首都圏直下型地震を生き残れ!【35】☆高層ビル編
■高層ビルで生き残れ(その12)
今回は、その他の方法について考えます。
前回記事(その11)で、家具の転倒対策の多重化について考えましたが、過去に「家の中の地震対策」シリーズなどで述べて来た通り、それぞれの器具がその性能を十分に発揮できる環境は、意外に少ないのです。そこで、できるだけ多くの環境に対処できる、最大公約数的な方法を考えてみます。そこで最も確実なのは、一番多くのケースで設置が可能である「転倒防止クサビ」を中心に、そのバックアップをするという方法です。
ここで、前回記事に掲載した模式図を再掲します。
この図では「転倒防止クサビ」を使っていませんが、前回は何も説明せずに、家具と壁の間に、さりげなく「クッション」を入れてあります。これは、家具が揺れて壁に衝突する衝撃を分散、吸収して、転倒する方向へ加わる反発力を弱めるためのものです。具体的な方法については後述しますが、家具と壁の間に隙間がある場合は、家具の揺れを抑制するために効果的です。
「転倒防止クサビ」を使う場合、家具は最初から壁によりかかっていますのでこの方法は使えませんが、可能であれば何らかのクッションを挟むことで、より効果がアップするわけです。
前回記事では、「転倒防止クサビ」と併用するものとして「アンカーベルト」をお勧めしたのですが、背後の壁が石膏ボードや漆喰壁で、「アンカーベルト」のボルトを植え込むための十分な強度が無い場合が多いのが現実です。
そこで、現実的に最も効果的と思われる組み合わせを考えました。それが下図です。なお、わかりやすくするために誇張して描いています。
「転倒防止クサビ」を設置した上で、その角度に合わせて「粘着式アンカー」を併用する方法です。「粘着式アンカー」の粘着面は、いわゆる「耐震ジェルマット」とほぼ同じ、厚みと粘りがあるジェル状のマットですから、衝突に対する緩衝効果があります。さらに家具に貼り付けてあるジェル面でも、水平方向の動きを抑制しますから(これが本来の機能ですが)、「転倒防止クサビ」との相乗効果で、家具の揺れを効果的に減殺することができます。
家具が転倒するとは、家具が傾くことによる重心の移動と、それが壁に衝突した時の反発力で増幅されることによるものですから、この組み合わせはその両方を最初から抑えてしまう効果が大きく、家具を建物の揺れと強制的に同調させます。平たく言えば、家具が暴れづらいということです。
問題点は「アンカーベルト」に比べて数倍のコストがかかることですが、命(と、家財)を守る出費と考えれば、それほど高いものでは無いと思いますが。「粘着式アンカー」にもいくつか種類がありますが、管理人も使用している「ガムロック」(下画像の二個セット、家具一台分)で、2500円前後です。ネットショップで購入できますが、商品レビューを見ると、東日本大震災被災地でも、十分な効果を発揮したようです。
なお、言うまでもなく管理人はいかなる業者などとも一切関係はありません。また、あくまで個人の経験と考察からお勧めしているものですから、これがベストだとは言い切れません。管理人個人のお勧めとしてご理解ください。
次回に続きます。
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