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2012年6月27日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【37】☆高層ビル編

■高層ビルで生き残れ(その14)

今回は、このテーマの最終回として、特に高層ビルにおける、そしてその他の多くのケースに対応できる地震対策を考えます。

まずは、強い地震の際に最大の凶器となる、アップライトピアノの対策です。数百キロの重量があるアップライトピアノの地震対策は「移動防止」と「壁への衝突防止」、この二点に集約されます。

高層ビルで予想されるような周期の長い大きな揺れの場合、ピアノのような重量物も床の上を激しく移動しようとしますから、その動きを抑えなければなりません。そのために、脚の下に移動防止機能や衝撃吸収機能のあるインシュレーターを装着することが必須です。

ピアノの移動を抑えたら、次にピアノがその場で揺れることで、背後の壁にぶつかる動きを抑える必要があります。数百キロもあるピアノが転倒する場合、揺れによって背後の壁に衝突する反作用で、揺れが増幅されるケースがほとんどだからです。背後に壁が無い場合、アップライトピアノは後ろ向きに倒れやすい重心位置になっていますので、その動きを抑える必要があります。

しかしピアノのような重量になると、ここまで述べて来たような家具用の器具や方法では、あまり効果が期待できません。もちろん、ピアノにボルト穴をあけたり、表面に何か器具を取り付けることは現実的ではありません。そんなピアノのためには、専用の器具があります。この器具の原理は、ピアノの下に敷く底板とピアノの構造部材をクランプして一体化させ、ピアノが単体で揺れる動きを抑えるものです。

ピアノをお持ちでしたら、是非ピアノ専門店や楽器店に相談して、アドバイスを受けてください。ピアノは、大地震の際には、家具以上に恐ろしい「凶器」に変わるということをお忘れなく。阪神・淡路大震災では、周期1~2秒という「短周期地震動」を中心とする震度7の揺れが発生しましたが、その中で未対策のアップライトピアノが数秒以内で転倒したり、激しく移動して壁に衝突するような例が多発したのです。


次に、家具への対策以外に、是非用意しておいていただきたいものについてです。それは、特に中高層マンションやアパートで威力を発揮します。

それが、これ。
Photo_2
当ブログでは「家に備える防災グッズ」シリーズの筆頭で採り上げた、大型バールです。家に備えるものとしては、750~900ミリ程度のサイズをお勧めします。

中高層ビルでは、大地震の大きな長い揺れや、前述の「二次モード振動」の発生により、構造にゆがみができる可能性があります。その際、マンションやアパートの頑丈なドアが変形したドア枠にかみこんで、開かなくなることが考えられます。「地震の際にはまずドアを開けろ」と言われるのは、これを防ぐためです。

しかしそれができずに、ドアが開かなくなってしまった場合、強制的に開ける器具があれば安心です。このサイズのバールをてこに使ってこじ開ければ、大抵の場合は問題無いでしょう。それがだめなら、通路側の窓を開け、窓格子を破壊して脱出することもできます。

自分や家族が脱出できたら、他の部屋の救助に使います。中に救助を要する人がいるのにドアが開かないような場合、ドアをこじ開けるのはもちろん、窓格子の破壊、ガラスの破壊、残ったガラスの除去、石膏ボードや羽目板の破壊、倒れた家具の移動や破壊、崩れた梁などが落ちるのを防ぐ支柱など、多くの用途に使えます。ですから、これは「一家に最低一本」、必ず備えておくべきものだと考えます。ホームセンターやネットショップで、安いものは一本2000円前後からあります。

なお、バールには軸が中空の軽量タイプもありますが、災害対策用としては、より強度が高い無垢鉄製のものをお勧めします。無垢鉄製の方が安価でもあります。

加えて、「家に備える防災グッズ」シリーズでお勧めした自動車用ジャッキやノコギリがあれば、さらに多くのケースに対応できるでしょう。そして、このような器具を使うケースを想定し、頑丈な革手袋やヘルメット、防護ゴーグルなどが一緒に置いてあれば、なお良いでしょう。このような備えが「生き残る」確率も、そして「生き残らせる」確率も高めるのです。

ここまで「高層ビルで生き残れ」と題して、14回に渡って様々な対策を述べて来ましたが、文中で何度も繰り返しているように、これらの対策は高層ビル専用ではありません。いかなるケースでも有効な対策の中で、高層ビルで予想される地震被害に対して特に効果的と思われるものをピックアップしたものです。ですから、高層ビルを仕事場や住居にされている方以外も、是非参考にしてみてください。

今回で、「高層ビルで生き残れ」編は終了します。次回からは新テーマ「大火災を生き残れ」編を始めます。


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