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2012年11月 9日 (金)

手段を選ぶな【対災害アクションマニュアル 12】

■第1章 危険を知れ(その11)【手段を選ぶな】

今回は、住宅密集地で前後を火にふさがれて、進退窮まった状況を考えます。

当ブログでは以前もちょっと書いたのですが、どこの「防災本」にも書かれていないし指導もされていない、おそらく日本で管理人だけが提唱するチェックポイントがあります。まあ、こんな内容は「社会的地位のある防災指導者」の方々は決して言わないでしょうし、それ以前に考えたことの無い方も多いかとは思いますが(笑)

その方法とは「道路以外の脱出路」のチェック。これは特に住宅密集地、木密地域で有効な方法です。例えば、狭い路地で前後を火災でふさがれたとします。そんな時はどうしますか?必死で脱出路を探しますよね。ではあなたが探す脱出路は、道路だけですか?


そんな場合、何も道路を行かなくても良いのです。もちろん、建物の間の通れそうな隙間などあればチェックしておきますが、それも無かったら。

その時は、周囲の建物の敷地を通り抜けるのです。さらには、建物の中を通り抜けることも考えます。住宅密集地や木密地域ではそれが可能な場所、つまり人家の敷地や庭をチェックしておきます。それで通り一本裏に出られれば、脱出できる可能性は大きく膨らむわけです。

もちろん、チェックの際には道路上からで、平時に実際に通ってみたり、じろじろのぞき込んだりしないように(笑)さらりと眺めて、とりあえず「ここは通れそうだな」という場所をチェックしておくのです。

そして実際の災害下で進退窮まったら、人家の中を通り抜けて脱出することをためらう理由はありません。その時は壁を乗り越え、生け垣を折り、門扉を壊し、さらに家の鍵が閉まっていたらガラスを割り、ドアを壊すことになるでしょう。

その場合、法律的には他人の土地建物に無断で入ることで不法侵入罪、カギやドアを壊したり、室内を傷つけることで器物損壊罪を犯すことになりますが、生命が危険に晒され、そうしなければ生き残れないような状況だったと認められれば「緊急避難」が成立し、法的責任を問われないはずです。


でもそんな理屈以前に、たとえ後で罪に問われようと、そこで死ぬよりはマシというものです。管理人は、もし実際にそんなことをやって生き残れたら、仮にその家が灰になっていても、後で住人を探してお詫びとそれなりの補償をするつもりではありますが。何しろ、命あっての物だねです。

言うまでも無く、それは本当に「最後の手段」でなければなりません。でもそんな状況では、そこにいるのはあなたひとりではないことが多いと思います。そこであなたが唯一の脱出路を開けば、全員がそこへ殺到します。通り抜けられた家は、かなりの被害を受けるでしょう。

仮にその行動が後で問題になり、最初に誰がやった?あいつだと指摘され、罪をかぶせられるのならばそれでも良し、それくらいの覚悟をしておくことです。そこにいた皆が「あの人のおかげで助かった」とかばってくれる?そんなことは期待せずに。でも後でどんな目に遭おうと、その場で黒こげになって転がっていることになるよりは、はるかにマシではないですか。

東日本大震災でも、津波に巻き込まれてずぶ濡れになりながら、寒さをしのぐために他人の家の中から衣服や布団を持ち出して生き残った方も実際にいるのです。生命の極限で、だれがその行動を責められましょうか。とにかく普段から、最後は手段を選ばないという「覚悟」をしておくことです。


実は、あの「大川小学校の悲劇」が起きたひとつの要因は、この「覚悟」の問題だったと言うことができます。すぐ近くに安全な避難場所がありながら、そこが津波避難場所として想定されていなかったこと、深い山の中での集団の掌握が困難と思われ、事故の可能性があったこと(要は責任問題)、児童を迎えに来た父兄への引き渡しができなくなること、学校に集まった一般避難者に高齢者が多く、山を登らせるのにためらいがあったことなど「生き残ってから」の理由を引率者が優先したために、「生き残る」チャンスが失われたのです。

それは、引率者に「後でどうなろうと、子供たちを守ることを最優先する」という「覚悟」が足りなかったために、判断の遅れを招いたということができます。極端な話、子供たちだけでも山に登らせるという選択肢もあったのです。

ただし、管理人はその判断を報道だけで一方的に批判するつもりもありませんので、先日実際に大川小学校跡に出向いて、なぜそのような判断になったのかを、管理人なりに検証して来ました。それが、このような悲劇を繰り返さないために必要だと思うからです。そしてそれは、管理人自身の「覚悟」を補強するためでもありました。

動画も含めた大川小学校からのレポートは、並行して連載中の「宮城・震災から1年8ヶ月」シリーズの中でお送りします。

さて、防災フィールドワークに戻りましょう。避難場所が見えて来ました。次回は、避難場所周りのチェックです。


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