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2012年7月26日 (木)

まだ何も始まっていない。旧警戒区域の今【5】

海岸を離れ、国道6号線より内陸側へ向かいます。

国道より内陸側は、津波の水深もあまり深くなかったため、多くの家が残っています。しかし、旧い家が比較的多いため、地震によって損壊した家が多く見られます。地震直後ならば、ある意味で「よくある」光景ですが、あれからもう1年4ヶ月も経っているのです。

小さな街の家並みが軒並み傾いたり、押しつぶされるように半壊しています。路上に散らばった屋根瓦や壁の残骸が、ちょっと隅に寄せられたまま、放置されています。なかにはそこから草が生えているものもあり、あれからずっと、だれも触れることが無かったことを、無言のうちに語っています。

実は、その地域では写真の撮影はしていません。未だ被災直後のままの小さな街を通り抜けながらビデオを回したり、車を停めて写真を撮る気にはなれなかったのです。そのような光景は、4月16日の警戒区域縮小直後にニュースでかなり流されましたので、ご覧になられた方も多いと思います。

次に、旧警戒区域北辺に当たる、南相馬市小高(おだか)区の中心部に向かいます。そこへは津波は到達していませんし、比較的新しい家が多く、倒壊している建物はほとんどありません。壁材や瓦が路上に少し散らばっている他は、一見すると普通の街です。ほとんどの家が、居住可能です。

そのような状態にも関わらず、原発20km圏内に入っていたために、強制的な避難対象地区となりました。役場には、下画像のような看板がありました。しかしこの日は、人影はありませんでした。
Photo
ここで公開するyoutube動画は、今回の撮影ではありません。詳しい事は書きませんが、昨年中の撮影とだけ申し上げておきます。これも、音声は音楽に置き換えてあります。
■小高区市街状況(youtube)はこちらから

今回も同じルートを走りましたが、状況は何一つ変わっていません。違うことと言えば、信号が点灯していることと、時々、地元の方の車とすれ違うということだけです。街中では、屋外にいる方はだれひとり見かけませんでした。

動画の最後に、コンビニエンスストアの看板が映っています。下画像は、その店の7月15日現在の様子です。入り口には「地震のため閉店します」という張り紙が残されており、店内の書棚には、あの日のままの雑誌類が色あせています。誰も戻って来ていないのです。
Photo_3
管理人は、この街が少しでも息を吹き返していたら、ここで食事や買い物でもしようと思っていたのですが、警戒区域解除から3ヶ月経っても、本当に何ひとつ変わっていませんでした。街は、止まったままです。

今回、街外れの放置された田圃の脇、地上1mで放射線量を測ってみると、0.38マイクロシーベルト毎時でした。昨年の夏前には、空間線量で5マイクロシーベルト毎時を超えていたことを思うと、かなり落ち着いて来ています。もちろん、だからこそ警戒区域が解除されたのですが。

しかし別の場所で計測してみて、慄然としました。舗装道路脇の深い木立の横で、コンクリート板でふたをされた側溝の真上1mの数値が、下画像です。
Photo_4
2.71マイクロシーベルト毎時。その場に長時間留まる、ましてやそこで生活するのは危険な線量です。すぐ近くの、ほぼ同じ条件の場所に集落も小学校もあります。もちろん閉鎖されたままですが。この数値を見て、警戒区域が解除されたからと言って、この街に「日常」が戻るまでには、まだ相当長い時間が必要なのだと痛感しました。現在も、前記の通り入域こそ自由になったものの、宿泊は許可されていないのです。


今後、旧警戒区域に行かれる方がありましたら、下記の点に注意してください。

まず、ご覧のようにかなり放射線量が高い「ホットスポット」が多数存在します。聞いた話では、森の中などでは、現在でも8マイクロシーベルト毎時(0.8ではありません)を超えるような場所もあるとのことです。放射線についての正しい知識を習得された上で、ご自身の判断で、決して無理な行動はなさりませんように。ひとつの方法として、車の中にいれば、かなりの放射線を遮蔽する効果があります。

また、入域できるものの無人の場所が多いので、いわゆる「火事場泥棒」が入り込んでいる可能性があります。警察も、それを強く警戒してパトロールを強化しています。無人だからと言って人家や店舗、各種施設の敷地内に入ることは絶対にしないでください。不法侵入罪になりますし、どんな危険な目に遭うかわかりません。もし事件、事故に巻き込まれても、他人に気づいてもらえる可能性は非常に小さいのが現状です。

特に、夜間の入域は絶対にしないでください。前記の通り、住人でも現時点では宿泊が禁止されていますから、確実に不審者と見なされます。それ以前に、犯罪者に遭遇したり、いまだ多数が徘徊している野犬に襲われたりする可能性が小さくありません。そんな場合でも、すぐに助けに来てもらえないと考えなければなりません。

そして何より大切なことは、被災地は観光地では無いということです。物見遊山気分での「見物」は、厳に謹んでください。多くの方々が亡くなり、「日常」が破壊されて苦しんでいる方々の土地なのです。

犠牲者に哀悼の意を顕し、それぞれの方法で祈りを捧げてください。そして、地元の方々の平穏を乱したり、不快な思いをさせることの無いよう、最大限の配慮をしてください。もしここがあなたの街で、そこで余所者が騒いでいたりしたらどう思うでしょうか。

今回、地元の方からの忠告を受けました。多くの方が亡くなった海岸部はとても「危険」なので、できれば近づかない方が良い、もし行くなら、地元の神社やお寺でお参りしてからにした方が良いと。それを信じるか信じないかという問題ではなく、地元の方々のそのような気持ちを、最大限に尊重する行動をしなければならないということだと思います。

地元の方々にとって、そこは家族が、知人が亡くなった場所です。そんな場所を無遠慮に踏み荒らすことの無いよう、震災後に何かと福島に関わるようになった管理人からも、お願いいたします。もちろんこれは福島に限らず、すべての被災地に通じることでもあります。

その上で、このあまりに理不尽な現実をご覧になり、決して忘れ去られないように伝えて行くことが、せめてもの支援になると思うのです。

次回で、最終回です。


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