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2012年8月

2012年8月31日 (金)

津波注意報発表中

本日8月31日、午後9時48分頃、フィリピン諸島東方沖の太平洋海底、震源深さ33kmでマグニチュード7.9の地震が発生し、南西諸島、伊豆諸島・小笠原諸島及び九州から青森県の一部までの太平洋沿岸に、津波注意報が発表されています。

南西諸島の最も早い場所で、津波の到達は午後11時30分ごろと予想されます。予想される津波の高さは、最大でも50cm程度とされていますが、地形の影響などでさらに高い波高となることもありますので、海岸や河口付近には絶対に近づかないでください。

特に狭い湾の奥やリアス式地形(関東では三浦半島など)では、波高が数倍になることもあります。決して50cm程度だと甘く見てはいけません。さらに、津波は大抵複数回押し寄せます。最初の到達から、最低でも12時間程度は警戒を続ける必要があります。

ここで危惧されるのが、海岸の低地で津波の見物や撮影をしようとする人の存在です。残念ながら、きっとそんな人があちこちに現れるでしょう。これは自己責任という問題では無く、警戒中の警察や消防に余計な負担をかけ、何かあれば救助に出場しなければならず、他を危険に晒すことにもなります。ただの迷惑者以外の何ものでもありません。

とはいえ、それなりの「スクープ映像」が撮れて動画サイトにでもアップされたら、メディアはきっとこぞって放映するのでしょうね。そんな風潮が「素人レポーター」を増殖させているのは間違いないのですが、きっとまたそれが繰り返されるのでしょう。大震災の教訓など、数字の前にはどこ吹く風。なにをかをいわんやです。

ところで、今日は一ヶ月に二回の満月が巡って来るという、通称「ブルームーン」です。きっとあちこちで、ブルームーンが地震を誘発したとかなんとか騒ぐ輩も現れるに違いないのですが、一ヶ月に何回来ようが、満月による潮汐力が変わるわけではありません。

それに、月齢と大規模地震の発生の関係は、長年に渡る統計的データがあります。それによれば、「全く相関なし」です。つまり、今回も「単なる偶然」です。ただ、満月や新月時の大きな潮汐力が、地震発生のトリガーになる可能性は、完全に否定されたわけではありません。しかし統計が示すように、もしそのようなことがあるとしても、結果的にそうだったかもしれないというだけで、満月や新月の時に地震を多発させるほどの影響は全く無いのです。

ですから、根拠の無いエセ科学ネタにくれぐれも振り回されませんように。まあ、そう思い込みたい人に忠告しても無駄なんですけどね。

当記事アップ時点で、南西諸島への津波到達予想時刻の約15分前です。くれぐれも軽はずみな行動はされませんように。そして、海岸や河口付近にお住まいの方は、たかが50cmだと決めてかからず、十分な警戒と、少しでも不安があれば、無駄足を恐れずに安全な場所へ避難してください。

結果的に何もなければ、それで良いのですから。


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「死者32万人」の読み方

「南海トラフ巨大地震による死者は、最大32万人」(正確には32万3000人)という、インパクト抜群の被害想定が発表されました。これでまたしばらく、メディアでは「32万人大会」で賑わいますね。でも、その大半はマクロ的な被害について騒ぎ立てるだけで、「ならばどうしろ」という情報は、ありきたりの、しかも実践的では無い情報でお茶を濁されるだけでしょう。

この被害想定を読むためには、まずその前提を知らなければなりません。メディアに乗っている部分は、「冬の深夜に、愛知県沖で最大級の地震発生」というくらいなものですが、それは「在宅率が高く、睡眠中の人が多く避難行動が遅れる時間帯に、人口密集地に近い場所を震源とする、科学的に想定される最大級の大地震と大津波が発生する」という、最悪の条件を設定したものです。

では、犠牲者数の試算方法はどのようなものでしょうか。まず最初に、地震による家屋の倒壊や火災による被害が算出されます。これは想定した揺れに耐えられない、耐震性の低い建物が倒壊し、その住人の大半(正確な係数はわかりませんが)が、死亡もしくは自力避難不可能の状態になるとします。

次に、津波の予想到達範囲の危険地域に、津波到達時にどれだけの人口が残っているかを試算します。今回の想定では、地震発生後速やかに津波避難を開始するのは、津波到達予想範囲人口の20%と、かなり低く見積もっています。津波で生命の危険に晒される人が100人いたら、20人しか速やかに避難を開始しない、またはできないということです。

この20%という数字は、東日本大震災後の調査で判明した「実績」に基づいています。もちろん、津波の危険度を見誤って避難しないだけでなく、他の人を救ったり、探すためなどで避難が遅れる場合もありますが、とにかくそのような数字による試算です。それに、耐震性が低い建物の倒壊によって避難不可能のまま津波に呑まれると想定される数を加算し、さらに津波に呑まれた場合の死亡率、おそらく90%以上をかけて算出した数字が、最悪32万人という結果になったわけです。

例によって、この試算は「最悪中の最悪」ということなのです。ちなみに、ここで想定される規模の地震は、我々が知る限りの過去に発生したことはありません。また、先に発表されて強い印象に残っている「高知県で津波高34メートル」とされる地震とは、想定が全く異なります。そちらは、高知県沖が震源となる最大級の地震によるものです。それに対し、今回の試算は震源域沿岸に最も人口が密集している愛知県沿岸部が最大の被害を受けるという、つまり「最も死者が多くなる場合」として設定された条件なのです。

ですからまず、32万人もの犠牲が出るのは、ごくレアケースであると考えるべきです。この数字を前提に、ただ恐怖だけが先に立っては、百害あって一利なしです。では、危険地帯に住む人はどうすれば良いのでしょうか。実は今回の想定で、犠牲者数を80%も減らせる可能性がある試算も発表されています。

それはまず、危険区域において現在80%程度の建物の耐震化率、これは1981年以降の耐震基準によって建築・補強することを意味しますが、これを90%まで向上させることです。なお、現在建築される建物は、2000年に制定された、さらに強化された耐震基準によるものとなります。

もちろんこれには経費の問題が大きく絡みますので、一朝一夕に改善されるものではありません。これは特に個人宅の場合は、対策が遅れがちです。行政のさらなる補助や、ある程度強制力を持った条例制定などの対策が望まれます。

もうひとつは、速やかな避難をするということ。これは建物の耐震補強とも深く関係するのですが、地震発生直後に危険地帯人口の70%が、速やかに津波避難を開始するということです。それには何より、個個人の意識が大切です。自分の居住地の危険度を正しく知り、無駄足を辞さずに避難を開始すること。そして、東日本大震災の教訓としての「津波てんでんこ」を実現する避難・連絡体制を、普段から構築しておくことです。例えば、地形的な高台が少ない場所では、どのようなルートで、頑丈なビルなどの安全地帯へいかに短時間で避難するかや、離れている家族や関係者が、発災時にどのような行動をするか、どのように連絡をするかを、普段から考え、共有し、できる限り訓練しておくのです。

そして、それを実現するために建物の耐震性向上が重要となります。倒壊建物に閉じこめられたまま火災や津波に呑まれることを、リアルに考えなければなりません。たとえ建物が頑丈でも、家具ひとつの転倒で、脱出不能になることもあります。対策は、徹底的にやらなければなりません。

そのような対策が理想的に機能した場合、犠牲者は32万人の80%減、64000人程度に減らせるという試算になっています。これは、居住地や不測の事態などの条件を無視してかなり乱暴に言ってしまえば、あなた次第で危険度は80%も減らせるということでもあります。

まとめますと、想定される最悪の地震・津波が発生した場合でも、まずその時の居場所から速やかに脱出できること、そして津波到達前に安全圏に避難できること、このふたつが実現すれば、高い確率であなたは「生き残る」ことができるのです。そのためには、避難行動を阻害する要因をできるだけ取り除かなければなりません。マクロの被害想定など、いくら恐れても何も解決しないのです。その中で何ができるか、どうやってそれを実現するかを「あなた自身が」徹底的に考え、実践すること。それしかありません。


では、まず最初に何をするか。それは「危険を知る」ことです。お住まいの地域のハザードマップを見て、あなたの居住地や仕事場などが、地震の揺れ、津波、火災、液状化、洪水、土砂災害などの危険に、どれだけ晒されているのかを知ることから始めましょう。ハザードマップは自治体の防災課で入手できますし、多くの地域ではネット上でも公開されています。今回の発表を受けて、今後さらに改訂が加えられる場所も多いと思われますが、まずは現在のハザードマップを参考に、さらに独自の安全マージンを加えると良いでしょう。

そして起こりうる危険がわかったら、そこから具体的な行動を考えて行くのです。家の中ではどうするか、仕事場や学校ではどうするか、そのために何が必要か、など。

基本的な対策は上記のようなことですが、それぞれの置かれた条件によって、細かい対策は異なります。よくあるケースにおける避難方法や装備は、当ブログの過去記事でほとんど網羅していますが、もしどうしたら良いかわからない場合は、当ブログのコメント欄か、管理人宛メールでご相談に応じます。メールの場合は、一切の秘密は厳守することをお約束いたします。

大災害は明日かも、いや1分後かもしれません。すぐに行動を始めましょう。くれぐれもネット上などに溢れる、恐怖を煽るだけのような不良情報には惑わされませんように。間違った行動は、間違った結果しか生みません。

あなたとあなたの大切な人を守る最大の力は、あなた自身の意識と行動なのです。


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2012年8月30日 (木)

8/30宮城県沖地震について【地震関連情報】

■タイトル内の日付が間違っておりましたので、訂正しました。

本日8月30日午前4時05分頃、宮城県沖の深さ60kmを震源とするマグニチュード5.7の地震が発生し、仙台市宮城野区などで最大震度5強を記録しました。幸いにして、大きな被害は出ていないようです。

この地震は、気象庁の発表によると、北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型とのことで、管理人の判断とも一致します。つまり、太平洋プレートが西から東方向に動き、東日本が乗った北アメリカプレートの下に潜り込む動きによって、比較的深い地殻岩盤内にかかる圧縮力によって発生した「スラブ内地震」です。

このタイプの地震は、震災後の昨年5月頃から宮城県沿岸で目立ち始めました。震災による地殻変動の影響で太平洋プレートの西向きの動きが加速したことが実測されていますが、動きが速すぎるために、深い部分に潜るにつれて「先がつかえる」ことによる圧縮力によって発生する地震です。下図の3のタイプになります。
Mini

東京大学地震研究所の「東大ハーベスト震源マップ」からお借りした、本日8月30日から過去30日間の震源図を見てみましょう。なお、本図のデータは弘前大学による計測です。
120830m
岩手県の三陸海岸沿岸から宮城県沖にかけて、オレンジ色の点が密集しているのがわかります。これが今回と同じタイプである、震源深さ40~60km程度が中心の「スラブ内地震」です。このように、日常的に多発しているのです。牡鹿半島東方沖にある、黄緑色の大きめの四角が今回の震央ですが、これは本来オレンジ色で表示される深さであり、表示の誤りのようです。(他の図では、オレンジ色で表示されています)

このタイプの地震は、震災後の地殻変動の影響で多発し始めたものであり、震災本震のように巨大化する可能性はほとんどありません。しかし、陸地に近い沖合いか沿岸部の内陸で発生するために、陸上の揺れがマグニチュード規模の割には大きくなる傾向があります。ただし、震源が深いために海底の変形を伴う可能性は小さいので、津波が発生する可能性はほとんど無いか、発生しても小規模でしょう。

震災後に加速した太平洋プレートの速い動きは、その速度を徐々に緩めながらも、今後数十年に渡って続きます。その間、東日本の太平洋沿岸、特に宮城県と福島県沿岸では、このタイプの地震がこれからも長い間発生し続け、時々今回のように比較的大きな規模となることもあるでしょう。壊滅的な被害をもたらすような規模になる可能性はそれほど大きくありませんが、常に意識していなければならないタイプの地震と言えましょう。

とりあえず、これから一週間程度の間は、この地震の余震や関連する地震が発生する可能性がありますので、しばらく様子見というところでしょうか。もちろん、さらに大規模の地震が発生する可能性を常に忘れずに。

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2012年8月29日 (水)

おかげさまで10万PV+α達成

気がついたら、アクセスカウンターが10万を超えておりました。やはり大台に乗るのはうれしいですね。皆様のご愛読に感謝いたします。

でも、アクセスカウンターはPCとスマホからのアクセスしかカウントしていません。これに加え、当記事執筆時点の携帯電話からのアクセスが、約33250PVとなり、合計133450PVほどとなります。改めて、ご愛読に感謝いたします。

当ブログのスタートは、今年1月12日。そこから約7ヶ月半の間、徹底して科学的、実践的な災害対策を発信して参りました。防災ブログの世界は、周りを見ればオカルト、エセ科学、トンデモ、偏向、商売ばかりで(笑)、その中で孤軍奮闘しております。

このブログの存在で、皆様に少しでも正しい知識を知っていただき、「生き残る」力を高めていただけることが、管理人の夢であり、やり甲斐でもあります。正しい知識と行動は、必ずあなたとあなたの大切な人を救う力になります。


ブログ開設当初は、正直言ってこれほどのご支持をいただけるとは思っていませんでした。一般ウケするのは、エセ予知だの陰謀だのいうネタだということは、十分に理解しております。その中で、このような情報を求められている方々がたくさんいらっしゃるということに、ある意味で安堵している部分もあります。

管理人は、特に積極的に発言しないまでも、冷静で理性的な判断を下せる人々を「サイレント クレバー」と勝手に命名しておりますが、そのような皆様のお役に立てることが、何よりの喜びです。でも、当ブログに対してのご意見・ご感想・ご要望などは、ぜひサイレントではなく(笑)たくさんお寄せいただければ幸いです。

また、よろしければ当ブログをお知り合いの方々などに、ご紹介いただけると、管理人は非常に喜びます。長文で理屈っぽいスタイルは、どなたのお気に召すものでは無いとは思いますが、情報の内容はどなたにも役立てていただけるものと思います。なお、ツイッターでも更新情報をつぶやいております(たまに忘れます笑)。アカウントは「teba244」です。

それでは、今後とも「生き残れ。Annex」をよろしくお願い致します。


・・・そろそろ書籍化のオファーとか来ないかな(爆)


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根本的に間違っている

今朝、NHKニュースで、静岡県の小学校の津波避難訓練を採り上げていました。その中で、最初は避難の列を若い男性教諭が先導し、最後尾にリヤカーを牽いた女性教諭がついて落後者を乗せたが、結果的にリヤカーが隊列から大きく遅れてしまった、というものがありました。もちろんそれはすぐ改善され、女性教諭が先導し、若い男性教諭が最後尾で落伍者支援に回るようにしたとのことですが。

でも、もしこれが「本番」だったらどうなったでしょうか。言うまでも無く、落後者のグループが津波に呑まれた可能性が非常に高かったのです。

当ブログでは以前、東日本大震災の、いわゆる「釜石の奇跡」が成し遂げられた理由について述べましたが、そこでも子供の隊列を支援する大人の役割や配置について述べました。また、「大火災を生き残れ」シリーズの中でも、災害時要援護者を含む隊列が避難行動する際の支援隊形について述べています。
■「釜石の奇跡」の避難隊形についての記事はこちらから
■災害時要援護者を含む避難隊形についての記事はこちらから

大人数が移動する場合、その行動について行けない落後者が出ることは必ず想定しなければなりません。そして、それを支援・保護する役割の人員を配置するのは常識です。言うまでも無く、その役割は隊列の最後尾にいなければならないのですが、そこに、一般に男性に比べて体力、移動速度に劣る女性を配置するという発想が、根本的に間違っています。ただでさえ移動が遅い落後者を支援しながらの移動はさらにスピードが遅くなり、「弱者」だけの危険が増して行くのです。現実には、落伍グループを支援するために前方の男性教諭が後方に戻り、その間は本体の行動が停滞して、全体が危険に晒されるような状況も考えられます。

管理人としては、「そんなことちょっと考えればわかるだろう」と、正直腹が立ちました。それも、普段から子供の隊列を管理している教師が、なぜそんな発想をしたのかというのが理解できません。もっとも、落後しても特に危険が増すわけでは無い平時の発想と経験が、危機管理を誤らせたとも考えられますが。なにしろ、これが「本番」でなくて本当に良かったとしか言えません。


私事ながら、管理人はバイクに乗るのですが、初心者を含む多台数のツーリング時には、大型バイクに乗ったベテランが最後尾につくのが常識です。何かトラブルがあった場合、経験豊富なベテランが独自の判断で対処し、基本的には、本隊は先行します。そしてトラブル処理後、場合によっては落後者を乗せて本隊に追いつくのです。そのために、最後尾には経験豊富なライダーと、性能と工具などの積載能力に優れた大型バイクが必要なわけです。

多人数の避難行動時もこれと全く同じで、一番負担がかかる最後尾には、独自の判断で動ける体力に優れた人員が、可能ならば複数いなければならないのです。先導は、基本的には決められた行動をすれば良いわけですから、必ずしもリーダー格でなくてもかまいません。バイクツーリングでは、ちょっと慣れてきたくらいの人を敢えて先頭に立たせ、先導の経験を積ませるようなこともやりました。これはこれで、道路状況を判断しながら、同時に前よりもミラーで後ろを見ている時間の方が長いくらいの、かなり大変なポジションではあるのですが。

これに対し、最後尾は絶対にベテランでなければならないのです。運転技術や修理技術に長け、追い上げが効く高性能のバイクであることに加え、あらゆる状況において、本隊と離れても「独自の判断で安全に行動できる」ということが求められるからです。バイクの場合、判断を誤ればたやすく生命に関わる状況になるという点で、災害避難時に近いものがあるということもできます。

このように、特に災害避難時は「適材適所」でなければなりません。その誤りは、確実に「結果」に反映されます。平時の序列など意味を為さないのです。非常時には、すぐに「適材適所」の体制にシフトできるかどうか、そのコンセンサスが普段から出来ているかどうかも、重要なポイントです。一刻を争う非常時に、意見百出で右往左往している暇など無いのです。現実には、「船頭多くして船山に登る」というような組織が多いですよね。決して笑い事では無く。

もうひとつ残念なことは、津波危険地帯の子供を預かる教師なのに、究極の教訓である「釜石の奇跡」を十分に分析、研究しているような様子が見えなかったことです。テレビや新聞の報道からだけでは、表面的なことしか見えて来ません。目に見える行動だけ真似をしても、その効果は知れています。

なぜなら、「本番」では必ず想定外の事態が発生するからなのです。訓練通りに行くことなどありません。あらゆる状況を想定してオプション行動を設定し、さらに想定外の事態が発生したときの行動基準、優先順位を徹底的に計画、訓練しておくことでしか、「本番」におけるひとつの行動を、高い確率で完成させることはできません。釜石東中では、それが行われていたから成功したのです。ですから、以前も書いたのですが、「釜石の奇跡」ではなく「釜石の成功」、むしろ「釜石の勝利」と呼びたい事例なのです。

今日のHNKニュースはほんの一例に過ぎませんが、このような根本的な誤りがレアケースなのか、それとも普通なのか。管理人としては、後者の可能性が大きいのではないかと危惧しているのですが。紹介されたこの海沿いの学校は、それでもかなり防災意識が高い方だと思われますので、なおさら心配になります。


このニュースを見たからという訳でもありませんが、次回から新シリーズ【脱出せよ!】を始めます。地震が起こるの起こらないのと心配するよりも、あらゆる状況での脱出・避難方法を知っておく方が、余程役に立つというものです。内容的には、以前の記事と重複する部分も多くなりますが、このシリーズでは自然災害に限定せず、災害や事故に遭遇した場合の「最初の1分」の行動を中心にまとめて行きます。

発災・事故発生直後には、持参している防災グッズもあまり役に立てられません。「とっさにどう行動するか」、それがほとんど全てとも言え、そしてその結果が、「生き残る」確率を最も大きく左右するのです。


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2012年8月27日 (月)

十勝地方及び福島県沖地震について【地震関連情報】

8月25日午後11時16分頃、北海道十勝地方南部の深さ49kmを震源とするマグニチュード6.1の地震が発生し、浦河町などで最大震度5弱を記録しました。なお、震源深さとマグニチュード値は、発生直後の速報値から上記の通り訂正されています。

この地震の前震と考えられるマグニチュード5.2、震源深さ60kmの地震が、8月22日午前10時33分ごろ、ほぼ同一の震央で発生しています。

気象庁の発表によれば、25日の地震は北西-南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型地震で、震源深さからも、太平洋方向からのプレートの移動によって発生した圧縮力による、いわゆる「スラブ内地震」と考えられます。22日の地震も、震源が少し深い他は、同一の発震機構であると考えて良いでしょう。

ところで、最大震度5弱を記録した浦河町は、今までにも何度も大きな地震に襲われています。管理人は札幌に住んでいたことがありますが、イメージ的には北海道南部で地震が起きると、必ず浦河町の名前が出てくると感じられるほどでした。特に1982年3月21日の地震は、当時の震度基準の震度6(烈震)を記録し、大きな被害が出ました。

ならば今回の地震も同様の地震かというと、違います。浦河町付近に強い揺れをもたらす地震の多くは、襟裳岬より西側の「浦河沖」海底の、深さ20km付近の比較的浅い場所で起きることが多いのです。その辺りは「地震の巣」と言える地震多発地帯で、小~中程度の地震はかなり頻繁に発生しています。

しかし、今回の地震の震源は日高山脈の真下に当たる内陸部で深さも50~60kmと、いわゆる「浦河沖地震」とは別物なのです。今回の震源域は、普段は地震の発生があまり多くない地域ですし、発震機構もこの地域としては比較的珍しいものです。今回の発震機構は上記の通り圧縮力による逆断層型とされていますから、この地震は広義において、東日本大震災による地殻変動の影響のひとつと考えて良いでしょう。

震災後に太平洋プレートの西向きの動きが加速したことにより、北海道沿岸部の地下では北西方向に向かってプレートが潜り込む速度が上がっていますが、その動きによる圧縮ストレスによって、地殻岩盤(スラブ)内の比較的深い場所で破壊され、地震が発生したものと言えます。この地殻変動は、その動きを少しずつ弱めながらも、今後も数十年というタームで続くことが考えられますので、同様の、場合によってはさらに大規模の地震が発生することも考えられます。

今後の可能性ですが、まず1~2週間程度という短い時間のうちに、さらに同一震源またはその周辺での地震が続くことを警戒しなければなりません。これは次の地震の発生を予想しているとか言う話ではなく、大きめの地震が発生した後しばらくは、同一震源及び周辺部で地震が連続する可能性を、常に考えるべきだということです。
なぜなら、ある地震が、さらに次の地震の前震である可能性は常にあるからです。

東日本大震災の前、3月9日と10日には、かなり大きな前震がありました。しかしその状況がどこにでも当てはまる訳ではなく、確率的にはあくまでレアケースではありますが、その一方で「ここではそんなこと絶対に起こらない」と言い切れる場所など、わが国には存在しないのです。

次に、8月26日午前3時37分ごろ、福島県沖の深さ90kmで発生したマグニチュード5.1の地震について。この地震で、福島県福島市、宮城県岩沼市などで最大震度4を記録しました。この地震の震源域も、特に東日本大震災後に、非常に多くの地震が発生している震源域です。しかし、この地震もその辺りで多発している地震とは別物なのです。

参考までに、震災から3ヶ月近く経った2011年の6月25日から6月1日の7日間に発生した地震の震源図を掲載します。なお、この図は東京大学地震研究所が発表している「東大ハーベスト 震源マップ」からお借りしました。
110601w
あの頃は、一週間でこんなに地震が起きていたのです。特に東日本では、毎日揺れるのがごく当たり前でしたよね。それもなんだか遠い記憶になりつつありますが。

さておき、震源を表す点にすっかり埋もれてしまってよくわからないのですが、福島県南部沖辺りをご覧ください。点の大きさは地震の規模、色は震源深さを表しています。ピンクが0~30km、オレンジが30~80km、黄緑が80~150km(以下略)です。ここで、今回の震源深さ90kmが含まれる黄緑色の点の分布を見ると、特に集中もせず、地震多発地帯全体にほぼ満遍なく散らばっているのがわかります。この傾向は震災後ずっと変わらず、現在も同様です。

発震機構的には、圧縮力による逆断層型「スラブ内地震」である可能性が高いのですが、このタイプの比較的深い地震は、少なくとも震災後の発生傾向からは、集中的、連続的に発生する可能性は高くはないと言うことができます。但し、前記の十勝内陸地震でも記した通り、さらに大きな地震の前震である可能性は捨てきれませんんし、周辺の多発震源域に影響を与えないとも言い切れません。

可能性を考えたら何が起きてもおかしくないので、何一つ断言はできません。歯切れの悪い表現しかできませんが、こと地震に関しては、歯切れの良い断言など不可能なのです。それに変えて、当ブログでは良く「警戒度を上げる」という表現を使いますが、状況によって波動的に警戒度を変えるなど事実上困難であることは、承知の上です。

それはあくまで便宜的な表現であって、管理人が言わんとするとことは、「何が起きても対応できる」意識と装備へ日々近づけて行くことと、それをしっかり維持することを実践していただきたいということです。起きてからでは遅いのですから。

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2012年8月23日 (木)

生きることと、生き残ること

管理人は、今から静岡県の御殿場方面へ行ってきます。車で行くのですが、東海地震などによる交通断絶に備えて、三日は持ち応えられる装備と備蓄を積んで行きます。もっとも、車の中には常にそれくらいの備蓄はしてありますが。

ところで最近、防災系の書籍や記事で、妙なことを目にすることが増えたような気がします。それは、大地震に備えて移住を勧めるようなもの。どこどこに震度7や巨大津波が来るから、どこどこで活断層が見つかったからと言っては、「比較的安全」な場所へ逃げろと。

津波の到達予想範囲、放射線の危険区域や土砂災害危険地帯から移住するのとは訳が違い、どんな被害が出るかわからないけど、大地震が起きる確率が高い地域から逃げろ、例えば関東から日本海側へ移住を勧めるような感じのものです。

そんなのが増えた理由のひとつは、メディアの「ネタ切れ」でしょう。東日本大震災後、危機ネタには事欠かなかったものの、ここへ来て地震の発生も落ち着きはじめ、「数字になる」ネタが減ってきた。その一方で、震災後の調査で過去には想定していなかった大地震や大津波の可能性が指摘され、活断層の発見も相次いでいます。だからその流れで、そんなデータをもとに「安全」な場所を探して移住せよ、というようなネタが、ちょっと流行っているのでしょうか。まあ、企画としてはわかりやすい流れではあります。

でも、そんなのはちょっと、いやかなり違うような気がしますね。今の生活を捨てて、「地震が少ない」場所へ移住することを最優先で考えられ、しかも行った先で同等以上の生活を維持できる人は、そうすれば良いでしょう。でも、人が生きる場所にはそれぞれ意味も理由もあります。決して「生き残るために生きている」のでは無いですよね。

それに、行った先が絶対安全である保証などどこにもありません。我が国は、地震・火山国なのです。小さな地震に遭っても、それに対する備えもなくただ右往左往するだけでは、妙なことで命を落とす結果にもなりかねません。さらに気象災害もこの先どんどん過激化していくでしょうし、我が国が長年誇ってきた治安の良さも、最近はかなり怪しくなって来ました。

なにより、今まで地震が少なかったからと言って、これからも起きないということではありません。未だ見つかっていない活断層は山ほどありますし、現実に「大地震は来ない」とまで思われていた関西で、阪神・淡路大震災が起きたりもしています。所詮、人間生活の時間軸では完全な判断などしようがありませんし、東日本大震災以降、その傾向はさらに強まっているのです。

管理人は埼玉県在住ですが、かつては仕事の関係でいろいろな街に住みました。関東各地をはじめ、主なところは札幌、名古屋、大阪、そして住んではいませんが、博多にも頻繁に行きました。ちょうどその頃、福岡県西方沖地震が起き、かなり大きな影響を受けたりもしました。

どこへ行っても、基本的には「住めば都」です。その一方で、どこにでも特有の問題もあります。管理人は主に大都市圏でしたが、地方になれば、また違ったの問題も出てきます。そういうことをあまり考えず、ただ「地震が少ないから」という理由で移住を勧めるなんてのは、どうなのでしょうか。

もっとも、メディアは常に参考情報を与えるだけで、決めるのはあなたです、責任は取りませんよというスタンスですから、なんでもアリなのでしょう。ただ、震災の記憶も未だ生々しい今、そんな「煽り」に安易に乗って後悔されることの無いよう、管理人はここで「忠告」したいと思います。人間、地震が来なければ幸せ、という訳じゃないのですから。

人は不安になると、つい「受け身」になりがちです。とにかく地震が怖いから、その場所でつくりあげた今の生活をすべて断ち切ってでも、「安全」な場所があるなら行きたい、つまり逃げたくなるのは、ある意味で当然かもしれません。でも、人間の生活って、そんなものでは無いと思うのですが。あなたがそこにいることには、大きな意味があるのです。あなた自身にも、あなたの周りとっても。

それを守るために、「受け身」ではなく「攻め」の姿勢を取ること、いつ襲い来るかわからない大災害に対して、ファイティングポーズを取って一歩も退かないこと、それが結果的に「生き残る」確率を高めるのだと、管理人は考えます。数字だけの「生き残る」確率ならば、居場所を変えればそれなりに高められます。でも、多くの人にとってまず守るべきは今の生活であり、その中で「何がなんでも生き残ってやる」、その覚悟を決め、それを実際に形にすること、それが「防災の本質」のひとつだと思うのです。

これは一般論ですけど、困難から逃げれば逃げるほど、何故か追いかけてくるものです。しかも相手は自然災害ですから、次はどこに現れるのかもわかりません。もちろん、移住もひとつの選択肢ではありますが、メディアに煽られてそんな気になったら、決める前に少し考えてみてください。

あなたの生活は、災害にさえ遭わなければ、どこにいても幸せなのですか?


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2012年8月22日 (水)

予想成功に寄せての考察

当ブログでは、千葉県北部在住の協力者の方からの、井戸に現れる変化の情報に基づいて地震の「予想」を行っており、ここまで記事にした二回とも、非常に高い精度で「予想」することに成功しました。なぜ「予知」と言わないかというと、「予知」とは確立した理論に基づく、防災情報として足る精度のものでなければならないと、管理人は考えるからです。

■8/3の地震予想結果はこちらから
■8/20の地震予想結果はこちらから

当ブログで行う「予想」の根拠は、東日本大震災以降に多発する関東地方での地震と、その前に井戸に現れる変化の関係をを継続的に観察し続けることで得られた経験則によるものです。つまり記事にするずっと以前から、井戸の変化と近隣の地震との関係に、かなり明瞭な相関を確認していました。これは、東日本大震災以降に、関東で比較的大きな地震が多発しているからこそ得られたデータであり、震災以前の「静かな」状況では、ここまで明瞭な相関は確認できなかったでしょう。

その上で、管理人はこの現象がが公表するに足る精度であると判断し、テストケースとして記事にしたものです。もちろん「肩すかし」の可能性はあったのですが、ここに至り、これが「単なる偶然」である可能性は排除しても良いと思っています。


地震の前後に現れるとされる様々な変化、いわゆる宏観現象(こうかんげんしょう)には様々なものが言われていますが、こと井戸や温泉など地下水に関係するものは、特に注目に値するものだと管理人は考えています。

地震とは、地下の岩盤が破壊されることで発生する現象ですから、震源に近い地中を流れる地下水に影響が出ることは、科学的にも当然と言えます。むしろ、影響は確実に出ているのでしょう。問題は、それが地上で観測されるかどうか、ということです。その点、井戸や温泉は、地中の情報を地上に伝える有効なネットワークということができます。

しかし、その情報を防災情報として利用するためには、まずその変化が高い確率で事前に観測されることと、地震の規模や発生までの時間に、ある程度の定量的な相関があることが必須です。そしてそれを知るためには、継続的、統計的な観察を欠くことができません。

例えば、「関東でいつか大きな地震が起きる」と言うだけならば、誰でもいずれは「予知」に成功します。しかし問題は、いつ、どこで、どの程度の地震が起きる可能性が高いか、ということであり、それがわからない以上は、防災情報とは言えません。すなわち、それらの要素が伴わないものは、防災情報としてはすべて「不良情報」に過ぎないのです。

どんなエセ情報でも、最後に「警戒してください」とでもつけておけば、良心的な情報の体裁を装うことができますが、そんなものは心理的な不安を煽るだけで、それで実際に高度の警戒態勢に入る人はいないでしょう。しかも、根拠の無い情報の氾濫は望ましくない「慣れ」につながり、普段の警戒意識全体を低下させます。百害あって一利なしです。

一方それが根拠のある情報、例えばやたらとセンセーショナルに煽られる、例の「南関東に震度7の可能性」とか、「東海・東南海・南海連鎖地震で広範囲に震度7、最大34メートルの津波の可能性」とかの情報でさえ、対象地域の住人以外には、管理人に言わせれば「だからどうした」という類です。必要なことは、自分の居場所で何が起きるか、その時どうするか、ということだけです。極論すれば、大きな地震や津波が起こる可能性があることだけ知っていれば良く、それ以上は「生き残る」ためにはほとんど不要なのです。

あなたが「その時」にいる場所、街中なのか、郊外なのか、建物の中か外か、それがどんな建物なのか、ひとりなのか、保護すべき人が一緒なのかなどの条件で、取るべき行動は全く変わってきます。例えば、コンビニの駐車場と店内、さらに雑誌を立ち読みしているか、おにぎりを選んでいるかによっても、取るべき行動は違うのです。

まず最初にそれを知り、考え、必要な装備を整えること、それなくして根拠や可能性の薄弱な情報に振り回されることは、自ら「生き残る」可能性を減らしているようなものです。本当に必要な行動に気がつき、そしてその行動を実践した人のみが「生き残る」可能性を高められる、それが紛れもない現実です。

最近の、特に震災後に氾濫する「防災情報」は、暑い時にはまず水を飲まなければいけないのに、なんだかその前に地球温暖化対策について考える、みたいなものが大半に見えるのは、管理人だけでは無いと思うのですが。インパクトが強い情報が、必ずしも必要な情報では無いのです。優先順位が間違っています。


大災害下では、人の命など確率の前にひざまづかされる数字に過ぎません。そして、災害の規模が大きくなるほど、準備不足や正しくない行動が許容される範囲が急激に減って行きます。草野球レベルでは、甲子園では絶対に勝てないのです。ですから、「生き残る」ためには何をすべきか、まずそれを考えてください。考えるために「本当に必要な知識」を得てください。それは少なくとも、訳のわからない情報を見て、ただ「怖い怖い」と言うことでは、絶対にありません。

当ブログは、一見面白味に欠けるかもしれない、しかし本当に必要な情報を厳選してお送りして行きます。より多くの方に見ていただければと思っておりますので、今後ともご支援よろしくお願いいたします。

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2012年8月20日 (月)

【予想の地震が発生】宏観現象による地震警戒情報【8/20・続報】

本日8月20日午後8時42分頃、茨城県南部の深さ60kmを震源とするマグニチュード5.1の地震が発生し、水戸市などで最大震度3を記録しました。

この地震は、当ブログ8月16日の記事『宏観現象による地震警戒情報【8/16】』で予想した地震に該当するものだと思われます。

■上記予想記事はこちらから

それでは、今回も予想内容と実際の地震の整合性を確認します。■は予想内容、□は今回の地震のデータです。

【発生日時】
■8/16から7日間程度の間
□8/20 (8/16から5日目)

【発生場所】
■茨城県南部など。茨城県南部の可能性が最も高いと予想。
□茨城県南部

【震源深さ】
■40kmより深い
□60km

【最大震度】
■震度4以上
□震度3
※マグニチュード値は予想の対象ではありません。

最大震度は予想より小さかったのですが、これは震源深さ60kmと深かったために、地上の揺れが小さくなったものです。実際、8月3日に茨城県南部で発生した震度4の地震はマグニチュード4.5、深さ50kmでしたが、今回は5.1で、地震自体の規模はむしろ大きかったのです。これはひとえに震源が深かったために揺れが小さめになったということですから、予想との整合性は十分にあると考えられます。もし仮に、このクラスの地震が深さ20km程度で発生したら、地上の揺れは震度5弱以上になっていたでしょう。

このように、今回もほぼ正確に地震の発生を予想することができました。ここに至り、千葉県北部某所の井戸に現れる変化と、茨城県南部及び千葉県北部などで発生するある程度の規模以上の地震の発生には、信ずるに足る相関があると言うことができると思います。

今後も継続的に情報収集して行き、できるかぎり皆様にもお伝えして参りますので、ご支援の程よろしくお願いいたします。

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お詫びと後悔(笑)

「HAARP陰謀論を斬る」シリーズは、実は当初の予定よりずっと早く切り上げさせていただきました。

あのような無茶苦茶な話ですから、あれだけやればとにかく信ずるに足るものでは無いということがおわかりいただけたのではないか、という理由もありますが、それ以上に、続けることが管理人にとって苦痛になって来たからです。

当初は、シリーズ冒頭で挙げた、陰謀論者が言うHAARPの「機能」について、すべて解説と反論をするつもりでした。でもご覧の通り、あまりにも低レベルの話にしかならないのです。

いくら不良防災情報として拡散されていても、ネタ元は科学の知識もロクにない人々の妄想に過ぎないわけです。それに対して科学的な反論を加えて、図らずも鬼の首を取ったように振舞うことは、あまりにも低レベルの争いに過ぎないのではないか、そう思いました。書いていて、正直なところ辛くなってきました。

理屈がわかっている人が、意識的にバカを装って人を騙そうとすることは、許しがたいものがあります。でも、あんな情報のほとんどは、「知らない人たちが盛り上がっている」だけなんですね。よくよく考えれば、論評を加えるレベルに無いのです。

でも、やはりあんなのが防災情報として拡散されるのは放置したくは無いので、とりあえず「無知と妄想の産物」であるということはお知らせできたかなと思います。ですから、あれで終わりにしました。

もう少し別のやり方もあったかなとは思いますが、やはりいかにしろ真面目に遣り合うような内容ではありませんね。当ブログとしては、あんなものは「信じるに足らない、信じてはいけない」というメッセージだけを発信いたします。そして、似たような陰謀論の類は、すべてあの程度の理屈で構築されているのです。それはご理解いただきたいと願っておりますが。

今後、「エセ科学・オカルト排除」の記事をお送りするときには、もう少し「きちんとした」ものをお送りしたいと思います。今回はクオリティ上の問題が大きな記事をお送りしてしまいましたことを、お詫びいたします。

2012年8月17日 (金)

もう十分でしょう(笑)☆HAARP陰謀論を斬る【5・最終回】

今回は、HAARP陰謀論がついに「科学の領域」を飛び出します(笑)でも、このシリーズは今回で終わりにしますね。こんなことやっていたら、どんどん当ブログの主旨と離れて行ってしまいますし。もうこれくらいで十分でしょう。


では本文。電磁波による地殻の共振や地下水の加熱だけでは巨大地震は引き起こせないと考えた方々は、さらにトンデモ度を加速します。ついに、HAARPから「スカラー波」や「重力波」が発射されていると言い出しました。既に電磁波でさえない。

「スカラー波」というのは、何かエネルギー波のようなものらしいのですが、もちろんそんなもの存在しません。物理法則を無視した空想の産物です。ここでお約束のように登場するのが、実在した電気科学の天才、ニコラ・テスラ博士。エセ科学の世界では、テスラ博士が「スカラー波」を発見したことになっているんですね。

「重力波」に至っては、地球レベルの話ではありません。これは地球の数億倍とかの質量を持つ天体が運動することによって発生すると「予想」されている、「空間のゆがみ」が波となって拡散する現象であり、世界中の物理学者が、人工衛星や地上の大規模観測施設を使って実際に捉えようと躍起になっているものです。

でも、「信奉者」は科学的事実など一切関係なく、とにかくそれらがHAARPから発射され、電離層など関係なく地球のあらゆる場所に到達し、地震を起こすことにしてしまいました。そうしなければ、世界のあちこちで起きる大地震をHAARPのせいにできない。エセ科学信奉者の辞書には、不可能の文字は無いのです(笑)

また、HAARPの送信出力に関しては10ギガワットだの、地磁気程度の微弱なものだの、百花繚乱です。公式発表の3981メガワットなど、誰も信じていない。しかも微弱な電磁波は、電離層に反射させて「出力を数十倍に増幅」するそうで。ついに電離層はアンプになりました。

これらに関しては、これ以上の解説は無意味ですので終わりにします。


最後に、HAARP陰謀論で非常に重要な存在である、あるグラフを紹介します。これはHAARPのプロジェクトに参加している、アラスカ大学がネットで公表しているものです。

これは、「信奉者」が良く「HAARPの振れが大きい」とか言う根拠となっているもので、その実際は、HAARP基地付近で実測した地球の、地磁気の値をグラフにしたものです。
■アラスカ大学発表の地磁気グラフはこちらから

当然ながら、これはHAARPの送信時期や送信出力を現しているものではありませんが、多くの「信奉者」は、勝手にそのような解釈をしているようです。または、地磁気に大きな変化が出ている時は、HAARPがどこかを「狙い撃ちしているに違いない」という理屈のようです。HAARPの「身内」であるアラスカ大学が、自らの「陰謀」を察知されるようなデータを公開しているという理屈も面白いのですが、それを補強するような、これまた面白い話もあります。

サイトの英文に、「plot」という単語が出てきます。もちろん、これは「数値をグラフにプロット(描画)する」という意味で使われているのですが、これを自動翻訳にかけると、翻訳サイトの種類によっては、なんと「陰謀」と翻訳されることがあるんですね。確かに「plot」には陰謀という意味があります。

怪しいグラフの解説を自動翻訳したら、おかしな日本語の中にやたらと「陰謀」という言葉が出てくるものだから、テンション上がっちゃったんでしょうね。なにしろ「陰謀の身内」が、自ら「これは陰謀ですよ」と発表しているとしたら、これほど確かなことは無い(笑)だから、これは地磁気のグラフに偽装した、HAARP出力のグラフに「違いない」とかいう話になっているのでしょうか。ちなみに米国では、陰謀を表す言葉としては「conspiracy」を使う方が一般的のようですが。

ちなみに、前出の「送信出力は地磁気程度の微弱なもの」(根本的に単位が違うとかはおいといて)、という理屈は、このグラフがHAARPの出力だということにしたいためにのこじつけというわけです。でもそれでは出力がいかにも小さすぎるので、電離層をアンプにしてしまった(笑)

こんな感じで、状況によってどんなウソでもつく詐欺師みたいなものですよ。

まだまだネタは山ほどあるのですが、もうこのあたりで終わりにします。これはHAARP陰謀論にツッコんで楽しむ場では無く(笑)、それがいかにバカバカしいエセ科学であるかを知っていただくためのものですから。もうこれで十分でしょう。

まあ、これが趣味の世界ならばなにも問題無いのですが、こんなにバカバカしい話が、誰もが不安に思っている「大地震が起きる」根拠として、一部でまことしやかに語られていることが許しがたいのです。ましてや、実際に喪われた多くの人命が、陰謀とやらの結末であったとほざく連中を見ると、虫酸が走ります。

「防災系」を名乗るサイトやブログでも、この手の話を根拠にして、意味不明の「予知」をしているのを良く見かけます。でも、その手の情報の送り手が仮に当ブログを読んでも、「改心」などしないでしょう。鰯の頭も信心から、というくらいで、一旦信じてしまえば事実など無意味になりますし。むしろ、管理人を完全に「陰謀の手先」とかで敵対視しはじめるでしょうね(笑)

管理人としては、当ブログをお読みいただいている皆様が、この手の不良情報に接して無用な不安をお感じになることの無いよう、それだけを願っています。言うまでも無く、HAARP陰謀論に限りません。この手の話は、大抵はこのように児戯に等しいと言ったら子供に失礼、というくらいの理屈で構築されているのです。

とりあえず、このシリーズはここで終わりにしますが、シリーズ冒頭で挙げたHAARPの各「機能」について、「信奉者」の理屈がどうなのかご質問などありましたら、コメントをいただければ個別にお答えいたします。

また、その他のエセ科学、オカルト等についてのご質問もお気軽にどうぞ。こんなもので、何も恐れることは無いのです。


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地震関連情報【8/17・震度の訂正】

気象庁が、先日の地震の震度を訂正発表しました。

8月12日に発生し、福島県古殿町で最大震度5弱をを記録したとされる地震について、気象庁は8月16日付けで最大震度を4に訂正しました。

これは、本年度から設置された多機能型地震計測施設において、地表部の信号を二回重複して処理する不具合が発生し、実際の震度より過大に評価されたとのことです。

確かに、震源がごく浅かったとはいえ、マグニチュード4.2で震度5弱は大きいなという感覚は持っておりましたが、これで納得です。

なお、各地に設置した計測施設で、過去に同様の不具合が発生して震度が過大に評価された例が無いか現在精査中で、結果は後日発表されるとのことです。

気象庁サイトの報道発表ページはこちらから


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トンデモ技術解説(笑)☆HAARP陰謀論を斬る【4】

HAARPはなぜ「地震兵器」とされるのか、それに対し「信奉者」はどのような説明をしているのか、そしてそれがどれだけバカバカしい話か検証して行きます。なお、mixiでやった時もそうだったのですが、この辺りを書くとどうしても文中に(笑)が多くなってしまいます。実際、笑わなければやってられません(笑)これでも控えめにしましたので、どうかご容赦を(笑)

ではまず、HAARP陰謀論者の説明をまとめてみましょう。こんな感じです。

『HAARPから「ある種の電磁波」が電離層に向けて発射され、電離層で反射して特定の場所に照射される。そしてその電磁波が地中の断層などに「作用」して、地震を発生させる。電磁波は地中にも浸透し、地球の反対側まで到達するので、地球上いかなる場所も「狙い撃ち」することができる』

そして、阪神・淡路大震災、中国・四川大地震、ハイチ大地震、そして東日本大震災など、世界の多くの大地震災害がHAARPの仕業、つまり米国の陰謀であると。基本的に、最後にはすべて欧米、特に米国の陰謀に落ち着くわけで、それを大前提にすべての話が構築されています。管理人はまだ見ていませんが、先般のイラン地震など、「信奉者」は快裁を叫んでいるのでしょうね。

では、電磁波がどのような「作用」で地震を引き起こすというのでしょうか。これはいろいろ無茶なことが言われていますが、比較的多いのが、電磁波で地殻を「共振」させるか、地下水を加熱、膨張させて、断層の破壊を促すというものです。

まず「共振」ですが、物体にいくら電磁波を当てても、物理的な振動は発生しません。これなど、建物被害の話で良く出る「共振周期」という理屈、いや言葉を使っただけの、科学以前の話です。構造物は「固有振動周期」に近い振動を与えられると共振して崩壊しやすい、ならば地殻もそのような崩壊をするはずで、それを電磁波で引き起こすという理屈です。

その「根拠」とされていると思われるのが、電子レンジ。電子レンジは物体に電磁波を照射し、分子の振動を励起させることで加熱します。ここから、「電磁波」と「振動」という言葉だけを抜き出して、当てはめたものでしょう。分子レベルの振動と、物質全体の振動をいっしょくたにしただけです。

すると、もう少し科学的(笑)な、電磁波で地下水を加熱・膨張させて、断層を破壊するという理屈が登場します。ところが、物体を加熱できるのは、電子レンジに使われている極超短波(ごくちょうたんぱ。マイクロ波。以下マイクロ波)で、その周波数は2.45GHz(ギガヘルツ)近辺です。でもHAARPの使用周波数は、はるかに低い3~30MHzの短波帯です。

そこで「信奉者」は、公式発表などウソだと決めつけて、HAARPからマイクロ波が発射されているということにしてしまいました。あのアンテナから発射が可能かどうかということなど、知らぬ存ぜぬです。当然、無理ですが。

ところが、ここで完全に理屈が崩壊します。電離層で反射させて見通し距離以上に到達させられる電波は、一部の例外を除くと短波帯だけです。マイクロ波は、電離層を突き抜けてしまうのです。だからこそ、衛星通信に使われています。

つまり、電磁波を電離層で反射させて、世界のどこでも「狙い撃ち」できるという理屈を、自ら否定してしまいました。しかし彼らは負けないのです。今度は、とんでもない理屈が登場します。それは、HAARPから発射された短波帯の電波が、電離層で反射した後に「マイクロ波に変換されて」地上に降り注ぐとのこと。

まだ続きます。地上に降り注いだマイクロ波は大半が地表で反射されますが、一部はまたもや「周波数が変換されて」地中に浸透し、地殻や地下水を加熱すると。あれ、マイクロ波じゃなくなっちゃいましたね。しかしまあ反射するたびに自由に周波数帯変換ができるなんて、全くもって「夢の技術」ですね(笑)

完全にお笑いの世界なのですが、我慢して(笑)続けます。一応まとめますと、HAARPによって発射された、短波から変換されたマイクロ波が、さらに周波数が変わって(何に変わるかは見つかりませんでした)地中に浸透し、地殻や地下水を加熱して地震を引き起こす、ということのようです。

地下水の加熱による地震は、どうやら火山の水蒸気爆発のようなイメージらしいです。火山で起こるのだから、電磁波でも起こると。そこで物質の性質やエネルギー量などを真面目に考えることは、「信奉者」にはタブーなのです。そして、こんな「特殊技術」の根拠になっているのが、軍の存在です。軍は我々には決して知らされない、悪魔の技術を隠し持っているに「違いない」というのが前提なわけです。ロズウェルに始まり、いつでも軍は「軍事機密」を盾に我々を欺く。あのマジェスティック12にも、軍人が深く関係していたじゃないか。だからここでも「そうに違いない」と。

では今回の最後に、究極の事実をひとつ。それは「いかなる電磁波も、地中には浸透しない」ということです。地中レーダーのように、地面に直接アンテナを接触させて大出力で送信すれば、ある程度の深さまでは到達しますが、空間を伝播してきた電磁波が地中に浸透することは、基本的にはありません。その大部分が反射されます。特に直進性が高いマイクロ波は、それが顕著です。地面に微細な割れ目があれば、少しは浸透したり、地中で発生した電磁波が空間に放射されることはあるものの、いずれにしろ地下深くを振動させたり加熱したりするような大きなエネルギーが浸透することは無いのです。

この事実だけでHAARP地震兵器説は完全否定できるのですが、一応流れを追ってきました。ではこれで終わりかというと、実はまだ続きがあるんですね。彼らは自説に科学的な「裏付け」を与えたいのに、どんどん無理が出て来る。ならばと凄いものを持ち出して来るわけです。ある意味、ここからが真骨頂かと(笑)

次回に続きます。


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2012年8月16日 (木)

宏観現象による地震警戒情報【8/16】

千葉県北部の協力者の方から連絡がありました。8月15日深夜、井戸水に匂いと浮遊物、沈殿物が出ているのが確認されたそうです。

前回、このような現象が確認されてから5~6日目(最初の発生時が確認できなかったため)の8月3日に、茨城県南部深さ50kmを震源とする、最大震度4の地震が発生しました。この地震について、当ブログでは7月30日にほぼ正確に予想することに成功しました。

■前回の予想結果はこちらから

その例と、過去に観測された事例の経験則を加味すると、本日8月16日からだいたい7日間程度の間に、茨城県南部、千葉県北部、千葉県北東沖、東京湾北部、千葉県南部及びその周辺の深さ40kmより深い震源で、最大震度4以上となる地震が発生する確率が高まっている可能性があります。現在の地震発生頻度から判断すれば、その中でも茨城県南部及びその周辺が震源となる可能性が、比較的高いと考えられます。

念のため申し添えますが、これは地震「予知」情報ではなく、ある宏観現象を継続的に観測しつづけたことによる経験則からの、「予想」に過ぎません。地震の発生日時、場所、規模等は上記の範囲内とは限りませんし、関連すると思われる地震が発生しない可能性もあります。

ですから、比較的精度が高いと思われる宏観現象の発生による「警戒情報」とお考えください。追加情報がありましたら、随時お伝えして行きます。

なお、当記事内容の無断での転載、引用等は一切お断りいたします。


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2012年8月15日 (水)

何ができるのか?☆HAARP陰謀論を斬る【3】

それでは、HAARPには一体何ができるのか、陰謀論者の主張を見てみましょう。

管理人がネット上で拾ったその「機能」は、大体下記のようなものです。
■地球上いかなる場所でも、地震を起こすことができる。
■気象を操作してハリケーンなどを強大化し、その進路もコントロールできる。
■電離層を操作し、特定の場所の通信を妨害できる。
■広範囲に電磁波を照射し、国家レベルで電子機器を無力化できる。
■人工的にオーロラを発生させて赤外線を発生させ(?)、人工衛星からの赤外線探知を妨害できる。
■超長波(VLF)による対潜水艦通信(これは実在)を代替し、システムの小型化、高校率化ができる。
■微弱電波を電離層に反射させて、強力な電磁波に増幅できる。
■電磁波を特定の場所に照射して、人間の意識を混乱させたりすることができる。

という感じで、トンデモ感満点の「機能」です。本当にこんなことができれば、米国の世界征服も夢ではありませんね(笑)

基本的には、電磁波によって起こりうる(かもしれない)様々な影響を、その周波数帯や特性を無視して、すべてがHAARPによって可能であるようにこじつけているわけです。電磁波に関する非常に幼稚で断片的な知識と、HAARPが「大出力の電磁波を自由に指向できる」という事実をただ単純に結びつけただけの話です。

これに限らず、エセ科学、トンデモ系の論理展開(と、言えるかどうか)は、すべてこんな感じではあります。しかし「信奉者」は、本当にそれが可能であるかどうかは検証しません。何故なら、事実を知れば知るほど、「夢の世界」が崩壊してしまいますから。それは、「信奉者」としてのレゾン・デートル(=存在意義。←格好つけてみました)を失わせることになりますし。

さて、気持ち的には「こんなものは全部不可能」と片づけたいのですが、ここから細々と検証して行きたいと思います。管理人がこだわるのは、これが「地震兵器」や「気象兵器」としてまことしやかに語られ、世の中に余計な不安をばら撒いているからです。

その手のサイトやブログのアクセス数は常に多く、震災後はさらに増えています。そして、大きめの地震があると、ドンと跳ね上がるのです。誰もが「大地震はいつ来るのか」を知りたいと思っています。そんな不安心理の隙に、このような不良情報が浸透して行くことに、管理人は強い憤りを感じ、危惧してます。

当ブログをお読みいただいた方が、HAARPだけでなくその手のエセ科学、トンデモ系の情報がいかにくだらないことかを理解していただき、無用な不安をお感じになることがありませんよう、切に願う次第です。そんなことを気にする前に、知るべきこと、やるべきことはいくらでもあります。そしてその結果は、大災害時には必ずあなた自身に跳ね返って来るのです。

次回は、この話のメインである、「HAARP地震兵器説」を斬ります。

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2012年8月14日 (火)

地震関連情報【8/14他】

本日8月14日午後12時01分頃、オホーツク海南部海底、深さ590kmを震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、函館市などで最大震度3を記録しました。

この地震は、深さ590kmという非常に深い場所で発生した「深発地震」であり、東日本大震災以降の日本列島周辺における地殻変動とは直接の関係はありません。マグニチュード7.3とかなり大きかったのですが、震源が深いために地上の揺れは大きくなりませんでした。なお、深発地震特有の、震源に近い場所の揺れが必ずしも強くならない「異常震域」が見られます。

このタイプの地震は、深さ100km程度までの地震とは根本的に発生メカニズムが異なりますので、今後特別な警戒を要するものではありません。仮にさらに大規模で発生しても、震源が深いために地上の揺れはそれほど大きくならず、海底が変形することはありませんので、津波が発生する可能性もありません。ただし、浅い場所の地震を誘発しないとは言い切れませんので、その面での警戒は必要です。


もうひとつ、旧い情報で恐縮ですが、8月12日午後6時56分ごろ、福島県中通りの「ごく浅い」震源で、マグニチュード4.2の地震が発生し、福島県古殿町で最大震度5弱を記録しました。

この地震の震源は、東日本大震災以来、福島県浜通り南部、茨城県北部を中心に、震源深さ10km以下の地震が多発している震源域の西側外縁で、その震源域での一連の地震と同一メカニズムと考えられます。しかし、震災後にこの震源域で地震が多発している正確な理由は未だに解明されていません。この震源域では、時々震度5弱から5強レベルの地震が発生していますので、今回の地震に関わらず、継続的な警戒が必要です。

なお、今回の地震は震源がごく浅かったために、マグニチュード4.2とあまり大きく無かった割には地上の震度が大きかったのですが、震源が浅いからこそ強い揺れの範囲が狭い範囲に極限されたものです。一部に、マグニチュード値の割りには震度が大きかったこと、ごく狭い範囲に強い揺れが極限されていることから、この地震は普通の地震では無い、今後何か特別な危険があるというような、全く根拠の無い見解を流している輩もおりますが、これらは震源が「ごく浅い」ということからすべて合理的な説明ができる、ごく当然の現象です。

少し変わったことが起きると、すぐに「おかしい」と騒ぐような行為は、自分の無知を曝け出しているのと何ら変わりありません。まあ、根拠の無い「地震予知ごっこ」をやっているような時点で、底が知れていますが。


※12日の地震については、管理人は外出中だったため詳細情報を得られませんでしたので、当日に対応できませんでした。


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なぜ陰謀にされたのか?☆HAARP陰謀論を斬る【2】

ところで、なぜHAARPが陰謀の手段として「人気」になったのでしょうか。

まず考えられるのは、科学実験プログラムなのに、軍が絡んでいるということ。軍事利用を視野に入れているので当然ではあるのですが、トンデモ、エセ科学の世界では、軍が関係する裏には必ず陰謀、隠蔽が存在するというイメージが、UFO墜落事件とされる「ロズウェル事件」以来定番であり、それは現代にも「エリア51」の謎などに形を変えてマニアの間に息づいています。

そして、その手の話がお好みの層が、HAARP陰謀論を拡散する中心であることは、その手の多くのサイトのニュアンスからわかります。そのような層は米国内に多く存在し、主にネット上で「私たちが欺かれている」というような「情報」を発信しています。元来、舶来ものに弱い日本人ですし、ある意味で「本場の情報」ですから、そんな話はこちらの「信奉者」の間にも深く浸透しています。東日本大震災後にも、海外からの情報を「海外だから正しい」というように、無条件に信用するような例も多く見られます。

もっとも、実際には外国語サイトが直接読まれているのではなく、それらを意訳し、時にはさらに尾ひれをつけた、日本語の「定番サイト」の内容が拡散しているのですが。その手の「情報」の主要部分の多くがほとんど同じ文章、つまりコピペに近い形で転載されていることから、それがわかります。中には、自動翻訳の意味不明の日本語をそのままコピペしているような、管理者自体が理解していないようなサイトも見かけます。そのようなサイトを量産しているような場合、その裏には様々な目的や意図が透けて見えたりもします。面倒なのでそちら方面には触れませんが。

1995年の阪神・淡路大震災の時にも、当時建設中だった明石海峡大橋のプロジェクトに、軍需を多く手がける米国の超保守系巨大建設会社「ベクテル社」が関係していることから、「日本が反米化しないよう警告するため、橋の基礎に小型核爆弾を設置し、その爆発によって地震が起こされた」などと言う、検証の価値も無い話が拡散しましたし、東日本大震災後にも、同様の話が出ています。

基本的に、「世界は影の意思に牛耳られている」というような話が大好きな方々が、「私たちだけが真実を知っている」と言わんばかりに、この手の情報を拡散しているということが言えましょう。

さらに、HAARP陰謀論には強力な「援軍」が存在します。それは「元」ジャーナリストのベンジャミン・フルフォード氏。なぜカッコつきで「元」と表記したかというと、この人はすでにジャーナリストとしての義務と良心を放棄しているからです。つまり、事実だけを発信しているのでは無い。でも、いやだからこそ、「信奉者」の間では「ネ申」的存在です。実は、管理人もこの人の著作を読んだことがあります。その上で、ただの大嘘つきだとは思ってはいません。それなりに鋭い視点を感じることもありますが、この人がHAARP陰謀論を主張しているのです。

この人の最大の問題は、前記の通り事実と確認されていないこと、裏付けの取れないこと、想像されるだけのことを、事実と同列に扱うということです。そして「ネット上にしか真実は存在しない」と公言し、ネット情報の中から自説に都合の良いものをピックアップして羅列することで、読者に「なるほどそういうこともあるかもな」という心証を形成するのが、非常に上手なのです。

そのせいもあってネット住人には非常に好評で、HAARP陰謀論も、わが国では「某巨大掲示板」を中心に盛んに語られ、拡散されてきました。しかもフルフォード氏はやたらと日本びいきで、「陰謀にまみれた欧米中心の世界を救うのは、日本人の覚醒しかない」と、ガイジンに弱い日本人心理を巧みにくすぐるのです。

もちろん日本でもたくさんの書籍を刊行しており、いろいろな意味で「上手いなあ」と思わせます。管理人も、氏に印税を献上したひとりですが(笑)氏の書籍は、はっきり言ってかなり面白いです。なるほどと思わせられることもあります。しかし、提示した情報に対してきちんとした検証が行われることは、ほとんどありません。目に見える事象、そしてそこから想像される事象が羅列されますが、「何故そうなっているのか、それは事実なのか」というリサーチはまずありません。

もっとも、氏が指摘するのは「大国の陰謀」ですから、そう簡単に事実は見えません。そこで、ネット上で拾った断片的な情報や、その存在さえ曖昧な「協力者からの情報」を羅列し、自説を展開、補強する手法です。ですから、書いてあることを盲目的に肯定するのはたやすい一方、否定する情報が与えられません。否定するためには、自分で情報を集めなければならない。しかし、ネットでキーワード検索でもしようものなら、「信奉者」が拡散した肯定情報ばかり飛び込んで来る(笑)

おそらく、その辺も氏の「思う壺」なのでしょう。最初から全面的に信用していなくても、基礎的な知識を持たずにそんな情報に接したら、気がついたら「信奉者」、もしくは心情的シンパになってしまう可能性が高い。本当に上手です。


そんなわけで、当ブログではそのような主張には一切耳を貸さず、科学的事実のみからHAARPによる陰謀は可能なのかを検証して行きます。はっきり言って実にバカバカしい話なのですが、体系的に否定する情報がネット上には本当に少ないのです。何故なら、専門家が反証すべきレベルの話ではありませんから。

ならば、それが趣味の世界に収まらず、エセ防災情報として拡散していることを危惧する管理人は、「防災屋」の立場で反証を行います。正直言って、管理人もこの手の話は「ネタ」としては嫌いではありません。しかし、多くの人の命がかかっている状況どころか、実際に多くの人命が失われた事実まで、陰謀とやらのためだったなどと、モニタの向こう側からしたり顔でばら撒いている手合いが、心情的にも許しがたいものですから。

次回へ続きます。


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2012年8月13日 (月)

HAARPってなに?☆HAARP陰謀論を斬る【1】

本稿を始めるに当たり、大前提となることを最初におことわりします。

管理人は、HAARP(ハープ)の実態がどうであるとか、そこに秘密や陰謀あるとか無いとかに言及するつもりは全くありません。そんなこと、いち素人にわかるはずがない(笑)これからやることは、世間でHAARPが地震や気象変動を引き起こす「兵器」であると一部の人々が主張する理由が、あまりにバカバカしい矛盾に満ちたものであるかの検証です。つまり、「信奉者」の主張は、すべて「あり得ない」ことなのです。

HAARPの実態がどうであろうと、少なくとも「信奉者」が語る理由は、ただの大嘘、ホラ話のレベルであることを明らかにします。これがSFエンターテインメントならば、ある意味でとても面白い話ではあります。でも、それが当たり前のように「地震兵器」として防災情報を撹乱している現実に対して、管理人は抵抗せずにはいられません。


それでは、HAARP陰謀論について、検証を始めましょう。文中には多少専門的な記述や、トンデモ系の知識が無いと理解不能の記述が出てきますが、科学的な記述に関しては、すべて裏付けがある内容であることをお約束します。トンデモ系(UFO関係とかスカラー波とか)の意味がおわかりにならなければ、そこはスルーしてください。大意に影響はありません。

まず、HAARPとは何か。これは「High frequency Active Auroral Research Program」の頭文字を並べたもので、和訳すると「高周波活性オーロラ調査プログラム」となります。米海軍、米空軍、米国国防高等研究計画局が中心となって行っているプロジェクトで、簡単に言えば、地上から高層大気に向けて電波を発射して電離層を活性化させることで、その影響や無線通信など地球上への影響を調査する科学プログラムです。

その「基地」は、米国アラスカ州にあり、下画像のようなものです。
Haarp
Haarp_2
人里離れた森の中に「怪しい」アンテナ群が並ぶ、いかにもトンデモ系マニアを惹きつけそうな姿です。ここで、無線関係に詳しい方なら、「ああ、短波帯のダイポールアンテナだな」とおわかりになるでしょう。まあ、その通りです。

早速少し専門的な話になりますが、このアンテナ群全体が「フェイズド・アレイ・アンテナ」になっています。電波を周囲に発射する場合、普通はパラボラアンテナやバーアンテナを機械的にくるくる回しますが、「フェイズド・アレイ・アンテナ」は、ひとつひとつのアンテナの電気的な位相を変化させることにより、固定されたアンテナ群全体から、理論的には光速で電波ビームを「振り回す」ことができます。他にこれが使われている代表的な例が、「イージス艦」のレーダーです(下画像)。
Photo
六角形の板状のものが「フェイズド・アレイ・レーダー」で、カバーの中には小さなアンテナが蜂の巣状にびっしり並んでいます。簡単に言えば、その巨大な奴がHAARPというわけです。この「電波ビームを全方向に指向できる」という機能が、HAARP陰謀論の重要なポイントになっているのですが、詳しくは後ほど解説します。

もうひとつ、基礎的な情報を。HAARPが発射する電波の周波数は、「High Frequency・・・」の名が示す通り「HF帯」、つまり短波帯です。一般的には3~30MHz(メガヘルツ)の電波で、アンテナの構造や形状からも、短波帯に最適化されたものであることがわかります。その他の周波数帯の電波は発射できないか、できても非常に効率が悪いアンテナなのです。

使用周波数帯についてはHAARPの公式サイトにも明記されていて、送信出力は最大3981メガワットとされています。
■HAARP公式サイトはこちらから
ひとつの事実として、一般公開されたHAARPの実験に、7MHz帯の電波で月面反射通信(月に向かって電波を発射し、月面で反射した電波を受信して通信する)が行われたことがあります。

まあ、HAARP陰謀論者は「公式発表」など信じていないようですし、中には月面反射通信とは陰謀が隠された未知の技術だとか言う人もいます。でも、これはアマチュア無線家でも可能な、別段珍しくもなんともない技術です。自分が知らなければ、なんでも陰謀にしたがる連中が少なくありません。

ともかくも、HAARPとは短波帯の電波を上空の電離層に向かって発射し、その影響を調べるプロジェクトなのです。その成果が国防、軍事方面にも利用されることは最初から公表されていますので、実験の目的、成果はすべて公開ではなく、機密事項が存在するのも事実ではあります。

ここで、非常に大切な事実を覚えておいてください。HAARPはなぜ短波帯の電波を使っているのかということです。それは、「電離層で反射したり、影響を与えることができる電波は、基本的には短波帯だけ」だという、ごく基礎的な事実によります。例外はありますが、物体を加熱できるのは、電子レンジに使われている極超短波(マイクロ波)だけということと同じくらい、当たり前のことなのです。

この極超短波(マイクロ波)も、後で妙な登場の仕方をして来るのですが。

次回に続きます。


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2012年8月10日 (金)

HAARP陰謀論を斬ります(新シリーズのおしらせ)

当ブログも、今年1月12日のスタートからのページビューがPC、スマホからが9万PV、携帯電話からが3万PVを超え、計12万PVを達成しました。皆様のご愛読、ご支持に心より感謝いたします。これからも、「本当に役に立つ」情報を厳選してお送りしていく所存です。今度ともどうぞよろしくお願いいたします。

ここで、新シリーズのお知らせです。

当ブログのスタートは上記の通り今年の1月12日。最初にお送りしたのは、まことしやかに語られる「地震雲」の存在を否定する、「地震雲ってなに?」シリーズの10回連載でした。
■「地震雲ってなに?」第一回記事はこちらから

その後、そのカテゴリ「エセ科学・オカルト排除」の記事は無かったのですが、久々に再開することにします。今回採り上げるテーマは「HAARP」。

これは米国が中心となって行っている、オーロラや電離層に関する科学調査プロジェクトです。しかし、エセ科学信奉者の間では、それが何故か(理由はありますが)「人工地震」を引き起こし、気象を操作できる陰謀プロジェクトだというのが定説になっています。

そちら系の、アクセスも決して少なくないブログなどに、普通に「HAARPの波形によると」などと、地震の発生を「警告」する理由のひとつとして採り上げられているのですが、それがいかにバカバカしいエセ科学であるかを明らかにします。まあ、「人工地震」と聞いただけで噴飯ものなのですが、そんなのが趣味の世界だけならともかく、防災情報の体裁でばら撒かれて世間の不安を煽っていることに、管理人は強い憤りを感じています。

もちろん、当ブログは「信奉者」と同じ土俵には乗りません。あくまで科学的に、現実的に、こと細かに検証して行きます。基本的には「無知と妄想の産物」に過ぎませんから、否定はある意味で容易です。でも部分的に否定した記事などはそれなりに見かけますが、体系的に、そして徹底的に否定したものは、管理人は見たことがありません。だから、自分でやります。

このシリーズをお読みいただければ、「HAARP」を根拠とする地震「予知」情報など、一笑に付せるようになるでしょう。さらに、付帯するその他の情報も「その程度のもの」だと判断できるでしょう。最初からそんなもの気にしていない方、実践的に役立つ防災情報をご期待いただいている方には申し訳ありませんが、しばらくお付き合いください。もちろん、必要な情報は途中でも随時お知らせして行きます。

当ブログのカテゴリ「エセ科学・オカルト排除」記事の目的は、エセ科学やオカルト情報によって無用な不安に駆られている方に、何も心配無いと安心していただくことです。その手の不良情報の送り手に、「それは嘘だからやめろ」と言っても無駄ですので、そのような意図は最初から持っておりません。本音を言えば、関わりたくもない。

記事に対する科学的、論理的な反論、質問、意見等は歓迎しますが、感情的な反論や誹謗中傷には一切お答えしませんし、そのようなコメントは削除対象とさせていただきます。

なお、記事内容は、当ブログ本館であるmixiのコミュニティ「生き残れ。~災害に備えよう~」に連載したものを加筆訂正してお送りしますので、そちらとかなり重複する部分がありますことをご了承ください。

では、間もなくスタートです。


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2012年8月 8日 (水)

超満員のスタジアムで防災を考える。

管理人は先日、某スタジアムで開催されたイベントに行って来ました。スタンドとグラウンドにはぎっしりと約4万人。そんな場所へ行くとなると、「そこで地震が来たら」と考えてしまうのが防災屋の性というものです。

もちろん、一通りの防災グッズ持参ではあります。今回はLEDライト大小2本、トランジスタラジオ、100均ポンチョ、スーパーデリオス(携帯浄水器)、カロリーメイト2箱、塩飴をセレクトしました。避難時、帰宅困難時の視界、情報、防水、水分、カロリー確保と、熱中症対策です。ライトは80ルーメンの中型をリュックの中に入れ、30ルーメンの小型をズボンのポケットの中に。避難行動の混乱で荷物を失うことも想定して、普段から必ず一本はポケットに入れています。

さらに、これはマニアックにすぎる装備なのですが、軍用のハイドレーションバッグ(給水バッグ。画像参照)のインナーバッグ(容量3リットル)をリュックに入れて、イベント中の水分補給に使いました。
Sany0033
通常は右のインナーバッグをリュック式のアウターバッグに入れて背負い、口元まで引いたチューブから水を飲むものです。

これは大汗をかくことが予想されて500ミリリットルのペットボトルくらいでは不足だし、売店は長蛇の列になることが予想されたからです。そして実際にその通りでしたし、管理人は行列に並ぶのが嫌いなのです(笑)もちろん2リットルのペットボトルでも良いのですが、今回は荷物が多く、なるべくコンパクトに2リットルの水を持参したかったのでセレクトしました。問題は、水にプラスチックバッグの匂いが移って、はっきり言って不味いこと。バッグに氷を入れれば冷たくはできますが、表面に露がついてリュック内が湿るのを避けるため、今回は断念しました。味はあきらめ、あくまでも熱中症、脱水症対策のための水分補給用です。

このハイドレーションバッグ(通称キャメルバッグ)は、暑い時期に屋外で長時間の行動や作業をする際にはお勧めですよ。口元にのばしたチューブから、こまめに水分補給ができます。普通はアウターバッグに入れて背負ったり、リュックに取り付けたりして使います。数リットルの水を持ち運ぶのに、最も負担が少ない方法です。不味い水でも、炎天下で倒れるよりはマシというもの。価格は、安いものは4000円台からあります。


さておき、野球場などスタジアムは席も通路も狭くて傾斜もきつく、緊急避難行動時の危険はかなり大きい方です。前席の背もたれがちょうど膝下の高さになり、つまづいたら簡単に転げ落ちます。ベンチタイプの席でも、通路を踏み外しやすい。そして狭い階段も、一人が転んだら将棋倒しになる可能性が高いことは、ひと目でわかります。

そして、全席から手近な出入り口が見えます。これは一見良いことのようですが、管理人はそこに危険があると考えます。何故なら、非常時には周囲の皆がほぼ同時に、出入り口へ向かって動き出すことが考えられるからです。決して広くない出入り口に全方向から同時に数百人以上が殺到したら、何も起きない方がおかしいでしょう。特に出入り口の上の方から下りて来る流れは、下からの群衆に行く手を阻まれて進めなくなり、さらに後方から押される可能性が高い。そうなれば、下手をすれば「人のなだれ」が起きます。その中にいたらどうなるか、考えたくもありません。

また、野球場やスタジアムが地震で損傷する場合は、まず「スタンドの崩落」が考えられます。最近の立派なスタジアムはそれほど危険では無いでしょうが、全国には老朽化しているスタジアムも少なくありません。そして出入り口からの通路は多くの場合、スタンドの下を通っているのです。考えようによっては、ぞっとするような事実です。

ならばどうするか。現場に立って管理人が考えた方法は、やはり「待機」、そして「グラウンドレベルへ」です。スタジアムで強い地震を感じたら、まず動かない。自分がいる横の列の人が逃げようとしても、なんとかよけてやり過ごします。決してパニックの群れに巻き込まれないように。

そして周りに空きができたら、できるだけ速やかに「グラウンドレベルへ」下りるのです。階段は群衆が殺到している可能性が高いので、階段が無理なら前のシートを「這うように」乗り越えて。特に揺れている最中には、決して立ったまま飛び降りないように。姿勢を低くし、手足、お尻をできるだけ多くついて、複数の部分で身体を保持しながら、イメージとしては「ずり落ちる」感じで、絶対に転ばないように、一段一段確実に下ります。

もしスタンドが崩落するなら、大抵は中段を横に走るメイン通路の上側になるはずです。その下側にいたらそれほど慌てることもないでしょうが、上側にいたら、できるだけ速やかに行動を開始します。でも、階段の渋滞の中に入ってしまっては、スタンドの崩落よりはるかに高い確率で、「人のなだれ」に巻き込まれる可能性が高いのです。

グラウンドレベル近くまで下りてしまえば、まず安心です。でも、スタンド内いると、上から「人のなだれ」が落ちて来たり、グラウンドに入ろうとする人が突っ込んで来ることも考えられます。グラウンドとの間を仕切る壁が低ければ、当然それを乗り越えてグラウンドへ入る方が安全です。

しかし野球場の外野席両翼のように、数メートルの壁を飛び降りるのは自殺行為です。地面に落ちて負傷するだけでなく、動けないところへ、さらに上から人が「降って」来るでしょう。ひとりが飛び降りれば、パニック下ではそれが他の動きを誘発します。とりあえず、スタンド最前列付近まで下りて待機というのが現実的でしょう。

当ブログの「首都圏直下型地震を生き残れ!☆ライブ編」でも書いたのですが、狭い場所に多くの人が集まる場合は、人が「凶器」になる可能性が非常に大きいのです。そんな場所では、とにかくパニックの流れに巻き込まれないことを第一に考えるべきだと、管理人は考えます。


さらに、これは状況にもよりますが、もしスタンドが崩落するような規模の地震なら、その前にスタジアム外の安全圏に脱出できるのは、最短距離で脱出できたごく一部の人に過ぎないでしょう。ならば、その他のはるかに可能性の高い危険を避ける行動を取るべきです。満席のスタジアムでは、一部はほぼ確実にパニック状態になるでしょう。

場所による条件もあります。例えば埼玉県の西武ドームの一部のように、地面を掘ったすり鉢状のスタンドなら、崩落の危険は無くなります(注:西武ドームはスタンド全体がそのような構造ではありません)。ドーム屋根も、東京ドームのような空気膨張式ならまず崩れません。その他でも、ドーム球場の屋根が大きく崩落する可能性は高くありませんが、ライトなどの設備が落下してくることはあり得ます。

もし何か落下して来るようだったら、「首都圏直下型地震を生き残れ!☆ライブ編」の、ホールや映画館での対応と同じです。バッグなどで頭を防護しながらシートの間に背もたれやベンチより低く身を伏せて、落下物の直撃を避けるのです。

このように、基本的にはあなたがいる場所の構造や条件を事前にできるだけ知り、「その時どうするか」をケースバイケースで考えておくことが、「生き残る」可能性を大きく高めるのです。それはスタジアムに限らずどこにいても同じなのですが、そこに集まった人が多ければ多いほど、「生き残る」ための条件はシビアになって行くということをお忘れなく。

管理人は、数万人が集まるスタジアムに久しぶりに行って、それを改めて痛感した次第です。


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2012年8月 7日 (火)

自然災害より危険な現実

「夏の行楽シーズン」真っ盛りです。震災から二回目の夏を迎え、今年はお出かけされる方もぐっと増えているでしょう。今回は自然災害では無いのですが、自然災害に遭遇するよりはるかに危険度の高いことについて考えます。

それは交通事故。特に最近かなり目立つのが、高速道路での追突事故です。路肩に駐車中や渋滞の最後尾に車が突っ込むと、ほぼ例外無く死亡事故になってしまいます。特に大型トラックが突っ込んできたら、乗用車など原型を留めないほど潰され、火が出ることも少なくありません。

以前、料金所手前で渋滞中に飲酒運転の大型トラックに突っ込まれて後部座席の子供を喪った母親が、インタビューに答えてこう言っていました。「こんな事故は防ぎようが無い」と。いや、防げます。と言うより、「生き残る」方法があります。しかし実際に高速道路を走っていると、これから述べる方法を実践している人は、決して多いとは言えません。

では、どうするか。それは、「早く止まる」のです。前方が渋滞していたら、すぐにアクセルを抜いてハザードランプを点灯させます。管理人は、ここでブレーキペダルを軽く何度も、一秒間に2~3回くらい踏みます。

これは教習所で教えられる「ポンピングブレーキ」ではなく、目的はブレーキランプを細かく点滅させることで、後ろの車に「減速するぞ、止まるぞ」という意志をよりはっきりと伝えるためです。あまりしっかり踏むとガックンガックンしますから(笑)あくまでブレーキランプを点灯させる分だけ、ごく軽く踏むのです。

こんな細かい点滅は普段の運転ではまず見かけませんから、後ろのドライバーに注意を喚起する効果が大きいのです。管理人は、渋滞でなくても速度が速い、流れの良い場所で減速する時には多用しています。大型トラックの排気ブレーキランプと同様の効果があります。

大切なことは、その時に後ろの状況をバックミラーで確認することです。街中でもブレーキを踏む時は、バックミラーをチラっと見るのを習慣にしておくべきです。大型トラックなどが後ろにいたら、特にその動きを良く見なければなりません。

ブレーキランプやハザードランプが点滅すれば、後ろの車が「まともな」ドライバーなら、すぐに反応してくれるでしょう。しかし、事故は「まともでない」ドライバーが起こします。後ろが居眠り、よそ見、さらに飲酒運転の可能性もあるのです。ですから基本的には、後ろの車が「止まらない」前提で行動しなければなりません。

ブレーキを踏んで減速に入ったら、前方とバックミラーを感覚的には半々くらいの比率で見ながら、後ろの車がハザードランプをつけたり、減速を始めるかどうかを確認します。そして、前の車より減速度を大きく取り、車間を開けて行くのです。

管理人は、高速道路の渋滞後尾で停止する時には、前の車との車間を、最低でも20メートルは開けます。後ろの車が一緒に減速していても、これは変わりません。なぜなら、さらにその後ろから突っ込まれ、玉突きになることもあるからです。さらに、停止してからしばらくはバックミラーを見て、後ろ10台くらいの車が止まるのを確認し、それからゆっくりと前進して車間を詰めます。大型トラックが後ろに見えたら、より慎重に動きを見極めます。

もし後ろの車、特に大型トラックが減速せずに衝突すると確信したら、可能であれば路肩に逃げたり車線変更をしますが、それが無理なら路肩でも前の車の脇にでも車を突っ込み、「直撃」を避けるのです。前の車に接触する可能性は高いのですが、押しつぶされるよりはマシです。その判断は非常にシビアなものですが、普段からそういう選択肢もあるということを「覚悟」しておくことです。

とりあえず渋滞の後尾で停止する時には、早めの減速、停止前に20メートル以上の車間の確保、バックミラーで後方車両の動きを見極める、この三つを実行すれば、暴走車両に突っ込まれて押しつぶされる可能性は非常に小さくなります。20メートル車間が開いていれば、暴走車両を見つけてからもかなり動けますし、仮に突っ込まれても、前の車とサンドイッチになる前にハンドルを切って路肩などに逃げられる可能性も大きくなります。

このような行動は、普段から意識して繰り返したりイメージしたりしていないと、とっさにできることではありません。まずは普段の運転すべてで、減速するときにはバックミラーで後ろの車の存在や動きを確認することから習慣にすべきです。それだけで、街中でも追突される危険性は非常に小さくなります。言うまでも無く、後ろを見すぎて自分が追突することなどありませんように。要はバランスです。

これはあなた自身はもちろんですが、それよりむしろ同乗者、特に後部座席搭乗者を守るめに重要なことです。楽しいドライブ旅行の最中、あなたの車の後部座席に、だれが乗っていますか?


あと、行楽シーズンになると特に多く見かけるのが、流れの良い高速道路の路肩に停まっている車。大抵は子供の用足し(大人も少なくないですが)のようですが、その際に他の人は皆車に乗ったままで、しかも誰も後方を見ていない場合がほとんどです。この場合の危険は言うまでも無いのですが、そんな行動をするドライバーほど、周囲の危険に無頓着なものです。でも、そんな行為は「一家全滅」の危機に自ら飛び込んでいるようなものです。

ならば用が済むまで同乗者も車から降りて後方に注意という問題では無く、高速道の本線上でそんなことで停まるのが異常な行為なのですが。そうならないようにサービスエリアで定期的に休憩を入れ、トイレを促すのもドライバーの責務です。まあ、そういうことに気づかないタイプの人が事故を誘発するのがこの世の常ではあります。

このブログをご愛読いただいている方には無用の心配だとは思いますが、そういう輩が引き起こした事故に巻き込まれる可能性もありますから、気をつけるに越したことはありません。

自然災害は人間の都合などかまいませんが、車の運転は自分の意思ひとつでどうにもなります。良く「もらい事故は仕方ない」というような声も聞きますが、いわゆる「もらい事故」でも、その危険を先に考えて防衛運転することで、感覚的には99%以上回避することができるはずです。

楽しいドライブが、悲劇の場になりませんように。自然災害よりはるかに恐ろしいのが、交通事故だということをゆめゆめお忘れ無く。


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2012年8月 4日 (土)

宏観現象による地震警戒情報【8/4 第三報】

8月3日の茨城県南部を震源とする、震度4の地震に関連すると思われる宏観現象の続報が入りましたので、お知らせいたします。

8月4日未明の段階で、井戸水の沈殿物、浮遊物が引き続き確認されています。

8月4日午前0時18分ごろ、今回の地震の余震と思われるマグニチュード3.0、最大震度1の地震がほぼ同一震源で発生した後は、この震源では地震は発生していません。

しかし、井戸水の濁りが収まっていないことから、この震源域において、近いうちにさらに地震が発生する可能性があります。ここで「近いうち」と言うのは、経験的には7日間程度の間にということですが、今回は大きめの地震が発生した直後ですので、さらに短いスパンであることも考えられます。

ただ、かなり大きめの地震の前に観測されることが多い、井戸水内への砂(粘土粒子より大粒)の混入は4日未明の段階では確認されていません。この事象と経験則からだけ判断すれば、それほど大きな地震にはならないという見方もできます。しかし、それほどの精度がある現象とは確認されていませんし、当然ながら地震自体が起きない可能性もあります。

現状としては、何も情報が無い状態よりは、近日中の地震発生の可能性が高まっている、しかし規模については不明というくらいの感覚で、引き続き警戒をしてください。前兆現象の有無に関わらず、茨城県南部の震源域は、非常に活発な震源域のひとつなのです。

さらに言うまでもなく、他の震源域での地震が発生する可能性も常にありますので、決してこの現象や震源域のみに注意を払うようなことの無きようにお願いします。


今回の地震についての記事はおそらくこれが最後になると思われますので、ひとつお断りさせていただきます。
今回お知らせした井戸の現象は、管理人自身が確認できるものではなく、あくまで協力者の方からの情報提供に拠っています。したがって、諸々の事情で常に最新の状況が把握できるものではありません。

何も情報が無くても、必ずしも何も起きていないということではありませんので、その点は誤解の無きようにお願いします。管理人としては、できるだけ有用な情報はお知らせして行く所存ですが、情報が後手に回る可能性もあるということはご理解ください。


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宏観現象による地震警戒情報【8/3続報】

本日8月3日午後10時19分ごろ、茨城県南部深さ50kmを震源とするマグニチュード4.5の地震が発生し、茨城県坂東市で最大震度4を記録しました。

この地震は、当ブログの7月30日にアップした『宏観現象による地震警戒情報【7/30】』で予想した内容と、ほぼ完全に合致しているものです。管理人は、今回の現象はこの地震の前兆現象であった可能性が非常に高いと判断します。

『宏観現象による地震警戒情報【7/30】』は、こちらから

詳細に入る前に、ひとつ「警告」をしておきます。仮に、今回この地震の前兆を本当に捉えていたものだとしても、「これで終わりとは限らない」ということに留意してください。この現象発生の後、大きめの地震が連続したことは過去には確認しておりませんが、過去に無かったから今回も無いという理屈は成立しません。他の震源域で発生する可能性もあります。当ブログの情報は地震予知が目的ではなく、あくまで地震被害を減らすことが主眼ですので、常々警戒を怠りませんよう、改めてお願いいたします。

では、まず予想内容との整合性を確認します。■は7/30の記事に掲載の予想内容、□は今回の地震のデータです。

【発生日時】
■7月30日から7日間程度の間
□8月3日 (7/30から5日目)

【発生場所】
■茨城県南部など(管理人は茨城南部の可能性が最も高いと予想し、予想震源域の筆頭に挙げました)
□茨城県南部

【震源深さ】
■20kmより深い、比較的深い震源
□50km

【最大震度】
■震度4以上
□震度4(茨城県坂東市)
※マグニチュード値については予想に資する情報が存在しませんので、予想の対象ではありません。

このように、なんだか出来すぎのような整合性です。しかしこれとて「単なる偶然」の可能性は捨て切れませんが、過去の経験則も加味すれば、両者に有意な相関がある可能性は非常に高いと言うことはできるでしょう。

なお、後付けのようですっきりしないのですが、震源深さに関しては40kmより深いと予想していました。管理人が知る過去の事例はすべてそうだったからです。しかし敢えて幅を持たせて、20kmより深いと記述しました。これは、深さ10km程度より浅い、地表近くの断層が動くような地震の前には、この現象は確認されていなかったからです。

では次に、「今回の現象」について述べます。しかし、場所の公開はご勘弁ください。実は、この現象が見られるのは個人宅の敷地内です。情報もご好意で提供していただいているものですから、先方のご迷惑になってはいけませんので、その点はご了承ください。

ということで想像がついた方もあると思いますが、実は「井戸」に現れる現象です。千葉県北部の某所で、井戸水を日常的に使っている方からの情報なのですが、井戸水に細かい粘土の粒子状のものが混じって濁りが出たり、水に匂いが出た後に、近くの震源域で大きめの地震が発生することが、東日本大震災後に繰り返されて来たのです。震災前から出現していた可能性もありますが、それは確認していません。

今回は7月30日の段階で、数日前から出ていた水の匂いが強くなり、前日、もしくは当日に発生したと思われる濁りを確認したとのことです。このため、過去の経験則から、管理人は7日間程度の間に震度4以上が起きると予想したわけです。

管理人は、いつも情報をいただく度にその後の地震発生状況を注視してデータを集めていましたが、その蓄積から今回の予想内容になったものです。現象発生後に実際に地震が発生し、その発生状況が予想とほとんどぴったりだったことが、この井戸に現れる現象と、近隣のある規模以上の地震との深い相関を示していると言えるでしょう。今後も関連情報が得られましたら、当ブログでお知らせして行きたいと考えております。

最後に、若干手前味噌ながら、管理人の意見を少々。

今回の予想は、ある現象に着目し、それを継続的に観察することと、周囲で起きる状況を詳細に調べることによる情報の蓄積から可能になったものです。これが科学の方法であり、現実的に最も有効な手段です。あなたがもし「本当のこと」を知りたいのならば、このような方法が最も近道なのです。それが自分でできなければ、信用できるソースからの情報を「自分で、能動的に」探すことです。受け身では、不良情報ばかり入って来ます。

少なくとも、何の根拠も無いオカルトやエセ科学にうつつを抜かす暇は無いはずです。もし科学よりオカルトやエセ科学の方が「心地よい」とお思いの方がありましたら、当ブログの内容は一切信用せず、利用もしないでください。

実は先日、地震に関するオカルト情報を垂れ流すブログの管理人が、当ブログの記事をツイッターでリツイートしており、非常に頭にきました。科学を自ら否定する者が、都合の良い時だけ科学にすがろうなどとは笑止千万です。自分自身の不安も解消できないようなオカルト予知なら、やめてしまうことをお勧めしますが。少なくとも、防災情報のように公開して他人に不安をばら撒くのはやめていただきたい。管理人は、お遊びでこのブログをやっているのではありません。

とまあ、最後に言いたいことを言わせていただきましたが、これは管理人の一貫したスタンスでもあります。また、何か情報がありましたらお知らせします。


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2012年8月 2日 (木)

熱中症対策、間違っていませんか?

暑い日が続いています。連日、熱中症で救急搬送される人の数がニュースにならない日は無く、時には死者も出てしまっています。でも、そろそろそれが「当たり前」になって来ており、あまり注意が払われなくなっているような気もします。

熱中症対策は、どこでも盛んに言われている通り「体温を上げないこと」に尽きます。そのためには風通しの良い服装を心がけ、十分な水分と塩分などの電解質の摂取が必要です。ただ、「水分の摂取」に関してはかなりの誤解があるようなので、ここで採り上げておきます。

先日、炎天下で少年野球の練習を見かけたのですが、子供用に親御さんが用意していたのは、緑茶のペットボトルでした。こんな間違いが、いまだにかなり見られます。なにが間違いかおわかりになりますか?おわかりにならなかった方、ここでしっかりと覚えてください。下手をすると、あなたやお子さんの命に関わる問題です。

緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、コーラなどのカフェインを含む飲料は、利尿作用、つまり尿を積極的作り、体内の水分を排出してしまう効果があるのです。

多量の汗をかく運動をしている最中は、一旦尿になった水分も再吸収される部分が多いので、全体としてはあまり無駄にならないものの、尿になった段階で血中の水分量が下がり、汗となって排出される分量が減りますので、熱中症や脱水症のリスクはあまり下がらないのです。

あまり汗をかいていない時は、尿の量が増えて、むしろ体内の水分量を減らす結果になってしまいます。暑い部屋の中で緑茶だけを飲んでいるような時は、自ら熱中症や脱水症のリスクを高めてしまっているようなものです。

ですから、熱中症対策としての水分補給は、カフェインを含まないか、ごく少量のみ含む飲料を飲まなければなりません。理想的なのは、電解質も一緒に摂取できるスポーツドリンクです。他には水、麦茶、ほうじ茶などが適しています。栄養ドリンク類は、一般に多量のカフェインを含みますので、別に水分補給をしなければなりません。でも、汗をたくさんかいている際には、栄養ドリンク類は避けた方が良いでしょう。

また、アルコールにも利尿作用がありますので、例えば炎天下でビールを飲んでいるような時には、別に水分補給をしないと、熱中症や脱水症のリスクが高まります。夏場のバーベキューパーティーなども、実は危険なのです。

暑い中でめまい、吐き気、頭痛などの変調を感じたら、すぐに多量の水分を採り、日陰や冷房の効いている場所で頭を高くして横になり、身体をしめつけているものを外して、風通しを良くして休みます。すぐに体温を下げなければなりません。あおいで風を送ってあげると効果的です。また、氷やアイスパックがあれば、首の後ろや腋の下に入れて、動脈を流れる血液を冷やします。

この段階で、水と一緒に塩の錠剤や塩分を含んだ飴などをなめると、脱水状態からの回復に効果があります。食塩を直接なめても、もちろんかまいません。

特に、頭痛を感じたら脱水症の初期症状です。その段階を超えると口から水分を採っても回復せず、血中に直接水分補給する点滴が必要になることも多いので、決して無理をしないことです。

水分補給のポイント、特に運動中は、「のどが渇かなくても定期的に飲む」ということです。一定時間、例えば30分ごとにコップ一杯程度を補給するような方法で、熱中症や脱水症のリスクを大きく下げることができます。さらに、塩分を含んだ飴などをなめて、電解質の補給をすることで、さらに効果が上がります。

高血圧などで塩分を控えている人でも、たくさん汗をかいた際は、意識して塩分を摂ってください。塩分量を心配しすぎて熱中症になってしまっては、元も子もありません。心配な方は、かかりつけの医師に適当な塩分摂取量を確かめてください。

家の中などであまり汗をかいている自覚が無くても、身体全体から常時発汗していますので、水分量はどんどん減っていきます。特に下痢をしている時は、排便と共に大量の水分を失っていますので、意識的に多量の水分を採らなければなりません。


先日、熱中症や脱水症対策は当ブログでは採り上げないと書いたばかりなのですが、緑茶を飲まされている野球少年を見たら、やっぱり無視できなくなりました(笑)、いや、笑い事ではありませんよほんと。


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2012年8月 1日 (水)

首都圏直下型地震を生き残れ!【54】☆最終回

ここまで53回に渡ってお送りしてきた「首都圏直下型地震を生き残れ!」は、ここで一旦終了とさせていただき、今回は最終回としてにまとめをお送りします。

このシリーズでは、首都圏直下型地震をはじめとする大都市圏の地震を想定し、普段の生活でありがちなシチュエーション別に、「生き残る」ための対策を考えてきました。取り上げたシチュエーションは、「オフィス」、「買い物」、「ライブ」、「デート」、「旅行」、「高層ビル」、そして大都市全体、つまり誰もが危険地帯に放り込まれる可能性があると言っても良い「大火災」ですが、もちろんこれで全てではありません。でも、それぞれの対策は、普段の都市生活の大部分に応用できるものでもあります。同じような場所では同じような対策が有効だ、と言うことができますので、皆様の生活の中で応用する方法を考えてみてください。

管理人が、このシリーズをなぜこのようなスタイルと内容でお送りしたかというと、世間の「防災情報」が、あまりにも現実的で無いものばかりだからです。

大地震災害を「生き残る」ためには、三つの段階があると管理人は考えています。まず「最初の1分」。これは地震の第一撃から身を守る段階です。続いて「発災後数時間」。これは建物を脱出して避難行動を開始し、津波、余震による建物の倒壊、近隣の火災などから身を守る段階です。最後が「発災後24時間」。これは大火災や帰宅行動中に遭遇するあらゆる危険から身を守る段階で、ここまでクリアできれば、かなりの確率で「生き残る」ことができると考えます。

その中で、最も困難な状況が「最初の1分」です。その時におかれた状況によって様々な危険が同時に襲いかかり、秒単位の判断と行動が求められます。ですから、それぞれの場所での危険の種類と、そこで何が起きるか、それにどう対応するかを知っているか、事前に危険を減らす対策をしているかどうかで、「生き残る」確率に大きく差が出ます。「最初の1分」の対策を、最も重視しなければならないのです。

しかし、当ブログでも何度も述べていますが、世間の「防災情報」は、あまりにも災害の学術的側面や、「生き残ってから」の情報に偏っています。本当に役に立つ、そして実際にできる「逃げ方」を教えてくれるものは、ろくに見あたりません。

さらに、一旦避難した後の行動を指南するものをご覧になったことがありますか?少なくとも管理人はありません。例えば、大火災が都市を取り囲むと喧伝しておきながら、ならばどうしろというものが無い。巨大災害下では、一次避難だけで安全とは言えないことを、我々は東日本大震災で目の当たりにしたばかりではないですか。

危険が迫れば、誰でも避難しようとします。でも、そこで「何ができて、何ができないか」を知り、「何をすべきか」こそが大切です。防災の本質とは学術的知識や装備ではなく、「逃げるための知識と行動」なのです。水や食料の備蓄は、もちろん大切です。しかし過去の大地震や大津波、中国でも台湾でもトルコでもアフガニスタンでもインドネシアでもチリでもハイチでも、赤ちゃんひとりでも餓死したという話を聞いたことはありますか?報道されたことが全てでは無いにしろ、避難者がバタバタ倒れたというようなことは無かったはずです。

もちろん、多くの人が飢えや乾きに苦しんだでしょう。でも、そこばかりに焦点を当ててはいけない。その前にやることがあります。「生き残った」人は恐怖を語ることもできるし、不平不満も言えますが、死んだら終わりです。


巨大災害下では、人間の命など「確率」の前にひざまづかされる数字のひとつにすぎません。異論があろうと無かろうと、事実そうなのです。ですから、その「確率」を自分の力で能動的に高めるための、「本当に役に立つ」知識、行動、装備を、これからもお送りして行きたいと思います。

すべては、あなたとあなたの大切な人が「生き残る」ために。


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