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2012年9月19日 (水)

危険を減らすアクションとは【対災害アクションマニュアル 05】

■第1章 危険を知れ(その4)【危険を減らすアクションとは】

前回は、家の中の「小さな危険」について、典型的な例を列挙しました。それを参考に、皆様それぞれのご家庭の事情によって、そのほかにどんな危険があるか、考えてみてください。それぞれは生命に直接関わる危険とは言えなくても、さらに大きな危険へ連鎖する可能性を秘めています。ですから、事前にできるだけ排除しておく必要があります。とは言え、すべての危険を完全に排除、つまりどんな揺れが来ても何も起きない対策など、全く不可能です。気にし出したら、それこそ夜も眠れません。

では、どうするか。そんな「小さな危険」への対策は、二種類に分けられます。ひとつめは、物理的な対策です。前回の事例の中には、移動・転倒対策が可能なものの、実際にはあまり対策されていないものも含まれています。例え電子レンジ、機械式米びつ、テレビとテレビ台、家具のガラス扉、壁掛け時計、本棚の中の本、ベッド、パソコンなどです。

これらは、市販されている対策器具、具体的には衝撃吸収ジェルマット、移動防止器具、飛散防止フィルム、落下防止ワイヤーなどを使うことで、その危険をかなり抑えることができます。要は、完全に危険を無くそうとするのではなく「その近くから離れる間だけ」、危険な状態にならなければ良いくらいに考えます。あらゆる状況が想定される災害対策においては、完全主義は通用しないこともあると、多少は開き直りも必要かと思います。

大切なのは、より危険なもの、例えば高い場所にありがちで重量のある電子レンジ、普段の居場所に近い家具のガラスなどから対策したり、最も守らなければならない対象、例えばお子さんの居場所周りから始めるなどの、「優先順位」を考えた上での対策です。

ふたつめは、むしろこちらの方が大切であり、当シリーズのテーマでもある「行動」、つまりアクションです。このアクションも、二種類に分けられます。

まずひとつめのアクションは、家の中で「その時」の行動を考え、実践することです。揺れが来たらどこへ移動するか、移動できなかったら、その場でどうするか。その時、周りにある危険は何か、どうすればその危険を避けられるか、家の各場所から脱出口、玄関や庭へ最短何秒で移動できるかなどを何度もシミュレーションし、実際にやってみてください。

これは、家族全員でやっておかなければなりません。お子さんも、幼稚園の年長さんくらいになれば、その瞬間に自分で身を守る行動ができるはずです。それを教え、実際にやってみるのです。そしてもし小さな地震が来たら、ある意味でチャンスです。大したこと無いと無視せず、事前に取り決めた行動、例えばすぐに玄関に移動するなどの行動を、実際にやってみます。

小さいとは言え、実際の地震の緊張感の中で何ができるか、何ができそうも無いかを、自分自身で知っておくことが大切なのです。場合によっては、東日本大震災のように小さな地震から大きな地震へ連鎖することもありますから、小さな地震も最初から甘く見てはいけません。

このようなアクションは、実は「その時」に完全に同じ行動ができることだけを目的にしているのではありません。震度6強レベル以上では、屈強な男性でも揺れの最中に移動するのは困難ですし、恐怖で足がすくんでしまう人も多いでしょう。東日本大震災の時、関東では最大震度5強になりましたが、皆様はその時、どうだったでしょうか。

でもそんな時、普段のアクションの違いが顕著に出ます。事前に考え、行動しておくことで、何もしていない場合に比べて少しでも「考える」余裕が生まれ、一瞬の判断で危険を避けられる可能性が確実に大きくなるのです。これは理屈ではなく、間違いの無い事実に裏打ちされていることです。


もうひとつのアクションは、危険を事前に摘み取る行動です。前回のリストに挙げた危険、例えばキッチンでは食器を洗ったらすぐに収納すればばらまかれる危険は無くなり、使用中の包丁は調理台の上ではなく、シンクの中に置けば、揺れで飛び出すことはなくなります。トイレの天井棚に置くのはトイレットペーパーなど軽いものだけにしたり、水タンクのふたは目立たない場所を一カ所でも粘着テープて留めておけば、いきなり飛ぶこともありません。

家の各場所から玄関などの脱出口への「避難経路」からはつまづきそうなものや、踏んで怪我をしそうなものを取り除いておきます。特に石油ストーブは、避難経路からは外れた場所におくべきです。家具の上からは重量のあるものを下ろし、押し入れの衣装ケースは下段に移し、本棚は重い本を下段に集めます。そのような過程では、どうしても「防災のための断捨離」が必要になりますから、思い切りも必要でしょう。

このようなちょっとした細かいアクションを積み重ねることで、前回挙げたリストの大半は、その危険度を大きく下げることができます。実際の危険の種類とアクションは、それぞれのご家庭の事情によって様々に変わるわけですが、まず危険の内容を良く知ることが大前提であり、それぞれの事情に合わせてご自分で考え、行動に移すこと。これが物理的な危険を減らすだけでなく、「その時」の行動を変えるのです。

最後に、実は前回のリストに入っていない部分について。それは「玄関」です。玄関には、一般に身体に危険を及ぼすものはあまりありません。すぐに脱出できる体制を取るためにも、地震を感じたらまず玄関へ行き、ドアを開けて待機することを習慣にしてください。アパートやワンルームマンションなどでも、玄関スペースは脱出への最短距離であることに変わりありませんから、まずは地震を感じたら玄関へ移動を基本とし、その経路の危険を摘み取って行くわけです。

面倒なことも多いのですが、大災害から「生き残る」ことにどこまで真剣になれるか、それにかかっています。このシリーズでは、具体的な危険排除の方法より、その考え方と実際の行動を中心に考えて行きますので、具体的な対策は過去記事をご覧ください。

次回からは、「家の周りの危険」について考えます。


【関連過去記事へのリンク】
家の中の地震対策【1】はこちらから
家の中の地震対策【2】はこちらから
家の中の地震対策【3】はこちらから
家の中の地震対策【4】はこちらから
家の中の地震対策【5】はこちらから
家の中の地震対策【6】はこちらから
家の中の地震対策【7】はこちらから
家の中の地震対策【8】はこちらから
家の中の地震対策【9】はこちらから
家の中の地震対策【10】はこちらから
家の中の地震対策【11】はこちらから
家の中の地震対策【12・最終回】はこちらから

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