首都圏直下型地震を生き残れ!【43】☆大火災編
■大火災を生き残れ(その6)
前回(その5)から続きます。
では次に、行動です。「情報収集の継続」とは、字面の通りの意味ですが、これは「思考停止しない」という意識があってこそできる行動でもあります。
釜石東中の生徒は、「ここで本当に大丈夫か?」という意識を持ち続けたからこそ、背後に迫る津波の規模という情報を集め続け、それを元に、さらなる高台へという「想定外のオプション」を選択できたのです。実際には、最初の避難場所で山崩れが発生するなど、さらなる避難を促す状況もあったのですが、危険ならばすぐにオプション手段に移行するという意識を、全員が共有していたことは確かです。
大川小でも、もし早い段階で誰かを裏山の上や校舎の屋上などに「偵察」に出すなどして、街に迫る津波の規模という情報を入手できていたとしたら、たとえ数分でも早く避難行動を始められた可能性があり、また別の結果になったかもしれません。しかし「ここの危険は小さい」という思考停止状態では、そのような発想も出てこなかったでしょう。
もちろん、周囲の様々な事情や地理的な条件などを無視して断定すべきではありませんが、こと「どうしたら生き残れたか?」ということだけに注目するならば、そうすべきだったということです。「正しい情報」無くして「正しい判断」は不可能なのです。
さて、すっかり津波避難の話になっていますが、大火災からの避難でも、必要なことは全く同じです。要はそれを火災の特性に合わせて、いかにアレンジするかということです。
まず、大火災が発生している最中は、いかなる場所でも絶対に安全であるという意識は捨てなければなりません。火災からの避難は、津波よりはるかに時間的余裕がありますが、その代わり、「どこから襲って来るかわからない」のです。いきなり、あなたの目の前の建物が火を吹くかもしれません。
大火災があまり想定されていない都心部のビルでも、周囲の建物や下層階に火が入ったら、決して安全とは言い切れないのです。火災旋風が発生すればなおさらです。ですからあなたがどこにいても、大火災の勢いが衰えるまでは「ここは安全」という思考停止をしてはならないのです。
そして、「情報収集の継続」です。大地震後は、避難所、頑丈な建物、河川敷などの広い場所に多くの避難者が集まります。帰宅困難になり、勤め先などに待機していることもあるでしょう。しかしこれまで述べた通り、どこも大火災に対して安全とは言い切れません。では、どうすべきなのでしょうか。
災害時の情報収集と言えば、まずラジオです。ワンセグテレビなどが視られれば、より詳細な情報が入手できるでしょう。しかしそれは、特に発災初期には、マクロ情報でしかありません。その時あなたに必要なのは、地域のミクロ情報なのです。
どの方面で大火災が発生しているかという情報は、メディアからも得られるでしょう。でもそれがどちらへ延焼しているか、他にどの地点で小中火災が発生しているかなどの地域情報を、リアルタイムでメディアから得ることは事実上できません。
ネットが生きていれば、量だけはたくさんの情報が得られ、ある程度地域状況を把握することはできるでしょう。しかしその正確さや真偽を考えると、命を託す情報としては不安です。災害時のネット情報にデマを始めとする大量の不良情報が紛れ込むことは、東日本大震災でも証明されました。
そんな状況下で最後に頼りになるのは、人間の五感しかありません。幸いなことに、少なくとも大火災からの避難に関しては、津波と違って、大抵は「見てからでも間に合う」のです。ですから、「見続ける」ことが必要です。
次回は、その具体的な方法を考えます。
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