【十勝中部地震】やはり落ちた吊り天井
2月2日の午後11時17分に発生した十勝中部地震では、震度5強を記録した帯広市内で吊り天井の落下が発生しました。
JR帯広駅では、駅構内の数ヶ所で吊り天井の石膏ボードが広い範囲で落下し、場所によってはアルミ製のハンガー(吊り金具)も一緒に落下しました。

深夜だったために人が少なく、幸いけが人は出ていませんが、混雑する時間帯だったらかなりの人的被害が出ていたのは間違いありません。
また、帯広市内の体育館では天井の防音パネルが落下しました。これも構造は多少異なりますが、吊り天井の一種です。こちらの天井材は木材のチップをセメントで固めた吸音効果のあるパネルで、一枚でもかなり重量があるものです。人体が直撃を受けた場合、致命的な衝撃を受ける可能性が高く、一般的な石膏ボードよりはるかに危険なものです。しかし、こちらも幸いにして地震当時には体育館は無人であり、人的被害はありませんでした。
今回の地震は、揺れが比較的長周期だったために建造物本体への破壊力はそれほど大きくありませんでしたが、それでも吊り天井は比較的簡単に落下してしまうことがわかります。東日本大震災の時も、東日本を中心として2000ヶ所以上の吊り天井が落下していたことが、後の調査でわかっています。
このように震度5強以上の揺れが来たら、吊り天井は落ちるものだと考えておかなければなりません。そして、吊り天井は私たちの周りに想像以上にたくさん存在するのです。
駅、空港、ショッピングセンター、体育館、映画館、劇場、ホールなど、鉄骨構造で柱が少なく、天井が高い建物は大抵、吊り天井構造です。鉄筋コンクリート構造のビル内でも、非常に多く採用されています。私たちは、日常的に吊り天井の下にいるのです。では、そんな場所にいる時に強い地震を感じたらどうしたら良いのでしょうか。
過去の例を見ると、広い範囲の天井材が一気に落ちてくる事が少なくありません。吊り天井は構造的に繋がっているので、一ヶ所が破損すると連鎖的に落下するのです。今回の帯広駅構内でもそうでした。建物全体の天井が全部落ちた例もあります。ですから落ちる場所を見定めてから走って逃げることは、相当な幸運に恵まれない限り、まず不可能でしょう。天井が落ち始めてからは、数秒以下の余裕しか無いのです。
そこでできるほとんど唯一の対策は、「頭と首を守る」ということです。よくある石膏ボードの吊り天井ならば、頭や首への直撃を避けられれば、かなりの確率で生き残れます。体育館、映画館、劇場、ホールなどに使われている吸音性がある天井材の場合は、一枚でもかなり重量があるために身体のどこに当たっても重傷を負う可能性が高いのですが、とにかく頭や首への直撃を避けることで、生き残れる確率が高まります。
具体的には、良く言われるように姿勢を低くして、特に後頭部から首の後ろにかけてをカバンなどでカバーするのです。何も持っていなければ、両腕で頭を抱え、特に後頭部から首の後ろをカバーします。後頭部から首の後ろ側は、人間の弱点なのです。これだけで、何もしないよりは何倍も「生き残る」確率が高まることは間違いありません。この方法はもちろん、吊り天井だけでなくあらゆる落下物から身を守る際に共通するものです。
なお、吊り天井構造のうちどの辺りが落ちやすいかということについては、あまりはっきりした傾向は見えません。揺れ方や建物の構造次第で、真ん中が落ちることもあれば、壁際が落ちることもあります。天井全部が落ちた例も少なくありません。でも、過去の落下事例画像をたくさん見た管理人の印象では、天井の真ん中に近い部分が落ちることが比較的多いように見えました。
これはあくまで印象ですが、管理人が吊り天井の下で強い地震を感じたら、まず可能な限り壁際へ移動しようと考えています。
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