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2012年7月23日 (月)

首都圏直下型地震を生き残れ!【51】☆大火災編

■大火災から生き残れ(その14)

今回から、首都圏直下型地震の際の大火災リスクについて考えます。

まず、ふたつの図を見比べていただきたいと思います。
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上は前出の関東大震災における東京市(当時)焼失区域、下は現在想定されている、首都圏直下型地震における東京都主要部の火災発生予想図です。冬の午後6時、北風15mで東京湾直下でマグニチュード7.3の地震が発生した場合を想定したものです。大正12年(1923年)の関東大震災から約90年を経て、火災の区域は大きく変化しています。

関東大震災当時、東京の住宅密集地は現在の台東区、墨田区、江東区、中央区、品川区、周辺に集中しており、池袋、新宿、渋谷方面などは、まだあまり街区が発達していませんでした。このため、火災が発生しても、大火災にまで発展しませんでした。

しかしその後、東京に都市機能が集中し、交通機関が整備されることによって、都心部を取り囲むように住宅街が発達して行きました。この「初期のベッドタウン」が、すなわち現在の東京における大火災危険区域なのです。最も危険度が大きいのが、環状6号線(山手通り)と、環状7号線に挟まれた区域です。

これらの区域は木造家屋密集地、通称「木密(もくみつ)区域」が多く、主要道路を除いては街路も比較的狭いので、一旦火災が発生すると、急速に延焼する危険性が高いのです。また、関東大震災での焼失区域でも、現代では当時ほどの大火災は想定されていないものの、基本的には当時とあまり変わらない条件の街区も少なくなく、必ずしも当時より安全性が上がっているとは言い切れません。

当時より耐火性が高い建物が増え、出火の大きな原因となる裸火の使用が減り、消防能力は向上しています。これにより発災直後の出火数が減り、延焼時間が多少遅くなることは予想されますが、それが当時のような大火災に発展しないという確証にはなり得ません。

向上した消防能力も、特に発災初期にはほとんど発揮されないということは、阪神・淡路大震災で証明されました。仮に消防車が火災現場に到着しても、断水で消火用の水利の確保が困難なことが多く、消火よりも人命救助に重点がおかれる可能性が大きいのです。

大切なことは、まずあなたの住居や仕事場などの居場所が、そのような大火災危険区域に入っていたり、近いのかどうか、それを知ることです。そして、そのような「マクロ情報」を知った上で、「ミクロ情報」に落とし込むのです。具体的には、自分の目で周辺の街区を見て、火が出そうな場所、倒壊しそうな建物、避難経路や避難場所の安全性などを把握し、避難方法、方向、場所の「オプション」(=選択肢)を、いくつか用意しておかなければなりません。

近くに大きな避難場所があるから安心、などと言うように「思考停止」せずに、もしそこが危険になったら、いやむしろ危険になるという前提で、「次の手段」を複数用意しておくのです。それが「フェイルセイフ」(=予防安全)の発想と行動であり、「釜石の奇跡」から得られる最大の教訓と言えるでしょう。

関東大震災でも、あの陸軍被服廠跡の空き地に避難した人々の大半は、「ここならもう安心」だと思っていたでしょう。しかし現実は、火災旋風によって「全滅」でした。それ以外にも、炎渦巻く街のあちこちで、逃げ場を失った人々が数万人もいたのです。

その事実を、どれだけ重く受け止められるかということでもあります。決して歴史上の逸話では無い、あなたの身の上にも起こりうることです。語弊を承知で言えば、そのような惨劇の事実を知っている我々は、最悪の事態へ向けた対策ができるのですから、情報があいまいな江戸時代の大火くらいの知識しかなかった当時の人々より、ずっと「幸せ」だと言えるでしょう。

次回へ続きます。


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