【十勝地方震度5強について】地震関連情報【2/3】
昨日2月2日、午後11時17分頃、北海道十勝地方中部の深さ120kmを震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し、帯広市、根室市などで最大震度5強を観測しました。なお、当初の速報値マグニチュード6.4は、その後、暫定値として6.5に訂正されています。
この地震は、北海道が乗ったユーラシアプレートの下に潜り込む、太平洋プレートの内部で発生した逆断層型の「スラブ内地震」です(下図3のタイプ)。報道では「岩盤内」と表現されていることが多いのですが、同じ意味です。
この地震も、東日本大震災後の地殻変動によって太平洋プレートの動きが早まったことによって誘発されたものと考えられ、広い意味で震災の影響と言うことができます。
震源が120kmとかなり深い「深発地震」だったために、横揺れ(主要動)は比較的長い周期の揺れとなり、建造物に対する破壊力はそれほど大きくありませんでした。このため、建物の倒壊やインフラへのダメージはほとんど発生していないようです。
一般に、震源の深い地震は非常に広い範囲で揺れを感じます。今回の地震でも、東日本全域から静岡県の一部や伊豆諸島に至る範囲で揺れを感じました。震度図をご覧ください。
非常に興味深いのは、日本海側では赤線で示した「柏崎-千葉構造線」で、太平洋側では黄線で示した「糸魚川-静岡構造線」で、身体に感じる揺れがぴたりと止まっていることです。このことからも、東日本と西日本がフォッサマグナ(大地溝帯)を挟んで、構造的に不連続であることが良くわかります。
また、太平洋側と日本海側で震度がはっきりと分かれているのがわかります。これは、陸側のユーラシアプレートの下に西向きに潜り込む太平洋プレート内で起きた地震であることを如実に示しています。この地震は太平洋プレート内部の深い場所で発生し、揺れは主にプレート岩盤の中を遠方まで伝わって行きました。太平洋プレートは、太平洋沿岸部ではまだ浅く、日本海側に進むにつれて深く潜り込んでいるので、日本海側での地上の震度が小さくなっているわけです。
2月1日の当ブログ記事でも述べた通り、昨年末くらいから、東日本全域での地震発生回数が明らかに増えており、今回の十勝中部地震も広い意味でその影響下にあると考えられます。この状況はまだしばらく続くと思われますので、他の地域でも「普段よりも大きな地震が発生する可能性が特に高まっている」と認識し、「起きてしまわないうちに」出来る対策を進めておくことをお勧めします。
今回の地震は、幸いにして大きな建物被害などはほとんど無かったようですが、酷寒、豪雪など悪条件の中でも建物が倒壊し、インフラが寸断するような地震が発生することもあるという、当たり前の事実を突きつけられました。そのような場所では、通り一遍の対策では不十分なのは言うまでもありません。「生き残る」ために何が必要か、ご自分の周りの環境を良くお考えになって、対策を進めていただきたいと思います。
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