お笑いと怒りの「防災の日」
今日は「防災の日」。大正12年(1923年)の今日、いわゆる関東大震災が発生し、11万人以上とも言われる犠牲者が出た日です。まずは、不遇の死を遂げた犠牲者のご冥福をお祈りします。
この地震は、相模湾東部の海底が震源でした。東京の被害ばかりが大きく取り上げられますが、横浜の方が揺れが強く、さらに街区の約半分が焼失しました。いちばん揺れが強かったのは、当時は小さな漁村だった小田原付近で、木造の集落は完全に壊滅しました。さらに、三浦半島、湘南海岸などを津波が襲い、沿岸部は壊滅しました。
そんな日にどうかとは思いますが、今日は「お笑い」レベルのお話です。いえ、お笑いを低レベルと言っているのでは決してありませんが。
近年はエコカーブームです。あるエコカーは、ガソリン1リッターで38km走るとカタログに謳っています。でも、全く同じ車が、米国では1リッターで20kmとなっているのです。これは、米国ではカタログデータ通りの性能が無いと、すぐに誇大広告として訴訟を起こされるからなんですね。だから実用燃費で表示されます。日本では、カタログデータが38kmなら、まあ実際には20km走ればいいかな、くらいの曖昧さが許容されているわけです。
一方、防災の話。世に防災の「専門家」は数多いますが、当ブログでも何度も指摘している通り、皆それぞれ言うことがマチマチで、明らかな誤りや机上の空論がまかり通っています。でも、それが表立って批判されることもなく、しっかり「次の仕事」をしているんですね。ある意味で、言いたい放題です。生命に関わる危険がある誤りを撒き散らしても、べつに何のお咎めがあるわけでもなく。つまり防災の「専門家」が言うことなど、車の燃費みたいなものなんですね。まあ、話半分に聞いておけばいいかな、くらいで。その程度に思われているから、批判も無い。
でも、車の燃費が悪かったらお金が減るだけの話ですが、災害対策の誤りは、生命と財産を失うことに直結するのですが。
昨日8月31日、管理人は出先で大手全国紙を読んでいました。すると、見開き4ページにも渡る防災特集が。監修したのはテレビでも良く顔を見る、防災アドバイザーだかジャーナリストだか(忘れた)です。もう結構なお歳という感じです。記事を読んでいて、管理人はだんだん、竹中直人のような「笑いながら怒る人」に変化して行ったのです。なんだこの内容は。ほとんど漫才のネタになるぞ。こんな内容で、防災特集だと?笑わせるな。でも、ツッコミのネタとしては、かなり笑える。中でもいちばん怒りと笑いを誘ったのは、以下の内容。
どうやら、外出時には「三種の神器」を必ず持っていけと言うことらしいのです。三種の神器その一は、「ペットボトルの水」。まあこれ自体はいいでしょう。でも、500ccのペットボトルは500グラムあって、あの容積のものを常時バッグに入れておくのは、特に女性にはかなりの負担です。普通のハンドバックには入らないし。まあそんな事は考えていないのでしょうね。なんたって神器ですから。
さらにこう続きます。飲んでカラになったペットボトルも、常時持っていろと。は?という感じ。なぜなら災害時に水を汲む容器になるからとか。そのために、いつもカラボトルですか?第一、災害時は飲める水を確保できないのが最大の問題じゃないですか?それにカラのペットボトルなど、コンビニや自販機の横でいくらでもうなってますがね。これって、ボケですか?
ところが、次はさらに破壊力を増すのです。三種の神器その二は、「携帯電話」(!)そんなもの、言われなくてもだれでも持ってますがな。そしてその理由が振るってます。「災害時に連絡を取るため」だと(笑)災害時に携帯通じりゃ誰も苦労せんて!充電器や予備電池持ってろというのとは次元が違う、ミラクルワールドに入って来ましたな。
そして究極の、その三。ちなみに、これは「必須」だそうですよ。それは「コンパス」。方位磁石です。理由を見て、怒りを通り越して、なんだかうれしくなって来ました(笑)管理人の大好物、究極の「机上の空論」の登場です。なんとコンパスを持つ理由は、大地震の後は、建物が倒壊したりして見慣れたランドマークが無くなるので、帰宅方向がわからなくなるから、だそうでございます!野山を分け入る訳じゃなし、周りに人もいるし、でもコンパスが「必須」なんだそうで。
このお方、一体どんな状況を想像しているのでしょうか。ここで、一枚の写真をご覧いただきましょう。
これは、管理人が福島県南相馬市の津波被災地でボランティア活動中に撮影したものですが、津波によってほとんどの地物が失われ、現在地が良くわからなくなったので、地元の消防団員に場所を聞いているところです。でも、こんな風に指さされても、その先に瓦礫と海しか無いのですから、なんだか良くわかりません。それでも道路はあるわけで、ある程度の場所は把握できるのです。こんな場所でも、コンパスなど要りません。
このお方は、「防災の権威」らしいけど、少なくともこんな最前線に行ったことなど無いか、運転手つきの車で移動しただけなんでしょうね。第一、コンパス以前に、自分の居場所からの帰宅方位をどうやって把握するのでしょうか。その前に地図だろうって。それに、方位がわかっても、道は決してその方角に向かうだけではありませんから、それをたどるのが難しいわけです。だれでもいきなりできるわけじゃない。このお方、絶対オリエンテーリングとかやったこと無いのでしょうね。どうも広大な野山をまっすぐ進むような想像をされているらしい。
その程度の「想像の産物」を、「必須」とか言って全国紙の特集に堂々と書く勇気は、管理人にはありませんね。(もちろん声もかからないけど笑)まあ、だれが見ても「?」な内容ですから、見た人は皆、こう思うでしょう。
「防災の専門家って、この程度なんだな・・・」
これでは、防災屋はいつまで経っても、車の燃費程度の扱いでしょうね。「頭から信用したら、バカみるぞ。文句言っても無駄だし」と。
その他にも、いろいろツッコミどころ満載ではありましたが、この辺にしておきましょう。でも、管理人はとにかく本気で頭に来ています。自分が一所懸命やっていることを、汚されているに等しい。だから、正式に抗議を行います。こちらがいちブロガーだからと言ってナメずに、誠意ある対応をお願いしますよ。読売新聞と渡辺さん!
結果は当ブログで報告します。
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昨日の夜想起した
ことわざ。
まず
羮に懲りて膾を吹く
最後に
大山鳴動して鼠一匹
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