首都圏直下型地震を生き残れ!【54】☆最終回
ここまで53回に渡ってお送りしてきた「首都圏直下型地震を生き残れ!」は、ここで一旦終了とさせていただき、今回は最終回としてにまとめをお送りします。
このシリーズでは、首都圏直下型地震をはじめとする大都市圏の地震を想定し、普段の生活でありがちなシチュエーション別に、「生き残る」ための対策を考えてきました。取り上げたシチュエーションは、「オフィス」、「買い物」、「ライブ」、「デート」、「旅行」、「高層ビル」、そして大都市全体、つまり誰もが危険地帯に放り込まれる可能性があると言っても良い「大火災」ですが、もちろんこれで全てではありません。でも、それぞれの対策は、普段の都市生活の大部分に応用できるものでもあります。同じような場所では同じような対策が有効だ、と言うことができますので、皆様の生活の中で応用する方法を考えてみてください。
管理人が、このシリーズをなぜこのようなスタイルと内容でお送りしたかというと、世間の「防災情報」が、あまりにも現実的で無いものばかりだからです。
大地震災害を「生き残る」ためには、三つの段階があると管理人は考えています。まず「最初の1分」。これは地震の第一撃から身を守る段階です。続いて「発災後数時間」。これは建物を脱出して避難行動を開始し、津波、余震による建物の倒壊、近隣の火災などから身を守る段階です。最後が「発災後24時間」。これは大火災や帰宅行動中に遭遇するあらゆる危険から身を守る段階で、ここまでクリアできれば、かなりの確率で「生き残る」ことができると考えます。
その中で、最も困難な状況が「最初の1分」です。その時におかれた状況によって様々な危険が同時に襲いかかり、秒単位の判断と行動が求められます。ですから、それぞれの場所での危険の種類と、そこで何が起きるか、それにどう対応するかを知っているか、事前に危険を減らす対策をしているかどうかで、「生き残る」確率に大きく差が出ます。「最初の1分」の対策を、最も重視しなければならないのです。
しかし、当ブログでも何度も述べていますが、世間の「防災情報」は、あまりにも災害の学術的側面や、「生き残ってから」の情報に偏っています。本当に役に立つ、そして実際にできる「逃げ方」を教えてくれるものは、ろくに見あたりません。
さらに、一旦避難した後の行動を指南するものをご覧になったことがありますか?少なくとも管理人はありません。例えば、大火災が都市を取り囲むと喧伝しておきながら、ならばどうしろというものが無い。巨大災害下では、一次避難だけで安全とは言えないことを、我々は東日本大震災で目の当たりにしたばかりではないですか。
危険が迫れば、誰でも避難しようとします。でも、そこで「何ができて、何ができないか」を知り、「何をすべきか」こそが大切です。防災の本質とは学術的知識や装備ではなく、「逃げるための知識と行動」なのです。水や食料の備蓄は、もちろん大切です。しかし過去の大地震や大津波、中国でも台湾でもトルコでもアフガニスタンでもインドネシアでもチリでもハイチでも、赤ちゃんひとりでも餓死したという話を聞いたことはありますか?報道されたことが全てでは無いにしろ、避難者がバタバタ倒れたというようなことは無かったはずです。
もちろん、多くの人が飢えや乾きに苦しんだでしょう。でも、そこばかりに焦点を当ててはいけない。その前にやることがあります。「生き残った」人は恐怖を語ることもできるし、不平不満も言えますが、死んだら終わりです。
巨大災害下では、人間の命など「確率」の前にひざまづかされる数字のひとつにすぎません。異論があろうと無かろうと、事実そうなのです。ですから、その「確率」を自分の力で能動的に高めるための、「本当に役に立つ」知識、行動、装備を、これからもお送りして行きたいと思います。
すべては、あなたとあなたの大切な人が「生き残る」ために。
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