【千島列島でM7.0】地震関連情報【4/19】
本日午後12時06分頃、千島列島のウルップ(得無)島北東の沿岸部海底、深さ10kmでマグニチュード7.0の地震が発生し、北海道根室市などで最大震度4を記録した他、東日本全域で揺れを感じました。ウルップ島は択捉島の北東側に隣接する島です。
千島列島は、過去に何度も大規模地震が発生している「地震の巣」で、近いところでは2006年11月にマグニチュード8.3、続いて2007年1月にマグニチュード8.1が発生しています。それらの震央は、今回の震央より100km以上も東の海底でしたので、直接の関連はあまり考えられません。
なお、2006年の地震は震源深さ30kmの逆断層型のプレート境界型地震(東日本大震災と同じタイプ)、2008年の地震は、2006年の地震によって約3ヶ月後に誘発された、震源深さ10kmの正断層型アウターライズ地震とされています。
本日の地震は、千島列島のロシア側で発生した訳ですが、震源はウルップ島沿岸部の浅い海底ですから、島にはどれだけの人口があるかわからないものの、かなりの被害が出ているのではないかと思われます。我が国の震度基準で言えば、島では恐らく最大震度6強以上の揺れだったはずです。
千島列島の南側海底には、ほぼ並行する形で千島海溝が走っています。ここは東日本大震災震源域と同じく、大陸側のユーラシアプレートと海側の太平洋プレートの接点であり、プレート境界型(海溝型)地震の巣となっています。海溝沿い各地で、過去に何度もマグニチュード7以上の大規模地震が発生してきましたが、近年の研究により、海溝沿いの震源域が連鎖して動く、東日本大震災と同じタイプの巨大地震が起きる可能性が指摘されています。
その場合、最大マグニチュードは9クラスになると予想する説もあります。現に、ずっと北方の、構造的に似た条件のアリューシャン列島では、マグニチュード9クラスの地震が複数回発生していて、さらに南側の東北沖でも発生しました。今度はその間の千島列島で起きたとしても、全くおかしくありません。
千島列島でマグニチュード9クラスが発生した場合、特に北海道のオホーツク海、太平洋沿岸部で強い揺れとなるのはもちろん、同地域を中心に、かなり広い範囲に大津波が到達することになるでしょう。2006年の千島列島沖地震(M8.3)では、伊豆諸島の三宅島で84cm、さらに和歌山県や四国の沿岸にまで小規模な津波が到達していますから、マグニチュード9クラスになれば、東日本から西日本の太平洋岸全域に大きな津波が到達する恐れがあります。
千島列島は、このような「爆弾」を抱えている場所であり、東日本大震災による地殻変動の影響も受けているはずですから、ここもやはり「いつ起きてもおかしくない」場所と言えるでしょう。本日の地震が、さらに大きな地震の「前震」では無いとは、誰にも言えません。特に北海道のオホーツク海沿岸及び太平洋沿岸部では、大津波からの避難方法などを、具体的に、すぐに考えてください。
千島列島に関しても、今後の推移を注意深く見守りたいと思います。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
…スゴイ!
なんて わかりやすい解説なの!
やっぱり あなたは、マニアですね!
本当に わかりやすい。
ちょっと気になることがあって調べていたので…
なるほどねぇ…。
あっ!また『 地震のメカニズムを知っても…』って言われちゃうかな…?
私、思うんです!
確かに なんの役にも
たたないけど、
その知識をもっていた方が より リアルに、
より真剣に防災に 取り組めるんじゃないか?って…。
ただ、『ハイ! こんなに地震の被害って 実は 大変なのよ!だから 防災、大事よね?!』
『そうですね!』
これじゃあ、 なんだか幼稚園みたい。
自分で調べ、自分で知り、じゃあ、自分に 何ができる?!と考えてするのが
『防災』なんじゃないのかしら?!
あなたの言う、 ただ不安を煽るだけの、なんの根拠もない エセ科学ではなく、
あなたが ここに書いたような、真実のみの記載
でも それを把握し、
自分のこととして認識する。その知識は やはり
とても大事だと思うのです!
新参者が かなり 生意気なことを言ってますね。
…すみません。
でも、 私は
あなたに笑われても
やはり 地震のメカニズムを知りたい!!
そして、知った上で
あなたの教えてくれる実践的な術も きちんと身につけたいです!
…なので『 マニア』は
やめられません!!
でも、調べれば調べるほど果てしなくて、ウンザリします…
…最後は、やっぱり
何は ともあれ 防災意識よね!で、着地するのですが…(笑)
最近、 見たテレビでやっていました。
『高校の地学を勉強するべき!』
折しも私が、本屋で
プレートの勉強のために 高校地学の参考書を買った日だったので、
『…私って スゴイ!』って自画自賛してしまいました。
あれから、チョコチョコ 読ませていただいています!
2階の方が 安全なこと。
下の階では 玄関!
天井の高さまで 到達した炎は 消火が無理!
あと、優しい温かみのあるライトの方が 良い。
あとは…
まだまだ ありそうですね♪
少しずつ 自分の興味のあるカテゴリーを読みあさっています。
新参者が 大変 失礼しました。
でも、こんな考え方も
ありなのでは?!(笑)
多分、私が茨城県民なので、幼少から地震が身近な存在なので そう考えるのかも しれません!
引き続き 読ませていただきます!
ありがとうございます。
本当に失礼しました!
投稿: さびしんぼう | 2013年6月 7日 (金) 05時20分
先ほどのコメントには
誤解を招くような表現が
あったかも しれません…
大変 申し訳ございませんでした。
ただ、 せっかく
防災士の資格を持つblog主様なのだから
もっと地震のメカニズムに対しても、前向きに皆さんに解説して
自分は マニアだから!と茶化すのではなく、
皆さんも 地震大国日本にいるのだから
もっと地震に対して
恐れるのではなく、正しい知識を身につけましょう!って言った方が いいような気がしたのです。
これだけ わかりやすく解説してるのに
なんだか勿体ない気がして…
… お節介でしたね。
でも、実に 勿体ない!
個人、個人の必死さが 変わると思うんだけどなぁ…。
個人的感想でした。
失礼しました。
投稿: さびしんぼう | 2013年6月 7日 (金) 13時08分
>さびしんぼうさん
大変なお褒めのコメント、ありがとうございます。やはり、「マニア」に褒めていただくのが一番うれしいですね。最初のコメントも、額面通り受け取っていますよ。
実は私、2007年からmixiの方で防災情報コミュ「生き残れ。」を立ち上げているのですが、震災の発生を受けて、もっと多くの方に「本当に役に立つ情報」を知っていただきたいと、このブログをはじめました。こちらは「別館」なので、Annexなわけです。でも、最近本館は放置状態なのですが(笑)
しかし、1000年に一度規模の大震災を経験したというのに、巷の話題は、相変わらずマスコミや半端な「専門家」による上っ面だけの話が多く、そこへエセ科学やオカルトが絡んで盛り上がっている状態に、結構ウンザリしています。
でも、その一方で、表立って下手な騒ぎ方はしないものの、本気で「生き残る」ための情報を求める方々が急増しているのも感じます。私はそんな方々のために、長年に渡って蓄積してきた、「本当に役に立つ情報」をお伝えしたいと思って、このブログをやっています。
もちろん、確率やメカニズムの話を知っているに越したことはありません。でも、それだけ知って「怖い怖い」と言っているのは愚かな話で、具体的な行動それも、本当に正しい行動に結び付けなければ意味がありません。要は、能動的に命を守ろうとするかどうかということで、私はそんな方々のお役に立ちたいのです。
当ブログには、連日多くの方が「キーワード検索」から来られます。能動的に情報を探す方々です。そして、ブックマークしていただける方もたくさんいらっしゃいます。そんな方々が当ブログの情報を選んでいただければ、それでいいかなと。
ブログという形だからできる部分もあって、これが公式に何かやろうとしたら、情報元はどこだとか、専門的な裏づけがあるのかとか、そういう話になってしまうわけです。私の情報は長年に渡る蓄積と、現場の方々の経験則が中心ですから、そういう裏づけはほとんど無いんですよ。ですから、専門家が言わなければ信じない、という方には伝わりませんね。情報の内容をご自身で吟味していただき、「これはできる、これは役に立つ」とお思いになられたら、利用していただければ結構です。
でも、ご要望があれば、現場に出てお話とかもさせていただきますよ。大抵のご質問にはその場でお答えできます。私もちょっと自画自賛させていただければ(笑)、ブログ記事を書くのに参考資料はほとんど使いません。災害のデータなどは当然調べますけど、「どうするか」については、ほぼすべて私の頭の中にありますから、どこでもお話できます。
内容にご満足いただけていましたら、是非とも他の方にも紹介していただければ嬉しいです。でも、こういう長文で理屈っぽいスタイルは、ほとんど一般ウケしないのは重々承知です。でも、必要な情報を盛り込むためには、こうなります。
まあ、私は「異端」でいいんですよ。こういう必要とする方のためにお役に立てれば。とまあ、つい長くなるのが悪いクセで(笑)
投稿: てば | 2013年6月 7日 (金) 15時34分