【緊急特集・番外編】雷から生き残れ!【1】
今回は緊急特集の番外編として、雷から身を守る方法をまとめます。
茨城県つくば市などに竜巻被害が発生した5月6日、埼玉県の桶川市では、木の下で雨宿りをしていた親子が雷に打たれ、女の子が重体になっています。これは、木に落ちた雷の強烈な電流が、木を伝って地面に流れる途中で、近くにいた人体に「飛び移った」もので、「側撃雷」(そくげきらい)と呼ばれる現象です。実はこの「側撃雷」による受傷者が、我が国の雷による人的被害の中で、一番多く発生しているのです。
まずはこの「側撃雷」への対処方法です。雷が鳴って強い雨が降ってくると、近くに立木があれば、ついその下で雨宿りをしたくなります。しかしこれは、非常に危険な行為なのです。その木に落雷した場合、かなりの確率で側にいる人に「飛び移る」のです。
それを避けるためには、木の幹だけでなく、あらゆる枝や葉から「4メートル」の距離をおかなければならないと言われます。かつては「2メートル」と言われましたが、その距離だと「側撃雷」を受けた場合に、即死はしないまでも重傷となる可能性があるとのことで、「4メートル」の距離があれば、軽傷程度で済むとされています。
ということは、強い雷が発生している時は、木の下で雨宿りをすることは、事実上してはいけない、ということです。したがって、雷が発生する季節に車や建物が近くに無い、開けた屋外で活動する時には、豪雨に対応するために、カッパやポンチョなどの雨具を用意しておく必要があるということです。
もちろん、強い雷の最中に開けた場所で傘をさすなど、自殺行為にも等しい危険がありますから、絶対にやってはいけません。その理由や具体的な対処方法などを、順次解説して行きます。
まず、雷に関する迷信の否定から。昔から、雷は金属に落ちると言われることが多く、今でもそう思っている人は多いでしょう。しかしそれは完全な誤りです。雷は、その材質に全く関係無く、その場所で一番背の高いものに落ちる確率が一番高いのです。場合によっては一番高いものでないこともありますが、背が高いほど、落雷の確率が高いのは紛れもない事実です。
「金属に落ちる」という迷信は、雷撃を受けた人が身につけた、指輪、金歯、ベルトのバックルなどの金属が一瞬で激しく加熱されたり、スパークが発生したりして、その部分にやけどや衣服の焼け焦げが残ることが多いので、その部分に落雷したと誤認され、それが「雷のトリビア」として語り継がれたものと思われます。
詳しいメカニズムについてはここでは述べませんが、とにかく「雷は背の高いものに落ちる」とだけ覚えておいてください。
もうひとつ、雷の重要な性質があります。それは「落雷の電流は、物体の表面を流れる」というものです。比較的良く知られた話に、「車の中にいれば安全」というものがありますが、これは車に落雷しても、電流は車体の表面を流れ、タイヤの表面を伝って地面に抜けるからです。
このとき、車の中で金属部分を触っていたりすると、多少の感電をすることもありますが、大半の電流は車体表面から地面に抜けますので、致命傷になることは考えられません。普通にシートに座っている状態ならば、轟音がしても、自分の車に落雷したかどうかさえ気づかないでしょう。
このふたつの性質から、落雷の危険がある時は、背の高い木などに寄り添わず、車や建物の中に避難するのが安全だということが言えます。
では、それができない場合にどうするかについては、次回に続きます。
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