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2012年12月

2012年12月31日 (月)

【今年最後の】管理人ひとりごと

「生き残れ。Annex」管理人、てばでございます。この記事が、2012年最後のエントリとなります。

管理人にとって、今年は大きな変化の年でした。最も大きな変化は、なによりこのブログのスタート。2007年10月からmixiでやっている防災情報コミュニティで提示している、自然災害から「生き残る」ための情報を、より多くの方に伝えたいという思いから、1月12日にスタートしました。

それから数えて今日で355日目、アップした記事数は、この記事も含めて403本。決して短く無い記事ばかりですから、正直なところかなりしんどいこともありました。でも、生き残るための正しい情報を、少しでも早く皆様に伝えたい、大切なことをお伝えし切る前に、またどこかで巨大災害が起きてしまったらどうしよう。その前に、一通りの情報だけはお伝えしておきたい。そんな気持ちで、かなり飛ばして来ました。

何より嬉しかったのは、スタートから程ないうちに参加しているブログランキングで上位に押し上げていただき、多少の変動はあったものの、事実上ずっとトップランカーでいさせていただいたことです。「そこそこは受けるだろう」という気持ちはありましたが、これほどまでのご支持をいただけるとは全く考えていませんでした。改めまして、ご愛読とご支持に感謝いたします。ありがとうございます。


この1年、当ブログの内容はいかがだったでしょうか。意味の無いトリビアや机上の空論を徹底的に排し、本当に役立つ、本当に使える現実的な情報に特化してやってきたつもりです。なにしろ2007年にmixiでコミュニティを開設し、さらに当ブログを始めた最大の理由は、世間に溢れる「防災情報」があまりに不十分で非現実的だったからなのです。

管理人はプロの防災屋ではありません。でも、長年に渡って真摯に研究してきました。だから「プロ」や「専門家」を名乗る人々が、通り一遍で実現不可能な机上の空論をしたり顔で垂れ流すのを見ると、はっきり言って虫酸が走ります。東日本大震災という超巨大災害が起きた後でも、以前より多少は視点が変わって来てはいますが、根本的には変わっていませんね。生命がかかっている情報だというのによくもまあ、あんな適当で間違いだらけで不必要な情報を垂れ流せるものです。

でも、もちろん管理人だけが正しい情報を知っていて、それを発信できる訳でもありません。世間には、正しい情報はいくらでもあります。それぞれの分野で正しい情報を発信している方も少なくないのですが、その声はあまり大きくなりません。何故なら、そんな情報はおおむねインパクトに欠けるからです。本当に大切なことは、トリビア的な高揚感の無い、地味な作業の積み重ねなのです。つまり、マスコミ向けではない。そして最大の問題は、非常に幅広いジャンルにまたがる情報を、統合、総合してわかりやすく伝える「プロ」が存在しないことです。

管理人は、そんな状況に一石を投じたいという思いも持って、このブログをやってきました。そして今年1年は、まずはそのコンセプトを知っていただくための期間でもありました。さらに、他の批判をすると必ず返ってくる「じゃあお前はどうなんだ?」という反応に対する基本的な答えを、先に提示したつもりです。今年1年の記事の中に、管理人の「答え」はすべて含まれていると言っても過言ではありません。

2年目の2013年からは、ブログだけでは言い切れないこと、伝えられないことを表現し、より有用な防災情報を提供するために、さらに活動の範囲を広げたいと思っております。バーチャル世界の中だけで、「本当に大切なこと」を伝え切れるとも思っておりません。

手探りの部分も多いので、安易に「ご期待ください」とは言いませんが、これだけはお約束します。マスコミを賑わす適当な防災情報よりは、確実に「生き残る」力がアップする方法を、これからも提示して行きます。そうでなければ、管理人がこんなことをやる意味はありませんし。


最後に告知を少々。

年内完結を予告させていただいた「宮城・震災から1年8ヶ月」シリーズは、年明けまで持ち越させていただきます。シリーズ最終記事「大川小学校からの報告」(仮題)は、1月前半にアップ予定です。

来年1月12日の当ブログ開設一周年記念日より、一周年記念企画として「ディザスター・エンターテインメント」カテゴリーを新設し、管理人オリジナル小説の連載を開始いたします。堅苦しいものではありませんが、読んで行くうちにいろいろな知識が身につくようなスタイルです。しかし困ったことに、まだタイトルが決まっていません(笑)

新年の開始日は未定ですが、なるべく早く再開したいと思っております。


それでは改めまして、本年のご愛読、ご支持に心から感謝いたしますと共に、来る年が皆様にとってすばらしい年になりますことをお祈りいたします。たとえ大災害に見舞われようとも、正しい知識と備えで生き残り、苦難を乗り越えることができれば、それこそがすばらしいことなのです。

いつでも「いまここで“来たら”どうしよう」、その気持ちを忘れずに。

それでは皆様、良いお年を。ありがとうございました。


「生き残れ。Annex」管理人 てば拝


2012年12月30日 (日)

【久々に変化】宏観現象による地震警戒情報【12/30】

千葉県北部の井戸に、久し振りに変化が出ました。12月29日の時点で、水に臭いがあり、味にも臭みが出ているそうです。

しばらく井戸に変化が無かったことに対応するように、関連すると思われる震源域、茨城県南部、千葉県北西・北東部では、小規模地震が頻発していた10月初旬から12月初旬ごろとはうって変わって、ここ2週間ほど地震らしい地震は起きていません。震度1クラスが2回程度です。

この状況で井戸に変化が出たために、関連する地震が発生する可能性が大きいと判断し、警戒情報としてアップいたします。

予想される地震は、下記の通りです。

【予想される震源域】
確率が高いと思われる順に、茨城県南部、千葉県北西部、千葉県北東部

【予想される震源深さ】
40〜60km

【予想される発生時期】
12月30日から7日間くらいの間(12/30〜1/5辺り)

地震の規模についての予想は困難ですが、念のため震度4以上を警戒すべきだと考えます。なお、この予想は過去の経験則に基づくものであり、確実な相関が証明されているものではありません。予想の地震が起きないこともありますし、別の場所では起きないという意味でもありませんので、その点はご承知置きください。

図らずも年越しの警戒情報となってしまいました。年末年始の活動の際には、できるだけの備えをされておくことをお勧めします。

■このシリーズは、カテゴリ【地震関連】をクリックしていただくと、まとめてご覧いただけます。

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2012年12月29日 (土)

続続続・鉄道の危険【対災害アクションマニュアル 23】

■第1章 危険を知れ(その21) 【続続続・鉄道の危険】

続が三つになってしまいました(笑)が、鉄道編は今回までです。

前回までは、通勤電車が脱線するような状況で、いかに身体を守るかについて考えて来ました。実際の車内では、さらに厳しい状況があります。

前回記事の耐衝撃姿勢は身体が壁や地面に衝突する際にはかなり有効ではありますが、改めて典型的な通勤電車の中を見てみましょう。
E231
E231_2
当然ながら、このように手すり、シートの側板、背もたれ、荷物棚などが林立しています。車両によっては、通路の真ん中に手すりが立っている車両もあります。

そしてそれらのパイプ類が、吹っ飛ばされた人間の身体に最も大きな損傷を与えるのです。もちろん正しい耐衝撃姿勢を取ることでその程度を軽くできる可能性はありますが、根本的な解決策とはなりません。

そこで最も大切なことは、車両に大きな衝撃が加わった場合、できる限り身体の移動距離を小さくすることと、圧縮される力を弱めることです。身体の移動距離を小さくするには、手すりやつり革にしっかりつかまること、シートの側板などに身体をつけてしっかり保持することです。つまり衝撃を受けた場合に、どれだけ衝撃と逆方向の力をかけられるかということです。

仮に最終的につかまった手を振りほどかれるにしても、出来る限り握り続けることで、吹っ飛ばされる際の「初速」を下げることができます。実はこれが非常に重要で、何かに衝突した際の衝撃荷重は速度の二乗に比例しますから、例えば速度が半分になれば衝撃は四分の一になり、身体の損傷度合いを確実に小さくできます。

さらに、衝撃をできるだけ小さくするために重要なのが、「編成のどこに乗るか、車両内のどこにいるか」ということです。ここでまたJR福知山線事故の画像をご覧いただきましょう。この事故は、100km/h以上の速度で脱線転覆するという、在来線の単独列車事故としては最悪に近いケースです。
Fukuchiyama00
ここで注目すべきは、鉄道車両は大抵先頭車両から脱線が始まり、衝突、転覆する可能性も前の方が大きいということです。脱線した中間車両が対向列車に衝突するという、2000年に中目黒駅構内で発生した地下鉄日比谷線脱線事故のような例もありますが、あくまでレアケースです。

福知山線事故でも、7両編成の後尾3両は、脱線せずに線路上に留まっているのがわかります。つまり、それだけ車両にかかる衝撃力が小さかったということであり、負傷者も編成後方へ行くほど少なくなっています。

過去多くの鉄道事故を見ても、編成の後ろの方ほど脱線・転覆する可能性が小さいということは確かです。通勤電車程度の速度では、例えば10両編成の全車両が脱線することなど、高架橋の崩落など極端なケースを除いて事実上ありません。

そうなると、どこへ乗ればより安全性が高いかわかりますね。編成のできるだけ後方、車両の中ではできるだけ進行方向の逆側ということになります。また、障害物が少ない通路上は「人のなだれ」が一気に発生するので、できればドア付近の方が良いと考えられます。しかし、ドア付近では手すりやシートの側板に衝突する危険が大きくなりますので、一概には言い切れません。進行方向側のシート側板にしっかり身体をつけ、手すりを握っていられるようならば、ドア付近が良いと言えるでしょう。

これまで述べたことから、確率的に最も安全な乗車位置は編成最後尾の車両の、最も後ろのドア付近ということになります。その場所が車両が脱線・転覆する確率が最も低く、仮に脱線しても衝撃が最も小さく、線路外のものに衝突する可能性も小さく、車内では人のなだれに最も巻き込まれずらい場所ということになります。

と、わかっていても、「鉄っちゃん」はつい最もハイリスクと考えられる先頭車両の運転席直後に張り付いてしまったりするのですが(笑)まあ、これが「at your own risk」という奴ではあります。


※【対災害アクションマニュアル】シリーズ記事の、年内のアップはこれで終了します。


■このシリーズは、カテゴリ【災害対策マニュアル】をクリックしていただくと、まとめてご覧いただけます。

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2012年12月28日 (金)

【年末年始の災害対策 6・最終回】初詣編

■当記事は、ブログスタートから400本目の記事となります。


今回は当シリーズ最終回として新年の恒例行事、初詣での危険について考えます。

初詣における危険とは、これはもうその「人混み」、これに尽きます。大きな神社仏閣になると数十万人規模の人が、立錐の余地も無いほどにぎっしりと集まります。それほど大規模でなくても、自分の意思で進む方向が決められないほどの人混みとなります。

特に大晦日の深夜、午前零時の直前が最も危険な時間帯だと言えるでしょう。賽銭箱前や参道で年明けを今か今かと待っている時が、群衆の密度が最も高くなる時間帯だからです。群衆の中に一旦入ってしまうと、自分の意思で抜け出すこともかなり困難な状態です。

そのまま穏やかに新年を迎えられれば良いのですが、もしそこで震度5弱以上の地震が起きたとしたら。屋外で地震に遭うと、震度4くらいまでは意外に気付かない人も多いのですが、このレベルになると誰もが地面の揺れをはっきりと感じ、そのまま立ち止まっていることが不安になったり、危険を感じるレベルです。自分の意思で動けない状態であることが、その不安に拍車をかけます。そして、停電して明かりが失われたとしたら。

実際には、神社仏閣の参道などの開けた場所にいるならば、そこでそのまま待機するのが最も安全な方法である可能性が高いのです。一般に、神社仏閣は永年に渡って自然災害の被害を受けなかった、その地域でも比較的安全な場所に建っていることも多いものですから、むしろ避難場所として適していることが多いのですが。

それでも、群衆がぎっしり詰まっている状態だと話は異なります。群衆が連鎖的にパニック状態になると、何が起こるかわかりません。基本的には境内の奥に入ろうとする流れが強くなるものと予想されますが、逆方向への流れも発生するでしょう。

その状態で危惧されるのが、群衆が凶器となる事態です。2001年に兵庫県明石市で発生したいわゆる「明石花火大会歩道橋事故」では、完全にキャパシティを超えた数の群集が歩道橋上に上がり、さらに逆方向への流れがぶつかりあうことで超過密状態となった人々が圧縮され、死者11人、負傷者247人を出す大惨事となりました。

パニック状態になっていなくてもこのような惨事に発展するのですから、多数の人々がそれぞれの動きを始めてしまったら、何が起きるかわかりません。その中で一人が転べば、確実に「人のなだれ」が発生します。


ではどうするか。最大の対策は、「そのような場所にいない」、これに尽きます。しかし初詣を一年を始める重要なイベントとされている方も多いでしょうから、「危ないからやめた」というわけにも行かないでしょう。

ならば次善の策として、なるべく年明け前後の混雑がひどい時間帯を避け、比較的空いた明るい時間帯に行くべきだと思います。これにしても、初詣は年明けの直後でなければ、という方もあるかと思います。

ならば、最も混雑する時間帯で考えられる、比較的安全度の高い行動とはどんなものでしょうか。

それは、「できるだけ人の列の中に入らない」、ということだと考えます。参道を進む人の列は、列の中心部の流れが比較的速くなります。ですから前へ前へと急ぎ目に進むと、自然と列の中心に近づいてしまいます。そしていずれは流れがつかえて、後方の群衆もギリギリまで前へ詰めて来ます。

その状態では、前後左右どちらにも動けなくなっているでしょう。管理人は、そのような状態でいることが恐怖です。以前大きなイベントの後で、駅に集まる数万人の群衆に呑み込まれて文字通り身動きできなくなった時は、無理を承知で人を掻き分けて、なんとか脱出しました。そのせいで電車を何本も見送ることになりましたけど、管理人にとっては群衆の中で身動きできないより余程マシです。「ここででかいのが来たら」と思うだけで、恐怖を感じるのです。

そうならないようにどうするかと言えば、群衆の中でのポジショニングを意識することです。つまり、常に列の端に場所を取り、人の流れがどうあろうとその位置を維持し続けるのです。もしそのまま進めば人混みに取り込まれると思ったら、一旦列から離れて前進しないという判断も必要です。少しでも前へとだけ考えて進んでいると、位置的には恐らく最悪の場所にいることになるでしょう。

初詣というめでたい場ではありますが、群衆の密度という視点から見れば、通常は考えられないほどの超過密状態です。密度だけならば、東日本大震災後の交通途絶時に主要駅前に集まった群衆のそれをかなり超える状態です。そこで地震に限らず、群衆のパニックを誘発するような事態が発生した場合も、リアルに想像しておく必要があると考えます。

もちろん、夜間の外出時には小型LEDライトは必須アイテムです。停電だけでも、パニックが起きることもあります。

「そんなことあるわけない、縁起でもない」か、「本当に起きたらどうしよう」か、どちらを取るかはあなた自身の判断です。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2012年12月27日 (木)

【年末年始の災害対策 5】帰省編

年末年始にはふるさとへ帰省する方も多いと思います。ふるさとに着いたらほっと気を抜きたいところですが、そこでもやはりちょっと気をつけたいことがあります。ここでは、ふるさとの実家に着いてからのことを考えます。

実家と言ってもいろいろで、いわゆる田舎だったり都市部だったり、新しい一戸建てもあれば伝統の旧家屋のこともあますね。集合住宅のこともあるでしょう。

そこでまず気になるのは、建物の耐震性と地震対策です。親御さんだけが住まわれているような家の場合、耐震性があまり高くないケースも少なくないと思います。これはすぐにどうこうできる問題ではないものの、まずご自分の実家の建物がどのような状態かを知っておく必要があります。

その基準のひとつは、例によって建築基準法による耐震基準です。これは1981年(昭和56年)に大幅に強化改正され、2000年(平成12年)にさらに強化改正されていますので、建物の竣工が1982年以降か2001年以降かで、どの基準が適用された建物か判断できます。改正年度を外すのは、改正年内の竣工建物には、旧基準のものが含まれているからです。

ただし新築後に増改築をしていると、新築時の耐震性に満たない場合もありますので、特に部屋を追加しているような場合は、この限りではありません。

場合によっては築数十年から100年を超えような旧家屋もあるわけですが、そんな建物でも必ずしも耐震性が不足しているとは限りません。でも、一般的には不足気味と考えられます。旧い日本家屋は壁が少なくて縁側など開口部が広いので、構造的に有利とも言えません。また、耐火性に関しては確実に脆弱です。まず、そのような視点で実家の建物を見てみてください。

次に周囲の状況。海に近ければ、津波の到達予想範囲と避難場所、経路、方法を改めて確認しておいてください。山間部ならば崖崩れや土石流の直撃を受ける場所でないかを確認します。幼い頃から「当たり前」だった風景を、改めて「防災の目」で見てみるのです。

私事ながら、管理人の実家の近くに急な崖があり、小さな頃はそこで良く遊んでいたのですが、数年前、地震や豪雨でもないのに突然大きく崩落しました。何十年も何も無いからと言って、それが安心する理由にはならない。危険な要素がある場所は、いつそれが現実になってもおかしくないのだということを、改めて思い知らされた気がしました。特に崖崩れに関しては、地球高温化傾向による降水量の増加で、確実に崩れやすい方向へ向かっているものと考えられます。


続いて、家の中の地震対策です。自分の家の地震対策はしっかりやっている方でも、子供の頃からずっと「何もなく」過ごした実家では無条件で安心したいものですが、そうは行きません。管理人は、この部分を一番危惧しています。親御さんだけが住まわれているような家では、家具の転倒対策が十分で無かったり、ガラスケースが載っていたり、重量物が天袋に入っていたりすることも多いのでは無いでしょうか。

そこへ、帰省した家族が泊まるわけです。小さなお子さんも一緒に。しかも大抵はお酒が入って、移動の疲れもあって熟睡でしょう。そんな時、普段寝室に使っていない居間などを寝室にするでしょう?もし地震が来たら、そこにあるタンスはあなたやお子さんの上に倒れて来ませんか?ガラスの額やケースは落ちて来ませんか?

そういう視点で、実家の中を見てください。できることなら、帰省の際に家具の転倒対策をやってしまいましょう。ホームセンターへ行けばほとんどの対策用品は揃います。具体的な方法は、当ブログシリーズ記事「家の中の地震対策【1】~【12】」にありますので、参照してみてください。
■家の中の地震対策【1】へはこちらから

少なくとも、布団を敷く際にはできるだけ家具の転倒範囲外へ、特にお子さんが寝る場所は安全な場所にしなければなりません。その他、タンスの前に頑丈なちゃぶ台を移動しておけば、完全に倒れずに生存空間が残せるなどの工夫もある程度はできます。

大地震が来たら、家が倒壊する前に未対策の家具が倒れます。もし家が倒壊しても、必ずしも生存空間が無くなる訳ではありませんが、転倒した家具は確実に人体にとっての脅威となります。つまり、潰されます。ですから、実家での地震対策は、家具の転倒に対する備えを最優先すべきだと考えます。前述の通り、決して対策十分とは言えないケースが少なくないと思いますし。

一年を終えて帰省したら、気持ちとしてはそんな細かいことなど気にしたくないものです。何十年も何事も無かったふるさとの街は、これからもずっと平和だと思っていたい。でも、その保証が全く無いどころか、東日本大震災以降、日本列島のどこでも(もちろん南西諸島でも)地震災害の危険性が高まっているのです。


最後になりますが、ひとつ大切なことを忘れていました。それは、帰省の機会に親御さんと地震など災害発生時のことを良く話し合っておくことです。自分たちはどのような行動をするか、どのように連絡を入れるかなど。

そして、親御さん側の行動も一緒に考えておきましょう。でもある程度のお歳になると、災害をあまり現実的な話として受け取られない方も多いものですので、あまり押しつけがましくなりませんように。最低限、避難場所と経路の確認だけはしておかなければなりません。

もし親御さんがあまり話に乗って来なかったら、非常にあざとい方法としては、お孫さんに「じじばばすぐに逃げてね」とでも言わせるのが一番だったりしますが(笑)

■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2012年12月23日 (日)

【年末年始の災害対策 4】寒冷地ドライブ編

年末年始には、寒い場所や雪が多い場所へ行くことも多いものです。今回は、地震・津波対策カテゴリの中では変則的ではありますが、そんな場所へ車で行く場合の危険を主に考えます。

この場合、地震・津波に遭遇するよりも確率的にはるかに大きな危険があります。特にこの冬は気温が低めで天候も荒れ気味ですので、寒冷地に行く際は特に警戒が必要です。ちなみに管理人は、かつて札幌を拠点に道内あちこちを車で走り回っておりました。


あまり寒くない場所に住んでいる人にとっては、寒さや雪の本当の怖さはあまり実感できないものです。それに寒冷地でも平常時ならば、それほど危険な目に遭うこともありません。しかし何らかの道路障害が発生したり、天候が大荒れになったりした場合には、状況は一気に危険度を増します。

東北北部や北海道では、豪雪や猛吹雪による通行止め、地吹雪による視界喪失などは日常的に発生します。そんな中で多重衝突が起きたり、立ち往生した車の中で凍死するような事故が毎年何件も起きています。

また、積雪地では車が深い雪にはまって動けなくなる、いわゆるスタックもごく日常的です。誰もいない場所でスタックして脱出できなかったら、命に関わります。都市部の感覚で、どこでも携帯電話が通じるとは考えないことです。

地吹雪などの視界不良時に事故が起きると、後続車がほぼ確実に追突してきます。最悪の視界条件下では、止まっている車が見えた時には、ブレーキをかけてもスリップして止まれない距離に迫っているからです。そんな場合は、猛吹雪の中を車外に避難しなければならないこともあります。それだけでも、十分な装備が無いと生命に関わる事態となります。


では、積雪地・寒冷地での危険について、具体的な対処方法を考えましょう。

寒冷地で立ち往生した車の中で凍死者、つまり低体温症による死者が出るのは、車内で寝込んだまま燃料切れ、過冷却、排気管が降雪で塞がれるなどしてエンジンが止まり、ヒーターが切れる場合がほとんどです。ですから、立ち往生している最中に絶対に車の中で寝てはいけません。寒冷地の場合、上記のようにエンジンが止まる可能性があるのです。また、まれには排気ガスが車内に逆流して酸欠死することもあります。

それ以前に、寒冷地で特に山間部や峠越えの道を走る前には天気予報・交通情報で天候や道路状況を必ず確認し、荒れそうだったら計画を変更することも考えましょう。特に雪道や吹雪の中の運転に慣れていない場合は、絶対に甘く見ないことです。また、山に入る前に燃料を補給しておくことも忘れずに。

寒冷地を日常的に走る、特に山越えが多いドライバーは、立ち往生やスタックをした場合のために車の中に非常用装備を積んでいます。下記はその一例です。

【ゴム長靴、ゴム手袋、防寒服、雪かきスコップ、牽引用ロープ、スノーヘルパー(後述)、毛布、チョコレートなど非常用食料】

これらはスタック脱出用と、立ち往生してもエンジンをかけずに長時間持ちこたえることを前提とした装備です。スノーヘルパーとは、スタック脱出時にタイヤの下に噛ます、おろしがねを大きくしたような器具です。

もちろん普通はここまで用意する必要はありませんが、この中からピックアップするなら、最低限の装備として作業用ゴム手袋と牽引用ロープはあった方が良いでしょう。ゴム手袋は、タイヤチェーン装着や車に積もった雪を払うときなど、あらゆる作業で重宝します。吹き溜まりに突っ込んだりした時、ほかの車に牽引をお願いするときには、牽引ロープは自分のものを使うのが雪国のマナーでもあります。

前述のように地吹雪など視界不良時に事故などで道路上に止まると、ほぼ確実に追突されます。猛吹雪の中で脱輪やスタックしたときなどは、車外に避難する必要があります。そのための耐雪・防寒装備も考えておかなければなりません。

また、非常用ではありませんが、ウインドウの霜や凍結を削り取る「スクレーパー」は寒冷地ドライブには必需品です。でも、専用のものを買う必要はありません。実はCDのプラスチックケースで代用できます。下手をすれば専用品より良く削れるくらいで(笑)その他、プラスチック製や木製の、ある程度固い板状のもので代用できます。


最後に、意外と知られていないスタックからの脱出方法です。スノーヘルパーはひとりの時やかなり深く埋まった場合に使うもので、普通の道路上での9割方のスタックは、ふたりもいれば脱出できます。その基本は「掘る」と「押す」。手順は簡単です。

■ハンドルをまっすぐに戻す。いかなる場合も、脱出するまでハンドルは切らない。曲がりながらの脱出はほぼ不可能。
■四輪の進行方向前側の雪を掘って、できるだけ取り除く。
■ゆっくり発進しながら、タイミングを合わせて「車体の後ろから」押す。タイヤが空転したら、すぐアクセルを戻す。
踏み続けるとどんどん深く埋まり、さらに脱出が困難になる。
■一回で出られなければ、アクセルのオンオフや、セレクターをドライブとリバースに交互に入れて車体を前後にゆすり、前進のタイミングに合わせて車体を押す。

ここでの注意点は、
■車が勢い良く飛び出すことがあるので、脱出方向に人やものが無いか、良く確認してから行う。できれば交通整理をする人を置きたい。
■車体の側面から、窓枠などを押してはいけない。車が一気に脱出すると前のめりに転んで、腕などをタイヤに牽かれることがある。車体の後ろから押せば、転ぶだけで済む。
■タイヤの下にスノーヘルパーや毛布、木材などを噛ませた場合は、基本的には車体を押していはいけない。タイヤが空転して、噛ませたものが後方に高速で弾き出されることがあり、実際に事故も良く起きている。タイヤ下にものを噛ます際は、後方の安全も十分に確認してから発進する。

ところで、四輪駆動の車は当然雪道に強いものです。しかし調子に乗って雪の深い場所に入り、車体の腹が雪に乗ってしまうと動けなくなります。そんな「重症」のスタックになると、人力での脱出はまず不可能です。くれぐれも四駆を過信しないことです。

また、四駆だと無闇にスピードを上げる人も多いのですが、四駆が雪道に強いのは駆動力だけであって、ブレーキ性能もコーナリング速度も、あくまでタイヤの性能で決まります。四駆だからと言ってブレーキが良く効いたり、コーナーを高速で回れるわけでは無いのです。

特に大型四駆が雪道で安定しているのは、その「車重」によるものが大半です。重いからタイヤの食いつきが良いだけで、四駆自体の性能ではありません。しかも一旦限界を超えると、二輪駆動車とは比較にならない複雑な動きをしますので、素人にコントロールすることはほぼ不可能です。その辺を勘違いされませんように。なお、最近は自動トルク配分装置などでコントロール性が上がってはいますが、いずれにしろオーバースピードは命取りです。
ちなみに管理人は、北海道では四輪駆動のピックアップトラックが愛車でした。

雪が降る中を走ると、雪の粒が自分に向かって飛んでくるように見えます。不慣れな人だとつい雪の粒を目で追ってしまい、それが続くと目が回って来ます。周囲の危険を見落とす危険も大きくなりますので、そんな時は意識して「雪を無視」して、前方を見通す必要があります。

特に大粒の激しい降雪の時は、これは言うほど簡単なことではありませんので、目が回りそうだったら無理をせずに、すぐ休憩することです。

最後に、これは車に限らず寒冷地サバイバルの基本ですが、立ち往生の最中などに喉が渇いたら、雪から水を作ります。この場合、絶対に雪をそのまま食べてはいけません。雪を食べると身体を中から冷やしてしまい、体力を激しく消耗します。雪で水分補給する場合は必ず溶かして、人肌程度にまで暖めてから飲まなければなりません。


雪道や凍結路での運転が危険なのは当然ですが、寒冷地では一旦天候が荒れだすと、どんな場所でも生命の危険に晒されることがあります。そのような環境で過ごした経験が無い場合は、常に状況を甘く見ずに、余裕を持って行動することです。不安だったら地元の方にアドバイスを求めて、それに従ってください。

次回は、「帰省」編です。

■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2012年12月21日 (金)

続続・鉄道の危険【対災害アクションマニュアル 22】

■第1章 危険を知れ(その20) 【続続・鉄道の危険】

今回は、満員の通勤電車の中で大地震に遭遇した場合の対処方法について考えます。

大前提として、その時の安全性は何両目に乗っているか、車両内のどこに乗っているかに大きく左右されますが、それについては後述します。

まず基本は、できるだけつり革や手すりにつかまることです。地震の激しい揺れと非常ブレーキの急減速程度までならば、人の圧力で手をふりほどかれる可能性は高いものの、それでもある程度までは身体を保持できるでしょう。

普段の満員電車でも、ちょっときつめのブレーキで乗客がドドドっと前方に押し寄せることがありますが、高速からの非常ブレーキの減速度はあれをかなり上回ります。結果的に手をふりほどかれるにしても、できるだけ長い時間、身体を保持する努力をすることです。

その程度の減速度ならば、「人のなだれ」も致命的な圧力になることは無いでしょう。つかまる場所が無い場合は、両腕を胸の前に強く引き寄せて、こぶしを握ってぐっと力を入れます。これで、胸部が直接圧迫されることを防ぎます。転びそうになっても、上方以外に腕を伸ばしてはいけません。人に挟まれて、へし折られる可能性があります。

電車が脱線した場合は、さらに強烈な減速ショックに加え、たて方向の衝撃が加わります。車体が飛び跳ねるように暴れるのです。その段階ではほぼ確実につかまった手をふりほどかれ、さらに身体が飛び上がって、前方に向かって「吹っ飛ばされる」可能性が高くなります。満員の乗客は、強烈に圧縮されます。

その状態から、最悪の場合は車体が転覆したり、どこかに衝突する可能性があります。そうなると、確実に身を守る方法はありません。できることは、致命的な衝撃から少しでも身を守る可能性を高めることだけです。

107名が死亡したJR福知山線脱線転覆事故で、マンションの一階に横転しながら突っ込んだ一両目に乗っていて生還した方の手記によれば、横転した瞬間の車内は「洗濯機の中のようだった」とのこと。つまり人がバラバラと舞い上がり、飛ばされ、かき回されたのです。

地震で通勤電車が脱線した場合は、100km/h以上で横転したあの事故ほどの状態にはならないと思われますが、満員の乗客がなだれのように崩れ落ち、のし掛かって来るでしょう。その状態で、自分の身体の位置や衝突を意識してコントロールすることは、全く不可能です。

余談ながら、そうなったら頭を打たないように「気をつけろ」とか寝言を言っている「防災のプロ」がいるのですが、それについては別に記事書きますね。

では、そこでできることは何か。管理人が考えるポイントは二つ。「遠心力」と「重心」です。

人体の重心は腰の辺りですが、そこから一番遠い場所に、重い頭が乗っています。ですから人体が吹っ飛ばされると腰を中心に回転して頭がむちを打つようように叩きつけられ、頭と首に大きな衝撃が加わります。さらにその状態では、意識して力を入れていないと、遠心力で手足が伸びてしまいます。そこまで行かなくても、減速ショックが加わると重い頭が慣性力でいちばん大きく振り回されるわけです。

もうひとつは車体の重心。鉄道車両の重心は、大ざっぱに言えば床の辺りです。つまり床を回転の中心にして揺れ、横転するのです。

そして前記事で述べた通り、人体で一番断面積が大きく、圧迫されると窒息に至るのは胸の部分です。

それらのことから管理人が導き出した耐衝撃姿勢は以下の通り。本来なら図解したいのですが、絵心が無いもので文章で表現することをお許しください。

その姿勢を一言で表現するなら、ちょっと違うけれど「胎児のようになれ」ということでしょうか。
■両手のこぶしを頭の両側につけて、腕に力を入れて身体に密着させる。
■首を前に曲げて思い切り縮め、力を入れる。
■両足を揃え、膝を曲げて重心を落とす。(感覚的には身長を50cm縮める感じ)
■息を大きく吸って止め、全身の筋肉を緊張させる。

両腕で頭の側面をガードし、首に力を入れてむち打ち状態を防ぎ、身体の重心を車体の重心に近づけて横回転の遠心力を弱め、減速ショックで重い頭が振り回される慣性力も弱めるのです。手足を縮めて緊張させることで、伸びた手足が挟まれて折られる可能性も減らせます。

さらに胸の位置を下げることで、乗客の圧力による胸への圧迫を弱めます。これは、スシ詰めの電車でもランドセルを背負った小学生が乗っていられるのと同じことです。下半身の高さは、実はかなり余裕があります。人の圧力で重心を下げられない場合は、上半身だけでもこの姿勢を取るべきです。

その状態で電車が止まれば良し、吹っ飛ばされてどこかに衝突したり、人のなだれにのし掛かられたりしても、致命的な怪我を負う可能性を大きく減らせるはずです。

なお、この姿勢は軍用パラシュート降下の着地時の姿勢(軍用は民間用より高速で着地するので、着地と同時にこのような姿勢で転がって衝撃を逃がさないと足が折れます)や、オートバイで転倒した時に、最初にとるべき姿勢に近いものです。

管理人はオートバイに乗りますが、かつてはロードレースやオフロードレースもやっていまして、こんな姿勢で何度も(笑)地面に叩きつけられた経験があります。その経験からしても、有効な姿勢だと考えます。つまり、管理人なら迷わずこの姿勢を取ります。

しかしこの姿勢にすぐに移行するためには、普段から意識していないとなかなか難しいものがあります。オートバイの初心者が転倒すると、つい地面に腕を伸ばして身体を支えようとしてしまうことがありますが、もちろん何の効果も無くて、あっさりと腕を折ってしまいます。

交通事故のような凄まじい衝撃の中では、人間の力など全く無いに等しいのです。ですから、吹っ飛ばされることを前提として、少しでも衝撃を減らすことを普段から意識していなければなりません。なのに「頭を打たないように気をつけろ」とかお気楽なことを言う「プロ」もいますが(笑)カネ払って話聞いて、そんな出来もしないこと言われたらどうします?

なお、ここではスシ詰めの電車内を想定していますが、もし空いている電車内で大地震に遭遇したら、「両腕で頭を守りながら床に伏せる」、これに尽きます。まずは床に膝をついて重心を下げ、脱線すると判断したら、可能ならば進行方向と逆方向に身体を投げ出すのです。これは椅子に座っている時でも同じです。

最後にもうひとつ、「お笑いプロ」(お笑いのプロじゃない)の話。腕で頭を守るときには、動脈を切らないように手首の手のひら側(脈拍を取る部分)を内側に向けろと、テレビでしたり顔で言っていた「防災のプロ」がいましたが、どうやったら外側向けられるか教えて欲しい(笑)。これなど、「動脈を守る」というもっともらしい自分のアイデアを言いたいがために、必要の無い「指導」をしているだけですね。おカネもらうには、そういうことも必要なんですか?ねえYさん(笑)

まあ、こんなのばかりじゃ、防災屋はいつまで経っても尊敬どころか信用もされませんな、などとぼやきつつ、次回は、電車のどこに乗るべきかについて考えます。

2012年12月20日 (木)

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【管理人 てば拝】


【年末年始の災害対策 3】年末年始ライブ編

年末年始にはクリスマスライブ、ディナーショー、カウントダウンライブ、「第九」やニューイヤーライブなど、大規模なライブイベントが目白押しです。それほど大規模でなくても、年末にはそんなイベントに出かけることも多いもの。

イベント自体は普段とあまり変わらなくても、年末年始はなにか華やいだ「特別な感じ」がありますね。かく言う管理人も、1万人規模のクリスマスライブに行く予定です。

でもそんな華やぎの時でも、大地震が見逃してくれるわけではありません。そして大盛り上がりであるがこその危険もあるのです。ですから、それなりの備えをしていかなければならないのです。


当ブログでは、大規模ライブイベントや劇場、ライブハウスなどで大地震に遭遇した時の備えや対処方法を、過去に「首都圏直下型地震を生き残れ!☆ライブ編」や、コラム「超満員のスタジアムで防災を考える」で紹介してきました。

これらは文末にリンクを貼ります。細かい内容はそちらの方にありますので、是非お読みください。なお「首都圏~☆ライブ編」は当ブログの隠れた人気コンテンツです。おそらく他では誰も言っていない現実的な対処方法を述べていまして、過去記事の中でも突出したアクセスをいただいています。記事リンクをリツイートして拡散していただいている皆様、ありがとうございます。


さて、年末年始ライブ特有のポイントとは何でしょうか。いくつか挙げれば、外は寒くて厚着をしている、普段より少しおめかししている(かも)、普段より盛り上がりが激しい(かな?)、お酒が入っていることも多い、という感じでしょうか。

これらを災害避難時の問題に置き換えると、災害発生の認知が遅れ気味になり、避難行動を遅くする要素が増えていて、混乱やパニックの発生を助長する可能性があるということになります。

例えば、女性ならば高いヒールを履いていたら行動速度はスニーカーの半分、晴れ着に草履だったら三分の一くらいに考えなければなりませんし、転んだり履き物を失う可能性が高くなります。男性でも革底の短靴は滑りやすく脱げやすいので、緊急避難時の危険がぐっと増えます。

コートを手に持って走るだけでも速度が落ち、バランスを崩しやすく、一人当たりの専有面積を大きくして狭い場所での混乱を助長します。また、避難中にコートやマフラーなど防寒具を失う可能性もあるので、脱出後に寒さに晒されることも考えなければなりません。

だからおめかししてもスニーカーを持って行け、などと言うのは机上の空論ですが(その類が本当にあるから困りものです)、できる限りの対処はしたいものです。


ここで参考までに、管理人のクリスマスライブ参戦装備を紹介します。なお、タテノリ系ですのでおめかしはしません。時には編み上げのブーツを履いて行くくらいですし(笑)

まずLEDライトは必須。停電時の視界の確保は絶対です。例によって大小二本持ち、小は常にポケットの中です。防水・防寒装備は100均ポンチョ、レスキューシート二枚に、畳むとタバコ二個くらいの大きさになる軽量ウインドブレーカー。断水時の水分補給用には浄水ストロー。タオルは汗ふき用1本に加え、汎用の白タオル2本。もちろん防水・防寒用にもなります。

これが基本装備で、リュックの中に入れて行きます。できる限り両手を空けるのが基本です。さらに小型ラジオ、ファーストエイドキット、防煙フード、予備電池が加わります。なお、装備品の電池はすべて単三に統一してあります。なお、ここに挙げた装備品は、すべて過去記事「普段持ち歩く防災グッズ」シリーズに写真入りで掲載しています(カテゴリ「防災用備品」をご覧ください)

装備的にはほとんどが普段から持ち歩いているもので、特にライブ用に特化したものは汗拭きタオルくらいです。とにかく混乱する群衆の中から脱出し、上着は失うことを前提として悪天候と寒さにもある程度対応できる装備として考えています。しかし、問題は装備よりも行動なのです。その点を詳しく述べた文末のリンク先記事を、是非お読みになってみてください。


なお、前述した履き物を失うことを想定した対処方法ですが、ひとつのアイデアとして、ソックスや足袋の上から厚手の短いソックスをかさね履きすれば、かなり楽に歩けるようになります。さらに、ソックスの足裏にガムテープを重ねて貼ると良いでしょう。

もちろん、ガムテープのロールを持って行けなどとは言いません。ガムテープを2mくらいロールからはがし、細く巻いておくのです。それをソックスと一緒にフリーザーバッグに入れて持参すれば、数十グラムの負担でぐっと安心度が増します。

もっとも、ホテルにあるような簡易ルームシューズのようなものを持参できれば、その方がベターではあります

こんなものも何も起きなければただの過重負担、でも何かあったら天地の差となるでしょう。想定しうる「最悪のケース」をどれだけリアルに考えるか、それが危機管理の原点です。

あ、それから、多くの人が集まる場所に行くときは、できればお酒は控えめに(笑)

【追記】
ソックスにガムテープを靴代わりにする方法、妙なことを言うと思われたとかと。でもこの方法、実際の災害時に応急的に行われている方法です。レジ袋をかぶせれば、ちょっとした防水性も出せます。まあ、晴れ着の草履代わりというのはちょっと飛躍しすぎですかね(笑)でも、いざという時のご参考までに。

【関連記事リンク】
■首都圏直下型地震を生き残れ!【11】☆ライブ編はこちらから
■首都圏直下型地震を生き残れ!【12】☆ライブ編はこちらから
■超満員のスタジアムで防災を考える。はこちらから

■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

【年末年始の災害対策 2】忘年会・新年会編

忘年会や新年会は、大抵は普段より長時間でお酒の量も進むものです。そして年末年始の街はいつもより大にぎわい。それはとても楽しいのですが、それを「防災の目」で見ると、厳しい要素が増えるということでもあります。

本文は忘年会・新年会に参加される方はもとより、幹事さんに是非読んでいただきたいと思います。本文は管理人が幹事をやるなら、というつもりで書いています。

まず、その危険要素から考えてみましょう。

一次会では、居酒屋などに大人数が集まります。ぎっしりと座ることも多く、座敷の店だと、靴を脱いでいます。そしてビルの上階や地下など、場所は様々です。

一次会が終わると、混みあう繁華街をダラダラと(笑)移動します。

二次会、三次会になると、人数は減ってくるかもしれませんが、さらにお酒が回って上機嫌です。そんな時はより小さなお店であることも多いものです。カラオケルームにぎっしり、なんてこともありますね。

そんな場面で、どんな危険が想像できますか?

大前提として、当然ながらかなり酔っている人が多いということ。つまり緊急時の判断力・行動力がにぶり、パニックに陥りやすい集団です。非常時にそんな集団をコントロールするには、的確でわかりやすい指示が必須です。

そして大地震が起きれば、停電が考えられます。なんとか視界を確保しなければなりません。まずこの二点が基本です。つまり、正しい行動を的確に指示し、避難の際には経路の情報と方向を示すことが必要です。

そこで幹事さんがやっておくべきなのは、店を選ぶ際に料理の内容や価格だけでなく「脱出経路」、「店の周囲の状況」、「避難場所と方向」を確認しておくことです。

さらに建物自体の耐震性もチェックしておきましょう。これはビルのエントランスにある「定礎」の銘板で建築年度をチェックし、新耐震基準準拠が確実な1982年以降かどうかを見ます。さらに現行耐震基準準拠が確実な2001年以降ならばベストです。

ここで耐震基準が改正された1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)を外すのは、改正年内に竣工した建物には、それ以前の基準のものも含まれているからです。店の下見をする際には、是非その点もお忘れなく。

もっとも「いい店」が必ずしも条件を満たしているとは限らないのが辛いところですが、その時はそれぞれの判断で。その場合でも、「ここは地震で崩れるかもしれない」ということを知り、意識しておくことが必要なのです。それが、あなた自身がパニックに陥る可能性を減らします。

そして会場では、「その瞬間」にどうするかを考えておかねばなりません。会場の中をよく見て危険要素を探し、対処を考えておきます。倒れかかりそうな備品類、落ちそうな天井設備、塞がれそうな通路などをチェックしておくのです。

ここまでの情報を得た上で、行動を考えます。例えばテーブル席ならば、大地震を感じた瞬間に「動かない!すぐテーブルの下へ!」と指示する、座敷席ならば「頭を守る!姿勢を低く!」と指示するなどです。

例えば、座敷にいて建物が傾いた、火が出たなどで緊急避難が必要と判断したら、「靴をはかずに外へ!」ということもあるでしょう。酔っぱらいの集団(笑)が自分の靴を探すのにどれだけ時間がかかるかは、みなさん経験済みですよね。それが暗闇の混乱下では、全く不可能です。

非常時の指示は、相手が上司だろうがなんだろうが、丁寧である必要はありません。紋切り型で、とにかく強く指示することです。

すぐに脱出できそうな路面店の場合でも、店の外でガラスや看板などが落ちてくる危険がある場所では、揺れている最中に駆け出すのを思いとどまらせることも必要になることもあります。そこは建物の耐震性と外の状況からの総合的な判断となります。

そして、視界です。幹事さんは、ある程度強力なLEDライトを常に持ち、停電したらすぐに点灯させるのです。これはバッグの中ではダメです。混乱下では荷物は失うものと考えなければなりませんから、常にポケットなどに身につけているのです。

明かりの存在はパニックを緩和し、避難のための情報を与えます。避難経路を示すためにも、ある程度の明るさが必要なのです。参考までに管理人の装備を紹介します。
Photo_012
小さい方が常にポケットに入っている、単三電池1本使用で26ルーメン(明るさの単位)で、大きい方がバッグに入れている、単三電池2本使用で80ルーメンです。26ルーメンならば暗闇で10mくらい、80ルーメンあれば50m先まで見通せます。この程度は欲しいところです。

そして、避難指示です。事前に調べた情報に基づき、ライトで出口方面を示しながら、例えば「非常口は右!右!右!」など、シンプルに指示します。混乱下で細かい指示は通じません。まずは「流れを作る」ことが必要なのです。

店の外に出たら、落下物を警戒させながら、避難方向を指示します。「頭を守る!ビルから離れる!」というように。放っておくと、大抵は建物の前の歩道という一番危険な場所にたむろするものです。これは街を移動している最中も同じです。場合によっては、落下物を避けるために「このビルに入る!」ということもあるでしょう。できれば、非常時に補助してくれる人を決めて、いろいろ相談しておくこともお勧めします。


本文では幹事さんの立場で考えて来ましたが、もちろん誰もがこのように備えておくことで、「生き残る」可能性が大きくアップします。でも生死に関わる前に、怪我をする可能性がはるかに小さくなります。その方が現実的ですね。

少なくとも、忘年会・新年会に限らず繁華街に出るときは、「店の中や外の脱出経路を確認しておく」、「店の周りの状況を確認しておく」、「ある程度強力なLEDライトを身につけておく」ということを励行し、その上で「その時どうするか」を考えておいてください。それだけでかなりの危険が回避できるのです。

地震が起きるかどうかということを気にする人は多いのですが、常に「その時どうするか」を考えている人はあまり多く無いと感じます。特に繁華街では、非常に危険が多い場所にいるということを常に忘れないでいること。それが「生き残る」近道です。

次回は、「年末年始ライブ」の危険です。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2012年12月19日 (水)

【仙台市荒浜】宮城・震災から1年8ヶ月【10】

今回は、仙台市内の荒浜地区へ再び向かいます。なお、現在この地区は関係者以外立ち入り禁止になっていますので、仙台在住の方に同行していただいています。

仙台市郊外の海沿いに広がる広大な住宅街だった荒浜地区は、堤防を決壊させて突入した大津波にすべて押し流されました。唯一完全な形で残った建物は、荒浜小学校の校舎だけです。

ここは全く平坦な土地なので、安全な避難場所は荒浜小学校の3・4階と屋上しかありませんでした。敷地内の体育館も一階部分が完全に水没しました。そして濁流は2kmほど内陸を走る仙台東部道路の築堤にまで達し、そこまでの間に確実に安全な避難場所はほとんど無かったのです。

訪問時は、すっかり日が暮れていました。昼間はインフラの復旧工事が行われていますが、夜になると大都市のすぐ近くとは思えない、ほとんど無人の暗闇です。この荒浜地区だけでなく、南の仙台空港にまで至る海沿いの地域は、いまだにほとんどすべて無人の暗闇に包まれています。

暗闇の向こうに仙台中心部のまばゆい街明かりが広がっているのが、なんだかとても不思議に思えます。下画像は手持ちでスローシャッターを切ったので、かなりブレているのはご容赦ください。
Photo
画像の中心から少し右よりに見える四角いシルエットが、荒浜小学校の校舎です。かつてはここに家並みがあり、こんな風景は見えなかったのです。こんな平坦な場所で津波に襲われる恐怖を、改めて感じました。

広大な暗闇の向こうにきらめく明かりが、人の運命の残酷な差異を際立たせているようでもあります。

次に、荒浜小学校へ向かいました。校舎は、暗闇の中に沈んでいます。被災から1年8ヶ月も経つのに明かり一つない小学校の姿は、外から来た人間にとってはやはり異常な光景です。
Photo_2
しかしこれが被災地のいまの現実だということを、外の人間も忘れてはいけないのです。暗闇に明かりが戻り、子供たちの歓声が再び響くまでのまでの長い道のりを、すこしずつでも支援して行きましょう。


ここで、本文の主旨とは異なりますが、管理人が触れておきたいことを書かせていただきます。

上の画像の中に、ぼんやりとした光がいくつも浮かんでいます。これは空中を漂うホコリにストロボの光が当たって光っているものです。でもオカルト好きの人に言わせると、これは「オーブ」とか言って、霊が写っているとされてしまいます。

しかしこれはあくまでも物理的な現象に過ぎません。管理人はここで三枚の写真を撮っていますが、他の二枚をご覧ください。前がストロボ最小発光、次が中間発光です。
Photo_3
Photo_4
校舎の写り具合を比較してください。最小発光では何も見えず、中間発光ではぼんやりと見えて、光の粒が写り始めています。そして最初に掲載したものが、最大発光というわけです。もちろん、撮影後に一切の加工はしていません。

これが自ら発光する霊の姿だと言うのなら、ストロボの発光量など関係なく写るでしょう。発光量に比例して写りこんで来るということが、これがただのホコリであるということの何よりの証明です。写真に詳しい人間には常識なんですけどね。

なぜこんなことをわざわざ書いたかというと、多くの犠牲者が出た場所だからこそ、霊が写ったとかいう次元で騒いで欲しくないからです。

被災地で管理人はいつも、手を合わせてから厳粛な気持ちで撮影します。その写真をオカルトネタにはされたくない。それに惨劇の地で霊が写ったとか騒ぐことは、犠牲者に対してあまりに失礼ではないですか。それもただのホコリを。

しかし、いわゆる「霊感」とは無縁の管理人も死者の霊魂の存在は信じたいと思いますし、だからこそ心から冥福を祈ります。ただし根拠の無い興味本位の見方だけは、根本から否定します。

こう言うと、「じゃあ写真を載せなければいい」というお約束のツッコミが来るわけですが、暗闇に沈んだ荒浜小学校の姿は、この震災の悲惨さを象徴するもののひとつとして、ぜひ皆様にも見ていただきたかったからです。

多くの方が亡くなった場所、しかも静まり返った暗闇の中に立っていると、胸にこみ上げて来るものがありました。怖いとかいう感覚はありません。ただ悔しく、やりきれないのです。


荒浜の近くを車で走っている時、一匹のキツネが道路を横切って行きました。キツネがいそうな山ははるか遠くです。なんでこんな場所にいるんだと驚きましたが、今の荒浜はほとんど無人で、野鳥の楽園のようになっています。

人がいなくて餌があるから、野生動物も来るのでしょう。でも大都市郊外でも「来られてしまう」ということに、被災後ずっと、ほとんど無人に近い被災地の現実があります。

一匹のキツネの姿が、その現実を浮き彫りにしたようでした。


次回から2回に渡って石巻市の大川小学校での実地検証をお送りし、このシリーズを終わります。


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続・鉄道の危険【対災害アクションマニュアル 21】

■第1章 危険を知れ(その19) 【続・鉄道の危険】

前回記事で、大地震時に走行中の電車が脱線転覆に至る可能性は一般に思われるほど高く無い、ということに触れました。現在の車両は脱線しても、昔に比べて転覆しずらいのです。

さらに現在では、大規模地震の緊急地震速報が発報された直後、列車無線で危険地域内の列車をすぐに止める体制になっています。JRの場合、在来線のすべての列車は最高速度からでも600m以内に停止できますし、通勤電車程度の速度ならば、事実上十数秒程度で安全速度にまで減速できるでしょう。

ですから通勤電車が高速度のまま脱線転覆する、2005年に発生したJR福知山線脱線事故のような惨状は、あまり心配する必要はないと言えます。あの事故にしても、線路を逸脱してマンションに衝突した1~3両目車両は大破しましたが、4両目以降の車両は転覆には至っていません。
Fukuchiyama00
さらに注目すべきは、後部編成が現場で停まっていることです。あの事故では、120km/h程度の速度からブレーキを僅かにかけただけで急カーブに進入したとされます。そして1両目が線路を逸脱して車両間に渡したブレーキ圧力管が切れた瞬間、後部編成には自動的に非常ブレーキがかかりました。鉄道車両はそういうシステムになっているのです。

その段階からの非常ブレーキでも、7両編成の後部3両は一部脱線しながらも線路上に留まり、大きく脱線した前車両を押しのけながら現場前で停止しています。つまり非常ブレーキによって短時間にその程度にまで減速できていたということであり、あれが軽量でブレーキが良く効く現代の車両の性能です。もし旧世代の車両だったら後部車両がより高速で突っ込み、さらに犠牲を増やしていたでしょう。

もちろん、非常ブレーキ力に加えて脱線した車両からの抵抗力と脱線した前方車両を押しのける抵抗力が総合された結果あの場所で止まったのであり、後方車両の減速度も凄まじいものだったでしょう。しかし、それでも脱線しない程度までブレーキで減速できていた、ということが重要なのです。


では、通勤電車で大地震に遭遇した時に最も起こる可能性が高いのはなんでしょうか。これまで述べた通り、激しい揺れや軌道変位などで脱線する可能性はあり、その際に襲って来るのは、「減速ショック」です。平たく言えばスピードが一気に落ちることですが、それが猛烈な勢いで襲ってきます。その時、スシ詰の車内では何が起きるでしょうか。

あるシミュレーションによれば、スシ詰め状態の通勤列車に想定される最悪の減速ショックが加わった場合、つまりは普通の走行状態から数秒で速度ゼロになるような場合、車内の乗客は最大三分の二の「体積」にまで圧縮されてしまうといいます。一般に長さ20mの車両に詰まった乗客が13mほどに圧縮され、そこでは人間そのものが凶器となるのです。

その状態になると、つり革や手すりにつかまっていても吹っ飛ばされます。手すりやシートの端板に身体を密着させたまま圧縮されれば、とてつもない圧力で無事ではいられません。


ところで、満員電車に揺られて一番きついのは、胸ですよね。何故なら、人間は胸の部分が一番断面積が大きいからです。そしてその中には肺があります。胸を強く圧迫されると肺の中の空気が搾り出され、その状態が1分も続けば窒息に至ります。さらに強い圧力が加われば、肋骨が折れたり内臓が損傷したりするでしょう。その段階が「圧死」であり、建物の倒壊や家具の転倒などで一般に「圧死」と言われる死因の大半は、実は胸部を強く圧迫されたことによる窒息死なのです。

ですから、胸部を圧迫される状態から、出来る限り逃げなければなりません。しかし、脱線した車両が一気に転覆したり、橋脚などに高速で衝突した場合には、ほとんど対処はできないでしょう。運を天に任せるのみです。ただ、それまでに僅かでも時間があったら、どうしたら良いのでしょうか。

ここで述べる方法は、どこかで指導されているものではなく、管理人が考えていることです。ここまでの内容でお気づきの方もあると思いますが、管理人はかなり「鉄ちゃん」でもあります。そんな知識も総動員して考えてみました。

と言いつつ、次回へ続きます。

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2012年12月18日 (火)

【東名から野蒜へ】宮城・震災から1年8ヶ月【9】

今回は東松島市へ向かいます。

東松島市では2011年11月の訪問時と同じく、JR仙石線の東名(とうな)駅と野蒜(のびる)駅周辺へ行きました。

東名駅の様子は、1年前とほとんど変わっていませんでした。
Photo
しかしこの先も復旧の可能性はありません。この区間の仙石線は山側の新路線への付け換えが決まっているので、いずれ撤去されることになります。おそらくこれが見納めになるのでしょう。

東名駅から東名漁港へ向かう道の両側は、かつて200軒以上の家が並んでいましたが、海抜がほとんど無い地域のため、そのすべてが4~5mの津波に襲われました。

1年前にはかなり残っていた被災家屋も、かなり少なくなってはいます。しかしその他はほとんど変わっていません。荒涼とした無人の草原が広がっているだけで、ここがかつて住宅街だったことも忘れてしまいそうな光景です。

この地帯は震災直後に1m近く地盤沈下して排水が悪くなり、1年前もかなり大きな水たまりができていました。衝撃的だったのは、それが今回訪問時にはさらに大きくなっていたことです。
Photo_2
この写真は住宅街の西側ですが、水たまりというよりほとんど海岸にしか見えません。かつてここは畑が広がっていて、数百メートル先まで陸地だった場所です。すっかり海とつながってしまっています。
02
東側は、住宅地だった草地の先に見える灰色の広がりが、すべて「海」です。画像の右側が本来の海の方向です。地盤沈下がさらに進んだのでしょうか。東名地区の住宅街だった場所を細長く残して両側は完全に水没してしまい、かつての住宅街が細長い岬のようになってるのです。

その「岬」の突端にあるのが東名漁港です。復旧に向けての作業が本格化しています。1年前と同じ場所からの画像を比較してみます。
↓2011年11月6日
Miyagi_057
↓2012年10月13日
Photo_3
漁船の数もかなり増えました。とはいえこれらの漁船の多くは、ここから津波で流された船が回収されて来たもののようで、損傷しているものも少なくありません。本格復旧はまだまだ先のようですが、確実に前進を始めていることは感じられました。

次に、野蒜駅周辺に向かいます。野蒜駅も、崩れ落ちた架線ビームなど1年前の姿とまったく変わっていません。ここもいずれ撤去されるので、見納めです。
Photo_4
駅舎周りの店舗は未だ被災当時のまま、全く片づけられていない場所もあります。その画像は掲載しませんが、片づける人がいないということが何を意味するかを考えると、ただ手を合わせるのみです。

次に、1年前に訪ねた野蒜保育所がどうなっているか見たくて、駅から海沿いへ向かいました。下画像は、1年前の保育所です。赤い線は、この場所での津波水位を表しています。
Miyagi_124
近くまで行って、激しく戸惑いました。「陸が無い」のです。
Photo_5
かさ上げされた道路の周りは完全に「海」になっていて、おそらくこの辺りだったとしか、詳しい場所もわかりません。画像からも、かなり深い水に覆われていることがわかります。やはり沈下がさらに進んでいるように見えます。

この地域が復旧・復興を果たすためには、まだ相当に長い時間がかかるのは確実です。でも、震災から1年8ヶ月(訪問当時)、あちこちで復興への槌音を聞くこともできました。継続的な支援、具体的には寄付や地場産品の購入で、被災地を応援して行きましょう。

なお、隣の松島町は津波の痕跡など意識してもわからないくらいに復旧し、景勝地松島への観光客で賑わっています。観光地松島は、表向きはほぼ「復興」を果たしています。松島を訪問されることがありましたら、ぜひとなりの東松島市の海岸部へも足を伸ばしてみてください。できるだけ見て、知って、伝えること。それが支援にもつながります。

車ならば松島から東名・野蒜まで10分程度です。休止中のJR仙石線代行バスも走っていますが、松島でタクシーをチャーターされる方が便利でしょう。

次は仙台市の荒浜地区へ向かいます。そして、その次に当シリーズ最終回として、石巻市の大川小学校からのレポートをお送りします。

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2012年12月17日 (月)

【ニュース解説】アウターライズ地震ではなかった

去る12月7日、三陸沖を震源とするマグニチュード7.3(速報値)の地震が発生し、宮城県石巻市で1mの津波を観測しました。この地震について、管理人は震源位置と深さからアウターライズ地震であると判断し、気象庁も当初はアウターライズ地震であると発表していました。

しかし後の12月10日、地震波の詳細な解析を行った気象庁は、この地震は一般的なアウターライズ地震ではない非常に特殊なタイプの可能性があると、改めて発表しました。以下に時事通信の記事を転載させていただきます。

(以下転載)-----------------------------

【見出し】「アウターライズ型」違った=7日の津波地震で気象庁―日本海溝付近、複雑な動き

2012年12月7日夕に起きた三陸沖を震源とする最大震度5弱の地震について、気象庁の斎藤誠地震情報企画官は10日の記者会見で、「余震を含め解析したところ、当初説明した単純なアウターライズ型地震ではなく、複数の断層面が動いた可能性が高い」と述べた。

東日本大震災の巨大地震と津波以降、懸念されてきたマグニチュード(M)8級のアウターライズ型地震が今後起きる可能性は否定できず、引き続き注意する必要があるという。

斎藤企画官によると、太平洋プレートが陸側プレートの下に沈み込んでいる日本海溝の外側(東側)で、最初に断層が圧縮されて上下にずれる逆断層型地震が発生。続いて日本海溝の内側(西側)で断層が引き延ばされてずれる正断層型地震が起きたと推定される。

宮城県石巻市で観測された最大1メートルの津波を引き起こしたのは後半の正断層型地震と考えられるが、震源の深さや具体的な断層面がまだ分からず解析を続ける。

一連の地震の規模は速報値M7.3から、暫定値M7.4に引き上げられた。

(転載終了)-----------------------------

つまり、圧縮力による逆断層型地震と引張力による正断層型地震という二つの全く違うタイプの地震が連続して発生し、後の正断層型地震によって小規模の津波が発生したということです。

この地震では、陸地から240km沖という遠距離で深さ10km(速報値)と浅い震源ながら、東日本の非常に広い範囲で震度5弱から4を記録するという、普通はあまり考えられない、まるで深い震源の地震のような揺れ方をしました。そして、マグニチュード値の割には発生する津波が小さかったという特徴もありました。

このため、管理人もすぐにアウターライズ地震だと判断はしたものの、腑に落ちない部分もあったのです。当ブログ12月7日の記事にも書いてますが、遠距離の浅い地震の割には揺れが大きく、しかも横揺れが明らかに二段階に分かれていたので、単発の地震ではなく複数の地震が連鎖したものと考えました。そして、そのうちひとつで津波が発生したために、マグニチュード値の割には津波が小さかったのではないかとも考えました。一般に、マグニチュード7.4(暫定値)の単発アウターライズ地震ならば、普通はもっと大きな津波が発生するはずなのです。
■12月7日の記事はこちらから

上記の気象庁発表によると、管理人が感じた揺れ方からの分析はほぼ正しかったようです。ただ、このような複雑な地震が発生することがあるということは、全く考えていませんでした。もっとも、専門家にとっても「想定外」だったようですが。なお、上記記事には書かれていないものの、最初の逆断層型地震は恐らく深さ40~80kmくらいの場所で発生し、直後に深さ10km程度の正断層型地震が発生して、それが津波を発生させたのでしょう。

ちなみに、以前当ブログでお話を取り上げた、福島県南相馬市から埼玉県に避難されている女性も、今回の地震の揺れは「新しい」と表現されていました。震災後に何百何千という余震を体験してきた経験からしても、かなり変わった揺れと感じられたようです。


ところで、マグニチュード値とはその地震全体で放出されたエネルギーの総量ですから、単発の地震でなければ、マグニチュード値がそのまま揺れや津波の規模と比例するわけではありません。例えば東日本大震災のマグニチュード9.0というのは、南北500km、東西200kmに及ぶ震源域全体で放出されたエネルギーの総量ということです。

今回の地震も、連鎖地震で放出されたエネルギー総量はマグニチュード7.4に達したものの、津波を発生させた地震ひとつのエネルギーはそれほど大きくなかったのでしょう。そして深い震源から反射、屈折しながら伝わる地震波と浅い震源から伝わる地表波が合成され、広い範囲で大きな揺れとなったのではないかと考えています。

今回、管理人も「こんな地震も起きることがあるんだ」ということを知ることが出来たわけですが、専門家もすぐに判断できなような複雑な地震が発生したということに、震災後に地下で起きていることの複雑さが感じられます。なにしろ震災による大地殻変動は、まだ始まったばかりなのです。

そして記事にもありますが、今回の地震のメカニズムがどうあろうと、震災震源域の沖側でマグニチュード8クラスのアウターライズ地震が発生する可能性は、今後長きに渡って続くということだけは確かなのです。

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【年末年始の災害対策 1】防水・防寒編

2012年も残すところあと2週間ほどになってしまいました。そして、今年の冬は全国的にとても寒いですね。

これから年末年始にかけて何かと慌ただしくなりますが、そんな中で大地震などの災害が起きないとは誰にも言い切れません。そこで、年末特集として【年末年始の災害対策】と題したシリーズを数回に渡ってお送りしたいと思います。普段と違う年末年始の行動の中で、どんなことに気をつければ良いかをまとめたシリーズです。なお、当シリーズのカテゴリーは【地震・津波対策】とします。

ではまず、年末年始によくある行動からまとめてみましょう。
■忘年会・新年会
■年末年始ライブコンサートなど
■積雪・寒冷地への旅行
■帰省
■初詣
と、こんなところでしょうか。それぞれの具体的な場面を考えると、普段とは違った危険も見えてきます。

それぞれの具体的な内容に入る前に、今の時期に共通する要素からまとめます。それは「寒い」ということ。特に今年は寒くて、しかも荒れ気味で雪も多そうです。

寒い時期に大地震などの災害に遭って第一撃を切り抜けられたら、そこで一番大切なのは何でしょうか。それは「防水・防寒」です。冬の災害下では、暖かい環境が無くなると考えなければなりません。そんな中では、とにかく身体を濡らさない、冷やさないということが最も重要です。そこで年末年始に限らず、冬場の行動時に用意しておきたいグッズや対処方法からまとめます。


まず、身体はどこから一番冷えるかを知っておきましょう。それは「頭」です。頭の皮膚のすぐ下には毛細血管がびっしりと集まっており、人間の身体のいわば放熱装置になっています。頭から放出される熱量は体表全体のなんと40~50%にも及びますから、寒い中で頭を保温しないと、エネルギーの大変な無駄遣いになるのです。

ですから、特にカロリーの補給があまりできない避難行動中は、頭部の保温が特に大きな意味を持ちます。一般的にはニットキャップがお勧めですが、できるだけ衣服のフード、帽子類、スカーフ、タオルなどで頭を覆い、放熱を防がなければなりません。

お勧めは耐熱性に優れたウール100%のニットキャップなのですが、男性用はあまり見かけません。コンビニやスーパーなどで売っているもので保温力は十分なものの、ほとんど化学繊維が使われています。管理人が普段から使っているのは、米軍放出品の「ワッチキャップ」で、ウール100%で価格は1000円前後です。
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ミリタリーショップでしか扱っていませんが、通販もありますので、「ワッチキャップ」で検索してみてください。

次に重要なのが、首です。ここも動脈が皮膚に近いために血液が冷えやすいのですが、それ以上に衣服の中の熱を逃がさないための対策が必要です。体温で暖められた空気は軽くなり、首元からどんどん逃げて行ってしまうのです。ですから首元をぴったり閉めることで、首自体を冷やさないようにすると同時に、服の中の熱を逃がさないようにしなければなりません。マフラー、スカーフ、タオルなどをしっかりと巻いてください。

さらに保温すべきポイントは、手首と足首です。ここも動脈が皮膚のすぐ下にありますので、血液の熱が逃げやすいのです。ここを保温して動脈血を冷やさないことで、手足先の冷えが格段に緩和されます。

そのためにのお勧めは、スポーツ用のリストバンドとレッグウォーマーです。リストバンドは、単独でも指先の冷えをかなり緩和しますが、手袋と併用することで絶大な効果を発揮します。是非一度使ってみてください。レッグウォーマーは男性には一般的ではありませんので、非常用と考えてこんなものはいかがでしょうか。
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防水レッグカバーです。これは保温はもちろん、雨や雪の中を短靴で歩かなければならない時に重宝します。丸めればとてもコンパクトですから、特に積雪地に行く時にはお勧めですし、車の中に常備しておくのも良いでしょう。ホームセンターで千数百円程度で入手できます。

なにしろ、このようなグッズが無くとも、寒冷地での保温のポイントは頭、首元、手首、足首と覚えておいてください。特に頭と首元は重要です。

普段の街中ではあまり意識する必要のない細かい寒さ対策も、十分なカロリーを摂取できず、身体を暖める場所もない災害時には、対策の有無が大きな差となって現れます。行動できる体力をできるだけ温存するために、特に寒冷地に行く際には、しっかりと備えておいてください。

ところで、普段持ち歩く防寒グッズの定番と言えば「レスキューシート」です。
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これ、実際に開いて使ってみたことはありますか?正直なところ、あまり使いやすいものではありません。非常に薄い素材なので少しの風でふわふわと浮き上がり、衣服の外に巻いてもそれほど保温効果は無いのです。防寒用に使う際は、衣服の下に巻くものと考えてください。

あと、問題はその大きさ。大人が「体育座り」をしてくるまろうとしても、足先から首までを十分にカバーするためには小さ過ぎるのです。ですから、特に冬場はできるだけ一人当たり二枚を持ち歩くようにしてください。

「防水」に関しては、これはもうポンチョやレインウェア類に尽きます。
10002
画像は、100均カッパをフリーザーバッグに入れて空気を抜き、コンパクトにした状態です。

カッパ類は、傘を持っていても必ず用意しておきましょう。暴風雪の中では傘など全く使えませんし、寒い時にはウインドブレーカーとしての効果も絶大です。100均ショップのものでも機能的には十分なのですが、寒冷地では素材が固くなって破れることも考えられるので、もう少し厚手のものが欲しいところです。徒歩移動の場合は軽量のものを各人が、車の場合はある程度しっかりしたものを「乗車人数分」常備しておくことをお勧めします。

ところで、管理人はかつて札幌に住んでいたことがあります。その当時は車で各地を走り回って仕事をしていましたので、冬場の対策については「本場仕込み」です。あちらでは、半端な寒さ対策では簡単に生命に関わる事態となってしまうのです。

そういうレベルを想定して本文を書いていますので、ちょっと大袈裟に思われることもあるかもしれません。でもそこは「大は小を兼ねる」的にご理解いただきたいと思います。

次回は忘年会・新年会編です。

■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2012年12月15日 (土)

【女川町立病院へ】宮城・震災から1年8ヶ月【8】

女川町編の二回目です。

今回、管理人は海抜16mの高台上にある女川町立病院(現・女川地域医療センター)にも行ってみました。
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2011年11月の前回訪問時は高台上に被災者と思われる方が見えましたので、そこへのこのこ上がって行く気にはなれませんでした。その頃の町はまだ静まりかえっていて、「見物人」がうろつくような雰囲気ではないと感じたのです。

被災地訪問時は常に防災士の制服を着て、ただの物見遊山だと思われないようにしていはいたのですが、気持ちの上では「所詮は見物人」という負い目のようなものもありました。でも今回は復興への槌音もかなり響きはじめており、その雰囲気にも助けられて病院の高台へ上がって見たのです

実際にその高台に立って海や町を見下ろした感想は、「うそだろ、おい」というひとことに尽きます。16mと言えば、ビルの5階です。その高さにいて、誰が津波に、それも2mの濁流に襲われると考えるでしょうか。それも津波到達からほんの数分で水が来るとは。病院では一階に避難していた方々が二階に上がり切る前に濁流が突入し、犠牲者が出ました。それほど時間が無かったのです。

高台からの画像とYoutube動画をご覧ください。あなたがもしここにいたら、津波が来ることを想像できますか?台風のように大波が押し寄せたのではなく、海全体の水位がここまで上がったのです。
ほとんどの被災建物の撤去が終わった中で、根こそぎ横倒しになった4階建ての女川町交番ビルだけは、そのままの姿で残されています。詳細はわからないのですが、モニュメントとして保存されるのでしょうか。
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Photo
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※画像のGPS高度計表示には、プラスの誤差が含まれています。

■女川町立病院からの映像はこちらから

「1000年に一度」レベルの大地震とリアス式海岸の津波エネルギー集約効果が重なるとこういうことが起こると、理屈ではわかります。でもそれは普通の人間の感覚をはるかに超越したことだったということを、改めて突きつけられました。

敢えて例えれば、大雨で増水した川の堤防が切れて大洪水になっても、それはある意味で「想定の範囲内」です。でも、その川がある豪雨の日突然、数分のうちに堤防の三倍の水位になったとしたら。そんな「起こるはずの無い」ことがあちこちで起きた、それが今震災なのです。

次回は、訪問順と異なりますが東松島町と仙台市内のレポートをお送りし、大川小学校での実地検証は、当シリーズ最終回として年内最後にお送りします。

■このシリーズは、カテゴリ【被災地関連情報】をクリックしていただくと、まとめてご覧いただけます。

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2012年12月14日 (金)

【ボツ記事復活ほか】宏観現象による地震警戒情報【まとめなど】

12月7日に発生した三陸沖アウターライズ地震のため、当日アップしようと準備していた記事を一本飛ばしてしまいました。内容な12月4日に出した警戒情報のまとめなどですので、一部加筆してここでアップさせていただこうと思います。


去る12月7日午前5時36分頃、千葉県北西部の深さ80kmを震源とするマグニチュード4.5の地震が発生し、千葉市などで最大震度3を観測しました。

当ブログでは、千葉県北部の井戸水に現れた変化から、茨城県南部から千葉県北部にかけての震源域での地震に警戒との情報を12月4日に出しておりますが、この地震はその想定震源域で発生しました。

下図の黄色の×印がその震央です。ピンク色の範囲で東京湾寄りならば深さ80km程度と予想した通りではあります。タイプとしては、11月24日に発生したマグニチュード4.9、最大震度4の地震(下図の青い×印が震央)と同じタイプの「スラブ内地震」と思われます。
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その後、上図のオレンジ色の範囲では震度1以上の地震は発生していないのですが、ピンク色の範囲で一回発生しています。昨日12月13日、午後8時56分頃、千葉県北西部(上図の赤い×印)、深さ80kmを震源とするマグニチュード4.1の地震が発生し、千葉県東金市などで最大震度2を記録しています。

10月初旬頃から、上図のオレンジ色、特に埼玉、栃木県寄りの震源域が活発化していましたが、11月下旬くらいから落ち着いて来たようです。一方で、それまで静かだった上図のピンク色の部分で11月24日にマグニチュード4.9、最大震度4が発生した後、少し活発に動き始めたようです。

この震源域は、11月24日のように東京湾岸で発生すると、都心部から東京湾の対岸までを比較的大きく揺らします。震源深さが80kmと深いので、仮にここで大規模地震が起きた場合、震源深さが10km程度だった阪神・淡路大震災や新潟中越地震などより、揺れ自体は少し長周期の「カドが取れた」揺れになるでしょう。しかし大都市直近の内陸直下型地震には変わりありませんので、東京湾直下の深さ10~20kmの震源域に次いで、被害が出るレベルの地震になりやすい場所と言えます。


10月初旬ごろから茨城南部、千葉北部での地震が頻発し始めてから後、千葉県の井戸の変化と地震の発生との相関がわかりずらくなって来ました。引き続き観察とデータの蓄積を進めながら、できるだけ相関を見出していければと思っています。

もしかしたら関連があるかもしれないと思われることに、井戸水に砂が混じると上図のピンク色の地域で地震が起きるかもしれない、というものがあります。これはまだサンプル数が二例しかありませんのであくまで仮説ですが、その点にも注視して行こうと思います。

また何か情報がありましたら、お伝えしてまいります。


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2012年12月13日 (木)

【アウターライズ地震その後】地震関連情報【12/13】

12月7日に発生した三陸沖アウターライズ地震(マグニチュード7.3)の後、同震源域ではかなり活発な余震が続いています。最大の余震は本震直後にマグニチュード6.3に達し、これが仮に内陸直下10kmで起きた場合、地上の揺れは震度5強から6弱クラスになることもあるレベルですが、震源が陸地から約240kmと遠方の海底のため、地上は震度3でした。

その後、マグニチュード5台から4台後半が何度も起きていますが、本震から一週間近く経って、次第に減ってきている状況です。なお、気象庁が発表するのは陸地の揺れが震度1以上の有感地震、つまり人体に感じる揺れとなった場合であり、陸地まで人体に感じる揺れが届かない規模の余震は、さらに多数発生しているわけです。

この状況からして、断定はできないものの今回の地震がさらに大きな地震の「前震」である可能性は小さくなってきましたが、これでひとまず安心と言える状況でもありません。アウターライズ地震は、青森県沖から福島県沖辺りまでの東日本の太平洋沿岸すべてで発生する可能性があるのです。

現に、青森から福島沖を震源とするアウターライズ地震は、地上の揺れは震度1から2と小規模ながら、震災本震後ずっと散発的に発生を続けており、当ブログでも何度か記事にしています(カテゴリ『地震関連』参照)

震災本震震源域のさらに沖側になるアウターライズ地震の震源域は、本来は地震が起きやすい場所ではありません。しかし震災による大規模な地殻変動によって太平洋プレートが陸側に最大20m以上も移動したために、その引っ張り力によって新たに誕生した「地震の巣」なのです。

12月7日に発生したマグニチュード7.3は、宮城県の金華山沖というまさに海底の移動量が最大だった場所の沖側、つまり最大の引っ張り力がかかっていた場所で発生しており、メカニズム的にも非常に整合性があります。ただし、この地震でアウターライズに溜まったエネルギーがほとんど解放されたと考えるのは早計ではあります。これで終わりではないと考えなければなりません。

その他の場所でも、引っ張り力が現状ではあまり解放されておらず、加えて太平洋プレートの沈み込み速度が上がっているために、継続的に平常時より大きな引っ張り力がかかっていると考えられます。繰り返しますが、青森沖から福島沖辺りまで、震災本震震源域沖側のどこでも大規模なアウターライズ地震が起きてもおかしくないのです。


さらに、こんな危険もあります。今回の地震はある意味で幸運なことに地上の揺れがかなり大きかったので、すぐに津波の警戒へと移行できました。しかし地震のタイプによっては、地上であまり揺れを感じなくても、大規模な津波が発生することがあるのです。

今回揺れが大きくなったのは、断層のズレが一気に激しく進んだからです。でも、断層がゆっくりとズレる、通称「ぬるぬる地震」というタイプになることもまれにあります。このタイプは主にプレート境界面で発生することが多いのですが、アウターライズで発生しないと言い切ることはできません。

現に、推定マグニチュード値が8.2から8.5とされる1896年の明治三陸地震では、地上の揺れは現在の基準で最大でも震度4程度で、三陸海岸でも震度2~3程度の場所も多かったと記録されています。しかし約30分後に到達した津波は最大遡上高さ38.2mと、局地的には東日本大震災の津波に近い規模だったのです。この地震のタイプはプレート境界型(海溝型)地震とされていますが、震央位置は岩手県沖200kmと、アウターライズ地震と同様の場所で起きています。

さらに、推定マグニチュード値が8.1から8.4とされる1933年の昭和三陸地震は、明治三陸地震の影響によって37年という時間を経て発生したアウターライズ地震であり、明治三陸地震の震央のわずかに沖側が震央です。

この時の地上の震度は旧基準での震度5とされていますが、地上の被害はほとんど無かったそうです。明治三陸地震と同様に震源が陸地から遠かったために揺れが長周期となり、建物に対する破壊力は小さかったと思われますが、当時の耐震性の低い建物でも被害がほとんど無かったのですから、現在の基準では震度4から5弱程度、つまり先日の三陸沖地震と同じくらいだったと思われます。しかし約30分後に到達した津波は、現在の岩手県大船渡市で最大遡上高さ28.7mを記録する大津波でした。

このような事実がありますから、全く安心することはできないのです。先日の三陸沖地震はマグニチュード7.3という規模の割には地上の揺れが大きく、その割には津波が小さかったのですが、その逆もあるということです。

東日本大震災の本震震源域でのプレート境界型(海溝型)巨大地震は、それこそ数百年から1000年タームで発生しないでしょう。しかしその影響によるアウターライズ地震は、本震震源域沖側のどこでも、今後数十年に渡って最大マグニチュード8クラスで発生する可能性があるということを、決して忘れてはならないのです。

なお、マグニチュード値が1上がると、放出されるエネルギー量は約30倍になります。マグニチュード7と8の地震は全く「別物」です。

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2012年12月12日 (水)

鉄道の危険【対災害アクションマニュアル 20】

■第1章 危険を知れ(その18) 【鉄道の危険】

今回からは家から離れて、生活の中にある「その他の危険」を考えて行きます。最初は、鉄道を中心とした交通機関の危険です。


まず、乗車中に地震に遭遇する可能性が最も高い、通勤電車から始めましょう。通勤電車に乗っていて大地震が来たら、何が起こるのでしょうか。

そこで誰もが一番恐れるのは脱線転覆だと思いますし、その可能性は否定できません。ただ、ひとつ良い情報があります。最近の鉄道車両は、昔の車両に比べて車体が軽量化され、さらに設計技術の進歩と様々な対策によって、脱線転覆しずらくなっているのです。

さらに軽いということはブレーキも良く効くようになり、ブレーキをかけた時の停止距離も短くなっています。ですから、昔の車両に比べて、物理的な危険はかなり小さくなっていると言えます。

1995年の阪神・淡路大震災では、震度6強~7の地域を走行していた電車が何編成も脱線して大きく傾きましたが、完全に横倒しにまでなった車両はほとんどありませんでした。下写真は、管理人の記憶では一番大きく傾いた車両だと思われます。しかしこれも高架上の留置線に停まっていた無人の編成であり、走行中にこのようになった車両は無かったかと思います。
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このように軽量化によって転覆しずらいだけでなく、強い揺れを受けた際の衝撃荷重が小さくなることで、脱線する可能性も小さくなっているわけですが、地震による「軌道変位」、つまり線路の変形が起きてしまった場合(下写真)には、走行中の列車は確実に脱線することになります。ただその場合でも、転覆に至らなければ乗客の被害はかなり小さくなるのです。
Photo
【阪神・淡路大震災における軌道変位の実例】

しかしあまり考えたくありませんが、地震によって橋が落ちたり、高架橋が完全に崩壊したり、脱線した車両が橋脚などに衝突するケースも無いとは言えません。その際には、軽量化のデメリットが現れることもあります。軽量車体は、昔の車両に比べて変形しやすいのです。

これは2005年の福知山線脱線転覆事故でも指摘されたことです。(下画像)衝突した車両が、ビルに巻き付くように変形しているのがわかります。
Fukuchiyama00
正直なところ、こうなるとお手上げです。でも、実際にはここまでの事故は滅多に起きないでしょうし、事前に乗客自身がリスクを減らす行動をすることもできますので、それについては後述します。

一方、2004年の新潟県中越地震では、震央付近を走行中の上越新幹線車両が脱線して、大きく傾きました(下画像)。
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この車両は200系という全鋼製車体で重いタイプの車両でしたが、この事故の後、もしあれが新型の軽量アルミボディ車両だったら転覆していたかもしれないと指摘されました。車体が重かったから、脱線しても転覆しないで「滑って」行ったのだと。高速で運動エネルギーの大きな新幹線車両では、軽量化が逆に問題を大きくする可能性があるのです。

この時は、積雪地特有の「排雪溝」が有利に働いた面もあります。線路脇に雪を落とすための溝があり、車体がそこにはまって滑ったために、それ以上傾かなかったことが画像からもわかります。でも積雪地以外に「排雪溝」はありません。

そこで、この事例を教訓として現在の新幹線には様々な改良が施されています。まず「脱線防止ガード」の設置(下写真で線路間にある黒い板)。
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地震で強い揺れが予想される地域で、線路の内側にガード板を設置することで、地震で片方の車輪が浮かび上がっても、もう片方の車輪がずれてすぐに脱線しないようになっています。

そして車両の台車には、「L型車両ガイド」が設置されました(下画像は、JR東日本のWEBサイトからお借りしました)
Photo_2
台車の軸箱下に逆L型のガイドをとりつけ、脱線した場合でもガイドがレールにひっかかり、線路から大きくずれるのを防ぐ器具です。

施設や車両の対策に加え、最も大きな対策が「新幹線早期地震検知システム」(JR東日本での愛称は「ユレダス」)の採用です。これは「緊急地震速報」と基本的には同様のシステムで、沿線各地に配置された地震センサーで、最初に発生するたて揺れ(P波)を検知した直後、その後に来る横揺れ(S波)が大きくなると予想される地域を走る全車両に向け、自動的に非常ブレーキをかける指令を送るというもの。

このシステムの効果は、東日本大震災で最大限に発揮されました。関東から東北にかけての全新幹線車両が最短時間で停止し、震源に最も近かった、つまり時間的に最も余裕が無かった編成でも、強い揺れが来る前に安全速度にまで減速できていたのです。もちろん脱線も起きなければ、けが人のひとりも出ていません。

ただし、これはP波とS波の間にある程度の時間ができる、震源との距離が遠い地震の場合に最大の効果を発揮するもので、P波とS波がごく短時間差で来る直下型地震の場合は、特に震央近くでの効果は小さくなります。しかし数秒でも早く減速できる効果は絶大ですし、震央から距離が開くほど、その効果は増して行きます。

総合的に見れば、2004年の新潟県中越地震当時に比べて、新幹線の安全性は数倍以上になっていると言えるでしょう。新幹線のような高速列車の場合は、航空機に乗っている時のように個人でできる対策はごく限られて来ますので、このような安全システムの進歩は何より心強いものです。言うまでも無く、この分野において我が国は世界一の技術と経験を持っているのです。

さて、地震による鉄道の危険性がある程度わかったところで、次回は通勤電車で強い地震に遭った時には何が起きるかについて考えます。

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【ニュース解説】救援要請デマツイート事件

先日の三陸沖地震の後、大阪の男子高校生がツイッターでデマツイートを流し、1万回以上リツイートされて大騒ぎになりました。ツイート内容について、J-CASTニュースから一部を転載させていただきます。

(以下転載)------------------

問題の生徒は、地震の直後に「リツイートしてください 地震で家が崩れ外にでられません がれきの中に閉じ込められています。救助をよんでください」「皆さんごめんなさい 焦っててつい場所を書くのを忘れてました 気仙沼市です」とツイート。これが1万回以上リツイートされると、「ウソやしwww みんなバカだねぇ マジだったらTwitterなんかやらねえよ」と愉快犯だったと明かした。

(転載終了)------------------

これがネットユーザーの怒りを買い、ツイート者の本名、学校、写真までが特定されてネット上で晒され、通っている高校が謝罪コメントを出す騒ぎとなりました。

この事件、ただのバカな高校生のイタズラだと切り捨てる訳にも行きません。実は、このような虚偽のツイートは、東日本大震災後に本当の被災地からも発信されているのです。

被災状況を流したり、水や食料、医薬品を要請するようなツイートとは違い、デマツイートの多くが「瓦礫に挟まれて動けない」というような、緊急の救助を要請するものでした。それに詳細な住所が添付されているものもあったのです。

すべてがデマだったとはいい切れません。もしかしたら、発信も空しく助からなかったケースもあるのかもしれません。ただ、ツイッターのおかげで助かったという話も、少なくとも管理人は聞いたことがありません。

どうやら緊急救助要請のかなりの部分が、デマツイートで占められていたことも確かなようです。では、なぜそんなことが多発したのでしょうか。

本当の被災地ですから、今回の高校生のような悪ふざけでは無いでしょう。では、目立ちたかったのか?ある意味で、それが真実のようです。

震災後、被災地があまりに広大なため、公的支援はなかなか行き届きませんでした。そのため、自分のいる地域に注目させるために、デマツイートが発信されたケースが多いようなのです。緊急を要する要救助者がいれば、優先的に救援が回ってくるのではないかという発想。実際に緊急を要する情報は大量に発信されたわけですが、その中で「目立つ」ために、いままさに死の淵をさまよっているというという非常事態を演出したのです。悪ふざけではなくて、悪知恵の類です。

緊急事態を自作自演して救助を要請し、行政や救助隊の本来の活動を妨害したのなら、法的には偽計業務妨害罪となります。しかしそれ以前に、道義的に許されることではありません。

当然ながら、そのようなデマツイートは善意での拡散を狙っていますし、実際にそうなりました。拡散する側も、あるツイートが真実かどうかなど判断のしようがありませんから、無視するにも勇気が要ります。

ただ、ネット情報の受け手は、常に意識していなければなりません。「ネット上で多くの目を惹く情報ほど、真っ赤なウソか何らかのバイアスがかかっている可能性が大きい」と。

ちなみに、もし管理人がそのような情報を見ても、リツイートなどしません。もしその情報が真実の可能性が高いと判断したら、然るべき先に直接連絡します。しかし同じような行動をする人も多いでしょうから、ただでさえ混雑している通信網に余計な負担をかけ、さらに情報の受け手は連絡が殺到して本来の緊急業務が滞るかもしれません。

それに現場から遠く離れた場所でリツイートなどしても、話題を振りまくだけで緊急救助のためには何も役立ちませんし、これも余計な通信トラフィックを増やして通信網に負担をかけるだけです。

本来、自分を経由して第三者に情報を伝達するときには、その情報が正確であるという確認が取れていなければなりません。しかし他人のツイートを拡散するだけという気楽さと、非常時には「何かしたい」という気持ちの発露が、その手の情報はとにかく拡散という行動に繋がります。

もしあなたがそのような情報に接することがあったら、拡散する前に良く考えてみてください。その情報は真実と考えられるのか?あなたが拡散することで、事態が好転する可能性があるのか?単なる話題の拡散に過ぎないのではないか?それをあなたがやる必要があるのか?と。

東京など大都市圏で巨大地震が起きたら、想像を絶する数のデマが拡散されることになるのは間違い無いのです。


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2012年12月11日 (火)

ノロウイルス感染急拡大中

ノロウイルスの感染が急速に拡大しています。

現在流行しているのは従来のタイプが変異した「新種」とのことで、以前よりより感染力が強くなっているそうです。しかも「新種」ですから、過去に感染していても免疫でブロックできません。すべての人に感染の危険があります。健康な若い人でも例外ではありません。

元来ノロウイルスは非常に感染力が強く、たった10~100個程度が体内に入っただけでも爆発的に増殖して感染症を発症させると言われていますが、現在のタイプはさらに強力だということです。

ノロウイルス感染症の顕著な症状は、激しい嘔吐と下痢です。実は管理人も過去に感染したことがあり、しばらく吐き気と下痢に悩まされました。体内の水分を大量に失い、体力を激しく消耗させますから、特に乳幼児やお年寄りには危険な感染症です。まれに、生命に関わる重篤な症状を併発することもあります。

感染者が嘔吐や下痢をしたあとに、良く手を洗わずにあちこち触ったり、放置された嘔吐物や便が乾燥して舞い上がったりしてウイルスがばらまかれることによる感染が多くなっています。特にトイレを共用する家族などは、未対策だとほぼ感染する(発症するかは別として)と言えます。

ドアノブなどに付着したノロウイルスは最低でも数時間、条件が良ければ数日間も生き続け、感染を拡大させます。電車のつり革などにノロウイルスが付着していないとは全く言い切れません。

なお、嘔吐や下痢などの症状が収まっても最大2週間くらいは便の中にウイルスの排出が続きますので、症状が良くなったからと言って安心はできません。対策を続ける必要があります。


対策の基本は、徹底的な手洗いです。トイレの後はちろん、外出から帰った時、食事の前、食品を扱う前などに、石鹸を使って徹底的に手を洗います。特に手のひら、指の又、爪の間を意識して、さらに手首まで十分に時間をかけて流水で洗います。

これは手に付着したウイルスを物理的に洗い流す方法ですから、特にクレゾールや薬用石鹸でなくても構いません。ポイントは、流水で時間をかけて、洗い残しが無いように十分にこすり洗いをすることです。


もうひとつの対策は消毒ですが、アルコール消毒はほとんど効果がありません。アルコールが効くのは主に細菌であり、ウイルスには効きません。ウイルスに有効なのは、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒です。これはプールの消毒に使う薬品で、いわゆる「プールのにおい」とは、次亜塩素酸ナトリウムのにおいです。

薬局で入手できますが、もっと安価で手軽な方法があります。次亜塩素酸ナトリウムとは、実は台所用漂白剤(商品名キッチンハイターなど)の主成分なのです。

これの希釈液をトイレの便座、ドアノブ、まな板などにスプレーしたり、ティッシュペーパーなどにつけて良くふき取ることで、効果的にウイルスを除去できます。なお、台所用漂白剤は水酸化ナトリウムと界面活性剤が添加されていますので、まな板など調理器具は使用前に流水で良く洗ってください。

また、有毒な塩素ガスが多少発生する、肌が荒れる、ステンレスなどの金属を腐食させるなど危険もありますので、注意が必要です。使用の際は数百倍の希釈液で十分ですから、絶対に原液のまま使ってはいけません。


ノロウイルス感染症は、トイレの条件が悪く、手洗いも十分にできなくなる災害被災後に最も危惧されるもののひとつでもあります。誰かひとり感染すれば爆発的に感染拡大する可能性があり、治療も水分の補給も十分にできない状況下では、生命に直接関わる問題となります。

具体的な感染対策については、使用上の危険対策も含めて過去記事『家に備える防災グッズ【14】』で触れていますので併せてご覧ください。
■家に備える防災グッズ【14】はこちらから

とにかく、何かをするごとにこまごまと何度も手を洗うことが最大の対策です。あまり神経質になってもいけませんが、感染を防ぐために、手洗いを意識して励行してください。

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2012年12月 9日 (日)

おすすめ書籍のごあんない【平成関東大震災】

昨日、東日本はかなり大きく揺すられましたが、あの程度では一日経ってみればすでに過去。でも、あんなの序の口だ、というくらいの意識だけは忘れずに。

などと言いつつ、おすすめ書籍です。今回は珍しく、小説形式の本です。
Photo
「亡国のイージス」、「終戦のローレライ」などのミリタリー系サスペンスや、ガンダムシリーズのノベライズでおなじみの作家、福井晴敏氏の作品、「平成関東大震災」です。(講談社文庫 価格400円税込)

でも、この本が最初に刊行されたのは、2007年8月とだいぶ前なんです。福井氏の著作はかなり読んでいる管理人も、この本の存在を知ったのはつい最近でした。内容的には小説なのですが、実は「週刊現代」に連載された記事をまとめたもので、途中に解説ページが何ヶ所も挿入されていて、やはり「小説形式」と呼びたくなる体裁です。

内容的には、平凡なサラリーマンが「平成関東大震災」に遭遇し、そこから生き延びるというストーリーですが、本来防災関連記事として連載されていたもので、敢えて説明的なキャラクターを登場させています。主人公と説明キャラが一緒に震災被害を乗り越えながら、そこで何が起きるか、そしてどうするべきかということを浮き彫りにしていくスタイルです。まあ、これは管理人もやっていることではあります(文末にリンクしときます)

ただ、さすが福井氏だなと思わせるのは、読んでいて「この人は良く理解している」というのがすごく良くわかるのです。調べただけの付け焼刃の知識ではなく、しっかりと血肉にまでしているなと。そこらの下手な「防災のプロ」が言うことよりも、ずっとポイントを押さえた構成になっています。つまり、ほとんど無駄が無い。

短い作品ですから一気に読めて、それでいて基礎的な知識が自然に身につくという感じです。小説ですからちょっと感動的な場面もあって、それがまた被災時の心構えに結びついているなど、シンプルながら実は良く練られた構成と言えるでしょう。

連載が2007年ですから、特に通信系の情報など現在にそぐわない部分もありますけど、それはまあ当然ですね。でもそれを差し引いても、有用な情報が十分得られます。

ぜひご一読を。


とまあ、今回こんな本を取り上げたのも、実はたくらみ(笑)があります。

当ブログは、来年の1月12日で開設一周年を迎えます。この一年いろいろ書いてきましたが、開設一周年記念企画として、新たな連載を始めようと思っております。それが、今回ピックアップした方面というわけです。実にあざといですね(笑)

今まで、短編のシミュレーションストーリーを当ブログにも何本もアップしていますが、それの集大成という感じではあります。でも恐怖が先に立つ「災害小説」ではなく、もっと軽い、敢えて言えば「ディザスター・エンターテインメント」という感じを目指した作品です。もちろん、実用的な情報もしっかり詰め込んであります。なんだ、今回の福井氏作品と同じ方向じゃないですか。やっぱりあざといですね(笑)

そんなわけで、来年早々から連載を開始します。乞うご期待。

なお、当ブログにアップ済みの短編シミュレーションストーリーは、カテゴリ「災害シミュレーション」にまとめてありますので、解説編も含めて下記リンクからどうぞ。
■カテゴリ「災害シミュレーション」はこちらから
なお、すべての作品は2007〜2010年にmixiの方にアップしたものを、ほとんどそのまま転載したものです。


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2012年12月 7日 (金)

三陸沖でアウターライズ地震発生【12/7】

■当記事中、発震機構の方位表記に誤りがありましたので、下記の通り訂正いたしました。
誤・東北東
正・東南東


本日12月7日午後5時18分頃、三陸沖の深さ10kmを震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、東日本の太平洋岸の広い範囲で震度5弱〜震度4の揺れを観測しました。

この地震で宮城県沿岸に津波警報、青森〜千葉県沿岸に津波注意報が発表され、各地で1m〜数十cmの津波を観測しました。

この地震は、東日本大震災震源域よりさらに沖である、宮城県の金華山沖約240kmを震央とし、震源深さ10kmと浅いことから、東日本大震災後の地殻変動によって誘発された「アウターライズ地震」と判断されます。発震機構は気象庁の発表によると「西北西−東南東に張力軸を持つ正断層型地震」、つまり東西に引っ張られる力による地震ということで、それも「アウターライズ地震」の特徴に合致します。

いつもの図をご覧ください。下図の1が「アウターライズ地震」です。
Mini
東日本大震災で陸側の北アメリカプレートと海側の太平洋プレートの固着域(アスペリティ)が破壊され、太平洋プレートの「つっかえ棒」が無くなったために、北アメリカプレートの下に潜り込む速度が上がっていることが実測されています。そのため、沈み込み帯の沖側である「アウターライズ」部分により大きな引張り力がかかり、図のような正断層型地震となります。


今回のマグニチュード7.3という規模は、アウターライズ地震としては震災後二番目の大きさです。最大のアウターライズ地震は、震災本震の十数分後に発生したマグニチュード7.5で、今回もほぼそれに匹敵する規模でした。

一般に、アウターライズ地震は陸地から遠い場所が震源となるため陸地の揺れがあまり大きくならず、その割には大きな津波を発生させる「津波地震」になりやすいとされていますが、今回の地震は揺れが比較的大きかったものの津波は小規模でしたので、幸運だったと言えます。

管理人は地震波形を確認していないので断言はできませんが、埼玉県南部で管理人が感じた揺れ方によれば、初期微動とは異なる小さな横揺れがしばらく続いた後に大きな揺れが来ましたので、ごく狭い震源域内で複数の地震が連続的に発生したように思えます。

もしこれが正しければ、複数の地震が連続したために放出エネルギーは大きくなったものの、断層の動きが単発の地震ほど大きくなかったせいで、津波が小さかったのではないかと考えられます。


今後警戒すべきことは、まずこの地震の余震です。既に本震直後からマグニチュード6〜4台後半クラスの大きな余震が何度も起きていますが、陸地と震央が遠いために、地上の揺れは震度1〜3程度で収まっています。しかし、最大で本震と同クラスの余震が発生する可能性が小さいながらあります。

次に、今回の地震が「前震」である可能性です。つまり、同震源域でさらに大規模な地震が発生する可能性もあります。ただ、今回の本震直後からかなり大きめの余震が多発していますので、その可能性はあまり大きいとは言えないと思われます。

最後は、周辺の震源域の地震を誘発する可能性です。今回の揺れは東日本の非常に広い範囲に震度5弱〜震度4の揺れをもたらしましたので、ひずみエネルギーが溜まった他の断層の動きを誘発する可能性があります。これは、日本海側も含めてどこで起きるかわかりませんが、可能性としては東日本の太平洋側が中心となるでしょう。

東日本大震災という超巨大地震の影響は、発生から10年程度は確実に続き、その前半5年間程度は大規模な誘発地震が発生する可能性が特に高い時期です。これは世界の巨大地震後に起きた事実で証明されています。震災から2年も経っていない現在は、いまだその真っ只中にあるということをお忘れになりませんように。

ちなみに、今回はマグニチュード7.3、深さ10kmの地震が広い範囲に大きな揺れをもたらしました。東京都が想定している「最悪のシミュレーション」では、まさに今回と同じ地震が東京湾北部直下で起きることを想定しているのです。

今回は震源が遠かったために比較的周期の長いゆらゆらとした揺れになりましたが、これが直下型なら短周期の激しく振り回すような揺れになります。恐らく四つんばいになるのも難しいレベルの震度6強、軟弱地盤地帯では震度7になるかもしれません。

今回改めて恐怖を感じた方、備えをもう一度見直してください。防災グッズはもちろんですが、一番大切なのは「その時」どのように行動するかということを、場所別に何度も何度もシミュレーションしておくことです。地震災害でも「最初の1分」を切り抜ければ、生き残れる可能性は大きく拡がります。そのためにどんな行動が必要かを、徹底的に考えておいてください。

無闇に不安を煽るわけではありませんが、もちろんこれで終わりではありませんし、もっと大きな規模の地震が来る前提で備えなければなりません。ただ、それがはるか沖合いか、大都市の直下で起きるかは、今は誰にもわからないのですが。

■このシリーズは、カテゴリ【地震関連】をクリックしていただくと、まとめてご覧いただけます。

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津波警報発表

1718時の地震はアウターライズ地震。津波が来る。太平洋沿岸はすぐに避難を!

とにかく上へ!内陸部へ!

予想の1mより高い恐れあり。甘く見るな。これは津波地震だ。
1735アップ

2012年12月 6日 (木)

【ニュース解説】イランでM5.6、死傷者20人以上

地震多発地帯でもあるイランで、死傷者が出る地震が発生しました。記事を読売新聞ニュースから転載させていただきます。

(以下転載)------------

【見出し】イラン北東部でM5・6の地震、20人以上死傷
 
【テヘラン=酒井圭吾】イラン国営通信などによると、同国北東部の南ホラサン州ゾハーン近郊で5日夜、マグニチュード(M)5・6の地震があり、少なくとも6人が死亡、14人が負傷した。

 倒壊した家屋も多く、死者はさらに増える恐れがある。

 地元テレビによると、約15の村で被害が確認され、救助隊ががれきの下などを捜索している。余震も続いており、当局は警戒を呼びかけている。

 米地質調査所(USGS)によると、震源は深さ約5・6キロ・メートル。

(転載終了)------------

マグニチュード5.6くらいの地震で、なぜ多数の死傷者が出るのでしょうか。我々の感覚では、マグニチュード5.6ならば、普通は震度5強くらいの感じです。

しかしそこには明確な理由があります。まず、ニュースの最終行にある通り、震源深さが5.6kmということ。これは日本の発表形式では「ごく浅い」とされる直下型地震です。

このような地震の場合、地表の狭い範囲に周期1~2秒の短周期地震動、おそらくキラーパルスが集中し、建物に大きな破壊力をもたらしたと思われます。被害が出た場所はおそらく震源直上付近で、それによる家屋の倒壊が多発したのでしょう。

それに加えて、イラン式建築の問題です。当地では土壁や土煉瓦を積んだ構造の家が多いのです。このような建物は、石積みやコンクリート造りに比べて地震に対して脆弱であり、そしてこれが最大の問題なのですが、崩れた際に「生存空間」がほとんど残りません。

同様の問題は石積みや焼煉瓦積み構造にも言えますが、崩れやすさでは比較になりません。もっとも、これはイランに限らず暑い乾燥地帯では良く見られる方式ですが、建築が容易で断熱性に優れるというメリットが大きいので、崩壊の危険よりもそちらが優先されるわけです。

ここからわかることは、それほど大きく無い地震でも「生存空間」が無くなれば、多くの犠牲に繋がるということです。当地より強固な我が国の家で、「生存空間」を無くす最大の要素は何かと考えると、そうです。家具です。

建物の耐震性がしっかりしていても、家具がひとつ倒れて挟まれれば致命傷になります。洋服タンス、和タンス、ベビータンス、サイドボード、食器棚、冷蔵庫、ベッド、ピアノなどなど。人間の身体を潰す重量のある家具類の転倒・移動対策、十分にお済みですか?

具体的な方法などについては、当ブログ過去記事「家の中の地震対策【1】~【12】」シリーズをご覧ください。
■家の中の地震対策【1】はこちらから
カテゴリー「地震・津波対策」からもまとめてご覧いただけます。


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トンネルと建物の『吊り天井』

中央高速道路の笹子トンネルで発生した、天井板が130mに渡って落下して9人が死亡するという惨事を受けて、当ブログにも「吊り天井」のワード検索で訪れていただける方がこのところ急増していますので、急遽関連記事をアップします。実は当ブログの吊り天井関係の記事は、手前味噌ながら隠れた人気コンテンツでして、普段からかなりの数のアクセスをいただいています。

ただし当ブログで取り上げている吊り天井は、あくまで一般的な建物で採用されているものであり、トンネルの天井構造とは違います。共通点と言えば天井材を金属のステーで吊っているということだけで、その構造も特性も全く異なるものです。

ですから、当ブログにおける「吊り天井は危険」という指摘は、トンネルには当てはまりません。当ブログでは、一般的な建物で採用されている吊り天井の、地震に対する脆弱性を警告しているのです。

逆に、一般的な吊り天井が地震でもないのにいきなり落下する可能性はまずありません。それに天井材も石膏ボードやベニヤ板ですし、トンネル天井材のような重量もありませんから、平時に普通の建物の吊り天井を恐れる必要は全くありません。あくまで地震の際の危険ですから、その点はご安心ください。


笹子トンネルの事故はまだはっきりとした原因が究明されてはいませんが、設計的な問題と経年劣化に点検の不備が加わったことによるものと思われます。しかし単純に設計ミスや手抜き点検と断罪できるものでもないようですので、詳細な調査結果を待ちたいと思います。

これに対し建物の吊り天井は、十分な地震対策が施されていないと「出来たて」でも落ちるということが、東日本大震災で開業直後の茨城空港ターミナルビルの吊り天井が落ちたことからもわかります。我々が主に気にしなければいけないのは、こちらの方です。


そこで気になるのは、「トンネルの天井は地震で落ちるのか?」ということです。それについて乱暴に言ってしまえば、落ちることがあるかもしれないけれど、あまり気にするほどでもない、という感じでしょうか。

過去に、地震でトンネルの内壁が崩れた事例はあります。しかしそれはトンネルが貫いている断層の変位や直下型の激しい揺れやによるもので、トンネル本体の内壁が一部崩れるレベルです。

管理人の記憶では、1978年に伊豆半島地震で伊豆急行電鉄の稲取トンネルで内壁崩落と変位が発生し、数ヶ月に渡って不通となったのが直近で最大の事例でしょうか。これはトンネルが貫く断層のズレによるものです。

新潟中越地震や阪神・淡路大震災でも、一部のトンネル内壁に亀裂が入ったり少し崩落したりした事例はありますが、長期間不通になるようなレベルの崩壊は滅多に起きないのです。

地下鉄では、阪神・淡路大震災で神戸市営地下鉄大開駅の天井が落下しました。しかしこれは軟弱地盤と震度7の直下型地震の激しい揺れによって駅部の支柱が坐屈、つまり折れ曲がったもので、トンネル本体の崩壊ではありません。(下画像)
Photo_2
これらの事例からもわかるように、トンネルの構造体自体は地下鉄も含めてとても強固なのです。少なくとも主要道路や鉄道の長大トンネルが地震で大規模に崩れたような事例は無いはずです。

ただし上記の例は天井板の落下ではなく、トンネル本体や支柱が損傷したケースです。天井板を持つトンネルが上記事例と同じような地震を受けた場合、吊金具が損傷したり、天井板自体が損傷して落ちる可能性は考えられます。でも「構造が健全ならば」、滅多に起きることは無いでしょう。トンネルを通るたびにビクビクする必要などありません。

ちょっと補足しますと、建物の吊り天井を落とすのは地震の揺れそのものではなく、地震による「建物の揺れ」ですから、建物の構造や状態にも左右されます。これに対し、トンネルや地下鉄は「地面ごと揺れる」ので、地下の構造体に対する破壊力は、一般的にはずっと小さくなるのです。例外は、断層のズレや大規模な山体崩壊などによって異常な地圧がかかるケースです。


ところで、やはりというか笹子トンネル事故を受けて、例によってメディアでは「危険なトンネルがこんなにある!」的な煽りが氾濫しはじめていますね。でも世の中の多くのものは、「想定される最悪のケース」にすべて対応できるようには最初からできていません。最悪のケースになれば(例えば富士山が三分の一吹っ飛ぶとか)、大きな被害を受けるのは当然です。でも、その「最悪のケース」が滅多に起きないから、我々はその隙間で生きているに過ぎません。

笹子トンネル事故も、トンネルの内部崩壊事故としては「最悪のケース」に近いレベルですから、無駄に怖れる必要はありません。それに、この機会に全国で一斉に点検が行われてますから、隠れたリスクはさらに小さくなるはずです。一生に一度遭遇する可能性も無いほどのリスクを針小棒大に騒ぎ立てるのは、いい加減ウンザリです。でも、数字取れるから無くならない(笑)


最後に、吊り天井とは直接関係ありませんが、笹子トンネルの事故で天井板の直撃を受けながら唯一現場を抜け出したNHK記者の話。

もちろん、通過のタイミングや先行車がいなかったなどの幸運が大半でしょう。ただ、天井が落ち始めたのを見て迷わずアクセルを全開にしたその判断こそが、当ブログで言う「命の一秒」を稼ぎ出すということに他なりません。

記者氏が普段どのようなお考えの方かは知りませんが、少なくともあの場面で最良の判断ができる心構えはあったと言えるでしょう。それが、僅かな生への可能性を拡げることに繋がったのです。

完全に余談ながら、つぶれてしまった記者氏の愛車(スバルインプレッサ22B)は、車好きにとってはちょっと特別な限定車で、2000ccクラスで世界最速レベルの車です。四輪駆動で300馬力を超えるそのパワーと頑丈なボディが、落ちてきた天井板を押しのけて脱出するために一役買ったのも間違いないでしょう。それも含めて、記者氏の生還は、幸運が重なった結果なのだと思います。

でもその幸運を活かせた理由は、あの場面での最良の判断ができたから、この一点に尽きます。トンネルの天井が落ちることを普段から想定している人など誰もいないでしょうが、想定外の状況に対して瞬間的な判断が必要になる時に備えて、どんな時でも意識の隅に危機意識を目覚めさせておくこと。

それがあったから、パニックに陥らずに最良の判断に繋がったのです。それがこの事故の生還事例から得られる、最大の教訓だと思います。


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【雄勝から女川へ】宮城・震災から1年8ヶ月【7】

南三陸町から国道398号線を南下し、雄勝町を経由して女川町へ向かいます。

雄勝(おがつ)町は、あたかもフィヨルドのように細長い雄勝湾の奥に位置し、町域のほとんどすべてが津波に押し流されました。下写真をご記憶の方も多いでしょう。
Photo
町立図書館の上に乗った観光バスが、ここでの津波の高さと威力を象徴しています。

管理人訪問時の動画をご覧ください。一部の建物以外はすべて撤去が完了していますが、復旧、復興はこれからです。これからも、多くの支援が必要です。なお、動画の中に被災時の資料画像を挿入してあります。2分11秒です。
■動画【宮城県雄勝町 震災から1年8ヶ月】はこちらから

続いて、女川町へ入ります。2011年11月以来の、約1年ぶりの訪問です。1年前と同じ場所から撮影した写真を比べてみます。なお、撮影場所の高台も5m近い濁流に襲われています。

↓2011年11月6日
01
↓2012年10月12日
1201

↓2011年11月6日
04
↓2012年10月12日
1204
大きな被災建物の撤去と港湾の再建、道路の整備が進んではいますが、市街地だった場所はほとんど何も変わっていません。住民は、過酷な仮設住宅暮らしを続けています。

女川町は遡上高さ30mを超える津波に襲われ、市街地の最高地点でも家が押し流されました。地形的にも、津波襲来時に町の中にいたら、ほとんど逃げ場が無かったということがわかります。

市街地の最高地点から海沿いまでを走りながら撮影した動画を、一年前と今回の二本をご覧ください。市街地の最高地点から海に向かって下る、同じ道を走って撮影したものです。一年間の変化がおわかりいただけるかと思います。両動画とも、5分と少しあります。

■動画【宮城県女川町 震災から8ヶ月】はこちらから
■動画【宮城県女川町 震災から1年8ヶ月】はこちらから

両動画の最初に映っているコンビニが最高地点で、海抜は30m近くありますが、その場所でも深さ3〜4mの濁流と瓦礫に襲われたのです。遠くに見える海からそこまで水が来るとは、誰にも予想できなかったでしょう。もちろん津波襲来前は建物があり、最高地点からでも海は全く見えなかったのです。

復興へ向けて、特に港湾部では活発な作業が始まっているのがわかりますが、住宅街は事実上なにも変わっていません。住民が元の場所に戻るには、まだ長い時間がかかります。

次回も、女川町です。


■このシリーズは、カテゴリ【被災地関連情報】をクリックしていただくと、まとめてご覧いただけます。

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2012年12月 4日 (火)

これはびっくり【管理人ひとりごと 12/4】

最近アクセスログを見ると、使用言語がznとなっている方がちょっと増えています。znとは、中国語(北京語)です。ネットの世界ですから国境など無いに等しいし、最近の翻訳ソフトはかなり高性能ですから、それ自体は驚くべきことじゃ無いのですが。

ところが今日は本気で驚きました。アクセスログの中に「.cn」、つまり中国国内のサーバー経由のアクセスを見つけたので、リダイレクトしてみました。そうしたら表示されたのがこれ。
360
どうやら中国のGoogleのような「360網頁」という検索サイトのようですが、検索結果見てくださいよ。「2012防災備品」(実際には北京語の簡体字)という検索ワードで、なんとまあ当ブログがトップにヒットしてるじゃありませんか!その他のサイトは、ずーっと下まで見てもすべて中国語サイトだけです。こんなありがちなワード検索で中国サイトより上位なんて、一体何が起きているんでしょうかね(笑)

こういうネタだと妙に絡まれるかもしれないので付け加えておきますが、管理人は代々関東在住の日本人ですし、日本人としての主義主張ももちろんあります。でも、防災には国家や主義主張、人種など一切関係無いと考えています。たとえケンカの相手でも、災害などで死んではいけない。そこで護るべきは人の命であり、国家じゃありません。医師やレスキュー隊が国籍や人種で差別しないのと同じことです。ちょっと大袈裟かもしれないけれど、そうありたいと思っています。

まあ、あちらさんも地震国ですから、当ブログの情報がお役に立てればなによりではありますが。


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【引き続き警戒を】宏観現象による地震警戒情報【12/4】

11月28日に今回の警戒情報をアップしてから、今日で一週間となります。この間、関東南部ではほとんど地震が発生していません。茨城県沖では震度1~3クラスが何度が起きていますが、この震源域は、千葉県北部の井戸に現れる変化とは無関係と考えています。

この一週間に、今回警戒対象として挙げた震源域で発生した地震は、12月2日の午後4時01分に千葉県北東部で発生した震度1と、3日午後11時57分に東京湾(北東部沿岸)で発生した震度1のみです。実はそれ以前の一週間でも、茨城県沖以外ではほとんど発生していません。一時の多発傾向が収まって、ほぼ静穏状態が続いています。ちなみに、この程度でも震災前には考えれなかったレベルの発生頻度ではあります。


一方この一週間における井戸の変化ですが、水が褐色に濁る現象は収まったものの、その後も断続的に水に砂が混じる現象が続いてるとのことです。過去の例にあてはめれば、砂の混入の後には大きめの地震が起きたことが多く、井戸のオーナー様も「ちょっといやな感じ」と言われております。

とりあえず水の濁りから一週間の間はほぼ静穏ですが、その後も砂の混入が続いていることから、まだしばらくの間は警戒を続けるべきだと考えております。もっとも、変化から一週間と設定した警戒期間も、過去の経験則によればその間に大きめの地震が起きることが多かったという目安に過ぎませんので、一週間過ぎればもう安心ということではありません。


まとめますと、震災直後数週間の大きな余震が多発していた時と同じ、水が褐色に濁る現象から一週間の間には大きな地震は起きなかったものの、その後も砂の混入が断続しているという状況です。そして、過去には砂の混入があった後には比較的大きめの地震が起きているという経験則があります。

このような状況を鑑み、特に期間は設定しませんが、今後しばらくの間は関東南部での大きめの地震に警戒を続ける必要があると考えられます。


念のため申し添えますと、当記事は地震「予知」を目的としているものではありませんから、「当たった、当たらない」ということは問題ではありません。あくまで、過去の経験則によって地震と関係があると思われる宏観現象をお伝えし、備えの意識を高めていただくことが目的です。

それに、特に震災後における地下の状況は、震災前の平常時に比べて非常に速いペースで変化を続けていますから、現在の経験則がいつまでも有効とは言い切れません。今後も継続的に観察を続けることで、何か異なる状況が見えてきましたら、随時お伝えして行きます。


もうひとつ、これも念のため付け加えますが、震災直後と同じような宏観現象が起きているとはいえ、近隣であのような超巨大地震がまた起きる可能性があるということではありません。事実上、その可能性はゼロと言えるでしょう。しかし震災よりずっとに小規模であっても、被害が出るレベルの地震が起きるかもしれない、その可能性が高まっているかもしれないとご理解いただきたいと思います。

いずれにしても、総合的に考えて、関東南部での地震に対する警戒度を高めるべき状況であると思われます。まず「その時」に取るべき行動と防災用備品の状態を再確認し、皆様が行かれる場所それぞれで、「ここで起きたらどうするか」と常に考えておいてください。そして周囲の方々と話し合って警戒意識を共有し、具体的な行動について改めて確認してください。必要なのはただ恐れることではなく、あくまで具体的な行動です。

今回は、言うなれば「肩すかし」かもしれませんが、そのような備えが全く無駄になることは絶対にありません。


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