まだ何も始まっていない。旧警戒区域の今【3】
国道6号線を南に下り、かつての警戒区域北限の検問があった場所を通過します。震災後、ここまでは何度か来ました。以前は厳重なバリケードと防護服姿の警察官が道路を封鎖しており、すぐ脇にあるコンビニの広い駐車場には、警戒区域内の作業を終えた防護服姿の自衛隊員と車両が集結していて、異様な雰囲気の場所でした。
まるで怪獣映画ワンシーンのようなのですが、それが現実であるということに、事態の異常性を強く感じたものです。現在も警察車両が駐留しているものの、当然ながら普通に通過します。その途端、風景が変わりました。
震災から1年4ヶ月経った現在、旧警戒区域との境界までは、地震や津波の痕跡は知らなければ気がつかない程度にまで復旧していました。しかしそこから先は、いまだ「被災地」そのものだったのです。
道路脇にまで流れ着いた漁船こそ撤去されていましたが、瓦礫の山や破壊された自動車は、まだかなり残されたままです。残った建物は、一階が津波に打ち抜かれたそのままの状態です。後片づけもろくに進んでいません。道路際には、津波で流されて国道の土盛りで止まった車両が集まっています。
昨年と違うのは、1年4ヶ月を経過して、ひどく赤錆びていることです。
ここで、管理人が震災から約2ヶ月後、昨年5月に撮影した、警戒区域のすぐ北側の映像をyoutube動画でご覧いただきましょう。国道6号線を南に下りながら、東側、海の方向を撮影したものです。この辺りは、海から優に2km以上の距離があります。なお、音声には同行者との会話が入っていますので、youtubeの機能を使って音楽と置き換えさせていただきました。
■youtube動画へはこちらから
http://www.youtube.com/watch?v=cj093JemBak
次に、先日7月15日に撮影した、旧警戒区域内の映像です。これは国道6号線を北向きに走行しながら、海の方向を中心に撮影したものです。国道沿いの瓦礫は撤去されているものの、まだかなりの部分が「あの日のまま」であることがご覧いただけるでしょう。なお、こちらも音声を音楽に置き換えております。
■youbutbe動画へはこちらから
http://www.youtube.com/watch?v=hRvQLXeImmE
国道沿いの店舗はすべて店を開けていないどころか、まだ何も手付かずのところがほとんどです。
なお、この辺りで津波の水深は2~3mだったと思われ、国道の土盛りを越えてさらに内陸まで流れ込みました。その際、船、車などの大きな漂流物は、国道の土盛りに引っかかって止まったのです。
ふたつの風景が、約1年2ヶ月の時間を経ているにも関わらずあまり違わないことに、地震、津波、原発事故という複合災害の異常性が感じられます。この差は、ただ「原発から20km以下か、それ以上か」という違いだけで生じたものです。それだけが、住民のその後も大きく左右したのです。
管理人はそのまま国道6号を南下し、現在の警戒区域北限まで進みました。原発からは、おそらく15kmほどの位置だと思います。下画像が、国道6号線を封鎖する現在の検問です。
検問から300mほどの位置で停車して写真を撮っていたら、すぐにパトカーが出てきました。以前にも増して、厳重な警戒のようです。しかし現在は放射性物質が付着した粉塵が舞うようなことはほとんどありませんので、警察官も防護服は着ていません。
旧警戒区域の検問は、他県からの応援部隊が担当していることがほとんどでしたが、現在は福島県警が行っているようです。それでも、旧警戒区域内では日本全国からの応援部隊を頻繁に見かけました。立ち入れるようになったものの、まだ人影も少ない旧警戒区域内のパトロールを強化しているようです。
なお、この地点でも放射線量を計測していますが、パトカーが来たために十分な計測時間が取れませんでした。このため、参考の参考程度と言う前提で記載します。周辺が深い木立のために、少し高めの0.43マイクロシーベルト毎時でした。
この後、国道から海岸の方向へ入ります。
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