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2012年12月19日 (水)

続・鉄道の危険【対災害アクションマニュアル 21】

■第1章 危険を知れ(その19) 【続・鉄道の危険】

前回記事で、大地震時に走行中の電車が脱線転覆に至る可能性は一般に思われるほど高く無い、ということに触れました。現在の車両は脱線しても、昔に比べて転覆しずらいのです。

さらに現在では、大規模地震の緊急地震速報が発報された直後、列車無線で危険地域内の列車をすぐに止める体制になっています。JRの場合、在来線のすべての列車は最高速度からでも600m以内に停止できますし、通勤電車程度の速度ならば、事実上十数秒程度で安全速度にまで減速できるでしょう。

ですから通勤電車が高速度のまま脱線転覆する、2005年に発生したJR福知山線脱線事故のような惨状は、あまり心配する必要はないと言えます。あの事故にしても、線路を逸脱してマンションに衝突した1~3両目車両は大破しましたが、4両目以降の車両は転覆には至っていません。
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さらに注目すべきは、後部編成が現場で停まっていることです。あの事故では、120km/h程度の速度からブレーキを僅かにかけただけで急カーブに進入したとされます。そして1両目が線路を逸脱して車両間に渡したブレーキ圧力管が切れた瞬間、後部編成には自動的に非常ブレーキがかかりました。鉄道車両はそういうシステムになっているのです。

その段階からの非常ブレーキでも、7両編成の後部3両は一部脱線しながらも線路上に留まり、大きく脱線した前車両を押しのけながら現場前で停止しています。つまり非常ブレーキによって短時間にその程度にまで減速できていたということであり、あれが軽量でブレーキが良く効く現代の車両の性能です。もし旧世代の車両だったら後部車両がより高速で突っ込み、さらに犠牲を増やしていたでしょう。

もちろん、非常ブレーキ力に加えて脱線した車両からの抵抗力と脱線した前方車両を押しのける抵抗力が総合された結果あの場所で止まったのであり、後方車両の減速度も凄まじいものだったでしょう。しかし、それでも脱線しない程度までブレーキで減速できていた、ということが重要なのです。


では、通勤電車で大地震に遭遇した時に最も起こる可能性が高いのはなんでしょうか。これまで述べた通り、激しい揺れや軌道変位などで脱線する可能性はあり、その際に襲って来るのは、「減速ショック」です。平たく言えばスピードが一気に落ちることですが、それが猛烈な勢いで襲ってきます。その時、スシ詰の車内では何が起きるでしょうか。

あるシミュレーションによれば、スシ詰め状態の通勤列車に想定される最悪の減速ショックが加わった場合、つまりは普通の走行状態から数秒で速度ゼロになるような場合、車内の乗客は最大三分の二の「体積」にまで圧縮されてしまうといいます。一般に長さ20mの車両に詰まった乗客が13mほどに圧縮され、そこでは人間そのものが凶器となるのです。

その状態になると、つり革や手すりにつかまっていても吹っ飛ばされます。手すりやシートの端板に身体を密着させたまま圧縮されれば、とてつもない圧力で無事ではいられません。


ところで、満員電車に揺られて一番きついのは、胸ですよね。何故なら、人間は胸の部分が一番断面積が大きいからです。そしてその中には肺があります。胸を強く圧迫されると肺の中の空気が搾り出され、その状態が1分も続けば窒息に至ります。さらに強い圧力が加われば、肋骨が折れたり内臓が損傷したりするでしょう。その段階が「圧死」であり、建物の倒壊や家具の転倒などで一般に「圧死」と言われる死因の大半は、実は胸部を強く圧迫されたことによる窒息死なのです。

ですから、胸部を圧迫される状態から、出来る限り逃げなければなりません。しかし、脱線した車両が一気に転覆したり、橋脚などに高速で衝突した場合には、ほとんど対処はできないでしょう。運を天に任せるのみです。ただ、それまでに僅かでも時間があったら、どうしたら良いのでしょうか。

ここで述べる方法は、どこかで指導されているものではなく、管理人が考えていることです。ここまでの内容でお気づきの方もあると思いますが、管理人はかなり「鉄ちゃん」でもあります。そんな知識も総動員して考えてみました。

と言いつつ、次回へ続きます。

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