多いので、火災が発生しても生き残れる可能性がかつてよりは大きくなっています。しかし言うまでも無く、それらの設備が常に最大限の効果を発揮するとは限りませんし、火災の規模が設備の能力を上回ることもあるのです。日本坂トンネルは当時最新の防災設備がありましたが、火災の規模が想定を上回ったために、ほとんど作動しなかったのです。

むしろ、高速道路ほど設備が充実していない、一般道のトンネルの方が危険度が大きいと言えるでしょう。我が国においては、過去に一般道のトンネル火災で大惨事になった事例はあまり思い浮かびませんが、だからと言って起きないとは言い切れません。事故や整備不良による車両火災は、日本中で日常的に起きています。それがトンネル内で、あなたの前方を走る車で起きるかどうか、ただそれだけの「偶然」にかかっています。

トンネル火災で最大の脅威は、もちろん煙です。ガソリンが燃える黒煙、不完全燃焼による一酸化炭素(CO)、燃える合成樹脂から発せられる様々な有毒ガスが襲いかかって来ます。それらを、場合によってはひと息吸っただけで、行動不能になることもあります。トンネル火災よりはるかに脱出距離が短いビル火災で、出口を目前にして折り重なるように倒れている犠牲者の姿が、その恐怖を物語ります。

そんな状況で必要なのが、これです。
Photo
防煙フードです。空気を入れて膨らませ、頭からかぶるプラスチックバッグです。このタイプでも5分程度は呼吸と視界を維持することができます。防煙フードには、さらに高性能で長時間の呼吸を維持できるものもありますが、ここでは携帯性と価格を重視しました。

これを持っていれば、トンネル内での脱出行動中に煙に追いつかれても、その時点で「地面に近い場所の空気を入れて」膨らませてかぶることで、慌てずに出口や非常口を目指すことができます。長大トンネル内でも、5分の余裕があれば、必ず非常口に到達することができます。なお、地面に近い場所の空気を入れるのは、煙や有毒ガスは空気より軽いので、地面近くが最も安全な空気だからです。


航空機からの緊急脱出時には、基本的には乗務員の指示に従い、自分の判断でこのようなグッズを取り出すのは避けなければなりません。しかしここで想定しているのは、不整地への不時着や低空からの墜落時のような、機体が破損して火災が発生し、乗務員の誘導もあまり期待できないような状況です。我が国では、1994年の名古屋空港での中華航空機墜落事故や、1996年の福岡空港でのガルーダ航空機離陸失敗事故がこれに当たります。全く余談ながら、管理人は中華航空機事故の時は名古屋在住で、空港のすぐ近くから炎上する機体を実際に目の当たりにしています。

そのような場合、すぐに脱出行動が可能ならばもちろんそうすべきですが、落着時の激しい衝撃で身体になんらかのダメージを負っている可能性が大きく、素早い行動は困難かもしれません。そこで煙に巻かれたら終わりです。その場合、すぐに防煙フードをかぶることができれば、仮にシートから全く動けない場合でも5分間、静止していれば実際にはそれ以上の間、命を長らえることができるのです。

空港内の事故ならば、5分以内には確実に消火や救助が始まっているはずです。あなたに火が迫るのが先か、脱出、救助が先かは、まさに神のみぞ知るというところですが、少なくとも「能動的に」命を守る方法があるのならば、それに賭けるべきです。たった100グラム程度と、500円前後の負担に過ぎないのですから。なお、防煙フードはプラスチック製ですから、火が迫っている場合は使えません。装着時に高熱に晒されると、溶けて顔に貼り付き、重いやけどを引き起こすことになりますから、その場合にはすぐに脱がなければなりません。非常に困難な状況ですが、フードが溶けたら、いずれにしろその機能を失うのです。

このような使用法を想定していますから、オーバーヘッドストウェッジ(座席上の荷物棚)に入っていては使えません。飛行機に乗る際には、LEDライトやビニールカッパ、防煙フードも含めて、最低限の身の回りのものは「手元に」置いておくべきでしょう。

以上のように、公共交通機関での移動中に想定される現実的な危険に対して、LEDライト、ビニールポンチョ(カッパ)、防煙フードの三つがあれば、非常に効果的に「生き残る」可能性を高めることができるのです。是非取り入れてみてください。


なお、このテーマ「旅行で生き残れ」は、シリーズタイトルの「首都圏直下型地震」とは全く関係無い感じですが、ここで紹介している方法やグッズは、基本的には大地震時に起こる事態への対策と共通または応用しているものです。旅行中という、ある意味で特殊な環境における災害対策について述べた、スピンオフ企画としてご覧ください。

次回は、山あいの温泉街に到着します。


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