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2012年8月13日 (月)

HAARPってなに?☆HAARP陰謀論を斬る【1】

本稿を始めるに当たり、大前提となることを最初におことわりします。

管理人は、HAARP(ハープ)の実態がどうであるとか、そこに秘密や陰謀あるとか無いとかに言及するつもりは全くありません。そんなこと、いち素人にわかるはずがない(笑)これからやることは、世間でHAARPが地震や気象変動を引き起こす「兵器」であると一部の人々が主張する理由が、あまりにバカバカしい矛盾に満ちたものであるかの検証です。つまり、「信奉者」の主張は、すべて「あり得ない」ことなのです。

HAARPの実態がどうであろうと、少なくとも「信奉者」が語る理由は、ただの大嘘、ホラ話のレベルであることを明らかにします。これがSFエンターテインメントならば、ある意味でとても面白い話ではあります。でも、それが当たり前のように「地震兵器」として防災情報を撹乱している現実に対して、管理人は抵抗せずにはいられません。


それでは、HAARP陰謀論について、検証を始めましょう。文中には多少専門的な記述や、トンデモ系の知識が無いと理解不能の記述が出てきますが、科学的な記述に関しては、すべて裏付けがある内容であることをお約束します。トンデモ系(UFO関係とかスカラー波とか)の意味がおわかりにならなければ、そこはスルーしてください。大意に影響はありません。

まず、HAARPとは何か。これは「High frequency Active Auroral Research Program」の頭文字を並べたもので、和訳すると「高周波活性オーロラ調査プログラム」となります。米海軍、米空軍、米国国防高等研究計画局が中心となって行っているプロジェクトで、簡単に言えば、地上から高層大気に向けて電波を発射して電離層を活性化させることで、その影響や無線通信など地球上への影響を調査する科学プログラムです。

その「基地」は、米国アラスカ州にあり、下画像のようなものです。
Haarp
Haarp_2
人里離れた森の中に「怪しい」アンテナ群が並ぶ、いかにもトンデモ系マニアを惹きつけそうな姿です。ここで、無線関係に詳しい方なら、「ああ、短波帯のダイポールアンテナだな」とおわかりになるでしょう。まあ、その通りです。

早速少し専門的な話になりますが、このアンテナ群全体が「フェイズド・アレイ・アンテナ」になっています。電波を周囲に発射する場合、普通はパラボラアンテナやバーアンテナを機械的にくるくる回しますが、「フェイズド・アレイ・アンテナ」は、ひとつひとつのアンテナの電気的な位相を変化させることにより、固定されたアンテナ群全体から、理論的には光速で電波ビームを「振り回す」ことができます。他にこれが使われている代表的な例が、「イージス艦」のレーダーです(下画像)。
Photo
六角形の板状のものが「フェイズド・アレイ・レーダー」で、カバーの中には小さなアンテナが蜂の巣状にびっしり並んでいます。簡単に言えば、その巨大な奴がHAARPというわけです。この「電波ビームを全方向に指向できる」という機能が、HAARP陰謀論の重要なポイントになっているのですが、詳しくは後ほど解説します。

もうひとつ、基礎的な情報を。HAARPが発射する電波の周波数は、「High Frequency・・・」の名が示す通り「HF帯」、つまり短波帯です。一般的には3~30MHz(メガヘルツ)の電波で、アンテナの構造や形状からも、短波帯に最適化されたものであることがわかります。その他の周波数帯の電波は発射できないか、できても非常に効率が悪いアンテナなのです。

使用周波数帯についてはHAARPの公式サイトにも明記されていて、送信出力は最大3981メガワットとされています。
■HAARP公式サイトはこちらから
ひとつの事実として、一般公開されたHAARPの実験に、7MHz帯の電波で月面反射通信(月に向かって電波を発射し、月面で反射した電波を受信して通信する)が行われたことがあります。

まあ、HAARP陰謀論者は「公式発表」など信じていないようですし、中には月面反射通信とは陰謀が隠された未知の技術だとか言う人もいます。でも、これはアマチュア無線家でも可能な、別段珍しくもなんともない技術です。自分が知らなければ、なんでも陰謀にしたがる連中が少なくありません。

ともかくも、HAARPとは短波帯の電波を上空の電離層に向かって発射し、その影響を調べるプロジェクトなのです。その成果が国防、軍事方面にも利用されることは最初から公表されていますので、実験の目的、成果はすべて公開ではなく、機密事項が存在するのも事実ではあります。

ここで、非常に大切な事実を覚えておいてください。HAARPはなぜ短波帯の電波を使っているのかということです。それは、「電離層で反射したり、影響を与えることができる電波は、基本的には短波帯だけ」だという、ごく基礎的な事実によります。例外はありますが、物体を加熱できるのは、電子レンジに使われている極超短波(マイクロ波)だけということと同じくらい、当たり前のことなのです。

この極超短波(マイクロ波)も、後で妙な登場の仕方をして来るのですが。

次回に続きます。


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