なぜ「福島」?
先日、以前からお話を伺っている福島の原発事故被災者の方と、またお話をする機会がありました。その方は、南相馬市で津波と原発事故に遭遇し、埼玉県で避難生活を送られていました。
最近まで、いずれ地元に戻ることも考えられていたそうですが、今は埼玉に定住されることを決意されたそうです。震災から二年。これからは「避難生活」ではなく、新しい生活の場として、前向きに生きて行かれるとのことです
報道では、東京電力からの補償金に関する話が多いので、誤解無きように記しておきますが、原発事故被災地から福島県外などへ独力で避難した被災者への補償金などの多くは、すでに打ち切られています。特に20Km圏外居住者は、もとより手厚い補償の対象外なのです。ですから、今後は自分で収入を得る方法を見つけ、生活を立て直して行かなければなりません。もちろん、もう義援金の配分を受けることも基本的にはありません。
でも今の場所で生きるとは決めたものの、決して福島への愛着が薄れたという訳ではなく、地元へ戻る道もいろいろ模索されたそうです。しかし、詳しいことは書きませんが、現地には人間関係、カネ、仕事などを巡って、復興の「美談」では語れない、報道には決して乗らない複雑な問題も生じているそうです。
そのような現実の中、本当は福島に戻りたいものの、それが叶わない人もたくさんいるのです。想像してみてください。理由はともかく、ある日突然地元を追われ、当面の資金だけは渡されて、あとは知らない場所で独力で生きて行かなければならないとしたら。
管理人もかつては仕事絡みであちこちへ移住して来ましたが、それとは全く次元が違う話です。とりあえず食い扶持が稼げ、自分が存在するべき「枠組み」があれば、人はどこでもそれほど苦労せずに生きて行けるとは思います。でもそれらをほとんど全部、独力で作り上げて行かなければならないとしたら。それも、震災前にはそんなことは全く考えていなかった人々が。
そのような問題は震災被災地のどこでもあるわけですが、特に福島の原発事故被災地には、知られざる過酷な現実が重くのしかかっています。
原発に関しては、皆様それぞれが様々なお考えをお持ちだと思いますが、原発の問題を考える時には、そこで生きる、そして「生きた」人々の過酷な現実を、ぜひお考えいただければと思います。そして、なんらかの形の支援を、今後も継続していただければと思います。
それは、震災後に何かと福島に関わるようになった管理人からのお願いでもあります。
ところで、本文には妙なタイトルがついていますが、その件について。実は、上記の方をはじめ、福島の方が実は心を痛めていたり、場合によっては「とんだとばっちりだ」と思われていることがあるそうです。
それは原発の名前。
全国の原発の名前を改めて思い出して見てください。基本的には、所在地の地名が冠されていますよね。泊、女川、刈羽、大飯など。その中で、福島第一と第二だけは、なぜか県名が冠されているのです。一般的な命名法に従えば、福島第一原発は、所在地の町名を冠して「双葉原発」となっていたはずです。
詳しい理由はわかりませんが、とにかくこの名前のおかげで「原発事故=福島」という強烈なイメージが醸成されてしまい、世界的にも、「FUKUSHIMA」が負のイメージを背負ってしまったのは確かでしょう。震災以来、世界中でおそらく何億回と「フクシマ」が連呼されたのですから。
そのせいで、福島と言えば中通りだろうが会津だろうが、原発からの距離がどれだけあろうが全部が一緒くたに危険だというような巨大な風評被害を生み、ずっと県外に住んでいる人まで、福島出身と言うだけで、妙に腫れ物に触るような扱いを受けたりということもあったそうです。いや、今でもあるのです。
全く、実に愚かな話なのですが、名前のイメージはいかに恐ろしいかということでもあります。
そんな話も、実際に地元の方に聞かなければ、外の人間にはなかなかわからないものです。震災直後、福島からの避難者に対して、県外の一部の人がとったあまりに理不尽な対応を思うに、言葉にならない部分にも、複雑な思いが見え隠れしているように感じました。「たかが名前」という問題では無いのです。
第一原発はいまだ予断を許さない状況ではありますが、それでも次第に改善されています。「福島=原発=放射線=危険」ではありません。出荷される産品は、すべて安全が確認されています。それを消費することが、外の人間ができる一番手軽な支援ではないかなと思います。
今回は福島の話ですが、震災被災地全体が、これからも支援を必要としています。少しずつでも、支援の気持ちを行動に移していただければと、管理人は願っています。
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