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2012年9月14日 (金)

家をひっくり返せ!【対災害アクションマニュアル 03】

(当記事は、通算300本目となります)

■第1章 危険を知れ(その2) 【家をひっくり返せ!】

あなたの周りの危険を、具体的に知る方法に入りましょう。まず最初は、何より「自宅の危険」からです。

1995年の阪神・淡路大震災では6434人が犠牲になりましたが、その約86%もが、自宅内で死亡しています。これほどの高い比率は、早朝の発災だったため在宅率が高かったこと、現在より建物の耐震化率が低かったことなどが影響している部分もあります。

しかし仮に昼間に発災したしても、その時自宅にいるのは乳幼児と一緒の女性、お年寄り、病人、身体障がい者など、災害対応能力が高くない層が中心です。それは他を救助する余裕が小さいということでもあり、より高い安全性が確保されている必要があります。

しかも、もし自宅に重大な危険が存在するなら、特に就寝中や入浴中という一番無防備な時間を、危険な場所で過ごさなければならないのです。これは第2章の「建物を守れ」にも関連することですが、とにかく地震・津波対策は、まず自宅の安全確保から始めなければなりません。

では、大地震における自宅内の危険とは何か。既に教訓から得られた多くの情報があります。建物の倒壊を別にすれば、タンスが一瞬で倒れた、テレビが飛んだ、ピアノがひっくり返った、窓ガラスが吹っ飛んだ、食器がぶちまけられた等々。すでにそれらの対策をされている方も多いでしょう。

でも、本当にそれで大丈夫ですか?このような話になると、つい「死者」のことばかり取り沙汰されますが、「負傷者」はその数十倍、数百倍というオーダーで存在します。身体がどんな状態になっても、生きてさえいれば「負傷者」です。たとえ意識が無くても、自力で動けなくても。

大地震の第一撃を乗り切っても、震源が海底の場合、海岸近くでは津波が、そうでなくても火災の危険が襲って来ます。山間部では余震による土砂崩れや、土砂ダムの形成による土石流の危険が迫ります。一刻も早く安全圏に脱出しなければなりません。その時、あなたは素早い行動ができる状態でいなければならないのです。

例えばテーブルが足に激突しただけで、その後移動速度は極端に落ちます。足の裏を切ったりしたら、さらに遅くなります。足を骨折でもしようものなら、動けません。自宅の中で、あなたの身体にそのような危害を及ぼす危険まで意識していますか?

そのような「細かい危険」を知るために、管理人はある方法を提案します。それは、「家をひっくり返せ」というもの。もちろん比喩的表現ですが、イメージの中で、あなたの家を横倒しにしてみるのです。その時、何が起きるか。

とりあえず固定済みの家具類は動かず、ロックした戸棚は開かず、飛散対策済みのガラスは割れないとします。その上で、何がどう動くか。部屋ごとに四方に「ひっくり返して」みてください。対策済みの場合でも、危険を及ぼしそうなものは、かなり多いのではないでしょうか。もし無対策なら、無事でいられる可能性は非常に小さくなります。

最大級の地震に襲われた場合、家の中の状態は、家ごと横倒しにされた時の最初の状態、つまりいろいろなものがなだれ落ちて来る状態に、かなり近くなります。しかも一方向からではなく、ほぼ全方向から。これは特に阪神・淡路大震災のような、浅い震源の内陸直下型地震の揺れで特に顕著になります。そして、想定される「首都圏直下型地震」は、このタイプとなる可能性が、かなり高いのです。

先に中央防災会議から発表された、例の「首都圏で震度7の可能性」とは、首都圏直下で想定される最も浅い震源でマグニチュード7以上の地震が発生した場合、地盤の弱い一部地域で最大震度7クラスの揺れとなるという意味です。しかもその場合、揺れ方は阪神・淡路大震災と同じ、震動周期1~2秒程度の、中・低層建物に対して最大級の破壊力をもたらす、いわゆる「キラーパルス」となる可能性が高いのです。

ですから「震度7」という数字で騒いでいる場合ではありません。それが起きた場合、「キラーパルス」の発生こそが、最大の脅威なのです。そして、想定される最大震度が上がったということは、より広い地域に、大きな被害をもたらすレベルである震度6強~6弱の「キラーパルス」が襲いかかる可能性があるということです。それを知った上で、「防災本」の震度予想図を見直してみてください。

次回は、家の中の具体的な危険について考えます。

※管理人註:文中の「キラーパルス」の定義について補足です。厳密には震動周期だけでなく、断層の破壊が進行する方向に向かって発生する、合成・増幅された地震波のことですが、当ブログでは便宜的に、震動周期のみで考えています。地下で起きることなど、私たちに関係ありませんから。


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コメント

>「家をひっくり返せ」
面白い比喩ですね。

考えもしませんでした。

なるほど。
そう考えると わかりやすいかも…。

『 ひっくり返す』

『家を…』

なかなか現実とは思いたくない光景ですね…

でも、今、ちゃんと考えることが大事ことだとしたら考えなくてはいけませんものね。

……やっぱり、できれば逃げちゃいたい光景ですね。

でも、逃げずに考えようかと思います。

>さびしんぼうさん

家の中で、タンスや冷蔵庫など「大物」の対策はしている方でも、小さなものまではなかなかやり切れません。というか、事実上不可能のことが多いのです。ですから、「家をひっくり返す」ことを想定し、その時何が動くか、何が脅威になるかを知っておく必要があります。それがわかれば、対策が不可能でも、寝る場所や普段の居場所、発災時に取る行動を変えることができます。

現実には、家が本当にひっくり返ることは無いでしょうが、家の内部はそれに近い状態になることもありますから。

大災害時は、普段考えていることの半分どころか十分の一くらいのことしかできないと考えるべきですが、そこで、普段考えているかいないかの差が出るのです。

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