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2012年12月20日 (木)

【年末年始の災害対策 2】忘年会・新年会編

忘年会や新年会は、大抵は普段より長時間でお酒の量も進むものです。そして年末年始の街はいつもより大にぎわい。それはとても楽しいのですが、それを「防災の目」で見ると、厳しい要素が増えるということでもあります。

本文は忘年会・新年会に参加される方はもとより、幹事さんに是非読んでいただきたいと思います。本文は管理人が幹事をやるなら、というつもりで書いています。

まず、その危険要素から考えてみましょう。

一次会では、居酒屋などに大人数が集まります。ぎっしりと座ることも多く、座敷の店だと、靴を脱いでいます。そしてビルの上階や地下など、場所は様々です。

一次会が終わると、混みあう繁華街をダラダラと(笑)移動します。

二次会、三次会になると、人数は減ってくるかもしれませんが、さらにお酒が回って上機嫌です。そんな時はより小さなお店であることも多いものです。カラオケルームにぎっしり、なんてこともありますね。

そんな場面で、どんな危険が想像できますか?

大前提として、当然ながらかなり酔っている人が多いということ。つまり緊急時の判断力・行動力がにぶり、パニックに陥りやすい集団です。非常時にそんな集団をコントロールするには、的確でわかりやすい指示が必須です。

そして大地震が起きれば、停電が考えられます。なんとか視界を確保しなければなりません。まずこの二点が基本です。つまり、正しい行動を的確に指示し、避難の際には経路の情報と方向を示すことが必要です。

そこで幹事さんがやっておくべきなのは、店を選ぶ際に料理の内容や価格だけでなく「脱出経路」、「店の周囲の状況」、「避難場所と方向」を確認しておくことです。

さらに建物自体の耐震性もチェックしておきましょう。これはビルのエントランスにある「定礎」の銘板で建築年度をチェックし、新耐震基準準拠が確実な1982年以降かどうかを見ます。さらに現行耐震基準準拠が確実な2001年以降ならばベストです。

ここで耐震基準が改正された1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)を外すのは、改正年内に竣工した建物には、それ以前の基準のものも含まれているからです。店の下見をする際には、是非その点もお忘れなく。

もっとも「いい店」が必ずしも条件を満たしているとは限らないのが辛いところですが、その時はそれぞれの判断で。その場合でも、「ここは地震で崩れるかもしれない」ということを知り、意識しておくことが必要なのです。それが、あなた自身がパニックに陥る可能性を減らします。

そして会場では、「その瞬間」にどうするかを考えておかねばなりません。会場の中をよく見て危険要素を探し、対処を考えておきます。倒れかかりそうな備品類、落ちそうな天井設備、塞がれそうな通路などをチェックしておくのです。

ここまでの情報を得た上で、行動を考えます。例えばテーブル席ならば、大地震を感じた瞬間に「動かない!すぐテーブルの下へ!」と指示する、座敷席ならば「頭を守る!姿勢を低く!」と指示するなどです。

例えば、座敷にいて建物が傾いた、火が出たなどで緊急避難が必要と判断したら、「靴をはかずに外へ!」ということもあるでしょう。酔っぱらいの集団(笑)が自分の靴を探すのにどれだけ時間がかかるかは、みなさん経験済みですよね。それが暗闇の混乱下では、全く不可能です。

非常時の指示は、相手が上司だろうがなんだろうが、丁寧である必要はありません。紋切り型で、とにかく強く指示することです。

すぐに脱出できそうな路面店の場合でも、店の外でガラスや看板などが落ちてくる危険がある場所では、揺れている最中に駆け出すのを思いとどまらせることも必要になることもあります。そこは建物の耐震性と外の状況からの総合的な判断となります。

そして、視界です。幹事さんは、ある程度強力なLEDライトを常に持ち、停電したらすぐに点灯させるのです。これはバッグの中ではダメです。混乱下では荷物は失うものと考えなければなりませんから、常にポケットなどに身につけているのです。

明かりの存在はパニックを緩和し、避難のための情報を与えます。避難経路を示すためにも、ある程度の明るさが必要なのです。参考までに管理人の装備を紹介します。
Photo_012
小さい方が常にポケットに入っている、単三電池1本使用で26ルーメン(明るさの単位)で、大きい方がバッグに入れている、単三電池2本使用で80ルーメンです。26ルーメンならば暗闇で10mくらい、80ルーメンあれば50m先まで見通せます。この程度は欲しいところです。

そして、避難指示です。事前に調べた情報に基づき、ライトで出口方面を示しながら、例えば「非常口は右!右!右!」など、シンプルに指示します。混乱下で細かい指示は通じません。まずは「流れを作る」ことが必要なのです。

店の外に出たら、落下物を警戒させながら、避難方向を指示します。「頭を守る!ビルから離れる!」というように。放っておくと、大抵は建物の前の歩道という一番危険な場所にたむろするものです。これは街を移動している最中も同じです。場合によっては、落下物を避けるために「このビルに入る!」ということもあるでしょう。できれば、非常時に補助してくれる人を決めて、いろいろ相談しておくこともお勧めします。


本文では幹事さんの立場で考えて来ましたが、もちろん誰もがこのように備えておくことで、「生き残る」可能性が大きくアップします。でも生死に関わる前に、怪我をする可能性がはるかに小さくなります。その方が現実的ですね。

少なくとも、忘年会・新年会に限らず繁華街に出るときは、「店の中や外の脱出経路を確認しておく」、「店の周りの状況を確認しておく」、「ある程度強力なLEDライトを身につけておく」ということを励行し、その上で「その時どうするか」を考えておいてください。それだけでかなりの危険が回避できるのです。

地震が起きるかどうかということを気にする人は多いのですが、常に「その時どうするか」を考えている人はあまり多く無いと感じます。特に繁華街では、非常に危険が多い場所にいるということを常に忘れないでいること。それが「生き残る」近道です。

次回は、「年末年始ライブ」の危険です。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

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