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2012年6月

2012年6月29日 (金)

管理人からのおしらせ

■2016/4/5追記■
当記事の記載内容の一部は、現在の状態と異なりますのでご注意ください。

現在はブログ関係専用twitterアカウントを開設しております。

生き残れ。Annex@ikinokore_annex

です。下記の管理人宛メールは変更ありません。よろしくお願いします。


いつも当ブログをご愛読いただきまして、ありがとうございます。

おかげさまで、PC、スマホからのPVが70000超、携帯電話からのPVが25000超となり、合計約95000PVをいただきました。改めまして、感謝申し上げます。

さて、先日予告した管理人宛メールですが、メーラーの設定が上手く行っておりません。しかしいつまでも引っ張る訳にも行きませんので、見切り発車いたします。

PC、スマホの方は、画面左サイドバーの一番下、プロフィールへのリンクの下に、メール用リンクを作成いたしました。携帯電話からの場合はリンクが表示されないと思いますので、下記アドレスまでお願いいたします。

smc-dpl@mbr.nifty.com

ご意見、ご感想、ご要望などを頂ければ幸いです。しかし、お返事ができなかったり、ご要望を反映させられないこともありますので、その点はご了承ください。


次に、ツイッターについて。管理人は一応ツイッターアカウントを持っておりますが、ほとんど放置状態でした。正直なところ、あの速度にはついて行けません(笑)でも、それも勿体ないので、とりあえず告知用として、記事を更新した際に記事へのリンクをツイッターにも流します。

管理人のアカウントは、「teba244」です。ブログ更新告知以外はほとんど休眠していますが、ときたま訳のわからないことを呟いたりもします(笑)よろしければ軽くフォローでもしていただき、更新通知としてご利用ください。返信をいただいても、あまりお返しできないとは思いますが、悪しからずご了承ください。

そんなわけで、今後とも『生き残れ。Annex』をよろしくお願い致します。

次の記事は「首都圏直下型地震を生き残れ【39】☆大火災編」です。

2012年6月28日 (木)

首都圏直下型地震を生き残れ!【38】☆大火災編

■大火災から生き残れ(その1)

新テーマ始めます。都市部で大地震が発生すると大火災の発生が懸念される、と言うより、確実に発生するでしょう。

最初は小さな火事でも、様々な理由で初期消火が不十分なケースが多発するでしょうし、倒壊家屋から火が出た場合は、そもそも初期消火がほとんど不可能です。

そしてそれが同時多発的に発生し、それだけで消防の対応能力を超えてしまうでしょう。さらに交通渋滞や道路障害で消防車も駆けつけられず、出場しても人命救助優先の活動になる可能性が高く、火災はかなりの数が「放置」されることになります。仮に消防車が火災現場に到着しても、断水していたら消火栓の使用もままならず、遠くから水利を確保しなければなりません。その作業の間にも、火はどんどん燃え広がって行きます。

現実的には、大地震後に発生した多くの火災は、「だれも助けに来てくれない」と考えなければなりません。実際、1995年の阪神・淡路大震災では、そのような状態になりました。

地震発生から15分後までに発生した火災が46件。その時点で、当時の神戸市消防局の同時火災対応能力である10件をはるかに超え、その後さらに増加して行きました。出場した消防車は渋滞に阻まれ、さらにその途上の家屋倒壊現場などで、人命救助の要請を数多く受けました。それも、すぐに対応し切れる数ではありません。

そのため神戸市消防局は活動方針を転換し、人命救助を最優先としました。神戸市長田区をはじめとする、燃えるに任せられた大火災の惨状は、当時を知る人にとっては未だ鮮烈な記憶です。そして、あの猛火の中に取り残された、多くの命があったのです。

神戸の場合、唯一幸運だったことがあります。下画像をご覧ください。
Photo
煙がまっすぐ立ち上っています。つまり冬の乾燥した晴天にも関わらず、風がほとんど無かったのです。もしこれが強風下だったら、比較にならないほどの大火災になっていた可能性もあります。

東日本大震災では、津波の襲来によって、地震による火災被害の実態は、ほとんど把握できていません。その一方で、宮城県気仙沼市など、津波によって火と可燃物がまき散らされ、大火災が誘発された場所もあります。下画像は、3月11日夜の気仙沼市です。敢えて、テレビからのキャプチャー画像を掲載します。
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千葉県市原市のガスタンク爆発火災は、コンビナート地帯における火災の恐怖を、強烈に印象付けました。もしあの火災がさらに巨大化していたら、津波が発生して可燃物が内陸にまき散らされたらと考えると、背筋が寒くなります。
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都市部の大地震では、地震の第一撃を生き残っても、かなり長い時間に渡って大火災の危険にさらされることになるでしょう。当ブログでは、過去に「火災を出さないため」の方法と、「火災の建物から避難する」方法を述べて来ましたが、ここからはその後、延焼する「大火災から生き残る」方法に焦点を絞って、考えて行きたいと思います。

都市部、特に都市規模が巨大な首都圏では、地震後の大火災に対する判断を誤ると、猛火の中で逃げ場を失うという、考えるだけでおぞましい状況に放り込まれる可能性が非常に高くなります。そこで生死を分けるのは、正しい知識とそれに基づいた判断、そしてすばやい行動しかありません。

次回からは、現代の首都圏大地震における火災で、何が起きるかを考えます。


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2012年6月27日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【37】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その14)

今回は、このテーマの最終回として、特に高層ビルにおける、そしてその他の多くのケースに対応できる地震対策を考えます。

まずは、強い地震の際に最大の凶器となる、アップライトピアノの対策です。数百キロの重量があるアップライトピアノの地震対策は「移動防止」と「壁への衝突防止」、この二点に集約されます。

高層ビルで予想されるような周期の長い大きな揺れの場合、ピアノのような重量物も床の上を激しく移動しようとしますから、その動きを抑えなければなりません。そのために、脚の下に移動防止機能や衝撃吸収機能のあるインシュレーターを装着することが必須です。

ピアノの移動を抑えたら、次にピアノがその場で揺れることで、背後の壁にぶつかる動きを抑える必要があります。数百キロもあるピアノが転倒する場合、揺れによって背後の壁に衝突する反作用で、揺れが増幅されるケースがほとんどだからです。背後に壁が無い場合、アップライトピアノは後ろ向きに倒れやすい重心位置になっていますので、その動きを抑える必要があります。

しかしピアノのような重量になると、ここまで述べて来たような家具用の器具や方法では、あまり効果が期待できません。もちろん、ピアノにボルト穴をあけたり、表面に何か器具を取り付けることは現実的ではありません。そんなピアノのためには、専用の器具があります。この器具の原理は、ピアノの下に敷く底板とピアノの構造部材をクランプして一体化させ、ピアノが単体で揺れる動きを抑えるものです。

ピアノをお持ちでしたら、是非ピアノ専門店や楽器店に相談して、アドバイスを受けてください。ピアノは、大地震の際には、家具以上に恐ろしい「凶器」に変わるということをお忘れなく。阪神・淡路大震災では、周期1~2秒という「短周期地震動」を中心とする震度7の揺れが発生しましたが、その中で未対策のアップライトピアノが数秒以内で転倒したり、激しく移動して壁に衝突するような例が多発したのです。


次に、家具への対策以外に、是非用意しておいていただきたいものについてです。それは、特に中高層マンションやアパートで威力を発揮します。

それが、これ。
Photo_2
当ブログでは「家に備える防災グッズ」シリーズの筆頭で採り上げた、大型バールです。家に備えるものとしては、750~900ミリ程度のサイズをお勧めします。

中高層ビルでは、大地震の大きな長い揺れや、前述の「二次モード振動」の発生により、構造にゆがみができる可能性があります。その際、マンションやアパートの頑丈なドアが変形したドア枠にかみこんで、開かなくなることが考えられます。「地震の際にはまずドアを開けろ」と言われるのは、これを防ぐためです。

しかしそれができずに、ドアが開かなくなってしまった場合、強制的に開ける器具があれば安心です。このサイズのバールをてこに使ってこじ開ければ、大抵の場合は問題無いでしょう。それがだめなら、通路側の窓を開け、窓格子を破壊して脱出することもできます。

自分や家族が脱出できたら、他の部屋の救助に使います。中に救助を要する人がいるのにドアが開かないような場合、ドアをこじ開けるのはもちろん、窓格子の破壊、ガラスの破壊、残ったガラスの除去、石膏ボードや羽目板の破壊、倒れた家具の移動や破壊、崩れた梁などが落ちるのを防ぐ支柱など、多くの用途に使えます。ですから、これは「一家に最低一本」、必ず備えておくべきものだと考えます。ホームセンターやネットショップで、安いものは一本2000円前後からあります。

なお、バールには軸が中空の軽量タイプもありますが、災害対策用としては、より強度が高い無垢鉄製のものをお勧めします。無垢鉄製の方が安価でもあります。

加えて、「家に備える防災グッズ」シリーズでお勧めした自動車用ジャッキやノコギリがあれば、さらに多くのケースに対応できるでしょう。そして、このような器具を使うケースを想定し、頑丈な革手袋やヘルメット、防護ゴーグルなどが一緒に置いてあれば、なお良いでしょう。このような備えが「生き残る」確率も、そして「生き残らせる」確率も高めるのです。

ここまで「高層ビルで生き残れ」と題して、14回に渡って様々な対策を述べて来ましたが、文中で何度も繰り返しているように、これらの対策は高層ビル専用ではありません。いかなるケースでも有効な対策の中で、高層ビルで予想される地震被害に対して特に効果的と思われるものをピックアップしたものです。ですから、高層ビルを仕事場や住居にされている方以外も、是非参考にしてみてください。

今回で、「高層ビルで生き残れ」編は終了します。次回からは新テーマ「大火災を生き残れ」編を始めます。


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☆再掲載☆高層ビル編13【首都圏直下型地震を生き残れ!36/54】

■当記事は過去記事の再掲載です。


今回は、家具の「クッション」とその他について考えます。

もう一度、前回記事に掲載した模式図を掲載します。
04
これは家具と壁の間に隙間ができる場合に、そこに「クッション」を挟むことで家具の揺れる幅を小さくすると同時に、家具と壁が衝突する衝撃を分散・吸収することで、家具が倒れる方向へ働く反発力を小さくする効果を狙ったものです。

そのために効果的なのが、下写真のようなものです。
Photo
これは、ホームセンターで販売している、ドアなどの緩衝用ゴムブロックで、画像のもの以外にも、用途に応じて様々な形状のものがあります。価格は一個数十円から、高くても200円程度のものです。商品名は「当たりブロック」や「防振ゴム」などです。「防振ゴム」の方が、比較的厚みがなくて柔らかいので、使いやすいかもしれません。

これを両面テープなどで家具の上部裏側の両サイドに貼り付け、できるだけ壁との隙間が無くなるようにします。これで家具の上部が揺れる幅を小さくして、転倒防止器具にかかる衝撃荷重を減らすことにより、器具の効果をよりアップさせると同時に、外れたり緩んだりする可能性も小さくできるのです。

これはもちろん、「突っ張り棒」や「アンカーベルト」などの転倒防止器具と併用することが前提です。ゴムブロックだけでは、多少の揺れ防止効果はあるものの、転倒防止効果があるとまでは言えません。

ところで、実はその部分に転用できる、さらに効果の大きいものもあります。それは「耐震ジェルマット」。
Sany0009
これはマットに対する垂直方向の衝撃を、水平方向へ分散することで反発力を抑えるもので、テレビやパソコン、さらには冷蔵庫の下に敷くことで揺れの衝撃を分散し、転倒を防ぐものです(家具などの重量に応じ、それぞれ専用のタイプがあります)。

衝撃分散能力は申し分ありませんが、問題は粘着力があること。家具に貼るためには良いものの、クロス貼りの壁に対しては、はがす際にクロスが破れたりすることがあります。また、ホコリを吸着してしまうので、良く見える場所に使うと美観を損ねます。

その部分の問題が無ければ、性能的に「耐震ジェルマット」の使用はお勧めです。隙間が大きい場合には、重ね貼りすればより効果的でしょう。


ここまで、特に高層ビルの長時間に渡る大きな揺れに対抗するための家具転倒防止策をいろいろ考えて来ましたが、その基本はフェイルセイフ(予防安全)の発想です。敵の力が強大ならば、それに見合った二の矢、三の矢が放てる準備をしておくということであり、これは防災に限らず、すべての危機管理に必須の考え方です。

通り一遍の、机上の空論も多い「防災マニュアル」だけを信じ込んでは、大災害を前にして為すすべを失い、呆然と立ちすくむことになるかもしれません。もちろん、災害に対して人間ができる対策は限界があります。ただ、「あの時ああしていれば」という後悔だけはゴメンです。そんな後悔ができる状態なら、まだ幸せというものですが。

さて、次回はその他の情報をまとめて、当テーマ「高層ビルで生き残れ」の最終回となります。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2012年6月23日 (土)

地震関連情報【6/21、22の宮城県内陸地震他について】

6月21日の午後、数時間の間に宮城県中部を震源とするマグニチュード2.6~3.3、震度1~2の地震が、6回連続して発生しました。

これらの地震の震源深さはすべて10kmとされており、発震機構としては下図の「2」に当たるものと思われます。
Photo_3
この地震は、東日本大震災による大規模な地殻変動の「余効変動」(図中では「余効すべり」と表記)により、陸地側プレートの東向き、つまり太平洋方向への移動速度が上がったために、内陸の浅い部分の活断層に引っ張りの力がかかっていることによる、正断層型地震と考えられます。

これは、海側のプレートの「余効変動」による「スラブ内地震」(上図中の「3」の地震)と対を成すものです。現時点でも多発している、宮城県沿岸または沖の、震源深さ40~60km程度の地震が「スラブ内地震」です。

このような内陸の浅い部分で発生する地震は、大地震後の影響として当初から予想されていたものですが、今回の震源域では、これまでそれほど目立った動きはありませんでした。過去の震源図を見ても、他の場所より多少発生が多いかな、というくらいの感じでした。

今回、そこで小規模ながら6回連続発生したことで、すぐに大規模地震に結びつくものではないと思われますが、しばらくの間はこの震源域の動きを見守る必要があります。この地震は、いわゆる「内陸直下型」となりますから、強い地震が発生した場合、震源直上付近では「ドン!」や「ドドド!」という強い突き上げを感じるはずです。それを感じたら数秒以内に強い揺れが来ますので、すぐに避難体制を取ってください。


一方、6月22日の午前5時33分と午後4時59分ごろ、三陸沖深さ10kmで、マグニチュード5.1と5.2の「アウターライズ地震」が発生しています。津波の発生はありませんが、さらに大規模(マグニチュード6台後半以上)で発生した場合、地上の揺れはあまり大きくないものの、大きな津波が発生する「津波地震」となる可能性があります。

これは上図の「1」に当たる地震で、図解の通り、海側プレートの「余効変動」によるものです。このように、東北地方の太平洋岸で起きている地震活動は、ほとんどが東日本大震災の余波として予想されているものです。そのどれかが大規模化しないという保証はありませんが、一部ネット上などで言われているような、東日本大震災本震クラスもしくはそれ以上の地震が近いうちに発生する、という可能性はほぼありません。

あくまでプレート境界型大地震後の地殻変動による誘発地震ですから、プレート間に溜まった巨大なエネルギーの放出を超えることは無いのです。しかし、それでも最大マグニチュードは8クラス(それでもマグニチュード9の約30分の一のエネルギーですが)はあり得ますし、大規模な「アウターライズ地震」は大きな津波を発生させやすいものですから、引き続き警戒をしていなければなりません。


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首都圏直下型地震を生き残れ!【35】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その12)

今回は、その他の方法について考えます。

前回記事(その11)で、家具の転倒対策の多重化について考えましたが、過去に「家の中の地震対策」シリーズなどで述べて来た通り、それぞれの器具がその性能を十分に発揮できる環境は、意外に少ないのです。そこで、できるだけ多くの環境に対処できる、最大公約数的な方法を考えてみます。そこで最も確実なのは、一番多くのケースで設置が可能である「転倒防止クサビ」を中心に、そのバックアップをするという方法です。

ここで、前回記事に掲載した模式図を再掲します。
04
この図では「転倒防止クサビ」を使っていませんが、前回は何も説明せずに、家具と壁の間に、さりげなく「クッション」を入れてあります。これは、家具が揺れて壁に衝突する衝撃を分散、吸収して、転倒する方向へ加わる反発力を弱めるためのものです。具体的な方法については後述しますが、家具と壁の間に隙間がある場合は、家具の揺れを抑制するために効果的です。

「転倒防止クサビ」を使う場合、家具は最初から壁によりかかっていますのでこの方法は使えませんが、可能であれば何らかのクッションを挟むことで、より効果がアップするわけです。

前回記事では、「転倒防止クサビ」と併用するものとして「アンカーベルト」をお勧めしたのですが、背後の壁が石膏ボードや漆喰壁で、「アンカーベルト」のボルトを植え込むための十分な強度が無い場合が多いのが現実です。

そこで、現実的に最も効果的と思われる組み合わせを考えました。それが下図です。なお、わかりやすくするために誇張して描いています。
Photo
「転倒防止クサビ」を設置した上で、その角度に合わせて「粘着式アンカー」を併用する方法です。「粘着式アンカー」の粘着面は、いわゆる「耐震ジェルマット」とほぼ同じ、厚みと粘りがあるジェル状のマットですから、衝突に対する緩衝効果があります。さらに家具に貼り付けてあるジェル面でも、水平方向の動きを抑制しますから(これが本来の機能ですが)、「転倒防止クサビ」との相乗効果で、家具の揺れを効果的に減殺することができます。

家具が転倒するとは、家具が傾くことによる重心の移動と、それが壁に衝突した時の反発力で増幅されることによるものですから、この組み合わせはその両方を最初から抑えてしまう効果が大きく、家具を建物の揺れと強制的に同調させます。平たく言えば、家具が暴れづらいということです。

問題点は「アンカーベルト」に比べて数倍のコストがかかることですが、命(と、家財)を守る出費と考えれば、それほど高いものでは無いと思いますが。「粘着式アンカー」にもいくつか種類がありますが、管理人も使用している「ガムロック」(下画像の二個セット、家具一台分)で、2500円前後です。ネットショップで購入できますが、商品レビューを見ると、東日本大震災被災地でも、十分な効果を発揮したようです。
Photo_2

なお、言うまでもなく管理人はいかなる業者などとも一切関係はありません。また、あくまで個人の経験と考察からお勧めしているものですから、これがベストだとは言い切れません。管理人個人のお勧めとしてご理解ください。

次回に続きます。


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2012年6月21日 (木)

管理人からのおしらせ

いつもご愛読ありがとうございます。管理人からのお知らせ、二件です。

■シンボルイラストを公開しました。

とは言っても、mixiの本館コミュニティ用のイラストを手直ししただけですが。
Photo
イラストレーターのデータを小さなJPEGに書き出していますので、解像度が低くてすいません。でもサムネイル用としては十分かなと。プロフィールページにも表示されてます。


■間もなく、管理人へメールをお送りいただけます。

近日中に、管理人宛にメールお送りいただけるようにします。おそらく今週中には大丈夫だと思います。
皆様からのご意見、ご要望、ご感想などいただけましたら幸いです。
準備ができましたら、またお知らせします。


以上、管理人からのお知らせでした。


2012年6月20日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【34】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その11)

今回は、家具類の多重的な転倒防止対策を考えます。

大地震発生時、特に高層ビルにおいては、「長周期地震動」の発生によって、非常に長い時間にわたって大きな揺れが続くことが考えられます。転倒防止器具がひとつだけでは、揺れが収まるまでの間ずっと、転倒防止効果を発揮し続けられるとは限りません。

激しく揺れている最中、転倒防止器具には非常に強い衝撃荷重が繰り返しかかりますから、途中で外れたり、破損したりすることも考えられるからです。ですから、できる限り多重化することをお勧めします。フェイルセイフ(予防安全)の発想です。すべての家具類にそのような対策ができれば理想的なのですが、優先順位としては、まず人一番無防備な状態におかれる寝室と、子供の安全のために子供部屋から始めましょう。次に居間、その次に台所または応接間という順番でしょうか。

では、どのような組み合わせが効果的なのでしょうか。前回記事(その10)で述べた器具のうち「突っ張り棒」は、管理人の考えでは、揺れによって一番外れやすいものだと思います。特に床が畳やカーペットの場合、どうしても家具に建物と異なる揺れがある程度発生しますし、前述のように、建物の条件によっては理想的な突っ張り力がかけられない場合も多いからです。

その場合のバックアップとしては、「アンカーベルト」のように、家具が転倒につながる動き(前回記事の「1」の動き)を強制的に押さえるものが良いでしょう。
04
他に「アンカーベルト」と同等の効果が期待できるものとして、「粘着式アンカー」(下写真。商品名「ガムロック」など)が、設置も簡単で、家具にボルト穴を開ける必要もありません。
Jpg
Photo
コスト的には「アンカーベルト」の数倍となってしまいますが、その効果と手軽さを考えると、お勧めと言えます。

食器棚などの上下二段式の家具の場合は、上下段を結合する器具をつけていないと、いかなる転倒防止器具でもその効果は半減してしまいます。必ず上下段を固定する器具を併用してください。なお、「アンカーベルト」は金属性のチェーンよりも、ナイロン製ベルトの方が微妙な長さの調節がしやすく、衝撃吸収効果もある程度期待できますので、管理人としてはナイロンベルトをお勧めしたいと思います。

一方、「突っ張り棒」と併用してはいけないものは「転倒防止クサビ」です。これは家具を少し傾けて、後ろの壁によりかからせるものですから、「突っ張り棒」の効果を減殺してしまいます。「突っ張り棒」は、垂直方向に力がかかっているときに最大の効果を発揮するからです。さらに、家具が傾いていると器具や天井板にかかる力が不均一になり、器具の外れや破損、天井板の破損にもつながりやすくなります。
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「転倒防止クサビ」と併用すべきなのは、「アンカーベルト」や「粘着式アンカー」です。設置のポイントは、まずクサビを設置し、その角度に合わせてアンカーを設置することです。家具が少し傾いて重心が壁側に寄っていることで、揺れによってアンカーにかかる力をかなり小さくできます。クサビ単独の場合、家具は転倒しずらいものの、揺れ自体はかなり発生します。そこでアンカーと併用することで揺れを最初から押さえてしまい、その効果をアップさせるわけです。
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なお「転倒防止クサビ」の使用は、一体型の家具に限ります。上下二段式の家具の場合は、クサビ単独ではほとんど効果がありません。上段だけ倒れてきます。他の器具と併用したり、上下段の固定器具をつけている場合でも、固定器具の部分に非常に大きな力がかかりますから、激しい揺れで固定部分が破損し、転倒する可能性があります。

このように、その特性に見合った器具を組み合わせることにより、ひとつが破損した場合のバックアップ効果だけでなく、機能の相互補完によって、その性能は何倍にも高まるのです。

一応、ここでは高層ビルの大きく長い揺れに対応するための方法として紹介していますが、その他のいかなる場合でも、もちろん有効な方法です。どこでも可能な限り「安全の多重化」を進めることで、精神的にも余裕が生まれてくると思います。平常時には、それが一番大きな意味があることではないでしょうか。

また、当ブログではとにかく「生き残る」ことを主眼において考えていますが、例え家に不在の時でも、家具が倒れないということは、家財を傷つけたり失ったりすることもなければ、後片付けもいらないということです。それが、多少の出費と手間で実現できるのです。

次回は、その他のケースや器具について考えます。

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2012年6月19日 (火)

こちら埼玉県南部、台風直撃中

管理人の住いは、埼玉県南部の都県境に近い場所です。現在6月19日の午後11時50分ですが、台風4号が直撃コースを進んで来ており、間もなく直上付近を通過します。

現在雨はほとんど降っていませんが、風がどんどん強くなってきていて、空がゴーゴーと唸っています。

ところで。今は意識が台風のことばかりに向いているわけですが、こんな時だからこそ考えて見てください。

こんな暴風雨のさなかに、大地震が起きたとしたら?それが無いとは、誰にも言えません。

暴風雨の中を、家族みんなで避難するための装備はありますか?もちろん傘なんて役に立ちません。全員がすぐに着られる雨具はありますか?非常持ち出しの防水対策はしてありますか?長靴やヘルメットは、こんな時にこそ欲しいものです。用意してありますか?そして、すぐに取り出せますか?

危機管理の基本は、常に最悪の状況を想定することです。それに対応できる準備がしてあれば、その他の多くの状況で、より安全性と利便性が高まります。

この台風の夜、もう通過した地域の方も、これから迎え撃つ地域の方も、改めて考えてみてください。災害は、人間の都合に合わせてはくれないのです。


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【緊急特集】台風4号の襲来に備えて【2】

【1】から続きます。

台風による暴風、豪雨、土砂災害への具体的な対策は、当ブログで過去に述べた、竜巻や地震による土砂災害とほぼ共通するものです。

暴風雨の最中は無用な外出をしないのはもちろんのこと、飛来物が窓にぶつかってガラスを割り、部屋に突入して来る危険を考えなければなりません。また、竜巻ほどの威力は無いにしろ、屋根瓦が飛ばされたり、屋根が吹き飛んだりする可能性もあります。

ですから基本的には雨戸やカーテンを閉め、ガラス窓から離れていなければなりません。万一ガラスが割れたり、屋根が飛ばされたりしたときの応急的な防水対策のために、大判のブルーシート、ロープ、ガムテープをある程度まとめて用意しておくことをお勧めします。暴風雨が続く間は、屋外での作業などは不可能と考えて、とにかく水から家財を守らなければなりません。

一方、特に山間部では、土砂災害の前兆を察知する必要があります。当ブログ過去記事に掲載した、地震による土砂災害の前兆を再掲します。暴風雨の場合も、基本的にはそれと共通の前兆を警戒します。

■斜面やその下から、泥水が噴き出す。
■沢や川の水が濁る。
■沢や川の水が減ったり、水がなくなる。
■斜面や崖から、小石や土くれが落ち始める。
■斜面に亀裂が入る。
■山鳴りがする。
■山からミシッ、バシッというような音が聞こえる(地すべりによって、木の根が切れる音)
■生臭いような、不快な匂いがする(これはあまり多くありません)

※「川が濁ると危険」なのは、普段は川床に土砂が堆積していない河川の上流部、山間部においてです。中流、下流域では該当しません。

しかし実際には、暴風雨の最中にこのような現象を建物の中から察知するのは、ほとんど無理と言っても良いでしょう。近くの川や沢の様子を見に行って、足を滑らせて転落するような事故も少なからず起きています。実際には、背後の崖から小石がパラパラ落ち始めて、やっと気付くかどうかというくらいです。でもその場合、避難する時間はほとんど残されていないと考えるべきです。ですから、ご自分の居場所が危険だと認識していたら、やはり静かなうちに早めの自主避難をお勧めします。

もし避難が間に合わず、土砂崩れや土石流が発生してしまったら、すぐに二階以上に上がることです。土砂災害における犠牲者は、多くの場合で建物の一階に集中しています。建物ごと上から押しつぶされたり、流されたりしない限り、二階以上に上がれば「生き残れる」確率は大きく高まるのです。

都市部においては、小河川の氾濫、低地やアンダーパスの冠水、豪雨によって容量を超えた下水道が逆流する「内水氾濫」などの被害が考えられます。アンダーパスの冠水に気付かずに車で突入してしまうと、エンジン停止、電源ショートによるパワーウインドウ不作動、水圧によるドア開放不能のため、一気に生命に関わる状況になります。

また、冠水している道路では、内水氾濫の水圧によって、マンホールのふたが開いていることが考えられます。転落したら致命的ですので、足元が見えない水の中は、無理に歩かないようにしなければなりません。

外出されている皆様、ビニールカッパは持参されていますか?暴風雨の中では傘は役に立たないどころか、風でバランスを崩して危険なものとなります。静かなうちに、ビニールカッパをコンビニや100均ショップで入手してください。バッグに防水性能が無い場合は、中身だけフリーザーバッグや大きなビニール袋でくるんでしまえば、濡れても安心です。

台風4号の風と雨は、本州・四国の多くの場所で、本日6月19日がピークとなります。各地で交通機関の乱れも予想されます。いずれの場合でも、とにかく早めに安全な場所に移動して、そこで暴風雨を迎え撃つことをお勧めします。ある意味で「慣れっこ」の台風だからと言って、決して甘く見てはいけません。今までと同じだとは限らないのです。

※記事内容を一部加筆・訂正しました(2012,6,19)


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【緊急特集】台風4号の襲来に備えて【1】

強い勢力の台風4号が、本州を縦断しそうです。この台風は、その規模はもとより、時速30kmという速めの速度で移動しており、上陸後はさらに加速しそうです。

それにより、台風の進行方向前方、特に北東側(右斜め前方)では、台風に向かって吹き込むj風の風速に、台風の移動速度が合成されます。台風の進路前方、特に北東側では、台風の中心に向かって吹き込む風速以上の暴風が吹きますので、移動速度が速い台風は、特に暴風による被害を警戒しなければなりません。また、移動速度が速いということは、台風の接近に伴って、短時間で風が強くなるということでもありますから、早めの対策が必要です。

また、台風の前方、北東方向からもっとも強く湿った風が吹き込みますので、台風の通過コースにある山の東側斜面付近では、湿った空気が山にぶつかって集中的に強い雨を降らせます。山の東側斜面やその麓では、特に河川の氾濫や土砂災害に警戒が必要です。

・・・という表現を天気予報などでは良く聞きますが、いくら警戒していても、実際に氾濫や土砂崩れ、土石流などが発生してからでは、危険地帯から避難することは困難です。ましてや暴風雨の夜間などに移動するのは危険極まりないことですので、川沿いの低地、谷筋、背後に崩れる可能性のある山や崖がある場所では、早めに安全な場所に避難することをお勧めします。

行政の避難勧告や避難指示は、かなり危険な状態になってから発表されるのが常ですから、その中を小さなお子さんやお年寄りなどが避難するような危険を犯さないために、とにかく静かな、明るいうちに自主避難をお勧めします。行き先がわからなければ、お住いの地域の役場に問い合わせてください。そのためには、台風が接近する前に、まず自分の居場所が危険なのかどうかを認識しておく必要があります。ハザードマップがあれば、洪水や土砂崩れの危険地帯が、おおむねわかります。

近年、台風は次第に大型化する傾向が見られ、風速も降雨量も「過去最高」を記録するようなことも珍しくなくなりました。ですから、過去に何も起きなかったからといって、これからも起きないという発想は危険です。まずはお住いの場所の危険を正しく認識し、必要と思われたら、ためらわずに自主避難をしてください。起きてからでは遅いのです。

具体的な対策は、次回に続きます。

※記事内容を一部加筆、訂正しました(2012,6,19)

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2012年6月18日 (月)

ランキングへの考え方について

いつも当ブログをご愛読いただきまして、ありがとうございます。今日は、ブログランキングに対する考え方を、少し述べさせていただきます。

現在、当ブログは日本最大のランキング「にほんブログ村」の「地震・災害」カテゴリと、「人気ブログランキング」の「自然災害」カテゴリに参加しておりまして、両ランキングとも、おかげさまで常に上位3ブログ以内にランクインさせていただいております。

でも他の上位ブログを見ると、その全てが「予知、体感」のようなエセ科学、オカルトや、エセ科学も含む特定の情報を恣意的にピックアップするような、管理人から見れば、かなり偏向したブログばかりです。別に他人の主義主張に口を挟むつもりもありませんが(面倒なので)、科学的に、ニュートラルな立場から災害対策を語るものが、他に全く無いのです。

もちろんそういうオカルトやエセ科学が、少なくとも話題性においては大きな注目を集めることはわかっています。それに文句をつけても始まりませんし、その中で当ブログがこれだけご支持をいただけていることに、感謝と共に、安堵の気持ちがあるのも確かです。

でも管理人としては、ランキングの順位自体にこだわるつもりはありません。はっきり言えば、全くおかど違いの連中を相手に、ランクが上がった下がったと一喜一憂をしていることに、ウンザリしています。いずれにしろ、まともな情報を扱っているブログでは、常にトップだという自負もあります。

何が言いたいのかと申しますと、ご愛読いただいている皆様に、ランキングタグのクリックを、こまめにお願いできればというお願いです。なんか激しく矛盾していますね(笑)その理由はこれから。


管理人は、一般ウケするような記事だけを選んで書くつもりもありません。あくまで管理人が必要だと思う、皆様にお伝えしたいことだけを記事にしますから、内容によって、アクセス数にもかなりバラつきがあります。したがって、ランキングも不安定です。

当ブログが皆様のお役に立てているとお思いいただけましたら、できるだけ上位にいさせてください。言うまでもなく、ランキング上位にいることで、管理人が金銭的利益を受けるとか、何か評価の対象になっているということは一切ありません。

それでもできるだけ上位にいたい理由はふたつ。まず、正直言って管理人のモチベーションです。ご支持が多ければ、それだけがんばれるという、非常に単純な理由です。

そしてもうひとつは、管理人が信じる道での選択肢でありたい、ということです。災害から生き残るために「本当に正しいことは何か」、「本当に役に立つことは何か」ということを追求している当ブログが、オカルト、エセ科学、偏向情報の海の中に打ち込まれた、一本の強固なアンカーになれていたらいいなと。

そしていろいろな情報を求める方々が、「まともな情報」が欲しいと思われた時に、選んでいただける選択肢のひとつでありたいと願っています。大上段に構えて言わせていただければ、そんな「使命感」も、このブログを続ける大きなモチベーションです。そしてそのために、ランキングの目立つ場所にいつづけることも必要だと思っています。

こんなことを書くと、単なる目立ちたがり屋だと、反感をお感じになる方もあるかもしれません。でも、敢えて皆様にお願いする次第です。

管理人が皆様にご支持をお願いする基準は、常にただひとつです。
「当ブログの情報が、役に立ったどうか」、これだけです。お役に立てていましたら、お読みいただいた時に、ランキングタグのクリックを是非ともお願いいたします。

最後に、本音をひとつ。

こんなにオカルトやエセ科学、陰謀論とかがもてはやされるこの国って、大丈夫なのか?


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2012年6月16日 (土)

首都圏直下型地震を生き残れ!【33】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その10)

今回は、前回(その9)で解説した家具の動きを、効果的に押さえる対策を考えます。

でもその前に、ちょっと補足を。前回の解説と実験動画の倒れ方が違うじゃないか、というご指摘があるかもしれません。確かに、壁際より部屋中央にあるキャビネットが先に倒れていますし、壁際のタンスも、壁で跳ね返るというより、揺れそのもの影響で倒れているように見えます。

それはあの実験で加えた揺れが、高層ビルに「長周期地震動」が加わった状態を再現しているからです。地上よりはるかに振幅が大きく、ゆっくりした揺れです。そんな揺れは、短周期の揺れよりも、家具を倒したり移動させたりする力がはるかに大きいのです。逆説的な言い方ですが、それだけ高層ビルにおける「長周期地震動」は、危険が大きいということでもあります。前回記事で解説した転倒メカニズムは、どちらかというと「短周期地震動」で顕著になります。1995年の阪神・淡路大震災で起きた、ピアノが倒れたり「吹っ飛ばされた」という事例は、ほぼすべてが背後に壁があったが故なのです。

しかし、揺れの周期に関わらず、家具の転倒対策の方法に違いがあるわけではありません。転倒の仕方は共通しているからです。ただ、高層ビルの場合は、揺れの特徴と長い持続時間のために、特に「多重化」が望ましいということなのです。それを、これから解説します。

さて、ここで前回記事の図を再掲します。
01
揺れる家具の図の上辺に緑色の線を入れてありますが、そこがポイントです。家具が転倒する場合、その「支点」は床に接している長辺の部分です。これに対し、上辺は「作用点」であり、「支点」からの距離が一番遠い場所です。すなわち、、てこの原理により、最も小さい力で家具の揺れを押さえられる部分であるわけです。

では、どのような動きを押さえたら良いのでしょうか。それは、図中の「1」。つまり、家具の上辺が最初に壁から離れようとする動きです。すべての家具転倒対策は、この一点に集約されると言っても過言ではありません。力学的に最も小さな力で、転倒につながるいちばん最初の動きを押さえる、これができれば良いわけです。

では、その具体的な方法ですが、その前に、ぜひやっておきたいことがあります。それは「低重心化」。家具の上に物を置かないのは当然として、重い物をなるべく下の方に収納し、上の方を軽くします。つまり、家具をなるべく自己復元力の高い状態、言うなれば「起きあがり小法師」に近づけてやることで、倒れにくくなるわけです。これは、上記「1」の動きで働く力を小さくすることでもありますので、転倒対策の効果もより大きくなります。


家具転倒防止器具として代表的なものは、天井との間に入れる、いわゆる「突っ張り棒」、壁と家具をベルトなどで結着する器具、家具前面の下に挟み込むクサビ状の器具の三種類だと思います。

まず「突っ張り棒」は、家具を天井と床と一体化させる、つまり造り付け家具の状態に近づけるものです。これが効果的に働くための条件は二つ。天井と家具に十分な力がかけられることと、圧力がかかる部分が動かないことです。そのためには、地震動が加わった際に、天井と天板が破損しない強度を持っていることが必要です。加えて、天井と家具天板の距離が近いほど、その効果が増します。

しかしそのような条件を満たせるケースが意外に少ないことは「家の中の地震対策」シリーズで述べ、その対策も述べましたので参照してみてください。
■家の中の地震対策【7】はこちらから
注意しなければならないのは、この器具が効果を発揮するためには、「一体型」の家具でならないということ。食器棚や書類キャビネットによくある、上段と下段を積み重ねたタイプの場合は、上下段の異なる揺れが発生するによって器具が外れることがありますから、上下段が固定されていることが前提です。そのための器具もいろいろ市販されています。

次に、家具の上部と壁をベルトやチェーンなどで結着するアンカーベルトです。これの問題点も「家の中の地震対策シリーズ」で述べています。(上記リンクの記事内にあります)それらの問題をクリアできれば、かなり効果的に家具の転倒を防ぎます。家具が上図「1」の動きをするのを、最初の段階で止めてくれるわけです。この器具も、家具の上下段が固定されていないと、十分な効果を発揮しません。下段だけが外れて倒れる可能性もあります。

最後は、家具前面底部に挟み込む、クサビ状の器具です。これは家具の前を7~10ミリほど持ち上げて家具を後ろの壁に「寄りかからせる」ことで、上図「1」の動きと逆の力を働かせるものです。わずかな重心の移動ですが、底部から一番距離のある家具上部では、てこの原理によってその何十倍もの距離を移動しなければ、転倒するほどの重心の移動が起きないわけで、イメージ以上の効果を発揮するものです。最も安価で、簡単に設置できるのも魅力です。

この器具の問題点は、床が畳やカーペットなど固くない場合は効果が減殺されるということ、激しい揺れの最中に器具がずれてしまう可能性があることと、器具の性能を超える揺れなどの条件が加わった場合には、なすすべが無いということです。

このように、どんな器具でも一長一短があるわけですが、間違いなく言えるのは、どれも家具が転倒するまでの「時間稼ぎ」の効果は、確実にあるということです。

さらに、複数の器具を組み合わせることで、転倒防止効果を何倍にも高めることができるのです。次回は、効果的な器具の組み合わせと、その他の方法について考えます。


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2012年6月14日 (木)

首都圏直下型地震を生き残れ!【32】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その9)

今回は「家具はなぜ倒れるか?」について考えます。もちろん、これはあらゆる場面に共通する問題ですが、高層ビルの大きな揺れに対抗する場合に、特に重要になりますので、このテーマ内で述べることにします。

地震の際に、家具はどのように倒れるのでしょうか。まずそこから行きましょう。実は、これは地震で建物が破壊されるメカニズムと、基本的には同じ理由なのです。そこには建物と家具の「固有振動周期」が関係しています。地震による建物の揺れと、それによる家具の揺れの周期が異なるために、家具は安定を失って倒れるのです。

では、家具がどのような過程で安定を失うかを解説します。まず最初の動きが、下図の1の状態。地震の揺れで、家具の上部が、「慣性力」によって壁から離れる動きをします。揺れが最初からとても強ければ、このまま一気に転倒することもあります。脚払いを受けたような状態です。なお、下図はわかりやすくするために、家具と壁の間隔を誇張しています。
01
しかし多くの場合、次の段階があります。一端バランスを取り戻して壁の方向に戻った家具は慣性力によって、つまり勢い余って反対側に傾き、壁に接触します。上図の2の状態です。家具と壁の間に隙間があれば家具の上部が、完全にぴったりくっついている場合は、全体が壁に押しつけられます。

このとき家具の動きと壁、すなわち建物の動きが全く同調していれば、同時に壁が後ろに「退がる」ことで慣性力を吸収し、一旦は安定状態に戻ります。しかし建物と家具の振動周期は異なりますから、壁と家具は衝突し、家具に押し戻す、あるいは弾き飛ばすような反発力を加えます。その反発力によって、今度は反対側、つまり部屋側にさらに大きく傾くか、転倒します。

そこで転倒しなかった場合、家具は再びさらに大きな速度で壁側に傾き、壁と衝突します。速度が大きいということは運動エネルギーが大きいということですから、壁に加わる衝撃力も大きくなり、その分大きな反発力で押し戻されます。このような動きを繰り返すことで、家具の揺れ幅はどんどん大きくなり、最後には転倒して3の状態になります。これは理科で勉強した「慣性の法則」と「作用と反作用」の連鎖なのです。

家具の背後に壁が無い場合には、家具と床の揺れの周期が異なることで、家具の揺れが増幅されて転倒します。ですが背後に壁があることで、より早い段階で、より重量のある家具でも転倒しやすくなるわけです。強い地震では、数百kgの重量があるアップライトピアノでさえ、このような動きによって転倒してしまいます。高層ビルでは、低層建物より振幅の大きな揺れがより長時間続きますから、対策はより厳重にしなければならないわけです。

このメカニズムをご理解いただいた上で、前掲の実験動画をもう一度、家具の動きに注意してご覧いただければと思います。

家具の転倒を防ぐ最も効果的な方法は、家具の「固定」です。しかし本当に固定と呼べるものは、造り付けの家具だけです。ごくわずかの隙間があれば、つまり家具を手で押してわずかでも動けば、その動きが地震によって増幅されます。

家具の転倒対策とは、すなわちこの動きを防ぐこと、言い換えれば「建物と家具の振動周期を強制的に同調させる」、もっと平たく言えば、「家具と建物を一緒に揺らす」ということなのです。

そのための効果的な方法は、次回へ続きます。

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2012年6月13日 (水)

携帯からも、ありがとう!

ちょっとお詫びしなければなりません。

管理人は、使用しているブログのアクセス解析について、勘違いしておりました。表示される数字は、すべてのページビュー数が合計されていると思っていました。

ブログに表示しているアクセスカウンターの数字はPC・スマホからの数で、管理ページに表示される数字(アクセスカウンターと何故か少し違うのです)が、携帯も含んだ数字という認識でした。

ところが、そうではありませんでした。実は本日、今まで使っていた無料プランから、清水の舞台から飛び降りたつもりで(笑)、有料プランに変更したところ、携帯電話からのアクセス解析もできるようになりました。

データを見て、正直、驚きました。そして、感激しました。

当ブログスタートから今日まで、携帯電話からのアクセス(ページビュー)数は、なんと23500件を超えていたのです。PC・スマホからが現在62700くらいで、携帯からが23500くらい。合計、約86200件。


こんな読みにくい長文ブログを、携帯の小さな画面でこれほどたくさん読んでいただいているということに、改めて感謝いたします。少しでも皆様のお役に立てていれば、管理人にとって無上の喜びです。

災害対策が本当に役に立つのは、災害発生時です。でも「その時」を待ち続ける、いつ終わるともわからない(しかし終わって欲しくない)時間の中で、多少なりとも不安を和らげるためにも、能動的な災害対策はとても効果的だと、管理人は考えます。

当ブログがそんな不安を和らげる、ちょっとカッコつけさせていただければ、暗闇の中で進むべき道を示す光のようになれたらいいな、そんな風に思っています。オカルトやエセ科学は、闇を深めるだけですからね(笑)

そんなわけで、これからは携帯からのアクセスも、しっかり把握して参ります。アクセス方法を問わず、今後とも「生き残れ。Annex」をよろしくお願いします。


読者様各位

管理人 てば拝

首都圏直下型地震を生き残れ!【31】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その8)

今回は、特に高層ビルで想定される地震被害に対応するための、具体的な対策を考えます。

ここまで述べて来たように、超高層を含む高層ビルの中層階以上では、地震の揺れが増幅されたり、独特の揺れが発生することで、低層建物に比べて室内の被害が大きくなる傾向があります。このため「安全の多重化」が、低層建物に比べてより重要度を増すのです。

まずオフィスですが、とにかくキャビネット類の転倒防止とデスク、コピー機などの移動防止、そしてガラスの飛散対策、これに尽きます。しかし、会社ぐるみで対策を進められない場合も多いのが実情です。ならば、個人の行動でリスクを減らすのです。一般に、オフィスには住居に比べて空きスペースが多く、応接・商談スペースなどあまり物がない場所もありますし、頑丈なデスクもあります。オフィスが狭いなら狭いで、整然とした配置ゆえの、生存空間が確保できる場所も見つけやすいはずです。そこでの考え方と行動は、当シリーズ「首都圏直下型地震を生き残れ!」の【4】~【7】、「オフィス編」で述べましたので参照してみてください。
◎首都圏直下型地震を生き残れ!【4】☆オフィス編はこちらから


これに対し、様々な家具類がある一般住居の場合は、オフィスに比べて格段に対策が複雑になります。ですから重要なポイントを押さえ、優先順位を考えて対策することで、最小の手間で最大の効果を発揮させなければなりません。まず管理人が考える最重要ポイントは、前記事で述べた通り、最も無防備な「寝ている時」です。理想的なのは何も無い部屋にベッドや寝床だけがある状態ですが、なかなかそうも行きません。

そこでの考え方は、ベッドや寝床の上から全く動けなかった場合でも、揺れが収まるまで身体の安全を確保しなければならないということです。そこで、倒れる可能性のある家具がある部屋で寝る場合の究極の方法は「耐震ベッド」や「耐震フレーム」の設置です。これはベッドや寝床を強固なフレームで囲んでしまう方法で、家具の直撃など問題にせず、もし建物が倒壊した場合でも、高い確率で生存空間を確保できるものです。様々なタイプがありますので、上記キーワードで検査してみてください。

同じような考え方で、例えば子供部屋のベッドを頑丈な二段ベッドやロフトベッドにすれば、周囲の倒壊物から効果的に防御することができます。その場合、ボルトで組み立てる鉄パイプフレームよりも太い木製の方が、揺れに対抗する力も、周囲からの打撃にも強いと管理人は考えています。

それができなければ、家具の配置が重要です。前掲の実験動画でもわかるとおり、家具は基本的に長手、つまり一番長い辺の方向に倒れます。タンスは、その方向に引き出しが飛び出して来ることもあります。ですから、その方向に倒れても下敷きにならない場所に寝るか、倒れる家具を確実にブロックできる配置にします。その場合に有効なのが、前述の耐震ベッドや、頑丈な二段ベッドなどではあります。

家具の固定は、その次です。でもそれ以前に、家具の上に物を置かない、というのが鉄則です。タンスの上に衣装ケースがあったり、ガラスの人形ケースがあったりしませんか?これなどどちらの方向に飛ぶかもわかりませんし、家具固定用の「突っ張り棒」や壁にボルトを植え込んで固定するアンカーベルトを使っている場合は、それに激しく衝突して吹っ飛ばしたり、ボルトを引き抜いてしまうかもしれません。

ひとつの方法として、服などを入れた段ボール箱を、家具と天井との隙間に詰めるという方法も紹介されていますが、これが効果を発揮するためには、段ボール箱がほとんど変形しないくらいにものが詰め込まれていること、段ボール箱が家具と天井の隙間と1センチの違いも無くぴったりのサイズであること、天井板が衝撃で外れない構造であることの三条件が揃っていることが必要です。

もし揺れで段ボールがずれたりすれば、物が詰まった重い箱は、あっと言うまに凶器に早変わりしてしまいます。段ボール箱と天井の間に詰め物をするという方法も考えられますが、揺れが加わる要素が増える、すなわち異なる物が接触する面が増えるということは、それだけ「ずれる」部分を増やし、揺れに対する脆弱性を増すことになりますから、それも含めて、管理人としてはあまりお勧めしたくない方法です。

では、家具の具体的な固定方法ということなのですが、効果的な転倒防止対策のためには、その前に「家具はなぜ倒れるか」について知っておく必要がありますので、次回はその点について考えます。


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2012年6月12日 (火)

首都圏直下型地震を生き残れ!【30】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その7)

今回は、高層ビルでの地震対策における「考え方」ですが、特に後半部は、高層ビルに限らないすべての災害対策に共通するものですので、どたなもお読みいただれればと思います。

前回記事のyoutube動画、ご覧いただけたでしょうか。ご覧いただけない方がありましたら、ごめんなさい。高層ビルの中層階以上で強い地震波を受けると、あのような状態になる可能性が高いのです。

イメージとしては、家具類が動くというより、物体は慣性の法則で静止しつづけようとしているのに、床の方が激しく動くので、仕方なく床の上を滑ったり転がったりしてしまう、という感じです。特にオフィスのキャスターつきコピー機の動きがすさまじいですね。あの動きは、揺れの速度と揺れ幅そのものと言っても良いでしょう。

あのような場合の対策として、どなたもまず「家具類の移動・転倒防止」を考えられたと思います。もちろんそれは正解ですが、果たしてそれだけで良いのでしょうか。

家具類の移動・転倒防止方法としては、チェーンやベルトで壁と結着する、脚の下に防滑パッドを入れる、天井との間に突っ張り棒を入れる、床との間にくさび状の器具をはさみ、壁によりかからせる、ジェル状の防震パッドを入れるなどの方法があるのはほとんどの方がご存じでしょうし、当ブログでも過去に「家の中の地震対策」シリーズで紹介しています。

ただし、当ブログではその問題点も指摘して来ました。一戸建てでも集合住宅でも、そして特にオフィスでは、それらの器具の能力を最大限に生かせる環境は、意外に少ないのです。つまりそれらの対策をしても、ある程度の時間は持ちこたえても、最終的には揺れに「負けて」しまう可能性が高いと思われます。

さらに問題がもうひとつ。あの実験動画は、高層ビルにおける大地震のシミュレーションとして最もリアルなのは間違い無いのですが、現実と異なる可能性がひとつだけあります。それは揺れの持続時間。

実験では、強い揺れがせいぜい数十秒程度で収束していますが、強く長い「長周期地震動」が発生し、ビルが共振現象を起こした場合など、あのような揺れが数分間にわたって続くこともあり得ます。その間、すべての移動・転倒防止対策が完全に機能しつづけるとは、あまり思えません。どこかに破綻が生じるはずです。

また、内陸直下型地震のような「短周期地震動」が加わった場合、中層階では「二次モード振動」の発生により、さらに速く、周期の短い強い揺れに襲われることもあります。東日本大震災で、壁の破損などの被害を受けた高層マンション中層階居住者の証言では、「ぐるぐる回るように、振り回されるような揺れだった」というものがあります。「二次モード振動」が発生した場合、ビルが身をくねらせるように揺れますから、ビルの構造など様々な条件により、一定方向の揺れではなくなることもあるのです。

これらのことを考えると、家具類をとりあえず「固定」すれば安心、とは言えないのはおわかりいただけるでしょう。
では、どうするか。まず最初に考えなければいけないのは、人が無防備な状態をできるだけ無くす、ということです。あの動画の中で、皆様が一番恐怖を感じたのは、床に寝ているダミーの上に、洋服タンスが倒れてくるシーンではないでしょうか。ああにだけはなりたくない、ならば、ならないようにするのです。

あの場合でも、家具がある程度「固定」されていれば、動画のようにすぐに倒れかかって来ることは無いでしょう。でも、もしあの人が「動けなかった」としたら。赤ちゃん、幼児、お年寄りや病人はもちろん、酔っていたり、第一撃で怪我をしてしまったり、気を失ってしまったりしていたら。そうでなくても、気が動転して動けなくなることは、十分に考えられます。

人が一番無防備な状態は、寝ている時です。まず最初に、寝室や寝床周りの危険を「取り除く」ことが必要です。できれば、危険なものが周囲に無いのが理想ですが、様々な事情でそう簡単なことではないでしょう。しかしまずは「防災の断捨離」をするという考えで、家の中を見直してください。「生き残る」ためには、思い切りも必要です。
危険なものをできるだけ取り除いたら、その次に、残ったものの危険を減らすのです。そこで重要なのが「予防安全」(フェイルセイフ)の考え方です。

旅客機の操縦系統は三重、四重になっているのが普通ですが、これはどれかが故障しても、常に代わりの系統で操縦が続けられるようにするという、「予防安全」の典型的な事例です。このように、「あれがダメならこれ、それもダメならその次」というふうに、「安全の多重系統」を構築するのです。特に高層ビルにおいては、揺れが長時間続くことが考えられますから、危険の「第二波、第三波」への対策が重要です。

そしてその中に、「ヒューマンエラー」の可能性も織り込まなければなりません。これは、人間が「その場で期待される行動をしない、あるいはできない」ケースを想定するということです。例えば、赤ちゃんが寝室で寝ている時に大地震が来たら、台所にいるお母さんは真っ先に赤ちゃんを助けに行くのが当然だから、その間だけ家具が倒れなければ良い、という前提ではいけないということです。

これはエラー、つまりミスでは無いのですが、何らかの事情で望まれる行動ができないことを想定するのです。この場合には、揺れが収まるまで赤ちゃんに危害が及ばない状態を作っておかなければならないということになります。平常時でも人間はとんでもないミスをするものです。ましてや緊急時に冷静な行動ができる人など、そうはいないのです。あなたも、管理人も例外ではありません。その前提で、対策を考えていかなければなりません。

では、その考え方を具体的にどう生かしていくかについては、次回へ続きます。

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2012年6月11日 (月)

首都圏直下型地震を生き残れ!【29】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その6)

それでは今回から、高層ビルにおける地震対策の実際について考えます。とはいえ、特に新しい話が出てくるわけでもありません。あくまで、既存の手段をより効果的に組み合わせるということになります。

まずは、改めて高層ビルでの危険や障害をまとめてみましょう。
■多くの場合で、低層建物よりも揺れが大きくなる。
■「長周期地震動」が発生した場合、特に上層階では振幅の大きな揺れが長時間続く。
■直下型地震などの「短周期地震動」の場合は、中層階の揺れがひどくなることもあり、建物構造が損傷を受けることもある。

以上が地震の揺れに関する特徴です。避難行動などの障害は、
■地上への脱出に時間がかかる。
■停電、断水下で物資を上階へ運ぶのが困難。
■周辺部での大火災や、下層階で火災が発生した場合、逃げ遅れやすい。
以上のようなことが考えられます。

なお、高層ビルのオフィスにおける災害対策は、当シリーズ【4】~【7】の「オフィスで生き残れ」編の内容とほどんと共通となりますので、ここでは主に高層、超高層ビルの住居における対策について考えます。オフィス編は、下記リンクからどうぞ。
◎首都圏直下型地震を生き残れ!【4】☆オフィス編 はこちらから

さて、百聞は一見に如かずということで、高層ビルのオフィスや住居では何が起きるかということを、まずはビジュアルでご覧いただきたいと思います。下記はyoutube動画へのリンクです。これは防災科学技術研究所(NIED)が、実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を使って行った実験映像です。前半はオフィス内の様子、2分00秒からは、一般住居内の様子です。まずはこの映像をご覧になり、何が必要かをお考えいただきたいと思います。
◎E-ディフェンス実験映像はこちらから

高層ビルに「長周期地震動」が加わった場合、条件によってはこのような揺れが3分以上続くことになるのです。物だけでなく、人はどうするべきか。それも考えて見てください。

次回へ続きます。

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2012年6月 9日 (土)

首都圏直下型地震を生き残れ!【28】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その5)

今回は、「免震ビル」は本当に地震からの救世主か?ということについて考えます。

まず結論から申し上げましょう。免震ビルは、救世主です。建物の構造破壊を防ぐ上では、絶大な効果を発揮します…と、何やら条件付きなのですが、これから解説します。

まず、「免震ビル」とは何か。一言で言えば、基礎部分と上層部分が剛構造で結合されていない構造のビルです。そんなビルの床下に良く見られる(実際には滅多に見られませんが)構造が、下画像です。
Menshin
床下の柱の途中に、非常に大きな荷重に耐えるクロロプレンゴムと鉄板を積層した「アイソレータ」という装置を挟み、地面が揺れても「アイソレータ」が変形することで揺れを吸収し、上の柱にあまり伝わらないようになっている構造です。さらに、建物の揺れを押さえる鉛ダンパや油圧ダンパを併設してあります。免震構造には、ゴムを使用したもの以外にもいろいろなタイプがありますが、すべて原理は一緒です。バネと油圧ダンパを組み合わせた、自動車のサスペンションの原理と、基本的には同じものです。

この構造により、小さな地震ならば建物本体はほとんど揺れることも無く、大きな地震でも、前記事の「一次モード震動」や「二次モード震動」の発生を抑止する効果が絶大であり、建物の主要構造の破壊を防ぐ上では、まさに「救世主」なのです。

ところが最近、この構造の弱点が見えて来ました。まずひとつ目は、東日本大震災のような「想定外」の強い揺れが加わったり、想定以上に長時間持続する「長周期地震動」が加わった場合、「アイソレータ」や「ダンパ」が破壊されてしまうかもしれない、ということです。その場合、復旧工事が大変なことになりますが、それでも建物の主要構造を守る効果はありますので、ここでは除外します。

もうひとつは、こちらが問題なのですが、「必ずしも揺れが小さくなるわけでは無い」ということです。これは管理人の体験ですが、東日本大震災の時、埼玉県南部の耐震構造マンション2階にある管理人の住居では、キャスターつきのワゴンが大きく移動していたくらいで、特に被害はありませんでした。ところが地盤の条件はほぼ同じだと思われる、近所の免振構造マンションの6階では、家具の移動、転倒などが多発して部屋の中がぐちゃぐちゃになったというのを、住人の方から聞きました。なにしろ、凄い揺れだったと。

2階と6階という違いだけで、そこまで差が出るのかとも思えず、管理人もその時は理由がわからなかったのです。なにより耐震構造、つまり一般的な「剛構造」よりも、免震構造の方が揺れが大きいなどと言うことがあるのだろうかと。

その後、その理由がわかりました。2012年3月8日に東京大学で行われた「首都圏直下地震防災・減災プロジェクト最終成果報告会」で発表された、独立行政法人 防災科学技術研究所の実験レポートに、その答えがあったのです。つまり、それまでは免震構造の弱点を、公式には誰も知らなかったと言って良いでしょう。

この実験は、世界最大級の加震台、実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)の上に、実際に4階建ての免振ビルを建て、様々な地震動を加えてその影響を見ると言うものです。そのレポートの該当部分を、当日配布された資料の中から引用させていただきます。

なお、この実験で加えた地震波は、短周期地震動は阪神・淡路大震災で観測された地震波の加速度を80%にした、震度6強レベルのもの、長周期地震動は、想定される東海・東南海地震で、名古屋市中心部で予想される、震度5強レベルのものです。

【以下引用】-----------
短周期地震動の加振では、高い免震効果が発揮され、床の最大応答加速度は十分に低減され、建物の構造的な被害もほとんど見られませんでした。
(中略)
一方、長周期地震動の加振では、免震構造でありながら、床の最大応答加速度が1.3倍に増幅してしまい250cm/s2程度となりました。これは、免震構造の固有周期と地震動が持っている最もパワーのある周期(卓越周期)とが近接しているため、免震建物が共振し応答が増幅してしまったものです。しかし共振しても応答加速度が250cm/s2程度であるため、建物の構造的な被害はほとんど見られませんでした。
【引用終了】-----------

かなり専門的な記述もありますが、要は短周期地震動に対しては絶大な効果があるが、長周期地震動が加わった場合、免震構造が揺れを増幅することもある、ということです。しかしその場合でも、揺れの加速度は大きく低減されているので、建物の主要構造を守る効果は大きいのです。

東日本大震災では、管理人の家の近所で実際にそれが起きたわけであり、レポートを聞いた時点でやっと腑に落ちました。余談ながら、この報告会では、例の「南関東直下震度7の可能性」のレポートも発表され、メディアはほとんどそちらしか食いついていませんが、同時にこんな重要なレポートもあったのですよ。

ともかくも、免震ビルは建物の倒壊や大きな破壊が起こる可能性は小さくても、「長周期地震動」による大きな揺れに対する対策は、一般の耐震構造建物より強化しなければならない、ということです。

さて、いよいよ次回から、高層ビルにおける地震対策の実際について考えます。


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2012年6月 8日 (金)

首都圏直下型地震を生き残れ!【27】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その4)

今回は、高層ビルにおける「長周期地震動」以外の危険について考えます。

前回までに、超高層ビルにおける「長周期地震動」の影響について考えましたが、理論的なことはさておき、とにかく高層ビルは大きく揺れるわけです。一般的な感覚として、背の高いものが揺らされた場合、高い場所ほど揺れの幅が大きくなると思いますし、事実その通りです。

これは何も高層ビルではない低層の建物でも、そして「長周期地震動」でなくても、高い場所ほど揺れの幅は大きくなります。ところが、こと高層ビルの場合、高い場所の揺れ幅が最大にならないケースがあるのです。これは超高層でなくても、10階建てくらいからはっきりとした傾向が出始めます。

それは「短周期地震動」、つまり周期1~2秒の、いわゆる「キラーパルス」が発生した場合です。ここで、1995年の阪神・淡路大震災の被害状況を見てみましょう。この地震は、震源深さ10kmの内陸直下型地震で、強い「短周期地震動」が発生した典型的な例です。
Photo
2
このように、比較的高いビルの中層階が押しつぶされるように崩壊する、それまでほとんど想定されていなかった被害が多発しました。これは一体何が起こったのでしょうか。なお、先に申し上げておきますが、阪神・淡路大震災でこのような崩壊をしたビルは、ほとんどが1980年以前に建築された「旧耐震基準建物」です。1981年以降の「新耐震基準建物」は、耐震強度が大幅に向上していますので、このような崩壊をする可能性は非常に小さくなっています。

さて、その後の研究で、新たな事実がわかりました。ある程度以上の高さの高層ビルは、揺れの周期によって、かなり異なる揺れ方をするのです。それが下図です。
Mini
「長周期地震動」を含む、ある程度長い周期の揺れ、これはある程度震源から離れた場所で発生しやすいのですが、その場合の高層ビルの揺れ方は「一次モード振動」と呼ばれます。これは一般的な感覚の通り、高い場所ほど振幅が大きくなる揺れ方です。

しかし、内陸直下型地震で発生しやすい周期1~2秒程度の「短周期地震動」、つまりビルの「固有振動周期」より短い揺れを受けた場合、「二次モード振動」と呼ばれる、いわば「腰をくねらすような」揺れが発生します。この場合、中層階の揺れが最大になる、つまり中層階の構造にかかるストレスが非常に大きくなります。

その結果が、前出画像のような破壊を生んだのです。最も揺れが大きくなった中層階の構造が、建物を真ん中でねじるような力に耐えきれず、上層階の重みで押しつぶされたわけです。繰り返しますが、1981年以降の新耐震基準による建物では、このような崩壊をする可能性は、はるかに小さくなっています。

実は、広い範囲で「長周期地震動」が発生した東日本大震災でも、関東地方では高層階より中層階の構造や室内への被害が大きいという現象が発生しています。この傾向は、主に10~20階程度の高層マンションなどで多く見られました。

これは、人類の観測史上4番目という超巨大地震だった東日本大震災では、震源域からの距離が比較的離れていた関東地方でも周期1~2秒程度の「短周期地震動」が、かなり強く発生していたことによるものです。しかし一般的には「短周期地震動」が発生しやすい、内陸直下型地震の場合に顕著になると思われます。

東日本大震災では、東京・新宿などの超高層ビルにおいては「長周期地震動」による「一次モード振動」が卓越し、それより低い高層マンションなどでは、「短周期地震動」による「二次モード振動」が多発したわけですが、これは地震の規模や震源との距離、地盤の状態など多くの要素に影響されるものです。ですから、まずこのような事が起こるという事を知った上で、普段から「どちらが起きてもおかしくない」という意識を持って、対策を進めなければなりません。具体的な方法は後述します。

次回は、「免振ビルは本当に地震からの救世主か?」ということについて考えます。


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違います違います

ふと気がつけば、当ブログも60000PVを超えております。スタートから5ヶ月弱で、ここまで来られました。皆様のご愛読に、心から感謝いたします。


ところで、昨日、管理人はちょっと慌てました。

最近、「SMC防災研究所」という検索ワードで当ブログを訪れていただける方が急に増えたので、少しは有名になったのかな(笑)などと気楽に考えておりましたら、実はそうではありませんでした。

訪問された方のリンクを辿ってみたら、ある検索ページでは、「SMC防災研究所」というワードで、「SMC Japan」という一般社団法人の情報がたくさんヒットしているのです。管理人は全く存じ上げなかったのですが、こちらは「サイエンスメディアセンタージャパン」さんという団体で、様々な分野の科学者の情報発信を支援する団体さんのようです。

先方が扱われている内容に、防災や地震関連の情報もあるものですから、検索結果だけを見ると、「SMC防災研究所」が「SMC Japan」さんのいち組織であるような印象を受けてしまいます。

言うまでもなく、管理人の「SMC防災研究所」と「サイエンスメディアセンタージャパン」さんは、全く無関係です。「SMC防災研究所」は、管理人てばが主宰する、あくまで個人的な組織にすぎません。もちろん法人化もしていなければ、当面はその予定もありません。はっきり言えば、今は「看板だけ」に近いものがあります(笑)管理人も科学者ではなく、あくまで市井のいち防災研究者です。むしろ「防災ヲタ」と言っていただいた方が嬉しいくらいで。

科学者の活動を支援しておられる団体さんと、個人的な組織が混同されてしまって、先方にご迷惑があってはいけないと思いますので、両者は全く無関係であると、この場でお知らせしておきます。

なお、こちらのSMCとは、自主防災の基本的な柱である三つの言葉、
■自助 (Self help)
■互助 (Mutual aid)
■協働 (Co-operation)
これらの頭文字を並べて、管理人が命名したものです。

2012年6月 7日 (木)

地震関連情報【6/7三陸沖地震について】

本日午後12時06分ごろ、三陸沖深さ10kmを震源とするマグニチュード5.3の地震が発生し、石巻市などで最大震度1を記録しました。

この地震は、震央の位置と震源深さから、東日本大震災後の地殻変動による「アウターライズ地震」と考えられます。規模的には小さな地震ですが、この場所でマグニチュード6台後半から7以上の大規模な「アウターライズ地震」が発生した場合、東日本の太平洋沿岸に津波が到達する可能性が大きいため、敢えて記事としてピックアップします。


震災直後からずっと、大規模な「アウターライズ地震」発生の危険は指摘されていましたが、最近になって、再び巨大「アウターライズ地震」の危機をあおるような、記事や書籍が特に目につくようになった気がします。震災震源域付近における地震活動がとりあえず落ち着きを見せつつある中で、巨大「アウターライズ地震」による大津波の発生は、最も現実的な危険度が高い脅威と言えますから、「商売のネタ」としても好適なのでしょう。

その影響かどうか、ネット上には例によってエセ情報が溢れているようです。管理人が目にしたのは、「アウターライズ地震はマグニチュード9を超える」とか「震度6強の揺れが10分以上続く」とか、全く根拠の無い噴飯ものの話です。とにかく、なんとか巨大災害の脅威が迫っていることにしたい手合いが多いらしい(笑)

上記のどちらも、まったくあり得ないことです。単一の震源で発生する地震のエネルギーが、震災本震のような広大なプレート境界域の破壊による放出エネルギー量を超えることなど絶対にあり得ませんし、陸地から数百キロ沖合いのアウターライズで発生する単一地震で、陸地が震度6強になるということもありません。

さらに「アウターライズ地震」とは、発振機構的には、浅い「内陸直下型地震」と同じものです。震源深さ10km以下の内陸直下型地震の特徴とは、震源が浅いために強い地震波が伝わる範囲が狭くなり、しかも強い揺れの持続時間は、その他のタイプの地震に比べて短いのです。つまり、上記のような現象は全く起きません。

「アウターライズ地震」の脅威は、陸地の揺れがあまり大きくないのに、大きな津波に襲われることがあるという、この一点に尽きます。

ネット上では良くあることですが、本来は無関係の複数の情報が、恣意的あるいは感覚的に合成され、それがまことしやかに伝播する典型的な例です。ここでの「震度6強」とは、宮城県栗原市の一部を除く、震災本震での最大震度です。「10分間揺れが続く」というのも、震災で東北各地に実際に起きたことですが、これはプレート境界が広い範囲に渡って連鎖的に破壊され、さらに多数の余震が連続して発生したことによるものです。それでも、最大の揺れがずっと続いたわけでは無いのですが。

このようなデマ情報は、震災震源域付近において、現在最も恐ろしいと考えられる「アウターライズ地震」が、震災で実際に起きた恐ろしい現象や情報と、「恐ろしい」という、あまりに曖昧な共通項で合成されたものにすぎません。

残念ながら、この手のデマ情報は、災害の脅威が大きければ大きいほど数多く発生し、その拡散を止めることはできません。そんな中で、こんなくだらない情報に踊らされないためには、情報の受け手であるあなた自身の姿勢が全てです。

これは管理人の考えですが、世の中にはそれほど「面白い情報」も、「ものすごい特ダネ」も転がってはいないのです。ましてや「不特定超多数」が見るネット上になど。勝手に目や耳に入ってきて、「これはすごい!」と感じた情報は、まず疑ってかかることをお勧めします。

正しい情報は自らが能動的に集め、確証が持てないものは、複数の情報と照らし合わせてクロスチェックしなければなりません。その情報による行動の成否が命に関わるものならば、なおさらです。

このブログにしても、もしかしたら管理人が皆様を騙そうとしているかもしれませんよ(笑)。それは冗談ですが、管理人が正しいと思っている情報も、それが絶対だと言い切れないものもあるのは事実です。とにかく、常に理性的な判断をしたいと望むならば、ひとつの情報を理由もなく盲信しないことです。


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首都圏直下型地震を生き残れ!【26】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その3)

今回は、なぜ「長周期地震動」が高層ビルにおいて危険なのかについて考えます。

低層の耐震建物は、構造部材をがっちりと組み合わせることで地震の揺れに耐える「剛構造」(ごうこうぞう)です。これに対し、ある高さ以上の高層ビルは、構造部材の結合に意識的に「遊び」を持たせて、建物をある程度揺らすことで地震のエネルギーを吸収、発散させて主要構造の破壊を防ぐ、「柔構造」(じゅうこうぞう)になっています。実際、超高層ビルは強風でもかなり揺れています。

東日本大震災では、東京都内の超高層ビルが肉眼でわかるほどゆらゆらと揺れている映像をご覧になった方も多いでしょう。あれほどの揺れが実際に確認されたのは世界初のことだったのですが、あれはある意味で技術の勝利でした。設計通りの性能を発揮したのです。

一方で、大きな問題も露呈しました。超高層ビルの揺れが、想定していたよりも「大きく、長かった」のです。実は、「長周期地震動」というものの存在が明らかになって来たのはここ数年のことで、現在建っている超高層ビルの設計段階では、あのような大きく長い揺れが続くことは、あまり想定されていませんでした。超巨大地震による「長周期地震動」は、超高層ビルを想定以上に揺らしてしまったのです。

そのため、今後さらに強い「長周期地震動」に見舞われた場合、果たしてその揺れの大きさと、特に持続時間の長さに対して、ビルの主要構造が耐えきれるのか?そんな懸念が生じているのも事実です。しかし懸念される事態は、高層ビルがいきなりポキッと折れてしまうようなものではありません。ほとんどは、あくまで主要構造に想定以上のダメージが残るかもしれないというレベルの話ですから、あまり心配しすぎませんように。


では、なぜ超高層ビルは「長周期地震動」で大きく揺らされるのでしょうか。それは「固有振動周期」の問題です。
物体には、それぞれ固有の揺れやすい周期があります。物体に振動を加えると、振動がその物体の「固有振動周期」と一致した時に、物体の揺れは加えた振動以上の大きさに増幅され、大きな破壊力をもたらします。そして、超高層ビルの「固有震動周期」と、「長周期地震動」の震動周期が近いということが最大の問題です。つまり、「長周期地震動」は、超高層ビルの揺れを増幅するのです。

地震の震動周期と被害の関係を示す実例を挙げます。1995年の阪神・淡路大震災では、低層建物の「固有振動周期」に近い、周期1~2秒程度の「短周期地震動」が発生し、低層建物が数多く倒壊しました。2008年の岩手・宮城内陸地震では、山や崖の「固有振動周期」に近い、周期0.2~0.5秒程度の「極短周期地震動」が発生し、建物被害は少なかった一方で、大規模な山崩れや地滑りが多発しました。

そして東日本大震災では、関東を始めとする遠隔地の平野部で発生した「長周期地震動」によって、超高層ビルに過去最大の揺れが発生しました。このように、揺れ方によって主な被害は変わって来ます。なお、東日本大震災での東北地方では、ごく短周期の揺れと比較的長周期の揺れが主に発生し、最も破壊力が大きい周期1~2秒の揺れ成分が少なかったために、震度の割には建物被害は少なかったのです。各地に津波が押し寄せてくる前の映像でも、全壊している建物はほとんど映っていません。


建物の構造的な話はともかく、揺れが大きくなるということは、もちろん室内へのダメージも大きいということです。そのための対策はどうするかという話が一番大切なのですが、その前に、地震の揺れと高層ビル被害の関連について、もう一回だけ(もしかしたら二回かも)考えます。危険なのは超高層ビルだけではなく、「長周期地震動」だけでもない。そして「免震ビル」は、本当に地震からの救世主たりうるのか?という話です。


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地震関連情報【6/6房総半島沖地震について】

まず最初にお断りしておきますが、この記事は地震の発生を予知、予告するものではありません。あくまで可能性のひとつとしての情報です。なお、当記事で採り上げる地震の震央は、気象庁発表での呼称は「千葉県東方沖」とされていますが、沿岸部の地震と区別するために、当記事では「房総半島沖」と呼称します。

6月6日、午前4時31分ごろ、房総半島東方沖、震源深さ20kmでマグニチュード6.3の地震が発生し、茨城県藤代町などで最大震度3を記録しました。震源が陸地から遠かったために、陸上の揺れは大したことはありませんでしたが、マグニチュード6クラスですから、比較的大きな地震だったと言えます。

普段、この震源域ではあまり地震は発生しておらず、東日本大震災の前後でも目立った変化はありませんでした。かなり静かな場所で発生した中規模の地震と言えますが、この場所での地震には、少し気になることがあります。この震源域は、1677年に発生した、マグニチュード8超クラスと想像される「延宝房総沖地震」の震源域と重なると思われるからです。

この地震は、陸上での揺れはそれほど大きくなかったものの、沿岸部の非常に広い範囲に津波被害をもたらしたとされています。しかしその後、この震源域では、今日に至るまで335年に渡って大規模地震は発生しておらず、プレート境界面に大規模な固着域(アスペリティ)が存在した場合、既に大きなひずみエネルギーが蓄積されている可能性があると指摘されている場所です。そして今回の地震は、震源深さ20kmということからして、「プレート境界型地震」の可能性が高いと思われます。

この震源域が動く可能性について、管理人は当ブログ本館のmixiコミュニティ「生き残れ。~災害に備えよう~」の中で、2011年7月頃から何度か指摘して来ましたが、ここまで特段目立った動きはありませんでした。しかし今回、関東付近での地震回数が増える傾向の中で、マグニチュード6.3という中規模の地震が発生したことを受け、改めてこの付近で大規模地震が発生するかもしれないという可能性をを提示したいと思います。

繰り返しますが、本文には地震の予知、予告的な意味は全く無く、あくまで大きな津波被害をもたらす可能性のある地震の発生を改めて想定し、被害を最小限にとどめる対策を進めていただくための「可能性の提示」に過ぎません。

まずは今回の地震が、大規模地震の「前震」である可能性を想定し、しばらくの間は動きを注意深く見守る必要があります。そこで何も起こらなくても、この震源域は上記のような「爆弾」を抱えている可能性があるということを、常に意識しておいていただきたいと思います。

最近、房総半島南端部からその沖合にかけての場所で、マグニチュード8超クラスが発生する可能性があるという「新想定」が発表されてニュースになっていますが、今回の震源域も、それに負けず劣らずの危険を秘めているのです。

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2012年6月 6日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【25】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その2)

今回は、高層ビルを大きく揺らす「長周期地震動」とは、どこでどのように発生するのかについて考えます。

「長周期地震動」が発生する条件は、「大きなボウルでつくったプリン」をイメージしてください。固いボウルの中の柔らかいプリンは、ボウルを揺らすとゆらゆら、たぷたぷと揺れて、ボウルの動きを止めてもしばらく揺れていますね。それが「長周期地震動」です。

固いボウルにあたるのが、地下の固い岩盤です。ではプリンは何かというと、堆積物なのです。川によって上流から運ばれた土砂が堆積した場所や、火山灰が厚く積もって地盤となった場所で発生します。堆積物は、岩盤にくらべてはるかに柔らかいので、ボウルとプリンと似た関係となるのです。そのような場所の模式図が、下図です。
Photo_4
岩盤の揺れによって、柔らかい堆積物がゆらゆら、たぷたぷとゆっくり揺れ、さらにボウル状になった岩盤の中で反射・合成を繰り返してより長い周期の揺れとなり、岩盤の揺れが止まる、つまり地震が収まった後もしばらく揺れ続けます。

我が国でそのような条件が揃った場所はどこかというと、「平野」ということになります。平野は、一般に川によって運ばれた堆積物が、岩盤の上に平らに積もった場所です。また関東平野のように、火山の噴出物が厚く堆積した(関東ローム層)上に、川によって運ばれた堆積物が乗った構造もあります。これなど柔らかさの違うババロアとプリンの二段重ねのようなもので、より持続時間の長い、複雑な揺れを発生させます。

では、日本列島で「長周期地震動」が起きやすい地下構造の場所、つまり盆地状の岩盤の上に堆積物が積もった地形(沖積平野)はどれだけあるのでしょうか。それが下図です。
Photo_3
このように我が国の主要な平野の多くが、「長周期地震動」が起きやすい構造なのです。しかし、必ずしもこの図の場所だけではありません。現に2003年の十勝沖地震(マグニチュード8.0)では、上図には無い北海道の十勝平野、釧路平野で、「長周期地震動」の発生が確認されています。震源との位置関係もありますが、日本列島の平野部ほとんどで、「長周期地震動」が発生する可能性があると言えます。

これらの平野部、すなわち高層建築物が多い場所に、ある程度離れた震源で発生した大規模地震の地震波が到達すると、強い「長周期地震動」の発生が予想されます。一例として、想定される東海地震が発生した場合、関東平野である東京都内では震度5弱~5強の揺れが予想されていますが、その震度以上に、高層ビルだけがより大きく、長く「振り回される」ことが懸念されているわけです。

本文における高層ビルとは、10階建て程度以上を想定していますが、「長周期地震動」の影響は、高層になるほど大きくなります。それは、いわゆる高層ビルの構造が「柔構造」になっているからです。

高層ビルと「長周期地震動」の関係については、次回に続きます。


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2012年6月 5日 (火)

首都圏直下型地震を生き残れ!【24】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その1)

「アウェイ」の旅先から、「ホーム」の街に帰って来ました。今回からは、自宅アパート、マンションやオフィスが入っている、高層ビルでの防災を考えます。本文における高層ビルとは、10階建てくらいから数十階建ての超高層ビルまでをイメージしています。そのような建物は、地震によって一戸建てや中低層ビルとは異なる、特異な影響を受けるのです。

とはいえ、高層ビルは必然的にその構造強度が高く、地震によって完全崩壊する可能性は高くありませんから、まずはかなり安全性が高い場所だと言えます。しかしその特性上、地震の揺れを増幅しますので、特に中高層部の室内では、揺れに対する対策を特に強化する必要があります。

高層ビルでの地震対策を考える場合、まず「長周期地震動」について、多少は知っておく必要があります。東日本大震災以降、良く聞くようになった言葉ですね。ただし管理人の考え方として、地震のメカニズムに関する知識など、対策をする上ではほとんど必要無いのです。野球理論をいくら勉強しても、野球は上手にならないのと一緒です。知らなければならないのは、野球が上手くなるためには「何をするべきか」、それを「どうやるべきか」ということだけです。

もちろん、関連する知識は多いに越したことはありません。しかし、最近の「防災本」の類を見るにつけ、地震のメカニズムや想定データの解説などに内容の大半が割かれ、個人で行うべき対策など、通り一遍の内容が一割以下のようなものが、あまりに目に付きます。メカニズムやデータの知識を増やしただけで、「生き残る」力がアップするような錯覚に陥りそうです。震災以降、防災に関する情報は激増していますが、よく見てください。「こうすべきだ」という情報は山ほどありますが、それをどうするかというものはごく僅かではないですか?べき論だけで生き残れるなら、苦労はしません。

必要なのは、大地震が来たら自分の身の周りで何が起きて、それに対して「実際には」どうするか、それだけです。ちょっとマニアックな例えで恐縮ですが、管理人はバイクに乗ります。初心者ライダーへの指導で「肩の力を抜け」と、誰もが必ず言うのですが、肩を意識しても力は抜けません。そこで管理人は、「グリップを握る握力を半分にする気持ちで」と教えます。そうすると、自然と上半身の力が抜けるのです。

このように、「実際にはどうやったら所期の目的が達成できるか?」、「問題を起こしている根本の原因は何か?」という視点が無ければ、そんな情報は絵に描いたモチに過ぎないのです。これは防災に限った話ではありませんが。ですから、当ブログでは上記のような視点と、「その時何が起きるか」という知識を補強する視点から、地震のメカニズムを解説して行きます。加えて、多少はマニアックな部分(笑)にも踏み込んで行きたいと思います。

ではまず「長周期地震動」とは何か、という問題から。イメージ的には、超高層ビルをゆらゆらと揺らす地震、という感じでしょうか。実際には、かなり誤解されている部分があるのではないかと思います。例えば、高層ビルのゆっくりとした揺れ自体が「長周期地震動」だと言うような。

「長周期地震動」の定義としては、揺れの周期が2秒から20秒程度の、ゆっくりとした地震動のことです。その中で、周期2秒から5秒程度の揺れは、「稍(やや)長周期地震動」と分類されることもあります。なお、揺れの周期による分類はあまり厳密では無く、資料によって差が見られます。

ところで、「長周期地震動」を震源で発生させる地震というものは、実は存在しません。「長周期地震動」とは、地震の揺れが地下を伝わって来る過程で発生し、さらにその場所の地盤の状態によって増幅される現象のことなのです。基本的に、地震は震源からの距離が遠くなるほど、揺れの周期が長くなる傾向があります。これは地震波が伝わる課程で、地表近くを伝わる「表面波」や、地殻内で屈折、反射をした地震波が合成されて「ゆるやかな」地震波になるからです。水の波紋が、発生した場所から離れるほどゆるやかな波になるのと似ています。

そのように、震源からの距離があるほど、なんだかわかりずらい表現ですが「比較的周期の短い長周期地震動」に変わって行きます。そしてある条件を持った地盤に到達した時、さらに周期が長く、持続時間の長い揺れを発生させます。その揺れこそが、特に震災以降、都市部で何かと問題にされる「長周期地震動」の正体であり、高層ビルに大きな脅威をもたらすものなのです。

東日本大震災では、震源から500km以上離れた関東どころか、1000km以上離れた関西でさえ発生し、高層ビルを大きく揺らしました。大阪の震度は3程度だったのに、多くの人が高層ビルから脱出したのをご記憶の方も多いでしょう。普通の地震ならあり得ない光景ですが、遠距離の超巨大地震と地盤の状態の相乗効果によって起きた現象なのです。

では、危険な「長周期地震動」を発生させる地盤の条件とはどんなもので、どこで発生するのでしょうか。次回に続きます。

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2012年6月 4日 (月)

首都圏直下型地震を生き残れ!【23】☆旅行編

■旅行で生き残れ(その7)

今回は、パラシュートコード(以下パラコード)使用法の続きです。
Paracode

前回はパラコードを切らない使用法でしたが、今回は切ります。そこではさみが必要になります。パラコードは非常に丈夫なヒモですから、知識とアイデア次第で無限とも言える用途がありますが、今回は特に屋外での使用法をふたつ紹介します。

まずひとつは、旅行用のファーストエイドキットに入れておくべきグッズのひとつ、アルミレスキューシート(アルミブランケット)との組み合わせ。悪天候の屋外で長時間待機しなければならないとき、このふたつで簡易シェルターが造れます。レスキューシートの端をつまんで、そこにパラコードを縛り、反対側を木や地物に結んだり、石を結んで重石にして張れば、とりあえず雨や雪が凌げる簡易シェルターになります。レスキューシートに穴を開けるとそこからすぐに裂けてしまうので、つまんだ部分を縛るのです。張り方は、雨や雪が溜まらないように、傾斜をつけるのがポイントです。通常のサイズのシートなら、一枚で2人が座れるくらいのスペースができます。

本題からは外れますが、アルミレスキューシートは光線反射率が非常に高いため、例えば海水浴などの直射日光下で荷物を包んでおけば、温度の上昇を効果的に防いでくれます。高温を嫌うカメラや携帯電話などの電気製品や、生の食品などがある場合に便利です。管理人は、この使い方は結構やっています。また、光線反射率の高さは遠距離からの視認性の高さにも繋がりますので、航空機や船に対して救難信号を送る際には、絶大な効果があります。反射光線が航空機や船の方向に行くくらいの角度に拡げ、角度を変えながら動かすことで、キラッ、キラッと光らせるわけです。

さておき、パラコードを使うもうひとつの用途は、名付けて「マガジンギプス」(管理人命名)。腕や足などを骨折した場合、患部を動かすと激しい痛みがありますし、治療の予後も悪くなりますから、とにかく固定しなければなりません。その場合に最も簡単なのが、雑誌を使う方法です。なお、この方法は患部が大きく変形していたり、患部が裂けている開放性骨折には使えません。外見上は患部があまり変形していない、重い捻挫や単純骨折の場合の対処法です。

まず、患部にタオルやスカーフなどを巻きます。次に患部を丸めた雑誌類で包むようにして固定し、ギプス代わりにするわけです。そこで、丸めた雑誌を縛るのが、パラコードです。可能であれば、多数のハンカチや包帯などで雑誌を縛った方がずれにくくて良いのですが、パラコードを切って何箇所も縛ることでも、問題無くしっかり固定できます。応急的には雑誌の上からガムテープでぐるぐる巻きにするのも良いのですが、旅行の荷物にガムテープを入れるのもあまり現実的ではありませんので、ここはやはり応用範囲の広いパラコードの出番でしょう。

なお、骨折部位を固定する場合は、患部の両側の関節も動かないように固定する必要があります。そのような医学的な知識は、やはり救命救急講習を受講するのが一番ではありますが、最小限の知識は書籍やネット上でもいろいろありますので、是非学んでおいてください。基本的には、まず家族や大切な人の危機を救う力をつける、その気持ちで。

ただ、一般的な「救急マニュアル」に出ている、棒や木の枝などで「副木」(そえぎ)をする方法は、それこそ素人がなかなか上手にできるものではありません。なにせ、人体と棒を一体化させて、動かないようにするのです。考えただけでも難しいですよね。やはり柔らかい板状のもので巻くのが一番簡単であり、週刊誌など最適なわけです。大判の「ムック」だったら、肘から手首まで固定できますよ。

でもこの方法など、文字だけでは本当にわかりづらいですね。管理人に少しでも絵心があれば、イラストでもつけたいところなのですが、すいません。でも、書籍やネット上にも情報はありますので、探して見てください。これなど、いずれ実演して写真入りでやりたいところです。なお、管理人が見た情報のうちでは、雑誌のギプスをパラコードで縛れというものはありませんでしたが(笑)

なお、当ブログで以前紹介した管理人の装備品、
Annex_050
空気膨張式の簡易ギプス、商品名「応急ギブス君」を使用する際にも、患部を雑誌で巻いてから「応急ギブス君」を装着し、より固定力をアップさせる方法が推奨されています。


最後に、軽くまとめます。

公共交通機関で旅行をする際に、管理人がお勧めする「最低限の」防災グッズは、以下の通りです。
■完全な暗闇でも素早く行動できる明るさのLEDライト(管理人お勧めは80ルーメン以上)
■ビニールポンチ、カッパなど防水・防寒用品。
■火災避難用の防煙フード。応急用のウォーターバッグにもなります。
■パラシュートコード(15m程度)
■はさみ、アルミレスキューシートを含めた、ファーストエイドキット。

パラコードは一般的では無い感じもしますが、特にアウトドア系の旅行やキャンプなどでは、必ず役立つときがあると思います。そして大災害に遭遇したら、温泉旅行でもいきなりサバイバルシーンになってしまうわけですから、旅行中はいつも携帯されることをお勧めしたいと思います。

なお、パラコードは一般店舗ではなかなか入手できません。「パラシュートコード」で検索すれば、ミリタリー系のネットショップがヒットします。15mで500円くらいです。


「旅行編」は今回で終了し、次回からは新テーマとなります。だいぶ街から離れてしまいましたので、再び「首都圏」へ戻ります。

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2012年6月 3日 (日)

地震関連情報【千葉・茨城の地震について】

南関東で比較的大きな地震が連続しています。5月29日には、千葉県北西部、深さ80kmを震源とするマグニチュード5.2、最大震度3の地震が、6月1日には、茨城県南部、深さ50kmを震源とするマグニチュード5.2、最大震度4の地震が発生しました。

5月29日の地震は最大震度が3と、地表の揺れはあまり大きくなかったもののの、マグニチュード値が5.2ですから、決して小規模の地震とは言えません。これらの地震は内陸直下型でもあり、マグニチュード値が少し大きくなるだけで、地表の揺れが一気に大きくなる可能性があります。

これらの地震の震源域について、まず下図をご覧ください。
Photo
この図は、今年3月8日に東京大学で開催されて管理人も出席した「首都圏直下地震防災・減災特別プロジェクト最終成果報告会」にて配布された資料から転載させていただきました。

左の図は、2010年9月11日から2011年3月10日まで、つまり東日本大震災前半年間の、マグニチュード3以上の地震の震源と規模、震源深さをプロットしたものです。右の図は、2011年3月11日から2011年9月10日まで、つまり震災から半年間のものです。丸の大きさはマグニチュード値を、色は震源深さを示しています。

このように、南関東での地震は、震災前後で劇的な変化が起きています。現時点でも、関東での地震発生回数は震災前の約3倍となっており、大規模地震が発生する確率も、間違いなく高まっている状態です。

では次に、上図に先ごろ発生した地震の震央位置を重ねて見ます。赤い矢印の先端が5月29日のマグニチュード5.2、深さ80kmの地震、黄色い矢印の先端が、6月1日のマグニチュード5.2、深さ50kmの地震の震央です。
Photo_2

この図から、これらふたつの地震の震源域は、震災後に地震の発生が非常に増えた震源域で発生していることがわかります。5月29日の震央付近(赤矢印)では、マグニチュード4以上、深さ60~80kmの地震が、6月1日の震央付近(黄矢印)では、マグニチュード3~5クラス、深さ40~50kmの地震が集中していることがわかります。

今回の地震もその流れの中にあるわけですが、両者ともマグニチュード5超であり、それが短期間で続けて起きたということに着目すべきです。すなわち、この震源域に比較的大きな地震を発生させるメカニズムがより強く働き始めたと考えるべきで、それは太平洋プレートが大陸プレートの下に潜り込む速度が、震災前に比べて最大3倍にもなっていることと無関係ではありません。

もちろん上図でもわかるように、震災後に地震が頻発するようになった震源域は広い範囲に広がっており、太平洋プレートの加速は、すべての場所に何らかの影響を及ぼしているはずです。そしてあまり地震が増えていない地域でも、それは例外ではありません。

今回の地震は、太平洋プレートの動きと密接に関連している「スラブ内地震」および「プレート境界型地震」の性格が強いものですが、関東の地下はユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートが三層になってせめぎあう非常に複雑な構造ですから、今後どこにストレスが集中するかは、よくわかりません。そして、地表から10km程度の浅い部分には多くの活断層が眠っていて、それらがいつ動くのかも、全く予測できません。

あまり楽しい話ではありませんが、南関東は今、1923年(大正12年)の関東大震災以来、大地震の最大の危機にあると言っても過言では無いでしょう。これから当分の間は、少なくとも比較的大きな地震が頻発する状態が続くのは間違いありません。統計学上では、小さな地震が多発すれば、それだけ大きな地震の確率が上がるという経験則があります。

震災後の異常とも言える地震発生回数の中で、大規模地震の確率がどれだけ上がっているのかは良くわかりませんが、少なくとも今生きている人間が経験する最大の危機である、そう考えて備えを進めるべきです。東京を含む南関東が大規模に被災した場合、被災地全域で十分な公的支援は期待できないと考えた方が良さそうです。少なくとも、自力で一週間は生き延びられる備えをしておくことをお勧めします。


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2012年6月 1日 (金)

これでいいのだろうか?【管理人ひとりごと】

※どうやらこれが当ブログ200本目の記事になるようです。2012年1月12日にスタートして約4ヶ月半、かなり飛ばしながらここまで来ました。管理人が妙なオーラを出しているのでしょうか(笑)、コメントもほとんどいただけないので、このブログが本当にお役に立てているのか、いつも不安に思っております。もしよろしければ、一言でもご感想をいただければ幸いです。コメント、トラックバックとも、いつもフリーにしておりますので。では、本文です。

管理人は、常日頃から「机上の空論」を忌み嫌っているわけですが、自分のブログでもなかなか説明しきれない事も多く、結果的に「机上の空論」みたいになってしまうことを危惧しています。

例えば前の記事で、ペットボトルを結んだコードを「投げる」と一言で片付けてますが、どうやって投げるのが届きやすいか、その時余ったコードはどうしておくかなど、実際にやってみないとわからないことがいろいろあるわけです。でも、緊急時にあれこれ試している暇は無いですし。

この場合の正解は、文字で書けばこうなります。右手で投げる場合、まず左手にコードの端を巻きつけてしっかりと握り、余ったコードは絡まないように、地面に置く。右手でペットボトルの口の部分を持つ。足を開いて立ち、右腕は曲げずに、腰から上全体を使って、弧を描いて目標地点まで飛ぶように、斜め上方に向かって投げ上げる・・・イメージは掴めたでしょうか。百聞は一見に如かず、なんですけどね。ちなみに、わかる方には、この一言でわかります。「手榴弾の投げ方とほぼ一緒」。管理人は、元自衛隊とかではありませんけど。

また、窓からシーツのロープを垂らした後、窓枠を乗り越えて、どうやってロープに体重を預ける体勢まで持っていくか。これなど文章で的確に表現するのはほとんど無理ですし、これが絶対、という方法があるわけでもない。建物の構造などでも、やりかたは変わります。そして、ぶっつけ本番で一度失敗したら、落下して終わりです。やり直しは効きません。それに想像以上の体力を使うことですから、ぶら下がったら数秒も持たずに落下してしまうような人も、現実には少なくないでしょう。事実、過去の火災や災害で、そのような事例はたくさんあるのです。

そんな方法を、あたかも誰もが使えるように紹介するのはどうなのだろうか。これも結局、「トリビア」に過ぎないのではないか、という思いもあります。でも成功すれば、ギリギリのところで生き残れるのも確かです。ならば知らないよりは、知っていた方がいい。選択肢は多い方がいい、そう割り切ることにします。

災害の危機的状況から生き残れる人は、それだけの要素を持っていたということです。知識、技術、体力そして、運。どれが欠けても、災害はそれを見逃してくれないでしょう。当然ながら、「誰もが生き残れるわけでは無い」のです。それでも、僅かな可能性を少しでも膨らませるための知識や技術をできるだけ詳しくお伝えする、このブログはそういう考え方で運営して行きたいと思います。

テーマとは無関係の内容ですが、当ブログが、できもしないことを勧める「お気楽防災マニュアル」にならないために、改めてここで考えておきたいと思った次第です。


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首都圏直下型地震を生き残れ!【22】☆旅行編

■旅行で生き残れ(その6)

今回は、旅行で携帯すべき防災グッズについて、再び考えます。

当テーマの二回目記事で、主に移動中の危険に対応するために携帯すべきグッズとして、■80ルーメンクラス以上のLEDライト、■ビニールポンチョやカッパ、■防煙フードの三つを挙げました。もちろんこれらは移動中だけでなく、旅行中の多くの状況で役立ちます。

LEDライトは暗い場所でのあらゆる行動時に。余技として、夜に宿の周辺を「探検」してみるなどの楽しみ方もできます。防煙フードは宿泊先での火災時に。これは厚手のビニール製バッグですから、緊急時に水を汲んだり、溜めたりする容器として使うという裏技もあります。ビニールポンチョやカッパは、観光中に突然の豪雨に遭った時や、寒い時のウインドブレーカーとしても大活躍です。

さて、当テーマの初回に出てきた「はさみ」はどうしたかというと、それだけ持っていてもおかしなものです。管理人お勧めの携帯方法は、「ファーストエイドキット」に入れることです。旅先でのちょっとした怪我に対応するための絆創膏、液体傷薬、虫さされ薬、ガーゼ、アルミブランケットなどと一緒にポーチに入れておけば、それが「武器」と見なされて軽犯罪法違反に問われることは無いでしょう。

もし何に使うかと問われたら、ガーゼを切ったり、手当の時に患部を露出させるために、服を切るためだと言えば良いのです。本当ですから。でも、例えば夜道を一人で歩いていて、ポケットにはさみだけ入っているよう状態だったら、これはとがめられても仕方ありません。余談ながら、「ファーストエイドキット」には、薄手のゴム手袋を入れておくことをお勧めします。出血部位をさわる時の血液感染防止用ですが、それ以前に、血液を直接さわるのは気持ちの良いものではありませんし。

そしてもうひとつ、管理人が旅行に持参することをお勧めしたいのが、これです。
Paracode
パラシュートコードです。要はパラシュート用のヒモで、静過重250kgに耐える、つまり人間ひとりくらいは楽に吊れる強度を持つものです。当ブログでは過去にもお勧めしていますが、これが特にアウトドア系の旅行では、いざという時にとても役立ちます。

実のところ、管理人としては、はさみはこれを切るために持っていたいのです。でも、警察官に「パラシュートコードを切るため」なんて言っても「?」でしょうし。疑われたらかなわない(笑)さて、その使用法です。まずは救助用。海や川で遊んでいる時に、溺れている人を見つけたらどうしますか?自分で泳いで行って助けるのは、訓練を受けている人間でも困難です。パニック状態の人にしがみつかれて、一緒に溺れるケースが多発しています。相手が子供とかならともかく、絶対とは言えないものの、基本的にやるべきでは無い行動です。

その場合、まずペットボトルの中身を2リットルボトルなら三分の二、500ccボトルなら半分捨てて、キャップを締めます。そしてパラシュートコードをボトルの口の部分にしっかりと結び、溺れている人に向かって投げるのです。そうすれば残った飲料の重みで遠くまで届き、水に落ちても水面に浮き、すぐにコードの端を掴めます。

市販されているパラシュートコードは、一般に15mと30mのものが多いのですが、15mあればかなりのケースに対応できるでしょう。前出の画像は15mのものです。なお、パラシュートコードは絡みやすいので、絡みずらい巻き方、ほどき方、さらに用途に応じた結び方を普段から修得しておかないと、いざという時に役立ちません。

次に脱出用。とは言え、こんな細いコードを伝って垂直の壁を降りることは、全く不可能です。握っても全く力が入りません。これは最悪のケースにおける最後の手段ですが、幼児くらいまでなら、背中からわきの下にコードを回して吊り下ろすことはできます。ただ、その場合の結び方、ほどき方、コードの保持の仕方までは、ここでは解説できませんので、興味のある方は調べてみてください。「ロープの結び方」のような書籍はたくさん出ていますし、ネット上にも情報はあります。


また、昔から良く言われ、実際のビル火災などでも成功例が少なくない、「シーツを裂いてロープを作る」際に使えます。シーツを幅30~50cmくらいに裂いて(ここでもはさみが活躍します)、大きな結び目を作って縛ります。途中にも、50cm間隔くらいで結び目を作ることで、強度アップと、降りる際に手や足をかける滑り止めになります。
そうやって作ったロープに、パラシュートコードをらせん状に巻き付け、一緒に窓枠などに結びつけることで、大幅な強度アップと滑り止め効果があるのです。それだけで体重を保持できる強度を持つパラシュートコードが、かなりの重量を負担しますので、シーツの結び目がほどける危険がぐっと減るというわけです。

しかしこの場合の問題は、ロープではなく人間の方です。切れないロープができても、普通の人間が手の力だけで体重を保持できるのは、30秒持てば良い方です。しかも、降りるためには一時的に片腕に全体重がかかります。実感できなければ、一度鉄棒にでもぶらさがり、片手を離してみてください。実際にはロープは鉄棒より細くて、「垂直」なのです。しかも本番では足元に地面が無い!その厳しさがおわかりいただけるでしょう。

ですから足を結び目にかけたり、太ももで挟んだり、壁に足をついて体重を分散しながら降りるという技術が必要になりますが、いきなりできるものでもありません。それをなんとかこなしても、この方法が使えるのは、せいぜい一階下の窓やベランダに降りる場合くらいと考えていなければなりません。それも速やかに。途中で止まってしまったら、1分もしないうちに握力を失って落下してしまうでしょう。

紹介しておいて自ら否定するようなのですが、世間の「防災マニュアル」には、「脱出用のロープ」などとお気楽に紹介されているものもありますし、ロープがあれば誰でも高所からの脱出が可能だと思っている人も、結構いたりするものです。しかし現実には、例えば二階から地上に降りるだけでも、それなりの技術と体力、それにかなりの勇気を必要とするものなのです。いくら丈夫なロープがあっても、ビルの窓枠を乗り越えて外に出ることを想像してみてください。そのあたりを誤解していただきたくないので、敢えてこのように書いた次第です。

それでも、「最後の手段」をひとつ増やす方法を、管理人はお勧めしたいと思います。子供を吊り降ろすのはそれほど困難ではありませんし、複数の人が協力すれば、大人でも吊り下せるでしょう。自分の時も、もし途中で落ちても、そこまで降りた分だけダメージが減るわけですから。例えば3階からは飛び降りられなくても、2階の高さまで降りたら、なんとかなりそうですし。

かなり長くなりましたので、次回に続きます。


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