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2012年11月 5日 (月)

【続々・南三陸町防災対策庁舎跡から】宮城・震災から1年8ヶ月【5】

今回は、宮城県南三陸町の防災対策庁舎跡の周辺で、津波の威力の痕跡を調べます。ちょっとわかりずらい話ではありますが、ここでの津波の威力を端的に示すものです。

在りし日の町役場をもう一度見てみましょう。
06
防災対策庁舎をはさむように、役場の庁舎がありました。それらの建物は中空の軽量鉄骨構造だったため、津波と瓦礫の直撃を受けて、コンクリートの土台と一階床だけを残して跡形も無く流されました。このことからも、防災対策庁舎のような強固な鉄骨構造が、津波と瓦礫の衝突に対していかに頑強かがわかります。

管理人は建築の専門家ではありませんが、素人なりに興味がある分野ではあります。そこで被災地では、残された建物の基礎部分を、かなり詳細に観察しています。まず最初にこの写真をご覧ください。これは昨年11月の被災地訪問時に撮影したもので、石巻市の旧北上川河口部の「中瀬」に建っていた、木造アパートの基礎と建物部分を結着していたボルトです。
Photo
画面右側から津波の水流を受けています。この場所は河口にほど近いために瓦礫の量はあまり多くなく、主に水の力で建物が押し流されたと思われます。高張力鋼製のボルトが飴のように捻じ曲げられていますが、これは比較的ゆっくりと、イメージとしては「メキメキメキ…」という感じで捻じ曲げられています。一気にドカンと力が加わったならば、もっと鋭角的に折れ曲がるはずです。

このような基礎ボルトの曲がり方は、堤防を超えた津波が一気に流れ込んだ仙台市の荒浜地区など、各地で普通に見られました。津波による一般的な破壊状況と言って良いかと思います。

これに対し、南三陸町で見た破壊状況には背筋が寒くなりました。被災前の役場画像で、防災対策庁舎の右側にある建物の基礎部分です。
Photo_2
画像の左方向から津波を受けています。高張力ボルトの破断面を見てください。斜めになった断面が、ささくれ立っています。これは津波と瓦礫の衝突によって巨大なせん断応力と引っ張り応力がかかり、ボルトは曲がる間もなく瞬間的に「引きちぎられた」ことを示しています。高張力ボルトというくらいですから引っ張り応力に対しては非常に強いのですが、それがご覧のような状態なのです。

最初は、残った基礎部分を撤去する際に重機で引きちぎられたのかとも思いましたが、他の部分のボルトも同じような状態でしたから、津波による破壊と判断しました。それに被災直後の画像でもわかるように、重機で撤去するような残骸は、周辺には何も残っていなかったのです。

さらに、中空の軽量鉄骨の基礎部分は、このような状態でした。
Photo_3
画面左から津波を受けています。軽量鉄骨のような薄い鉄板は、最初の一撃を受けた瞬間にあたかもボール紙製のようにひしゃげ、根元からあっさりと引きちぎられていることが見て取れます。

町役場と海の間数百メートルは南三陸町の中心部ですから、瓦礫の量が多くなって衝突の衝撃力が強まったという理由もあるでしょう。しかしそれ以前に、前回記事で掲載した画像からもわかるように、この場所の津波の水量、速度、衝撃力は群を抜いていたとも言えます。それは既に波ではなく、水深を20m近くも増した海全体が、そのまま激流のよう高速で「移動して」来たのです。

その理由はリアス式海岸の影響はもちろん、牡鹿半島を回りこんだ津波が集中する場所だった、他の震源域から発生した津波と合成されたなどいろいろ考えられますが、とにかくこの場所が、津波災害に関しては最も過酷な場所のひとつだったことが伺えます。残された多くの画像からもわかるように、町全体が水深20mの「激流」となったのです。

流された建物の中には、多くの人が残っていました。流されなくても、激流が貫通しました。建物を一瞬で引きちぎる激流に襲われた時、そこにいた人たちがその時何を見て、どうなったのか。それを想像すると、恐ろしいというよりもただ、やりきれない気持ちになるのです。あの時ここにいたら、自分もそのひとりだったかもしれないのです。決して他人事ではありません。

次回は、女川町へ向かいます。


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