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2013年1月20日 (日)

離陸の時はどうなの?【対災害アクションマニュアル番外編】

前の記事で、飛行機が着陸した直後に大地震が来たら、という想定をしました。では、離陸の時はどうなの?と思われた方もあるかと思います。そこで、番外編として離陸時の対応にも触れておきたいと思います。

当然ながら、どんな大地震でも機体が浮いた後なら何も問題ありません。「空へ逃げる」のが一番安全です。では、離陸滑走中だったとしたら。結論から言えば、機長の判断にすべてがかかっています。その場合の手順について、今回は完全に個人的趣味に走って、超マニアックにお送りします。


ここでは、コールサイン「All Japan 001」という架空の機体が離陸する場合の、管制との無線交信やコクピット内でのやり取りを再現します。機体が滑走路に入り、離陸許可が出るところからです。

管制「All Jpanan 001,Wind 300 at 10 knots,cleared for teke off, runway 34 right」
(オールジャパンゼロゼロワン、風向は磁方位300度から風速10ノット、34番右滑走路から離陸を許可する)

副操縦士「Roger cleared for take off runway 34 right,All Japan 001」
(34番右滑走路から離陸許可了解、こちらオールジャパンゼロゼロワン)

ここで、機長と副操縦士は一緒にスロットルレバーを離陸出力位置にまで押し込みます。完了すると副操縦士がコールします。
「power set」(パワーセット=エンジン出力セット完了)

副操縦士はエンジン計器をチェックし、全エンジンが正常に回転していることを確認するとコールします。
「stabiilized」(スタビライズド=全エンジン安定)

機体は加速して行きます。次に副操縦士がコールするのが、一番重要な速度に到達した時です。
「V1」(ブイワン)
このV1は「離陸決心速度」といい、離陸を取りやめた場合、滑走路内で停止できる限界の速度です。この時点で機長が離陸継続か中止かを判断し、コールします。継続の場合は「continue」(コンティニュー)、中止の場合は「reject」(リジェクト)となります。

V1速度までに強い地震を感じ、離陸継続が危険だと機長が判断した場合はすぐさま「reject」がコールされ、エンジンの逆噴射と車輪のブレーキで、機体の能力一杯の急制動がかかります。乗客にはどの時点で離陸中止になったかわかりませんが、離陸中に急制動がかかった場合には、自分の判断ですぐさま耐衝撃姿勢を取る必要があります。

原則としてV1速度までならば滑走路内で停止できるはずですが、例えば滑走路が雨や雪で滑りやすかったり、強い地震で機体が跳ね上がったりした場合には、滑走路逸脱やオーバーランの可能性が出てきます。ですから、とにかく離陸中にエンジンが絞られ、加速が鈍ったらすぐに耐衝撃姿勢を取ることです。地震でなくても、何か緊急事態の可能性が高いからです。


なお、離陸継続の場合にも触れておきます。これはほとんど管理人が書きたいだけですが(笑)

V1速度を超えて離陸継続の場合、次に副操縦士がコールするのがこれ。
「VR」(ブイアール)
これは引き起こし速度、つまり操縦桿を引けば機体が浮く速度に達したことを表します。操縦桿を引くことを「rotation」(ローテーション)と言いますので、ローテーション開始速度という意味です。この時点では既に滑走路内で停止することは不可能なものの、まだ車輪は地面を離れていません。

管理人としては、この段階で強い地震が来ないことを祈るばかりです。ここまで来たら、もう離陸するしか選択肢はありません。ここから数秒で機体が浮きはじめますから、なんとか「空へ逃げて」欲しいものです。

機体が浮いてさらに加速すると、離陸時の最後のコールです。
「V2」(ブイツー)
これは離陸上昇に必要な速度に達したことを表します。ここまで来ればもう安心です。そして、機長がコールします。
「positive climb , gear up」(ポジティブクライム、ギアアップ=加速上昇中、車輪格納)

車輪が格納される時は地上からはもちろん、機内でも「ウィーン…ガッコン」というような音でわかりますが、あのタイミングです。


1996年に、福岡空港を離陸中のガルーダ・インドネシア航空のDC-10型機が滑走路をオーバーランして中破、3名が死亡し18名が重傷を負う事故がありましたが、これは既にVRを超えて機体が浮き始めた時点で三基のエンジンのうち一基が故障、本来ならば離陸継続をすべきところを、機長が離陸中止という誤った判断をしたために起こりました。残りの二基のエンジンで、十分に離陸が可能だったのです。

これなど悪い意味でレアケースではありますが、ひとつの事実でもあります。このような例が皆無ではないという意味でも、離陸中にエンジンが絞られたらすぐに耐衝撃姿勢、そのように覚えておいてください。


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