【補足・栃木県北部震度5強】地震関連情報【2/27】
前記事で、『今回の栃木県北部地震が発生した震源域は、震災後も目立った動きは無かった』と書きましたが、それについての補足記事です。
下に添付の画像は、東京大学地震研究所がWebで発表しているデータ画像をお借りしたものです。この画像は、東日本大震災から6ヶ月半ほど経った、2011年9月20日から26日までの7日間に発生した地震の震央や規模、震源深さなどをプロットしたものです。
ご覧のように震災から約半年後くらいには、膨大な数の余震や誘発地震が発生していたことがわかります。なお、この図にはマグニチュード1クラスの無感地震も含まれています。
図中、青い○の中心が2月25日の震央ですが、ご覧のように周囲で膨大な数の地震が発生している中でも、特に集中して発生していることは伺えません。この図だけでなく、管理人は震災後の地震発生状況を継続的にモニターして来ましたが、この付近で有感地震が発生することはほとんどありませんでしたし、発生しても震度1~2レベルの小規模のものでした。
○の中心の南側に、ピンクの点が集中している部分がありますが、その部分は今回の震源となった断層とは異なると考えられます。2月26日のNHKテレビ「ニュースウオッチ9」の中で、「今回の震源は震災後に地震が多発するようになった場所」と言っていましたが、それは恐らくこの部分のことでしょう。
しかし今回の本震及び現在までのすべての余震は、上図の青○の中心付近のごく狭い範囲で発生しており、上記の多発震源域にはかかっていません。このことからも、今回動いた断層とはほぼ無関係と考えて良いと思われます。つまり、25日の地震は、震災後もほとんど動きが無かった断層が突然動いた、ということができます。
ところで、前記事をお読みいただいてお気付きになられた方はあるでしょうか。今まで当ブログで、震災後の誘発地震発生パターンのひとつとして、便宜的に「内陸の地震」と呼んでいたタイプがあります。これは比較的内陸部の深さ10kmより浅い場所で起きるもので、下図の2に当たります。
今回の地震は、一見このタイプに見えますが、実は根本的に異なるものなのです。
「内陸の地震」とは、震災後の地殻変動によって日本列島が東向に引っ張られる力で正断層がずれて発生するものです。一方今回のタイプは、気象庁発表にもある通り、西向きの圧縮力によって横ずれ型断層が動いたのです。横ずれ型断層は、引っ張り力で横ずれすることはありません。常に圧縮力か、文字通り横方向にずれる力で動きます。
最初に掲載した震源図で、内陸部で発生している浅い地震(ピンク色の点)の大半は、引っ張り力による正断層型地震、つまり「内陸の地震」ですが、今回は全く逆の圧縮力による地震なのです。
管理人が得ただけの情報では断定はできませんが、震災後少しずつ溜まって来た圧縮力によるひずみが、ここで一気に開放されたと考えられそうです。ただでさえ動きづらい横ずれ型断層を動かすほどの大きな圧縮力によって断層面がより大きく破壊されたのならば、それが落ち着くまでに非常に多数の余震が発生していることも説明がつきます。
メカニズムはともかく、今回の地震で、内陸で発生する浅い誘発地震は、引っ張り力だけでなく圧縮力で発生するものがあるということがわかりました。そして、それは日本列島各地の断層に、今回の断層と同じような圧縮ストレスがかかっている場所も少なくない、ということでもあります。
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